木材こん包材の輸出入

概要

木材こん包材の輸出入とは、国際輸送で使用されるパレット、木箱、木枠、ダンネージ、ケーブルドラム、スキッドなどの木材こん包材について、病害虫の侵入・まん延を防ぐために、国際基準ISPM No.15に基づく処理・表示を確認する実務です。

木材こん包材は貨物そのものではなく、貨物を保護・固定・運搬するための資材ですが、生木由来の木材が使われる場合、害虫や病害虫を媒介するリスクがあります。そのため、輸出入実務では、貨物本体だけでなく、使用されている木材こん包材が輸出先国又は日本の植物検疫上の要求を満たしているかを確認する必要があります。

制度の位置づけ

木材こん包材の検疫措置は、国際植物防疫条約に基づく国際基準であるISPM No.15を中心に運用されています。ISPM No.15は、国際貿易で移動する木材こん包材について、熱処理、くん蒸処理、誘電加熱処理などの処理方法と、処理済みであることを示す表示を定める基準です。

日本では、輸入時には植物防疫法に基づく植物検疫の観点から木材こん包材の確認が行われます。輸出時には、輸出先国がISPM No.15に基づく検疫要求をしている場合、輸出用木材こん包材消毒実施要領に基づく処理・表示が必要となります。

対象となる主な木材こん包材

木材こん包材には、貨物の保持、保護、固定、運搬に使われる木材資材が含まれます。実務では、パレットや木箱だけでなく、貨物を固定するための小さな木材やダンネージも確認対象となることがあります。

  • 木製パレット
  • 木箱、木枠、クレート
  • ダンネージ、荷敷き材、止め木
  • スキッド、サポート材
  • ケーブルドラム、リール、スプール
  • 大型貨物・機械貨物の木製固定材

一方、合板、パーティクルボード、OSB、ベニヤなど、製造工程により病害虫リスクが低減されている加工木材については、ISPM No.15の対象外となる場合があります。ただし、対象外となるかどうかは材質や構造によって確認が必要です。

輸入時の確認

日本へ輸入される貨物に木材こん包材が使用されている場合、植物検疫所により、ISPM No.15に基づく処理済み表示の有無や、病害虫付着の有無などが確認される場合があります。

基準に適合していない木材こん包材が確認された場合、植物検疫所の指示により、消毒、廃棄、積戻しなどの措置が求められることがあります。輸入者や通関業者は、貨物本体だけでなく、梱包材の材質や表示も事前に確認しておくことが重要です。

  • 木材こん包材が使用されているか確認する
  • ISPM No.15に基づく表示があるか確認する
  • 表示の国コード、処理コード、登録番号が判読できるか確認する
  • 虫害、樹皮、土壌付着、腐朽などの異常がないか確認する
  • 植物検疫所から指示があった場合は、消毒・廃棄等に対応する

輸出時の確認

日本から輸出する貨物に木材こん包材を使用する場合、輸出先国がISPM No.15に基づく検疫要求をしているかを確認する必要があります。多くの国・地域では、処理済み木材こん包材の使用と、規定された表示が求められます。

輸出用木材こん包材は、農林水産省の制度に基づき、認定消毒実施者による処理を受け、適切な表示を行う必要があります。無登録業者による処理や、不適切な表示は、輸出先国での通関遅延、再処理、返送、廃棄の原因となることがあります。

  • 輸出先国がISPM No.15を要求しているか確認する
  • 認定消毒実施者又は登録生産者が関与した木材こん包材を使用する
  • 処理済み表示が正しく押印・表示されているか確認する
  • 国コード、登録番号、処理コードが判読できるか確認する
  • 輸出先国独自の追加要求がないか確認する

ISPM No.15の処理・表示

ISPM No.15では、木材こん包材に対して、病害虫リスクを低減するための処理と、処理済みであることを示す表示が定められています。代表的な処理方法には、熱処理、臭化メチルくん蒸、誘電加熱処理、フッ化スルフリル処理などがあります。

ただし、臭化メチルくん蒸は環境規制との関係から利用が制限される場合があり、ISPM No.15上も代替処理の利用が促進されています。実務で使用できる処理方法、処理条件、表示方法は、植物検疫所及び消毒証明実施機関の最新情報を確認する必要があります。

誘電加熱処理やフッ化スルフリル処理は、ISPM No.15の改定により国際基準上追加された処理方法です。実際に日本の輸出用木材こん包材として利用できる処理方法や運用条件は、農林水産省・植物検疫所及び消毒証明実施機関の最新情報を確認する必要があります。

  • HT:熱処理
  • MB:臭化メチルくん蒸処理
  • DH:誘電加熱処理
  • SF:フッ化スルフリル処理

フォワーダー・通関実務での確認点

フォワーダーや通関業者は、貨物本体の書類だけでなく、梱包材の材質や処理状況も確認する必要があります。特に大型機械、設備貨物、重量物、展示品、木箱梱包の輸出入では、木材こん包材の確認漏れが通関遅延につながることがあります。

  • 木材こん包材を使用しているか、合板・加工材かを確認する
  • 輸出先国がISPM No.15表示を要求しているか確認する
  • 木箱・パレット・ダンネージに表示があるか確認する
  • 表示が削れている、読めない、押印が不完全でないか確認する
  • 輸入時に不適合となった場合の消毒・廃棄・返送費用を確認する
  • 木材こん包材の不備が納期や保管料に与える影響を確認する

基準不適合時の対応

木材こん包材が基準に適合していない場合、輸入国側で消毒、廃棄、積戻し、再梱包などを求められることがあります。貨物本体に問題がなくても、梱包材の不備だけで貨物の引取りが遅れる場合があります。

輸入時に日本で不適合が確認された場合は、植物検疫所の指示に従います。輸出時に相手国で不適合となった場合は、現地での再処理、再梱包、保管料納期遅延、取引先との責任分担が問題になることがあります。

具体例

たとえば、日本からISPM No.15を要求する国へ機械貨物を輸出する場合、木箱やパレットに認定処理済みの表示が必要となることがあります。表示が不鮮明であったり、未処理材が一部に使われていたりすると、現地で貨物の引取りが止まる可能性があります。

また、日本へ輸入される貨物で、木製パレットに処理済み表示がなく、病害虫リスクがあると判断された場合、植物検疫所の指示により、消毒又は廃棄などの措置が必要となることがあります。この場合、貨物本体の通関にも影響する可能性があります。

注意点

  • 木材こん包材の所管は植物検疫所であり、食品衛生法を担当する検疫所とは異なる
  • 輸出先国ごとに木材こん包材の要求事項が異なる場合がある
  • 処理済み表示があっても、判読不能又は不完全な表示は問題となる場合がある
  • 未処理のダンネージや止め木が混在すると不適合となる場合がある
  • 合板や加工材であっても、構造や使用部材によって確認が必要となる場合がある
  • 不適合時の消毒・廃棄・保管料・納期遅延の負担者を事前に確認しておく必要がある

まとめ

木材こん包材の輸出入では、貨物本体だけでなく、パレット、木箱、ダンネージ、止め木などの梱包材がISPM No.15に適合しているかを確認することが重要です。輸出時は輸出先国の要求、輸入時は日本の植物検疫上の取扱いを確認する必要があります。

フォワーダーや通関業者は、木材こん包材の処理済み表示、認定消毒実施者又は登録生産者の関与、輸出先国独自の要求、不適合時の対応を船積前に確認し、通関遅延や追加費用を防ぐことが重要です。

同義語・別表記

  • 木材梱包材
  • 木材こん包
  • 木製梱包材
  • 木製パレット
  • 木箱梱包
  • Wood Packaging Material
  • WPM
  • ISPM 15

関連用語

  • ISPM No.15
  • 植物防疫法
  • 消毒証明実施機関
  • 燻蒸処理
  • 熱処理
  • 誘電加熱処理
  • フッ化スルフリル処理
  • WTO/SPS協定

公式情報