著作権侵害品

著作権侵害品とは

著作権侵害品とは、キャラクター、イラスト、写真、文章、映像、音楽、ゲーム、ソフトウェアなどの著作物を、権利者の許諾なく複製・使用した商品のことです。

一般には、海賊版商品、無断コピー品、無断複製品、コピーグッズなどと呼ばれることがあります。

輸入実務では、ブランドロゴが付いた偽ブランド品だけでなく、キャラクターや画像を無断使用した商品、海賊版DVD、無断複製ソフト、無断印刷されたイラスト商品なども、知的財産侵害物品として税関で問題になる可能性があります。

著作権侵害品では、商品そのものの品質や価格よりも、その商品に使われている表現、画像、絵柄、音楽、映像、文章、キャラクターなどの使用権限が問題になります。

この記事で扱う範囲

本記事では、著作権侵害品の意味、商標権侵害品・意匠権侵害品との違い、キャラクター商品の輸入との関係、著作物性、二次的著作物、改変、保護期間、通関確認、認定手続、輸入差止め、フォワーダー実務上の注意点を整理します。

キャラクター商品を輸入する際の具体的な実務対応、ライセンス資料、フォワーダー対応、販売用小口貨物のシナリオについては、別記事「キャラクター商品の輸入」で整理します。

本記事では、キャラクター商品を含むより広い著作権侵害品について、著作権法上の論点と税関で確認されやすい事項を中心に扱います。

ブランド名やロゴなどの商標表示が問題になる貨物については、別記事「商標権侵害品」で整理します。

商品の形状、外観、デザイン、模様などが問題になる貨物については、別記事「意匠権侵害品」で整理します。

知的財産侵害物品全体の法制度上の位置づけは、別記事「知的財産侵害物品とは」で整理します。

輸入実務で問題になる貨物

著作権侵害品として問題になりやすい貨物には、次のようなものがあります。

  • キャラクターグッズ
  • アニメ関連商品
  • 映画・ゲーム関連商品
  • ポスター
  • ステッカー
  • Tシャツ
  • 雑貨
  • 玩具
  • DVD・Blu-ray
  • 書籍
  • 印刷物
  • ノベルティ商品
  • ソフトウェア
  • 音楽・映像関連商品

商品そのものが高額でなくても、絵柄、キャラクター、作品名、画像、文章、音楽、映像などが無断で使われている場合には、通関上の確認対象となることがあります。

また、商品本体だけでなく、パッケージ、タグ、説明書、ラベル、台紙、販売ページ、販促物に使われた画像やキャラクターも確認対象になることがあります。

商標権侵害品との違い

商標権侵害品は、ブランド名、ロゴ、マーク、商品名など、商品やサービスの出所を示す表示が問題になります。

一方、著作権侵害品は、キャラクター、画像、文章、映像、音楽、イラスト、ゲーム画面、ソフトウェアなどの著作物を無断で使っている点が問題になります。

そのため、有名ブランドのロゴがなくても、アニメキャラクター、映画の画像、漫画の絵柄、ゲームキャラクター、写真、音楽、文章などを使用している商品は、著作権侵害の疑いが生じることがあります。

実務上は、一つの商品で商標権と著作権の両方が問題になることもあります。例えば、作品名ロゴとキャラクター画像が同時に表示された商品では、商標権と著作権の双方を確認する必要があります。

意匠権侵害品との違い

意匠権侵害品は、商品の形状、外観、デザイン、模様などが登録意匠と同一または類似しているかが問題になります。

一方、著作権侵害品は、商品に印刷・表示・収録された絵柄、画像、文章、音楽、映像、ソフトウェアなどの著作物が問題になります。

例えば、ロゴのない雑貨であっても、有名なイラストや漫画の絵柄を無断で印刷していれば、著作権侵害品として問題になる可能性があります。

また、商品の外観デザインと、商品に印刷されたイラストの両方が問題になる場合には、意匠権と著作権を分けて確認する必要があります。

著作権侵害品で確認される主な論点

著作権侵害品では、単に「似ている」「キャラクターらしい」という印象だけでなく、どの著作物が、どのように使われているかを確認します。

論点 内容 実務上の確認資料 止まりやすい原因
著作物性 保護対象となる表現、画像、文章、音楽、映像、ソフトウェア等が含まれるか 商品写真、販売ページ、原作品情報、カタログ、画像資料 単なる装飾と考えていた絵柄が著作物に該当する可能性がある
使用許諾 権利者から複製、商品化、販売、輸入について許諾を受けているか ライセンス契約書、使用許諾書、正規販売証明、権利者証明 海外販売者の説明だけで許諾ありと判断してしまう
二次的著作物・改変 既存キャラクターや画像を改変・アレンジして使っていないか 原作品との比較資料、商品画像、デザイン資料、制作経緯 少し変えれば問題ないと誤解している
キャラクター使用 キャラクター画像、名称、作品名、設定、絵柄を無断使用していないか 商品写真、パッケージ、販売ページ、ライセンス資料 キャラクター商品であるのにライセンス資料を準備していない
保護期間 著作権の保護期間内か、権利処理が必要な著作物か 作品名、作者情報、出版・公開時期、権利者情報 古い作品だから自由に使えると誤解している
著作隣接権 音源、映像、実演、放送などに関係する権利が問題にならないか 音源・映像の権利資料、販売許諾、正規流通資料 映像や音源を商品に含めているのに権利処理が確認できない

キャラクター商品の輸入との関係

キャラクター商品の輸入では、著作権、商標権、商品化権、ライセンス契約、使用許諾などが複合的に問題になります。

本記事「著作権侵害品」は、その中でも、キャラクター画像、イラスト、漫画の絵柄、映画やゲームの画像など、著作物の無断利用に焦点を当てます。

一方、「キャラクター商品の輸入」は、キャラクター商品を実際に輸入する際の通関対応、ライセンス資料、フォワーダー対応、販売用小口貨物のシナリオを中心に整理します。

したがって、著作権法上の論点を確認したい場合は本記事、キャラクター商品輸入の実務対応を確認したい場合は「キャラクター商品の輸入」を参照します。

私的複製との違い

著作権では、一定の範囲で私的使用のための複製が問題になる場面があります。

しかし、輸入実務で問題になるのは、海外事業者から販売・送付される商品や、販売目的で輸入される商品です。

「個人で使うつもりだった」「少量だから問題ない」という説明だけで、海外販売者が無断複製した商品や海賊版商品を当然に輸入できるわけではありません。

特に、海外EC、マーケットプレイス、個人販売者から購入したキャラクター商品、海賊版商品、無断複製品では、輸入者が権利関係を十分に確認していないことがあります。

通関で確認されるポイント

著作権侵害の疑いがある貨物では、その商品が正規ライセンス品であるか、権利者の許諾を受けているか、正規流通品であるかが確認されます。

荷主が「海外で普通に販売されていた」「販売者が正規品と言っていた」と説明しても、それだけで十分とは限りません。

実務上は、ライセンス契約、使用許諾書、正規販売証明、仕入先資料、商品画像、販売ページ、注文履歴、カタログ、権利者情報などを確認できることが重要です。

また、商品本体だけでなく、パッケージ、説明書、ラベル、印刷物、販促物、販売ページに使われた画像やキャラクターも確認対象になります。

輸入差止めと認定手続

税関で著作権侵害品に該当するおそれがあると判断された場合、認定手続が行われることがあります。

認定手続とは、税関が発見した侵害疑義物品について、知的財産侵害物品に該当するかどうかを判断するための手続です。

認定手続が開始されると、輸入者に通知が行われ、輸入者は期限内に意見や証拠を提出することになります。

輸入者は、商品が正規ライセンス品であること、権利者の許諾を受けていること、著作物を使用していないこと、または著作権侵害に該当しないことを説明する必要があります。

その結果、侵害物品に該当しないと認定されれば輸入許可に進みます。一方、侵害物品に該当すると認定された場合は、廃棄、任意放棄、権利者からの輸入同意書取得、修正対応などが問題になることがあります。

通関保留、権利者確認、認定手続への移行については、別記事「権利者確認と通関保留」で整理します。

実務の流れ

段階 主な確認事項 止まりやすい原因
仕入前 キャラクター、画像、文章、音楽、映像、ソフトウェアの権利確認 海外販売者の説明だけで正規品と判断してしまう
輸入手配前 商品写真、販売ページ、ライセンス表示、仕入先情報を確認 インボイスの商品名が曖昧で、著作物使用の有無が分からない
通関申告時 使用許諾、正規販売証明、ライセンス契約、商品画像を整理 荷主が使用許諾書やライセンス資料を持っていない
税関照会時 商品写真、販売ページ、権利者資料、許諾資料を提出 仕入先と連絡が取れず、資料取得に時間がかかる
認定手続開始時 輸入者が期限内に意見書・証拠を提出するか判断 輸入者が著作権侵害の論点を理解しておらず、回答期限が迫る
侵害該当と判断された場合 廃棄、任意放棄、権利者同意、修正対応、返送可否を検討 保管料、廃棄費用、販売計画への影響、荷主との費用負担が問題になる

必要となる資料

著作権侵害品の疑いで確認が入った場合、次のような資料が必要になることがあります。

  • ライセンス契約書
  • 使用許諾書
  • 正規販売証明
  • 権利者または正規代理店からの証明書
  • 商品写真
  • 商品カタログ
  • 販売ページ
  • 注文履歴
  • 仕入先情報
  • 作品名、作者名、権利者名を確認できる資料
  • パッケージ、タグ、説明書、台紙、販促物の画像
  • 映像・音源・ソフトウェアの正規流通を示す資料

これらの資料は、単に「海外で売られていた」ことを示すためではなく、著作物の使用について権利者の許諾があること、または著作権侵害に該当しないことを説明するために使われます。

販売ページや注文履歴だけでは不十分な場合があります。権利者、正規販売元、ライセンス表示、販売地域、商品化許諾の範囲を確認する必要があります。

フォワーダー実務での対応

フォワーダーは、著作権侵害の有無を判断する立場ではありません。

しかし、キャラクター、アニメ、漫画、映画、ゲーム、音楽、写真、イラスト、文章、ソフトウェアを使った商品については、荷主に権利確認を促す必要があります。

特に、イベント販売用商品、EC販売用商品、ノベルティ商品、小口で数量が多い貨物、海外ECから仕入れた商品は、権利関係の確認が後回しになりやすいため注意が必要です。

通関で確認が入った場合には、フォワーダーは荷主から資料を回収し、通関業者へ速やかに連携します。

ただし、フォワーダーが輸入者の代理人として「著作権侵害ではありません」「正規ライセンス品です」と断定することは避けるべきです。

フォワーダーの役割は、事実確認、資料回収、通関業者との連携、期限管理、保管料や廃棄費用などのリスク説明にあります。

実務シナリオ1:キャラクター雑貨で使用許諾が確認できないケース

輸入者が海外メーカーからアニメキャラクターのステッカー、キーホルダー、Tシャツを仕入れるケースがあります。

商品本体やパッケージにはキャラクター画像が表示されていますが、インボイスには「goods」としか記載されていません。

通関時に税関から使用許諾の確認が入り、輸入者は販売ページのスクリーンショットしか提出できません。

この場合、ライセンス契約書、使用許諾書、正規販売証明などが提出できなければ、通関保留や認定手続に進む可能性があります。

実務シナリオ2:海賊版DVD・無断複製ソフトが止まるケース

輸入者が海外販売者からDVD、ゲームソフト、PCソフトウェアなどを仕入れるケースがあります。

パッケージは正規品に似ていますが、販売価格が極端に安く、正規販売元やライセンス表示が不明確です。

税関で海賊版または無断複製品の疑いがあるとして確認が入り、輸入者に正規流通を示す資料の提出が求められます。

輸入者が正規仕入れを説明できない場合、認定手続、輸入差止め、廃棄や任意放棄が問題になります。

実務シナリオ3:二次創作・改変商品が問題になるケース

輸入者が、既存キャラクターに似たイラストを使った雑貨やアパレル商品を輸入するケースがあります。

輸入者は「少しデザインを変えているので問題ない」と説明しますが、既存作品の特徴を利用した二次的著作物や改変利用と見られる可能性があります。

この場合、原作品との比較、制作経緯、権利者許諾、販売ページ、商品画像などの資料が必要になることがあります。

フォワーダーは、似ているかどうかを判断するのではなく、荷主に権利確認と資料準備を促す立場です。

実務シナリオ4:フォワーダーに著作権侵害ではないと説明してほしいと依頼されるケース

通関で著作権侵害の確認が入った場合、荷主からフォワーダーに対して「問題ないと説明してほしい」と依頼されることがあります。

しかし、フォワーダーは権利者でも専門判断者でもなく、著作権侵害の有無を断定する立場ではありません。

この場合、フォワーダーは、荷主から提出されたライセンス資料、商品写真、販売ページ、仕入先情報を通関業者へ連携し、必要に応じて追加資料を依頼します。

意見書の内容、権利者への確認、認定手続への対応、任意放棄や廃棄の判断は、輸入者自身が行うべき事項です。

輸入差止めになった場合の費用と判断

著作権侵害品の疑いで通関が止まると、貨物は保留状態になります。

その間、保管料、検査立会費用、書類準備費用、翻訳費用、配送再手配費用、販売機会の損失などが問題になることがあります。

認定手続の結果、輸入できないと判断された場合、輸入者は任意放棄、廃棄、権利者からの同意書取得、修正対応、返送可否などを検討することになります。

ただし、著作権侵害品では、ロゴを消せば輸入できる、パッケージを変えれば輸入できる、画像を隠せば足りる、という単純な話にならないことがあります。

商品本体に著作物が使われている場合や、海賊版・無断複製品そのものが問題になっている場合には、貨物自体を輸入できない可能性があります。

フォワーダーや通関業者は、輸入者に代わって権利関係を判断するのではなく、手続の状況、期限、発生し得る費用を整理して伝える立場になります。

模倣品・キャラクター商品の輸入との役割分担

「模倣品」は、知的財産侵害物品として問題になりやすい貨物全体の実務総論・ハブ記事です。

「キャラクター商品の輸入」は、アニメ、漫画、映画、ゲーム、企業キャラクターなどを使用した商品を輸入する際の具体的な通関対応、ライセンス資料、フォワーダー対応を整理する記事です。

これに対して、本記事「著作権侵害品」は、著作物の無断複製・無断使用、二次的著作物、改変、海賊版、著作隣接権など、著作権法上の論点を中心に整理する記事です。

実務上の注意点

著作権侵害品の疑いがある貨物は、通関保留、認定手続、輸入差止め、廃棄、返送可否、納期遅延、販売中止などにつながる可能性があります。

商品本体だけでなく、パッケージ、説明書、ラベル、印刷物、販促物、販売ページに使われた画像やキャラクターも確認対象になることがあります。

輸入者は、仕入前に、ライセンス契約、使用許諾、正規販売証明、販売地域、商品化許諾の範囲を確認する必要があります。

フォワーダーは、著作権侵害を断定するのではなく、疑義がある貨物について荷主に確認を促し、通関前に資料を整理することが重要です。

まとめ

著作権侵害品は、キャラクター、イラスト、写真、文章、映像、音楽、ゲーム、ソフトウェアなどの著作物を、権利者の許諾なく複製・使用した輸入貨物です。

ブランドロゴがなくても、キャラクターや画像、映像、音楽、文章などの無断使用によって、輸入上の問題になることがあります。

輸入実務では、著作物性、使用許諾、二次的著作物、改変、著作隣接権、正規流通、販売目的を確認する必要があります。

フォワーダーは著作権侵害の判断者ではありませんが、荷主への事前確認、資料回収、通関業者との連携、期限管理、費用リスクの説明を行う立場です。

著作権侵害品は、キャラクター商品、海賊版商品、無断複製品、二次創作商品が交差する知的財産リスクであり、仕入前の権利確認と資料準備が最重要の予防策となります。

同義語・別表記

  • 海賊版商品
  • 無断コピー品
  • 無断複製品
  • 著作権侵害物品
  • Copyright Infringing Goods
  • Pirated Goods
  • Unauthorized Copies

公式情報