CITES再輸出証明書
CITES再輸出証明書とは
CITES再輸出証明書とは、ワシントン条約、すなわちCITESの規制対象となる野生動植物、その部分、派生物、加工品などを、一度輸入した国から第三国へ再び輸出する際に必要となる証明書です。
たとえば、海外から日本へ輸入したワニ革製品、象牙を含む製品、希少木材を使用した楽器、動植物由来の標本、装飾品、化粧品原料、研究用サンプルなどを、日本から別の国へ販売、返送、移送、転売する場合には、通常の輸出書類だけでは足りず、CITES再輸出証明書が必要となることがあります。
CITES再輸出証明書で重要なのは、単に「日本から出す貨物かどうか」ではありません。その貨物が、どの国を原産国として、どのようなCITES書類に基づいて日本へ輸入され、現在どのような流通経路を経て輸出者の手元にあるのかを説明できることです。
再輸出証明書は、貨物の現在地ではなく、貨物の由来と過去の輸入経緯を確認するための書類です。したがって、輸入時のCITES輸出許可書、CITES再輸出証明書、輸入承認証、事前確認書、輸入時インボイス、販売証明書、在庫管理資料などの連続性が実務上の重要な確認点になります。
この記事で扱う範囲
この記事では、CITES対象貨物を日本から第三国へ出す場合に問題となる、CITES再輸出証明書の実務を扱います。
| 項目 | この記事で扱う内容 | 他の記事で詳しく扱う内容 |
|---|---|---|
| CITES再輸出証明書の基本 | 一度輸入されたCITES対象貨物を第三国へ出す場合に必要となる証明書の役割を扱います。 | CITES制度全体、条約の目的、附属書区分の基本はCITES総論の記事で扱います。 |
| CITES輸出許可書との違い | 原産国から直接輸出する場合と、輸入国から再び輸出する場合の違いを整理します。 | CITES輸出許可書の取得要件、輸出国側の発給条件は個別記事で扱います。 |
| 再輸出該当性の判断 | 日本から出す貨物が再輸出に該当するかどうかの確認順序を整理します。 | 個別品目ごとのCITES該当性、学術名の確認、附属書注釈は個別確認が必要です。 |
| 輸入時書類の確認 | 輸入時のCITES書類、輸入承認証、事前確認書、輸入時インボイス等の重要性を扱います。 | 輸入承認、事前確認、輸入通関の詳細はそれぞれの制度記事で扱います。 |
| 有効期限と出荷時期 | 再輸出証明書には有効期限があり、取得後の船積時期管理が必要である点を扱います。 | 国別の具体的な有効期限運用や延長可否は、発給機関の最新運用で確認します。 |
| 附属書Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの影響 | 再輸出時にも附属書区分により確認の厳しさや必要書類が変わる点を扱います。 | 各附属書の詳細、対象種、例外、留保、輸出割当はCITES附属書の記事で扱います。 |
| フォワーダー・通関業者の確認 | 荷主から再輸出依頼を受けた際に確認すべき事項を整理します。 | フォワーダーの責任範囲、E&Oリスク、荷主確認の実務は別記事で扱います。 |
制度の目的と背景
CITES再輸出証明書の目的は、CITES対象貨物が、過去に適正な手続を経て輸入されたものであり、その貨物をさらに第三国へ移動させることについて、条約上必要な管理を行うことにあります。
CITES対象品は、原産国から一度輸出された後、販売、展示、修理、加工、在庫移動、転売、研究利用などにより、複数の国を移動することがあります。このとき、最初の輸出だけを確認すればよいわけではありません。第三国へ再び移動する時点でも、貨物の由来、過去の輸入経緯、現在の所有関係、貨物の同一性を確認する必要があります。
再輸出証明書は、単なる輸出用の添付書類ではなく、CITES対象貨物の国際移動履歴をつなぐための証明書です。輸入時の書類が失われている場合や、輸入時の数量と再輸出時の数量が合わない場合には、再輸出証明書の取得や相手国での輸入手続に支障が出ることがあります。
CITES輸出許可書との違い
CITES再輸出証明書は、CITES輸出許可書と似ていますが、実務上の意味は異なります。
| 項目 | CITES輸出許可書 | CITES再輸出証明書 | 実務上の違い |
|---|---|---|---|
| 主な場面 | 原産国から直接輸出する場合に問題になります。 | 一度輸入された国から第三国へ再び輸出する場合に問題になります。 | 輸出国が原産国か、再輸出国かを確認します。 |
| 貨物の由来 | 輸出国が原産国であることが多いです。 | 輸出国とは別の国が原産国であることが多いです。 | 原産国、輸出国、再輸出国を分けて整理します。 |
| 確認の中心 | 採取、捕獲、繁殖、人工増殖、製造などの由来確認です。 | 輸入時のCITES書類、輸入承認、事前確認、国内流通経路の確認です。 | 再輸出では、過去の輸入経緯と現在の貨物の連続性が重要です。 |
| 典型書類 | CITES輸出許可書、輸出承認証、原産資料などです。 | CITES再輸出証明書、輸入時CITES書類、輸入承認証、販売証明書などです。 | 再輸出では、輸入時書類の保管状況が申請可否を左右します。 |
| 典型例 | 日本原産の対象植物を海外へ輸出する場合です。 | 海外から輸入したワニ革バッグを日本から第三国へ販売する場合です。 | 同じ日本発の輸出でも、貨物の由来により必要書類が変わります。 |
CITES輸出許可書は「その国からCITES対象貨物を輸出してよいか」を確認する書類です。これに対して、CITES再輸出証明書は「その貨物が過去に適正に輸入され、現在その国から再び輸出される貨物であること」を説明する性格が強い書類です。
「再輸出許可書」という表現について
CITES実務では、「再輸出許可書」という表現が使われることがあります。しかし、CITES上の文書名としては、輸出についてはExport Permit、再輸出についてはRe-export Certificateと整理されるのが基本です。
そのため、本記事では正式な説明では「CITES再輸出証明書」または「再輸出証明書」と表記します。「再輸出許可書」は、実務上の俗称や検索上の表記として理解するにとどめ、CITES輸出許可書と混同しないように注意が必要です。
再輸出に該当する場面
| 場面 | 再輸出に該当し得る理由 | 確認すべき資料 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 輸入品を第三国へ販売する場合 | 海外原産のCITES対象品を日本から別国へ出すためです。 | 輸入時CITES書類、輸入承認証、仕入書、販売契約書を確認します。 | 通常の輸出販売と同じ感覚で処理しないことが重要です。 |
| 展示会後に次の国へ送る場合 | 日本で展示された貨物を、さらに別国へ移動させるためです。 | 一時輸入時書類、展示会資料、貨物識別資料、次国向け出荷書類を確認します。 | 「展示品だから不要」とは判断できません。 |
| 修理後に海外へ返送する場合 | 日本へ持ち込まれたCITES対象品を修理後に国外へ戻すためです。 | 修理依頼書、輸入時書類、修理明細、返送先情報を確認します。 | 返送であっても再輸出証明書が必要となる場合があります。 |
| 在庫品を海外支店へ移す場合 | 日本国内在庫を第三国へ移動させるためです。 | 在庫台帳、輸入時書類、社内移動指示書、ロット番号を確認します。 | 販売ではない社内移動でも、国際移動であれば確認が必要です。 |
| 研究用標本を共同研究先へ送る場合 | 輸入済み標本を第三国の研究機関へ移動させるためです。 | 標本情報、学術名、取得経緯、輸入時書類、研究目的資料を確認します。 | 非商業目的でも手続不要とは限りません。 |
| 輸入原料を加工して出荷する場合 | 輸入時のCITES対象原料が加工品に含まれて第三国へ出るためです。 | 原料輸入書類、製造記録、含有量計算書、ロット管理資料を確認します。 | 加工後の商品名だけではCITES対象性を判断できません。 |
再輸出に該当するかどうかの判断フロー
CITES再輸出証明書が必要かどうかを判断する際は、次の順番で確認します。
- 貨物に動植物由来の素材、部分、派生物、加工品が含まれているかを確認します。
- 一般名称ではなく、可能な限り学術名、原材料、成分、製品仕様、製造者情報を確認します。
- 対象種がCITES附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲのいずれに掲載されているかを確認します。
- 貨物の原産国を確認します。CITES上の原産国は、単なる製造国や出荷国と一致しないことがあります。
- 日本へ一度輸入された貨物か、日本原産の貨物かを確認します。
- 日本への輸入時に使用されたCITES輸出許可書、再輸出証明書、輸入承認証、事前確認書の有無を確認します。
- 輸入者、現在の所有者、輸出者が同一か、異なる場合は販売・譲渡経路を確認します。
- 輸入時の貨物と現在輸出する貨物が、数量、個数、ロット、タグ、写真等で対応しているかを確認します。
- 販売、返送、修理後返送、展示後移送、研究目的移送など、輸出目的を確認します。
- 再輸出証明書の取得要否、有効期限、輸出通関時の原本提示、相手国側の輸入手続を確認します。
この確認は、輸出申告直前ではなく、Booking前、輸出契約前、展示会出荷前、修理返送前など、貨物を動かす前の段階で行うことが重要です。
附属書区分による再輸出時の注意点
再輸出証明書の実務では、CITES附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの区分によって確認の重みが変わります。
| 附属書区分 | 再輸出時の考え方 | 確認すべき事項 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|
| 附属書Ⅰ | 商業目的の国際取引が原則禁止されるため、再輸出でも特に慎重な確認が必要です。 | 原輸出許可、輸入時書類、非商業目的、条約適用前取得、人工繁殖・人工増殖などを確認します。 | 過去の輸入が適法であったことを説明できる資料が特に重要です。 |
| 附属書Ⅱ | 一定条件のもとで国際取引が可能ですが、再輸出証明書や輸出国側の過去書類が問題になります。 | 輸入時のCITES輸出許可書、再輸出証明書、数量、ロット、原産国を確認します。 | 輸出割当が関係する種では、過去の許可数量との整合も確認します。 |
| 附属書Ⅲ | 掲載国、原産国、輸出国の関係により必要書類が変わります。 | どの国が掲載した種か、原産国が掲載国か非掲載国かを確認します。 | 原産地証明書で足りる場合と、再輸出証明書が問題になる場合を分けます。 |
特に附属書Ⅰ対象種では、再輸出証明書を取得すればよいという単純な整理では不十分です。原産国側での最初の輸出が適法であったか、輸入時に必要な承認や確認を受けていたか、現在の貨物がその輸入貨物と同一または連続しているかを、より慎重に確認する必要があります。
日本から再輸出する場合の実務の流れ
日本からCITES対象貨物を再輸出する場合の実務は、概ね次の流れで進みます。
- 貨物の品名、原材料、学術名、数量、形状を確認します。
- CITES対象種に該当するかを確認します。
- 附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの区分を確認します。
- 日本への輸入時のCITES書類を確認します。
- 輸入承認証、事前確認書、輸入時インボイス、輸入時B/LまたはAWBを確認します。
- 輸入者、現在の所有者、輸出者の関係を確認します。
- 販売証明書、譲渡証明書、在庫管理資料、ロット管理資料を準備します。
- 必要に応じて、経済産業省の手続に従い申請します。
- CITES再輸出証明書の発給を受けます。
- 証明書の有効期限を確認し、有効期限内に船積・輸出通関ができるように日程を管理します。
- インボイス、B/L、AWBなどの船積書類と証明書内容を照合します。
- 輸出通関時にCITES再輸出証明書の原本を税関へ提示します。
- 税関確認欄の裏書きなど、相手国で必要となる記載を確認します。
- 証明書原本が貨物または相手国側の輸入手続に確実につながるよう管理します。
出荷日が決まってから慌てて確認すると、輸入時の書類が見つからない、学術名が不明、数量が合わない、販売経路を証明できない、有効期限に間に合わないといった問題が起こりやすくなります。
有効期限の確認
CITES再輸出証明書には有効期限があります。一般に、CITESの輸出許可書や再輸出証明書は、発給日から一定期間内に使用する必要があり、期限を過ぎると相手国での輸入手続に使用できない場合があります。
実務では、再輸出証明書を取得する時期が早すぎると、船積遅延、Booking変更、航空便変更、通関待ち、相手国側の受入準備遅れなどにより、有効期限切れのリスクが生じます。一方で、取得を遅らせすぎると、必要書類の不足や審査期間により、出荷予定日に間に合わないリスクがあります。
| 確認項目 | 確認する理由 | 問題が起きやすい場面 | 実務上の対応 |
|---|---|---|---|
| 発給日 | 有効期限の起算点になるためです。 | 証明書取得後に船積予定が延期される場合です。 | 発給日と船積予定日を同時に管理します。 |
| 有効期限 | 期限内に輸出通関や相手国側手続が必要になるためです。 | 長期保管、展示会延期、修理遅延、船腹変更がある場合です。 | 証明書取得前に出荷予定を固め、遅延時は早めに再確認します。 |
| 船積予定日 | 証明書の有効期間内に貨物を出せるかを確認するためです。 | 海上輸送で本船変更、航空輸送でフライト変更が生じる場合です。 | Booking変更時にCITES書類の期限も確認します。 |
| 相手国側の輸入手続 | 相手国で原本が必要となる場合があるためです。 | 書類別送、Courier遅延、輸入者側の準備不足がある場合です。 | 相手国側がいつ原本を必要とするかを事前に確認します。 |
| 再申請の可否 | 期限切れ時に同じ条件で再取得できるとは限らないためです。 | 貨物の状態、数量、在庫、契約内容が変わっている場合です。 | 期限切れを前提にせず、初回取得分を確実に使う管理が必要です。 |
主な必要書類
CITES再輸出証明書の申請や輸出通関で確認される主な書類には、次のようなものがあります。実際に必要となる書類は、対象種、附属書区分、貨物の状態、輸入経緯、輸出目的によって異なります。
| 書類 | 主な役割 | 誰が準備するか | 注意点 |
|---|---|---|---|
| CITES再輸出証明書申請書 | 再輸出証明書の発給を受けるための申請書です。 | 通常は輸出者または申請代理人が準備します。 | 学術名、数量、輸出者、輸入者、原産国を正確に記載します。 |
| 輸出承認申請書または関連申請書類 | 対象種に応じて、輸出承認が必要となる場合に使用します。 | 輸出者が準備します。 | 再輸出証明書だけで足りるか、輸出承認も必要かを確認します。 |
| 輸出契約書・インボイス・注文書 | 輸出取引の相手、数量、価格、目的を示す書類です。 | 輸出者、荷主、販売部門が準備します。 | 品名が一般的すぎる場合は、素材や学術名を補足します。 |
| 輸入時のCITES輸出許可書または再輸出証明書 | 過去に適正なCITES手続で日本へ入ったことを示す重要書類です。 | 輸入者、荷主、仕入部門が保管していることが多いです。 | 再輸出実務では最も重要な書類の一つです。 |
| 輸入承認証・事前確認書 | 日本への輸入時に必要だった国内側手続を示します。 | 輸入者、通関業者、荷主が保管していることがあります。 | 輸入時の手続が適正だったことを説明する資料になります。 |
| 輸入時インボイス・パッキングリスト・B/L・AWB | 日本へ入ったときの貨物内容、数量、輸送経路を示します。 | 輸入者、フォワーダー、通関業者が保管していることがあります。 | 再輸出時の貨物との対応関係を確認します。 |
| 販売証明書・譲渡証明書・製造販売証明書 | 輸入者から現在の輸出者までの流通経路を示します。 | 荷主、販売会社、メーカー、仕入先が準備します。 | 輸入者と再輸出者が異なる場合に重要です。 |
| 残高報告書・在庫管理資料・ロット管理資料 | 輸入時数量と再輸出時数量の対応を説明します。 | 荷主、倉庫、在庫管理部門が準備します。 | 分割販売、分割出荷、加工後出荷で重要になります。 |
| 写真・タグ番号・シリアル番号・識別番号 | 貨物を個別に識別するための資料です。 | 荷主、倉庫、検品担当者が準備します。 | 楽器、美術品、バッグ、標本、研究サンプルで有効です。 |
| 成分表・含有量計算書・加工製造証明書 | 加工品に含まれるCITES対象原料を説明します。 | メーカー、製造者、荷主が準備します。 | 原料が加工品に組み込まれている場合に必要となることがあります。 |
輸入時書類の保管が重要な理由
CITES再輸出証明書では、輸入時の書類保管が実務上の生命線になります。
再輸出証明書は、現在日本から出す貨物が、過去に適正なCITES手続を経て日本へ輸入された貨物であることを前提に発給されます。輸入時のCITES輸出許可書、再輸出証明書、輸入承認証、事前確認書、輸入時インボイス、販売証明書などが残っていなければ、貨物の由来と経路を説明できません。
特に、在庫品、古い商品、展示品、美術品、楽器、中古品、修理品、研究用標本などでは、輸入から再輸出まで長期間が空くことがあります。この場合、輸入時の担当者が退職している、書類が別部署に保管されている、仕入先が廃業している、ロット番号が不明になっているといった問題が起こります。
CITES対象の可能性がある貨物については、少なくとも次の資料を一体で保管しておくことが望まれます。
- 輸入時のCITES輸出許可書またはCITES再輸出証明書
- 輸入承認証、事前確認書などの日本側書類
- 輸入時インボイス、パッキングリスト、B/L、AWB
- 国内販売、譲渡、在庫移動の記録
- 貨物を識別できる写真、タグ番号、シリアル番号、ロット番号
- 加工・分割・再包装がある場合の製造記録や在庫残高資料
フォワーダー・通関業者が確認すべき事項
フォワーダーや通関業者は、荷主から単に「輸出してください」「返送してください」と依頼された場合でも、貨物がCITES対象でないかを確認する必要があります。特に、動植物由来の素材を含む貨物では注意が必要です。
| 確認場面 | 確認する相手 | 確認事項 | 問題がある場合の対応 |
|---|---|---|---|
| 輸出依頼を受けたとき | 荷主・輸出者 | 貨物に動植物由来素材が含まれていないかを確認します。 | 素材不明の場合は、メーカー資料、成分表、材質表の提出を依頼します。 |
| 品名を確認するとき | 荷主・メーカー | 品名だけでなく、原材料名、学術名、成分、材質を確認します。 | 一般名称だけでは判断せず、学術名や素材資料を求めます。 |
| 貨物の由来を確認するとき | 荷主・仕入先 | 過去に日本へ輸入された貨物か、日本原産の貨物かを確認します。 | 海外原産品であれば、再輸出証明書の要否を確認します。 |
| 輸入時書類を確認するとき | 荷主・輸入者・過去の通関業者 | 輸入時のCITES書類、輸入承認証、事前確認書が残っているかを確認します。 | 書類がない場合は、申請可否、代替資料、出荷延期を検討します。 |
| 輸入者と輸出者が異なるとき | 荷主・販売会社・譲渡元 | 販売、譲渡、在庫移動の経路を説明できるかを確認します。 | 販売証明書、譲渡証明書、在庫記録を準備します。 |
| 輸出書類作成時 | 荷主・通関業者 | インボイス上の品名、数量、重量、個数がCITES書類と整合しているかを確認します。 | 不一致があれば、申告前に修正または補足資料を準備します。 |
| Booking前 | 荷主・フォワーダー | 再輸出証明書の取得見込みと有効期限内の出荷可否を確認します。 | 取得未了の場合は、Bookingや搬入時期を調整します。 |
| 相手国側手続確認時 | 海外代理店・輸入者 | 輸出先国側で輸入許可、輸入承認、事前許可などが必要でないかを確認します。 | 日本側で輸出できても相手国で輸入できないリスクを事前に説明します。 |
輸出通関時の注意点
CITES再輸出証明書を取得しても、それだけで実務が完了するわけではありません。輸出通関時には、証明書原本と貨物、インボイス、B/L、AWBなどの船積書類が整合しているかを確認します。
- CITES再輸出証明書の原本を税関へ提示すること
- 証明書上の品名、数量、重量、個数、学術名が船積書類と整合していること
- B/L番号、AWB番号、輸送手段など必要な船積情報が正しく記載されていること
- 税関確認欄に必要な裏書きがされていること
- 証明書の有効期限内に輸出通関と船積ができること
- 相手国側で輸入時に必要となる原本が貨物または輸入者に確実に届くこと
- 航空貨物や国際宅配便では、書類だけが別送にならないよう管理すること
- 郵便物や小口貨物でも、CITES対象であれば手続が不要になるわけではないこと
相手国では、CITES書類の記載不備、原本不備、税関確認欄の不備、数量不一致、学術名不一致、有効期限切れなどを理由に輸入が認められない場合があります。日本側で輸出できたとしても、相手国で輸入できなければ、貨物は返送、滞留、没収、廃棄などのリスクにさらされます。
実務で問題になりやすいケース
| ケース | 起こりやすい問題 | 確認すべき資料 | 対応の考え方 |
|---|---|---|---|
| ワニ革バッグを第三国へ販売する場合 | 輸入時のCITES書類と現在の在庫が対応しているか不明になることがあります。 | 輸入時CITES書類、仕入書、在庫台帳、商品タグ、写真を確認します。 | 輸入時数量と販売済数量、残数量を説明できるようにします。 |
| 希少木材使用の楽器を展示後に送る場合 | 展示品の移動を通常貨物として扱い、CITES確認を漏らすことがあります。 | 素材資料、製造年、輸入時書類、展示会資料、次国向け書類を確認します。 | 販売目的でなくても、国際移動であれば再輸出該当性を確認します。 |
| 修理のために日本へ入れた貨物を返送する場合 | 「返送だから輸出ではない」と誤解し、再輸出証明書を確認しないことがあります。 | 修理依頼書、輸入時CITES書類、修理明細、返送インボイスを確認します。 | 一時的な持込みでも、CITES上の再輸出手続が必要か確認します。 |
| 輸入原料を加工して第三国へ出す場合 | 加工後の商品名からCITES対象原料が見えなくなることがあります。 | 原料輸入書類、成分表、含有量計算書、製造記録を確認します。 | 原料から加工品までの数量連続性を説明できるようにします。 |
| 古い在庫品を再輸出する場合 | 輸入時書類が紛失している、担当者が不在、仕入先が不明という問題が起こります。 | 過去の輸入書類、仕入台帳、在庫台帳、写真、タグ番号を確認します。 | 書類が不足する場合は、出荷前に申請可否と代替資料を確認します。 |
| 研究用標本を共同研究先へ送る場合 | 非商業目的であることから手続不要と誤解されることがあります。 | 研究目的資料、標本情報、学術名、輸入時書類、受入機関情報を確認します。 | 非商業目的でもCITES書類が不要とは限らないため、事前確認します。 |
| 展示会後に海外出展者の貨物を次国へ送る場合 | 主催者、出展者、フォワーダーの間でCITES情報が共有されないことがあります。 | 搬入時書類、展示品リスト、素材資料、次国向け出荷情報を確認します。 | 展示会終了前に、返送先と再輸出書類の要否を確認します。 |
| 国際宅配便で小口返送する場合 | 小口貨物やCourierなら通常手続だけで送れると誤解されます。 | 品名、素材、学術名、輸入時書類、配送業者の取扱条件を確認します。 | 輸送モードにかかわらず、CITES対象性を先に確認します。 |
具体例1:修理後返送の場合
海外顧客から日本へ修理目的で持ち込まれた楽器、革製品、美術品などにCITES対象素材が含まれている場合、修理後に元の国または別の国へ返送する場面で再輸出証明書が問題になることがあります。
荷主は「修理して返すだけ」と考えがちですが、CITES上は、対象貨物が日本へ一度入り、その後国外へ再び出るという国際移動が発生しています。そのため、輸入時のCITES書類、修理依頼書、修理明細、貨物の同一性を示す写真やシリアル番号を確認し、再輸出証明書の要否を判断する必要があります。
特に、修理によって部品交換、加工、再包装が行われた場合には、輸入時の貨物と返送時の貨物がどのように対応しているかを説明できる資料が重要になります。
具体例2:展示会後の第三国移送の場合
海外から日本の展示会へ持ち込まれたCITES対象品を、展示会終了後に出展者の本国ではなく、次の展示国や販売先へ送る場合にも、再輸出証明書が必要となることがあります。
展示品は、販売品ではない、短期間だけ日本にある、展示会終了後にすぐ移動するという理由で、通常貨物のように処理されがちです。しかし、CITES対象貨物であれば、輸入時にどのCITES書類で日本へ入ったのか、展示後にどの国へ出るのか、同一貨物として識別できるのかを確認する必要があります。
展示会貨物では、主催者、出展者、海外代理店、国内フォワーダー、通関業者の間で情報が分断されやすいため、展示会開始前から返送・次国移送の予定を確認しておくことが重要です。
具体例3:在庫品の分割再輸出の場合
海外からCITES対象素材を含む商品をまとめて日本へ輸入し、その後、日本国内で在庫として保管し、複数回に分けて第三国へ販売する場合があります。この場合、輸入時の数量と各再輸出時の数量の対応を説明できることが重要です。
たとえば、ワニ革製品や希少木材製品を100個輸入し、そのうち30個を国内販売、20個を第三国へ販売、残りを在庫保管しているようなケースでは、輸入時CITES書類、販売記録、在庫台帳、ロット番号、商品タグ、写真などを組み合わせて、今回再輸出する貨物がどの輸入ロットに属するかを説明する必要があります。
在庫品では、輸入から再輸出まで時間が空くほど、書類紛失、担当者変更、ロット不明、数量不一致のリスクが高まります。CITES対象品は、輸入時点から再輸出の可能性を見越して書類を保管することが実務上の基本です。
よくある誤解
| よくある誤解 | 実際の考え方 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 日本から出す貨物なら、通常の輸出許可書だけを考えればよい。 | 海外原産のCITES対象貨物を日本から第三国へ出す場合、再輸出証明書が問題になります。 | 日本発の輸出でも、原産国と輸入経緯を確認します。 |
| 返送なら再輸出にはならない。 | 修理後返送、展示後返送、返品でも、CITES対象貨物であれば再輸出手続が必要となる場合があります。 | 取引名目ではなく、貨物の国際移動と対象性で判断します。 |
| 輸入時に通関できた貨物なら、再輸出時も問題ない。 | 再輸出時には、輸入時のCITES書類と現在の貨物がつながっていることを説明する必要があります。 | 輸入時書類の保管と在庫管理が重要です。 |
| 再輸出証明書を取得すれば、いつでも出荷できる。 | 再輸出証明書には有効期限があり、期限内に輸出通関や船積を行う必要があります。 | Booking変更や出荷延期時には有効期限を必ず確認します。 |
| 附属書区分は総論だけで確認すればよい。 | 再輸出時にも、附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの区分によって確認すべき書類や審査の重みが変わります。 | 特に附属書Ⅰは、原輸出の適法性や例外の確認が重要です。 |
| 少量の国際宅配便ならCITES手続は不要である。 | 小口、郵便、Courierでも、対象貨物であればCITES手続が必要となる場合があります。 | 輸送モードではなく、対象種と国際移動で判断します。 |
| 「再輸出許可書」と「再輸出証明書」は同じ意味で使ってよい。 | CITES上は再輸出時の文書はRe-export Certificate、すなわち再輸出証明書として整理するのが基本です。 | 輸出許可書との混同を避けるため、正式説明では再輸出証明書と表記します。 |
| 相手国で必要な書類は輸入者が後で対応すればよい。 | 日本側の再輸出証明書原本や税関確認欄が相手国輸入時に必要となることがあります。 | 出荷前に相手国側の輸入要件と原本管理を確認します。 |
CITESとは記事との関係
CITESとは、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を規制する国際条約です。CITESの総論記事では、ワシントン条約の目的、附属書Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの考え方、対象となる動植物や製品、輸出入規制の基本を扱います。
これに対して、CITES再輸出証明書の記事では、すでに一度輸入されたCITES対象貨物を、さらに第三国へ出す場合の実務に焦点を当てます。
したがって、CITES対象かどうかの基本確認はCITES総論で行い、実際に日本から第三国へ出す段階では、本記事のように再輸出該当性、輸入時書類、国内流通経路、有効期限、輸出通関時の原本管理を確認する、という使い分けになります。
まとめ
CITES再輸出証明書は、ワシントン条約対象貨物を一度輸入した国から第三国へ再び輸出する際に必要となる重要な証明書です。
通常のCITES輸出許可書との違いは、貨物の原産国と輸出国の関係にあります。日本原産の貨物を日本から出す場合と、海外原産の貨物を日本から第三国へ出す場合では、確認すべき書類と説明すべき内容が異なります。
実務では、CITES対象種かどうか、原産国はどこか、日本へ適正に輸入された貨物か、輸入時のCITES書類が残っているか、国内での販売・譲渡経路を説明できるか、再輸出証明書の有効期限内に出荷できるかを確認する必要があります。
特に附属書Ⅰ対象種では、過去の輸入が適法であったこと、原輸出許可や例外要件を説明できること、現在の貨物と輸入時書類が対応していることが重要です。
フォワーダーや通関業者にとっては、荷主からの依頼時点でCITES関連の有無を確認し、出荷直前に判明するリスクを避けることが重要です。CITES再輸出証明書の実務は、証明書を取得することだけでなく、貨物の由来、書類の連続性、有効期限、通関時の原本管理まで含めて確認することが基本です。
