外航貨物海上保険の申し込みについて

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外航貨物海上保険の申し込みについて

外航貨物海上保険の申し込みとは、国際輸送中の貨物損害リスクに備えるため、貨物内容、輸送区間、保険金額、保険条件、輸送手段その他の必要情報を保険会社または取扱代理店へ通知し、保険契約を成立させる手続です。

外航貨物海上保険は、原則として貨物の輸送危険が開始する前に申し込む必要があります。

ただし、継続的な輸出、輸入、三国間取引では、個々の船積みごとに保険契約を締結するのではなく、あらかじめ対象貨物、輸送区間、保険条件、限度額等を協定する包括予定保険契約(Open Policy)を利用することがあります。

Open Policyでは、契約条件に該当する輸送について、船積明細が確定した後に確定通知を行います。

そのため、Open Policyの実務では、個別輸送ごとの「申込」だけを見るのではなく、次の三段階を分けて確認する必要があります。

  • Open Policy自体が有効に締結されているか
  • 対象輸送がOpen Policyの協定範囲に含まれているか
  • 対象貨物について適切に確定通知が行われているか

Open Policyを締結していても、すべての貨物が無条件で保険対象になるわけではありません。

対象外貨物、協定限度額超過、特殊航路、甲板積み、温度管理条件、高額貨物、中古品、危険品等については、個別の事前承認が必要となる場合があります。

また、Open Policyがない場合や、対象輸送がOpen Policyの範囲外である場合に、輸送開始後となってから保険申込漏れが判明することがあります。

この場合でも、危険開始前に荷主からフォワーダーへ付保依頼があったことを示すメール等の証拠があり、事故が発生していない旨の書面による保証を荷主から取得できるときは、保険会社へ遅延申込として引受けを相談できる場合があります。

ただし、メールや無事故保証があるだけで保険契約が自動的に遡及成立するわけではありません。

遅延申込の引受可否、保険責任の開始時点、追加条件、保険料は保険会社の個別判断となり、申込受付前に発生した事故は免責となる取扱いがあります。

この記事で扱う範囲

項目 この記事で扱う内容 別途確認が必要な事項
申込時期 危険開始前申込の原則と遅延申込 保険会社の個別引受基準
個別保険 一輸送ごとに確定内容で申し込む方式 申込書式、引受条件、最低保険料
個別予定保険 一輸送について未確定情報を残して先に契約する方式 確定通知期限、概算金額、変更条件
包括予定保険 継続輸送を包括的に引き受ける契約方式 対象範囲、限度額、除外貨物、精算方法
Open Policy 包括予定保険契約としての実務運用 個別契約の協定書・特約
確定通知 Open Policy対象輸送の明細通知 通知方法、通知期限、訂正方法
遅延申込 メール証跡、無事故保証、保険会社承認 遡及の可否、責任開始時点、免責条件
被保険利益 誰が貨物損害による経済的不利益を受けるか 売買契約、準拠法、危険負担移転時点
Non Policy方式 個別証券の発行を省略する事務方式 代替書類、L/C対応、保険会社との合意
保険金額 貨物代金、運賃、諸掛り、希望利益の設定 個別契約の保険価額協定
外貨換算 通貨と換算レートの確認 保険会社所定レート、適用日
L/C対応 保険証券の名義、条件、金額、日付、裏書 個別L/C文言、銀行審査
訂正・追約 証券発行後の訂正と事故後変更の制限 保険会社承認、事故発生状況
特殊貨物 温度管理、中古品、危険品、甲板積み等 特別約款、事前サーベイ、追加保険料
フォワーダー 保険手配代行と責任範囲 委任内容、代理店資格、個別契約

外航貨物海上保険は危険開始前に申し込む

外航貨物海上保険は、原則として貨物の輸送危険が開始する前に申し込みます。

保険期間が倉庫から倉庫までとなる契約では、単に本船が出航する時点ではなく、貨物が仕出地の倉庫等で輸送の目的をもって初めて動かされた時点から危険が開始する場合があります。

したがって、次の時点まで待てばよいとは限りません。

  • B/Lが発行されるまで
  • 本船名が確定するまで
  • 本船が出航するまで
  • 輸入者へ船積書類が到着するまで
  • 貨物が輸入港へ到着するまで

貨物が工場や倉庫から搬出され、港、空港、CFS、CY等へ向けて輸送を開始する場合は、その搬出前に付保手続を確認する必要があります。

申込時期と保険対象の基本整理

状況 基本的な取扱い 確認事項 注意点
危険開始前に個別申込済み 保険会社の承認条件に基づき契約する 保険条件、金額、区間、貨物 引受承認前に輸送を始めない
危険開始前に個別予定保険を締結 未確定情報を後日確定通知する 概算額、予定船、予定区間 確定後速やかに通知する
有効なOpen Policyの対象輸送 協定条件に基づき包括的に管理する 対象貨物、区間、限度額、除外事項 確定通知漏れを防止する
Open Policy対象外の特殊貨物 個別の事前承認が必要となる場合がある 貨物、梱包、輸送方法、金額 Open Policyだけで自動付保と考えない
危険開始後に申込漏れが判明 保険会社へ遅延申込として相談する 依頼証跡、事故有無、現在位置 自動的な遡及付保ではない
事故発生後に初めて申込み 既知事故を対象とする事後付保はできない 事故時刻、認識時刻、申込時刻 事故を隠して申し込まない

保険契約方式の体系

個別保険、予定保険、包括予定保険、Open Policy、Non Policy方式は、同じ階層の概念ではありません。

Open Policyは、日本の外航貨物海上保険実務では、一般に包括予定保険契約を指します。

Non Policy方式は、保険契約の担保範囲を決める独立した保険種類というより、個別の保険証券発行を省略する事務処理方式として使用されることがあります。

区分 契約上の位置付け 主な適用場面 個別輸送時の手続 主な注意点
個別確定保険 一輸送ごとの確定契約 貨物・金額・船名等が確定している 危険開始前に申込・承認 毎回の申込漏れ
個別予定保険 一輸送ごとの予定契約 船名、数量、金額等が一部未確定 後日確定通知 予定内容と確定内容の差
包括予定保険 継続輸送を対象とする包括的予定契約 反復継続する輸出入・三国間取引 対象輸送を確定通知 範囲外貨物・限度額超過
Open Policy 包括予定保険契約として運用される方式 年間または一定期間の継続輸送 個別確定通知、月次精算等 協定条件と通知義務
証券省略方式 個別証券の発行を省略する事務方式 Open Policy等の継続契約 承認状、明細、Debit Note等で管理 L/C等で証券が必要な場合

個別保険よりOpen Policyが重要となる取引

継続的な輸出入、輸入貨物、三国間取引では、船積情報の確定や日本側への連絡が遅れやすいため、毎回の個別申込だけでは付保漏れが発生しやすくなります。

Open Policyは、対象貨物や輸送区間等をあらかじめ保険会社と協定し、その協定範囲内の継続輸送を包括的に管理する仕組みです。

特に次の取引では、Open Policyの検討価値が高くなります。

  • 毎月または毎週、継続して輸出入がある
  • FOB・CFR輸入で船積情報が輸送開始後に届くことがある
  • 三国間取引で海外から海外へ直接輸送する
  • 複数の支店・部署が独立して輸送を手配する
  • フォワーダーが顧客から継続して付保依頼を受ける
  • 船積件数が多く、個別申込では付保漏れが起きやすい
  • 貨物・航路・保険条件を一定の基準で統一したい
  • 月締めで保険料を精算したい

Open Policyで事前に協定する事項

協定項目 主な内容 問題となる例 対応
契約者・被保険者 対象法人、関連会社、取引当事者 海外子会社が対象に入っていない 対象会社を事前に確認する
対象取引 輸出、輸入、三国間取引等 三国間取引が協定外 取引類型を追加協定する
対象貨物 通常貨物、製品、原材料等 中古品・危険品が除外されている 個別承認を取得する
輸送区間 仕出地、仕向地、世界各地等 制裁地域・高危険地域への輸送 地域条件を確認する
輸送手段 海上、航空、陸上、複合輸送 甲板積み・在来船輸送 特別条件を確認する
基本条件 ICC(A)、ICC(B)、ICC(C)等 貨物ごとの適用条件が異なる 貨物別条件表を作成する
保険金額 CIF相当価額、希望利益等 計算方法が部署ごとに異なる 算定式を統一する
一危険限度額 一船、一航空機、一輸送用具等の上限 大型案件が限度額を超える 危険開始前に増額承認を得る
保管限度 積替え・中間倉庫等の期間 長期保管が通常輸送を外れる 保管特約を確認する
船舶条件 船級、船齢、船型等 老齢船・非船級船 船名確定後に承認を得る
除外貨物 現金、貴金属、美術品、家畜等 担当者が除外を知らない 除外貨物一覧を社内共有する
確定通知 通知項目、方法、期限、訂正方法 通知漏れ・二重通知 担当者と締切を固定する
保険料精算 月締め、料率、換算方法 通貨・金額の集計誤り 明細照合を行う

Open Policyの対象貨物はいつ保険対象になるか

Open Policyでは、包括契約の有効期間中に危険を開始し、協定された貨物、輸送区間、限度額、条件その他の要件を満たす輸送を、包括的に保険対象として管理します。

確定通知は、原則として個々の輸送について新たにゼロから保険契約を締結する申込とは異なり、Open Policyに基づく対象輸送の内容を確定させる通知です。

ただし、次のような場合は、Open Policyがあるだけでは処理できない可能性があります。

  • 協定された貨物種類に該当しない
  • 一危険限度額を超えている
  • 協定外の国・地域・航路を通る
  • 甲板積み、在来船、特殊船等の特殊輸送である
  • 中古品、修理品、返品貨物である
  • 温度管理、錆、漏出等の特別条件が必要である
  • 制裁・輸出管理上の確認が必要である
  • 契約期間外に危険を開始している

確定通知とは

確定通知とは、Open Policy等の予定保険契約に基づき、個別輸送の船名、B/L番号、貨物、保険金額、輸送区間等を保険会社または取扱代理店へ通知する手続です。

確定通知により、どの輸送が、どの金額、どの条件で保険管理されるかが明細として確定します。

確定通知項目 主な確認内容 照合資料 誤りがある場合の影響
被保険者名 契約対象となる会社・当事者 売買契約、Invoice 請求権・L/C書類の不整合
貨物名 品名、型式、用途、新品・中古 Invoice、Packing List 対象貨物・保険条件の誤判定
保険金額 通貨、貨物価額、運賃、希望利益 Invoice、Freight Invoice 一部保険・限度額超過
輸送区間 仕出地、積地、仕向港、最終仕向地 B/L、Booking 保険期間の不整合
輸送用具 本船名、便名、積替え B/L、AWB 船舶条件・航路条件の確認漏れ
危険開始日 倉庫搬出日、船積日等 出庫記録、B/L 契約期間内外の判定誤り
保険条件 ICC、War、SRCC、特約 Open Policy条件表 事故時の補償範囲が異なる
L/C書類 証券要否、名義、裏書、付保率 L/C、銀行指示 銀行書類不一致

確定通知のタイムライン

時点 確認・対応内容 担当者 遅れた場合の影響
受注・発注時 建値、付保義務、被保険利益を確認する 営業・貿易担当 誰が保険を手配するか不明確になる
Booking時 Open Policy対象か確認する 物流・フォワーダー 特殊輸送の事前承認が間に合わない
貨物搬出前 危険開始日、貨物状態、梱包を確認する 荷主・倉庫 個別申込では危険開始後となる
船積情報入手時 船名、B/L番号、金額、区間を確定する 貿易担当・フォワーダー 確定通知が遅れる
確定通知時 Open Policy条件と通知明細を照合する 保険担当・代理店 範囲外貨物を見落とす
証券発行時 名義、金額、通貨、条件、日付を確認する 代理店・保険会社 L/C不一致が発生する
月次締め時 全輸送と確定通知を突合する 経理・保険担当 通知漏れが長期間発見されない
事故発生時 契約範囲、確定通知、条件を確認する 保険担当・代理店 対象確認と事故対応が遅れる

Open Policyの確定通知が遅れた場合

有効なOpen Policyが存在し、対象輸送がその協定範囲に含まれている場合には、確定通知が遅れたという事実だけで、直ちに個別申込のない無保険貨物と同じ扱いになるとは限りません。

ただし、確定通知は契約上の重要な義務であるため、遅れが判明した場合は放置せず、速やかに保険会社または取扱代理店へ報告します。

確認する事項は次のとおりです。

  • Open Policyの契約期間内に危険が開始しているか
  • 対象貨物・区間・輸送手段が協定範囲内か
  • 一危険限度額を超えていないか
  • 除外貨物・個別承認貨物ではないか
  • 通知漏れが故意ではないか
  • 事故が発生しているか
  • 通知前に事故情報を認識していたか
  • 他の通知と重複していないか

確定通知漏れを利用して、事故が発生した貨物だけを後から選択的に通知することはできません。

遅延申込と確定通知遅れは異なる

区分 Open Policy等の既存契約 危険開始時点 基本対応
確定通知遅れ 有効な包括契約がある 契約期間中 対象範囲を確認して速やかに通知する
個別申込漏れ 既存契約がない すでに危険開始後 遅延申込として保険会社へ相談する
Open Policy範囲外 包括契約はあるが当該貨物は対象外 すでに危険開始後 個別の特別承認を相談する
契約期間外 Open Policyが未始期または満期後 契約期間外 遡及適用できるとは限らない
事故後申込 既存契約の有無を問わず事故認識後 事故発生後 事故を対象とする新規付保はできない

フォワーダーへの付保依頼メールがある場合

荷主がフォワーダーへ保険手配を依頼していたにもかかわらず、フォワーダーから保険会社または代理店への正式申込が遅れる場合があります。

この場合、危険開始前に荷主から保険手配の依頼があったことを示すメール、Booking依頼、見積承認、保険条件の指示等は、手配依頼の時期と内容を確認する重要な証拠になります。

ただし、荷主とフォワーダー間のメールだけで、保険会社との保険契約が当然に成立するわけではありません。

フォワーダーは、判明後直ちに次の資料をそろえ、保険会社または取扱代理店へ事情を説明します。

確認資料 確認内容 実務上の意味
付保依頼メール 依頼日時、貨物、区間、条件 危険開始前の依頼有無を確認する
Booking依頼 輸送開始予定、船名、便名 危険開始時期を特定する
保険見積書 条件・料率・申込意思 依頼内容の具体性を確認する
Invoice・Packing List 貨物、金額、数量 保険対象を特定する
B/L・AWB 輸送区間、船積日、当事者 危険開始後の経過を確認する
貨物追跡記録 現在位置、輸送状況 事故発生可能性を確認する
無事故保証 事故・損傷・異常を認識していない旨 遅延申込の引受判断資料となる
遅延理由書 申込が遅れた原因 故意・選択的付保でないことを説明する

無事故保証とは

遅延申込を相談する際、保険会社から、荷主または被保険者に対し、事故が発生していないこと、事故を示す情報を認識していないこと等の書面確認を求められる場合があります。

本記事では、この書面を実務上「無事故保証」「事故なしのワランティー」「No Loss Warranty」等と呼びます。

無事故保証は、保険会社が遅延申込を検討するための確認資料であり、提出すれば必ず引受けられる書類ではありません。

確認項目 記載・確認する内容 注意点
対象貨物 Invoice、B/L、AWB、コンテナ番号等 別貨物と混同しない
輸送開始日 倉庫搬出日、船積日等 危険開始時点を正確に記載する
現在位置 輸送中、積替港、到着済み等 最新の追跡記録を確認する
事故の有無 滅失、損傷、遅延、共同海損等 判明している事実を隠さない
異常情報 本船事故、温度逸脱、漏出、破損等 正式な損害確定前でも申告する
確認日時 いつの時点で事故なしと確認したか 将来の事故まで保証するものではない
確認者 荷主・被保険者の権限者 フォワーダーが独断で保証しない

遅延申込の保険責任開始と申込前事故

遅延申込を保険会社が承認する場合でも、必ず輸送開始時点まで遡って担保されるとは限りません。

将来に向かって引受ける取扱いでは、保険会社または取扱代理店が申込を受け付けた時点、承認した時点その他の合意された時点から保険責任を開始し、それ以前に発生した事故を免責とする場合があります。

この場合、申込前に事故が発生していたことが後日判明したときも、その事故は保険対象になりません。

事故の状況 基本的な見方 対応
申込前に事故発生・申込時に認識済み 既知事故の事後付保はできない 事故を隠さず報告する
申込前に事故発生・申込時には未認識 申込前事故免責なら対象外となる 発生時刻と責任開始時刻を確認する
申込後・承認前に事故発生 申込受付だけで担保開始とは限らない 承認条件を確認する
保険責任開始後に事故発生 契約条件に基づき補償可否を確認する 速やかに事故通知する
事故発生時刻が不明 輸送記録・サーベイで発生区間を確認する 時系列資料を保存する

被保険利益とは

被保険利益とは、貨物が無事に到着することで経済的利益を受け、貨物が滅失・損傷することで経済的不利益を受ける関係をいいます。

単に保険証券のAssured欄へ会社名が記載されているだけで、常に被保険利益が生じるわけではありません。

誰が被保険利益を持つかは、売買契約、インコタームズ、危険負担の移転時点、所有権、代金支払状況、運送契約等を総合して確認します。

当事者 被保険利益が問題となる場面 確認資料 注意点
輸出者 危険移転前、代金未回収、買主保険不履行 売買契約、Invoice、L/C 建値だけで機械的に判断しない
輸入者 FOB・CFR輸入、危険移転後 売買契約、B/L 輸送開始前の保険手配が必要となる
商社 三国間取引、連続売買 仕入・販売契約 仕入側と販売側の危険負担を分ける
銀行 貨物・書類に担保的利益がある場合 L/C、融資契約、裏書 Assured・Loss Payee等を区別する
フォワーダー 自社貨物ではなく、顧客の依頼で手配する場合 委任契約、付保依頼 通常は荷主の被保険利益を代行手配する

建値と保険手配者

建値 通常の保険手配 確認すべき被保険利益 実務上の注意点
FOB輸出 通常は買主側 船積前後の危険負担 輸出者側内陸区間を別途確認する
FOB輸入 通常は輸入者側 本船積込後の貨物利益 海外船積情報の遅れに備える
CFR輸入 通常は輸入者側 運賃込み価額に対する利益 売主手配船でも保険は買主側となる
CIF輸出 通常は売主側 買主へ移転する保険利益 L/C条件・証券裏書を確認する
CIF輸入 通常は売主手配 売主保険の条件・金額 不足時は追加保険を検討する
CIP 通常は売主側 契約で要求される条件 輸送モードと補償条件を確認する
DAP・DDP 通常は売主側が広い区間を管理する 危険移転地点までの利益 契約上の付保義務を明文化する
三国間取引 契約により異なる 中間売買当事者の経済的利益 実輸送と売買契約を別々に確認する

Non Policy方式とは

Non Policy方式という表現は、保険会社や契約によって用法が異なりますが、一般には個々の輸送ごとに正式な保険証券を発行せず、Open Policy、確定通知記録、保険承認状、保険明細、Debit Note等によって保険管理する事務方式を指します。

証券を発行しないからといって、保険契約が存在しないという意味ではありません。

また、Non Policy方式だからといって、確定通知、保険料精算、事故通知等が不要になるわけでもありません。

書類・記録 主な役割 注意点
Open Policy 包括契約の基本条件を示す 対象範囲・限度額を確認する
確定通知記録 個別輸送の明細を確定する 通知番号・受付日時を保存する
保険承認状 引受内容を確認する 保険証券との法的・実務的な違いを確認する
Debit Note 保険料・精算額を示す 担保内容を示す書類とは限らない
月次明細 通知済輸送と保険料を一覧管理する 輸送実績と照合する
個別保険証券 L/C・取引先提出・譲渡等に使用する 必要案件だけ発行依頼する場合がある

L/C取引、銀行提出、買主への証券譲渡、保険金請求権の移転等が必要な場合には、Open Policyを締結していても個別の保険証券発行が必要となる場合があります。

申込前に確認する事項

確認項目 確認内容 Open Policyでの確認 実務上の注意点
貨物内容 品名、数量、重量、梱包、性質 協定貨物に該当するか 中古品・危険品等は個別承認を確認する
保険金額 貨物価額、運賃、諸掛り、希望利益 協定算定式と限度額 一危険限度額超過を確認する
取引形態 輸出、輸入、三国間 契約対象取引か 対象外取引を個別申込する
輸送区間 仕出地、積地、仕向港、最終仕向地 協定地域・区間か 中間保管・積替えを確認する
輸送手段 船舶、航空、陸送、鉄道 協定輸送手段か 甲板積み・在来船を確認する
建値 FOB、CFR、CIF、CIP、DAP、DDP 協定保険金額計算に合うか 付保義務と被保険利益を分ける
保険条件 ICC、War、SRCC、特約 貨物別条件表を確認する All Risksという名称だけで判断しない
船舶条件 船名、船級、船齢 船舶条件に合うか 未詳時は後日確認する
L/C 証券条件、名義、金額、日付 証券発行要否 確定通知だけでは足りない場合がある

保険金額の考え方

保険金額は、貨物のInvoice金額だけでなく、運賃、保険料、輸送諸掛り、希望利益等を加算して設定する場合があります。

Open Policyでは、貨物ごとに計算方法を変えるのではなく、CIF相当価額の一定割合等、あらかじめ協定した算定式を使用することがあります。

建値・場面 保険金額で確認する内容 Open Policyでの確認 注意点
FOB輸入 貨物価額に運賃・諸掛り等を加えるか FOBからCIF相当価額への算定式 運賃を含め忘れない
CFR輸入 CFR価額を基礎に希望利益を加えるか 協定付保率 保険は買主側手配となることが多い
CIF輸入 売主保険の金額・条件が十分か 追加保険が対象となるか 二重保険を確認する
CIP取引 契約要求の付保率・条件 協定条件との整合 L/C・売買契約を確認する
三国間取引 仕入価額・販売価額のどちらを基礎にするか 協定された評価方法 利益の二重計上を避ける
中古品 実際の価額、修理費、減価 中古品条件・評価方法 新品価額を機械的に使用しない
高額貨物 一輸送当たりの総額 一危険限度額 分割輸送でも同一危険集積を確認する

過小保険と過大保険

保険金額を過小に設定すると、事故時に貨物価額、運賃、諸掛り、希望利益等を十分に回収できない可能性があります。

一方、実際の被保険利益を超える金額を設定しても、貨物損害によって利益を得られるわけではありません。

Open Policyでは、保険金額の算定式を固定し、部門・担当者ごとの計算差を防ぐことが重要です。

外貨建て申込と換算レート

外貨建てで保険を申し込む場合は、保険金額、保険料、保険金支払時の円換算方法を確認します。

確定通知受付日、申込受付日、積地出帆日その他の基準日と、基準銀行、T.T.S.その他の適用相場は、保険会社またはOpen Policyの協定によって異なります。

確認事項 確認内容 Open Policyでの対応
契約通貨 JPY、USD、EUR等 対象通貨を協定する
換算日 申込日、通知日、出帆日等 統一ルールを確認する
適用相場 T.T.S.、所定レート等 月次精算と同じ基準を使う
L/C通貨 保険証券通貨との一致 証券発行時に確認する
為替変動 契約時と保険金支払時の差 外貨建て契約の注意点を確認する

L/C取引での注意点

確認項目 L/Cで問題となる内容 Open Policyでの対応 注意点
Assured欄 L/C要求名義との不一致 個別証券発行時に指定する 契約者名と被保険者名を混同しない
保険金額 要求される付保率を満たさない 通常算定式とL/C条件を比較する 不足時は増額承認を得る
通貨 L/C通貨との不一致 個別証券の通貨を指定する 確定通知通貨も照合する
保険条件 ICC、War、SRCC等の不一致 L/C条件を代理店へ提示する Open Policy基本条件だけで判断しない
証券日付 船積日より後の日付 事前に証券発行を依頼する 危険開始前申込の証拠を保存する
裏書 白地裏書・To Order等の不一致 証券発行時に指定する 署名権限を確認する
航路・船名 B/Lとの不一致 確定通知と証券を連動させる 積替船も確認する

保険証券の訂正・追約

保険証券または確定通知の内容に誤りがある場合は、保険会社または取扱代理店へ訂正を依頼します。

事故発生後に保険金額や保険条件を変更すると、すでに発生した損害を知ったうえで補償を拡大することになるため、原則として認められません。

これは、事故発生の有無が不明な将来の危険を保険契約で引き受けるという基本構造と、事故後の選択的な付保によるモラルハザードを防止するためです。

訂正内容 事故前 事故後 確認事項
貨物名の誤記 同一貨物であることを確認して訂正 同一性を厳格に確認する Invoice、P/L、B/L
船名・航路の誤記 実輸送に合わせて訂正 事故区間との関係を確認する B/L、Booking
保険金額の増額 危険開始前・事故前なら承認を相談 既発生損害への増額は認められない 増額理由、事故有無
保険金額の減額 取引書類への影響を確認 請求・L/Cとの関係を確認 証券、Debit Note
被保険者名 被保険利益を確認して訂正 請求権の付替えにならないか確認 売買契約、裏書
保険条件の拡張 危険開始前に承認を得る 事故後の拡張は認められない 変更時刻、事故時刻

保険料の支払い

個別保険では、原則として契約成立時または保険会社所定の期限までに保険料を支払います。

Open Policyでは、一件ごとに保険料を支払うのではなく、確定通知を集計して月締め等で精算する場合があります。

ただし、精算方法、支払期限、通貨、最低保険料、返戻方法等は契約によって異なります。

Open Policyの月次照合

照合対象 確認内容 主な資料 異常時の対応
全輸出入実績 対象期間中の全輸送 売上・仕入・物流台帳 未通知案件を抽出する
確定通知一覧 通知済み案件 保険会社システム・明細 二重通知を確認する
B/L・AWB 船名、日付、区間 船積書類 誤通知を訂正する
Invoice 金額、通貨、貨物 売買書類 保険金額を訂正する
特殊貨物一覧 個別承認が必要な貨物 社内申請・承認記録 承認漏れを報告する
限度額管理 一船・一輸送用具の危険集積 輸送一覧 超過案件を事前承認対象にする

申込段階で注意すべき貨物

貨物類型 主な危険 Open Policyで確認する事項 申込時資料
生鮮・冷凍冷蔵貨物 温度変化、遅延、腐敗、解凍 温度条件、冷凍機事故、遅延免責 温度指示、データロガー
中古品・修理品・返品貨物 既存損傷、摩耗、機能不良 中古品条件・免責 写真、検査記録、価額資料
貴金属・美術品・高額品 盗難、高額損害、評価額 除外貨物・限度額 価額証明、警備計画
紙・パルプ・木材 濡損、カビ、反り、吸湿 濡損条件・保管条件 梱包、防湿仕様
鉄鋼・金属製品 錆、曲損、擦損 錆担保・船積前状態 写真、Pre-shipment Survey
危険品・化学品・液体 漏出、汚染、反応、容器破損 対象貨物・特別条件 SDS、危険品申告、容器仕様
バルク・タンク貨物 不足、汚染、混入、計量差 不足・汚染条件 数量・品質証明、清掃証明
甲板積み・特殊輸送 波濡れ、落下、固縛不良 甲板積み特約・事前承認 積付・固縛計画、船舶情報
プロジェクト貨物 高額、重量物、分割輸送 一危険限度額・工程管理 輸送計画、サーベイ報告

フォワーダーが保険を手配する場合

フォワーダーは、荷主からの依頼に基づき、保険会社または取扱代理店への申込情報の伝達、確定通知、保険証券の受渡し等を行う場合があります。

ただし、フォワーダーが保険手配に関与しただけで、貨物保険の補償可否、保険金支払、被保険利益、L/C適合性等を保証するわけではありません。

論点 主な責任主体 フォワーダーの関与 確認資料
付保依頼内容 荷主・保険契約者 依頼内容を正確に受領・伝達する メール、申込書
保険条件の決定 保険会社・契約者 選択肢や必要情報を伝える 見積書、条件表
引受可否 保険会社 必要資料を提出する 承認メール、保険証券
被保険利益 売買当事者・被保険者 建値・契約情報を伝達する 売買契約
確定通知 契約上の通知義務者 委任範囲内で代行する Open Policy、通知記録
通知漏れ 原因となった当事者 経緯と証拠を保全する メール、業務記録
事故通知 被保険者・保険契約者 速報・資料提出を支援する 事故報告、写真
保険金支払判断 保険会社 判断を確約しない 約款、損害資料

フォワーダーの標準五分類による整理

次の標準五分類は、法令上または業界全体で確立された分類ではなく、本シリーズでフォワーダーの関与範囲を整理するための分析上の枠組みです。

標準五分類 保険申込で行う可能性がある業務 通常は当然に含まれない判断・保証 責任範囲の確認資料 実務上の注意点
単純取次 荷主の申込情報、見積、証券等の伝達 保険条件の妥当性、保険金支払の保証 メール、見積書、業務指示 受領内容を変更せず伝達する
貨物利用運送事業者 輸送手配と付随する保険申込情報の提供 貨物の品質、被保険利益、引受可否の保証 利用運送契約、Booking 輸送条件の変更を保険担当へ通知する
NVOCC・House B/L発行者 House B/L情報を基に確定通知を支援する House B/L発行だけを理由とする保険支払保証 House B/L、Master B/L、通知記録 実輸送と確定通知の整合を確認する
Door-to-Door一括契約者 集荷から配送までの情報を統合して付保手配する 売買上の危険負担、保険条件の最終判断 Door-to-Door契約、運送約款 全輸送区間が付保されているか確認する
特定業務の代理・調整者 保険申込、確定通知、証券取得、事故通知等を代行する 委任範囲外の条件決定、保険会社の引受・支払判断 委任状、業務指示、申込記録 代行業務と最終判断を区別する

Contracting CarrierおよびActual Carrierは、法的または契約上の運送人としての地位を示す概念であり、標準五分類を置き換えるものではありません。

保険申込情報の送信、確定通知、保険証券の転送、無事故保証の取得、事故通知等の個別業務は、それ自体で第六の分類を構成するものではありません。

実務で問題になりやすいケース

ケース 主な問題 判断のポイント 初動対応 主な資料
Open Policyの確定通知が遅れた 通知義務違反・対象確認 協定範囲内か、事故前か 速やかに保険会社へ報告する Open Policy、通知一覧
フォワーダーの個別申込が漏れた 保険契約未成立 危険開始前の依頼証拠 無事故保証を取得して相談する メール、B/L、保証書
Open Policy対象外の中古機械 除外貨物・条件不足 中古品条件と事前承認 個別引受けを依頼する 写真、検査書類
一危険限度額を超過した 限度額超過部分の無保険 同一本船・倉庫への集積 危険開始前に増額承認を得る 輸送一覧、金額明細
甲板積みを通知しなかった 特殊輸送条件の未承認 甲板積みの合意・特約 積付前に保険会社へ通知する B/L Draft、積付計画
L/C用証券を発行していない 銀行書類不足 Non Policy方式とL/C条件 個別証券を発行する L/C、確定通知
事故後に保険金額を増額したい 既知事故への補償拡大 事故時刻と変更依頼時刻 事故前金額で請求を検討する メール、事故報告
三国間貨物が契約対象外 取引類型の協定漏れ 契約者・被保険者・区間 Open Policy条件を改定する 売買契約、B/L

具体例1:Open Policyの確定通知が本船出航後になった場合

日本の輸入者は、毎月多数のFOB輸入貨物を取り扱っており、外航貨物海上保険のOpen Policyを締結していました。

対象貨物、輸送区間、ICC条件、保険金額の算定式および一危険限度額は、Open Policy上であらかじめ協定されていました。

海外の売主から船積書類が届いた時点では、本船はすでに積地を出航していました。

担当者は、出航後であることだけを理由に「もう保険申込はできない」と考えました。

しかし、この輸送はOpen Policyの契約期間内に危険を開始し、貨物、航路、金額、輸送方法のすべてが協定範囲内でした。

保険担当者は、Open Policyに基づく確定通知として船名、B/L番号、Invoice金額、区間等を速やかに通知しました。

この場合、個別契約を本船出航後に新規締結するのではなく、既存のOpen Policyに基づく対象輸送を確定通知する手続として整理されます。

ただし、Open Policy対象外貨物や限度額超過であれば、同じ処理はできません。

具体例2:フォワーダーが保険申込を失念した場合

荷主は、貨物搬出の3日前にフォワーダーへ、海上輸送と外航貨物海上保険の手配をメールで依頼しました。

メールには、貨物名、Invoice金額、仕出地、仕向地、希望する保険条件が記載されていました。

フォワーダーは輸送Bookingを行いましたが、保険会社または代理店への申込を失念し、貨物搬出後に漏れが判明しました。

フォワーダーは、荷主から危険開始前に付保依頼を受けたメール、Booking記録、B/L Draftおよび貨物追跡情報を保存していました。

そこで、荷主の権限者から、対象貨物について事故、損傷、共同海損、温度異常その他の事故情報を認識していない旨の無事故保証を取得し、遅延理由書とともに保険会社へ引受けを相談しました。

保険会社は、貨物の現在位置、事故情報、貨物内容等を確認し、申込受付後の危険についてのみ引受ける条件を提示しました。

この場合、フォワーダーへの事前メールは手配依頼の証拠になりますが、それ自体で保険会社との契約を成立させるものではありません。

また、申込受付前に発生していた事故が後日判明した場合、その事故は保険対象になりません。

具体例3:Open Policyの対象外となる中古機械を通知した場合

輸入者は、通常は新品機械を輸入しており、Open Policyでも新品機械を対象貨物として協定していました。

今回、海外オークションで購入した中古工作機械を輸入しましたが、担当者は通常の機械輸入と同じ確定通知を行いました。

事故発生前の確認で、Open Policyの条件表には中古品、修理品、返品貨物が個別承認対象と記載されていることが判明しました。

保険会社は、輸送開始前の写真、作動検査、梱包状態、購入価格、修理履歴を求め、既存損傷・機能不良を除外する条件で個別承認しました。

Open Policyを締結していても、協定外貨物が自動的に通常条件で保険対象になるわけではありません。

具体例4:複数貨物の同一本船積載で限度額を超えた場合

商社は、複数の海外工場から同じ本船へ高額部品を積載しました。

各Shipmentの金額はOpen Policyの個別管理額以内でしたが、同一本船へ積載された貨物の合計額は一危険限度額を超えていました。

各担当部署は自部署のInvoiceだけを見ていたため、全社合計で限度額を超えていることに気づきませんでした。

月次照合では遅いため、保険担当者はBooking情報を集約し、本船単位で危険集積を管理する仕組みに変更しました。

その後の大型輸送では、船積前に合計保険金額を保険会社へ通知し、限度額の増額承認を取得しました。

Open Policyの限度額は、一Invoiceごとではなく、一船、一航空機、一輸送用具、一保管場所等の危険集積単位で定められる場合があります。

具体例5:Non Policy方式でもL/C用保険証券が必要となった場合

輸出者はOpen Policyを締結し、通常の輸出貨物については個別保険証券を発行しないNon Policy方式で運用していました。

新規取引ではL/C決済が採用され、L/C条件として、所定の保険金額、通貨、ICC、War、SRCC条件を記載した譲渡可能な保険証券の呈示が要求されました。

担当者は、Open Policyがあるため確定通知の控えだけで銀行呈示できると考えました。

しかし、確定通知記録はL/Cが要求する保険証券の代替とは認められませんでした。

輸出者は、L/C、Invoice、B/L Draftを保険代理店へ提出し、Assured欄、通貨、付保率、船名、航路、裏書方法をL/C条件に合わせた個別保険証券を発行しました。

Non Policy方式は証券発行事務を省略する運用であり、取引先や銀行が証券を要求する場合まで証券発行を不要にするものではありません。

よくある誤解

誤解 実際の考え方 実務上の注意点
Open Policyがあれば全貨物が自動的に対象になる 協定貨物・区間・限度額・条件内の輸送が対象となる 除外貨物と個別承認貨物を確認する
Open Policyと予定保険は全く別の制度である Open Policyは包括予定保険契約として運用される 個別予定保険との違いを確認する
確定通知をした時点から初めて保険が始まる Open Policyでは既存契約と危険開始時点を基に判断する 契約条件と通知義務を確認する
確定通知が遅れても何も報告しなくてよい 遅れが判明したら速やかに報告する必要がある 対象範囲と事故有無を確認する
フォワーダーへの依頼メールだけで保険契約が成立する 保険会社または権限ある代理店への申込・承認が必要となる 申込受付記録を保存する
無事故保証を提出すれば必ず遡及付保される 無事故保証は引受判断資料であり、承認を保証しない 責任開始時点を確認する
申込前に発生していた事故も後から補償できる 遅延申込で申込前事故を免責とする場合がある 事故時刻と申込時刻を確認する
Non Policy方式では保険契約が存在しない 個別証券を省略して包括契約等で管理する方式である 契約・通知記録を保存する
Non Policy方式ならL/Cでも証券は不要である L/Cが保険証券を要求する場合は個別発行が必要となる L/C条件を事前に確認する
Assured欄に名前があれば被保険利益がある 貨物損害による経済的不利益との関係が必要である 売買契約と危険負担を確認する
事故後でも保険金額を増額できる 既知事故への事後的な補償拡大は認められない 事故前に金額を確定する
All Risksなら遅延損害も補償される 遅延に起因する損害は免責となるのが基本である 物的損害との因果関係を確認する
フォワーダーが保険を手配すれば支払まで保証する 引受可否・保険金支払は保険会社が判断する 代行範囲を明確にする
個別通知額が限度内なら限度額超過はない 同一本船・場所等の危険集積で判断する場合がある 全社輸送を集約管理する

Open Policy運用の判断フロー

  1. 有効なOpen Policyが存在するか確認する。
  2. 危険開始日が契約期間内か確認する。
  3. 輸出、輸入、三国間取引のいずれが対象か確認する。
  4. 貨物種類が協定範囲内か確認する。
  5. 中古品、危険品、高額品等の個別承認要否を確認する。
  6. 輸送区間・国・航路が対象か確認する。
  7. 船舶、航空、陸上、甲板積み等の輸送条件を確認する。
  8. 一危険限度額と危険集積を確認する。
  9. 被保険利益を持つ当事者を確認する。
  10. 協定算定式により保険金額を計算する。
  11. L/C用保険証券の発行要否を確認する。
  12. 確定通知を行い、受付記録を保存する。
  13. 月次で輸送実績と確定通知を照合する。
  14. 通知漏れがあれば事故有無を確認して直ちに報告する。
  15. Open Policy範囲外なら個別引受けを依頼する。

遅延申込の判断フロー

  1. Open Policyその他の既存保険契約があるか確認する。
  2. 確定通知遅れか、個別申込漏れかを区別する。
  3. 貨物の危険開始日時を確認する。
  4. 荷主から付保依頼を受けた日時を確認する。
  5. メール、申込書、見積承認等の証拠を保存する。
  6. 貨物の現在位置を確認する。
  7. 事故、損傷、遅延、共同海損等の情報を確認する。
  8. 荷主または被保険者の権限者から無事故保証を取得する。
  9. 遅延理由書と関係資料を保険会社へ提出する。
  10. 保険会社の引受可否と責任開始時点を確認する。
  11. 申込前事故が免責となるか確認する。
  12. 承認内容を書面で保存する。

申込・確定通知チェックリスト

確認段階 確認相手・資料 確認事項 問題がある場合の対応
売買契約時 売買契約、インコタームズ 付保義務、危険負担、被保険利益 契約条件を明文化する
Open Policy締結時 保険会社・代理店 貨物、区間、条件、限度額 除外・個別承認事項を一覧化する
受注・発注時 Invoice、注文書 貨物、金額、通貨 特殊貨物を保険担当へ通知する
Booking時 フォワーダー、船会社 船名、航路、甲板積み等 特殊輸送の承認を得る
貨物搬出前 倉庫、荷主 危険開始日、貨物状態 個別申込を完了する
確定通知時 保険会社システム 船名、B/L、金額、区間、条件 受付結果を保存する
L/C証券発行時 L/C、銀行、代理店 名義、通貨、付保率、裏書 証券発行前に照合する
月次照合時 物流台帳、確定通知一覧 通知漏れ、二重通知、金額差 直ちに訂正・報告する
遅延判明時 メール、B/L、追跡記録 依頼時刻、危険開始、事故有無 無事故保証を取得して相談する
事故発生時 保険証券、Open Policy、通知記録 対象貨物、条件、責任開始時点 速やかに事故通知する

専門家へ相談すべき場面

  • Open Policyの対象貨物・輸送区間が不明な場合
  • 確定通知が長期間遅れている場合
  • 通知前に事故情報を認識した可能性がある場合
  • フォワーダーの申込漏れが判明した場合
  • 無事故保証の内容・確認者が不明確な場合
  • 遅延申込の責任開始時点が不明な場合
  • 申込前事故と申込後事故の発生時点を切り分けられない場合
  • Open Policyの一危険限度額を超える場合
  • 中古品、危険品、甲板積み、高額品等を輸送する場合
  • 三国間取引の被保険利益が不明な場合
  • Assured、Loss Payee、証券譲受人の関係が不明な場合
  • L/C条件とOpen Policyの基本条件が一致しない場合
  • 事故発生後に証券訂正・保険金額増額を求められた場合
  • フォワーダーの保険手配責任をめぐって紛争となった場合

注意点

  • 外航貨物海上保険は、原則として危険開始前に申し込みます。
  • 貨物の危険開始は、本船出航より前の倉庫搬出時となる場合があります。
  • Open Policyは、継続輸送について包括的に条件を協定する契約です。
  • Open Policyは、すべての貨物を無条件で自動付保するものではありません。
  • 対象貨物、輸送区間、保険条件、一危険限度額、除外貨物を確認してください。
  • Open Policyでは、船積明細確定後に速やかに確定通知を行います。
  • 確定通知遅れと個別申込漏れを区別してください。
  • 荷主からフォワーダーへのメールだけで保険会社との契約が当然に成立するわけではありません。
  • 遅延申込では、付保依頼の証拠、遅延理由、貨物の現在位置、事故有無を確認します。
  • 無事故保証は、保険会社の引受けを自動的に確定する書類ではありません。
  • 遅延申込を承認する場合でも、申込前事故が免責となる場合があります。
  • 事故情報を認識した後に、その事故を対象として保険へ加入することはできません。
  • 被保険利益は、Assured欄の名称だけでなく、貨物損害による経済的不利益から判断します。
  • Non Policy方式は、個別証券発行を省略する事務方式です。
  • L/Cが保険証券を要求する場合は、Open Policyでも個別証券が必要となる場合があります。
  • 事故後の保険金額増額や条件拡張は認められません。
  • フォワーダーは、荷主の依頼内容を正確に記録・伝達してください。
  • 保険会社の引受可否や保険金支払をフォワーダーが確約しないでください。

まとめ

  • 外航貨物海上保険は、原則として貨物の輸送危険が開始する前に申し込みます。
  • 保険期間が倉庫から倉庫までとなる場合、危険開始は本船出航前の貨物搬出時となることがあります。
  • 一輸送ごとに内容が確定している場合は、個別確定保険を利用します。
  • 一輸送について船名・数量・金額等が未確定の場合は、個別予定保険を利用できる場合があります。
  • 継続的な輸出入や三国間取引では、包括予定保険契約であるOpen Policyが付保漏れ防止に有効です。
  • Open Policyでは、対象貨物、輸送区間、保険条件、限度額、除外貨物等をあらかじめ協定します。
  • Open Policyは、すべての貨物が自動的かつ無条件に保険対象となる契約ではありません。
  • 中古品、危険品、高額品、甲板積み貨物等は、個別承認対象となる場合があります。
  • Open Policyの契約期間内に危険が開始し、協定範囲内の輸送であるかを確認します。
  • 確定通知は、Open Policyに基づく個別輸送の船名、B/L、貨物、金額、区間等を通知する手続です。
  • 確定通知は、個々の輸送について新たにゼロから保険契約を締結する申込とは性質が異なります。
  • 確定通知が遅れた場合は、対象範囲と事故有無を確認し、速やかに保険会社へ報告します。
  • 確定通知遅れと、Open Policyが存在しない個別申込漏れは区別する必要があります。
  • フォワーダーが危険開始前に荷主から付保依頼を受けていた場合、メール等の証拠は遅延申込の重要資料となります。
  • ただし、荷主とフォワーダー間のメールだけで保険会社との保険契約が自動的に成立するわけではありません。
  • 遅延申込では、荷主から事故がない旨の無事故保証を取得し、保険会社へ引受けを相談できる場合があります。
  • 無事故保証は、引受可否を検討するための資料であり、必ず遡及付保されることを保証しません。
  • 遅延申込の引受可否、責任開始時点、追加条件は保険会社が個別に判断します。
  • 将来に向かって引受ける場合、申込受付前に発生した事故は免責となることがあります。
  • 申込前に発生していた事故が後日判明した場合も、申込前事故免責なら保険対象になりません。
  • 事故が発生したことを認識した後に、その事故を対象として保険を申し込むことはできません。
  • 被保険利益とは、貨物が損傷することによって経済的不利益を受ける関係です。
  • Assured欄に会社名が記載されているだけで、常に被保険利益が認められるわけではありません。
  • 被保険利益は、売買契約、危険負担、代金支払、所有関係等から確認します。
  • Open Policyでは、保険金額の算定式、一危険限度額、通貨、換算方法等を統一して管理します。
  • 同一本船や同一保管場所への危険集積により、限度額を超える場合があります。
  • Non Policy方式は、個別の保険証券発行を省略する事務方式として使用されます。
  • Non Policy方式でも、確定通知、保険料精算、事故通知等は必要です。
  • L/Cが保険証券を要求する場合は、Open PolicyやNon Policy方式であっても個別証券を発行します。
  • L/C取引では、Assured欄、保険金額、通貨、保険条件、証券日付、裏書を確認します。
  • 事故発生後の保険金額増額や保険条件拡張は、既知事故への事後的な補償拡大となるため認められません。
  • フォワーダーが保険手配を代行する場合は、依頼内容、申込時刻、提出資料、受付結果を記録します。
  • フォワーダーは、保険会社の引受けや保険金支払を保証する立場ではありません。
  • 標準五分類では、保険申込代行は主として単純取次または特定業務の代理・調整者として整理します。
  • Contracting CarrierおよびActual Carrierは運送契約上の地位であり、標準五分類を置き換えるものではありません。
  • 確定通知、証券転送、無事故保証取得等の個別作業は、それ自体で第六の分類を構成しません。

継続的な輸出入や三国間取引では、個別申込を繰り返すだけでなく、Open Policyの対象貨物、輸送区間、保険条件、限度額、除外貨物および確定通知の運用を事前に整備してください。

フォワーダーの申込漏れが輸送開始後に判明した場合は、危険開始前の付保依頼メール、輸送書類、遅延理由書および荷主の無事故保証をそろえ、保険会社へ速やかに引受けを相談してください。

遅延申込が承認される場合でも、責任開始時点と申込前事故の免責を必ず確認し、事故が発生していることを知りながら事後的に保険を申し込まないでください。

本記事は、外航貨物海上保険の申込、個別予定保険、包括予定保険契約、Open Policy、確定通知、遅延申込、無事故保証、被保険利益、Non Policy方式、L/C対応およびフォワーダーの保険手配実務に関する一般的な情報を説明するものです。個別貨物の保険契約成立、遡及付保、保険責任開始時点、保険金支払、被保険利益、保険証券の有効性または関係者の法的責任を確定するものではありません。実際の取扱いは、Open Policy、保険証券、普通保険約款、特別約款、確定通知条件、売買契約、インコタームズ、L/C、申込記録、保険会社および取扱代理店の承認に基づいて確認してください。

同義語・別表記

  • 貨物保険申込
  • 海上保険申込
  • 外航貨物保険申込
  • 外航貨物海上保険申込
  • Marine Cargo Insurance Application
  • Cargo Insurance Application
  • Ocean Marine Cargo Insurance Application
  • Open Policy Application
  • 確定通知
  • Declaration

関連用語

公式情報