Institute War Clauses(Cargo)とは
Institute War Clauses(Cargo)とは
Institute War Clauses(Cargo)とは、外航貨物海上保険において、通常の協会貨物約款では免責となる戦争危険を別途担保するための約款です。
ICC(A)、ICC(B)、ICC(C)では、戦争、内乱、革命、反乱、敵対行為、捕獲、拿捕、抑留、遺棄された機雷・魚雷・爆弾などによる損害は、原則として免責とされています。
そのため、これらの危険を補償対象にするためには、Institute War Clauses(Cargo)などの戦争危険担保約款を付帯する必要があります。
通常のICC本体との関係
ICC本体の第6条では、戦争危険は免責として整理されています。
一方、Institute War Clauses(Cargo)では、戦争、内乱、革命、反乱、敵対行為、一定の捕獲・拿捕・抑留、遺棄された機雷や魚雷などによる被保険貨物の滅失または損傷を担保する構造になっています。
つまり、通常の貨物危険はICC(A)(B)(C)で確認し、戦争危険についてはInstitute War Clauses(Cargo)で確認する、という切り分けが必要です。
約款の基本構造
Institute War Clauses(Cargo)は、主に担保危険、共同海損、免責条項、保険期間、航海変更、被保険利益、増値保険、保険の利益、損害軽減義務、準拠法などで構成されています。
ただし、被保険利益、増値保険、保険の利益、損害軽減義務、権利放棄、遅延回避、法律および慣習については、ICC2009本体と同様の考え方が用いられています。
Maritime Wikiでは、戦争危険約款に特有の部分である、担保危険、免責、保険期間、航海変更を中心に整理します。
担保される主な危険
Institute War Clauses(Cargo)では、戦争、内乱、革命、反乱、国内闘争、敵対行為などによって生じる被保険貨物の滅失または損傷が対象になります。
また、担保される戦争危険から生じる捕獲、拿捕、拘束、抑止、抑留や、それらの結果、またはそれらの企図による損害も対象になります。
さらに、遺棄された機雷、魚雷、爆弾、その他の遺棄された兵器による損害も、戦争危険約款で問題となります。
戦争危険約款で注意すべき点
Institute War Clauses(Cargo)は、戦争に関係するすべての損害や費用を無制限に補償する約款ではありません。
対象となるのは、約款で担保される危険によって生じる被保険貨物の滅失または損傷が中心です。
費用損害、間接損害、航海事業の喪失や中絶、遅延による損害などは、免責条項との関係で慎重に確認する必要があります。
保険期間の考え方
Institute War Clauses(Cargo)では、通常のICC本体とは異なる保険期間の考え方があります。
戦争危険は、原則として被保険貨物が航洋船舶に積み込まれた時に開始し、最終荷卸港または荷卸地で航洋船舶から荷卸しされた時などに終了します。
また、15日ルール、再積送、積替え、航空機による継搬、機雷危険の60日拡張など、通常の貨物保険とは異なる確認点があります。
貨物保険・B/L・NVOCC責任との関係
戦争危険約款は、貨物保険の補償範囲だけでなく、B/LやNVOCC責任とも関係します。
戦争、拿捕、抑留、港湾閉鎖、航海変更、運送打切りなどが発生した場合、貨物保険で補償されるのか、運送契約上の責任が問題になるのか、荷主側の費用負担になるのかを切り分ける必要があります。
NVOCCやフォワーダーが関与する取引では、戦争危険が保険で担保されているかどうかだけでなく、B/L裏面約款、運送人の自由裁量権、仕向地変更、追加費用の説明責任も確認する必要があります。
実務上の注意点
戦争危険は、通常の貨物事故とは異なり、事故原因、発生地域、航海経路、港湾事情、船舶の動静、政府・軍事行為、抑留や拿捕の有無などを確認する必要があります。
また、戦争危険が付帯されていない場合、通常のICC(A)であっても戦争危険による損害は原則として補償されません。
そのため、危険地域を通過する貨物、国際情勢の影響を受ける航路、紛争地域周辺の輸送では、通常のICC条件だけでなく、戦争危険担保の有無を事前に確認することが重要です。

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