フラットラック・オープントップコンテナのはみ出し貨物と船賃

Flat Rack / Open Top Container Out of Gauge Cargo and Ocean Freight

フラットラック・オープントップコンテナのはみ出し貨物と船賃

フラットラックコンテナ及びオープントップコンテナは、通常のドライコンテナへ収容できない重量物、長尺物、背高貨物、幅広貨物、建設機械、大型設備及びプロジェクト貨物等の輸送に使用される特殊コンテナです。

貨物がコンテナの上部、左右又は前後から所定の外形限界を超えてはみ出す場合、その貨物はOut of Gauge貨物又はOOG貨物として取り扱われます。

OOG貨物の運賃は、フラットラック又はオープントップコンテナ1本分の通常運賃だけで決まるとは限りません。貨物のはみ出しにより、隣接スロット又は上部スロットへ他のコンテナを積載できなくなる場合、その使用不能スペースがVoid Space又はDead Spaceとして運賃へ反映されることがあります。

また、船積可否及び運賃は、貨物寸法だけでなく、総重量、重心、床荷重、吊り点、固縛方法、荷役設備、積付位置、本船のBay Plan、復原性、他の予約貨物及び寄港地ごとの荷役順序によって変わります。

したがって、OOG貨物では、概算TEU換算だけで判断せず、最終梱包後の図面、写真、重量、重心及び固縛計画を船会社へ提出し、貨物ごと・本船ごとの正式承認と運賃条件を確認する必要があります。

この記事の位置付け

本記事は、フラットラック及びオープントップコンテナを使用するOOG貨物について、はみ出し方向、Void Space、船会社の積付判断、見積条件、事故対応及び保険申告を一体として整理する専門実務記事です。

項目 この記事で扱う内容 他記事で扱う内容
特殊コンテナの基本 Flat Rack、Open Top及びIn Gauge・Out of Gaugeの区別 本記事
はみ出し方向 Over Height、Over Width、Over Length及び複合超過 本記事
Void Space 隣接・上部スロットが使用不能になる仕組み 本記事
海上運賃 OOG基本運賃、特殊機器費用、Void、荷役及び固縛費用 一般的な運賃分類は「海上運賃の種類と費用構造」
安い見積の判断 概算寸法やVoid除外による低価格表示の危険 価格比較の一般原則は「安い見積を選ぶリスク」
フォワーダーの差益 船会社原価と荷主向け販売運賃を分けて確認する必要性 差益の詳細は「フォワーダーの運賃差益」
NVOCCの責任 House B/L発行者と単純取次者の責任差の概要 契約上の地位は「NVOCCとは」
貨物保険 OOG、ON DECK、梱包、固縛及びSurvey情報の申告 具体的な補償条件は保険証券・特別約款ごとに確認する
貨物事故 寸法、積付、固縛、梱包及び船会社指図の確認 事故原因別の初動・求償は貨物事故関連の専門記事で扱う

フラットラックとオープントップの基本構造

比較項目 フラットラック オープントップ 主な確認事項
構造 側壁及び屋根がなく、端壁又は支柱を備える型式がある 側壁及び端壁を備え、屋根部分を開放できる 機器型式、端壁、床強度及び使用可能寸法
主な用途 重量物、幅広貨物、長尺物、建設機械及び大型設備 上方から積み込む貨物、背高貨物及び通常扉から搬入できない貨物 積込方法、吊り点、荷役設備及び梱包形状
はみ出し方向 上、左右及び前後へ超過する場合がある 主として上方超過が問題となるが、型式により他方向も確認する 最終梱包後の全長・全幅・全高
防水性 通常の密閉型コンテナと同等の防水性は期待できない ターポリン等を使用しても完全密閉とは限らない 防水梱包、排水、養生及び保険条件
積付制約 周囲のスロット、船体構造及び固縛位置の制約を受ける 上部超過時は上積みが制限される Bay Plan、Void、UNDER DECK・ON DECK
運賃 特殊機器、Void、重量、荷役及び固縛を含む個別見積となりやすい In GaugeかOver Heightかにより大きく変わる 見積条件、適用本船及び寸法変更時の再見積

フラットラック又はオープントップを使用したという事実だけで、直ちにOOG貨物となるわけではありません。

貨物が船会社の定めるコンテナ外形又は許容範囲内に収まる場合は、特殊コンテナを使用していてもIn Gaugeとして取り扱われる場合があります。

Out of Gaugeの主な区分

区分 状態 積付への影響 運賃への主な影響
Over Height 貨物が上方の所定外形を超える 上部スロットを使用できない場合がある 上方向のVoid又は積付位置指定が加算される
Over Width 貨物が左右の所定外形を超える 左右の隣接スロットを使用できない場合がある 側方Void又は複数スロット相当の運賃となる
Over Length 貨物が前後方向の所定範囲を超える 隣接Bay、端壁、ラッシング設備又は荷役に影響する 特殊積付、荷役又は追加スペース費用が生じる
Over Height and Over Width 上方と左右の双方へ超過する 上部及び隣接スロットの双方を制限する Full Void等として高額な個別運賃となることがある
重量超過・集中荷重 総重量又は単位面積当たり荷重が大きい 床強度、船体構造、荷役機器及び積付位置を制限する 重量割増、特殊荷役又は特定本船指定が必要になる
偏心重心 重心が中心から大きく外れる 吊上げ、固縛、復原性及び積付安全性へ影響する 追加設計、Survey又は船積拒否につながることがある

同じ貨物寸法でも、本船の構造、使用するコンテナ型式、積付予定位置及び隣接貨物によって、使用不能となるスロット数が変わる場合があります。

Void Spaceが船賃へ反映される理由

コンテナ船の船腹は、長さ、幅、高さ及び位置ごとに管理されたスロットで構成されます。

通常コンテナであれば、隣接スロット及び上部スロットを利用して、複数段・複数列に積載できます。

一方、OOG貨物が上方又は左右へはみ出すと、その周辺へ別のコンテナを積載できなくなることがあります。

船会社にとっては、実際に貨物を積載するコンテナが1本であっても、販売できなくなる周辺スロットが生じます。この機会損失及び積付制約が、Void Space、Dead Space又はLost Slot等の考え方として運賃へ反映されます。

運賃要素 内容 確認事項
基本Ocean Freight 使用するFlat Rack又はOpen Top本体の海上運賃 20フィート・40フィート、航路及び本船
特殊機器費用 特殊コンテナの供給、回送又は機器不足に伴う費用 機器確保、返却、キャンセル及びDamage条件
Void Space 上部・左右・前後の使用不能スペース 計算単位、対象スロット及び適用本船
重量割増 重量、床荷重又は特殊積付に伴う費用 総重量、重心及び船会社の重量区分
特殊荷役 クレーン、吊り具、フォークリフト、横持ち又は立会い 港湾側の受入条件及び作業時間
ラッシング費用 木材、チェーン、ワイヤー、ターンバックル等による固縛 誰が設計・施工・承認するか
Survey・承認費用 積付、固縛、重量又は梱包に関する確認 Surveyor、Marine Warranty Survey及び提出期限
例外費用 再計測、再梱包、船積変更、保管、横持ち又はキャンセル 寸法変更又は船積拒否時の負担者

Void Spaceの請求は、単純に失われるTEU数へ通常運賃を掛ける方式とは限りません。

船会社が独自のOOG Tariff、Slot Rate、Minimum OOG Charge又は本船ごとの個別運賃を設定する場合もあります。

TEU換算は参考モデルであり固定算式ではない

実務説明では、Void Spaceの規模を理解するため、TEU換算の目安が使用されることがあります。

貨物・状態 参考として示されることがあるVoid 説明上の意味 使用上の注意
40FR・Over Height 約2TEU相当 上部へ積載できないスペースを表す説明例 実際の上部段数や積付位置により異なる
40FR・Over Width 約4TEU相当 左右の隣接スロットが使用不能となる説明例 はみ出し量と船内配置により異なる
40FR・Over Height and Over Width 約10TEU相当のFull Void 上部及び左右双方の大きな制限を表す説明例 全船会社・全本船に共通する算式ではない
20FR・Over Height and Over Width 約5TEU相当のFull Void 20フィート貨物でも周辺スペースを占有する説明例 船会社の見積条件を必ず優先する

これらは、Void Spaceの考え方を説明する参考モデルであり、船会社が必ずこのTEU数で請求するという意味ではありません。

同じ40FRのOver Widthでも、はみ出しが片側だけか両側か、積付位置が船側か中央か、隣接スロットに小型コンテナを置けるかなどによって結果が変わります。

船会社の積付意思決定

OOG貨物は、運賃を提示できれば必ず船積みできるわけではありません。

船会社の営業部門又は見積部門が概算運賃を提示した後、運航、積付計画、船舶、港湾荷役その他の関係部門による確認が必要になる場合があります。

判断要素 船会社が確認する主な内容 船積みへの影響
Bay Plan 対象貨物と他の予約コンテナの配置 予定本船へ積載できるかを判断する
復原性・重量配分 重量、高さ、横方向位置及び船全体のバランス 積付位置又は受入重量を制限する
甲板・ハッチ強度 集中荷重、床荷重及び構造上の許容値 特定位置以外へ積めない場合がある
隣接・上部スペース はみ出し寸法と使用不能スロット Void及び運賃を決定する
荷役設備 ガントリークレーン、吊り具、港湾作業能力 積地又は揚地で取扱不可となる場合がある
固縛計画 チェーン、ワイヤー、木材、支点及び固定強度 承認されなければ船積みできない
寄港順序 途中港で他のコンテナを積み降ろせるか OOG貨物が他貨物の荷役を妨げる場合がある
航路・気象 季節的な荒天、波浪及び航路特性 ON DECK可否、養生又は本船選定へ影響する

荷主又はフォワーダーが希望する本船に空きがあっても、Voidを含む配置、重量配分又は荷役条件が成立しなければ受け入れられない場合があります。

UNDER DECK希望とON DECK積付

雨濡れ、海水、塩分及び風雨への曝露を避ける目的で、荷主がUNDER DECK積みを希望することがあります。

ただし、UNDER DECKの記載は、船会社が明示的に確約していない限り、通常は積付希望又はリクエストとして扱われる場合があります。

重量物は低い位置への積付が検討されることがありますが、重量だけでUNDER DECKが保証されるわけではありません。

確認項目 確認内容 曖昧な場合のリスク
見積条件 UNDER DECKが確約、条件付又はRequest Basisのどれか 荷主が確約と誤認する
Booking Confirmation 積付条件が書面に反映されているか 営業段階の希望だけが残る
運送約款・B/L ON DECK積付に関する権限又は記載 契約上の取扱いが争われる
追加費用 UNDER DECK指定に追加料金が必要か 確約料金を支払っていない可能性がある
貨物保険 ON DECKの可能性を保険者へ申告したか 引受条件又は事故時評価が問題となる
梱包 ON DECKとなっても耐えられる防水・防錆措置か 積付位置だけに依存した損害防止となる

UNDER DECKを絶対条件とする場合は、見積依頼時にその旨を明示し、船会社から確約の可否、追加料金、対象本船及び条件を書面で取得する必要があります。

見積時に必要な情報

確認項目 提出する内容 不足した場合の影響 推奨資料
最終梱包寸法 全長、全幅、全高及びはみ出し寸法 Void、機器及び船積可否を判断できない 寸法図、三面図、梱包図
総重量 貨物、梱包材、架台及び付属品を含む重量 コンテナ・荷役・船体の許容値を確認できない 重量証明、Packing List
重心 縦・横・高さ方向の重心位置 吊上げ、転倒及び固縛安全性を判断できない 重心図、メーカー資料
接地面・床荷重 支持点、接地面積及び集中荷重 コンテナ床又は船体構造を損傷する可能性がある 支持図、荷重計算
吊り点 吊り上げ位置、許容荷重及び吊り角度 港湾荷役ができない Lifting Plan、吊り点図
固縛方法 チェーン、ワイヤー、木材、支点及び本数 船会社又はSurveyorの承認を得られない Lashing Plan、強度計算
貨物性状 精密機械、液体、危険品、残油、可動部等 受入条件、梱包及び保険判断を誤る SDS、仕様書、写真
積付希望 UNDER DECK、ON DECK可否及び方向指定 希望と実際の積付が一致しない 書面によるBooking条件
積地・揚地荷役 クレーン、フォークリフト、横持ち及び搬入経路 港で受け入れ又は搬出できない Method Statement、現場写真

製造前又は梱包前の設計寸法で概算見積を取得することはできますが、正式Booking及び最終運賃は、最終梱包後の情報に基づき再確認する必要があります。

ラッシング・梱包・荷役の責任分担

関係者 主な役割 確認する書類 主な責任論点
Shipper 貨物情報、梱包、重量、重心及び性状を申告する Packing List、図面、重量証明、SDS 寸法・重量誤申告、梱包不足及び危険性の未申告
元請フォワーダー 船会社への見積・Booking、情報伝達及び荷主説明を行う 見積書、Booking Request、メール、House B/L 条件説明、情報転記、承認範囲及び契約上の地位
NVOCC / House B/L発行者 自己名義で運送を引き受け、下請先を手配する House B/L、運送約款、船会社Booking 荷主への契約上の対応と下請先への求償
船会社 本船積付、海上運送及び船内安全を判断する Booking Confirmation、承認図、Ocean B/L 受入承認、積付判断、船体・航海上の管理
梱包・ラッシング業者 架台、養生、固縛及び作業記録を作成する Lashing Plan、作業写真、施工記録 施工不良、材料不足及び設計不一致
港湾荷役業者 受入、吊上げ、積卸し及び構内移動を行う Tally、作業記録、事故報告 荷役中の衝撃、落下及び設備損傷
Surveyor 梱包、積付、固縛又は損害状態を確認する Survey Report、承認書 確認範囲、留保事項及び報告内容

船会社がラッシング方法を承認した場合でも、梱包業者又はShipperの施工責任が当然に消滅するわけではありません。

同様に、Shipperが寸法情報を提供したとしても、元請フォワーダーが転記を誤り、船会社へ異なる寸法を送信した場合は、情報伝達上の責任が別に問題となります。

貨物保険との関係

フラットラック及びオープントップ貨物は、通常の密閉型ドライコンテナよりも、雨、海水、塩分、風、紫外線、荷役衝撃及び固縛不良の影響を受けやすい場合があります。

貨物海上保険を申し込む際は、単に「機械1台」等と申告するのではなく、使用コンテナ、OOGの方向、ON DECKの可能性、梱包、防水、防錆、固縛、Survey及び中古品かどうかを申告します。

保険確認項目 確認内容 主なリスク
コンテナ種類 Flat Rack、Open Top又はその他の特殊機器 通常コンテナとして誤認される
積付位置 ON DECKの可能性及びUNDER DECK確約の有無 引受条件と実際の積付が一致しない
梱包 防水、防錆、真空、ターポリン、木箱等 梱包不足又は固有の性質が争われる
固縛 施工者、材料、設計及びSurvey 荷動き、転倒又は落下が生じる
貨物状態 新品、中古、残油、腐食又は既存損傷 事故前状態を確認できない
Survey 事前Survey又は積込立会いが必要か 保険条件を満たさない可能性がある

補償の可否は、保険証券、特別約款、申告内容及び事故原因によって判断されます。OOG貨物であることだけを理由に一律に補償対象外又は補償対象と判断することはできません。

Standard Five Classificationsとの接続

この五分類は、法令上又は業界全体で確立された法的分類ではなく、本シリーズにおいて、フォワーダーが契約及び実務上どの範囲まで関与しているかを整理するための分析上の枠組みである。

Standard Five Classifications OOG貨物との主な関係 確認事項
1. Simple Intermediary 船会社又は特殊貨物業者を紹介し、条件を取り次ぐ 誰が運送契約を締結し、寸法承認を行うか
2. Cargo Transportation Service Provider 梱包、ラッシング、搬入、通関又は荷役を提供する 自社作業範囲、再委託及び作業上の責任
3. NVOCC / House B/L Issuer 自己名義でOOG貨物の運送を引き受ける House B/L区間、積付条件及び荷主への契約責任
4. Door-to-Door Single Contractor 工場搬出から海外納入まで一括して手配する 特殊車両、港湾荷役、船積及び海外配送を含む範囲
5. Agent / Coordinator for Specific Operations 船会社承認、Survey、荷役又は特定の積付調整を行う 委任業務、承認権限及び報告範囲

Standard Five Classificationsとは別に、誰がContracting Carrierであり、誰がActual Carrier、代理人、取次者、梱包業者、ラッシング業者又は下請事業者であるかを確認します。

また、寸法確認、船会社Booking、House B/L発行、積付承認、UNDER DECK交渉、ラッシング、港湾荷役及び事故対応のうち、具体的にどの業務と権限を誰が引き受けたかを別に確認します。

Flat Rack、Open Top、Over Height、Over Width、Void Space、ラッシング及び特殊荷役は、Standard Five Classificationsを置き換えるものではなく、別の第六の分類を構成するものでもありません。

実務上問題になりやすい場面

場面 主な原因 確認資料 判断の中心 初動対応
概算見積後に運賃が大幅増額された 最終寸法が概算寸法を超えた 図面、見積条件、最終計測記録 寸法変更と説明・承認の経緯 旧寸法と最終寸法を比較する
Over Heightだけの見積がFull Voidへ変更された 最終梱包でOver Widthも判明した 三面図、写真、船会社承認 誰がどの時点で幅を確認したか 正式Void条件を再取得する
UNDER DECK希望がON DECKとなった 希望が確約として記録されていなかった 見積書、Booking Confirmation、B/L RequestかGuaranteeか 積付条件と保険申告を確認する
固縛不足により貨物が移動した 設計、材料、施工又は貨物情報が不十分 Lashing Plan、作業写真、Survey 施工者と承認者の確認範囲 現状保存と共同Surveyを行う
港湾で船積みを拒否された 重量、重心、吊り点又は荷役能力が不明 重量証明、Lifting Plan、港湾条件 必要情報が期限までに提出されたか 保管・再荷役費用を区分する
Open Top貨物に雨濡れが生じた ターポリン、防水梱包又は積付条件の問題 梱包写真、積付記録、気象記録 外来水濡れか梱包不足か 開梱前に写真とSurveyを確保する
申告重量と実測重量が異なった 架台・梱包材を含めていなかった Packing List、計量票、設計資料 誤差の発生主体と再見積条件 船会社と港湾へ直ちに再申告する
貨物保険で条件不一致が問題となった OOG・ON DECK・中古品等の申告が不足した 保険申込、見積書、Booking記録 保険者へ提供された情報 事故通知時に全資料を提出する

具体例1:横浜港発ハンブルク港向け変圧器がFull Voidへ変更された場合

横浜港からハンブルク港へ輸送する変圧器について、40フィートフラットラックを使用する想定例です。

概算見積時にShipperから提示された寸法は、長さ8.20m、幅2.95m、高さ3.10m、総重量36.5tでした。

フォワーダーは、主としてOver Heightとなる前提で船会社から210万円の概算運賃を取得しました。見積書には「Final rate subject to final packed dimensions and carrier approval」と記載されていました。

最終梱包後の実測値は、長さ8.40m、幅3.38m、高さ3.72m、総重量39.2tでした。

船会社は、Over Heightに加えて両側のOver Widthがあるため、予定本船ではFull Void相当の配置が必要であるとして、特殊荷役及びラッシングを含む495万円を提示しました。

増額は285万円です。

Shipperは、同じ変圧器であり、幅と高さの差は梱包材によるものにすぎないため、フォワーダーが当初見積との差額を負担すべきだと主張しました。

フォワーダーは、概算見積は提示寸法を前提とし、最終寸法による再承認条件を明記していたため、増額はShipper側の寸法変更によるものだと反論しました。

判断では、当初図面、梱包業者への指示、見積条件、最終寸法の確定時期、フォワーダーが再見積前に船積みを確定したか及びShipperが増額を承認したかを確認します。

OOG貨物では、数十cmの変更でも隣接スロットの使用可否が変わり、運賃が連続的ではなく段階的に上昇する場合があります。

具体例2:神戸港発シンガポール港向けOpen Top貨物がON DECKとなった場合

神戸港からシンガポール港へ輸送する産業用プレス機について、40フィートオープントップを使用する想定例です。

貨物寸法は長さ5.60m、幅2.25m、高さ3.45m、総重量18.8t、貨物価額は4,800万円でした。

Shipperは雨濡れを懸念し、見積依頼メールに「UNDER DECK希望」と記載しました。

フォワーダーは船会社へ希望を伝えましたが、Booking Confirmationには「Under deck request only, subject to vessel stowage」と記載され、確約料金は提示されていませんでした。

実際にはON DECKへ積載され、航海中の荒天後、ターポリンの一部損傷と機械外装への水分侵入が確認されました。Shipperは修理・防錆処理等として720万円を請求しました。

Shipperは、UNDER DECK希望を伝えていた以上、フォワーダーはON DECKとなる可能性を明確に説明し、再確認すべきだったと主張しました。

フォワーダーは、UNDER DECKはRequest BasisであることがBooking Confirmationに記載され、船会社の最終積付判断であったと反論しました。また、防水梱包がON DECKを想定した仕様ではなかった点も指摘しました。

判断では、ShipperへBooking Confirmationの条件を伝えたか、UNDER DECKを輸送の絶対条件として受け入れたか、梱包仕様、ターポリン施工、気象・積付記録、B/L記載及び貨物保険への申告内容を確認します。

UNDER DECK希望を伝えた事実と、UNDER DECK積みを契約上確約した事実は区別する必要があります。

具体例3:名古屋港発ロッテルダム港向け貨物の実測寸法が異なった場合

名古屋港からロッテルダム港へ輸送する産業設備について、当初20フィートフラットラックを予定した想定例です。

Booking時の申告寸法は長さ5.90m、幅2.42m、高さ2.70m、総重量14.5tでした。

港湾搬入後の実測値は、長さ6.35m、幅2.88m、高さ3.15m、総重量16.2tでした。架台、緩衝材及び防水梱包の寸法・重量が当初情報へ含まれていませんでした。

船会社は、予定した20フィートフラットラック及び本船では承認できないとしてBookingを取り消し、翌週の本船で40フィートフラットラックへ変更しました。

追加費用は、運賃・Void差額138万円、保管料28万6,000円、再荷役・横持ち16万5,000円で、合計183万1,000円となりました。

Shipperは、貨物本体の寸法は当初申告どおりであり、梱包後の差は通常の範囲であるため、フォワーダーが事前に梱包外寸を確認すべきだったと主張しました。

フォワーダーは、見積依頼書に「Final packed dimensions required」と記載し、Shipperが最終梱包寸法として数値を提出したため、その情報を船会社へ転送したと反論しました。

判断では、誰が数値を作成したか、寸法欄が貨物本体寸法か梱包外寸か、フォワーダーが図面を確認したか、20フィート機器の適合性をどの段階で判断したか及び追加費用の承認経緯を確認します。

OOG見積では、貨物本体寸法と最終梱包外寸を区別し、架台、突出部、養生材及び吊り金具を含めた最大外形を申告する必要があります。

よくある誤解

誤解 実際の考え方 実務上の注意点
フラットラック1本なら船賃も1本分である 周辺スロットのVoidが運賃へ反映されることがある 基本運賃とVoidを分けて確認する
40FRのFull Voidは必ず10TEUで計算する TEU換算は参考例であり、船会社・本船ごとに異なる 正式見積条件を優先する
Over Heightが数cmなら運賃への影響は小さい スロット使用可否が変われば運賃が段階的に上昇する はみ出し量だけでなく積付配置を確認する
UNDER DECK希望を伝えれば必ず船倉内へ積まれる 確約がなければRequest Basisである場合がある 書面上のGuaranteeの有無を確認する
重量物は必ずUNDER DECKへ積まれる 本船構造、復原性、荷役及びBay Planで決まる 重量だけで積付位置を判断しない
船会社がラッシングを承認すれば施工者の責任はない 承認範囲と実際の施工責任は別に判断される 設計、材料、施工記録を保存する
概算寸法と最終寸法の差は運賃へ影響しない Void、機器、荷役及び本船可否が変わる 最終梱包後に再承認を得る
Open Topはターポリンがあるため通常コンテナと同じ防水性がある 完全密閉ではなく、貨物側の防水・防錆措置が必要となる 梱包条件と保険申告を確認する
OOG貨物は全て貨物保険の対象外である 補償は保険条件、申告及び事故原因によって判断される 輸送開始前に正確な情報を申告する
Co-Loader又は船会社が積んだため元請フォワーダーは関係ない House B/L発行者等の契約上の地位を別に確認する 荷主対応と第三者への求償を分ける

OOG貨物の判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
概算見積時 Shipper、メーカー、梱包業者 貨物本体寸法か最終梱包寸法か 概算条件と再見積条件を明記する
コンテナ選定時 船会社、NVOCC、特殊貨物担当者 20FR、40FR、Open Top又は他の輸送方法 機器別の許容重量・寸法を再確認する
正式Booking前 Shipper、船会社 最終寸法、重量、重心、接地面及び吊り点 未確定情報があれば条件付Bookingとする
Void確認時 船会社 Over Height、Over Width、Over Length及びFull Void TEU目安ではなく正式運賃を取得する
積付希望時 船会社、元請フォワーダー UNDER DECKがRequestかGuaranteeか 絶対条件なら確約可否と追加費用を取得する
梱包・固縛時 梱包業者、ラッシング業者、Surveyor 防水、防錆、強度、材料及び施工方法 承認図と実施工の不一致を是正する
港湾搬入前 港湾荷役業者、CFS・CY 搬入経路、クレーン、重量制限及び作業時間 搬入後の船積拒否を避けるため事前承認を得る
貨物保険申込時 保険会社、保険代理店 OOG、ON DECK、梱包、固縛、Survey及び中古品 輸送開始前に追加情報・条件を確定する
寸法変更時 Shipper、船会社、経理・営業 運賃、Void、本船、保管及びキャンセル費用 変更後の総額を承認してから船積みを続行する
事故発生時 船会社、荷役業者、Surveyor、保険者 積付、固縛、梱包、気象、写真及び作業記録 移動・開梱前に証拠を保存する

専門家への確認を検討する場面

通常のOOG見積は、最終寸法、重量、船会社承認及び見積条件を確認することで処理できます。一方、次の場合は海事・物流分野の弁護士、Surveyor、船舶・積付専門家、保険会社又は保険代理店への確認を検討します。

  • 最終寸法変更により、数百万円規模の運賃・Void差額が争われている場合
  • UNDER DECKが確約であったか、単なる希望であったかが争われている場合
  • ON DECK積付後の海水・雨水損害について、梱包責任と運送責任が争われている場合
  • ラッシング不良、積付不良又は船体動揺により高額貨物が損傷した場合
  • 偏心重心、集中荷重又は吊り点不良が事故原因として疑われる場合
  • 船会社、元請フォワーダー、梱包業者及びラッシング業者が相互に責任を否定している場合
  • House B/L発行者と船会社のどちらへ請求すべきか争われている場合
  • 保険申告と実際のコンテナ、積付位置又は梱包条件が一致していない場合
  • 船積拒否、長期保管又はBooking取消しにより高額な追加費用が発生した場合
  • 外国港又は外国船会社に対する証拠保全、求償又は訴訟・仲裁が必要な場合

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確認したい論点 次に確認する記事
Ocean Freight、サーチャージ及び特殊運賃の費用分類 海上運賃の種類と費用構造
概算見積、除外費用及び最終総額の比較 安い見積を選ぶリスク
船会社原価と荷主向け販売運賃の差額 フォワーダーの運賃差益
House B/L発行者の契約上の運送責任 NVOCCとは

まとめ

フラットラック及びオープントップコンテナのOOG貨物では、貨物そのものの寸法だけでなく、周辺へ他のコンテナを積載できなくなるVoid Spaceが運賃へ影響します。

Over Height、Over Width、Over Length及び複合超過によって、上部・左右・前後のスロット使用条件が変わります。

TEU換算はVoidの規模を説明する参考モデルであり、全船会社・全本船に共通する固定算式ではありません。実際の運賃は、船会社のOOG Tariff、本船のBay Plan、重量配分、積付位置及び船腹状況に基づき決定されます。

UNDER DECK希望も、船会社が明示的に確約していなければ、積付リクエストにとどまる場合があります。

見積及び船積承認には、最終梱包後の寸法、総重量、重心、接地面、吊り点、Lashing Plan、図面及び写真が必要です。

また、元請フォワーダー、NVOCC、船会社、梱包業者、ラッシング業者及び港湾荷役業者の役割を区別し、荷主への契約上の対応と事故原因者への求償を分けて整理します。

貨物海上保険では、Flat Rack又はOpen Topの使用、OOGの方向、ON DECKの可能性、梱包、固縛及びSurvey条件を輸送開始前に正確に申告する必要があります。

OOG貨物は、特殊コンテナ1本を予約するだけの業務ではありません。寸法、船腹、Void、積付、荷役、固縛、運送責任及び保険条件を一体として管理する専門輸送です。

同義語・別表記

  • フラットラックコンテナ
  • オープントップコンテナ
  • はみ出し貨物
  • Out of Gauge Cargo
  • OOG Cargo
  • Over Height
  • Over Width
  • Over Length
  • Full Void
  • Void Space
  • Dead Space
  • 特殊コンテナ貨物
  • Flat Rack Cargo
  • Open Top Cargo
  • In Gauge Cargo

関連用語

公式情報