Institute Strikes Clauses(Cargo)とは

Institute Strikes Clauses(Cargo)とは

Institute Strikes Clauses(Cargo)とは、外航貨物海上保険において、通常の協会貨物約款では免責となるストライキ危険、労働争議、暴動、騒じょう、テロ行為などを別途担保するための約款です。

ICC(A)、ICC(B)、ICC(C)では、ストライキ、職場閉鎖、労働争議、暴動、テロ行為、政治的・思想的・宗教的動機による行為などは、原則として免責とされています。

そのため、これらの危険を補償対象にするためには、Institute Strikes Clauses(Cargo)などのストライキ危険担保約款を付帯する必要があります。

通常のICC本体との関係

ICC本体では、ストライキ危険やテロ危険は免責条項の中で整理されています。

Institute Strikes Clauses(Cargo)は、これらの免責危険のうち、ストライキ、労働争議、騒じょう、暴動、テロ行為、政治的・思想的・宗教的動機による行為などを、別約款で担保するためのものです。

つまり、通常の貨物危険はICC(A)(B)(C)で確認し、ストライキ・テロ関連の危険についてはInstitute Strikes Clauses(Cargo)で確認する、という切り分けが必要です。

担保される主な危険

Institute Strikes Clauses(Cargo)では、ストライキに参加する者、職場閉鎖を受けた労働者、労働争議・騒じょう・暴動に参加している者によって生じる被保険貨物の滅失または損傷が対象になります。

また、政体を武力または暴力によって転覆させ、または影響を与えることを目的とする組織のために行動する者によるテロ行為も対象になります。

さらに、政治的、思想的、または宗教的動機から行動する者によって生じる貨物損害も、担保危険として整理されています。

テロ行為との関係

ICC2009では、テロ行為の範囲が明確化され、政治的動機だけでなく、思想的または宗教的動機による行為も問題になります。

そのため、単なる労働争議だけでなく、暴動、騒じょう、テロ行為、政治的・思想的・宗教的動機による行為が貨物損害の原因となった場合には、Institute Strikes Clauses(Cargo)の有無を確認する必要があります。

ただし、テロや暴動に関連するすべての費用や間接損害が自動的に補償されるわけではありません。

共同海損と救助料

Institute Strikes Clauses(Cargo)では、この約款で担保される危険による損害を避けるため、または避けることに関連して発生した共同海損および救助料も対象になります。

共同海損や救助料は、通常の貨物損害とは異なり、船舶と貨物を共同の危険から守るために発生する費用や分担額です。

ストライキ危険やテロ危険に関連して共同海損が問題となる場合には、通常のICC本体だけでなく、ストライキ危険担保約款の内容も確認する必要があります。

主な免責事由

Institute Strikes Clauses(Cargo)が付帯されていても、すべての損害や費用が補償されるわけではありません。

被保険者の故意、通常の漏損・重量減少・自然消耗、梱包または準備の不十分、貨物固有の瑕疵または性質、遅延、船社等の支払不能などは、免責として整理されています。

これは、ストライキ危険やテロ危険が関係する場合でも、貨物事故の原因が通常損耗や梱包不十分であれば、保険金支払の対象外となる可能性があるということです。

労働者不足・不在による損害

Institute Strikes Clauses(Cargo)で特に注意すべきなのが、労働者の不在、不足、引上げから生じる損害や費用です。

ストライキや労働争議によって作業員が不足し、その結果として保管費用、転送費用、作業遅延、追加費用が発生したとしても、それらが当然に補償されるわけではありません。

この約款は、ストライキ参加者等の行為によって生じる被保険貨物の滅失または損傷を中心に担保するものであり、労働力不足から生じる費用損害や間接損害には注意が必要です。

遅延・航海中絶・戦争危険の免責

遅延によって生じる滅失、損傷または費用は、たとえ遅延が担保危険によって生じた場合でも、原則として免責です。

また、航海または航海事業の喪失・中絶に基づく保険金請求も免責とされています。

さらに、戦争、内乱、革命、反乱、敵対行為などによって生じる損害・費用は、Institute Strikes Clauses(Cargo)ではなく、Institute War Clauses(Cargo)との関係で確認する必要があります。

Institute Malicious Damage Clauseとの関係

ICC(B)およびICC(C)では、不法行為による故意の損傷または故意の破壊が免責となる場面があります。

このような悪意ある損傷、破壊行為、破壊工作、妨害行為については、Institute Malicious Damage Clauseなどの特約によって担保範囲を調整することがあります。

そのため、ストライキ危険、テロ危険、悪意ある損傷、戦争危険を混同せず、どの約款または特約で担保されるのかを確認する必要があります。

保険期間・請求・損害軽減義務

Institute Strikes Clauses(Cargo)では、保険期間、運送契約打切り、航海変更、被保険利益、増値保険、保険の利益損害軽減義務、権利放棄、遅延回避、準拠法などについて、ICC2009本体と同様の構成が用いられています。

そのため、ストライキ危険の保険期間や通知義務を確認する場合には、ICC2009本体のTransit Clause、Termination of Contract of Carriage、Change of Voyageとの関係もあわせて確認する必要があります。

貨物保険・B/L・NVOCC責任との関係

ストライキ危険やテロ危険が関係する事故では、貨物保険で補償されるかどうかと、B/LやNVOCC責任の問題を分けて整理する必要があります。

港湾ストライキ、作業員不足、暴動、港湾閉鎖、テロ行為、仕向地変更、積替え、保管費用、追加輸送費用などが発生した場合、保険約款だけでなく、B/L裏面約款やNVOCC約款上の責任範囲も確認する必要があります。

NVOCCやフォワーダーが関与する場合には、ストライキ危険担保の有無、追加費用の請求先、荷主への説明、保険会社への通知、運送人への権利保全をあわせて整理する必要があります。

実務上の注意点

ストライキや暴動、テロ行為が関係する輸送では、まずInstitute Strikes Clauses(Cargo)が付帯されているかを確認します。

次に、損害原因がストライキ危険・テロ危険として担保される行為によるものか、遅延、労働者不足、航海中絶、戦争危険、通常損耗、梱包不十分などの免責に該当するものかを整理します。

特に、港湾ストライキによる遅延や追加費用は、貨物の物的損害とは別に扱われることが多いため、保険で支払われるものなのか、運送契約上の費用なのか、荷主負担なのかを早めに確認することが重要です。

同義語・別表記

  • 協会ストライキ約款
  • ストライキ危険担保約款
  • Strikes Clauses
  • Institute Strikes Clauses
  • ISC
  • ストライキ危険
  • テロ危険
  • 騒じょう危険

関連用語

公式情報