輸入ドレージ費用の見方
輸入ドレージ費用とは
輸入ドレージ費用とは、輸入FCL貨物について、CYからコンテナを搬出し、荷受人指定先まで配送し、デバン後に空コンテナを返却するために発生する国内コンテナ輸送費用です。
輸入FCLでは、本船が日本に到着し、D/O交換や輸入通関が完了しても、それだけでは貨物は荷受人の手元に届きません。コンテナをCYから搬出し、トレーラーで納品先まで運び、貨物を降ろした後、空コンテナを船会社指定の返却先へ戻す必要があります。
この一連の国内輸送に関わる費用が、輸入ドレージ費用です。見積上は「ドレージ」「コンテナ配送」「Door Delivery」「国内配送費」などの名称で表示されることがあります。
ドレージ費用は距離だけで決まらない
輸入ドレージ費用は、単純に港から納品先までの距離だけで決まるものではありません。
費用には、搬出する港、納品先の場所、コンテナの種類、20フィートか40フィートか、重量、納品時間、待機時間、納品予約の有無、デバン時間、空コンテナ返却先、返却デポの混雑状況などが関係します。
同じ港から同じ市区町村へ配送する場合でも、納品先の作業条件や返却先によって費用が変わることがあります。そのため、ドレージ費用を見るときは、距離だけでなく、車両がどれだけ拘束されるか、どこまでの作業が含まれているかを確認する必要があります。
基本ドレージと追加費用
輸入ドレージ費用には、基本ドレージと追加費用があります。
基本ドレージは、通常条件のもとで、CYから納品先までコンテナを運び、荷卸し後に空コンテナを返却する前提の費用です。通常時間内、通常ルート、通常作業時間、通常の返却先を前提としていることが多いです。
一方で、追加費用には、待機料、時間外対応費、休日対応費、納品予約変更費、再配達費、遠方返却費用、特殊車両費、重量貨物対応費、長時間デバンによる追加費用などがあります。
したがって、見積書にドレージ費用が記載されていても、その金額がどこまでを含むのかを確認する必要があります。
20フィートと40フィートの違い
輸入ドレージ費用では、20フィートコンテナと40フィートコンテナで費用が異なることがあります。
40フィートコンテナは車両、シャーシ、運行条件、作業スペースなどの面で、20フィートコンテナとは扱いが異なります。また、40フィートハイキューブコンテナの場合、納品先の高さ制限や構内条件も確認する必要があります。
重量貨物の場合は、20フィートコンテナでも通常のドレージで運べるとは限りません。貨物重量、コンテナ総重量、道路輸送上の制限、トレーラーの条件を確認する必要があります。
つまり、ドレージ費用はコンテナサイズだけでなく、重量と納品条件を合わせて見る必要があります。
片道費用ではなく一連の拘束費用として見る
輸入ドレージ費用は、港から納品先までの片道運賃として見ると誤解しやすくなります。
実務上、トレーラーはCYでコンテナを搬出し、納品先へ運び、荷卸しを待ち、空になったコンテナを返却先へ戻します。つまり、ドレージ費用は、単なる片道配送ではなく、車両と運転手を一連の工程で拘束する費用です。
そのため、納品先でデバンが長引けば、待機料が発生することがあります。また、空コンテナの返却先が遠方になれば、追加費用が発生することがあります。
荷主側は、ドレージ費用を「コンテナを運ぶだけの費用」と軽く見ず、CY搬出から空コン返却までの費用として理解する必要があります。
納品予約との関係
輸入ドレージ費用では、納品予約が重要です。
大型物流センター、量販店向け倉庫、工場、港頭倉庫などでは、納品予約が必要な場合があります。予約時間に遅れると受付できない、予約時間より早く着いても待機になる、荷卸し枠が取れないといった問題が発生することがあります。
納品予約が取れていない状態でドレージを手配すると、車両が待機したり、再配達になったり、CY搬出そのものを延期したりすることがあります。
この場合、待機料、再配達費用、納品予約変更費、保管料、Demurrageなどが発生する可能性があります。ドレージ費用を見るときは、納品先の予約条件も合わせて確認する必要があります。
デバン時間と待機料
輸入ドレージでは、納品先でのデバン時間が費用に大きく影響します。
FCLでは、コンテナごと納品先へ持ち込み、荷受人側で貨物を降ろすことがあります。この場合、トラックは荷卸しが終わるまで待機します。
通常想定される時間内にデバンが終われば基本料金内で処理されることがありますが、作業が長引くと待機料が発生します。貨物量が多い、荷役設備が不足している、作業員が足りない、検品しながら荷卸しする、重量物で作業に時間がかかるといった場合は注意が必要です。
荷主側の作業都合で待機料が発生した場合、その費用は荷主側負担として整理されやすくなります。一方で、フォワーダーが納品時間や作業条件を誤って手配した場合には、フォワーダー側の責任が問題になることがあります。
空コンテナ返却先の影響
輸入ドレージ費用では、空コンテナ返却先も重要です。
納品後、空になったコンテナは、船会社またはNVOCCが指定する返却先へ戻す必要があります。返却先が港近くのデポであれば比較的組みやすいですが、返却先が遠方になった場合や、返却先が途中で変更された場合、追加費用が発生することがあります。
また、返却デポが混雑している場合、返却予約が取れない場合、返却時に長時間待機する場合もあります。このような事情により、通常のドレージ費用だけでは収まらないことがあります。
ドレージ費用を見るときは、港から納品先までの距離だけでなく、納品先から返却デポまでの動きも確認する必要があります。
Door Delivery見積との関係
Door Delivery見積では、ドレージ費用が見積に含まれていることがあります。
ただし、Door Deliveryと書かれていても、通常条件のドレージだけを含んでいる場合があります。待機料、時間外費用、納品予約変更、返却先変更、遠方返却、Detentionなどは別途となることがあります。
そのため、Door Delivery見積を受け取った場合は、ドレージ費用の範囲を確認する必要があります。CY搬出から納品までなのか、空コン返却まで含むのか、待機時間は何時間まで含むのか、返却先変更時の費用はどう扱うのかを確認します。
All-in見積との関係
All-in見積でも、ドレージ費用の扱いには注意が必要です。
All-inにドレージが含まれている場合でも、それは通常条件での基本ドレージを意味していることがあります。特殊作業、長時間待機、休日対応、時間外納品、納品予約変更、遠方返却などまで無制限に含まれるわけではありません。
荷主側は、All-inという言葉だけで判断せず、ドレージ費用に何が含まれるのかを確認する必要があります。フォワーダー側は、ドレージの前提条件と別途費用になり得る項目を明確に説明する必要があります。
荷主側が確認すべきこと
荷主側は、輸入ドレージ費用を確認するときに、納品先住所だけを伝えれば足りると考えてはいけません。
確認すべきことは、コンテナサイズ、貨物重量、納品先の受入時間、納品予約の有無、荷卸し方法、フォークリフトの有無、デバン予定時間、構内進入条件、車両制限、空コン返却期限、返却先条件です。
特に、デバンに時間がかかる貨物、重量物、パレット貨物ではない貨物、検品しながら荷卸しする貨物、狭い構内に搬入する貨物では、通常ドレージで足りるかを事前に確認する必要があります。
フォワーダー側が注意すべきこと
フォワーダー側は、ドレージ費用を提示する際に、基本料金の範囲と追加費用の条件を明確にする必要があります。
特に、待機料の発生条件、時間外対応、休日対応、納品予約変更、返却先変更、遠方返却、特殊車両の要否については、見積段階で説明しておくことが重要です。
また、納品先条件を荷主から十分に確認しないまま通常配送として見積を出すと、実際の納品時に追加費用が発生し、荷主との間でトラブルになります。
ドレージ費用は、単なる運賃ではなく、納品先条件と空コン返却条件を前提にした実務費用として説明する必要があります。
請求を受けたときの確認点
輸入ドレージ費用を請求された場合、まず見積に含まれていた基本ドレージの範囲を確認します。
次に、追加請求がある場合は、何に対する費用なのかを確認します。待機料であれば待機時間と原因、返却先変更費用であれば変更内容と返却先、時間外費用であれば作業時間、再配達費用であれば再配達になった理由を確認します。
また、費用発生の原因が荷主側の納品準備不足なのか、フォワーダーの手配ミスなのか、返却デポや船会社側の事情なのかを分ける必要があります。
輸入ドレージ費用の実務上の意味
輸入ドレージ費用は、単に港から納品先までコンテナを運ぶ費用ではありません。
CY搬出、納品先への配送、デバン待機、空コンテナ返却、返却先条件までを含む一連の実務費用です。そのため、距離だけではなく、納品条件、作業時間、返却条件、追加費用の可能性を合わせて見る必要があります。
荷主側は、ドレージ費用を商品原価に含めて考える必要があります。フォワーダー側は、ドレージ費用の範囲と追加費用の条件を明確に説明する必要があります。
輸入FCLの見積では、ドレージ費用を正しく見ることが、後からの待機料、返却費用、Detention、追加請求トラブルを防ぐための重要な確認ポイントです。
