ICC2009 保険金請求条項の基本構造
ICC2009のCLAIMSとは
ICC2009のCLAIMSとは、外航貨物海上保険において、保険金請求に関係する基本的な条件を定める部分です。
主に、第11条の被保険利益、第12条の継搬費用、第13条の推定全損、第14条の増値保険で構成されています。
貨物事故では、損害が発生したかどうかだけでなく、誰が保険金を請求できるのか、どの費用が保険の対象になるのか、全損として扱えるのかを確認する必要があります。
第11条 被保険利益とは
被保険利益とは、被保険貨物の滅失または損傷によって経済的な損失を受ける者と、その貨物との間にある利害関係をいいます。
ICC2009では、保険金の支払いを受けるためには、被保険者が損害発生時に被保険貨物について被保険利益を有している必要があります。
つまり、保険契約を締結しただけでは足りず、事故発生時点で、その貨物について経済的な利害関係を持っていることが重要です。
保険契約前に発生した損害
ICC2009では、一定の条件のもとで、保険契約の締結前に発生していた損害についても保険金請求が認められることがあります。
ただし、被保険者がすでに損害発生を知っており、保険者がそれを知らなかった場合には、保険金請求は認められません。
この点は、外航貨物保険における遡及的な付保や、航海中の貨物に対する保険手配を考えるうえで重要です。
第12条 継搬費用とは
継搬費用とは、保険で補償される危険の作用によって輸送が予定外の港や場所で打ち切られた場合に、貨物を目的地まで継続して運ぶために必要となる追加費用です。
ICC2009では、被保険貨物の荷卸し、保管、保険契約上の仕向地までの継搬のために、適切かつ合理的に支出された追加費用が対象となることがあります。
ただし、共同海損や救助料とは別の条項であり、第4条から第7条までの免責条項の適用も受けます。
継搬費用で注意すべき点
継搬費用は、保険で担保される危険の作用によって発生した場合に問題となります。
そのため、ICC(A)、ICC(B)、ICC(C)のどの条件で付保されているかによって、対象となる範囲が変わります。
また、被保険者またはその使用人の過失、怠慢、支払不能、金銭債務不履行から生じる費用は対象に含まれません。
船社倒産、戦争、ストライキ、運送打切りなどが絡む場合には、継搬費用として扱えるかどうかを慎重に確認する必要があります。
第13条 推定全損とは
推定全損とは、貨物が現実に完全滅失していなくても、回収、補修、継搬に要する費用が到着時の貨物価額を超えるなど、実質的に全損と同視される状態をいいます。
ICC2009では、現実全損が避け難いと考えられる場合、または回収・補修・継搬の費用が到着時の価額を超える見込みで、被保険貨物が合理的に遺棄される場合に、推定全損が問題となります。
単に修理費用が高い、処分が面倒であるというだけでは、当然に推定全損になるわけではありません。
委付との関係
推定全損では、貨物を遺棄し、保険者に委付する手続きが問題になります。
英国法上は、被保険者が委付の通知をしても、保険者が承諾しなければ当然に認められるわけではありません。
そのため、推定全損を主張する場合には、損害額、回収費用、補修費用、継搬費用、到着時価額を具体的に整理する必要があります。
第14条 増値保険とは
増値保険とは、航海の途中で市場価格が上昇し、当初の保険金額では不足する場合に、その不足部分を補うために別途手配される保険です。
ICC2009では、原保険と増値保険を合算して、被保険貨物の協定価額を判断する仕組みが定められています。
保険金請求時には、被保険者は、原保険だけでなく、すべての増値保険の保険金額を示す資料を保険者に提出する必要があります。
貨物保険・B/L・NVOCC責任との関係
CLAIMS条項は、貨物事故後の保険金請求の入口です。
ただし、貨物保険で請求できるかどうかと、B/L上の運送人責任やNVOCC責任を追及できるかどうかは、別の問題です。
被保険利益は、インコタームズ上の危険移転、売買契約、保険証券上の被保険者、L/C条件とも関係します。
また、継搬費用や推定全損では、運送打切り、途中港での保管、処分、再輸送、共同海損、救助料、B/L裏面約款の責任範囲もあわせて確認する必要があります。
実務上の注意点
貨物事故が発生した場合には、まず損害発生時に誰が被保険利益を持っていたのかを確認します。
次に、保険条件、事故原因、保険期間、継搬費用の発生理由、全損か分損か、増値保険の有無を整理します。
特に、CIF、CIP、FOB、CFRなどの売買条件が絡む場合、保険証券上の被保険者と実際に損害を受ける者がずれることがあります。
そのため、保険金請求では、売買契約、B/L、保険証券、Invoice、Packing List、事故報告、損害額資料を一体で確認することが重要です。

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