英国海上保険法における代位求償・分担・一部保険

Subrogation, Contribution and Under Insurance under the Marine Insurance Act 1906

英国海上保険法における代位求償・分担・一部保険とは

英国海上保険法における代位求償・分担・一部保険とは、保険者が保険金を支払った後に取得する権利、同一の損害を複数の保険者が担保している場合の負担調整及び保険金額が保険価額に不足している場合の被保険者の自己負担を整理する制度です。

Marine Insurance Act 1906のSection 79はRight of Subrogation、Section 80はRight of Contribution、Section 81はEffect of Underinsuranceを定めています。

外航貨物海上保険では、保険会社が貨物事故について保険金を支払った後、海上運送人、NVOCC、フォワーダー、倉庫業者、ターミナル、荷役業者又はトラック運送人等に対して請求する場合があります。

また、売主側の保険と買主側の包括予定保険等が同じ貨物について重なっていれば、複数の保険者間で最終的な負担割合を調整する必要があります。

保険金額が保険価額に不足している場合には、全損時に保険金額を超える部分が回収できないだけでなく、分損時にも被保険者が未保険割合を負担することがあります。

本記事では、法律上の制度を示す場合は原則として「代位」、保険者が第三者へ具体的に請求する行為を示す場合は「代位求償」と表記します。

この記事で扱う範囲

項目 この記事で扱う内容 他の記事で扱う内容
Section 79 全損・分損における保険者の代位、残存物及び第三者に対する権利 Marine Insurance Act 1906全体におけるSubrogationの概説
全損時の代位 全損として保険金を支払った対象について、残存する被保険者の利益を引き継ぐ権利 Actual Total Loss、Constructive Total Loss及びNotice of Abandonmentの詳細
分損時の代位 保険対象の所有権を取得せず、保険金を支払った範囲で権利・救済手段へ代位する構造 修理費、価値減少、残存価値及び分損額の算定
Section 80 重複保険がある場合の保険者間の分担 包括予定保険、個別保険及び共同保険の契約構造
Section 81 一部保険と未保険部分についての自己保険者としての取扱い 建値、インボイス価額、保険価額及び保険金額の具体的な設定方法
権利保全 事故通知、Claim Letter、B/L上の通知期限、出訴期限及び証拠保全 運送人責任、NVOCC責任及び貨物クレーム手続の詳細
共同海損・救助料 一部保険によって被保険者負担が生じる可能性 共同海損保証状、共同海損盟約書、救助料及び分担金計算
Section 82以降 本記事の対象外となる条文と、その理由 保険料返還、相互保険、補足規定、解釈規定及び附則

既存の「Marine Insurance Act 1906」記事は、被保険利益、Fair Presentation of the Risk、Warranty、推定全損、共同海損及び代位等の主要概念を横断的に説明しています。

本記事は、Sections 79~81に範囲を限定し、保険金支払後の代位、重複保険における保険者間分担及び一部保険を条文単位で詳しく解説します。

制度の目的と背景

海上保険は、保険事故によって被保険者に生じた損害を、保険契約で定められた範囲内で填補する制度です。事故によって被保険者へ損害額を超える利益を与えることを目的とするものではありません。

被保険者が保険者から損害の全額について保険金を受け取った後、同じ損害について運送人その他の責任主体からも全額を回収すれば、実際の損害を超える二重回収が生じます。

Section 79の代位は、保険者が被保険者へ保険金を支払った後、被保険者が第三者に対して有していた権利や救済手段を行使できるようにする制度です。

同一の被保険利益について複数の保険契約が重なっている場合には、一つの保険者だけが最終的な損害を負担すると、保険者間で不公平が生じます。Section 80は、各保険者が契約上責任を負う金額に応じて分担する仕組みを定めています。

これに対し、保険金額が保険価額に不足する場合には、保険者は未保険部分まで引き受けていません。Section 81は、未保険部分について被保険者自身を自己保険者として扱う構造を定めています。

Sections 79~81の全体像

Section 制度 基本的な内容 主な当事者 外航貨物海上保険で問題になる場面
Section 79 代位 保険者が保険金支払後に、被保険者が有していた権利・救済手段へ代位する 被保険者、保険者、責任を負う第三者 運送人、NVOCC、倉庫業者及び荷役業者等への代位求償
Section 80 分担 重複保険によって超過保険となる場合、各保険者が割合的に損害を負担する 被保険者、複数の保険者 売主保険と買主保険、包括予定保険と個別保険の重複
Section 81 一部保険 保険金額が保険価額又は証券上の評価額より少ない場合、被保険者が未保険部分の自己保険者となる 被保険者、保険者 申告金額不足、運賃加算漏れ、為替誤り及び保険限度額超過

代位・分担・一部保険の比較

比較項目 代位 分担 一部保険 実務上の重要点
英語 Subrogation Contribution Underinsurance 三つは異なる制度であり、混同しない
主な目的 責任を負う第三者からの回収と二重回収の防止 複数の保険者間における公平な負担調整 未保険部分を被保険者が負担することの明確化 誰と誰の負担関係かを最初に整理する
問題となる時点 保険者が被保険者へ保険金を支払った後 同じ損害を複数の保険契約が担保している場合 保険金額が保険価額に不足している場合 事故後だけでなく付保時の確認が重要
主な相手方 運送人、NVOCC、倉庫業者等 他の保険者 被保険者自身 代位求償と保険者間分担を区別する
被保険者への影響 第三者に対する権利を保全する必要がある 他の保険契約を保険者へ申告する必要がある 未保険割合を自己負担する可能性がある 情報を隠すと保険金支払や求償に影響する
主な確認資料 B/L、Claim Letter、サーベイ、受領書及び事故資料 全保険証券、被保険利益、保険金額及び保険期間 インボイス、保険価額、保険金額、運賃及び為替 契約時と事故時の両方の資料を確認する

Section 79 Right of Subrogation

Section 79は、保険者が全損又は分損について保険金を支払った場合の代位を定めています。

代位とは、保険者が被保険者を損害について填補した後、被保険者が保険対象又は責任を負う第三者に対して有していた権利・救済手段を行使できるようになる制度です。

保険者は、保険金を支払ったことによって、被保険者が有していた以上の強い権利を新たに取得するわけではありません。

被保険者の運送人に対する請求権に責任制限、免責、通知期限又は出訴期限が適用される場合、原則として、保険者による代位求償も同じ制約を受けます。

被保険者が運送人に対して有効な請求権を有していなければ、保険者が保険金を支払っただけで新たな請求権が発生するわけではありません。

全損の場合の代位

Section 79(1)では、保険者が保険対象の全部又は貨物の按分可能な一部について全損として保険金を支払った場合、支払対象について残存する被保険者の利益を引き継ぐ権利を取得するとされています。

貨物が全損として保険処理された場合でも、損傷した機械、部品、原材料、包装材又は売却可能な残存物が残ることがあります。

保険者は、全損として支払った対象の残存利益を引き継ぎ、残存物の売却代金又は第三者に対する請求から回収を行う場合があります。

ただし、Section 79は、保険金を支払った瞬間に保険者が自動的に残存物を物理的に占有するという意味ではありません。

残存物の所有、占有、保管、検査、売却又は廃棄については、保険金精算書、保険証券、残存価値、保管費、廃棄費及び保険者との合意を確認する必要があります。

分損の場合の代位

Section 79(2)では、保険者が分損について保険金を支払った場合、保険対象又は残存部分について所有権を取得しないことが明示されています。

一方、保険者は、保険金の支払によって被保険者を填補した範囲で、事故が発生した時点から被保険者が有していた権利・救済手段へ代位します。

例えば、貨物の一部が破損し、保険者が修理費又は価値減少分を支払った場合でも、貨物そのものは原則として被保険者の所有物として残ります。

保険者は、支払った損害について責任を負う運送人、倉庫業者、ターミナル又は荷役業者に対して、被保険者の請求権を基礎として代位求償を行うことがあります。

したがって、「保険金を支払った保険者は、損傷貨物の所有権を常に取得する」という理解は正しくありません。

代位の発生時点と権利保全

Section 79上の代位は、原則として、保険者が被保険者へ保険金を支払ったことによって生じます。

保険者が保険金支払を承認したこと、支払責任を認めたこと又は保険金額を確定したことだけで、法定代位が完成したとは限りません。

ただし、保険者が支払後に行使する権利は、事故発生時から被保険者が有していた権利・救済手段を基礎とします。

そのため、被保険者は保険金支払を待たず、事故発生直後から運送人への事故通知、Claim Letter、受領書への損傷記載、写真撮影、サーベイ及び出訴期限管理を行う必要があります。

保険金支払まで何も行わず、第三者への請求権が時効又は出訴期限によって失われた場合、その後に保険者が代位しても有効な請求権が残っていない可能性があります。

代位と二重回収の防止

代位の重要な目的の一つは、被保険者が同じ損害について保険者と責任を負う第三者の双方から重複して回収することを防ぐことです。

被保険者が保険金支払後に運送人等から和解金又は損害賠償金を受領した場合は、その内容を保険者へ報告する必要があります。

ただし、第三者から回収した金額がすべて当然に保険者へ帰属するわけではありません。保険者が第三者回収から取得できるのは、原則として、自己が保険金によって填補した損害層に対応する範囲です。被保険者に保険限度額を超える損害、免責金額、未保険損害又は保険対象外の損害が残っている場合には、その未填補部分と保険者の代位利益との優先関係を整理する必要があります。

英国判例法上の一般的な出発点では、保険契約に別段の定めがない限り、第三者からの回収金は総損害の上位層から順に充当する「top-down」方式で整理されます。まず保険の最上位限度を超える未保険損害を減らし、次に保険で填補された層を上位から下位へ減らし、最下層にある免責額又は自己負担額はその後に回復されます。

したがって、「被保険者の未填補損害は、種類を問わず常に保険者より優先する」と一律に説明するのは正確ではありません。未保険部分が保険層の上方にあるのか、最下層の免責・自己負担として存在するのか、また保険証券に回収金配分条項があるのかによって、配分順序が変わる場合があります。

被保険者が独自に運送人と示談し、全面的な免責証書又は権利放棄書へ署名すると、保険者の代位求償権を損なう可能性があります。

判例法上の位置付け

Marine Insurance Act 1906は海上保険における代位の基本構造を法典化していますが、代位の具体的な適用、第三者からの回収金の配分及び保険者の権利保護については、英国判例法も重要です。

Castellain v Prestonは、損害保険が損害填補契約であり、被保険者が事故によって実際の損害を超える利益を得るべきではないという原則を示した代表的な判例です。

Lord Napier and Ettrick v Hunterは、保険が複数の損害層を担保し、被保険者にも未保険層が残る場合に、第三者回収金をどの層へ先に充当するかを扱いました。同判例が示した基本的な考え方は、契約に異なる定めがない限り、回収金を総損害の上位から下位へ充当する「top-down」方式です。

この方式では、保険限度額を超える上位の未保険損害が最初に減額され、その後に最上位の保険層から下位の保険層へ順次充当され、被保険者が負担する最下層の免責額又は自己負担額は最後に回復されます。保険者は、第三者回収金のうち自己が填補した損害層を減少させる部分について利益を取得しますが、自己の填補範囲を超えて被保険者の別個の未填補損害を取得するものではありません。

このtop-down方式は、後の英国判例でも確認されています。ただし、保険契約に回収金の配分方法を明示する条項がある場合、同一層を保険者と被保険者が割合的に負担している場合、又は事案の損害構造が異なる場合には、別の配分となる可能性があります。

したがって、第三者回収金の配分では、総損害額、保険限度額、保険者が支払った損害層、上位の未保険損害、免責額、被保険者の自己負担及び保険証券の回収金配分条項を順番に確認する必要があります。

代位・残存利益・権利譲渡の違い

制度 基本的な意味 発生の根拠 対象 実務上の注意点
代位 保険金支払後に、被保険者の権利・救済手段を保険者が行使する 法律及び保険契約 第三者に対する損害賠償請求権等 被保険者が有していた以上の権利は取得しない
全損時の残存利益取得 全損として支払った対象について残存する被保険者の利益を引き継ぐ Section 79(1) 残存物、売却価値等 保管・売却・廃棄方法を保険者と確認する
権利譲渡 当事者間の合意によって請求権等を移転する 譲渡契約 契約上又は法律上譲渡可能な権利 代位とは成立根拠が異なる
委任 被保険者名義で保険者等が請求手続を行う 委任状又は契約 請求、交渉、訴訟手続等 請求名義と回収利益の帰属を区別する

代位求償で権利保全が必要な相手

相手方 想定される責任 主な契約・資料 権利保全のポイント
海上運送人 海上運送中の滅失、損傷又は数量不足 Master B/L、受領書、船積記録 B/L約款上の通知期限と出訴期限を確認する
NVOCC House B/L上の契約運送人責任 House B/L、運送約款、輸送手配記録 Master B/L運送人との責任関係を区別する
フォワーダー 手配ミス、指示違反、情報伝達ミス等 見積書、Booking、メール、業務条件 単純取次か契約主体かを確認する
倉庫業者 保管中の破損、濡損、盗難、温度管理不良 倉庫受領書、保管約款、入出庫記録 事故発生期間と保管責任を特定する
ターミナル・荷役業者 荷役中の落下、衝突、誤取扱い EIR、作業記録、写真、CCTV 作業主体と事故発生時点を確認する
トラック運送人 国内配送中の交通事故、荷崩れ又は盗難 運送状、配車記録、受領書 国内運送約款と通知期限を確認する

Section 80 Right of Contribution

Section 80は、Section 32にいう重複保険によって被保険者が超過保険の状態にある場合の、保険者間の分担を定めています。

重複保険の成立と、特定の事故について実際に分担が生じる範囲は、二段階に分けて確認する必要があります。

第一段階では、Section 32に従い、同一の被保険者について、同一の海上事業及び同一の被保険利益又はその一部を対象とする複数の保険契約が存在し、その保険金額の合計が法律上認められる填補額を超えているかを確認します。これが重複保険による超過保険の成立に関する確認です。

第二段階では、実際に発生した損害について、各保険契約が同じ損害を填補する責任を負うかを確認します。担保危険、保険期間、免責、免責金額、支払限度額及び個別条件は、重複保険そのものの独立した成立要件ではなく、特定の事故について各保険者が共通して責任を負う範囲と分担額を画する要素です。

一つの保険者が自己の負担割合を超えて保険金を支払った場合、その保険者は、同じ損害について責任を負う他の保険者へ分担請求を行うことができます。

分担は、責任を負う運送人等へ請求する代位とは異なります。代位は保険者と第三者の関係であり、分担は同じ損害について責任を負う保険者間の関係です。

重複保険の成立要件と分担対象範囲

法的段階 確認項目 確認内容 典型例 一致しない場合
重複保険の成立 同一の海上事業 複数の保険契約が同じ貨物・輸送又はその一部を対象としているか 同じインボイス貨物の同じ船積み 別船積み又は別ロットであれば、Section 32上の同一海上事業に当たらない場合がある
重複保険の成立 同一の被保険利益 複数の保険契約が同じ被保険者の同一の経済的利益又はその一部を担保しているか 同じ買主が有する同一貨物の損害利益 売主と買主が異なる利益を有する場合は、物理的に同じ貨物でも同一の被保険利益とは限らない
超過保険の成立 保険金額の合計 複数契約の保険金額合計が、被保険者が法律上受け得る填補額を超えるか 双方が同じ被保険利益の全額を付保している 合計が填補可能額を超えなければ、Section 80の超過保険による分担問題は生じない場合がある
分担対象範囲 実際の担保危険 発生した損害原因が双方の契約で担保されているか 双方が同じ水濡れ損害を担保している 一方が戦争危険のみを担保する場合、その事故について共通の分担責任は生じない
分担対象範囲 保険期間・輸送区間 事故時点が双方の保険期間及び保険対象区間に含まれるか 双方が事故発生時の同じ輸送区間を担保している 保険始期・終期又は輸送区間が異なれば、その事故について一方だけが責任を負う場合がある
分担額の計算 免責・限度額・個別条件 実際の損害について各保険者が契約上いくら責任を負うか 双方とも免責に該当せず、各契約の責任額が確定している 一方が免責となる場合や限度額が異なる場合は、責任を負う範囲だけが分担計算の基礎となる

外航貨物海上保険で重複が生じる場面

外航貨物海上保険では、売主と買主がそれぞれ保険を手配していた場合に重複が生じることがあります。

例えば、CIF条件で売主が保険を手配している一方、買主の包括予定保険が輸入するすべての貨物を自動的に対象としている場合があります。

商社が自社の包括保険へ貨物を通知し、実際の貨物所有者も別途個別保険を手配している場合や、グループ会社が同じ貨物を別々に申告している場合もあります。

ただし、保険証券が複数存在するという事実だけで、直ちにSection 80上の重複保険になるわけではありません。

まず、同一の海上事業と同一の被保険利益又はその一部について複数の保険が存在し、保険金額の合計が填補可能額を超えるかを確認します。そのうえで、実際の事故が双方の担保危険・保険期間・輸送区間に含まれ、免責に該当しないかを確認し、各保険者が共通して責任を負う範囲を確定します。

分担割合の基本的な考え方

Section 80では、各保険者は、それぞれの契約上責任を負う金額に応じて割合的に分担するとされています。

例えば、同じ損害について保険者Aが600万円、保険者Bが400万円の範囲で責任を負い、填補対象損害が500万円であるとします。

契約上の責任割合が6対4であれば、最終負担の目安は、保険者Aが300万円、保険者Bが200万円となります。

保険者Aが被保険者へ500万円全額を先行して支払った場合、保険者Aは保険者Bへ200万円の分担を求めることがあります。

ただし、実際の計算では、各契約の免責金額、限度額、担保危険、保険価額、他保険条項及び契約上の責任範囲を確認する必要があります。

Section 81 Effect of Underinsurance

Section 81は、被保険者が保険価額より少ない金額で保険を付けている場合、又は評価済保険証券において証券上の評価額より少ない金額で付保している場合、未保険部分について被保険者を自己保険者とみなすと定めています。

一部保険とは、保険の対象となる価額の全額が付保されず、その一部だけが保険金額として設定されている状態です。

未保険部分については、保険者ではなく被保険者自身がリスクを負担します。

したがって、一部保険の影響は、全損時に保険金額が上限となることだけではありません。

Marine Insurance Act 1906の損害填補構造では、分損の場合にも、保険金額が保険価額に占める割合に応じて、被保険者が損害の一部を負担することがあります。

ただし、実際の保険金支払額は、評価済・非評価保険証券の区分、保険証券、適用約款、免責金額、限度額及び個別特約によって異なります。

一部保険の数値例

保険価額 保険金額 損害 基本的な考え方
全損 1,000万円 700万円 貨物が全損 保険者の責任は原則として700万円までとなり、残る300万円は未保険部分となる
分損 1,000万円 700万円 200万円の損害 付保割合が70%であれば、MIA上の基本構造では保険者140万円、被保険者60万円の負担が問題となる
一部保険と免責金額 1,000万円 700万円 200万円の損害、免責金額あり 一部保険の割合計算と免責金額の適用方法を保険証券で確認する
評価済保険証券 証券評価額1,200万円 900万円 300万円の損害 証券上の評価額に対する付保割合を基礎として未保険部分を確認する

上記はMarine Insurance Act 1906上の基本構造を説明するための例です。

実際の支払額は、保険証券、適用約款、評価済・非評価保険証券の区分、免責金額、支払限度額及び個別条件によって異なります。

一部保険が生じる主な原因

原因 具体的な内容 確認資料 予防方法
インボイス金額の申告不足 一部の品目、追加請求又は価格変更分を申告していない Commercial Invoice、売買契約書、追加請求書 最終インボイス総額と付保通知を照合する
運賃・保険料等の加算漏れ 保険価額へ含めるべき費用を加算していない 運賃明細、見積書、保険条件 契約上の付保基準と加算率を確認する
為替換算の誤り 誤った通貨又は古い為替レートを使用している インボイス、為替記録、付保通知 保険契約で指定された換算方法を使用する
複数インボイスの申告漏れ 一つの船積みに複数のインボイスが存在する Invoice List、Packing List、B/L B/Lだけでなく、すべてのインボイスを確認する
分割船積みの誤登録 一部ロットだけを申告し、残りを付保していない Booking、B/L、出荷明細 船積みごとの数量と申告額を照合する
包括予定保険の通知誤り 通知金額、輸送区間又は貨物内容が誤っている 保険申告データ、インボイス、月次明細 保険申告と会計・出荷データを照合する
貨物価額の増加 契約後に価格、加工費又は付随費用が増加した 変更契約、追加費用、加工記録 輸送開始前に増額を通知する
保険限度額の超過 一事故又は一輸送あたりの保険限度額を超えている 包括保険証券、引受限度額 高額貨物は事前に個別承認を取得する

一部保険と類似制度の違い

制度 基本的な意味 被保険者負担の理由 確認事項 一部保険との違い
一部保険 保険金額が保険価額に不足する 未保険部分の自己保険 保険価額、保険金額、付保割合 価額全体に対する付保不足
免責金額 一定額を被保険者が負担する 保険契約上のDeductible 金額、適用単位、事故回数 保険価額不足とは異なる
支払限度額 保険者が支払う契約上の上限 契約上のLimit 一事故、一輸送、保管場所又は年間限度 価額が正しくても限度額を超える場合がある
非担保危険 事故原因が担保対象外である 補償範囲外 ICC、免責、追加約款 保険金額不足ではない
共同保険 複数の保険者があらかじめ一定割合を引き受ける 契約上の引受割合 幹事会社、各社引受割合 計画的な共同引受けであり、重複保険とは異なる
重複保険 同じ利益について複数の保険が重なる 保険者間で分担 全保険証券と責任範囲 保険不足ではなく、複数保険の重複

共同海損・救助料との関係

一部保険は、貨物の物理的損害だけでなく、共同海損分担金又は救助料の処理でも問題になる場合があります。

共同海損分担金が貨物価額を基礎として算定される一方、貨物海上保険の保険金額がその価額に不足していれば、保険者が分担金の全額を負担せず、未保険割合が被保険者負担となる可能性があります。

救助料についても、保険金額、保険価額、適用約款及び個別条件によって、保険者と被保険者の負担関係が問題になることがあります。

実際の補償範囲は、適用するInstitute Cargo Clauses、保険金額、保険価額、共同海損条項、救助料条項及び個別条件を確認する必要があります。

共同海損については「Marine Insurance Act 1906」のGeneral Average解説、保険金額の設定については建値と保険金額を扱う関連記事とあわせて確認します。

代位・分担・一部保険が問題になる主な場面

場面 主な制度 確認資料 確認目的
運送中に貨物が破損した 代位 B/L、事故通知、サーベイ、受領書 運送人等への請求権を保全する
全損処理後に残存物が発見された 代位・残存利益 全損精算書、残存物一覧、売却見積 残存利益の帰属と処分方法を確認する
保険金支払後に運送人から和解提案があった 代位・二重回収 和解案、保険金支払明細、損害額 保険者の承認と回収金配分を確認する
CIF保険と買主の包括予定保険が重複した 分担 売主保険、買主保険、売買契約 同一の被保険利益が重複しているか確認する
商社と貨物所有者が双方で付保した 分担 各保険証券、取引関係、被保険者名 各保険が誰の利益を担保しているか確認する
インボイスの一部だけが付保された 一部保険 全インボイス、付保通知、B/L 未保険割合を確認する
高額貨物が包括保険限度額を超過した 一部保険・支払限度額 包括保険証券、個別承認、貨物価額 限度超過部分の取扱いを確認する
共同海損分担金を請求された 一部保険 共同海損通知、保険証券、貨物価額 保険者負担と被保険者負担を確認する

直ちに代位・分担・一部保険と判断できない場面

場面 直ちに判断できない理由 追加で確認する事項 注意点
保険証券が2通存在する 異なる被保険利益、危険又は輸送期間を担保している可能性がある 被保険者、利益、輸送区間、担保危険 証券数だけで重複保険と判断しない
保険者が保険金支払を承認した Section 79上の代位は原則として実際の支払によって生じる 支払日、委任状、権利譲渡の有無 承認日と代位発生日を混同しない
全損後に残存物がある 保険者の権利、処分費及び契約条件の確認が必要 残存価値、保管費、処分条件 被保険者が独断で売却しない
運送人から一部弁済を受けた 保険金支払前後で回収金の扱いが異なる可能性がある 支払時期、総損害額、保険金額 保険者へ必ず報告する
保険金額がインボイス価額と同額である 保険価額に運賃、保険料、加算率等を含む場合がある 付保基準、建値、加算率 インボイス価額だけで十分と判断しない
分損額が保険金額以下である 一部保険では割合的な自己負担が生じる場合がある 保険価額、付保割合、適用する保険条件 損害額が限度内でも全額支払とは限らない

代位・分担・一部保険の確認フロー

  1. 保険契約と準拠法を確認する
    Marine Insurance Act 1906が適用される契約か、国内約款又は個別条件による修正があるかを確認します。
  2. 事故の当事者と責任関係を整理する
    海上運送人、NVOCC、フォワーダー、倉庫業者及び荷役業者等の関与を確認します。
  3. すべての保険証券を収集する
    同じ貨物又は被保険利益について、他の保険契約が存在しないか確認します。
  4. 保険価額と保険金額を照合する
    インボイス、運賃、保険料、加算率及び為替を確認します。
  5. 全損か分損かを確認する
    残存物と保険対象の所有権の取扱いが異なります。
  6. 第三者への請求権を保全する
    事故通知、Claim Letter、受領書への記載及び出訴期限を管理します。
  7. 保険金支払の範囲を確認する
    免責金額、未填補損害、保険金額及び支払限度額を整理します。
  8. 代位の範囲を確認する
    保険者がどの権利を、どの支払範囲で取得するかを確認します。
  9. 重複保険の成立と分担範囲を分けて確認する
    まず同一の海上事業・被保険利益と保険金額合計を確認し、次に実際の事故について担保危険、保険期間、免責及び限度額から各保険者の共通責任範囲を確定します。
  10. 一部保険の割合を確認する
    保険金額が保険価額又は証券評価額に占める割合を計算します。
  11. 回収金・残存物の処理を確認する
    保険者の同意なく示談、売却、廃棄又は権利放棄を行いません。
  12. 専門家へ照会する
    高額事故、複数保険又は英国法上の争点がある場合は、保険会社、保険代理店又は保険仲立人及び法律専門家へ確認します。

典型的な問題ケース

ケース 主な論点 確認資料 判断のポイント 初動対応
全損後に残存物を売却できる Section 79(1)、残存利益 全損精算書、残存物写真、売却見積 保険者が引き継ぐ利益の範囲 売却前に保険者の指示を確認する
分損保険金支払後に運送人へ請求する Section 79(2)、支払範囲の代位 保険金明細、Claim Letter、B/L 保険者の支払部分と被保険者の未填補部分 請求権と出訴期限を保全する
被保険者が独自に運送人と示談した 代位求償権の毀損 示談書、免責証書、保険金支払記録 保険者の権利が放棄されていないか 署名前に保険者へ照会する
CIF保険と買主保険が重複した Section 80、被保険利益 売買契約、双方の証券、危険移転 同一の経済的利益が双方で担保されているか 両保険者へ他保険を申告する
一つの保険者が損害全額を先行支払した 分担請求 各保険者の責任額、支払明細 最終的な負担割合 保険者間で分担を調整する
貨物価額1,000万円、保険金額700万円 Section 81、一部保険 インボイス、保険証券、付保通知 付保割合70%と未保険割合30% 全損・分損それぞれの自己負担を計算する
付保通知に運賃が含まれていない 保険価額不足 運賃請求書、インボイス、付保基準 本来の保険価額に対する不足額 事故前であれば増額手配を確認する
共同海損分担金に未保険部分がある 一部保険、共同海損 共同海損通知、保険価額、保険金額 保険者と被保険者の負担割合 保証手続と自己負担額を確認する

具体例1 全損保険金支払後に残存物が発見された場合

海上事故によって機械貨物が海水に浸かり、修理費及び回収費が高額となったため、保険者が全損として保険金を支払ったとします。

支払後、一部の部品について再利用又は売却が可能であることが判明しました。

Section 79(1)では、全損として支払った対象について、保険者は残存する被保険者の利益を引き継ぐ権利を取得します。

被保険者が保険者へ知らせずに部品を売却し、売却代金を保持すると、保険金と残存価値による二重回収が問題になる可能性があります。

残存物の保管費、検査費、売却費及び廃棄費を整理し、保険者の指示に従って処分します。

具体例2 分損支払後に運送人から和解提案があった場合

貨物の一部が荷役中に破損し、保険者が被保険者へ300万円の保険金を支払ったとします。

その後、運送人が被保険者へ200万円の和解金を提示しました。

Section 79(2)により、保険者は支払った範囲で、被保険者が運送人に対して有していた権利へ代位しています。

被保険者が保険者へ相談せずに和解し、運送人を全面的に免責する書類へ署名すると、保険者が残る請求権を行使できなくなる可能性があります。

被保険者に免責金額又は保険対象外の損害が残っている場合には、運送人からの回収金を保険者と被保険者の間でどのように配分するかも確認します。

和解提案を受けた時点で保険者へ報告し、請求主体、和解条件及び回収金配分を整理します。

具体例3 CIF保険と買主の包括予定保険が重複した場合

CIF条件で売主が貨物保険を手配していましたが、買主の包括予定保険も、輸入するすべての貨物を自動的に対象としていたとします。

保険証券が2通あるという理由だけで、直ちにSection 80の分担が行われるわけではありません。

売主保険が誰の利益のために付されていたか、保険証券又は保険証明書が買主へ譲渡されたか、買主の包括予定保険が同じ利益と輸送期間を担保しているかを確認します。

双方が同じ買主の貨物損害利益を同じ事故について担保していれば、重複保険となり、保険者間の分担が問題になる可能性があります。

双方が異なる経済的利益を担保していれば、物理的に同じ貨物について保険証券が複数存在しても、同じ意味での重複保険とは限りません。

具体例4 貨物価額1,000万円に対して700万円だけを付保した場合

貨物の保険価額が1,000万円であるにもかかわらず、付保通知の入力誤りによって、保険金額が700万円となっていたとします。

貨物が全損した場合、保険者の責任は原則として700万円までで、残る300万円は被保険者の未保険部分となります。

貨物に200万円の分損が生じた場合、保険価額に対する付保割合は70%です。

Marine Insurance Act 1906上の基本構造では、保険者が140万円、被保険者が60万円を負担する取扱いが問題になります。

さらに免責金額が設定されている場合には、割合計算と免責金額の適用方法を保険証券で確認します。

損害額200万円が保険金額700万円以内であっても、一部保険の場合は損害の全額が支払われるとは限りません。

よくある誤解

誤解 実際の考え方 実務上の注意点
保険金が支払われれば貨物事故の手続はすべて終了する 保険者による第三者への代位求償が続く場合があります。 支払後も事故資料と請求権を保全します。
代位によって保険者は被保険者より強い権利を取得する 保険者は被保険者が有していた権利を基礎として請求します。 責任制限、免責及び出訴期限も適用されます。
全損でも残存物は被保険者が自由に処分できる 全損として支払った対象の残存利益を保険者が引き継ぐ場合があります。 売却・廃棄前に保険者へ確認します。
分損保険金を支払った保険者は貨物の所有権を取得する Section 79(2)では、分損時に保険対象の所有権を取得しないとされています。 貨物の所有権と第三者への請求権を区別します。
保険証券が2通あれば必ず重複保険である まず同一の海上事業・被保険利益について重複があるかを確認し、次に実際の事故が双方の担保危険・保険期間に含まれるかを確認します。 売主と買主が異なる利益を有する場合があります。
最初に請求を受けた保険者が損害全額を最終負担する Section 80による保険者間分担が行われる場合があります。 他保険を各保険者へ申告します。
一部保険は全損の場合だけ問題になる 分損でも未保険割合を被保険者が負担する場合があります。 保険価額に対する付保割合を確認します。
損害額が保険金額以内なら全額支払われる 一部保険では割合的な填補となる可能性があります。 保険金額だけでなく保険価額も確認します。
インボイス価額と同額を付保すれば必ず十分である 保険価額には運賃、保険料、加算率その他の費用を含む場合があります。 保険契約上の付保基準を確認します。
運送人から回収しても保険者へ報告する必要はない 二重回収や保険者の代位権侵害が問題になります。 和解金・賠償金を受領した場合は必ず報告します。

フォワーダー実務での判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
付保依頼の受付時 荷主 インボイス総額、通貨、運賃、加算率及び分割船積み 保険価額の算定基準に従って申告額を確認する
包括保険への通知時 荷主・保険代理店 貨物、保険金額、輸送区間、通知日及び保険限度額 出荷データと付保通知を照合する
事故発生時 荷主・運送人・保険会社 事故日時、場所、原因、貨物状態及び責任主体 事故通知、写真撮影、サーベイ及び受領書記載を行う
運送人への請求時 海上運送人・NVOCC 通知期限、Claim Letter、責任制限及び出訴期限 期限前に書面通知し、権利を保全する
他保険の確認時 荷主・売主・買主 他の保険証券、被保険者、利益、輸送区間及び担保危険 関係するすべての保険者へ重複の可能性を申告する
保険金支払後 保険会社 代位範囲、残存物、回収手続及び必要書類 資料提出と第三者への代位求償に協力する
第三者から和解提案を受けた時 保険会社・法律専門家 和解額、免責文言、権利放棄及び回収金配分 保険者の承認前に署名しない
一部保険が疑われる時 荷主・保険代理店 保険価額、保険金額、付保割合及び免責金額 全損・分損それぞれの負担額を試算する
共同海損宣言時 保険会社・共同海損精算人 貨物価額、保険金額、共同海損保証及び分担額 未保険部分の保証方法と自己負担額を確認する

関係者の役割

関係者 主な役割 確認・提供する情報 注意点
荷主・被保険者 正確な保険価額を申告し、第三者への権利を保全する インボイス、事故資料、他保険、第三者からの回収金 独自の示談、権利放棄又は残存物処分を行いません。
フォワーダー・NVOCC 輸送資料を整理し、事故通知及び権利保全を支援する Booking、B/L、受領書、事故経緯、関係業者 自社が代位求償を受ける側になる場合もあります。
保険代理店 保険契約、他保険及び付保金額を確認し、保険会社と調整する 保険証券、付保通知、保険金額、事故資料 一部保険や重複保険を早期に把握します。
保険仲立人 保険契約者側で市場との調整、分担及び回収手続を支援する Slip、Policy Wording、複数保険者の引受割合 保険代理店との法的地位を区別します。
保険会社・引受人 保険金を支払い、代位求償及び保険者間分担を行う 支払明細、権利資料、他保険、残存物 被保険者の未填補損害も確認して回収を進めます。
サーベイヤー 事故原因、損害額、残存価値及び責任関係を調査する 写真、検査記録、修理見積、残存物 法的な最終責任を決定する立場とは限りません。
法律専門家 準拠法、責任制限、出訴期限、代位及び分担を評価する 保険証券、B/L、事故資料、示談案 高額事故や期限切迫案件では早期相談が必要です。

Section 82以降との関係

Marine Insurance Act 1906のSection 82以降には、保険料返還、相互保険、補足規定、解釈規定、廃止規定、短縮題名及び附則等が置かれています。

これらも英国海上保険法全体を理解するうえでは重要ですが、通常の外航貨物事故において、Sections 79~81と同じ頻度で問題になるわけではありません。

本記事では、貨物事故後の回収、複数保険者の負担及び被保険者の未保険負担に直接関係するSections 79~81へ範囲を限定しています。

実務上のポイント

代位については、保険金支払後の手続だけを見るのではなく、事故発生直後から第三者への権利を保全する必要があります。

運送人への事故通知、Claim Letter、B/L約款上の通知期限、出訴期限、サーベイ、写真、受領書及び梱包材の保全は、保険者の代位求償へ直接影響します。

重複保険については、まずSection 32上の成立要件として同一の海上事業・被保険利益と保険金額合計を確認します。その後、実際の事故について担保危険、保険期間、輸送区間、免責及び限度額を照合し、Section 80による分担対象範囲を確定します。

一部保険については、保険金額と損害額だけを比較してはいけません。保険価額に対する付保割合を確認し、分損時にも被保険者負担が生じる可能性を検討します。

保険金支払後に運送人等から回収金を受領した場合や、残存物を売却する場合は、保険者へ報告し、二重回収や代位権侵害を避ける必要があります。

まとめ

Marine Insurance Act 1906のSection 79は代位、Section 80は重複保険における分担、Section 81は一部保険の効果を定めています。

全損の場合、保険者は全損として支払った対象について残存する被保険者の利益を引き継ぐ権利を取得し、第三者に対する権利・救済手段へ代位します。

分損の場合、保険者は保険対象の所有権を取得しませんが、被保険者を填補した範囲で、事故時点から存在した第三者への権利・救済手段へ代位します。

代位求償は、海上運送人、NVOCC、フォワーダー、倉庫業者、ターミナル、荷役業者又はトラック運送人等への請求で問題になります。

被保険者は、保険金支払前から事故通知、Claim Letter、証拠保全及び出訴期限管理を行う必要があります。

重複保険では、同一の海上事業と被保険利益について複数の保険が存在し、保険金額合計が填補可能額を超えるかをまず確認します。そのうえで、実際の事故について複数の保険者が共通して責任を負う範囲に限り、各保険者が契約上の責任額に応じて損害を分担します。

一部保険では、保険金額が保険価額又は証券上の評価額に不足する部分について、被保険者が自己保険者とみなされます。

一部保険は、全損だけでなく、分損、共同海損分担金及び救助料でも被保険者負担が問題になる可能性があります。

実務では、第三者への権利保全、他保険の有無、保険価額と保険金額、残存物、回収金及び出訴期限を順番に確認することが重要です。

英国法準拠の海上保険契約における代位、保険者間分担及び一部保険の取扱いは、保険証券、適用約款、他保険及び個別の事故事情によって異なります。具体的な案件は、保険会社・保険代理店又は保険仲立人及び英国法に詳しい法律専門家へご相談ください。

同義語・別表記

  • 代位
  • 代位求償
  • 保険代位
  • Subrogation
  • Right of Subrogation
  • 分担
  • 分担請求
  • Contribution
  • Right of Contribution
  • 一部保険
  • Underinsurance
  • 自己保険