ICC2009 危険担保条項の基本構造
ICC2009のRISKS COVEREDとは
ICC2009のRISKS COVEREDとは、外航貨物海上保険において、どのような危険が保険で補償されるかを定める部分です。
主に、第1条の危険担保条項、第2条の共同海損、第3条の双方過失衝突条項で構成されています。
ICC(A)、ICC(B)、ICC(C)では第1条の補償範囲が異なりますが、第2条の共同海損と第3条の双方過失衝突条項は、貨物保険実務上いずれも重要な役割を持ちます。
ICC(A)の危険担保
ICC(A)は、いわゆるオールリスク型の条件です。
第4条から第7条までの免責条項に該当しない限り、被保険貨物の滅失または損傷について、広く補償する構造になっています。
ただし、オールリスクといっても、すべての損害が無条件に補償されるわけではありません。
通常の自然消耗、貨物固有の性質、梱包不十分、遅延、戦争危険、ストライキ危険などは、別途免責条項や特別約款との関係で判断されます。
ICC(B)の危険担保
ICC(B)は、ICC(A)よりも補償範囲が限定された列挙責任型の条件です。
火災・爆発、船舶の座礁・沈没・転覆、陸上輸送用具の転覆・脱線、輸送用具の衝突、遭難港での荷卸し、地震・噴火・雷など、約款に列挙された危険が中心となります。
また、共同海損犠牲、投荷、波ざらい、船舶・艀・船艙・輸送用具・コンテナ・保管場所への海水等の浸入、積込み・荷卸中の梱包1個ごとの全損も対象になります。
ICC(B)では、列挙された危険に該当するかどうかが重要です。事故原因が不明確な場合や、単なる破損・不足・濡損が発生した場合には、ICC(A)とは判断が異なる可能性があります。
ICC(C)の危険担保
ICC(C)は、ICC(B)よりもさらに補償範囲が限定された条件です。
火災・爆発、船舶の座礁・沈没・転覆、陸上輸送用具の転覆・脱線、輸送用具の衝突、遭難港での荷卸しなど、重大な輸送事故を中心に補償します。
また、共同海損犠牲と投荷も補償対象になります。
一方で、ICC(B)で補償される地震・噴火・雷、海水等の浸入、積込み・荷卸中の梱包1個ごとの全損などは、ICC(C)では基本的に補償対象外となります。
ICC(A)(B)(C)の違い
ICC(A)は、免責に該当しない限り広く補償する条件です。
これに対し、ICC(B)とICC(C)は、約款に列挙された危険に該当する場合に補償される条件です。
そのため、貨物事故が発生した場合には、まず契約条件がICC(A)なのか、ICC(B)なのか、ICC(C)なのかを確認する必要があります。
同じ事故でも、ICC(A)では補償対象となる可能性がある一方、ICC(B)やICC(C)では列挙危険に該当しないため補償対象外となる場合があります。
共同海損の補償
ICC2009第2条では、共同海損および救助料について定めています。
共同海損とは、船舶と貨物を共同の危険から救うために、意図的かつ合理的に犠牲や費用が支出された場合に、その負担を関係者で分担する制度です。
貨物保険では、運送契約や準拠法、海上保険実務に従って精算または決定された共同海損分担額や救助料について、保険金支払の対象となることがあります。
実務では、共同海損宣言がされた場合、荷主は共同海損保証状や保険会社の保証手配を求められることがあります。
双方過失衝突条項の補償
ICC2009第3条では、双方過失衝突条項に基づいて被保険者が負担する責任について定めています。
双方過失衝突条項とは、船舶同士の衝突事故で双方に過失がある場合に、運送契約上の定めにより、荷主が一定の負担を求められることがある条項です。
貨物保険では、このような運送契約上の双方過失衝突条項に基づいて被保険者が負担する責任額について、保険の対象となる危険に関する範囲で補償する仕組みが置かれています。
運送人からこの条項に基づく請求があった場合、被保険者は保険者へ通知する必要があります。
貨物保険・B/L・NVOCC責任との関係
RISKS COVEREDは、貨物保険で補償される危険を確認する出発点です。
しかし、実際の貨物事故では、保険約款だけでなく、B/L裏面約款、運送契約、NVOCC約款、インコタームズ、事故発生区間もあわせて確認する必要があります。
特に、ICC(B)やICC(C)では、事故原因が列挙危険に該当するかどうかが重要になります。
また、共同海損や双方過失衝突条項は、貨物そのものの物的損害だけでなく、運送契約上の負担や海上事故処理と関係します。
実務上の注意点
貨物事故が発生した場合には、まず保険条件がICC(A)、ICC(B)、ICC(C)のいずれであるかを確認します。
次に、事故原因が保険期間中に発生した外来的・偶然な事故なのか、免責条項に該当するのか、列挙危険に該当するのかを整理します。
ICC(A)であっても免責条項の確認は不可欠です。ICC(B)やICC(C)では、列挙された危険に当たるかどうかがより重要になります。
そのため、事故報告の段階では、事故原因、発生場所、発生時期、輸送条件、B/L条件、保険条件を早期に整理することが重要です。

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