日本商事仲裁協会(JCAA)と仲裁・ATAカルネ実務
概要
日本商事仲裁協会(JCAA)は、国際取引や商事取引に関する仲裁・調停を扱う機関であり、あわせてATAカルネ、SCCカルネの発給・保証を行う機関です。
Maritime Wikiでは、JCAAを単なる団体紹介ではなく、国際物流・貿易実務において、契約上の紛争解決条項、仲裁・調停、展示会貨物や商品見本の一時輸出入、ATAカルネ利用と関係する機関として整理します。
JCAAの位置づけ
JCAAは、国際商事紛争の解決手続である仲裁・調停を提供する機関です。国際取引契約では、裁判管轄や準拠法と並び、紛争が発生した場合にどの機関で仲裁を行うかを契約書に定めることがあります。
また、JCAAは日本におけるATAカルネ及びSCCカルネの発給・保証機関としても重要です。展示会、商談、商品見本、職業用具などを一時的に海外へ持ち出す場合、カルネを利用することで、一定条件のもとで輸入税等の免税扱いを受けられる場合があります。
主な業務
- 国際商事仲裁の管理
- 商事調停の管理
- 仲裁条項・調停条項に関する情報提供
- 国際取引・英文契約に関するセミナーや資料提供
- ATAカルネの発給・保証
- SCCカルネの発給・保証
- 一時輸出入に関するカルネ利用案内
仲裁・調停との関係
仲裁は、当事者間の合意に基づき、裁判ではなく仲裁人によって紛争を解決する手続です。国際取引では、相手国の裁判所で争うことを避けるため、契約書に仲裁条項を定めることがあります。
調停は、第三者が当事者間の話し合いを支援し、合意による解決を目指す手続です。仲裁と異なり、当事者の合意形成を重視するため、継続的な取引関係を維持したい場合に検討されることがあります。
国際物流・海事実務での関係
フォワーダー、NVOCC、商社、荷主、メーカーが関係する国際取引では、運送契約、売買契約、代理店契約、業務委託契約、保険契約などに紛争解決条項が置かれることがあります。
JCAA仲裁を利用するかどうかは、契約書上の仲裁条項によって決まります。実務では、紛争が起きてから検討するのではなく、契約締結時に、準拠法、裁判管轄、仲裁地、仲裁機関、使用言語を確認しておくことが重要です。
ATAカルネとの関係
ATAカルネは、展示会出品物、商品見本、職業用具などを外国へ一時的に持ち出す際に利用される通関手帳です。一定条件を満たす場合、輸入国での関税・付加価値税等の免税扱いを受けられることがあります。
JCAAは、日本でATAカルネを発給する機関です。カルネを利用する場合は、対象物品、利用目的、渡航国・地域、持出期間、再輸入予定、物品リストなどを確認し、出発前に申請を行います。
SCCカルネとの関係
SCCカルネは、台湾向けの一時輸出入で利用される特別通関手帳です。ATAカルネがATA条約に基づく国際的な制度であるのに対し、SCCカルネは台湾向けに利用される制度として整理されます。
JCAAの案内では、ATAカルネとSCCカルネの2種類が扱われています。台湾へ商品見本、展示会出品物、商談用物品などを一時的に持ち込む場合は、ATAカルネではなくSCCカルネの利用可否を確認する必要があります。
フォワーダー・通関実務での確認点
カルネを利用する貨物では、通常の輸出入貨物とは異なり、一時輸出入であること、再輸入又は再輸出されること、物品が同一性を保って戻ることが前提になります。販売用在庫や加工・修理を目的とする貨物では、カルネを利用できない場合があります。
- 展示会出品物、商品見本、職業用具など、カルネ対象の用途か確認する
- ATAカルネ対象国か、SCCカルネ対象地域かを確認する
- 物品リスト、数量、価格、シリアル番号などを整理する
- 持出期間と再輸入予定を確認する
- カルネで対応できない物品や用途でないか確認する
- 輸出入規制、他法令、危険品、検疫、CITESなどの対象でないか確認する
- 現地で販売、譲渡、消費、加工、修理を行わないか確認する
注意点
- 仲裁や調停は、原則として当事者の合意や契約上の条項が前提となる
- 契約書にJCAA仲裁条項を入れる場合は、仲裁地、使用言語、準拠法を確認する
- ATAカルネやSCCカルネは、すべての物品や用途に使えるわけではない
- 国・地域によってカルネの利用可否や対象用途が異なる
- カルネ利用中に物品を販売、譲渡、消費、加工、修理すると問題になる場合がある
- カルネを利用しても、輸出入規制や他法令確認が不要になるわけではない
関連法令・基準
- 仲裁法
- JCAA仲裁規則
- JCAA商事調停規則
- 物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)
- 一時輸入に関する国際条約・関連通関制度
- 関税法
まとめ
日本商事仲裁協会(JCAA)は、国際商事紛争の仲裁・調停を扱う機関であり、国際取引契約における紛争解決条項と関係します。
また、JCAAはATAカルネ及びSCCカルネの発給・保証機関として、展示会貨物、商品見本、職業用具などの一時輸出入実務にも関係します。フォワーダーや通関業者は、カルネ利用の可否、対象物品、対象国・地域、他法令規制を事前に確認することが重要です。
同義語・別表記
関連用語
公式情報
- 公式ホームページ: https://www.jcaa.or.jp/
