CITES輸出許可書

CITES Export Permit

CITES輸出許可書とは

CITES輸出許可書とは、ワシントン条約、すなわちCITESの対象となる野生動植物、その部分、派生物、加工品などを日本から輸出する際に必要となる許可書です。

対象となるのは、生きた動植物だけではありません。皮革製品、木材、楽器、標本、装飾品、化粧品原料、医薬品原料、研究用サンプル、美術品、加工食品の一部など、動植物由来の素材を含む貨物がCITES対象となる場合があります。

CITES輸出許可書は、通常のインボイス、パッキングリスト、B/L、AWBなどの船積書類とは性格が異なります。貨物がワシントン条約上、輸出してよいものであることを示すための書類であり、日本での輸出通関だけでなく、相手国での輸入手続にも影響します。

実務上は、CITES輸出許可書だけでなく、外為法上の輸出承認証、輸出先国側のCITES輸入許可書、動植物検疫、衛生証明、その他輸出入規制が同時に問題になることがあります。そのため、品名だけで判断せず、学名、原産国、附属書区分、取得経緯、輸出目的、輸出先国の受入要件を早い段階で確認する必要があります。

この記事で扱う範囲

この記事では、CITES対象貨物を日本から輸出する場合に必要となるCITES輸出許可書の実務を扱います。

項目 この記事で扱う内容 他の記事で詳しく扱う内容
CITES輸出許可書の基本 日本からCITES対象貨物を輸出する際に必要となる許可書の役割を扱います。 CITES制度全体、条約の目的、対象種の考え方はCITES総論の記事で扱います。
再輸出証明書との違い 日本原産貨物を初めて輸出する場合と、輸入済み貨物を第三国へ出す場合の違いを整理します。 CITES再輸出証明書の取得要件、輸入時書類、国内流通経路は再輸出証明書の記事で扱います。
輸出許可書の要否判断 貨物に動植物由来素材が含まれるか、学名、附属書区分、原産国、輸出目的を確認する流れを扱います。 個別品目の学術名、附属書掲載状況、注釈、対象外判断は個別確認が必要です。
附属書Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ 輸出許可書実務で附属書区分がどのように影響するかを整理します。 附属書ごとの詳細、例外、留保、輸出割当の最新情報は附属書の記事で扱います。
日本での申請手続 経済産業省への申請、輸出承認証との関係、主な必要書類を整理します。 申請様式、電子申請、個別案件の必要書類は経済産業省の最新手続で確認します。
有効期限と出荷管理 CITES輸出許可書の有効期限、Booking、B/L・AWB番号、船積時期の管理を扱います。 国別の有効期限運用、再発給、相手国での扱いは個別に確認します。
フォワーダー・通関業者の確認 荷主から輸出依頼を受けた際に確認すべき事項を整理します。 フォワーダーの責任範囲、E&Oリスク、荷主確認の実務は別記事で扱います。

制度の目的と背景

CITES輸出許可書の目的は、CITES対象となる野生動植物やその派生物が、条約上認められる条件のもとで国際取引されることを確認することにあります。

CITES対象品は、国際的な需要が高まることで、乱獲、違法採取、密輸、原産地偽装、不適切な取引の対象となることがあります。CITES輸出許可書は、輸出国側で対象種、附属書区分、取得経緯、輸出目的、輸出先を確認し、輸出してよい貨物かどうかを管理するための重要な書類です。

日本から輸出する場合でも、単に日本国内で販売されている商品であることや、通常の輸出通関が可能であることだけでは足りません。CITES対象種に該当する場合、輸出前に必要な許可、承認、証明、相手国側の輸入要件を確認する必要があります。

CITES輸出許可書と再輸出証明書の違い

CITES輸出許可書とCITES再輸出証明書は、どちらもワシントン条約対象貨物を国際的に移動させる際に重要な書類ですが、使われる場面が異なります。

項目 CITES輸出許可書 CITES再輸出証明書 実務上の違い
主な場面 日本原産のCITES対象貨物を日本から初めて輸出する場合に問題になります。 海外から一度日本へ輸入されたCITES対象貨物を、さらに第三国へ出す場合に問題になります。 日本が原産国か、再輸出国かを確認します。
確認の中心 対象種、附属書区分、取得経緯、繁殖、採取、製造の適法性です。 輸入時のCITES書類、輸入承認、輸入許可通知書、国内流通経路、現在の所有関係です。 輸出許可書は原産・取得経緯、再輸出証明書は輸入履歴と連続性が中心です。
原産国との関係 輸出国である日本が原産国となるケースが中心です。 日本以外の国が原産国となるケースが中心です。 CITES上の原産国は、単なる出荷国や製造国と一致しないことがあります。
典型例 日本で人工繁殖・栽培された対象植物や動物を海外へ輸出する場合です。 海外から輸入したワニ革製品や希少木材製品を日本から第三国へ販売する場合です。 同じ日本発の輸出でも、貨物の由来により書類が変わります。
実務上の注意点 輸出前に対象種、学名、附属書区分、取得経緯を確認します。 輸入時書類と現在の貨物がつながっていることを説明します。 輸出許可書と再輸出証明書を取り違えると、申請や相手国輸入で問題になります。

簡単に言えば、日本原産のCITES対象貨物を初めて海外へ出す場合はCITES輸出許可書が問題になります。一方、海外から日本へ輸入されたCITES対象貨物を、さらに別の国へ出す場合はCITES再輸出証明書が問題になります。

輸出許可書が必要かどうかの判断フロー

CITES輸出許可書が必要かどうかは、品名だけでは判断できません。次の順番で確認します。

  1. 貨物に野生動植物、その部分、派生物、加工品が含まれているかを確認します。
  2. 商品名、和名、英名、ブランド名だけでなく、可能な限り学名を確認します。
  3. 原材料、成分、材質、加工状態、製品仕様、製造者情報を確認します。
  4. 対象種がCITES附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲのいずれに掲載されているかを確認します。
  5. 日本原産の貨物か、過去に海外から日本へ輸入された貨物かを確認します。
  6. 日本原産の場合は、CITES輸出許可書の要否を確認します。
  7. 過去に輸入された貨物の場合は、CITES再輸出証明書の要否を確認します。
  8. 輸出目的が販売、展示、研究、サンプル、修理、返送、個人携行、郵便物のいずれかを確認します。
  9. 輸出承認証も必要となる貨物かを確認します。
  10. 輸出先国側でCITES輸入許可書、輸入承認、事前許可などが必要かを確認します。
  11. 許可書の有効期限、B/L番号またはAWB番号、税関確認欄、原本管理の段取りを確認します。

この確認は、輸出申告直前ではなく、見積、契約、サンプル送付、展示会出品、Booking前の段階で行うことが重要です。

附属書区分ごとの基本的な見方

CITES輸出許可書の必要性を判断する際には、附属書区分を確認します。ただし、附属書区分だけで結論が出るとは限らず、貨物の原産国、輸出目的、加工状態、条約適用前取得品かどうか、人工繁殖・人工栽培かどうかなどを合わせて確認します。

区分 基本的な性格 実務上の確認ポイント 注意点
附属書Ⅰ 商業目的の国際取引が原則禁止される種です。 輸出目的、輸出先国側のCITES輸入許可書、例外要件、取得経緯を確認します。 学術研究、条約適用前取得、人工繁殖・人工栽培などの例外確認が問題になります。
附属書Ⅱ 国際取引の管理が必要な種です。 学名、原産国、人工繁殖・人工栽培、加工品該当性、輸出許可書の要否を確認します。 一部の種では輸出割当、いわゆるクオータが問題になることがあります。
附属書Ⅲ 特定国が保護のため国際協力を求める種です。 掲載国、原産国、輸出国の関係により必要書類が変わるため個別確認します。 原産地証明書で足りる場合と、CITES輸出許可書または再輸出証明書が問題になる場合があります。

フォワーダーや通関業者の実務では、附属書区分そのものを独自判断で確定するのではなく、荷主、メーカー、仕入先、専門機関、申請窓口の情報をもとに確認することが重要です。

附属書Ⅱと輸出割当の確認

附属書Ⅱ対象種は、一定の条件のもとで国際取引が認められる場合があります。しかし、附属書Ⅱだから自由に輸出できるという意味ではありません。

一部の附属書Ⅱ対象種では、国際的な取引管理の一環として、輸出国側で年間輸出割当数量、いわゆるクオータが設定される場合があります。輸出割当がある場合、輸出許可書は割当の範囲内でしか発給されないことがあり、輸出数量、採取年、原産地、個体群、野生由来か人工繁殖・人工栽培かといった情報が重要になります。

日本から輸出する場合でも、対象種によっては輸出数量、許可数量、輸出時期、過去の輸出実績、輸出先国側の受入条件を確認する必要があります。特に、同一ロットを複数回に分けて輸出する場合や、サンプル出荷後に本出荷を行う場合には、許可数量と実際の輸出数量の管理が重要です。

日本での申請手続

CITES輸出許可書が必要となる場合は、原則として輸出前に申請し、許可書の発給を受ける必要があります。

日本では、経済産業省のワシントン条約関連手続に従い、対象貨物、附属書区分、輸出か再輸出か、輸出承認の要否などを確認したうえで申請します。申請は電子申請が利用される場合があり、案件によっては郵送や窓口の取扱いを確認する必要があります。

申請では、CITES輸出許可申請書のほか、輸出契約書または輸出インボイス、貨物の由来や取得経緯を示す書類、繁殖や人工栽培を証明する資料、必要に応じて輸出先国のCITES輸入許可書などが求められることがあります。

申請書類に不備がある場合は補正が必要となり、許可書の発給が遅れることがあります。そのため、出荷日、Booking、航空便の搭載予定、展示会搬入日などが決まっている場合は、出荷直前ではなく、かなり早い段階で確認を始める必要があります。

輸出承認証との違い

CITES輸出許可書と混同されやすい書類に、輸出承認証があります。

輸出承認証は、外国為替及び外国貿易法に基づき、輸出承認を受ける義務がある貨物について発行される書類です。日本の輸出通関で税関に提出する書類として重要です。

一方、CITES輸出許可書は、ワシントン条約上求められる許可書です。相手国での輸入手続においても原本提出が求められることがあるため、単なる国内通関書類ではありません。

項目 輸出承認証 CITES輸出許可書 実務上の注意点
根拠 外国為替及び外国貿易法に基づく輸出承認です。 ワシントン条約上の輸出許可です。 同じCITES対象貨物でも、両方必要となる場合があります。
主な役割 日本から輸出してよいことを国内法上承認する書類です。 CITES対象貨物の国際取引を条約上認めるための書類です。 輸出承認証だけでCITES輸出許可書の代わりになるとは限りません。
通関での扱い 日本の輸出通関で税関へ提出します。 日本の輸出通関で原本提示し、相手国輸入時にも重要となります。 通関完了後の原本管理まで確認します。
確認の中心 輸出承認対象貨物かどうかです。 学名、附属書区分、原産国、B/L・AWB番号、税関確認欄です。 申請目的と記載内容を混同しないようにします。

輸出承認証とCITES輸出許可書が両方必要な場合

貨物によっては、輸出承認証とCITES輸出許可書の両方が必要となる場合があります。この場合、実務上は「どちらか一方だけを取得すればよい」と考えるのではなく、同じ貨物について国内法上の輸出承認と、CITES上の輸出許可の両方を整合させて進める必要があります。

手順 確認する内容 主な相手・窓口 注意点
1. 対象貨物の確認 学名、附属書区分、原産国、輸出目的、数量を確認します。 荷主、メーカー、仕入先、申請担当者 ここで輸出か再輸出かを取り違えないことが重要です。
2. 必要手続の切り分け 輸出承認証が必要か、CITES輸出許可書が必要か、両方必要かを確認します。 経済産業省、申請担当者、通関業者 対象種や附属書区分により必要手続が変わります。
3. 相手国側書類の確認 附属書Ⅰなどで、輸出先国側のCITES輸入許可書が必要かを確認します。 海外輸入者、海外代理店、相手国所管機関 相手国書類がなければ日本側申請が進まない場合があります。
4. 申請書類の整合 輸出承認申請、CITES輸出許可申請、インボイス、契約書、数量、学名を一致させます。 荷主、申請担当者、通関業者 同じ貨物について別々の品名や数量で申請しないようにします。
5. 発給後の通関準備 輸出承認証、CITES輸出許可書、B/L・AWB番号、税関確認欄の段取りを確認します。 フォワーダー、通関業者、税関 CITES輸出許可書は相手国輸入時にも使うため、原本管理が重要です。
6. 出荷後の原本管理 相手国側で必要となるCITES輸出許可書原本を確実に移送します。 フォワーダー、海外代理店、輸入者 書類だけが別送で遅れると、相手国で貨物が止まることがあります。

実務では、経済産業省関連の手続であっても、輸出承認証とCITES輸出許可書は役割が異なります。申請準備では、まず対象貨物の学名・附属書区分・輸出か再輸出かを確定し、そのうえで必要となる承認・許可を同時に見渡して進めることが重要です。

有効期限の確認

CITES輸出許可書には有効期限があります。許可書を取得しても、有効期限内に輸出通関、船積、相手国側で必要となる輸入手続へつなげられなければ、実務上使用できない場合があります。

取得が早すぎると、Booking変更、本船変更、航空便変更、展示会日程変更、貨物準備遅れなどにより、有効期限切れのリスクが生じます。一方で、取得が遅すぎると、申請不備や審査期間により、出荷予定日に間に合わないリスクがあります。

確認項目 確認する理由 問題が起きやすい場面 実務上の対応
発給日 有効期限の起算点となるためです。 許可書取得後に出荷予定が延期される場合です。 発給日と船積予定日を同時に管理します。
有効期限 期限内に輸出通関や相手国側手続へつなげる必要があるためです。 展示会延期、サンプル仕様変更、製造遅延、本船変更がある場合です。 Booking変更時にCITES輸出許可書の期限も確認します。
B/L番号・AWB番号 許可書上の船積情報と実際の輸送書類を整合させるためです。 船会社変更、航空会社変更、House B/L変更がある場合です。 番号確定後の記載、変更時の対応を事前に確認します。
輸出先国側の輸入手続 相手国側で原本や輸入許可書が必要となる場合があるためです。 輸入者側の準備不足、書類原本の到着遅れがある場合です。 相手国側がいつ原本を必要とするかを確認します。
再申請の可否 期限切れ後に同じ条件で再取得できるとは限らないためです。 数量、輸出先、貨物状態、契約条件が変わった場合です。 期限切れを前提にせず、取得後は確実に使用できる出荷計画にします。

主な必要書類

CITES輸出許可書の申請や輸出通関で確認される主な書類には、次のようなものがあります。実際に必要となる書類は、対象種、附属書区分、輸出目的、貨物の状態によって異なります。

書類 主な役割 誰が準備するか 注意点
CITES輸出許可申請書 CITES輸出許可書の発給を受けるための申請書です。 輸出者または申請代理人が準備します。 学名、数量、輸出者、輸入者、原産国を正確に記載します。
輸出承認申請書または関連申請書類 輸出承認が必要な貨物について申請するための書類です。 輸出者または申請担当者が準備します。 CITES輸出許可書だけで足りるか、輸出承認証も必要かを確認します。
輸出契約書・注文書・輸出インボイス 輸出取引の相手、数量、価格、目的を示す書類です。 輸出者、荷主、販売部門が準備します。 一般的な品名だけでなく、素材や学名を補足する必要があります。
パッキングリスト 個数、重量、梱包、数量を示す書類です。 輸出者、倉庫、フォワーダーが準備します。 許可書上の数量・重量と整合させます。
学名・和名・英名・品名を確認できる資料 CITES対象種かどうかを確認するための資料です。 メーカー、研究機関、仕入先、荷主が準備します。 商品名やブランド名だけでは不十分な場合があります。
原産国・採取地・繁殖地・栽培地を示す資料 貨物の由来を説明するための資料です。 荷主、メーカー、仕入先が準備します。 CITES上の原産国は製造国や出荷国と一致しないことがあります。
人工繁殖・人工栽培・養殖・製造経緯を示す証明書 野生由来ではないことや適法な取得経緯を説明する資料です。 繁殖業者、栽培者、メーカー、荷主が準備します。 附属書Ⅰや附属書Ⅱでは重要な確認資料になることがあります。
条約適用前取得品であることを示す資料 条約適用前に取得された貨物であることを説明する資料です。 所有者、販売者、鑑定機関などが準備します。 骨董品、美術品、楽器などで問題になりやすい資料です。
輸出先国のCITES輸入許可書 附属書Ⅰなどで輸出先国側の受入許可を示す資料です。 輸入者または輸出先国側の関係者が準備します。 日本側申請前に必要となる場合があるため、早めに確認します。
貨物写真・タグ番号・シリアル番号・ロット番号 貨物を個別に識別するための資料です。 荷主、倉庫、検品担当者が準備します。 楽器、美術品、標本、バッグ、研究サンプルで重要です。
B/L・AWB・Sea Waybillなどの船積書類 実際の輸送情報を示す書類です。 フォワーダー、船会社、航空会社が関係します。 CITES輸出許可書の記載欄や輸出通関時の確認と整合させます。
動植物検疫・衛生証明・その他輸出規制書類 CITES以外の法令で必要となる書類です。 荷主、関係機関、通関業者が確認します。 CITES書類があっても、他法令手続が不要になるとは限りません。

フォワーダー・通関業者が確認すべき事項

フォワーダーや通関業者は、荷主から輸出依頼を受けた時点で、CITES対象貨物の可能性がないか確認する必要があります。特に、動植物由来素材を含む貨物では、品名だけで安全と判断しないことが重要です。

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
輸出依頼を受けたとき 荷主・輸出者 貨物に動植物由来素材が含まれていないかを確認します。 素材不明の場合は、メーカー資料や成分表の提出を依頼します。
品名確認時 荷主・メーカー 品名だけでなく、学名、原材料名、成分、材質を確認します。 一般名称やブランド名だけで非該当判断をしないようにします。
原産国確認時 荷主・仕入先・メーカー 日本原産か、過去に海外から輸入された貨物かを確認します。 輸出許可書か再輸出証明書かを切り分けます。
附属書確認時 荷主・申請担当者 CITES附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲのいずれに該当するかを確認します。 不明な場合は専門資料や申請窓口で確認します。
輸出承認確認時 荷主・申請担当者・通関業者 輸出承認証も必要となる貨物でないかを確認します。 CITES輸出許可書と輸出承認証の両方が必要な場合は、申請順序と日程を確認します。
輸出先国確認時 海外代理店・輸入者 輸出先国側でCITES輸入許可書や事前許可が必要でないかを確認します。 日本側で輸出できても、相手国で輸入できないリスクを説明します。
Booking前 荷主・フォワーダー CITES輸出許可書の取得見込み、有効期限、船積予定日を確認します。 未取得の場合は、Bookingや搬入時期を調整します。
輸出通関前 通関業者・フォワーダー インボイス、パッキングリスト、B/L、AWBの品名・数量・重量が許可書と一致しているかを確認します。 不一致がある場合は、申告前に修正または補足資料を準備します。
原本管理時 フォワーダー・海外代理店・輸入者 許可書原本を相手国側へ確実に送付または貨物と一緒に移送できるかを確認します。 書類別送の遅延や紛失を防ぐ管理方法を決めます。

輸出通関時の注意点

CITES輸出許可書を取得した後も、輸出通関時の処理に注意が必要です。

CITES輸出許可書には、B/L番号やAWB番号を記載する欄があります。船積書類の番号が確定した後、許可書の該当欄に正しく記載し、輸出通関時に原本を税関へ提示する必要があります。

また、税関による確認欄の裏書きがない場合、相手国で輸入手続を行う際に、CITES書類の不備として扱われる可能性があります。日本側で輸出通関が完了しても、相手国で輸入できなければ、貨物は滞留、返送、没収、廃棄などのリスクにさらされます。

  • CITES輸出許可書の原本を税関へ提示すること
  • B/L番号またはAWB番号を正しく記載すること
  • 税関確認欄の裏書きを受けること
  • 許可書上の品名、数量、重量、学名、原産国が船積書類と整合していること
  • 実際の輸出数量が許可数量を超えないこと
  • 有効期限内に輸出通関と船積を行うこと
  • 許可書原本を相手国側で使用できるよう管理すること
  • 郵便物、小口貨物、サンプルでもCITES対象であれば確認を省略しないこと

実務で問題になりやすいケース

ケース 起こりやすい問題 確認すべき資料 対応の考え方
日本で人工栽培されたランやサボテンを海外へ販売する場合 学名、人工栽培の証明、附属書区分の確認が不足することがあります。 学名資料、栽培証明、販売契約書、輸出先国書類を確認します。 品種名だけでなく、CITES上の種名と由来を確認します。
日本で繁殖されたCITES対象動物を海外へ輸出する場合 人工繁殖の証明や個体識別資料が不足することがあります。 繁殖証明、個体識別番号、写真、輸出先国の輸入要件を確認します。 輸出前に個体と書類の対応を明確にします。
CITES対象植物由来成分を含む化粧品原料を輸出する場合 加工品名から対象原料が見えにくくなることがあります。 成分表、含有量計算書、原材料証明、学名資料を確認します。 加工品であっても、対象部分・派生物に該当しないか確認します。
希少木材を使用した楽器や部材を輸出する場合 木材名が一般名称で記載され、対象種か判断できないことがあります。 樹種、学名、製造年、素材証明、写真、シリアル番号を確認します。 楽器全体ではなく、部材単位でCITES対象性を確認します。
学術研究目的で標本やサンプルを送る場合 非商業目的であることから手続不要と誤解されることがあります。 研究目的資料、受入機関資料、標本情報、学名、輸出先国書類を確認します。 非商業目的でもCITES輸出許可書が不要とは限りません。
展示会へCITES対象素材を含む製品を出品する場合 展示品として一時的に出すだけと考え、CITES確認が遅れることがあります。 展示会資料、素材資料、搬入出計画、返送予定、相手国側手続を確認します。 展示後の返送や次国移送まで見越して確認します。
少量の試作品やサンプルを国際宅配便で送る場合 少量・無償サンプルなら手続不要と誤解されることがあります。 成分表、学名、数量、用途、Courierの取扱条件を確認します。 輸送モードや数量ではなく、対象種と国際移動で判断します。
輸出承認証とCITES輸出許可書の両方が必要な場合 片方だけ取得して出荷準備を進めてしまうことがあります。 輸出承認対象性、CITES申請書類、インボイス、輸出先国書類を確認します。 必要手続を一覧化し、出荷予定日から逆算して申請します。

具体例1:学術研究目的で標本を海外へ送る場合

大学、研究機関、博物館などが、CITES対象となる動植物の標本や研究用サンプルを海外の共同研究先へ送る場合、商業販売ではないため手続不要と誤解されることがあります。

しかし、CITESでは商業目的かどうかだけでなく、対象種に該当するか、附属書区分は何か、輸出先国側で受入可能か、標本の取得経緯を説明できるかが重要になります。非商業目的であっても、CITES輸出許可書や相手国側のCITES輸入許可書が必要となる場合があります。

実務では、研究目的、受入機関、標本の学名、取得経緯、数量、保存状態、輸送方法、相手国側の輸入要件を早めに確認し、通常の国際宅配便の書類だけで送らないことが重要です。

具体例2:展示会へCITES対象素材を含む製品を出品する場合

楽器、美術品、皮革製品、木材製品、装飾品などを海外展示会へ出品する場合、商品として販売する予定がなくても、CITES対象素材が含まれていれば輸出許可書が問題になることがあります。

展示会貨物では、展示期間、搬入日、搬出日、返送予定、次国移送の予定が先に決まっていることが多く、CITES確認が遅れると搬入日に間に合わないリスクがあります。また、展示後に日本へ戻すのか、第三国へ送るのかによって、輸出時と再輸入時、または次国移送時の手続が変わることがあります。

実務では、展示品リストを作成する段階で、素材、学名、原産国、製造年、輸出先国側の輸入要件を確認し、B/L番号やAWB番号、税関確認欄、許可書原本の管理まで出荷前に段取りしておくことが重要です。

具体例3:少量サンプルを国際宅配便で送る場合

化粧品原料、植物エキス、皮革小物、木材サンプル、研究用試料などを少量だけ国際宅配便で送る場合、荷主は「少量だから問題ない」「無償サンプルだから通常貨物で送れる」と考えることがあります。

しかし、CITES対象種に該当する場合、数量が少ないことや無償であることだけで手続が不要になるとは限りません。むしろ小口貨物では、品名が簡略化され、学名や原材料が書類に現れないため、CITES対象性の見落としが起こりやすくなります。

実務では、Courierのラベルやインボイスを作成する前に、原材料、学名、附属書区分、輸出許可書の要否、輸出先国側の輸入要件を確認します。出荷直前に判明すると、集荷キャンセル、保管料、再手配、納期遅延につながります。

よくある誤解

よくある誤解 実際の考え方 実務上の注意点
生きた動植物だけがCITES輸出許可書の対象である。 部分、派生物、加工品も対象になる場合があります。 皮革、木材、標本、楽器、化粧品原料、研究サンプルも確認します。
商品名に動植物名がなければ対象外である。 判断には学名、原材料、成分、加工状態、原産国が重要です。 ブランド名や一般名称だけで判断しないようにします。
少量サンプルならCITES輸出許可書は不要である。 少量、無償、サンプルでも、対象種であれば手続が必要となる場合があります。 Courierや郵便物でもCITES対象性を確認します。
研究用や展示用なら商業目的ではないので不要である。 非商業目的でも、附属書区分や相手国側要件により許可書が必要となる場合があります。 目的だけでなく、対象種と国際移動の有無で確認します。
CITES輸出許可書を取得すれば、いつでも出荷できる。 許可書には有効期限があり、期限内に輸出通関や船積へつなげる必要があります。 Booking変更や出荷延期時には有効期限を必ず確認します。
輸出承認証とCITES輸出許可書は同じものである。 輸出承認証は外為法上の承認、CITES輸出許可書はワシントン条約上の許可です。 貨物によっては両方必要となる場合があります。
日本から出す貨物なら必ずCITES輸出許可書でよい。 過去に海外から日本へ輸入された貨物を第三国へ出す場合は、再輸出証明書が問題になります。 日本原産か、輸入済み貨物かを確認します。
日本で輸出通関できれば、相手国でも輸入できる。 相手国側でCITES輸入許可書や原本提示が必要となる場合があります。 輸出先国側の要件と原本管理を出荷前に確認します。

CITESとは記事・再輸出証明書記事との関係

CITESとは記事では、ワシントン条約の全体像、附属書区分、対象となる動植物や製品、輸出入規制の基本を扱います。

本記事では、そのうち日本からCITES対象貨物を輸出する場合のCITES輸出許可書に焦点を当てます。特に、日本原産の対象貨物を初めて海外へ輸出する場面を中心に整理しています。

一方、海外から日本へ一度輸入されたCITES対象貨物を、さらに第三国へ出す場合は、CITES再輸出証明書の記事で確認します。

実務では、まずCITESとは記事で対象種かどうかを確認し、次に本記事で輸出許可書の要否を確認します。過去に輸入された貨物であれば、再輸出証明書の記事で輸入時書類や国内流通経路を確認する、という使い分けになります。

まとめ

CITES輸出許可書は、ワシントン条約対象貨物を日本から輸出する際に必要となる重要な許可書です。

生きた動植物だけでなく、皮革製品、木材、楽器、標本、化粧品原料、研究用サンプルなど、動植物由来素材を含む貨物が対象となる場合があります。商品名だけでは判断できないため、学名、原産国、附属書区分、取得経緯、加工状態を確認することが重要です。

また、CITES輸出許可書とCITES再輸出証明書、輸出承認証は、それぞれ役割が異なります。日本原産の貨物を初めて輸出するのか、海外から輸入された貨物を第三国へ再輸出するのか、外為法上の輸出承認も必要なのかを切り分けて確認する必要があります。

CITES輸出許可書には有効期限があり、B/L番号やAWB番号、税関確認欄の裏書き、許可書原本の相手国側への引渡しまで管理する必要があります。許可書を取得するだけでなく、実際の輸出通関と相手国側の輸入手続までつながるように進めることが重要です。

フォワーダーや通関業者にとっては、荷主からの依頼時点でCITES対象の可能性を確認し、出荷直前の判明を避けることが重要です。CITES輸出許可書の実務では、許可書の取得、輸出承認証との切り分け、有効期限、輸出数量、B/L・AWB番号、税関確認欄、原本管理、相手国での輸入手続まで見据えて進めることが基本です。

同義語・別表記

  • CITES輸出許可書
  • ワシントン条約輸出許可書
  • CITES Export Permit
  • 輸出許可書
  • ワシントン条約許可書
  • 経済産業省発給CITES輸出許可書

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