輸入品と製品安全誓約
輸入品と製品安全誓約とは
輸入品と製品安全誓約とは、海外で製造された製品をオンラインマーケットプレイス上で日本の消費者へ販売する場合に関係する、日本版「製品安全誓約」の取組と輸入販売実務をいいます。
日本版「製品安全誓約」は、オンラインマーケットプレイス上で出品・販売されるリコール製品や安全ではない製品がもたらす生命・身体へのリスクから、消費者を保護することを目的とした官民協働の自主的な取組です。
日本では、OECDが公表した製品安全誓約に関する声明を踏まえ、関係省庁と主要なオンラインマーケットプレイス運営事業者によって策定され、2023年6月29日に開始されました。
製品安全誓約は、法律、政令または省令ではありません。
消費生活用製品安全法、電気用品安全法、ガス事業法、液化石油ガスに関する法令その他の製品安全法令に基づく義務とは別に、オンラインマーケットプレイス上でリコール製品、安全基準に適合しない製品及び危険な製品が流通し続けることを防止するための枠組みです。
輸入販売者やセラーは、オンラインマーケットプレイスへ商品を出品できたことを理由として、日本の製品安全法令への適合確認が完了したと判断してはいけません。
通関が完了していても、必要な届出、技術基準適合、検査、表示または製品安全資料が確認できなければ、出品停止、商品ページ削除、購入者への連絡、返品、返金、回収その他の対応が必要となる場合があります。
この記事で扱う範囲
| 記事・制度 | 主な役割 | 本記事との関係 |
|---|---|---|
| 輸入品と製品安全誓約 | オンラインマーケットプレイス上の危険製品、リコール製品及び法令違反製品の流通防止 | 出品削除、資料提出、購入者連絡及び輸入販売者の対応を中心に扱う |
| 輸入品と消費生活用製品安全法 | 消費者向け製品の販売前規制から販売後対応までの全体像 | 製品安全法令全体の総論を扱う |
| 輸入品のPSCマーク | 特定製品、特別特定製品及び子供用特定製品の技術基準、検査及び表示 | PSC対象製品の販売前規制を詳しく扱う |
| 輸入品のPSEマーク | 電気用品の事業届出、技術基準適合、検査、記録及び表示 | 電気製品及び付属電源用品の確認を詳しく扱う |
| 輸入品の重大製品事故 | 死亡、重傷病、一酸化炭素中毒及び火災等の重大事故の定義 | 重大製品事故への該当性を詳しく扱う |
| 輸入品の製品事故情報報告制度 | 重大製品事故の報告義務、報告期限及び初動対応 | 事故発生後の法定報告を詳しく扱う |
| 輸入品のリコール | 回収、無償修理、交換、返金、点検、注意喚起及び販売停止 | 市場に流通した製品の危害防止措置を詳しく扱う |
本記事は、製品安全誓約が法令そのものではないことを明確にしたうえで、輸入販売者がオンラインマーケットプレイス上でどのような確認を求められ、問題発生時にどのような措置を受ける可能性があるかを整理する記事です。
製品安全誓約の位置づけ
日本版「製品安全誓約」は、オンラインマーケットプレイス上でリコール製品や安全ではない製品が販売され続けることを防ぐための自主的な枠組みです。
オンライン販売では、国内外の多数の事業者や個人が、短期間に多数の商品を出品できます。
そのため、リコール済み製品、PSCマークやPSEマーク等の表示を欠く製品、日本の安全基準に適合していない製品、重大な事故のおそれがある製品が、広範囲に流通する可能性があります。
製品安全誓約に署名したオンラインマーケットプレイス運営事業者は、行政機関からの通知、消費者からの通報、自社の監視その他の情報を基に、危険製品の出品削除、再出品防止、出品者への周知、購入者への情報提供及び内部管理体制の整備等を行います。
製品安全誓約の対象範囲と署名事業者
製品安全誓約は、大規模なインターネットモール等のBtoC型ビジネスだけでなく、オンラインフリーマーケットやインターネットオークション等のCtoC型ビジネスも対象としています。
| 販売形態 | 主な特徴 | 製品安全上の問題 | 確認事項 |
|---|---|---|---|
| BtoC型オンラインマーケットプレイス | 事業者が一般消費者へ製品を販売する | 輸入者、販売者、ブランド保有者及び製造者の責任関係 | 出品者情報、届出事業者、製品安全資料及び販売履歴を確認する |
| CtoC型オンラインマーケットプレイス | 個人間で新品または中古品を売買する | リコール済み製品、旧製品及び表示不備品の再流通 | 製品型式、リコール情報、使用履歴及び表示を確認する |
| 越境型オンラインマーケットプレイス | 海外事業者が日本の消費者へ直接販売する | 国内の輸入事業者が存在しない場合の法令対応 | 特定輸入事業者、国内管理人、届出及び事故対応体制を確認する |
| 自社ECサイト | 輸入販売者が自社で商品ページと決済を管理する | 製品安全誓約の署名事業者が介在しない場合がある | 自社で法令確認、監視、購入者通知及びリコール体制を整える |
製品安全誓約上の取組主体は、誓約に署名したオンラインマーケットプレイス運営事業者です。
すべてのオンライン販売サービスに、製品安全誓約上の取組が一律に適用されるわけではありません。
一方、署名していないプラットフォームまたは自社ECサイトで販売する場合であっても、消費生活用製品安全法、電気用品安全法その他の法令上の義務が免除されるわけではありません。
参加するオンラインマーケットプレイス運営事業者は追加または変更される可能性があるため、最新の参加事業者は消費者庁の公式サイトで確認する必要があります。
法令規制と製品安全誓約の違い
| 項目 | 法令規制 | 製品安全誓約 | 輸入販売者への意味 |
|---|---|---|---|
| 性格 | 法律、政令、省令等に基づく義務 | 関係省庁と署名事業者による官民協働の自主的取組 | 両者を別々に確認する必要がある |
| 主な対象 | 製造事業者、輸入事業者、販売事業者及び海外事業者等 | 署名したオンラインマーケットプレイス運営事業者 | セラーは法令とモール規約の双方に対応する |
| 中心となる内容 | 届出、技術基準適合、検査、表示、事故報告及びリコール等 | 出品削除、通報対応、再出品防止、内部管理及び情報連携等 | 法令適合資料をモールへ提出できるようにする |
| 問題発生時 | 販売制限、行政命令、報告徴収、立入検査及び罰則等 | 商品ページ削除、出品停止、資料提出要求及びアカウント上の措置等 | 行政対応とプラットフォーム対応を並行して行う |
| 直接的な強制力 | 法令に基づく行政上または刑事上の強制力がある | 誓約自体は法律ではない | 誓約違反だけを理由とする刑事罰ではなく、規約上の措置が中心となる |
| 販売可否との関係 | 法令に適合しなければ販売できない場合がある | モール側の安全判断により出品を継続できない場合がある | 通関、法令適合、出品可能性を区別する |
製品安全誓約は、法令上の義務を免除または代替する制度ではありません。
PSEマーク、PSCマーク、PSTGマークまたはPSLPGマークが必要な製品については、各法令上の届出、技術基準適合、検査、表示及び記録保存を別途確認する必要があります。
オンラインマーケットプレイス側の主な取組
| 取組 | 主な内容 | 出品者への影響 | 実務上の準備 |
|---|---|---|---|
| リコール製品の出品削除 | 行政機関等から提供されたリコール情報と出品情報を照合する | 対象商品の出品停止またはページ削除 | 型式、製造番号及びロット番号を販売記録と紐づける |
| 法令違反製品の出品削除 | 安全基準または表示義務に違反する製品を確認する | 法令適合資料の提出要求または販売停止 | 届出、検査、証明書及び製品表示の資料を保存する |
| 消費者等からの通報対応 | 危険製品またはリコール製品に関する情報を受け付ける | 出品者への照会、商品ページの一時停止 | 問い合わせ担当者と回答期限を決める |
| 再出品防止 | 削除対象製品が同一または別アカウントから再出品されることを防ぐ | 同一型式、類似製品またはアカウントへの制限 | 原因を解決せず商品名だけ変更して再出品しない |
| 出品者への周知 | 製品安全法令、禁止商品及び提出資料について案内する | 追加資料や表示修正を求められる | 各モールの最新規約と製品安全ルールを確認する |
| 購入者への情報提供 | 必要に応じ、危険情報、使用中止またはリコール情報を購入者へ伝える | 購入者連絡、返品、返金及び回収への協力 | 販売履歴と購入者情報を保存する |
| 内部管理体制の整備 | 行政通知、消費者通報、出品削除及び再出品防止を継続的に管理する | 出品審査や資料確認が強化される可能性がある | 提出資料の正確性と一貫性を確保する |
輸入販売者・セラー側の主な対応
- 輸入する製品が日本の製品安全法令の対象か確認する
- PSC、PSE、PSTG、PSLPG及び技適等の要否を確認する
- 製品または同一型式がリコール対象となっていないか確認する
- 海外メーカーや海外ECサイトの商品説明だけで適法性を判断しない
- 届出書、技術資料、検査資料、証明書、検査記録及び取扱説明書を保存する
- 商品ページの画像、型式、仕様、表示及び実物を一致させる
- オンラインマーケットプレイスから資料提出を求められた場合に対応できるようにする
- 仕入先、製造者、製造工場、ロット、販売数量及び購入者を追跡できるようにする
- 販売開始後もリコール情報、事故情報及びモールからの通知を確認する
- 購入者への連絡、使用中止案内、返品、返金、修理、交換及び回収を行える体制を整える
オンラインマーケットプレイスへ出品できたことは、製品安全法令への適合を行政機関またはプラットフォームが保証したことを意味しません。
輸入販売者の確認フロー
- 日本国内の一般消費者向けに販売する製品か確認する
- 製品の用途、構造、対象年齢、電源、通信機能及び付属品を確認する
- 消費生活用製品安全法、電気用品安全法、ガス事業法、液化石油ガスに関する法令、電波法その他の対象か確認する
- PSC、PSE、PSTG、PSLPG、技適その他の表示・認証・届出の要否を確認する
- 海外メーカーから仕様書、試験資料、証明書、部品表及び取扱説明書を取得する
- 日本向けの表示、警告、取扱説明書及び商品ページを作成する
- 製品名、型式、ロット及び製造工場が提出資料と一致しているか確認する
- 国内外のリコール情報及び事故情報を確認する
- 販売予定のオンラインマーケットプレイスが製品安全誓約の署名事業者か確認する
- オンラインマーケットプレイスの出品規約、禁止商品及び製品安全資料提出ルールを確認する
- 商品ページの説明、画像、型式、表示及び実物の一致を確認する
- 販売数量、在庫、販売先及び購入者情報を追跡できる体制を整える
- 事故情報受付、使用中止案内、販売停止及びリコール対応の手順を整える
- 販売開始後も行政公表、リコール情報、事故情報及びモール通知を継続確認する
- 問題が判明した場合は、新規販売、出荷、広告及び再出品を停止する
出品削除・販売停止が行われる主な流れ
| 段階 | 主な出来事 | 出品者への影響 | 必要な対応 |
|---|---|---|---|
| 問題の発見 | 行政通知、リコール情報、消費者通報または内部監視により対象製品が発見される | 対象商品の調査が開始される | 型式、ロット、出品情報及び販売記録を確認する |
| 初期照会 | プラットフォームが出品者へ資料または説明を求める | 回答期限が設定される場合がある | 推測ではなく、届出書、検査記録及び実物写真を提出する |
| 一時停止 | 安全性または適法性を確認できるまで商品ページが停止される | 新規注文、広告または検索表示が停止される | 在庫出荷も停止し、対象範囲を確認する |
| 削除・販売停止 | リコール対象、法令違反または重大な資料不足が確認される | 商品ページ削除、販売停止またはアカウント上の措置 | 販売済み製品及び未出荷注文を特定する |
| 購入者対応 | 危険性に応じ、使用中止、返品、返金または回収を案内する | 購入者からの問い合わせが集中する可能性がある | 統一した案内文、受付窓口及び回収方法を準備する |
| 再出品防止 | 同一製品または類似製品の再出品が監視される | 同一アカウントまたは関連商品の販売が制限される場合がある | 原因と法令上の問題を解決するまで再出品しない |
輸入販売者には、売上の停止だけでなく、在庫滞留、返品、返金、購入者連絡、広告停止、アカウント制限及び取引先への説明等の負担が生じる可能性があります。
対象になりやすい製品
| 製品群 | 主な問題 | 関係しやすい制度 | 確認資料 |
|---|---|---|---|
| リコール対象製品 | 既に危険性が公表されている製品が再流通する | リコール、製品安全誓約 | 型式、製造番号、リコール対象範囲 |
| モバイルバッテリー・リチウムイオン蓄電池 | 発火、異常発熱、表示及び検査記録の不足 | 電気用品安全法、PSEマーク | 試験資料、検査記録、表示写真及び輸入記録 |
| ACアダプター・充電器 | 本体だけ確認し、付属電源用品を見落とす | 電気用品安全法、PSEマーク | 適合性検査証明書、型式及び製造工場 |
| 子供向け玩具・乳幼児用品 | 対象年齢、警告、小部品、PSC表示等の不足 | 消費生活用製品安全法、子供PSCマーク | 対象年齢資料、試験報告書及び表示 |
| ライター・レーザー製品 | 特別特定製品への該当性を確認していない | 消費生活用製品安全法、菱形PSCマーク | 仕様書、適合性検査証明書及び検査記録 |
| ガス用品・LPガス用品 | ガス種、接続方式、技術基準及び表示の不一致 | ガス事業法、液化石油ガスに関する法令 | 型式、ガス種、検査資料及びPSTG・PSLPG表示 |
| 無線・通信機能付き製品 | 製品安全表示だけ確認し、無線規制を見落とす | 電波法、電気通信事業法 | 技適番号、通信仕様及び認証資料 |
| 海外認証のみの製品 | CE、ULその他の海外規格を日本法適合と誤認する | 各製品安全法令 | 日本基準との差異、追加試験及び国内表示 |
フォワーダーが確認すべき事項
フォワーダーは、製品安全誓約の署名主体またはオンラインマーケットプレイス上の出品削除を判断する主体ではありません。
また、通常、輸入製品の法令適合性を保証する立場でもありません。
ただし、日本国内のオンラインマーケットプレイスで販売する目的の貨物について、製品安全規制及び販売停止リスクの確認を荷主へ促すことは実務上有効です。
- 貨物が日本国内のオンラインマーケットプレイスで販売される予定か
- 一般消費者向けの電気製品、子供向け製品、ガス用品または生活用品に該当しないか
- PSE、PSC、PSTG、PSLPG及び技適等を輸入者が確認しているか
- リコールまたは重大な事故情報が公表されている製品ではないか
- モールから製品安全資料の提出を求められた場合に対応できるか
- 通関後すぐに販売する場合、表示、検査及び取扱説明書の準備が完了しているか
- 出品停止またはリコール時に、返品、回収、再輸出または廃棄が発生する可能性があるか
- 回収品にリチウム電池、ガス、液体その他の危険物が含まれないか
フォワーダー関与範囲の標準五分類
次の五分類は、法令または業界全体で定められた区分ではなく、本シリーズにおいてフォワーダーの関与範囲を整理するための分析枠組みです。
| 分類 | 製品安全誓約に関する主な関与 | 通常確認する事項 | 通常含まれない判断 |
|---|---|---|---|
| Simple Intermediary(単純取次) | 輸送予約、連絡及び資料授受の補助 | 貨物品名、輸入者、販売予定及び必要資料の有無 | 法令適合性、出品可否または製品安全性の保証 |
| Cargo Transportation Service Provider(貨物利用運送事業者) | 輸入貨物、返品貨物または回収品の輸送 | 輸送条件、包装、危険品区分、保管及び納期 | 輸入者の届出、検査またはモール資料提出義務 |
| NVOCC / House B/L Issuer | 契約運送人として海上または複合輸送を引き受ける | 貨物情報、運送書類、荷送人、荷受人及び危険品申告 | House B/L発行のみを理由とする製品安全責任 |
| Door-to-Door Single Contractor | 集荷から通関、検品、保管及び国内配送までを一括調整する | 検品、ラベル作業、在庫隔離、配送及び返品条件 | 契約外の法令判断、出品審査または製品認証保証 |
| Agent/Coordinator for Specific Operations(特定業務の代理・調整者) | 検品、ラベル貼付、返品集約、再輸出または廃棄等を個別調整する | 委任範囲、対象製品、作業指示及び完了記録 | 委任されていない出品者対応、消費者通知またはリコール判断 |
Contracting Carrier及びActual Carrierは、法的または契約上の地位を示す概念であり、上記五分類を置き換えるものではありません。
フォワーダーの責任範囲は、業務名称だけではなく、契約書、見積条件、作業指示、運送約款及び実際の取扱いから判断します。
通関業者が確認すべき事項
- 輸入者がオンライン販売を予定している貨物か
- 品名、用途及び仕様から、PSE、PSC、ガス用品、リチウム電池または子供用品等に該当する可能性がないか
- 通関後の販売前に、表示、届出、検査、記録及び取扱説明書が確認されているか
- 輸入許可と国内販売の適法性を混同していないか
- オンラインマーケットプレイスの出品制限または資料提出要件が残っていないか
- 販売停止またはリコール時に、返品、再輸出、修理輸出、廃棄または代替品輸入が発生する可能性があるか
- 事故品または回収品の再輸出について、危険品規則、廃棄物規制または相手国規制が関係しないか
- 無償代替品であっても、適正なインボイス価額及び輸入目的が確認されているか
製品安全誓約は通関制度ではありません。
輸入許可を取得したことと、オンラインマーケットプレイス上で製品を安全かつ継続的に販売できることは別の問題です。
輸入販売者が確認すべき事項
- 輸入製品が日本の製品安全法令に適合しているか
- 必要な届出、技術基準適合、検査、表示及び記録保存を行っているか
- 海外メーカーの試験資料や認証が日本法に対応しているか
- 実物、包装、取扱説明書及び商品ページの型式・仕様・表示が一致しているか
- オンラインマーケットプレイスの禁止商品及び製品安全資料提出ルールを確認しているか
- 販売開始後もリコール情報、重大製品事故情報及び行政通知を確認しているか
- 販売数量、販売先、購入者及び対象ロットを追跡できるか
- 購入者への使用中止案内、返品、返金、修理、交換及び回収を行えるか
- 出品削除や販売停止時の在庫、広告、納期及び取引先対応を想定しているか
- PL保険、リコール費用保険及び海外メーカーへの求償条件を確認しているか
海外ECサイトで販売されている商品をそのまま日本のオンラインマーケットプレイスへ出品し、日本の製品安全規制や出品規約を確認しないことは、重大な販売リスクにつながります。
輸入販売者が受ける主なリスク
| リスク | 主な原因 | 事業への影響 | 必要な対応 |
|---|---|---|---|
| 商品ページ削除 | リコール対象、法令違反または資料不足 | 新規販売が停止する | 対象範囲と削除理由を確認する |
| 検索非表示・広告停止 | 安全性確認中または規約違反の疑い | 販売機会及び広告効果を失う | 広告を止め、販売済み製品も確認する |
| 製品安全資料の提出要求 | 届出、検査または表示の確認が必要 | 回答できなければ販売再開が遅れる | 型式ごとの資料を整理して提出する |
| 購入者への連絡 | 事故、リコールまたは危険性の判明 | 問い合わせ、返品及び返金が集中する | 統一案内と専用窓口を準備する |
| アカウント上の措置 | 反復違反、無断再出品または説明不足 | 他商品の販売にも影響する可能性がある | 原因を解決し、規約に従って説明する |
| 在庫滞留 | 国内販売できない製品が倉庫に残る | 保管料、返品費用及び廃棄費用が発生する | 返品、再輸出、改修または廃棄を検討する |
| 信用低下 | 危険製品の販売または事故対応の遅れ | 評価低下、取引停止及び説明要求 | 事実を整理し、再発防止策を示す |
他法令との関係
| 法令・制度 | 主な対象 | 主な確認事項 | 製品安全誓約との関係 |
|---|---|---|---|
| 消費生活用製品安全法 | 特定製品、子供用特定製品、重大製品事故等 | PSCマーク、届出、検査、表示、事故報告及びリコール | 法令違反製品またはリコール製品の出品削除につながり得る |
| 電気用品安全法 | 電気用品、ACアダプター、電源コード及び蓄電池等 | PSEマーク、技術基準適合、検査記録及び表示 | PSE資料を提出できない製品が販売停止となり得る |
| ガス事業法 | 都市ガス用のガス用品 | PSTGマーク、ガス種、接続方式及び技術基準 | 不適合ガス用品の出品削除につながり得る |
| 液化石油ガスに関する法令 | LPガス用の液化石油ガス器具等 | PSLPGマーク、ガス種、検査及び表示 | 不適合LPガス用品の販売停止につながり得る |
| 電波法・電気通信事業法 | Bluetooth、Wi-Fi、通信端末及びIoT機器 | 技適、技術基準適合認定及び通信機能 | 無線認証資料の提出を求められる場合がある |
| 家庭用品品質表示法 | 衣類、雑貨、合成樹脂加工品及び電気機械器具等 | 品質表示、日本語表示、表示者名及び取扱表示 | 表示不備として商品ページの修正を求められる場合がある |
| リコール制度 | 事故または事故のおそれがある製品 | 回収、修理、交換、返金、注意喚起及び販売停止 | 出品削除、購入者通知及び再出品防止の中心となる |
製品安全誓約は、これらの個別法令を横断して、オンラインマーケットプレイス上の危険製品の流通を抑える取組です。
法令上の行政措置とプラットフォーム上の措置
製品安全誓約自体は法律ではないため、誓約に違反したことだけを理由として、輸入販売者へ刑事罰が科される制度ではありません。
ただし、対象製品が個別の製品安全法令に違反している場合には、法令に基づく行政措置または罰則が別に問題となります。
| 措置の区分 | 根拠 | 主な措置 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|
| プラットフォーム上の措置 | 製品安全誓約、出品規約、販売規約及び安全ポリシー | 照会、資料提出要求、出品停止、商品ページ削除及び再出品制限 | 各運営事業者の規約及び通知内容を確認する |
| 購入者保護措置 | プラットフォームの安全対応及び出品者のリコール対応 | 購入者通知、使用中止、返品及び返金 | 販売者とプラットフォームの役割を整理する |
| 製品安全法令上の行政措置 | 消費生活用製品安全法、電気用品安全法その他の法令 | 報告徴収、立入検査、改善命令、表示禁止または危害防止命令等 | モールへの回答だけで行政対応が終了するわけではない |
| 販売制限 | 個別の製品安全法令 | 必要な表示を欠く製品の販売または販売目的の陳列の禁止 | 通関後であっても販売できない場合がある |
| リコール | 事業者の自主的措置または法令上の危害防止措置 | 回収、修理、交換、返金、点検及び注意喚起 | オンライン上の出品削除だけで市場対応は完了しない |
| 刑事罰 | 個別法令の罰則規定 | 命令違反、無表示販売、虚偽報告等に対する罰則 | 製品安全誓約違反と法令違反を区別する |
具体例1:海外製モバイルバッテリーの出品が停止された場合
輸入販売者が、海外ECサイトから仕入れたモバイルバッテリーを日本のオンラインマーケットプレイスへ出品したとします。
商品画像には丸形PSEマークらしい表示がありますが、届出事業者名、技術基準への適合資料及び自主検査記録を確認できません。
オンラインマーケットプレイスからPSE関係資料の提出を求められたものの、輸入販売者が海外メーカーの商品ページと試験報告書しか提出できない場合、商品ページが一時停止または削除される可能性があります。
輸入販売者は、単に別の商品名で再出品するのではなく、電気用品安全法上の対象範囲、国内の届出事業者、技術基準適合、自主検査、検査記録及び表示を確認します。
販売済み製品がある場合には、購入者情報と販売ロットを確認し、発火その他の事故情報がないか調査します。
具体例2:リコール済み電気ヒーターが再出品された場合
海外メーカーが特定型式の電気ヒーターについて発火のおそれを理由にリコールを公表した後、日本国内のオンラインマーケットプレイスで同一型式が販売されていたとします。
オンラインマーケットプレイス運営事業者は、行政機関またはメーカーから提供されたリコール情報と出品情報を照合し、対象商品を削除することがあります。
輸入販売者は、商品ページの削除だけで対応を終了してはいけません。
国内で販売した数量、購入者、ロット、未出荷注文及び倉庫在庫を確認し、使用中止、返品、返金、交換または回収を案内します。
同一商品の名称、画像または出品アカウントを変更して再出品することは、消費者の危険を継続させ、アカウント上の追加措置につながる可能性があります。
具体例3:子供向け玩具のPSC資料を提出できない場合
輸入販売者が、3歳未満の乳幼児向けとして販売する海外製玩具をオンラインマーケットプレイスへ出品したとします。
商品ページには対象年齢と注意表示がありますが、子供用特定製品への該当性、技術基準、自主検査記録及び子供PSCマークを確認できません。
オンラインマーケットプレイスから製品安全資料を求められた場合、海外メーカーの一般的な安全証明書だけでは、日本の消費生活用製品安全法への適合を説明できないことがあります。
輸入販売者は、販売及び出荷を停止し、対象年齢、製品構造、輸入日、経過措置、技術基準、自主検査及び表示を確認します。
既に販売した製品に小部品の脱落等の事故情報がある場合には、商品ページの修正だけでなく、購入者への使用中止案内、事故情報の確認及びリコール要否を検討します。
よくある誤解
| 誤解 | 実際の考え方 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 製品安全誓約は法律である | 関係省庁と署名事業者による官民協働の自主的取組である | 個別の製品安全法令と区別して確認する |
| 製品安全誓約があれば製品安全法令の確認は不要である | 誓約は法令上の届出、検査及び表示を代替しない | 製品ごとにPSC、PSEその他の法令を確認する |
| すべてのオンライン販売サービスが署名事業者である | 誓約上の取組主体は参加・署名した運営事業者である | 最新の参加事業者を公式サイトで確認する |
| 署名していないサイトなら危険製品を販売できる | プラットフォームの署名状況にかかわらず法令は適用される | 自社ECでも法令確認とリコール体制を整える |
| オンラインマーケットプレイスへ出品できれば安全確認済みである | 出品可能性と法令適合性は別の問題である | 届出、検査、表示及び記録を自ら確認する |
| 輸入許可があればオンライン販売できる | 通関と国内販売規制は別の制度である | 販売開始前に製品安全法令とモール規約を確認する |
| 海外認証があれば日本の資料は不要である | 海外規格と日本の技術基準は必ずしも一致しない | 日本基準との差異と追加試験を確認する |
| 商品ページを削除すればリコール対応も完了する | 販売済み製品について購入者連絡や回収が必要な場合がある | 販売数量、購入者及び対象ロットを確認する |
| 別の商品名で再出品すれば問題ない | 製品自体の危険性や法令違反は商品名変更では解消しない | 原因を解決するまで再出品しない |
| 商品ページの画像にPSマークがあれば十分である | 実物表示と届出、検査及び記録を確認する必要がある | 実物写真と根拠資料を照合する |
| フォワーダーが輸送したため製品安全責任を負う | 物流業務と輸入者・販売者の法令上の義務は通常別である | 契約及び委任範囲を確認する |
| モールから連絡が来るまでリコール情報を確認しなくてよい | 輸入販売者自身が行政及びメーカーの情報を継続確認する必要がある | 販売開始後の監視担当者を決める |
| 貨物保険で出品停止やリコール費用が補償される | 貨物保険は通常、輸送中の偶然な物的損害を中心とする | PL保険、リコール費用保険及びメーカー求償を別に確認する |
判断チェックリスト
| 確認段階 | 確認相手 | 確認事項 | 問題がある場合の対応 |
|---|---|---|---|
| 商品企画時 | 商品企画担当者、海外メーカー | 用途、構造、対象年齢、電源、通信機能及び販売方法 | 対象法令が確定するまで発注を止める |
| 発注前 | 海外メーカー、検査機関 | 仕様書、試験資料、証明書、製造工場及び型式 | 不足資料と追加試験を明確にする |
| 輸入者確定時 | 輸入販売者、法務担当者 | 届出、検査、表示及び記録保存の責任主体 | 責任主体が不明なまま輸入しない |
| 出荷前 | 海外メーカー、フォワーダー | 製品表示、付属品、包装、型式、ロット及び数量 | 不適切な表示の製品を出荷しない |
| 輸入申告前 | 輸入者、通関業者 | 品名、用途、HSコード、製品安全法令及び販売予定 | 必要資料を追加取得する |
| 通関後 | 輸入者、倉庫 | 検品、表示、取扱説明書及び在庫区分 | 販売可能在庫と未確認在庫を分離する |
| 出品前 | 輸入販売者、規制担当者 | 届出、検査記録、証明書、実物表示及び商品ページ | 確認が完了するまで出品しない |
| モール規約確認時 | オンラインマーケットプレイス運営事業者 | 禁止商品、提出資料、安全ポリシー及び回答期限 | 必要資料を提出できる体制を作る |
| 販売開始時 | 品質管理、営業、EC担当者 | 販売数量、販売先、購入者及びロット管理 | 追跡できない状態で販売しない |
| 行政情報確認時 | 消費者庁、経済産業省、NITE | リコール、事故、法令改正及び注意喚起 | 対象製品の販売と出荷を一時停止する |
| モール照会時 | オンラインマーケットプレイス運営事業者 | 照会対象、提出資料、期限及び商品ページ | 推測ではなく根拠資料で回答する |
| 出品停止時 | EC担当者、品質管理、経営者 | 停止理由、対象型式、販売済み数量及び在庫 | 出荷、広告及び他モールでの販売も確認する |
| 事故発生時 | 消費者、販売者、行政機関 | 事故内容、被害、型式、ロット及び重大性 | 事故品を保全し、報告及び販売停止を検討する |
| リコール判断時 | 経営、品質、法務、海外メーカー | 危険度、再発性、対象範囲及び対策方法 | 購入者通知、回収、修理、交換または返金を開始する |
| 返品・回収時 | フォワーダー、倉庫、運送人 | 製品状態、電池、ガス、液体及び危険品区分 | 通常貨物として安易に輸送しない |
| 海外返送時 | 通関業者、海外メーカー | 返品、修理、調査、廃棄、申告価額及び相手国規制 | 貨物状態と目的に合った書類を作成する |
| 再出品時 | 品質管理、法務、モール担当者 | 法令違反の解消、是正資料及び再発防止策 | 商品名変更だけで再出品しない |
専門家へ相談すべき場面
- 製品がPSC、PSE、PSTG、PSLPGその他の規制対象か判断できない場合
- 海外試験報告書が日本の技術基準に適合するか判断できない場合
- オンラインマーケットプレイスから法令適合資料を求められた場合
- 出品停止または商品ページ削除の理由が法令違反に関係する場合
- 同一製品について事故、発火、破損または重大な苦情が発生した場合
- リコール対象型式または対象ロットを特定できない場合
- 多数の購入者へ使用中止、返品または返金を案内する場合
- 海外メーカーが技術資料、検査資料または製造記録を提供しない場合
- 回収品、損傷した電池、ガス用品または危険品を輸送する場合
- 返品または再輸出する製品が廃棄物に該当する可能性がある場合
- 行政機関から報告徴収、立入検査または危害防止措置に関する連絡を受けた場合
- PL保険またはリコール費用保険の適用を確認する場合
相談先としては、消費者庁、経済産業省または地方経済産業局、NITE、製品安全に詳しい弁護士、登録検査機関、製品安全試験機関、保険会社または保険代理店、危険品輸送に詳しい物流事業者等が考えられます。
まとめ
日本版「製品安全誓約」は、オンラインマーケットプレイス上で出品・販売されるリコール製品や安全ではない製品から消費者を保護するための官民協働の自主的な取組です。
製品安全誓約は法律そのものではなく、消費生活用製品安全法、電気用品安全法、ガス事業法その他の法令上の義務を置き換えるものではありません。
製品安全誓約上の取組主体は、誓約に参加・署名したオンラインマーケットプレイス運営事業者です。
署名事業者が運営するオンラインマーケットプレイスでは、リコール製品、法令違反製品または安全ではない製品について、出品削除、通報対応、再出品防止、出品者への周知及び購入者への情報提供等が行われます。
署名していないプラットフォームまたは自社ECサイトであっても、製品安全法令上の義務が免除されるわけではありません。
輸入販売者やセラーは、販売前に対象法令、届出、技術基準、検査、表示、取扱説明書及びリコール情報を確認し、販売後も事故情報、行政公表及びモールからの通知を継続して確認する必要があります。
輸入許可を取得したこと、オンラインマーケットプレイスへ出品できたこと、海外認証があること、または商品画像にPSマークが表示されていることだけでは、日本国内での適法かつ安全な販売を証明できません。
商品ページが削除された場合でも、販売済み製品に対する購入者連絡、使用中止、返品、返金、修理、交換または回収が別に必要となる場合があります。
フォワーダー及び通関業者は製品安全誓約の運用主体ではありませんが、オンライン販売予定の輸入品について、製品安全法令、表示、検査資料、リコール及び返品・回収時の輸送条件を輸入者へ確認することが実務上有効です。
製品安全誓約自体への違反と、個別の製品安全法令への違反は区別する必要があります。商品ページ削除等のプラットフォーム上の措置とは別に、法令違反がある場合には販売制限、行政命令または罰則が問題となることがあります。
オンライン販売の安全管理は、モールから照会を受けた後に始めるものではありません。
商品企画及び発注の段階から、製品の対象法令、技術資料、検査、表示、販売記録、事故情報、購入者連絡及びリコール対応までを管理することが基本です。
本記事は、日本版「製品安全誓約」及び輸入販売実務に関する一般的な整理を目的とするものであり、個別製品の法令適合性、オンラインマーケットプレイスへの出品可否、販売継続可否、リコール義務、損害賠償責任または保険適用を確定するものではありません。実際の製品については、最新の法令、公式資料、オンラインマーケットプレイスの利用規約、製品仕様、試験資料、事故・リコール情報及び所管行政機関等への確認が必要です。
