賞味期限と消費期限

Best-Before Date and Use-By Date

賞味期限と消費期限とは

賞味期限と消費期限とは、食品を定められた方法で保存した場合に、安全性や品質が保たれる期限を表示する制度です。

食品表示では、商品の性質に応じて、賞味期限または消費期限のいずれかを表示します。どちらも日付を表示する制度ですが、意味は同じではありません。

賞味期限は、定められた方法で保存した場合に、期待される品質が十分に保たれる期限を示すものです。一方、消費期限は、定められた方法で保存した場合に、食品の安全性を欠くおそれがないと認められる期限を示すものです。

実務では、賞味期限は「品質の期限」、消費期限は「安全性に関わる期限」と整理すると分かりやすくなります。

この記事で扱う範囲

扱う内容 この記事での整理 別テーマとして確認すべき内容
賞味期限と消費期限の基本 品質保持の期限と安全性に関わる期限の違いを整理します。 食品表示制度全体は食品表示法・食品表示基準の記事で確認します。
どちらを表示するかの判断 食品の性質、劣化速度、保存方法、微生物リスク、流通期間から整理します。 個別商品の期限設定は、製造者・輸入者・専門家・所管情報で確認します。
海外表記との関係 Best Before、Use By、Expiry Date、Manufacturing Dateなどの読み違いを整理します。 国別の表示慣行やメーカー独自表記は、海外メーカーに確認します。
日付の読み違い 月日年、日月年、年月日の違いによる実務事故を整理します。 ロット番号、製造日、包装日、期限日の関係は個別資料で確認します。
保存方法と期限表示 常温、冷蔵、冷凍、開封後要冷蔵など、保存条件と期限の関係を整理します。 温度逸脱、貨物事故、保険対応、品質判定は別論点として確認します。
輸入食品実務 海外ラベル、期限設定根拠、輸送・保管条件、日本語ラベルへの反映を整理します。 輸入食品届出、食品衛生法、通関、ラベル貼付作業は個別記事で確認します。
広告・販売表示 期限接近品、EC販売、セット販売、ギフト販売、割引販売での注意点を整理します。 景品表示法、優良誤認表示、販売条件表示は別制度として確認します。

制度の目的・背景

賞味期限と消費期限は、消費者が食品を安全かつ適切に選択し、保存し、消費するための重要な表示です。食品の期限表示は、単に日付を記載するだけではなく、その食品がどの保存条件で、どの時点まで品質または安全性を保つことができるかを示す制度です。

食品は、製造後の時間経過、保存温度、包装状態、微生物の増殖、酸化、乾燥、吸湿、風味変化などによって品質や安全性が変化します。そのため、食品の特性に応じて、品質保持を重視する賞味期限と、安全性を重視する消費期限を使い分ける必要があります。

輸入食品では、海外ラベルに記載された日付をそのまま日本語化するだけでは不十分です。海外表記の意味、日付の並び順、保存条件、期限設定の根拠、日本到着後の流通条件を確認したうえで、日本向け表示として整理する必要があります。

期限表示が適用される場面

場面 確認対象 問題になりやすい点 実務上の注意点
加工食品を国内販売する場合 容器包装、食品表示ラベル、保存方法、期限日 賞味期限と消費期限の選択を誤ること 食品の性質と保存条件に基づいて期限表示を確認します。
傷みやすい食品を販売する場合 弁当、惣菜、生菓子、サンドイッチ、生鮮惣菜など 安全性に関わる期限を軽く扱うこと 消費期限として扱うべきか慎重に確認します。
長期保存食品を販売する場合 菓子、缶詰、レトルト食品、乾物、飲料など 品質劣化の期限を安全期限と混同すること 賞味期限でも販売管理上の信用問題が生じることがあります。
輸入食品を販売する場合 海外ラベル、製造日、期限日、Best Before、Use Byなど 海外表記の意味や日付の並び順を誤読すること 海外メーカーに期限の意味と日付形式を確認します。
冷蔵・冷凍食品を扱う場合 保存温度、輸送温度、温度記録、温度逸脱の有無 表示期限だけで販売可否を判断すること 期限表示は保存条件が守られていることを前提に確認します。
期限接近品を販売する場合 ECページ、店頭表示、割引表示、残存期間 通常品と同じ表示で販売し、消費者に誤認を与えること 期限が近いこと、発送時点の残存期間、保存方法を明確にします。
セット販売・ギフト販売を行う場合 複数商品の期限、最短期限、到着日、消費可能期間 セット内の一部商品の期限が短いことを見落とすこと 最も短い期限の商品を基準に販売表示を確認します。

適用要件・対象外になりやすいもの

区分 内容 確認するポイント 注意点
期限表示の対象になりやすいもの 容器包装入りの加工食品など、消費者に販売される食品です。 食品区分、販売形態、容器包装、保存方法を確認します。 食品表示基準上の表示事項として確認します。
賞味期限になりやすいもの 比較的品質劣化がゆるやかな食品です。 品質変化、保存可能期間、包装形態、保存条件を確認します。 期限経過後も直ちに危険とは限りませんが、販売管理上の注意が必要です。
消費期限になりやすいもの 品質が急速に劣化し、安全性への影響が大きい食品です。 微生物リスク、腐敗リスク、冷蔵管理、短期販売かを確認します。 期限経過後の販売・喫食は避けるべきです。
海外表記をそのまま使えないもの Best Before、Use By、Expiry Date、Manufacturing Dateなどがある輸入食品です。 日付の意味、日付形式、製造日か期限日かを確認します。 単語だけで日本表示へ置き換えないようにします。
期限表示の前提が崩れるもの 冷蔵・冷凍品で温度逸脱がある場合です。 輸送温度、保管温度、温度記録、逸脱時間を確認します。 表示期限が残っていても品質保証の前提が崩れる場合があります。
対象外と即断しにくいもの 試供品、業務用食品、催事販売品、セット品、開封後商品などです。 販売対象、提供方法、包装形態、表示責任者を確認します。 実態により表示や説明が必要になる場合があります。
販売表示で注意が必要なもの 期限接近品、訳あり品、割引品、予約品、ギフト品です。 期限日、残存期間、保存方法、配送日数、販売条件を確認します。 消費者が通常品と誤認しない表示にします。

賞味期限と消費期限の違い

賞味期限と消費期限の違いは、単に「長いか短いか」ではありません。食品の劣化の性質、安全性への影響、期限経過後のリスクが異なります。

区分 意味 対象となりやすい食品 期限経過後の考え方 実務上の注意点
賞味期限 定められた保存方法で保存した場合に、期待される品質が十分に保たれる期限です。 菓子、カップめん、缶詰、調味料、レトルト食品、飲料などです。 期限を過ぎても直ちに安全性が失われるとは限りません。 品質劣化、風味低下、食感変化、変色、販売上の信用問題を考慮します。
消費期限 定められた保存方法で保存した場合に、安全性を欠くおそれがないと認められる期限です。 弁当、惣菜、生菓子、サンドイッチ、生鮮惣菜、傷みやすい食品などです。 期限を過ぎた食品は、安全性の観点から販売・喫食を避けるべきです。 微生物増殖、腐敗、食中毒リスクなど、安全性を重視して設定します。

どちらを表示するかの判断

賞味期限と消費期限のどちらを表示するかは、食品の性質、劣化の速度、保存方法、流通期間、微生物リスクなどを踏まえて判断します。

確認項目 賞味期限になりやすい場合 消費期限になりやすい場合 実務上の判断ポイント
品質劣化の速度 比較的ゆるやかに品質が低下します。 短期間で品質・安全性が低下します。 品質保持の問題か、安全性の問題かを分けて確認します。
主なリスク 風味低下、食感変化、色調変化、香りの劣化などです。 腐敗、微生物増殖、食中毒リスクなどです。 微生物リスクが高い食品では消費期限を慎重に確認します。
保存条件 常温保存、冷暗所保存、長期保存が可能なものが多いです。 冷蔵保存、短期販売、温度管理が重要なものが多いです。 保存方法と期限表示を一体で確認します。
販売管理 期限接近品の割引販売が行われることがあります。 期限管理を厳格に行い、期限経過後の販売は避けます。 販売先やEC表示でも期限の残存期間を管理します。
消費者への説明 おいしく食べられる期限として説明されることが多いです。 安全に食べられる期限として説明されることが多いです。 消費者が同じ意味と誤解しないよう表示します。

輸入食品で問題になりやすい海外表記

輸入食品では、海外ラベルに記載された日付表示を、そのまま日本向け表示として使えるとは限りません。国やメーカーによって、日付の意味、表示形式、用語の使い方が異なるためです。

特に、Best Before、Use By、Expiry Date、Expiration Date、Manufacturing Date、Production Dateなどの表記は、意味を取り違えやすい項目です。

海外表記 一般的な意味 日本表示との関係 実務上の確認ポイント
Best Before 品質が保たれる期限を示すことが多いです。 賞味期限に近い概念として扱われることが多いです。 機械的に賞味期限へ置き換えず、その国・メーカーでの意味を確認します。
Use By 安全に使用・消費すべき期限を示すことが多いです。 消費期限に近い概念として扱われることが多いです。 傷みやすい食品では、消費期限として扱うべきか慎重に確認します。
Expiry Date / Expiration Date 期限満了日、使用期限、失効日を示すことが多いです。 賞味期限または消費期限のいずれかに該当する可能性があります。 品質期限なのか、安全性に関わる期限なのかをメーカーに確認します。
Manufacturing Date / Production Date 製造日、製造年月日を示すことが多いです。 賞味期限・消費期限そのものではありません。 製造日を期限日と誤認しないよう注意します。
Packed Date / Packing Date 包装日、充填日を示すことが多いです。 期限日ではない場合が多いです。 製造日、包装日、出荷日、期限日を混同しないよう確認します。

日付の並び順に注意する

輸入食品で最も実務事故につながりやすいのが、日付の読み違いです。

たとえば、「03/04/2026」という表示は、国や表示方式によって、2026年3月4日にも、2026年4月3日にも読めます。

表示例 読み方 意味 注意点
03/04/2026 月 / 日 / 年 2026年3月4日 米国式の表記で使われることがあります。
03/04/2026 日 / 月 / 年 2026年4月3日 欧州式、英連邦系、一部地域で使われることがあります。
2026/04/03 年 / 月 / 日 2026年4月3日 日本では理解しやすい形式ですが、海外ラベルでは必ずしも一般的ではありません。
04.2026 月・年または年・月 2026年4月、または別の意味の可能性 日付が省略されている場合、月末まで有効か、特定日があるかを確認します。

期限設定の根拠が重要な理由

賞味期限や消費期限は、単に海外ラベルの日付を転記すればよいものではありません。日本で販売する表示責任者は、期限表示について合理的な根拠を持つ必要があります。

期限設定では、食品の特性、原材料、製造方法、包装形態、保存条件、流通期間、微生物試験、理化学試験、官能評価などを踏まえて判断します。

輸入食品では、海外メーカーが設定した期限をそのまま日本側で使える場合もありますが、日本への輸送日数、温度管理、保税保管、国内倉庫での保管、ラベル貼付作業、販売開始までの期間を考慮して、国内販売上の期限管理を見直す必要が生じることがあります。

保存方法と期限表示の関係

賞味期限と消費期限は、保存方法と一体で確認する必要があります。

たとえば、「直射日光を避け常温で保存」「要冷蔵」「10℃以下で保存」「冷凍保存」などの保存条件を前提に、期限が設定されています。

保存条件 期限表示との関係 実務上の注意点 事故時の確認
常温保存 通常の室温流通を前提に期限が設定されます。 高温多湿、直射日光、コンテナ内温度上昇に注意します。 輸送・倉庫保管中の温度環境を確認します。
冷蔵保存 一定の低温管理を前提に期限が設定されます。 輸送中、倉庫保管中、国内配送中の温度記録が重要です。 温度記録、受渡時刻、配送遅延、再配達の有無を確認します。
冷凍保存 冷凍状態が維持されることを前提に期限が設定されます。 解凍、再凍結、温度逸脱があると、期限が残っていても品質保証の前提が崩れます。 温度逸脱時間、霜付き、解凍痕、再凍結痕を確認します。
開封後要冷蔵 未開封時と開封後で管理条件が異なります。 開封後の取扱い表示や消費者への注意喚起を確認します。 開封時期、保管方法、使用状況を確認します。

他制度・関連実務との比較表

制度・実務 主な目的 主な確認対象 期限表示との関係 実務上の注意点
賞味期限・消費期限 食品の品質または安全性が保たれる期限を示すことです。 期限日、保存方法、食品特性、期限設定根拠 食品表示上の期限表示そのものです。 保存条件と一体で確認します。
食品表示法・食品表示基準 食品表示全体の基本ルールを定める制度です。 名称、原材料、添加物、アレルゲン、期限表示、保存方法など 期限表示は食品表示基準上の重要な表示事項です。 期限だけでなく、保存方法や表示責任者も確認します。
原料原産地表示 原材料の原産地を消費者に示す制度です。 原材料、原産地、製造地、表示対象原材料 期限表示とは目的が異なりますが、同じ食品ラベル上で整合管理が必要です。 ラベル作成時に、期限表示と他表示を同時に確認します。
アレルゲン表示 アレルギーによる健康被害を防ぐための表示です。 特定原材料、原材料表示、製造工程、コンタミネーション 消費期限と同様、安全性に関わる重要表示です。 誤表示は健康被害につながるため、期限表示と同じく厳格に管理します。
景品表示法 消費者に誤認を与える不当表示を防ぐ制度です。 販売ページ、広告、価格表示、期限接近品の表示 期限接近品を通常品のように見せると問題になる場合があります。 期限が近いこと、割引理由、残存期間を分かりやすく示します。
貨物保険・温度管理 輸送中の事故、温度逸脱、品質劣化の有無を確認する実務です。 温度記録、輸送条件、保管条件、貨物状態、事故区間 表示期限が残っていても、温度管理が崩れれば品質保証の前提が崩れます。 期限表示だけで販売可否や損害有無を判断しないようにします。

制度適用フロー

  1. 対象食品が容器包装入り食品か、消費者向け販売品か、業務用かを確認します。
  2. 食品の性質、劣化速度、微生物リスク、保存方法を確認します。
  3. 賞味期限として扱うべきか、消費期限として扱うべきかを整理します。
  4. 輸入食品の場合、海外表記がBest Before、Use By、Expiry Date、Manufacturing Dateなどのどれに当たるかを確認します。
  5. 日付の並び順が月日年、日月年、年月日のどれかを確認します。
  6. その日付が期限日、製造日、包装日、出荷日、ロット表示のどれかを確認します。
  7. 期限設定の根拠として、保存条件、試験資料、製造日、保存可能期間を確認します。
  8. 日本語ラベルに賞味期限または消費期限として反映し、転記ミスがないか確認します。
  9. 冷蔵・冷凍品では、輸送・保管中の温度管理と期限表示の前提が一致しているか確認します。
  10. 販売ページ、期限接近品、セット販売、割引表示で消費者に誤認を与えないか確認します。

実務で問題になりやすいケース

ケース 問題点 確認すべき事項 実務対応
Best Beforeを機械的に賞味期限へ置き換える 国やメーカーによって表記の意味が異なる場合があります。 表記の意味、メーカー説明、保存条件、期限設定根拠 海外メーカーに意味を確認し、日本向け表示へ整理します。
Use Byを賞味期限として扱ってしまう 安全性に関わる期限を品質期限として扱うおそれがあります。 食品の性質、微生物リスク、保存方法、海外表記の意味 消費期限として扱うべきか慎重に確認します。
製造日を期限日と誤認する Manufacturing DateやProduction Dateを期限日と勘違いすることがあります。 製造日、期限日、保存可能期間、ロット番号 製造日からの保存可能期間を確認して期限を整理します。
03/04/2026の日付を読み違える 月日年か日月年かにより、1か月近い差が生じる場合があります。 日付形式、国、メーカー確認、ラベル原本 日付形式を確認し、ラベル作成時に記録します。
温度逸脱があるのに期限だけで判断する 冷蔵・冷凍品では、期限が残っていても品質保証の前提が崩れる場合があります。 温度記録、逸脱時間、保存条件、貨物状態、品質確認 輸入者・品質担当に販売可否を確認します。
期限接近品を通常品と同じように販売する 消費者が残存期間を誤認し、クレームや返品につながることがあります。 期限日、残存期間、販売ページ、割引理由、発送予定日 期限が近いことを分かりやすく表示します。
セット商品の一部だけ期限が短い セット全体の販売表示と実際の使用可能期間がずれる場合があります。 各商品の期限、最短期限、ギフト用途、配送日数 最短期限を基準に販売表示を確認します。
ラベル貼付作業で日付を転記ミスする 輸入者の判断と倉庫での作業が分離し、表示ミスが起きることがあります。 ラベル原稿、貼付指示、作業記録、最終確認者 表示判断責任と作業責任を分け、ダブルチェックします。

実務シナリオ1:Best Beforeを賞味期限として表示する場合

例えば、海外メーカーのラベルに「Best Before 03/04/2026」と記載されている輸入菓子を、日本で販売するために賞味期限として表示しようとする場合があります。

この場合、まず確認すべきなのは、Best Beforeがそのメーカーにおいて品質保持期限を意味しているかどうかです。一般的には賞味期限に近い概念として扱われることが多いものの、国やメーカーによって運用が異なることがあります。

次に、03/04/2026が月日年なのか、日月年なのかを確認します。これを誤ると、2026年3月4日と2026年4月3日の違いが生じ、販売可能期間や在庫管理に影響します。

輸入者は、海外メーカーへの確認結果、日付形式、期限設定根拠、保存方法を記録し、日本語ラベルへ反映します。フォワーダーや倉庫がラベル貼付を行う場合でも、期限表示の判断は輸入者側で行い、作業側は指示内容どおりに貼付する体制にすることが重要です。

実務シナリオ2:冷凍食品で温度逸脱が発生した場合

冷凍食品の輸入で、ラベル上の賞味期限は十分に残っているものの、輸送中または保管中に温度逸脱が発生する場合があります。

この場合、表示上の期限が残っていることだけでは、品質や安全性を判断できません。賞味期限や消費期限は、定められた保存方法が守られていることを前提に設定されています。冷凍状態が維持されていない場合、その前提が崩れている可能性があります。

実務上は、温度記録、逸脱時間、貨物状態、包装状態、解凍痕、再凍結痕、品質検査の要否を確認します。必要に応じて、輸入者、品質担当、海外メーカー、保険会社、検査機関へ確認します。

このような場面では、フォワーダーや倉庫が販売可否を断定するべきではありません。物流側は事実関係と記録を整理し、輸入者や品質責任者が判断できる材料を提供することが重要です。

実務シナリオ3:期限接近品をECで割引販売する場合

賞味期限が近い輸入食品を、ECサイトで割引販売する場合があります。この場合、単に値引きして販売するだけでは、消費者が通常品と同じ残存期間があると誤認する可能性があります。

販売ページでは、賞味期限、発送時点の残存期間、保存方法、割引理由を分かりやすく表示する必要があります。特に、複数商品をセット販売する場合は、最も短い期限の商品が問題になりやすくなります。

たとえば、セット内の一部商品だけ賞味期限が近いにもかかわらず、全体を通常のギフトセットのように販売すると、受領後の消費可能期間が短く、クレームにつながることがあります。

期限接近品の販売では、景品表示法上の誤認リスクも意識し、割引理由、期限日、残存期間、配送予定日を明確にすることが重要です。

フォワーダー・輸入者が注意すべき点

フォワーダーや通関業者は、通常、賞味期限や消費期限を設定する立場ではありません。しかし、輸入食品の手配では、海外ラベル、インボイス、パッキングリスト、食品届、温度管理条件、ラベル貼付作業に関わることがあります。

物流実務では、海外ラベルの日付をそのまま日本語ラベルに転記しないこと、Best Before、Use By、Expiry Date、Manufacturing Dateの意味を輸入者に確認すること、月日年・日月年・年月日の読み違いを防ぐことが重要です。

冷蔵・冷凍品では、温度管理条件と期限表示の関係を確認します。表示期限が残っていても、温度逸脱や長期保管がある場合は、販売可否を輸入者や品質担当に確認する必要があります。

4列判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
輸入食品の販売前 輸入者、海外メーカー、表示担当 食品区分、保存方法、期限表示の種類、期限設定根拠 賞味期限か消費期限かを確認し、表示案を修正します。
海外ラベルを確認するとき 海外メーカー、輸入者、表示担当 Best Before、Use By、Expiry Date、Manufacturing Date、Packed Date 単語を直訳せず、意味と根拠を確認します。
日付形式を確認するとき 海外メーカー、輸入者、倉庫、表示担当 月日年、日月年、年月日、ロット番号、製造日、期限日 判断結果を記録し、ラベル作成時に転記ミスを防ぎます。
保存方法を確認するとき 海外メーカー、輸入者、物流会社、倉庫 常温、冷蔵、冷凍、開封後要冷蔵、温度条件 期限表示と保存方法が矛盾しないよう確認します。
冷蔵・冷凍輸送を行うとき フォワーダー、倉庫、配送会社、輸入者 温度記録、逸脱有無、保管期間、配送条件 温度逸脱時は、期限だけで販売可否を判断しないようにします。
ラベル貼付作業を行うとき 輸入者、倉庫、物流会社、表示担当 ラベル原稿、貼付指示、対象ロット、期限日、最終確認者 表示判断責任と作業責任を分け、ダブルチェックします。
期限接近品を販売するとき 輸入者、販売担当、EC担当、倉庫 期限日、残存期間、割引理由、発送予定、販売ページ表示 消費者に期限が近いことを明確に示します。
セット販売・ギフト販売を行うとき 販売担当、倉庫、輸入者、EC担当 各商品の期限、最短期限、到着日、保存方法、配送日数 最短期限を基準に販売条件を見直します。

よくある誤解

誤解 正しい理解 実務上の注意点
賞味期限が切れても安全なら販売してよい 賞味期限は品質保持の期限であり、期限経過後の販売には品質保証、説明責任、取引先基準、信用問題が伴います。 期限経過品を安易に販売しないよう管理します。
Best Beforeをそのまま賞味期限にすればよい Best Beforeは賞味期限に近い意味で使われることが多いものの、国や商品によって運用が異なります。 海外メーカーに意味と根拠を確認します。
製造日を期限日として扱えばよい Manufacturing DateやProduction Dateは製造日であり、賞味期限や消費期限そのものではないことが多いです。 製造日からの保存可能期間を確認します。
日付の並び順は見れば分かる 03/04/2026のような表示は、国によって3月4日にも4月3日にも読めます。 日付形式を必ず確認し、記録します。
表示上の期限が残っていれば品質は保証される 期限表示は、定められた保存方法が守られていることを前提にしています。 冷蔵・冷凍品では温度逸脱の有無を確認します。
物流会社がラベルを貼れば、期限表示も物流会社が判断したことになる ラベル貼付作業と期限表示の判断責任は別です。 輸入者の表示判断と倉庫の作業責任を分けます。
期限接近品は安く売れば説明しなくてよい 割引販売でも、期限が近いことや残存期間が分かりにくいと消費者に誤認を与える場合があります。 期限日、発送時点の残存期間、保存方法を明確にします。

実務上のポイント

賞味期限と消費期限の確認では、まず食品の性質と保存方法を確認し、品質保持の期限なのか、安全性に関わる期限なのかを整理することが重要です。

輸入食品では、海外ラベルの表記、日付の並び順、製造日、期限日、保存条件、期限設定の根拠を確認したうえで、日本の食品表示基準に合わせて表示内容を決定する必要があります。

特に冷蔵品・冷凍品では、期限表示は温度管理が守られていることを前提にしています。輸送中や保管中に温度逸脱がある場合、表示上の期限が残っていても、品質保証の前提が崩れている可能性があります。

記録保存の重要性

賞味期限と消費期限では、どの根拠に基づいて期限を表示したかを記録しておくことが重要です。輸入食品では、海外メーカーの回答、日付形式、期限設定根拠、保存方法、製造日、期限日、日本語ラベルへの反映内容を保存しておく必要があります。

保存しておくべき資料には、海外ラベル、メーカー確認メール、製造日・期限日の説明資料、保存条件資料、試験資料、温度記録、輸送条件、ラベル原稿、貼付指示書、作業記録、ECページ表示、期限接近品の販売条件などがあります。

記録が残っていれば、期限表示の根拠や日付の読み方を説明しやすくなります。逆に、記録が不足している場合、表示そのものが正しくても、後から説明が難しくなることがあります。

まとめ

賞味期限は、定められた保存方法で保存した場合に、期待される品質が十分に保たれる期限です。消費期限は、定められた保存方法で保存した場合に、安全性を欠くおそれがないと認められる期限です。

輸入食品では、Best Before、Use By、Expiry Date、Manufacturing Dateなどの海外表記を単純に翻訳せず、日付の意味、並び順、保存条件、期限設定の根拠を確認する必要があります。

期限表示は、ラベル上の日付だけの問題ではありません。保存方法、輸送・保管条件、温度管理、販売方法、広告表示まで含めて確認することで、期限表示に関する実務上の事故を防ぐことができます。

同義語・別表記

  • 期限表示
  • 消費期限
  • 賞味期限
  • Best-Before Date
  • Use-By Date
  • Expiration Date
  • Expiry Date
  • Best Before
  • Use By
  • Manufacturing Date
  • Production Date
  • Packed Date