フォワーダー視点のSCM設計

概要

サプライチェーンマネジメント(SCM)は通常、メーカーや荷主の視点で語られますが、実務上の物流設計はフォワーダーが大きく担う部分とされます。フォワーダー視点のSCMは、輸送・通関・在庫・配送を統合し、最適な物流ネットワークを設計することを指します。特に国際輸送では、海上輸送、内陸輸送、通関、倉庫、貨物保険を一体で設計する必要があるとされています。

目的・役割

フォワーダー視点のSCM設計の主な目的は、輸送コストの最適化、リードタイムの管理、リスク分散、そして書類設計を含めた契約面の整備にあります。これにより、効率的かつ安全な国際物流を実現し、荷主のニーズに応えることが期待されます。

特徴

  1. 生産地(Production Base):人件費や技術、部品供給網を考慮した製造拠点の選定が重要です。
  2. 輸出ゲートウェイ(Export Gateway):製造地からの港湾や空港でコンテナ集約や通関、船積みが行われます。
  3. 海上輸送(Ocean Transport):船会社選定やスペース確保、B/L発行、混載(LCL consolidation)などが含まれ、輸送形態の決定がなされます。
  4. 輸入ゲートウェイ(Import Gateway):輸入国の最初の港で通関やコンテナ引取、CFSデバンが実施されます。
  5. 内陸配送(Inland Distribution):輸入後の国内配送でトラック、鉄道、内航船などが利用され、一貫輸送として設計されることが一般的です。

実務上のポイント

  1. 輸送コスト最適化:海上運賃、港湾費用、内陸輸送費の総合コストを最小化することが求められます。
  2. リードタイム管理:輸送時間は在庫コストに直結するため、直行航路やハブ港利用、航空輸送の使い分けが重要です。
  3. リスク分散:地政学リスクや港湾混雑、災害などを考慮し、China+1戦略やNearshoring、Dual sourcingなどが検討されます。
  4. 書類設計:Bill of LadingやInvoice、Packing List、Insurance Certificateなどの書類作成が通関や税制、保険の扱いに影響するため重要です。

注意点

フォワーダーのSCM設計では、輸送だけでなく契約や書類の設計も含めて考慮する必要があります。貿易条件(Incoterms)、通関形態、保険条件などによって物流構造が大きく変わるため、複合輸送(Through B/L、Sea & Truck、Sea & Airなど)の設計能力が求められます。

具体例

アジアから日本への物流を例にすると、製造地は深圳、生産品は深圳港から門司港まで海上輸送され、門司港で通関後トラックで関東へ配送されます。この場合、Through B/Lによる一貫輸送として設計されることが一般的です。

関連用語

  • フォワーダー
  • 複合輸送
  • Through B/L
  • CFS
  • インコタームズ
  • 外航貨物海上保険

まとめ

フォワーダー視点のSCM設計は、国際物流の効率化とリスク管理において重要な役割を果たします。輸送手段や経路だけでなく、契約や書類の設計も含めた総合的な設計が求められ、複合輸送の活用が一般的です。これにより、コスト削減やリードタイム短縮、リスク分散が図られ、実務上の競争力向上につながるとされます。