輸入果物貨物の遅延・腐敗―検査費用・廃棄費用の賠償事例

Import Fruit Cargo Delay and Deterioration — Liability Case Involving Inspection and Disposal Costs

匿名化・掲載目的

本記事は、顧客及び関係先が実際に遭遇した、本船座礁による果物貨物の到着遅延、一部腐敗、検査費用及び廃棄費用に関する事例を匿名化して整理した実務事例です。

会社名、個人名、船名、港名、国名、貨物の商品名、数量、コンテナ番号、輸入者名、船会社名、保険会社名、事故日、保険証券番号、請求書番号その他の特定につながる情報は掲載しません。

匿名化に当たり、FOB条件で輸入された果物貨物であったこと、輸入者・買主が貨物保険を手配していたこと、悪天候又は海象の影響により本船が座礁したこと、離礁まで待機して通常予定より約1週間到着が遅れたこと、到着後に一部腐敗が確認されたこと、腐敗部分と健全部分の分離費用が過大であったため全量廃棄となったことは変更していません。

また、貨物本体は貨物保険上の全損として処理された一方、検査費用及び廃棄費用は貨物保険で補償されず、輸入者・買主が元請フォワーダーへ約100万円を請求したこと、フォワーダーがこれを支払い、フォワーダー賠償責任保険から保険金を受領したことも維持しています。

腐敗については、本船座礁による遅延だけでなく、貨物固有の性質、輸送中の温度管理、積込み前の品質その他の複数要因が疑われましたが、主因及び寄与割合は確認できる範囲では確定できませんでした。

事例の概要

本件は、FOB条件で輸入された果物貨物について、輸入者・買主がフォワーダーへ元請輸送を依頼した案件です。貨物保険は輸入者・買主が手配していました。

海上輸送中、悪天候又は海象の影響によって本船が座礁しました。本船は離礁まで待機し、貨物の到着は当初予定より約1週間遅れました。

到着後に貨物を検品したところ、果物の一部に腐敗が確認されました。腐敗していない部分も残っていましたが、腐敗部分と健全部分を選別し、再商品化するための作業費用が過大になると判断され、貨物は全量廃棄されました。

したがって、本件における「全損」は、すべての果物が物理的に腐敗していたことを意味しません。一部に健全部分が存在したとしても、選別費用、品質保証、販売可能性その他を考慮し、貨物全体として商業的価値を維持できないと判断されたものです。

貨物本体については、輸入者・買主が手配した貨物保険から全損保険金が支払われました。

一方、到着後の検査費用、廃棄業者への処分費用及び廃棄場所までの運送費は、貨物保険では補償されませんでした。そのため、輸入者・買主は未填補となった費用約100万円を元請フォワーダーへ請求しました。

フォワーダーは約100万円を支払い、その後、フォワーダー賠償責任保険から保険金を受領しました。正確な保険金額、免責金額及びフォワーダーの最終純負担額は、確認できる範囲では不明です。

本記事の固有担当範囲

本記事が扱うのは、本船座礁に伴う約1週間の到着遅延後、果物貨物の一部に腐敗が発見され、貨物本体は貨物保険で処理された一方、貨物保険で補償されなかった検査費用及び廃棄費用が元請フォワーダーへ請求された事例です。

単純な貨物腐敗損害だけを扱うものではありません。本件の中心は、次の三つの損害及び支払関係を区別することにあります。

区分 本件における処理 確認上の注意点
果物貨物本体の損害 輸入者・買主の貨物保険で全損処理 一部腐敗であっても、全量の商業的価値が失われる場合があります。
検査費用 貨物保険では補償されず、元請フォワーダーへ請求 検査の必要性、内容及び金額を確認します。
廃棄関連費用 貨物保険では補償されず、元請フォワーダーへ請求 廃棄費用と廃棄場所までの運送費を区分します。

貨物保険で対象外となった費用が、当然に元請フォワーダーの賠償責任となるわけではありません。本船座礁、遅延、腐敗、全量廃棄及び各費用の間に合理的な因果関係があるかを別途確認する必要があります。

また、フォワーダーが請求窓口となったことと、座礁事故又は腐敗の最終的な原因責任を負うことは同一ではありません。

匿名化した事故条件

項目 本件の条件 確認上の注意点
売買条件 FOB条件による輸入 輸入者・買主が輸送及び貨物保険を手配しました。
対象貨物 果物貨物 果物の具体的種類、数量及び金額は非公開です。
荷主 輸入者・買主 貨物保険の契約者又は被保険者として対応しました。
フォワーダーの立場 輸入者・買主に対する元請運送人 House B/Lの発行有無は確認できる範囲では不明です。
事故原因 悪天候又は海象による本船座礁 具体的な気象・海象及び船舶側の過失の有無は不明です。
座礁後の対応 離礁まで待機 離礁作業及び船体検査の詳細は不明です。
遅延期間 通常予定より約1週間 予定到着日及び実到着日の詳細は非公開です。
到着後の状態 果物の一部に腐敗 腐敗率及び具体的な品質状態は不明です。
腐敗原因 複数要因が疑われたが確定できず 遅延、貨物固有の性質、温度管理及び積込み前品質を検討します。
処分方法 全量廃棄 腐敗部分と健全部分の分離費用が過大と判断されました。
貨物本体の保険処理 貨物保険上の全損 物理的全損ではなく、商業上の全損としての性質を含みます。
貨物保険の対象外費用 検査費用及び廃棄関連費用 対象外理由及び貨物保険約款の詳細は不明です。
請求者 輸入者・買主 貨物保険会社による代位求償ではありません。
請求先 元請フォワーダー 請求窓口と最終原因責任を区別します。
請求額 約100万円 検査費用、廃棄費用及び廃棄運送費を含みます。
フォワーダーの支払額 約100万円 輸入者・買主へ支払いました。
賠償責任保険 保険金支払いあり 正確な保険金額及び免責金額は不明です。
実運送人等への求償 確認できる範囲では不明 船主、船会社その他への求償結果は不明です。

事故発生から解決までの時系列

段階 発生した事実 実務上の確認事項
1 輸入者・買主がFOB条件で果物を購入しました。 輸送及び貨物保険の手配者を確認します。
2 フォワーダーが元請として輸入輸送を受託しました。 運送区間、責任範囲及び適用約款を確認します。
3 輸入者・買主が貨物保険を手配しました。 保険条件、対象費用及び免責を確認します。
4 果物貨物が本船へ積載され、海上輸送が開始されました。 積込み時の貨物状態及び温度記録を確認します。
5 悪天候又は海象の影響により本船が座礁しました。 船会社の事故報告及び航海記録を確認します。
6 本船は離礁まで待機しました。 待機期間中の貨物管理状況を確認します。
7 到着が通常予定より約1週間遅れました。 予定到着日と実到着日を記録します。
8 到着後に貨物の検品が行われました。 検査者、検査範囲、写真及び報告書を確認します。
9 果物の一部に腐敗が確認されました。 腐敗範囲、品質及び販売可能性を確認します。
10 腐敗部分と健全部分の分離が検討されました。 選別費用、作業時間及び再販売可能性を確認します。
11 分離費用が過大であるとして全量廃棄が決定されました。 廃棄判断者及び経済合理性を確認します。
12 廃棄場所までの運送及び廃棄処分が行われました。 運送記録、処分証明及び請求書を保存します。
13 貨物本体について貨物保険から全損保険金が支払われました。 貨物本体の保険金と付随費用を区別します。
14 検査費用及び廃棄費用は貨物保険の対象外となりました。 対象外通知及び費用明細を確認します。
15 輸入者・買主がフォワーダーへ約100万円を請求しました。 請求費目と貨物保険による填補済み部分を区別します。
16 フォワーダーが約100万円を支払いました。 支払合意、受領書及び請求終結を確認します。
17 フォワーダー賠償責任保険から保険金が支払われました。 認定額、免責及び最終純負担を確認します。

問題となった争点

争点 本件で確認された事情 判断に必要な事項
座礁原因 悪天候又は海象が関係していました。 船舶側の過失、不可抗力及び運航判断を確認します。
遅延期間 約1週間でした。 果物の通常輸送期間及び品質保持期間と比較します。
貨物固有の性質 果物は時間経過によって品質が低下します。 通常の熟成・劣化と事故による悪化を区別します。
積込み前品質 詳細は不明です。 積地検品、熟度及び出荷時写真を確認します。
温度管理 具体的な記録は確認できる範囲では不明です。 設定温度、実測温度及び電源状況を確認します。
腐敗原因 複数原因が疑われました。 座礁遅延だけを唯一の原因として断定しません。
全量廃棄 一部腐敗でしたが全量廃棄されました。 選別費用、食品安全及び販売可能性を確認します。
貨物保険上の全損 貨物本体について全損保険金が支払われました。 物理的全損と商業上の全損を区別します。
検査費用 貨物保険の対象外でした。 検査の必要性、範囲及び単価を確認します。
廃棄費用 貨物保険の対象外でした。 処分量、処分方法及び費用明細を確認します。
廃棄運送費 約100万円の請求に含まれました。 運送距離、車両及び単価を確認します。
元請フォワーダーへの請求 輸入者・買主が未填補費用を請求しました。 保険対象外であることと賠償責任成立を区別します。
二重填補 貨物本体は貨物保険で処理済みでした。 貨物本体と検査・廃棄費用を重複させません。
よくある誤解 本件での正しい整理
一部しか腐敗していないので全損にはならない 選別費用や販売可能性によっては、貨物全体が商業上の全損として扱われることがあります。
貨物保険で対象外ならフォワーダーが必ず払う 保険対象外とフォワーダーの法律上・契約上の責任は別に判断します。
元請フォワーダーへ請求されたのでフォワーダーが事故原因者である 契約窓口として請求を受けたことと、座礁又は腐敗の最終原因責任は同一ではありません。

関係者ごとの立場・契約関係

関係者 本件における立場 責任・費用判断上の注意点
輸入者・買主 FOB条件で果物を購入し、輸送及び貨物保険を手配した荷主 貨物保険で補償されなかった費用をフォワーダーへ請求しました。
フォワーダー 輸入者・買主に対する元請運送人 請求窓口としての立場と座礁事故の原因責任を区別します。
船会社・実運送人 海上輸送を実施した運送人 座礁、遅延及び運送約款上の責任を確認します。
船主・船舶運航者 本船の運航及び安全管理に関与した者 悪天候・海象下の運航判断及び座礁原因を確認します。
貨物保険会社 貨物本体を全損として処理した保険者 貨物本体の保険金と対象外費用を区別します。
検査会社・サーベイヤー等 到着後の貨物状態を確認した者 検査内容、報告書及び費用の必要性を確認します。
倉庫・荷役関係者 検品、選別検討及び廃棄準備に関与した者 作業時間、数量及び請求費用を確認します。
廃棄運送業者 貨物を廃棄場所まで輸送した者 運送距離、車両、回数及び費用を確認します。
廃棄業者 果物貨物を処分した者 廃棄量、処分方法及び処分証明を確認します。
フォワーダー賠償責任保険会社 フォワーダーの支払後に保険金を支払った保険者 認定額、免責及び求償権の取扱いを確認します。

確認した証拠・資料

本件では、本船座礁と約1週間の遅延だけでなく、積込み前の貨物状態、輸送中の温度管理、到着時の腐敗状況、全量廃棄の合理性及び費用の必要性を資料ごとに確認する必要があります。

ただし、次の資料がすべて取得又は保存されていたかは、確認できる範囲では不明です。

資料 主な確認内容 責任・損害判断との関係
売買契約・インボイス FOB条件、商品、数量及び価額 輸送・保険手配者及び貨物価額を確認します。
運送契約・運送書類 フォワーダーの受託範囲及び最終仕向地 元請運送人としての契約上の立場を確認します。
貨物保険証券 補償条件、対象費用及び免責 貨物本体と検査・廃棄費用の取扱いを確認します。
積込み前検品記録 熟度、外観、腐敗及び品質 事故前からの品質問題の有無を確認します。
積込み前写真 貨物及び梱包状態 出荷時の状態を確認します。
本船座礁報告 発生日、場所、悪天候・海象及び事故経緯 遅延原因を確認します。
運航予定変更通知 予定到着日及び変更後予定 約1週間の遅延を確認します。
離礁・航海再開記録 離礁日及び輸送再開 待機期間を確認します。
温度記録 設定温度、実測温度及び逸脱 温度管理が腐敗へ与えた影響を確認します。
到着時写真 腐敗範囲、液漏れ、変色及び荷姿 到着時の貨物状態を確認します。
検査報告書 腐敗量、健全部分及び販売可能性 全損及び廃棄判断の根拠を確認します。
選別見積 腐敗部分と健全部分を分離する費用 全量廃棄の経済合理性を確認します。
全量廃棄の承認記録 判断者、理由及び承認日 廃棄が必要かつ合理的だったかを確認します。
廃棄運送記録 輸送先、車両、回数及び数量 廃棄場所までの運送費を確認します。
廃棄証明書 廃棄量、処分日及び処分方法 実際に処分されたことを確認します。
検査費用請求書 検査内容、人員、時間及び単価 検査費用の妥当性を確認します。
廃棄費用請求書 処分量、単価及び諸費用 廃棄費用の妥当性を確認します。
貨物保険金支払通知 全損認定及び支払対象 貨物本体の填補内容を確認します。
貨物保険の対象外通知 検査・廃棄費用の対象外判断 未填補費用を特定します。
輸入者からの請求書 約100万円の費目及び根拠 フォワーダーへの請求内容を確認します。
フォワーダーの支払記録 約100万円の支払い 実際の支出を確認します。
賠償責任保険の認定書 保険金、免責及び対象費用 最終純負担を確認します。

原因・因果関係・責任範囲の検証

本件では、悪天候又は海象によって本船が座礁し、離礁待ちにより到着が約1週間遅れました。その後、果物の一部に腐敗が確認されました。

この時系列から、座礁による遅延が腐敗に影響した可能性はあります。しかし、果物は輸送中も熟成及び品質変化が進む貨物であり、遅延があったという事実だけで、腐敗の全原因を座礁事故へ帰属させることはできません。

原因候補 本件での確認状況 必要な検証
座礁による約1週間の遅延 確認済み 通常輸送期間と品質保持期間を比較します。
輸送中の温度管理 詳細不明 設定温度、実測温度及び電源記録を確認します。
積込み前の熟度・品質 詳細不明 積地検品記録及び出荷時写真を確認します。
貨物固有の性質 影響の可能性あり 通常の熟成、腐敗速度及び品質保持期間を確認します。
到着後の保管状態 詳細不明 検品・廃棄までの時間及び温度を確認します。

確認できる範囲では、複数原因のうちどれが主因であったか、また各原因がどの程度寄与したかは確定できませんでした。

一部腐敗であっても、腐敗部分と健全部分を選別する費用が高額となり、選別後の商品価値や品質保証が見込めない場合には、全量廃棄が経済的に合理的となることがあります。

ただし、全量廃棄を行ったという事実だけで、その費用全額が元請フォワーダーの賠償責任となるわけではありません。全量廃棄の必要性、代替処分方法、選別費用との比較及び処分費用の妥当性を確認する必要があります。

本件では、輸入者・買主が未填補費用を元請フォワーダーへ請求し、フォワーダーが約100万円を支払いましたが、これはフォワーダーが本船座礁又は腐敗の唯一の原因者であったことを意味しません。

損害額・請求額の検証

本件では、貨物本体の損害と、検査・廃棄に伴う付随費用を区別して処理しました。

果物貨物本体については貨物保険から全損保険金が支払われているため、フォワーダーへの約100万円の請求には貨物本体の価額を含めません。

費目 本件で確認できる内容 主な検証事項
果物貨物本体 貨物保険で全損処理 フォワーダーへの請求と重複させません。
到着後の検査費用 約100万円の一部 検査者、検査内容、作業時間及び単価を確認します。
選別検討費用 具体的な包含は不明 全量廃棄判断に必要な費用かを確認します。
廃棄場所までの運送費 約100万円に含まれる 運送距離、車両、回数及び単価を確認します。
廃棄業者への処分費用 約100万円に含まれる 処分量、処分方法及び単価を確認します。
保管費 請求への包含は不明 廃棄までに必要だった期間を確認します。
輸入者からの請求総額 約100万円 貨物保険で填補されていない費用だけかを確認します。
フォワーダーの支払額 約100万円 支払記録及び請求終結を確認します。
賠償責任保険金 支払いあり 正確な保険金額及び免責は不明です。
船会社等からの回収 確認できる範囲では不明 求償の有無及び結果を確認します。
フォワーダーの最終純負担 確認できる範囲では不明 支払額から保険金及び回収額を控除して確認します。

保険通知・弁護士対応・再求償

項目 本件で確認できる事実 同種事故で必要となる対応
貨物保険 貨物本体について全損保険金が支払われました。 本体損害と付随費用を区別します。
検査費用 貨物保険では補償されませんでした。 対象外通知及び請求明細を確認します。
廃棄費用 貨物保険では補償されませんでした。 処分費と廃棄運送費を区別します。
フォワーダー賠償責任保険 フォワーダーの支払後に保険金が支払われました。 請求を受けた段階で早期通知します。
責任承認 フォワーダーは約100万円を支払いました。 支払い前に保険会社と責任及び金額を協議します。
弁護士対応 関与の有無は確認できる範囲では不明です。 責任又は求償に争いがある場合は検討します。
船会社・船主への求償 実施結果は不明です。 座礁原因、運送約款及び責任制限を確認します。
貨物保険会社の代位求償 本件約100万円の請求者ではありません。 貨物本体に関する代位求償とは分けて管理します。
二重填補防止 貨物本体は貨物保険で処理済みでした。 同一費用について複数保険から重複回収しません。
最終清算 保険金支払いは確認されています。 免責、対象外費用及び求償回収を区分します。

実際の解決結果

本件では、悪天候又は海象の影響により本船が座礁し、離礁待ちによって果物貨物の到着が通常予定より約1週間遅れました。

到着後の検品で果物の一部に腐敗が確認されました。腐敗部分と健全部分を分離して再利用又は再販売する方法も検討されましたが、選別に要する費用が過大となるため、貨物は全量廃棄されました。

貨物本体については、輸入者・買主が手配した貨物保険から全損保険金が支払われました。

一方、検査費用、廃棄業者への処分費用及び廃棄場所までの運送費は貨物保険では補償されず、輸入者・買主は未填補費用約100万円を元請フォワーダーへ請求しました。

フォワーダーは輸入者・買主へ約100万円を支払いました。その後、フォワーダー賠償責任保険から保険金が支払われました。

正確な保険金額、免責金額、船会社又は船主等への求償結果及びフォワーダーの最終純負担額は、確認できる範囲では不明です。

また、腐敗の原因については、座礁による約1週間の遅延、果物固有の性質、積込み前の品質、輸送中又は到着後の温度管理その他の複数要因が考えられましたが、主因及び責任割合は確定できませんでした。

事故を回避するための事前対策

実施時点 担当者 本件に即した対策
受託時 輸入者・フォワーダー 果物の品質保持期間、通常輸送期間及び遅延許容日数を確認します。
貨物保険手配時 輸入者・保険会社 検査費、廃棄費、処分運送費及び損害軽減費用の取扱いを確認します。
積込み前 輸出者・検品者 熟度、外観、温度及び腐敗の有無を記録します。
輸送条件決定時 輸入者・フォワーダー 温度設定、換気、輸送日数及び代替経路を確認します。
本船選定時 フォワーダー 航路、予定日数、積替え及び遅延リスクを確認します。
輸送中 フォワーダー・実運送人 運航異常、到着変更及び貨物管理状況を早期に共有します。
事故発生時 フォワーダー 遅延見込みを荷主及び保険会社へ通知します。
到着前 輸入者・フォワーダー 検査会社、倉庫及び廃棄業者の候補を確保します。
契約条件確認時 フォワーダー 遅延、貨物固有の性質、付随費用及び責任制限に関する条項を確認します。
同種事故の判断例 主な確認対象 責任判断上の注意点
温度は正常だが長期遅延で品質限界を超えた場合 輸送期間、通常の保存可能期間及び熟度 遅延と貨物固有の性質の双方を検討します。
輸送中に温度逸脱があった場合 温度記録、電源、機器及び警報 単なる遅延事故と温度管理事故を分けます。
積込み前から品質低下があった場合 積地検品、写真及び出荷時温度 事故前から存在した損害を区分します。

事故発生直後の初動対応

順序 誰が行うか 具体的な対応
1 フォワーダー 本船座礁、離礁見込み及び到着遅延を確認します。
2 フォワーダー 輸入者、貨物保険会社及び賠償責任保険会社へ通知します。
3 実運送人・関係者 座礁中及び航海再開後の貨物管理状況を記録します。
4 フォワーダー 予定到着日、変更後予定及び実到着日を時系列化します。
5 輸入者・フォワーダー 到着後すぐに検査できる体制を準備します。
6 検査会社・関係者 貨物を動かす前に腐敗状況、温度及び荷姿を撮影します。
7 輸入者・フォワーダー 選別、再販売、全量廃棄の費用を比較します。
8 保険会社・関係者 廃棄前に検査結果、廃棄量及び処分方法を確認します。
9 フォワーダー 検査費用及び廃棄費用を無条件に承認せず、見積と明細を取得します。
10 フォワーダー 原因及び責任が確定する前に無条件の全面責任を認めません。
11 関係者 廃棄証明、運送記録及び処分請求書を保存します。

事故を解決・収束させるための対応

検討項目 実施内容 収束条件
座礁と遅延 事故報告、予定日及び実到着日を確認します。 約1週間の遅延を客観的に確定します。
積込み前品質 検品記録及び写真を確認します。 事故前からの劣化を区分します。
温度管理 設定温度及び実測記録を確認します。 遅延以外の輸送要因を整理します。
到着時状態 検査報告及び写真を確認します。 腐敗範囲と健全部分を把握します。
全量廃棄 選別費用と残存価値を比較します。 廃棄判断の経済合理性を確認します。
検査費用 検査範囲、時間及び単価を査定します。 必要かつ合理的な費用を確定します。
廃棄運送費 距離、車両及び回数を確認します。 合理的な運送費を確定します。
処分費用 廃棄量、方法及び単価を確認します。 処分証明と費用を一致させます。
貨物保険 本体保険金と対象外費用を整理します。 填補済み損害との重複を防止します。
賠償責任保険 請求、責任及び費用明細を提出します。 保険金及び免責を確定します。
実運送人等への求償 座礁原因、契約及び責任制限を確認します。 求償の可否と費用対効果を判断します。
最終清算 支払額、保険金及び回収額を整理します。 フォワーダーの純負担を確定します。

実務上の教訓

  • 生鮮貨物では、約1週間の遅延でも品質及び販売可能性へ重大な影響が生じることがあります。
  • 座礁後に腐敗が確認されても、座礁による遅延だけを唯一の原因として断定せず、温度管理、積込み前品質及び貨物固有の性質を確認します。
  • 一部腐敗であっても、選別費用が残存価値を上回る場合は、貨物全体が商業上の全損となることがあります。
  • 貨物保険から貨物本体の全損保険金が支払われても、検査費用、廃棄費用及び廃棄運送費が残る場合があります。
  • 貨物保険で対象外となったことだけで、未填補費用が当然に元請フォワーダーの責任となるわけではありません。
  • 元請フォワーダーが請求を受けたことと、座礁又は腐敗の最終原因責任を負うことは同一ではありません。
  • 検査費用及び廃棄費用は、検査範囲、廃棄量、運送距離、処分単価及び処分証明によって検証します。
  • 貨物本体の保険金と検査・廃棄費用を区分し、同一損害の重複填補を避ける必要があります。
  • フォワーダー賠償責任保険へは、支払い後ではなく、請求又は廃棄判断の段階で早期に通知します。

まとめ

本件は、FOB条件で輸入された果物貨物について、悪天候又は海象による本船座礁が発生し、離礁待ちによって到着が約1週間遅れた事例です。

到着後の検品では果物の一部に腐敗が確認されました。健全部分も残っていましたが、腐敗部分と健全部分を分離する費用が過大であったため、貨物は全量廃棄されました。

貨物本体については、輸入者・買主が手配した貨物保険から全損保険金が支払われました。

一方、検査費用、廃棄業者への処分費用及び廃棄場所までの運送費は貨物保険の対象外となり、輸入者・買主は元請フォワーダーへ約100万円を請求しました。

フォワーダーは約100万円を支払い、その後、フォワーダー賠償責任保険から保険金を受領しました。正確な保険金額、免責金額及び最終純負担額は、確認できる範囲では不明です。

腐敗の原因については、座礁による遅延、貨物固有の性質、温度管理及び積込み前品質等の複数要因が疑われましたが、主因及び寄与割合は確定できませんでした。

同種事故では、貨物本体、検査費用及び廃棄費用を分け、遅延と腐敗の因果関係、全量廃棄の合理性、各費用の必要性並びに貨物保険と賠償責任保険の対象範囲を早期に整理することが重要です。

同義語・別表記

  • 果物貨物腐敗
  • 貨物遅延
  • 腐敗損害
  • 劣化損害
  • 検査費用
  • 廃棄費用
  • 本船座礁
  • 貨物保険対象外費用

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