累積制度とは
概要
累積制度とは、複数の協定締約国で行われた生産・加工を合算して原産地要件を満たすと認める制度です。サプライチェーンが複数国にまたがる現代の貿易において、原産地規則の適用を柔軟にする重要な仕組みです。
実務の流れ
累積制度を利用する場合、まず各部品や原材料の原産地を確認し、協定域内での生産・加工がどの程度行われているかを把握します。その後、累積制度の適用可否を協定ごとに確認し、必要な原産地証明書類をサプライチェーン全体で整備します。最終製品の原産地判定時に、各工程の証明書類をもとに累積適用の判断を行います。
主要書類
- 原産地証明書(Certificate of Origin)
- 部品・原材料の原産地証明関連書類
- サプライヤーからの証明書や声明書
- 累積適用に関する申告書類
実務上のポイント
- 各部品が「協定域内原産品」であることの確認が不可欠です。
- サプライチェーン全体で原産地証明の連鎖・トレーサビリティを維持する必要があります。
- 付加価値基準(RVC)と組み合わせることで、原産地要件を満たしやすくなります。
- 物流面では、フォワーダーが書類連携や通関整合を支援する役割を担います。
注意点
- 非原産材料は累積対象外となります。
- 書類不備があると累積が否認される場合があります。
- サプライヤー情報が不足しているとリスクとなります。
- 協定ごとに累積制度の内容や適用範囲が異なります。
具体例
- ケース1:タイで製造した部品とベトナムで加工した部品を日本で組立し、RCEP原産品として認定。
- ケース2:一部部品が協定非締約国産であったため、累積適用不可となり原産品認定されず。
- ケース3:部品の原産地証明が不足し、累積適用が否認。
まとめ
累積制度は、複数国にまたがる製造工程を前提とした原産地判定の柔軟化制度です。実務では部品レベルでの原産地管理と書類トレーサビリティの確保が重要であり、いずれかが欠けると累積適用は否認されます。制度の理解とサプライチェーン全体の管理が、EPA活用の成否を左右します。
