フラットラック・オープントップコンテナのはみ出し貨物と船賃
概要
フラットラックコンテナやオープントップコンテナは、通常のドライコンテナでは積載できない重量物、長尺物、背高貨物、幅広貨物などを輸送する際に使用される特殊コンテナです。
これらのコンテナでは、貨物がコンテナの上部や側面からはみ出すことがあります。この場合、貨物そのものの大きさだけでなく、周囲に他のコンテナを積めなくなるスペース、いわゆるVoid Space又はDead Spaceが船賃に影響することがあります。
実務では、単に「40フィートフラットラック1本分の運賃」と考えるのではなく、Over Height、Over Width、Full Void、積付位置、船社ごとの計算方法を確認する必要があります。
フラットラック・オープントップコンテナとは
フラットラックコンテナは、側壁や屋根がなく、重量物や長尺物、幅広貨物を積載するために使われるコンテナです。機械設備、鋼材、建設機械、大型部品、プロジェクト貨物などで使用されることがあります。
オープントップコンテナは、屋根部分が開放されており、上部から貨物を積み込む必要がある場合や、貨物の高さが通常コンテナに収まらない場合に使われます。
どちらも通常のドライコンテナと異なり、貨物の寸法、重量、重心、固定方法、はみ出し寸法、積付位置によって、船会社の引受可否や運賃が大きく変わります。
はみ出し貨物とVoid Space
フラットラックやオープントップでは、貨物がコンテナの外側にはみ出すことがあります。このような貨物は、Out of Gauge貨物又はOOG貨物と呼ばれることがあります。
貨物が上部や側面にはみ出すと、その周辺に通常コンテナを積めなくなります。船会社から見ると、実際に使用しているコンテナは1本でも、周囲の積載スペースも使えなくなるため、その分を運賃に反映することがあります。
この使えなくなるスペースが、Void Space又はDead Spaceです。はみ出し貨物の船賃が高くなる理由は、特殊コンテナを使うからだけではなく、船内の積載効率を下げるためです。
Over Heightとは
Over Heightとは、貨物がコンテナの上面からはみ出している状態をいいます。オープントップコンテナやフラットラックコンテナで、貨物の高さが通常コンテナの範囲を超える場合に問題になります。
Over Height貨物では、上に別のコンテナを積むことができないため、上方向のスペースが使えなくなります。そのため、通常のコンテナ1本分の運賃ではなく、上部に生じるVoid Spaceを考慮した運賃になることがあります。
Over Widthとは
Over Widthとは、貨物がコンテナの左右にはみ出している状態をいいます。フラットラックコンテナで幅広の機械や構造物を輸送する場合に問題になります。
Over Width貨物では、左右の隣接スペースにコンテナを積めなくなることがあります。そのため、貨物の幅が少しはみ出しているだけでも、船内積付上は隣接スロットを使えないものとして扱われ、運賃が大きく上がる場合があります。
Over Height and Over WidthとFull Void
貨物が上方向にも左右方向にもはみ出している場合、Over Height and Over Widthとして扱われます。実務上は、Full Voidという考え方で運賃を見積もられることがあります。
Full Voidでは、対象コンテナの上部だけでなく、左右や周辺の積載スペースも使えなくなるため、通常のコンテナ数本分に相当するスペースを占有していると評価されることがあります。
そのため、見た目にはフラットラック1本の貨物であっても、船会社の運賃計算上は複数TEU分のスペースを使っているものとして扱われる場合があります。
TEU換算の考え方
40フィートコンテナは、概念上2TEUとして扱われます。この考え方を前提に、フラットラック貨物のVoid SpaceをTEU換算して運賃を考えることがあります。
| 貨物・状態 | Void Spaceの目安 | 実務上の意味 |
|---|---|---|
| 40FR・Over Height | 約2TEU分のVoidとして扱われることがあります。 | 上部にコンテナを積めないため、上方向のスペースが問題になります。 |
| 40FR・Over Width | 約4TEU分のVoidとして扱われることがあります。 | 左右の隣接スペースを使えないため、横方向のスペースが問題になります。 |
| 40FR・Over Height and Over Width | 約10TEU分のFull Voidとして扱われることがあります。 | 上方向と横方向の両方で積載制限が生じ、運賃が高額になりやすくなります。 |
| 20FR・Over Height and Over Width | 約5TEU分のFull Voidとして扱われることがあります。 | 20フィートであっても、周辺スペースの占有により大きなVoidが発生します。 |
これらのTEU換算は、実務上の目安として理解する必要があります。実際のVoid Spaceの計算方法や運賃への反映方法は、船会社、航路、本船の積付条件、貨物寸法、重量、船腹状況によって異なります。そのため、必ず実際の船会社見積条件で確認することが重要です。
フラットラックの積付位置
フラットラック貨物は、通常コンテナのように自由に積み重ねられるわけではありません。特に重量物や上部にはみ出す貨物では、積付位置が船の安定性や積載効率に影響します。
重量物は一般的に、船の重量バランスを考慮してUNDER DECKに積まれやすい傾向があります。一方で、貨物の寸法、重量、Void Space、本船の積付計画によっては、ON DECKに積まれる場合もあります。
最終的な積付位置は、船会社の運航部門が本船全体の重量配分、復原性、積載効率、安全性を考慮して決定します。そのため、荷主やフォワーダーが希望を出すことはできても、常に希望どおりの積付位置が確約されるわけではありません。
UNDER DECK指定は確約ではない
荷主がUNDER DECK積みを希望することがあります。特に、雨濡れ、波浪、塩害、風雨の影響を避けたい貨物では、UNDER DECKを希望する理由があります。
しかし、UNDER DECK指定は、実務上リクエストベースで扱われることが多く、最終的な積付位置は船会社の判断によります。重量物はUNDER DECKに積まれやすい一方で、スペースや本船積付計画によってはON DECK最上部に積まれることもあります。
また、ON DECKに積まれる場合でも、船の重量バランスや安全性を踏まえ、船舷付近ではなく中央付近に配置されることがあります。したがって、UNDER DECK希望の可否、追加費用の有無、確約かリクエストかを船会社に確認する必要があります。
オープントップコンテナで注意すべき点
オープントップコンテナは、上から貨物を積み込む場合や、貨物の高さが通常コンテナに収まらない場合に使われます。ただし、上部にはみ出しがある場合には、上方向のVoid Spaceが問題になります。
オープントップであっても、貨物がコンテナの高さ内に収まる場合と、上部にはみ出す場合では、運賃や積付条件が変わることがあります。Over Heightがある場合、上にコンテナを積めないため、通常コンテナとは異なる運賃条件になる可能性があります。
そのため、オープントップを使う場合でも、貨物の高さ、梱包後寸法、吊り上げ方法、ラッシング方法、防水対策、ターポリンの使用可否を確認する必要があります。
見積時に必要な情報
フラットラックやオープントップの見積では、通常コンテナよりも詳細な貨物情報が必要です。船会社は、貨物寸法と重量だけでなく、はみ出し方向、重心、固定方法、吊り点、積付可否を確認します。
| 確認項目 | 実務上の意味 |
|---|---|
| 貨物寸法 | 長さ、幅、高さ、梱包後寸法を確認します。 |
| 総重量 | コンテナ許容重量、本船積付、荷役可否に影響します。 |
| 重心位置 | 偏荷重や転倒リスクを確認します。 |
| Over Height | 上方向のVoid Spaceを確認します。 |
| Over Width | 左右方向のVoid Spaceを確認します。 |
| ラッシング方法 | 貨物固定の可否、安全輸送、事故防止に関係します。 |
| 吊り点・荷役方法 | クレーン作業、港湾荷役、CFS・CY受入条件に影響します。 |
| 積付希望 | UNDER DECK希望、ON DECK可否、船社リクエスト条件を確認します。 |
見積段階で寸法や重量が不正確な場合、後から船賃が変更されたり、船積みができなくなったりすることがあります。特にOOG貨物では、図面、写真、梱包仕様書、重量証明、重心情報を早めに準備することが重要です。
貨物保険との関係
フラットラックやオープントップの貨物では、通常コンテナよりも貨物が外部環境にさらされやすい場合があります。雨濡れ、塩害、風雨、荷役中の衝撃、ラッシング不良、積付不良などが問題になることがあります。
貨物保険を手配する場合は、コンテナ種類、On Deckの可能性、Over Height、Over Width、梱包・固定方法を保険会社又は保険代理店へ正確に伝える必要があります。
特に、甲板積み、特殊貨物、重量物、中古機械、プロジェクト貨物では、通常のICC条件だけで足りるか、On Deck条件、特殊約款、梱包条件、サーベイ要否を確認することが重要です。
実務で確認すべきポイント
- 貨物の長さ、幅、高さ、重量、重心位置を正確に確認する。
- Over Height、Over Width、Full Voidの有無を確認する。
- 船会社がVoid Spaceをどのように計算するか確認する。
- TEU換算の目安だけで判断せず、実際の見積条件を確認する。
- UNDER DECK希望が確約かリクエストかを確認する。
- フラットラック、オープントップ、特殊コンテナのどれが適切か確認する。
- 貨物保険上、On Deck、梱包、ラッシング、特殊貨物条件が問題にならないか確認する。
まとめ
フラットラック・オープントップコンテナのはみ出し貨物では、貨物そのものの寸法だけでなく、周囲に他のコンテナを積めなくなるVoid Spaceが船賃に影響します。Over Height、Over Width、Full Voidの有無により、見た目以上に大きなスペースを占有していると評価されることがあります。
実務では、TEU換算の目安だけで判断せず、船会社ごとの見積条件、積付位置、UNDER DECK希望の扱い、貨物保険上の条件を確認することが重要です。正確な寸法、重量、重心、図面、写真を早めに提示することで、運賃見積と船積可否の確認を進めやすくなります。
