1.信用状統一規則と保険書類
信用状取引では、国際商業会議所(ICC)が制定した 「荷為替信用状に関する統一規則および慣例」 (Uniform Customs and Practice for Documentary Credits:UCP600)が、 国際的な基本規則として使用されています。
UCP600は、信用状にUCP600へ従う旨が明示されている場合に適用されます。 UCP600の各規定は、信用状によって明示的に変更または排除されない限り、 信用状取引の当事者を拘束します。
保険書類については、主としてUCP600第28条 「Insurance Document and Coverage」が適用されます。
また、銀行による具体的な書類点検では、 UCP600を日常の書類審査へ適用するための国際標準銀行実務である ISBP821 (International Standard Banking Practice 2023年版) が重要になります。
電子保険証券、電子保険証明書その他の電子記録を呈示する場合は、 信用状がeUCPの適用を明示しているときに、 eUCP Version 2.1がUCP600を補完して適用されます。
【ポイント】
銀行は、実際の貨物、サービス、保険事故または保険金支払の可否を 審査するのではありません。 呈示された書類が、信用状条件、UCP600および国際標準銀行実務に 適合しているかを、書類上の記載に基づいて審査します。
したがって、銀行が保険書類を受理したことと、 保険事故発生時に保険会社が保険金を支払うことは、別の問題です。
また、書類上のデータは、信用状と一字一句同一である必要はありません。 ただし、信用状、書類自体または他の要求書類のデータと 矛盾してはなりません。
2.UCP600第28条による保険書類の基本要件
①受理される保険書類
UCP600第28条では、主に次の保険書類が想定されています。
- 保険証券(Insurance Policy)
- 保険証明書(Insurance Certificate)
- 包括予定保険に基づく申告書 (Declaration under an Open Cover)
保険書類は、保険会社、保険引受人またはこれらの代理人・代理権者によって 発行され、署名されたものと認められる必要があります。
代理人または代理権者が署名する場合は、 保険会社または保険引受人のために署名していることが 書類上確認できなければなりません。
保険仲立人の用紙で発行された書類であっても、 保険会社、保険引受人またはその代理人・代理権者が 適切に発行・署名していることが確認できれば、 保険書類として受理される場合があります。
②カバー・ノートの取扱い
UCP600第28条c項の標準規則では、 カバー・ノート(Cover Note)は受理されません。
信用状取引に使用する場合は、正式な保険証券、保険証明書または 包括予定保険に基づく申告書を準備する必要があります。
ただし、信用状がUCP600第28条c項を明示的に変更または排除している場合は、 UCP600第1条との関係を含め、発行銀行または指定銀行へ 事前に確認する必要があります。
③保険証券と保険証明書の関係
保険証券は、保険証明書または包括予定保険に基づく申告書の 代わりとして受理されます。
一方、信用状が「Insurance Policy」と明示している場合に、 保険証明書を呈示すれば常に代替できるという規定ではありません。
信用状が要求する書類の種類と、 実際に発行可能な保険書類の種類を保険手配前に確認する必要があります。
④複数原本の呈示
保険書類上、複数の原本が発行されたことが表示されている場合は、 すべての原本を呈示しなければなりません。
信用状が複数通の保険書類を要求している場合も、 信用状の要求通数を満たす必要があります。
実際の原本発行通数は、保険会社の様式、契約形態および 発行方法によって異なります。 「保険証券は常に2通発行される」と一律に判断してはいけません。
⑤保険書類の日付と補償開始日
保険書類の日付は、原則として運送書類上の船積日、発送日または 貨物受取日より後の日付であってはなりません。
ただし、保険書類の日付が船積日より後であっても、 保険書類上、補償が船積日以前または船積日から有効であることが 明確に確認できる場合は、UCP600第28条e項上受理されます。
保険書類の発行日と、保険責任の開始日は必ずしも同一ではありません。
保険証券上に「Date of Issue」「Sailing on/about」 「Effective Date」「Declaration Date」その他の日付が記載されている場合は、 それぞれの意味を区別して確認する必要があります。
保険書類が船積日より後の日付で発行されている場合、 「Warehouse to Warehouse」またはこれと同様の一般的な記載だけでは、 船積日以前から補償が有効であったことを示す記載として 十分でない場合があります。
【ポイント】
「保険証券の日付が保険効力の発生日となる」という説明は正確ではありません。 発行日、申告日、船積日および保険責任開始日は、別々に確認する必要があります。
⑥保険金額と通貨
UCP600第28条f項iの標準規則では、 保険書類に補償される保険金額を明記し、 信用状と同一の通貨で表示しなければなりません。
信用状が米ドル建てであれば、 保険金額も原則として米ドルで表示します。 インボイスの通貨だけではなく、信用状の通貨との一致を確認します。
信用状が、貨物価額、インボイス価額またはこれに類する価額の 一定割合を保険金額として要求している場合、 その割合は最低付保割合として扱われます。
信用状に必要な付保割合の記載がない場合は、 原則としてCIF価額またはCIP価額の最低110%の保険金額が必要です。
CIF価額またはCIP価額を呈示書類から判断できない場合は、 次のいずれか大きい金額を基礎として保険金額を算定します。
- オナーまたは買取が求められている金額
- インボイスに表示された貨物の総価額
ここでいう「書類から判断できない場合」とは、 保険書類だけではなく、インボイスその他の呈示書類全体から CIF価額またはCIP価額を判断できない場合を意味します。
110%は、信用状に別段の付保割合がない場合の最低付保割合であり、 一律の上限を意味するものではありません。
⑦保険区間
UCP600第28条f項iiiにより、 保険書類は、信用状に記載された受取地または船積地から、 陸揚地または最終仕向地までの危険が少なくとも補償されていることを 示さなければなりません。
保険書類上の「From」「To」「Voyage」「Transit」 「Final Destination」等の記載と、 信用状および運送書類の輸送区間を照合します。
信用状が受取地から最終仕向地までの複合輸送を要求しているにもかかわらず、 保険書類が港から港までしか補償していない場合は、 不適合となる可能性があります。
⑧担保危険の記載
信用状には、必要な保険の種類および追加して補償すべき危険を できる限り具体的に記載することが望まれます。
UCP600第28条g項により、 信用状が「usual risks」または「customary risks」などの 不明確な表現を使用している場合は、 一部の危険が保険書類上補償されていなくても、 銀行は呈示された保険書類を受理します。
ただし、信用状が盗難、漏損、温度変化、戦争、ストライキ等の 具体的な危険または特約を要求している場合は、 その危険が保険書類上補償されていることを確認する必要があります。
⑨All Risksの記載
UCP600第28条h項により、 信用状が「all risks」の保険を要求している場合は、 保険書類に「all risks」の表示または条項が記載されていれば、 除外危険の記載があっても書類として受理されます。
ISBP821では、海上輸送についてInstitute Cargo Clauses(A)、 航空輸送についてInstitute Cargo Clauses(Air)が記載された保険書類は、 一般的な「all risks」の要求を充足するものとして扱われます。
ただし、信用状がInstitute Cargo Clauses(A)ではなく、 特定の約款名、旧約款または追加危険を明示的に要求している場合は、 単に「all risks」に相当する補償があるというだけで 信用状条件を満たすとは限りません。
また、「All Risks」は、あらゆる損害を無条件に補償するという意味ではありません。 ICC(A)にも、故意、通常損耗、梱包不備、固有の瑕疵、 遅延その他の免責事項があります。
⑩除外条項と免責金額
UCP600第28条i項により、 保険書類には、除外条項への参照を記載することができます。
したがって、保険書類に一般免責条項または特定の除外条項への 参照があることだけを理由として、 直ちに信用状不適合となるわけではありません。
ただし、信用状が特定の危険を明示的に要求しているにもかかわらず、 その危険が除外されていることが書類上明らかな場合は、 別途不適合が問題になります。
UCP600第28条j項により、 保険書類には、補償がfranchiseまたはexcess (deductible)の適用を受ける旨を記載することができます。
ただし、信用状がUCP600第28条j項を明示的に変更し、 免責金額または免責歩合を認めない条件を要求している場合は、 その信用状条件への適合を確認する必要があります。
3.ISBP821による保険書類の実務確認
ISBP821は、UCP600を変更する規則ではありません。 UCP600に基づく書類作成および銀行による書類審査について、 国際標準銀行実務を具体化する現行の実務指針です。
ISBP821の「Insurance Document and Coverage」では、 UCP600第28条を実際の保険書類へ適用する際の確認方法が、 K1からK23までに整理されています。
| 確認項目 | ISBP821による取扱い | 主な不備例 |
|---|---|---|
| 発行者と署名 | 保険会社、保険引受人またはその代理人・代理権者による 発行・署名であることを確認します。 | 署名者の立場や、どの保険会社のために署名しているか確認できない。 |
| 保険仲立人の用紙 | 保険仲立人の用紙であっても、保険会社等またはその代理人等が 適切に署名していれば受理される場合があります。 | 保険仲立人が自らの資格だけで署名し、 保険会社等との関係が表示されていない。 |
| 副署 | 書類様式上、保険会社、被保険者または指定者の副署が必要な場合は、 必要な副署がなければなりません。 | Countersignature欄があるのに署名されていない。 |
| 原本通数 | 保険書類が複数原本の発行を示す場合は、 すべての原本を呈示します。 | 「Original in duplicate」と表示されているが、 1通しか呈示していない。 |
| 保険書類の日付 | 船積日より後の日付の場合は、 補償が船積日以前または船積日から有効であることを 明確に表示する必要があります。 | 発行日が船積日後で、遡及する補償開始日の記載がない。 |
| 保険金額 | 信用状と同一通貨で、 信用状またはUCP600が要求する最低額以上であることを確認します。 | 保険金額が最低付保額未満、または信用状と通貨が異なる。 |
| 複数保険書類 | 同一貨物について複数の保険書類で分担する場合は、 各保険者の負担額が明確で、 合計額が必要付保額以上でなければなりません。 | 各保険会社の負担範囲が不明確、 または合計保険金額が不足している。 |
| 担保危険 | 信用状が具体的に要求する危険が、 保険書類上補償されていることを確認します。 | 信用状が盗難、漏損等を要求しているが、 保険書類で確認できない。 |
| 被保険者と裏書 | 保険金請求権が、書類の引渡し時またはそれ以前に、 信用状上必要な権利者へ移転できる形でなければなりません。 | 保険書類が輸出者名義のままで、 必要な白地裏書または指定裏書がない。 |
| 一般保険約款 | 銀行は、保険書類に付された一般約款の内容そのものを 通常は審査しません。 | 銀行が約款全文を確認し、 保険金支払可否まで判断すると誤解する。 |
| 保険料の支払表示 | 保険料支払に関する表示は通常無視されます。 ただし、保険料未払の場合に書類が無効となる旨と、 実際に未払である旨が表示されている場合は問題になります。 | 「保険料未払のため無効」と読み取れる表示がある。 |
4.信用状上の保険条件に問題がある場合
信用状条件に誤り、不明確な表現または実際には引受困難な危険が 含まれている場合は、書類上の表現だけで対応できる問題か、 実際の保険引受条件を変更しなければならない問題かを区別します。
①実際の補償はあるが、書類表示に問題がある場合
信用状と保険書類の記載は一字一句同一である必要はありません。 ただし、信用状が特定の文言、約款名または特約の表示を要求している場合は、 保険書類上、その要求を満たしていることが確認できなければ ディスクレパンシーとなる可能性があります。
例)
All Risks including J.W.O.B. and T.P.N.D.
ICC(A)では、投荷・波ざらい、盗難、抜荷または不着等が、 約款上の免責事項に該当しない限り補償対象となることがあります。 ただし、信用状がJ.W.O.B.またはT.P.N.D.の表示を 保険書類上に明記するよう要求している場合は、 実際の補償範囲とは別に、 書類表示が信用状条件を満たしているかを確認する必要があります。
保険会社が実際の補償内容に問題がないと判断した場合は、 保険書類へ必要な文言を追記できる場合があります。
文言の追記だけで対応できるかは、 保険会社および取扱銀行へ事前に確認する必要があります。
②要求された危険を実際には引き受けられない場合
信用状が、通常の貨物保険では補償できない危険、 または保険会社が引受を認めていない危険を要求している場合は、 信用状のアメンドを行うことが原則です。
例)
All Risks including Meltingの条件で、 グミ、チョコレートその他の熱に弱い貨物を ドライコンテナで輸送する場合
貨物自体の性質による通常の溶融、軟化または変形は、 貨物固有の瑕疵または性質に起因する損害として 免責となる可能性があります。 一方、外来の偶然な事故、冷却装置の故障、 温度管理条件または特別約款によって補償できる場合もあります。 貨物、梱包、輸送方法、温度条件および想定事故を保険会社へ申告し、 引受可否を確認する必要があります。
保険会社が要求された危険を引き受けられない場合は、 実際には補償されない危険を保険書類へ表示することはできません。
この場合は、申込人および発行銀行へ信用状条件の変更を依頼します。
③旧約款名が信用状に記載されている場合
旧協会貨物約款では、 Institute Cargo Clauses(All Risks)という約款名が使用されていました。
現行のInstitute Cargo Clauses(A)と、 旧約款のInstitute Cargo Clauses(All Risks)は、 いずれも広い補償を目的としていますが、同一の約款ではありません。
信用状が旧約款名を明示的に要求している場合に、 現行のICC(A)を呈示すれば当然に信用状条件を満たすとは限りません。
旧約款を実際に手配するのか、 現行約款で代替できるよう信用状をアメンドするのかを、 保険会社、輸出者、輸入者および銀行の間で確認します。
④信用状条件に問題がある場合の対応手順
- 信用状が要求する保険書類の種類、約款、追加危険、 保険金額、通貨および輸送区間を確認する。
- 要求された補償条件が、実際の保険契約で 引受可能かを保険会社へ確認する。
- 実際の補償内容と、保険書類上の表示条件を分けて確認する。
- 文言の追記だけで対応できる場合は、 保険会社および取扱銀行と表示方法を確認する。
- 補償自体が引受不能の場合は、 船積前に信用状のアメンドを依頼する。
- 信用状の有効期限、最終船積日および書類呈示期限を確認する。
- 保険書類発行後、信用状、インボイスおよび 運送書類との整合性を再確認する。
5.UCP600第28条の実務要約
| 条項 | 規定の内容 | 実務上の確認点 |
|---|---|---|
| 第28条a項 | 保険書類の種類、発行者、署名および代理関係 | 保険会社、保険引受人または適切な代理人等による 発行・署名か確認します。 |
| 第28条b項 | 複数原本が発行された場合の全原本呈示 | 書類上の原本発行通数と実際の呈示通数を照合します。 |
| 第28条c項 | カバー・ノートの不受理 | 正式な保険証券、保険証明書または 包括予定保険に基づく申告書を取得します。 |
| 第28条d項 | 保険証券による保険証明書・包括予定保険申告書の代替 | 逆方向の代替が当然に認められるわけではない点に注意します。 |
| 第28条e項 | 保険書類の日付と補償開始日 | 発行日が船積日後の場合は、 船積日以前または船積日から補償が有効である旨を確認します。 |
| 第28条f項i | 保険金額の表示と信用状と同一通貨での表示 | 保険金額、通貨名および通貨記号を確認します。 |
| 第28条f項ii | 最低付保割合およびCIF/CIP価額の110% | 信用状に割合指定がない場合は、 原則として最低110%を確認します。 |
| 第28条f項iii | 信用状に記載された輸送区間の補償 | 受取地・船積地から陸揚地・最終仕向地までの 区間を照合します。 |
| 第28条g項 | 保険種類、追加危険および不明確な危険表現 | usual risks等の不明確な要求と、 具体的に指定された追加危険を区別します。 |
| 第28条h項 | all risksを要求する場合の取扱い | all risksの表示または条項があるかを確認します。 |
| 第28条i項 | 除外条項への参照 | 除外条項への参照自体は認められることを確認します。 |
| 第28条j項 | franchise、excessまたはdeductibleの表示 | 信用状が第28条j項を明示的に変更していないか確認します。 |
※UCP600第28条には第28条f項iiiが存在し、 第28条k項は存在しません。
6.eUCP Version 2.1と電子保険書類
eUCP Version 2.1は、電子記録だけによる呈示、 または電子記録と紙書類を組み合わせた呈示について、 UCP600を補完する規則です。
eUCPは、信用状がeUCPに従うことを明示している場合に適用されます。
信用状がeUCPに従うことを明示していない場合は、 電子ファイルを送信しただけで eUCP上の正式な呈示になるとは限りません。
eUCP信用状には、適用するeUCPのバージョンを記載します。 バージョンの記載がない場合は、 eUCP信用状の発行日、またはeUCP適用のアメンドが 受益者に受諾された日の最新版が適用されます。
eUCP信用状にはUCP600も適用され、 eUCPとUCP600を適用した結果が異なる範囲では、 eUCPが優先します。
| 確認項目 | eUCP2.1上の実務 | 注意点 |
|---|---|---|
| 適用の明示 | 信用状がeUCPに従うことを明示する必要があります。 | 電子ファイルを送信しただけで、 当然にeUCP呈示となるわけではありません。 |
| 適用バージョン | 適用するeUCPのバージョンを信用状へ記載します。 | 記載がない場合は、eUCPの規定に従って適用版を判断します。 |
| UCP600との関係 | eUCP信用状にはUCP600も適用され、 結果が異なる範囲ではeUCPが優先します。 | 紙書類だけを呈示する場合にUCP600だけが適用される場合があります。 |
| 電子記録の形式 | eUCP信用状は、要求する各電子記録の形式を指定します。 指定がない場合は、任意の形式で呈示できます。 | 銀行のシステムで受信、認証および審査できる形式か 事前に確認します。 |
| 呈示先 | 電子記録の呈示場所となる電子アドレスまたは データ処理システムを確認します。 | 紙書類も呈示する場合は、紙書類の呈示場所も確認します。 |
| 信用状の識別 | 各電子記録は、どのeUCP信用状に基づく呈示かを 識別できなければなりません。 | 電子記録、メタデータまたは送付情報等に 信用状番号を表示します。 |
| 呈示完了通知 | 電子記録を呈示する者は、 呈示が完了したことを示す通知を行う必要があります。 | 呈示完了通知がなければ、 呈示が行われなかったものとして扱われる可能性があります。 |
| 審査期間 | 審査期間は、原則として呈示完了通知を銀行が受領した日の 翌銀行日から開始します。 | 電子記録の送信日だけでなく、 呈示完了通知の受領日を管理します。 |
| 認証 | 電子記録は、送信者の外観上の同一性および 記録の完全性を認証できる必要があります。 | 認証できない電子記録は、 呈示されなかったものとして扱われる可能性があります。 |
| 電子署名 | UCP600上の署名には、eUCPの適用上、 電子署名が含まれます。 | 発行者および署名者を確認できる電子的認証が必要です。 |
| リンク・外部システム | 電子記録が外部システムまたはハイパーリンクを参照する場合、 参照先のデータも審査対象となることがあります。 | 審査時にアクセスできない場合は、 不適合となる可能性があります。 |
| 原本・写し | 電子記録については、1つの電子記録の呈示により、 1通または複数の原本・写しの要求を満たします。 | 紙の保険書類に関するUCP600第28条b項の 原本通数とは区別します。 |
| 発行日 | 電子記録は、その発行日を確認できる情報を 備える必要があります。 | 電子保険書類でもUCP600第28条e項の日付要件を確認します。 |
| データ破損 | 電子記録が破損し、全部または一部を読み取れない場合は、 再呈示を求められることがあります。 | 信用状期限、最終呈示日および再呈示可能期間を確認します。 |
eUCP Version 2.1では、 譲渡可能な船荷証券や譲渡可能な保険書類に相当する 電子的譲渡可能記録も想定されています。
ただし、保険金請求権や保険書類上の権利を電子的に移転できるかは、 eUCPだけでなく、適用法、発行システム、 電子取引基盤および保険会社の運用も確認する必要があります。
7.保険書類呈示前の確認表
| 確認場面 | 確認する相手 | 確認事項 | 問題がある場合の対応 |
|---|---|---|---|
| 信用状受領時 | 輸入者・発行銀行・取扱銀行 | UCP600、eUCP2.1の適用、要求書類、 約款および追加危険 | 船積前に信用状のアメンドを依頼します。 |
| 保険申込前 | 保険会社・保険代理店 | 要求条件の引受可否、保険書類の種類、 保険金額および通貨 | 引受条件を調整するか、信用状条件を変更します。 |
| 保険書類発行時 | 保険会社・保険代理店 | 発行者、署名、原本通数、名義、 裏書および発行日 | 訂正、追記または再発行を依頼します。 |
| 船積後 | 保険会社・フォワーダー・運送人 | 船積日、船名、積地、揚地および最終仕向地 | 保険書類または運送書類の訂正を行います。 |
| 書類呈示前 | 取扱銀行 | 信用状、インボイス、運送書類および 保険書類の整合性 | 呈示期限内に訂正または再発行を行います。 |
| 電子呈示前 | 指定銀行・確認銀行・発行銀行 | 電子形式、呈示先、認証方法、 信用状識別および呈示完了通知 | 銀行指定の方式に従って再作成または再呈示します。 |
8.まとめ
信用状取引で使用する保険書類は、 実際の貨物保険契約として有効であるだけでなく、 信用状条件、UCP600およびISBP821に適合する書類でなければなりません。
電子記録を呈示する場合は、さらにeUCP Version 2.1の適用、 電子記録の形式、呈示先、認証、信用状の識別、 呈示完了通知およびアクセス可能性を確認する必要があります。
特に重要なのは、次の2点を区別することです。
- 貨物損害が保険契約上、実際に補償されるか
- 保険書類が信用状取引上、銀行に受理されるか
信用状条件に不正確な約款名、引受不能な危険、 不明確な追加危険または過度に詳細な文言が含まれている場合は、 船積後に保険書類だけで対応しようとせず、 売買契約および信用状発行前、または遅くとも船積前に、 保険会社、銀行、輸出者および輸入者の間で 条件を確認することが重要です。