原産地証明書の種類

Types of Certificate of Origin

原産地証明書の種類とは

原産地証明書の種類とは、輸出入取引で使用される原産地証明について、目的、発行主体、申告主体、証明方式、責任関係の違いにより整理したものです。

原産地証明書には、関税優遇とは別の目的で使う一般原産地証明書と、EPA・FTA・GSPなどの特恵税率を利用するための特恵目的の原産地証明があります。

特恵目的の原産地証明には、EPA・FTAに基づく特定原産地証明書、原産品申告書、原産地申告文、自己申告制度による申告、認定輸出者制度による申告、GSPに関する原産地証明などが含まれます。

このうち、特定原産地証明書は、特恵目的の原産地証明の一形態であり、主に第三者証明制度により発給される証明書として整理します。GSPはEPA・FTAとは別制度ですが、関税上の優遇を受けるための原産地証明という意味では、一般原産地証明書ではなく特恵目的の原産地証明として区別します。

同じ「原産地証明書」という名称でも、制度が異なれば、必要書類、申告主体、保存資料、税関確認への対応が変わります。そのため、原産地証明書の種類を理解することは、EPA活用、GSP確認、一般原産地証明書の取得、輸出入書類管理の基本になります。

この記事で扱う範囲

この記事では、原産地証明書や原産地証明方式の種類を、実務上どのように区別するかを扱います。

本記事は、「原産地証明とは」というハブ記事と、「自己申告制度とは」「第三者証明制度とは」「認定輸出者制度とは」「REX制度とは」などの個別専門記事の中間層に位置づける記事です。

項目 本記事で扱う内容 他の記事で扱う内容
原産地証明書の種類 一般原産地証明書、特恵目的の原産地証明、特定原産地証明書、GSP証明などの分類を整理する 原産地証明全体の入口は「原産地証明とは」で扱う
一般原産地証明書と特恵目的の原産地証明 関税優遇目的か、取引先提出・信用状条件・非特恵目的かを区別する 非特恵原産地規則や原産地表示の詳細は別記事で扱う
証明方式の分類 第三者証明、自己申告、輸出者申告、生産者申告、輸入者自己申告、認定輸出者制度を整理する 自己申告制度、第三者証明制度、認定輸出者制度の詳細は個別記事で扱う
特定原産地証明書 特定原産地証明書を、特恵目的の原産地証明の一形態として整理する 第三者証明制度や協定別の発給手続の詳細は個別記事で扱う
REX制度 日EU EPAにおけるEU側REX番号と日本側法人番号の違いを整理する REX制度の登録要件、番号確認、記載例は「REX制度とは」で扱う
GSPに関する証明 GSPがEPA・FTAとは別制度でありながら、特恵目的の原産地証明として整理されることを扱う GSPの対象国、対象品目、原産地基準、必要証明の詳細はGSP関連記事で扱う
協定ごとの証明方式 CPTPP、日EU EPA、RCEP、GSP、一般原産地証明の証明方式を比較する 各EPA・FTAの協定別手続、対象品目、税率確認は個別協定記事で扱う
責任主体と保存資料 どの証明方式で、誰が原産性を説明し、どの資料を保存するかを整理する 税関事後確認、Verification、原産地調査の詳細対応は別記事で扱う
フォワーダーの関与範囲 証明方式ごとに、フォワーダーが支援しやすいことと断定すべきでないことを整理する フォワーダー責任、通関書類確認、B/L・輸送書類の詳細は関連する実務記事で扱う

原産地証明書の種類を整理する理由

原産地証明書は、単に「原産国を示す書類」として一括りにすると誤解が生じます。

ある取引では信用状条件を満たすための一般原産地証明書が必要になり、別の取引ではEPA税率を利用するための特定原産地証明書や原産品申告書が必要になります。また、日EU EPAでは原産地申告文とREX番号または法人番号の確認が問題になり、GSPではEPAとは異なる原産地証明や直送要件が問題になります。

したがって、原産地証明書の種類を確認する際は、書類名だけで判断せず、目的、制度、証明方式、申告主体、保存資料、税関確認時の説明責任を合わせて確認する必要があります。

よくある誤解

原産地証明書の種類では、次のような誤解がよく起こります。

誤解 実際の考え方 起こり得る問題
一般原産地証明書でEPA税率が使える 一般原産地証明書は非特恵目的で使われることが多く、EPA税率には協定ごとの特恵目的の原産地証明が必要になる 輸入時にEPA税率を適用できず、通常税率になる可能性がある
特定原産地証明書と特恵目的の原産地証明は同じ意味である 特定原産地証明書は、特恵目的の原産地証明の一形態であり、主に第三者証明制度で発給される証明書として整理される 自己申告制度や原産地申告文など、他の特恵証明方式を見落とす
第三者機関が発給すれば原産性は保証される 発給機関は提出書類を確認するが、原産性の基礎資料や申請内容の正確性は申請者側でも管理する必要がある 税関確認時に根拠資料を説明できない
自己申告は誰でも使える 自己申告できる者は協定や制度によって異なり、輸出者、輸入者、生産者などの範囲を確認する必要がある 利用できない申告主体で書類を作成してしまう
REX番号は日本発EU向けでも必要である REX番号はEU側の登録輸出者制度であり、日本側輸出者がEU向けに申告する場合は通常、日本の法人番号を確認する 輸出方向を誤って番号要件を混同する
原産地申告文があれば根拠資料は不要である 申告文は証明手段であり、原産地基準を満たす材料資料、工程資料、原価資料などの保存が必要になる 事後確認で原産性を説明できない
GSPはEPAの一種である GSPはEPA・FTAとは別の制度だが、関税優遇を受けるための原産地証明という意味では特恵目的の原産地証明に含めて整理する 制度を誤って、必要な証明書や確認資料を準備できない
輸入者自己申告なら輸入者だけで完結できる 輸入者自己申告でも、輸出者や生産者が持つ材料表、工程表、原価資料が必要になる場合がある 税関確認時に輸入者側だけでは原産性を説明できない
フォワーダーが証明方式を最終判断してくれる フォワーダーは書類整合や輸送資料の整理を支援できるが、原産性や証明方式の最終判断主体ではない 責任主体が曖昧になり、申告後の説明責任に対応できない

一般原産地証明書と特恵目的の原産地証明の違い

原産地証明書は、大きく一般原産地証明書と特恵目的の原産地証明に分けて整理できます。

一般原産地証明書は、主に輸出貨物の原産国を示すための証明書です。輸入国側の通関手続、信用状条件、取引先の要求、輸入規制、原産地表示などのために使われることがあります。

一方、特恵目的の原産地証明は、EPA・FTA・GSPなどに基づく特恵税率を利用するために、貨物が制度上の原産品であることを証明または申告するものです。ここには、特定原産地証明書、原産品申告書、原産地申告文、自己申告、認定輸出者制度、GSPに関する原産地証明などが含まれます。

項目 一般原産地証明書 特恵目的の原産地証明 実務上の注意点
主な目的 輸入国側の要求、信用状条件、原産地表示、取引先提出など EPA・FTA・GSPなどの特恵税率を利用するため 提出目的が非特恵目的か、関税優遇目的かを確認する
主な書類・方式 商工会議所などが発給する一般原産地証明書 特定原産地証明書、原産品申告書、原産地申告文、自己申告、認定輸出者制度、GSPに関する原産地証明など 特定原産地証明書は、特恵目的の原産地証明の一形態として整理する
関税優遇との関係 通常はEPA税率やGSP税率の適用を目的としない 特恵税率の適用に直接関係する 一般原産地証明書だけでEPA税率やGSP税率を使えるとは限らない
主な発行・作成主体 商工会議所などの発給機関 発給機関、輸出者、生産者、輸入者など協定・制度により異なる 誰が作成・申告できるかは協定別に確認する
確認する規則 非特恵原産地規則、輸入国側要求、取引条件 対象協定・制度の特恵原産地規則、PSR、積送基準、証明方式 原産国表示用の判断と特恵税率用の判断を混同しない
保存資料 取引書類、製造国資料、提出先要求資料など HSコード、PSR、材料表、工程表、原価資料、積送資料など 特恵目的では証明書だけでなく根拠資料の保存が重要になる

原産地証明書・証明方式・責任主体の全体分類

原産地証明書や原産地証明方式は、目的、作成主体、申告主体、責任主体、保存資料を一体で整理すると分かりやすくなります。

種類・方式 主な目的 発行・作成主体 原産性を説明する主な主体 保存すべき資料 主に使う場面
一般原産地証明書 非特恵目的で原産国を示す 商工会議所などの発給機関 申請者、輸出者 申請資料、インボイス、製造国資料、取引先要求資料 信用状条件、取引先要求、輸入国側要求
特定原産地証明書 EPA税率を利用するための特恵原産地証明書の一形態 協定上の発給機関 輸出者、申請者、生産者 原産地判定資料、材料表、製造証明、インボイス、PSR確認資料 第三者証明制度を採用するEPA
輸出者自己申告 輸出者が原産性を申告する 輸出者 輸出者 PSR確認資料、材料表、工程表、RVC計算資料、サプライヤー証明書 日EU EPA、CPTPPなど
生産者申告 生産者が製造情報に基づき原産性を申告する 生産者 生産者 製造工程表、原材料リスト、原価資料、サプライヤー証明書 生産者が原産性情報を保有している場合
輸入者自己申告 輸入者が特恵税率の適用を申告する 輸入者 輸入者 輸出者・生産者から取得した根拠資料、輸入申告資料、PSR確認資料 CPTPP、RCEPなどで認められる場合
認定輸出者制度 認定を受けた輸出者が申告する 認定輸出者 認定輸出者 認定関連資料、原産性資料、社内管理記録、申告文控え 継続的にEPAを利用する企業
REX制度 EU側登録輸出者が原産地申告文を作成する EU側登録輸出者 EU側登録輸出者 REX登録情報、原産地申告文、インボイス、原産性資料 EU発日本向けの日EU EPA取引など
GSPに関する原産地証明 EPA・FTAとは別枠の特恵制度に基づき、一般特恵関税制度を利用する 制度により異なる 輸出者、輸入者、発給機関など GSP上の原産地基準資料、直送要件資料、必要証明書 GSP対象国・対象品目の輸入

第三者証明制度

第三者証明制度とは、商工会議所などの発給機関が、申請者から提出された書類を確認し、原産地証明書を発給する制度です。

一般原産地証明書のほか、一部のEPAでは第三者証明制度による特定原産地証明書が使われます。

特定原産地証明書は、特恵目的の原産地証明の一形態であり、第三者証明制度により発給される証明書として位置づけられます。したがって、「特定原産地証明書」と「特恵目的の原産地証明」は完全な同義語ではなく、前者は後者に含まれる具体的な証明書の一つです。

第三者証明制度では、輸出者や申請者が、インボイス、製造証明書、原材料資料、原産地判定資料などを準備して申請します。

ただし、第三者機関が証明書を発給するからといって、原産性の実質的な説明責任がすべて発給機関に移るわけではありません。発給機関は提出書類を確認しますが、原産地判断の基礎資料や申請内容の正確性は、基本的に申請者側で管理する必要があります。

自己申告制度

自己申告制度とは、輸出者、生産者、輸入者など、協定上認められた者が貨物の原産性を申告する制度です。

自己申告制度では、第三者機関による事前発給手続が不要になる一方で、申告者自身の管理責任が大きくなります。HSコード、品目別原産地規則、材料表、製造工程表、RVC計算資料などを整えておくことが重要です。

誰が自己申告できるかは、協定や輸入国側の制度によって異なります。輸出者が申告できる場合、生産者が申告できる場合、輸入者が自己申告できる場合があるため、制度ごとの確認が必要です。

輸出者自己申告・生産者申告・輸入者自己申告の違い

方式 申告主体 説明しやすい情報 問題になりやすい点 実務上の対応
輸出者自己申告 輸出者 輸出貨物、インボイス、取引内容、サプライヤー情報 輸出者が製造工程や原価情報を十分に持っていない場合がある 生産者から材料表、工程表、原産性資料を取得できる体制を確認する
生産者申告 生産者 製造工程、原材料、加工内容、原価情報 輸出者や輸入者が生産者資料を直接入手できない場合がある 秘密情報の扱いを整理し、必要資料の提出範囲を事前に決める
輸入者自己申告 輸入者 輸入申告、税率適用、輸入後の税関対応 輸入者側だけでは製造工程や原価資料を説明できない場合がある 輸入前に輸出者・生産者から根拠資料を取得または提出可能な状態にする

認定輸出者制度

認定輸出者制度とは、一定の要件を満たす輸出者が、税関などの認定を受けたうえで、原産地申告を行う制度です。英語ではApproved Exporterと呼ばれます。

認定輸出者制度を利用できる場合、輸出者は認定番号などを用いて、所定の原産地申告文を作成します。継続的にEPAを利用する企業にとっては、手続の効率化につながる場合があります。

ただし、認定を受けるには、原産地管理体制、社内手続、保存資料、確認体制が求められます。認定後も、原産地規則を満たすことを説明できる資料を保存し、税関確認に対応できる状態にしておく必要があります。

REX制度

REX制度とは、Registered Exporter Systemの略で、EU側の登録輸出者制度をいいます。

日EU EPAでは、EU側輸出者が一定金額を超える貨物について原産地申告文を作成する場合、REX番号の記載が必要になることがあります。

REX番号は、EU側輸出者を特定するための重要な情報です。EUから日本へ輸入する場合は、インボイス等に記載された原産地申告文、REX番号の有無、対象貨物の金額、原産国表示を確認します。

一方、日本側輸出者がEU向けに原産地申告文を作成する場合は、EU側のREX番号ではなく、日本の法人番号を輸出者参照番号として扱うのが基本です。

輸出方向によって確認すべき番号が異なるため、EU発日本向けと日本発EU向けを分けて整理する必要があります。

GSPにおける原産地証明

GSPとは、一般特恵関税制度のことで、開発途上国などからの輸入品について、一定の条件を満たす場合に関税上の優遇を認める制度です。

GSPはEPA・FTAとは別の枠組みですが、関税上の優遇を受けるために原産地を証明する制度であるため、一般原産地証明書とは区別して、特恵目的の原産地証明として整理します。

GSPを利用する場合は、対象国、対象品目、原産地基準、直送要件、必要な原産地証明書を確認する必要があります。EPAの特定原産地証明書や自己申告制度とは異なる手続が求められる場合があります。

実務では、EPAを使う取引なのか、GSPを使う取引なのか、または一般原産地証明書だけが求められている取引なのかを分けて整理することが重要です。

協定・制度ごとの証明方式と申告文の注意点

原産地証明の方式は、協定ごとに異なります。同じ貨物であっても、CPTPP、RCEP、日EU EPA、GSP、一般原産地証明書のどれを使うかによって、必要な証明方法、申告主体、番号の扱いが変わることがあります。

協定・制度 主な証明方式 申告主体・発給主体 番号・文言の扱い 実務上の注意点
CPTPP 自己申告制度 輸出者、生産者、輸入者など 協定上求められる必要的記載事項を確認する 統一様式ではなく、必要的記載事項を満たしているかが重要になる
日EU EPA 原産地申告文 輸出者、輸入者など EU側輸出者はREX番号、日本側輸出者は法人番号を確認する EU発日本向けと日本発EU向けで番号確認の考え方が異なる
RCEP 第三者証明、認定輸出者による申告、自己申告など 輸出者、生産者、輸入者、発給機関など 認定輸出者番号などが関係する場合がある 国ごと・時期ごとに利用できる方式を確認する必要がある
GSP GSP上の原産地証明方式 制度により異なる GSP制度上求められる証明書や申告を確認する EPA・FTAとは別枠の特恵制度として確認する
一般原産地証明 商工会議所などの一般原産地証明書 申請者、発給機関 提出先の要求、L/C条件、記載内容を確認する 非特恵目的で使われることが多く、EPA税率用とは区別する

主要書類

原産地証明書の種類を確認する際に重要となる主な書類は次のとおりです。

書類・資料 主な用途 確認する相手 注意点
一般原産地証明書 非特恵目的で原産国を示す 輸出者、商工会議所、取引先 EPA税率用とは限らない
特定原産地証明書 EPA税率を利用するために原産品であることを示す特恵原産地証明書の一形態 輸出者、発給機関、輸入者 対象協定と発給方式を確認する
GSPに関する原産地証明書 一般特恵関税制度を利用する 輸出者、発給機関、輸入者 EPA・FTAとは別枠の特恵制度として確認する
原産品申告書 自己申告制度で原産性を申告する 輸出者、生産者、輸入者 必要的記載事項と申告主体を確認する
原産地申告文を記載したインボイスまたは商業書類 協定上の申告文により原産性を示す 輸出者、輸入者 文言、対象書類、番号の扱いを確認する
REX番号が記載された書類 EU側登録輸出者による申告を確認する EU側輸出者、輸入者 EU発日本向けか、日本発EU向けかを分けて確認する
認定輸出者番号が記載された書類 認定輸出者制度による申告を確認する 認定輸出者、輸入者 認定範囲と対象協定を確認する
HSコード確認資料 対象品目とPSRを確認する 輸入者、輸出者、通関業者 HS分類を誤ると証明方式以前に判定が誤る
品目別原産地規則の確認資料 どの原産地基準が必要か確認する 輸入者、輸出者、通関業者 協定ごとに異なる
製造工程表・材料表・RVC計算資料 原産性の根拠を説明する 生産者、輸出者、輸入者 税関確認に備えて保存する
B/L、Sea Waybill、航空運送状 輸送経路や積送基準を確認する フォワーダー、船会社、航空会社、輸入者 第三国経由時は追加資料が必要になる場合がある

証明方式別のフォワーダー関与範囲

フォワーダーは、原産地証明書の発行主体でも、原産性そのものを判断する責任主体でもありません。

ただし、証明方式によって、フォワーダーが支援しやすい場面は異なります。一般原産地証明書では船積書類との整合、自己申告制度では原産地申告文の有無確認、REX制度ではインボイス上の番号確認、GSPでは直送要件に関する輸送資料の整理などが問題になりやすくなります。

証明方式・場面 フォワーダーが支援しやすいこと フォワーダーが断定すべきでないこと 実務上の対応
一般原産地証明書 Invoice、Packing List、B/L、Sea Waybillとの記載整合を確認する 一般原産地証明書の内容が輸入国側要求を完全に満たすか断定すること 提出先要求、L/C条件、証明書記載内容を荷主・発給機関と確認する
第三者証明制度 証明書の有無、船積書類との整合、発給タイミングを確認する 特定原産地証明書の原産性判断を保証すること 発給済み証明書と船積書類の不一致を早期に共有する
輸出者自己申告 インボイスや商業書類上に原産地申告文があるか形式的に確認する 輸出者が原産地基準を満たす資料を保存しているか断定すること 申告文の有無や書類整合を確認し、原産性資料は輸出者側で確認させる
輸入者自己申告 輸送書類、貨物情報、船積書類の整合を確認する 輸入者が税関確認に耐える原産性資料を保有しているか断定すること 輸入者・通関業者に必要資料の確認を促す
REX制度 EU発日本向けのインボイス等にREX番号や原産地申告文があるか確認する REX番号の有効性やEU側輸出者の登録状態を保証すること 番号・金額・輸出方向に疑義があれば、輸入者・輸出者へ確認する
GSPに関する証明 直送、第三国経由、トランシップ、通し船荷証券などの輸送資料を整理する GSPの対象国・対象品目・原産地基準を満たすか断定すること EPA・FTAとは別枠の特恵制度として、証明書と直送要件の確認を促す
税関事後確認 B/L、Sea Waybill、経由地資料、積替記録、保税保管資料の再取得を支援する 原産地基準、RVC、CTC、加工工程基準の充足を判断すること 輸送関係資料を整理し、原産性の説明は荷主側資料で補完する

原産地証明書の種類を確認する実務の流れ

  1. 原産地証明書が必要な理由を確認する
  2. 一般原産地証明書か、特恵目的の原産地証明かを確認する
  3. EPA・FTA・GSPのどの制度を利用するのか確認する
  4. EPA・FTAを利用する場合、対象協定を確認する
  5. 対象貨物のHSコードを確認する
  6. 品目別原産地規則を確認する
  7. 利用できる証明方式を確認する
  8. 第三者証明、輸出者申告、生産者申告、輸入者申告のどれを使うか確認する
  9. 認定輸出者制度、REX番号、法人番号、認定輸出者番号の要否を確認する
  10. 原産地申告文、原産地証明書、原産品申告書などを準備する
  11. 原産性を裏付ける資料を保存する
  12. 輸入申告時または税関確認時に説明できる状態にしておく

局面別の判断チェックリスト

原産地証明書の種類は、書類提出の直前だけで確認するものではありません。取引開始時から税関確認まで、どの段階で誰が何を確認するかを整理しておく必要があります。

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
取引開始時 輸出者、輸入者、営業担当者 原産地証明書が必要な理由、一般原産地証明か特恵目的の原産地証明か 用途が不明な場合は、取引先、L/C条件、輸入国側要求を確認する
協定・制度確認時 輸出者、輸入者、通関業者 EPA・FTA・GSPのどれを利用するか、対象協定・対象国 制度が不明な場合は、通常税率、EPA税率、GSP税率を分けて確認する
原産地判定時 輸出者、生産者、輸入者 HSコード、PSR、CTC、RVC、加工工程基準、累積、デミニミス 根拠資料が不足する場合は、証明書作成や特恵利用を保留する
証明方式確認時 輸出者、輸入者、通関業者 第三者証明、自己申告、認定輸出者、REX、GSP証明のどれを使うか 対象制度で利用できない方式で進めていないか確認する
書類作成時 輸出者、生産者、申請者 原産地証明書、原産品申告書、原産地申告文、必要番号の記載 文言、番号、申告主体、対象書類に不足があれば修正する
輸送手配時 輸出者、輸入者、フォワーダー 積送基準、直送、第三国経由、トランシップ、輸送書類 第三国経由の場合は、通しB/Lや保税保管資料の取得可否を確認する
輸入申告時 輸入者、通関業者 特恵税率適用可否、証明書類の有効性、貨物内容との一致 不一致がある場合は、差替え、補足説明、通常税率申告を検討する
税関事後確認時 輸入者、輸出者、生産者 証明方式、原産地基準、根拠資料、材料、工程、原価、積送基準 不足資料を追加取得し、必要に応じて過去申告への影響も確認する

原産地証明書の種類で問題になりやすいケース

場面 問題になりやすい点 確認すべきこと 実務上の対応
一般原産地証明書 輸入国側の要求により取得した一般原産地証明書をEPA税率用と誤解する 非特恵目的か、EPA税率目的か 提出目的を確認し、EPA税率用であれば対象協定の証明方式を確認する
特定原産地証明書 特定原産地証明書を特恵目的の原産地証明全体と同一視する 第三者証明制度による証明書か、自己申告制度による申告か 特定原産地証明書は特恵目的の原産地証明の一形態として整理する
特恵目的の原産地証明 証明書や申告文を準備したが、対象協定やPSRの確認が不十分である 対象協定、PSR、証明方式、積送基準 証明書だけでなく、原産性の根拠資料を確認する
GSPの原産地証明 EPA・FTAとは別制度であるにもかかわらず、同じ手続と誤解する 対象国、対象品目、直送要件、必要証明書 EPA、GSP、通常税率を分けて整理する
輸出者自己申告 輸出者がインボイスに原産地申告文を記載したが、根拠資料を保存していない 輸出者の保存資料、材料表、工程表、PSR確認資料 申告前に原産性資料の保存状況を確認する
輸入者自己申告 輸入者が自己申告したが、生産者しか持たない資料を取得できない 輸出者・生産者から取得可能な資料、税関確認への対応可否 輸入前に資料提供範囲を合意しておく
REX番号確認 EU発日本向けと日本発EU向けで確認すべき番号を混同する 輸出方向、REX番号、法人番号、原産地申告文 EU側輸出者か日本側輸出者かを分けて確認する
証明方式の誤認 第三者証明が必要な協定で自己申告文だけを準備してしまう 対象協定で利用できる証明方式 協定別に利用可能な方式を確認し、必要に応じて証明書を再取得する
根拠資料不足 原産品申告書はあるが、製造工程表や材料資料を保存しておらず、税関確認に対応できない 証明書、申告文、材料表、工程表、原価資料、サプライヤー証明書 申告時点から事後確認を想定して資料を保存する

制度適用シナリオ

シナリオ1:一般原産地証明書をEPA税率用と誤解したケース

取引先から原産地証明書の提出を求められたため、商工会議所で一般原産地証明書を取得し、それでEPA税率を利用できると考えてしまうケースがあります。

しかし、一般原産地証明書は、信用状条件、取引先提出、輸入国側要求などの非特恵目的で使われることが多く、EPA税率を利用するための特恵目的の原産地証明とは異なる場合があります。

この場合は、まず原産地証明書の提出目的を確認し、EPA税率を使うのであれば、対象協定で認められた証明方式を確認する必要があります。

シナリオ2:特定原産地証明書と自己申告制度を混同したケース

特定原産地証明書は、特恵目的の原産地証明の一形態ですが、すべての特恵目的の原産地証明が特定原産地証明書になるわけではありません。

協定によっては、第三者証明制度ではなく、輸出者自己申告、生産者申告、輸入者自己申告、認定輸出者制度による原産地申告文などが利用される場合があります。

そのため、EPA・FTAを使う場合は、「特定原産地証明書を取ればよい」と考えるのではなく、対象協定で認められている証明方式を確認することが重要です。

シナリオ3:日EU EPAでREX番号と法人番号を混同したケース

日EU EPAに関する取引では、EU発日本向けと日本発EU向けで確認すべき番号が異なります。

EU側輸出者が日本向けに原産地申告文を作成する場合、一定金額を超える貨物ではREX番号の記載が問題になります。一方、日本側輸出者がEU向けに原産地申告文を作成する場合は、通常、日本の法人番号を輸出者参照番号として扱います。

この違いを確認しないまま書類を作成すると、番号要件の誤認や申告文の不備につながります。輸出方向、申告主体、対象貨物の金額、インボイス上の記載を分けて確認することが重要です。

シナリオ4:輸入者自己申告で根拠資料を確保できなかったケース

輸入者自己申告を利用する場合、輸入者が自ら特恵税率の適用を申告し、税関確認に対応できる資料を保有していることが前提になります。

しかし、実際には原材料情報、製造工程、RVC計算資料などは輸出者や生産者しか持っていないことがあります。輸入者がそれらの資料を取得できないまま自己申告を行うと、事後確認で原産性を説明できないリスクがあります。

そのため、輸入者自己申告を使う場合は、輸入前に輸出者・生産者からどの資料を取得できるか、または税関照会時に提出してもらえるかを確認しておく必要があります。

シナリオ5:GSPとEPAを混同したケース

開発途上国からの輸入で特恵税率が使えると考え、GSPとEPAを同じ制度として扱ってしまうケースがあります。

GSPはEPA・FTAとは別の制度であり、対象国、対象品目、原産地基準、直送要件、必要な原産地証明書が異なります。ただし、関税上の優遇を受けるために原産地を証明する制度であるため、分類上は一般原産地証明書ではなく、特恵目的の原産地証明として整理します。

実務では、まずMFN税率を確認し、そのうえでEPA・FTAを使うのか、GSPを使うのか、通常税率で申告するのかを分けて整理することが重要です。

実務チェックリスト

原産地証明書の種類を確認する際は、次の点を確認します。

  • 原産地証明書が必要な理由を確認しているか
  • 一般原産地証明書か特恵目的の原産地証明かを確認しているか
  • 特定原産地証明書が、特恵目的の原産地証明の一形態であることを理解しているか
  • EPA・FTA・GSPのどの制度を利用するのか確認しているか
  • GSPをEPA・FTAとは別枠の特恵制度として整理しているか
  • 対象協定と輸出入国を確認しているか
  • 対象貨物のHSコードを確認しているか
  • 品目別原産地規則を確認しているか
  • 利用できる証明方式を確認しているか
  • 第三者証明、輸出者申告、生産者申告、輸入者申告の違いを確認しているか
  • 認定輸出者番号、REX番号、法人番号の要否を確認しているか
  • 原産地申告文の文言や記載事項を確認しているか
  • 原産性を裏付ける資料を保存しているか
  • 第三国経由の場合、積送基準を確認しているか
  • フォワーダーに原産性判断を丸投げしていないか

まとめ

原産地証明書には、一般原産地証明書、特恵目的の原産地証明、特定原産地証明書、第三者証明、輸出者自己申告、生産者申告、輸入者自己申告、認定輸出者制度、REX制度、GSPに関する原産地証明など、複数の種類があります。

実務では、まず原産地証明書が必要な目的を確認し、一般原産地証明書なのか、EPA・FTA・GSPなどの特恵制度に関する証明なのかを分けて整理します。

特定原産地証明書は、特恵目的の原産地証明の一形態であり、主に第三者証明制度で発給される証明書として位置づけます。また、GSPはEPA・FTAとは別の枠組みですが、関税上の優遇を受けるための制度であるため、一般原産地証明書とは区別して特恵目的の原産地証明として整理します。

そのうえで、対象協定、証明方式、申告主体、必要な番号、保存資料を確認することが重要です。

原産地証明書は、書類の名称だけで判断してはいけません。目的、制度、発行主体、申告主体、責任関係を確認し、税関確認に耐えられる根拠資料を保存しておくことが大切です。

同義語・別表記

  • 原産地証明書
  • 原産地証明の種類
  • 一般原産地証明書
  • 特恵原産地証明書
  • 特定原産地証明書
  • 原産品申告書
  • 原産地申告文
  • Certificate of Origin
  • C/O
  • Proof of Origin
  • Origin Declaration
  • Statement on Origin

公式情報