船荷証券(B/L)とは
B/Lとは、海上運送において運送人が発行する書類で、一般に次の3つの機能を持ちます。
1. 貨物受取証
運送人が貨物を受け取ったことを示す書類です。
2. 運送契約の証拠
どの条件で運送するかを示す書類です。
3. 貨物引渡請求権を表章する書類
正当な権利者が、荷受地で貨物の引渡しを請求するための書類です。
B/Lは流通性のある有価証券として扱われることがあり、正当な裏書のあるオリジナルB/Lの所持人は、貨物の引渡しを請求できます。
なお、元地回収の場合は、通常オリジナル全通の引渡しが必要です。
船荷証券の主な種類と区分
1. 船積みの状態による区分
船積船荷証券(Shipped B/L)
本船に船積みされたことが記載されているB/Lです。
在来船利用時によく見られます。
受取船荷証券(Received B/L)
本船に積み込むために貨物を受け取ったことを示すB/Lです。
コンテナ船利用時によく使われます。
貨物が実際に本船へ積み込まれた後は、通常on board notationが付されます。
実務ポイント
信用状統一規則 UCP600 第20条 a-ii では、信用状取引上、船荷証券として受理されるためにon board notationが重要になります。
2. 運送契約による区分
定期船船荷証券(Liner B/L)
**定期船(Liner)**による個品運送契約に基づき発行されるB/Lです。
傭船契約船荷証券(Charter Party B/L)
**不定期船(Tramper)**による傭船契約に基づいて発行されるB/Lです。
3. 貨物の状態による区分
Clean B/L(無故障船荷証券)
貨物の外観や数量などについて、B/L上に事故や異常の記載がないB/Lです。
Foul B/L(故障付船荷証券)
貨物受取時に、外観上の損傷、荷姿不良、数量過不足などがある場合に、その旨のリマークが記載されたB/Lです。
実務ポイント
実務上は、荷主から**補償状(Letter of Indemnity)**を受け取り、Clean B/Lを発行しているケースも見られます。
ただし、その有効性については慎重な確認が必要です。
4. 荷受人欄による区分
記名式船荷証券(Straight B/L)
荷受人欄に特定の荷受人名が記載されているB/Lです。
銀行名や輸入者名が記載されることがあります。
指図式船荷証券(Order B/L)
荷受人欄に “To Order” や “To Order of Shipper” と記載されるB/Lです。
通常、Shipperの裏書により権利が移転します。
実務ポイント
オリジナルB/Lをクーリエで輸入者へ直送する運用もありますが、荷為替取引では書類の流れに注意が必要です。
5. 運送区間による区分
直航船荷証券(Direct B/L)
仕出港から仕向港まで、積替えなしで同一本船により運送される場合に発行されるB/Lです。
通し船荷証券(Through B/L)
仕出地から仕向地まで、複数の運送人により運送される場合に、最初の運送人が全区間を通して発行するB/Lです。
補足
複数の運送人により運送される場合に発行される書類は、
Combined Transport B/L、Multimodal Transport B/L、Intermodal Transport B/L
などと呼ばれることもあります。
また、港間輸送でも利用されることがあります。
6. 運送人による区分
Master B/L(Carrier’s B/L)
NVOCC経由で輸送する場合に、実運送人がNVOCCに対して発行する船荷証券です。
House B/L(Forwarder’s B/L)
NVOCCが荷主に対して発行する船荷証券です。
実務ポイント
NVOCC案件では、
- 実運送人 → NVOCC に対する Master B/L
- NVOCC → 荷主 に対する House B/L
という二重構造になるため、関係整理が重要です。
7. 譲渡の可否による区分
流通可能船荷証券(Negotiable B/L)
一般的な船荷証券で、裏書による権利譲渡が可能です。
呈示と引換えに貨物の引渡しを受けることができます。
流通不可能船荷証券(Non-Negotiable B/L)
裏書による流通を予定しない書類です。
代表例として、Sea Waybill や Air Waybill があります。
実務ポイント
Non-Negotiableの書類は、通常のB/Lのような有価証券性・流通性を持ちません。
そのため、原本呈示が不要となる運用が採られることがあります。
8. 裏面約款欄による区分
ロングフォーム船荷証券(Regular Form B/L)
裏面に運送約款が記載されているB/Lです。
略式船荷証券(Short Form B/L)
裏面の約款記載が一部のみ、または簡略化されているB/Lです。
実務ポイント
信用状統一規則 UCP600 第20条 a-v では、約款の出所が明記されていることが受理条件になります。
9. その他の関連証書
航空貨物運送状(Air Waybill)
航空会社またはフォワーダーが発行する貨物受取書です。
有価証券ではありません。
また、
- 航空会社発行:Master AWB
- フォワーダー発行:House AWB
と呼ばれます。
海上貨物運送状(Sea Waybill)
Sea Waybillは、有価証券ではなく、流通性もない海上運送書類です。
通常、原本がなくても貨物を受け取れるという特徴があります。
船荷証券の実務上の注意点
信用状取引では文言確認が重要
B/Lの種類、船積日付、on board notationの有無は、信用状条件との整合確認が必要です。
Clean B/Lの扱いは慎重に見る
貨物に外観上の問題があるにもかかわらずClean B/Lが発行されている場合は、後日の紛争リスクがあります。
House B/LとMaster B/Lを混同しない
NVOCC案件では、どの当事者間でどのB/Lが発行されているかを整理することが重要です。
WaybillはB/Lと性質が異なる
Sea WaybillやAir Waybillは、B/Lと異なり有価証券ではないため、担保性や引渡し実務の考え方が異なります。
まとめ
船荷証券(B/L)は、海上運送において単なる運送書類ではなく、権利関係にも関わる重要書類です。
実務では、次の切り口で整理すると理解しやすくなります。
- 船積済みか、受取済みか
- 定期船か、傭船か
- Cleanか、Foulか
- Straightか、Orderか
- Directか、Throughか
- Masterか、Houseか
- Negotiableか、Non-Negotiableか
特に、信用状取引、NVOCC実務、貨物引渡しでは、B/Lの種類と法的性質を正しく押さえることが重要です。
内部リンク
- [Sea Waybillとは]
- [House B/Lとは]
- [Master B/Lとは]
- [NVOCCとは]
- [信用状取引(L/C)とは]
- [UCP600とは]
- [Cargo Claimとは]
