Institute War Clauses(Cargo)の保険期間と航海変更
Institute War Clauses(Cargo)の保険期間と航海変更とは
Institute War Clauses(Cargo)の保険期間と航海変更とは、協会戦争約款において、戦争危険がいつ開始し、いつ終了し、予定外の荷卸し、積替え、運送契約の打切り、仕向地変更または離路が発生した場合に、どのような条件で担保が継続または再開するかを定める部分です。
通常のICC2009本体では、貨物が倉庫または保管場所で輸送開始のために最初に動かされた時から、最終倉庫等で輸送用具からの荷卸しが完了する時までを中心に保険期間を確認します。
これに対し、Institute War Clauses(Cargo)では、原則として被保険貨物またはその一部が航洋船舶へ積み込まれた時に戦争危険の担保が開始し、航洋船舶から荷卸しされた時、または到着日の午後12時から15日を経過した時等に終了します。
したがって、通常のICC本体では保険期間内であっても、戦争危険についてはすでに保険期間外となっている場合があります。
また、中間港・避難港での荷卸し、航空機による継搬、運送契約の途中打切り、再積送、機雷危険、仕向地変更、運送人の自由裁量権に基づく離路等では、それぞれ異なる通知・期間・割増保険料の条件を確認する必要があります。
この記事で扱う範囲
| 項目 | この記事で扱う内容 | 他の記事で詳しく扱う内容 |
|---|---|---|
| 第5条 Transit Clause | 戦争危険の保険始期、保険終期、再開、中間港・避難港、運送契約打切り、機雷危険 | 担保危険そのものの成立要件と免責条項 |
| 第6条 Change of Voyage | 被保険者による仕向地変更、無断の別仕向地出帆、通知、料率・条件の協定 | 通常のICC本体における仕向地変更と保険期間 |
| 第7条 優先条項 | 第3条7項、第3条8項および第5条と他の契約条件が抵触する場合の優先関係 | 免責条項の各要件、特別約款の最終的な契約解釈 |
| 航洋船舶 | 約款上の定義と、本船、フィーダー船、艀、河川船等の境界を判断する視点 | 船舶法・海商法上の船舶区分や船級の詳細 |
| 15日ルール | 最終荷卸港、中間港、避難港、再到着・代替港における起算点と終期 | 個別Endorsementによって変更された期間の最終解釈 |
| 中間港・避難港 | 継搬目的の荷卸し、貨物所在地、15日間、再積込みによる担保再開 | 港湾保管契約、倉庫責任、ターミナル責任 |
| 運送契約の打切り | 打切港を最終荷卸港とみなす処理と、その後の再積送における担保再開 | B/L上の運送打切権、契約運送人の責任、追加費用の最終負担 |
| 継搬・再積送 | 中間港で予定される継搬と、運送契約打切り後に行われる再積送の区別 | 個別の運送手配、運賃、積替費用、運送人責任 |
| 航空機による継搬 | 第5条2項2号によるInstitute War Clauses(Air Cargo)の適用 | 航空貨物戦争約款の詳細な期間・免責 |
| 機雷危険 | 航洋船舶への・からの艀輸送中の拡張と荷卸し後60日の上限 | 機雷・遺棄魚雷以外の遺棄兵器の担保範囲 |
| 離路・航海変更 | 運送人の自由裁量権による離路、仕向地変更、通知、割増保険料 | B/L裏面約款に基づく運送人の裁量権と契約責任 |
| NVOCC・フォワーダー | 時系列資料、保険者通知、B/L確認、追加費用の切り分け | NVOCC責任、フォワーダー責任、責任制限、提訴期間 |
制度の目的と背景
戦争危険は、通常の貨物事故よりも、航路、寄港地、軍事情勢、港湾閉鎖、船舶の運航状態によって危険度が大きく変化します。
そのため、Institute War Clauses(Cargo)は、通常の倉庫間輸送全体を広く担保するのではなく、航洋船舶による海上通航中の戦争危険を中心に、限定された保険期間を設定しています。
この構造により、貨物が輸出倉庫から港へ向かっている段階、CYで本船積込みを待っている段階、最終港で荷卸しされた後、または中間港で長期間保管されている段階では、通常のICC本体とWar Clausesの期間が一致しないことがあります。
また、戦争危険が発生すると、当初予定どおりの運送が続かず、別港揚げ、避難港への寄港、途中荷卸し、航空機への切替え、運送契約の打切り、再積送、仕向地変更等が生じやすくなります。
このため、第5条は単純な始期・終期だけでなく、予定外の輸送変更に対応する担保の終了・継続・再開条件まで規定しています。
本記事を構成する3つの条項
| 条項 | 主な内容 | 中心となる判断 | 主な確認資料 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 第5条 Transit Clause | 積込み、荷卸し、15日、中間港、避難港、打切り、再積送、機雷、離路 | 事故時点で戦争危険の担保が開始・継続・再開していたか | 積載記録、Port Log、Discharge Report、EIR、再積込み記録 | 通常のICC本体の期間とは別に計算する |
| 第6条 Change of Voyage | 仕向地変更と、被保険者が知らない別仕向地への出帆 | 誰が変更し、いつ認識し、いつ保険者へ通知したか | 変更指示、船社通知、B/L、保険者との通信 | 変更確定前でも早期に保険者へ連絡する |
| 第7条 優先条項 | 第3条7項、第3条8項、第5条と抵触する契約条項の効力 | 他の条件がWar Clausesの免責・期間を実質的に拡張していないか | Policy、Schedule、Endorsement、適用約款一覧 | すべての条項に優先する一般条項ではない |
Institute War Clauses(Cargo)が問題になる場面
| 場面 | 確認する理由 | 中心となる争点 | 主な資料 | 別途確認する事項 |
|---|---|---|---|---|
| 本船積込み前に戦争危険事故が発生した | War Clausesの担保がまだ開始していない可能性があるため | 航洋船舶への積込み時刻 | Loading List、Stowage Plan、ターミナル記録 | 通常のICC本体の担保 |
| 最終港到着後も荷卸しされない | 荷卸し前でも15日経過により終了し得るため | 到着日、午後12時の起算、荷卸し時刻 | Port Log、AIS、Arrival Report | 荷卸しなしで再出航した場合の再開 |
| 中間港で積替え待ちとなった | 15日間の継続と、その後の担保空白が問題になるため | 貨物所在地、15日経過、再積込み | EIR、倉庫記録、積替Booking | 保管中の通常貨物危険 |
| 避難港で緊急荷卸しされた | 中間港と同様の期間構造が問題になるため | 避難港到着、荷卸し、貨物移動 | 船長報告、Port Log、Discharge Report | 共同海損、救助料、追加費用 |
| 航空機へ切り替えて継搬する | 航空貨物向け戦争約款へ適用約款が切り替わるため | 航空機への積込み時点、AWB、適用約款 | AWB、Cargo Manifest、航空会社受領記録 | 郵便物・独立航空輸送の場合の別条件 |
| 運送契約が途中港で打ち切られた | その港が最終荷卸港とみなされるため | 打切りの有無、荷卸し、再積送前の通知 | 打切り通知、B/L、保険者回答 | Contracting Carrierの責任 |
| 予定仕向地以外へ再積送する | 担保再開には事前通知と割増保険料が必要となるため | 再輸送開始前の通知、再積込み時刻 | 再積送指示、Booking、積載記録 | 新仕向地の料率・条件 |
| 機雷危険が艀輸送中に発生した | 第5条4項の特別な拡張が問題になるため | 艀輸送の方向、兵器の種類、荷卸し後の日数 | 艀運航記録、荷卸し記録、事故報告 | 通常の15日ルールとの区別 |
| 被保険者が仕向地を変更した | 第6条1項の通知・料率協定が必要なため | 変更決定時、通知時、損害発生時 | 変更指示、保険者通信、B/L Amendment | 市場で担保可能だったか |
| 被保険者が知らないまま本船が別仕向地へ出帆した | 第6条2項の特則が適用されるため | 被保険者の認識時点、当初予定された輸送 | 船社通知、本船動静、社内受信記録 | 認識後の迅速な保険者通知 |
適用要件・対象外一覧
| 確認項目 | 肯定方向の要件 | それだけでは不足する事実 | 本記事の対象外 | 実務対応 |
|---|---|---|---|---|
| 保険始期 | 被保険貨物またはその部分が航洋船舶へ実際に積み込まれた | CYへ搬入された、本船脇に置かれた、Loading Listに予定された事実だけ | 積込み時点が不明な事故の最終認定 | Stowage Plan、積載記録、ターミナル記録を照合する |
| 航洋船舶 | その船舶自身が港・場所間で貨物を運び、航海に海上通航を含む | 大型船、外国籍船、フィーダー船という名称だけ | 船舶法上の船種区分の最終判断 | 航路、船舶、B/L、実際の運航区間を確認する |
| 最終港での終期 | 実際の荷卸し時または到着日の午後12時から15日経過時を確認できる | 本船が着岸した日だけ | 到着時点に争いがある案件の最終解釈 | 投錨・係留・定置時刻と荷卸し時刻を記録する |
| 荷卸しなしの再出航 | 遅滞ない通知と割増保険料を条件に本船が出航した | 貨物を積んだまま本船が動いた事実だけ | 通知遅延時の最終的な保険金判断 | 出航前後の通知と保険者の回答を保存する |
| 中間港での継続 | 継搬目的または避難港での荷卸しで、貨物が当該港・場所にある | 貨物がどこかの倉庫に保管されている事実だけ | 港・場所の範囲が争われる案件の最終認定 | EIR、Gate記録、倉庫Location Reportを保存する |
| 15日後の再開 | 貨物が継搬用の航洋船舶または航空機へ実際に積み込まれた | Booking済み、搬入済み、航空会社へ引渡し済みという事実だけ | 積込み時点が不明な場合の最終判断 | Loading Confirmation、Cargo Manifestを取得する |
| 航空機による継搬 | 第5条2項の中間港・避難港から航空機によるon-carriageに該当する | 海上輸送後に別途航空便を利用した事実だけ | 独立した航空輸送契約や郵便物の担保判断 | AWB、海上輸送との連続性、適用約款を確認する |
| 運送契約の打切り | 運送契約上の航海が合意仕向地以外で終了した | 本船が一時的に別港へ寄港・避難した事実だけ | B/L上の打切権行使の適法性 | 船社・NVOCCから正式な打切り通知を取得する |
| 打切り後の再積送 | 再輸送開始前に保険者へ通知し、必要な割増保険料を確認した | 貨物を最終的に元の仕向地へ送る予定がある事実だけ | 通知義務違反時の最終的な補償判断 | 通知日時、再積込み日時、保険者承認を保存する |
| 機雷危険の60日上限 | 浮遊・沈下機雷または遺棄魚雷の危険で、航洋船舶への・からのcraft輸送中である | 遺棄爆弾等を含む戦争兵器一般による事故という事実だけ | 特別合意による60日超の担保 | 兵器の種類、荷卸し日、craftの運航区間を確認する |
| 仕向地変更 | 変更後、遅滞なく保険者へ通知し、料率・条件を協定する | 船社へ変更指示を出した事実だけ | 市場担保可能性の最終査定 | 変更決定から通知までの時系列を保存する |
| 第7条の適用 | 他の契約条項が第3条7項、第3条8項または第5条と実質的に抵触する | 通常のICC本体と期間が異なるという事実だけ | 個別Endorsementの最終的な優先順位 | 特約が第5条・第7条を明示的に修正するか確認する |
通常のICC本体との比較
| 確認項目 | 通常のICC2009本体 | Institute War Clauses(Cargo) | 主な証拠 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 保険始期 | 輸送開始のための最初の移動 | 貨物またはその部分が航洋船舶へ積み込まれた時 | 搬出記録、Loading List、Stowage Plan | 国内輸送・CY保管中は期間が一致しない場合がある |
| 基本的な終期 | 最終倉庫等での荷卸し完了等 | 航洋船舶からの荷卸しまたは到着後15日の早い方 | Discharge Report、Port Log | 最終倉庫到着をWar Clausesの終期にしない |
| 通常輸送過程 | 倉庫から倉庫までを中心に判断 | 航洋船舶による海上通航を中心に判断 | Transport Plan、B/L、貨物動静 | 同じ貨物でも約款ごとに期間を別計算する |
| 最終港到着後 | 60日条項等を確認 | 15日ルールを確認 | 到着・荷卸し記録 | 期間の数字だけで比較しない |
| 中間港・避難港 | 通常輸送過程内かを確認 | 到着後15日と再積込みによる再開を確認 | EIR、倉庫・積替記録 | 15日後から再積込みまで担保空白が生じ得る |
| 航空機への切替え | 通常のICC(Air)等を確認 | 第5条2項2号により現行Air Cargo War Clausesが適用 | AWB、Manifest、適用約款 | 標準条項上は保険契約の一部とみなされる |
| 運送契約の打切り | 通常の継続・終了条件を確認 | 打切港を最終荷卸港とみなす | 打切り通知、B/L | 再積送には開始前の通知が必要 |
| 仕向地変更 | 通知、料率・条件の協定 | 同様の通知に加えWar Clauses固有の期間を確認 | 変更指示、保険者通信 | 通常ICCとWar Clausesを並行して確認する |
航洋船舶の定義と境界事例
第5条における航洋船舶とは、貨物を一つの港または場所から他の港または場所へ運び、その船舶による航海が海上通航を伴う船舶を意味します。
したがって、船舶の大きさ、国籍、船種名または「フィーダー船」「内航船」「艀」という呼称だけで決めるものではありません。
| 輸送用具・場面 | 航洋船舶方向の要素 | 航洋船舶ではない方向の要素 | 主な確認資料 | 実務対応 |
|---|---|---|---|---|
| 国際コンテナ本船 | 港間を航行し、実際の航海に海上通航を含む | 通常は特段なし | Master B/L、Voyage Schedule、Stowage Plan | 積込み・荷卸し時刻を確認する |
| 国際・沿岸フィーダー船 | 当該船舶自身が港間の海上通航を行う | 港内移送だけで海上通航を行わない | 航路、Booking、B/L、船舶動静 | 「フィーダー」という名称だけで除外しない |
| 大型艀・自航式バージ | 港・場所間の航海に、その船舶自身の海上通航を含む | 本船と岸壁間の短距離craft輸送にとどまる | 運航区間、船舶仕様、運送書類 | 第5条4項のcraftとの区別を保険者へ確認する |
| 河川船・運河船 | 航海区間に実質的な海上通航を含む場合 | 河川・運河内だけの運航 | 航路図、運航記録、運送契約 | 名称ではなく実際の区間で判断する |
| 港内艀・ライター | 通常は航洋船舶への・からのcraft輸送として扱う | 独立した港間海上航海を行わない | EIR、艀運航記録、荷役記録 | 機雷・遺棄魚雷危険の第5条4項を別途確認する |
| トラック・鉄道 | 該当しない | 船舶による海上通航ではない | CMR、鉄道運送状、搬出入記録 | 通常のICC本体の期間を確認する |
境界事例では、船名や設備だけでなく、当該貨物をどの港・場所からどこへ運び、その区間に船舶自身による海上通航が含まれるかを確認します。
保険始期
Institute War Clauses(Cargo)では、被保険貨物またはその一部が航洋船舶へ積み込まれた時に、その部分について戦争危険の担保が開始します。
貨物全体を一括して判断するのではなく、分割して積み込まれる場合は各部分の積込み時点を確認します。
輸出倉庫から港への国内輸送中、CY搬入後、本船積込み前、岸壁での待機中等は、通常のICC本体では保険期間内でも、War Clausesの担保が開始していない可能性があります。
実務では、Loading Listへの記載だけでなく、実際に本船へ積み込まれたことを示すStowage Plan、Terminal Loading Report、船社の積載確認等を確認します。
最終荷卸港における保険終期と15日ルール
最終荷卸港または荷卸地では、戦争危険の担保は原則として次のいずれか先に生じた時に終了します。
| 終期候補 | 発生・起算時点 | 必要資料 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 航洋船舶からの荷卸し | 貨物またはその部分が実際に荷卸しされた時 | Discharge Report、EIR、Terminal Record | 貨物の各部分で時刻が異なる場合がある |
| 到着後15日 | 本船が到着した日の午後12時から起算して15日を経過した時 | Port Log、AIS、Arrival Report | 荷卸しされていなくても15日経過で終了し得る |
約款の英文は「midnight of the day of arrival」と定めています。日本語では「到着した日の午後12時」と整理します。
ここでいう到着とは、船舶が港湾当局の区域内のバースまたは場所に投錨、係留その他の方法で定置された時をいいます。利用可能なバース等がない場合は、予定された荷卸港または荷卸地もしくはその沖で、最初に投錨、係留その他の方法で定置された時を確認します。
単に岸壁へ接岸した日だけを起算日にすると、沖待ちや投錨期間を見落とす可能性があります。
荷卸しをせず再出航した場合
本船が最終荷卸港または荷卸地へ到着したものの、貨物を荷卸しせずに再出航する場合があります。
この場合、遅滞なく保険者へ通知し、割増保険料を支払うことを条件として、本船がその港または地から出航した時に担保が再開します。
再開後は、最終港または代替港で実際に荷卸しされた時、または本船が最終港へ再到着した日もしくは代替港へ到着した日の午後12時から15日を経過した時のうち、いずれか先に生じた時に終了します。
| 確認時点 | 確認事項 | 主な資料 | 問題がある場合の対応 |
|---|---|---|---|
| 最初の到着 | 到着日時と荷卸しの有無 | Port Log、船社通知 | 15日起算を開始する |
| 再出航前 | 保険者通知と割増保険料 | 通知メール、保険者回答 | 担保再開条件を書面で確認する |
| 再出航 | 実際の出航時刻 | AIS、Departure Report | 担保再開時刻を記録する |
| 再到着・代替港到着 | 到着日時、荷卸し日時 | Arrival Report、Discharge Report | 新たな15日と荷卸しの早い方を確認する |
中間港・避難港での荷卸し
航海中に、他の航洋船舶または航空機によって継搬するために中間港で荷卸しされる場合、または避難港・避難地で荷卸しされる場合には、所定の条件の下で担保が15日間継続します。
この15日は、本船が中間港・避難港へ到着した日の午後12時から起算します。
ただし、荷卸し後は、貨物またはその部分が当該港または場所に存在する間だけ担保が継続します。
貨物を他の地域の倉庫へ移送した場合や、当該港・場所の範囲から外れた場合には、15日以内であっても担保継続について確認が必要です。
中間港・避難港で確保すべき証拠
| 確認事項 | 具体的な資料 | 立証できる内容 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 本船到着 | Port Log、AIS、Statement of Facts | 15日の起算となる到着日 | 接岸日だけでなく投錨・係留を確認する |
| 荷卸し | Discharge Report、EIR、Tally Sheet | 貨物ごとの荷卸し日時 | コンテナ単位・貨物部分ごとの差を確認する |
| 貨物所在地 | Terminal Location Report、Gate Record、倉庫在庫記録 | 15日間に貨物が当該港・場所にあったこと | 港外倉庫への移動を見落とさない |
| 継搬目的 | Booking、Routing Instruction、積替計画 | 一時的荷卸しであり運送打切りではないこと | 正式な打切り通知の有無も確認する |
| 再積込み | Loading Confirmation、Cargo Manifest、Stowage Plan | 15日経過後の担保再開時点 | 搬入・引渡しだけでは再積込みとは限らない |
| 航空機への継搬 | AWB、航空会社受領記録、Flight Manifest | 航空機への積込みと継搬区間 | 航空会社への引渡しと航空機積込みを区別する |
中間港での荷卸しと運送契約の打切りの違い
| 比較項目 | 中間港・避難港での荷卸し | 運送契約の打切り | 判断資料 | 実務上の対応 |
|---|---|---|---|---|
| 運送の目的 | 他船・航空機による継搬または避難のための一時的荷卸し | 契約上の航海が当該港・地で終了 | Routing、船社通知、House B/L | 一時的変更か正式な打切りかを確認する |
| 港の位置づけ | 中間港・避難港 | 最終荷卸港とみなされる | 運送契約、打切り通知 | 保険終期の計算を切り替える |
| 15日間 | 到着日の午後12時から15日間継続 | 第5条1項2号による最終港の終期 | Port Log、Discharge Report | 同じ15日でも適用根拠を区別する |
| その後の輸送 | 継搬 | 元の仕向地または別仕向地への再積送 | Booking、再輸送指示 | 再積送前の保険者通知を確認する |
| 担保再開 | 継搬用船舶・航空機への積込み時 | 荷卸し済みなら継搬船への積込み時、未荷卸しなら本船出航時 | Loading Record、Departure Report | 予定時刻ではなく実際の時刻を使用する |
航空機による継搬
第5条2項2号では、中間港・避難港からの継搬が航空機によって行われる場合、現行のInstitute War Clauses(Air Cargo)(郵便物を除く)が保険契約の一部を構成するものとみなされ、航空輸送による継搬に適用されます。
したがって、標準的な第5条2項の場面では、単に「別途付帯される場合がある」という任意的な扱いではありません。
一方、次のような場合には、標準的な第5条2項2号だけで判断せず、個別の保険契約を確認します。
| 場面 | 標準条項上の見方 | 追加確認事項 | 主な資料 |
|---|---|---|---|
| 中間港から航空機で継搬 | 現行Air Cargo War Clausesが保険契約の一部を構成 | 航空機への積込み時点、適用版 | AWB、Flight Manifest、Policy |
| 15日以内に航空機へ積込み | 継搬時点から航空貨物戦争約款を適用 | 積込み前の期間、貨物所在地 | Warehouse Record、Loading Confirmation |
| 15日経過後に航空機へ積込み | 積込み時に担保が再開する構造 | 15日経過後から積込みまでの担保空白 | Port Log、AWB、積込み記録 |
| 海上輸送と独立した航空輸送 | 第5条2項の継搬に該当しない可能性 | 別個のAir Cargo War Clauses、Endorsement | 別契約、別Certificate |
| 郵便物 | Air Cargo Clauseの「郵便物を除く」に注意 | 郵便物向け戦争約款 | 郵送条件、適用約款 |
| Policyで別条件が定められている | 個別契約文言を優先的に確認 | 第5条2項2号の修正・削除の有無 | Schedule、Endorsement |
運送契約が途中で打ち切られた場合
運送契約上の航海が、合意された仕向地以外の港または場所で打ち切られる場合、その港または場所が最終荷卸港とみなされます。
戦争危険の担保は、そのみなし最終荷卸港について、第5条1項2号の荷卸しまたは15日のいずれか早い終期に従って終了します。
その後、貨物が元の仕向地または別の仕向地へ再び積送される場合は、再輸送の開始前に保険者へ通知し、割増保険料を支払うことを条件として、担保が再開します。
| 貨物状態 | 担保再開時点 | 必要条件 | 主な証拠 |
|---|---|---|---|
| 打切港で荷卸し済み | 貨物またはその部分が継搬用船舶へ積み込まれた時 | 再輸送開始前の通知、割増保険料 | Loading Confirmation、Stowage Plan |
| 打切港で荷卸しされていない | 本船がみなし最終荷卸港から出航した時 | 再輸送開始前の通知、割増保険料 | Departure Report、AIS |
単に本船が一時的に避難した、航路を変更した、または積替港を変更しただけでは、直ちに運送契約の打切りとなるわけではありません。
打切りの判断では、船社またはNVOCCからの正式通知、B/L上の運送終了、貨物引取り要求、以後の運送を荷主手配とする通知等を確認します。
機雷・遺棄魚雷危険の60日上限
浮遊または水面下に沈んでいる機雷および遺棄魚雷の危険については、貨物が航洋船舶への輸送中または航洋船舶からの輸送中にcraftへ積まれている間にも担保が拡張されます。
ただし、保険者が別途特別に合意した場合を除き、航洋船舶からの荷卸し後60日を超えて担保されません。
| 期間規定 | 対象危険 | 主な輸送場面 | 起算・上限 | 混同してはいけない事項 |
|---|---|---|---|---|
| War Clausesの15日ルール | War Clauses一般の保険終期 | 最終港、中間港、避難港 | 到着日の午後12時から15日 | 通常ICCの60日条項 |
| 機雷・遺棄魚雷危険の60日上限 | 浮遊・沈下機雷、遺棄魚雷 | 航洋船舶への・からのcraft輸送 | 航洋船舶からの荷卸し後60日以内 | すべての遺棄兵器への一律延長 |
| 通常ICC本体の60日条項 | 通常貨物危険 | 最終荷卸港での荷卸し後 | 通常ICCの保険期間規定による | War Clauses第5条4項 |
第5条4項の対象は、条文上、浮遊・沈下機雷および遺棄魚雷です。遺棄爆弾その他の戦争兵器について、同じ60日上限が当然に適用されるとは限りません。
第5条5項:離路・運送上の冒険の変更
運送契約で運送人に認められた自由裁量権の行使によって、離路または運送上の冒険の変更が生じる場合、遅滞なく保険者へ通知し、必要に応じて割増保険料を支払うことを条件として、本約款の範囲内で担保が継続します。
ここで重要なのは、B/L上の自由裁量条項が存在するだけで、保険が無条件に継続するわけではない点です。
船社が代替港、別航路、積替港変更、緊急荷卸し等を通知した時点で、荷主、NVOCCまたはフォワーダーは保険者へ連絡し、変更後の危険地域、保険期間、割増保険料を確認します。
第6条 Change of Voyage
被保険者が仕向地を変更する場合
保険の危険開始後に被保険者が仕向地を変更する場合は、遅滞なく保険者へ通知し、料率および条件について協定しなければなりません。
協定が成立する前に損害が発生した場合は、合理的な市場料率・条件で市場上担保を得ることが可能であった場合に限り、補償が提供される可能性があります。
したがって、「変更後に保険者へ報告すればよい」という扱いではありません。
被保険者が知らないまま別仕向地へ出帆した場合
貨物が予定された輸送を開始した後、被保険者またはその使用人が知らないまま本船が別の仕向地へ向けて出帆した場合でも、保険は当初予定された輸送の開始時に開始したものとみなされます。
ただし、被保険者が変更を認識した後の通知が不要になるわけではありません。変更を知った時点で、保険者へ速やかに連絡し、以後の期間、航路、料率および条件を確認します。
| 変更類型 | 変更主体・認識 | 約款上の基本処理 | 実務対応 |
|---|---|---|---|
| 被保険者が仕向地を変更 | 被保険者が変更を決定・認識 | 遅滞ない通知と料率・条件の協定 | 変更指示前または同時に保険者へ連絡する |
| 被保険者が知らずに本船が別仕向地へ出帆 | 被保険者・使用人に当初知識がない | 当初輸送開始時に担保開始とみなす | 認識後直ちに以後の条件を確認する |
| 運送人の自由裁量権による離路 | 船社・運送人がB/L条項に基づき変更 | 第5条5項により通知・割増保険料を条件に継続 | B/L条項と保険条件を並行確認する |
| 運送契約の打切り後の別仕向地への再積送 | 打切り後に新たな輸送を手配 | 第5条3項の担保再開条件を確認 | 再輸送開始前に保険者へ通知する |
第7条 優先条項
第7条は、保険契約に含まれる他の規定が、第3条7項、第3条8項または第5条と抵触する場合、その抵触する範囲で無効とする条項です。
第7条は、War Clausesのすべての規定が、あらゆる特約や保険条件に常に優先するという一般的な優先条項ではありません。
| 抵触が問題になる対象 | War Clauses側の規定 | 典型的な抵触例 | 実務上の処理 |
|---|---|---|---|
| 航海・航海事業の喪失または中絶 | 第3条7項 | 一般的な費用担保文言を理由に航海中絶費用まで担保されるとの主張 | 第3条7項の免責との整合性を確認する |
| 核兵器等の敵対的使用 | 第3条8項 | 包括的なWar Risks担保文言を理由に核兵器危険も含むとの主張 | 第3条8項を優先して確認する |
| 倉庫間の一般的な保険期間 | 第5条 | 通常ICC本体が継続中なのでWar Clausesも同じ期間継続するとの主張 | War Clausesの積込み・荷卸し・15日を別計算する |
| 一般的な期間延長文言 | 第5条 | 単なる「輸送終了まで継続」という文言でWar Clausesの期間も自動延長するとの主張 | 第5条を明示的に修正する特約か確認する |
| 個別Endorsement | 第5条・第7条 | War Clausesの期間を明示的に修正・拡張する特別約款 | 修正対象条項、優先順位、期間、追加保険料を保険者へ確認する |
個別Endorsementが第5条または第7条を明示的に修正している場合は、その文言に基づく個別判断が必要です。
単に通常のICC本体に期間延長がある、またはPolicyに包括的な輸送期間が記載されているという理由だけで、War Clausesの期間が自動的に拡張されるとは判断しません。
保険期間・航海変更の判断フロー
| 段階 | 確認事項 | 判断の分岐 | 実務対応 |
|---|---|---|---|
| 1 | 適用するPolicy・Certificateを特定する | どの保険契約・約款版が適用されるか | Policy番号、Certificate、貨物を照合する |
| 2 | Institute War Clauses(Cargo)の付帯を確認する | War Clausesが付帯されているか | Schedule、Endorsement、約款一覧を取得する |
| 3 | 輸送用具が航洋船舶か確認する | 船舶自身の航海が海上通航を含むか | 航路、B/L、船舶動静を確認する |
| 4 | 貨物またはその部分の積込み時刻を確認する | War Clausesの担保が開始したか | Stowage Plan、積載記録を確保する |
| 5 | 事故時の貨物所在地を確認する | 本船、craft、中間港、避難港、倉庫、航空機のいずれか | 貨物動静表を作成する |
| 6 | 最終港・中間港・避難港への到着を確認する | どの第5条規定が適用されるか | Port Log、AIS、船社通知を照合する |
| 7 | 荷卸し時刻と15日経過時を比較する | いずれが先に発生したか | 貨物部分ごとに終期を計算する |
| 8 | 荷卸しなしで本船が再出航したか確認する | 第5条1項3号の再開か | 通知・割増保険料・出航時刻を確認する |
| 9 | 中間港・避難港で貨物がどこにあるか確認する | 15日間の所在地要件を満たすか | EIR、Gate記録、倉庫記録を保存する |
| 10 | 継搬手段を確認する | 航洋船舶か航空機か | 適用するWar Clausesと再積込み時刻を確認する |
| 11 | 運送契約が打ち切られたか確認する | 一時的積替えか契約上の終了か | 正式な打切り通知を取得する |
| 12 | 再積送前の保険者通知を確認する | 第5条3項の再開条件を満たすか | 通知日時と再輸送開始時刻を比較する |
| 13 | 機雷・遺棄魚雷危険か確認する | 第5条4項のcraft拡張が適用されるか | 兵器の種類、荷卸し後の日数を確認する |
| 14 | 離路・仕向地変更の主体を確認する | 被保険者の変更、無知の変更、運送人の裁量のいずれか | 第5条5項または第6条に従って通知する |
| 15 | 第7条との抵触を確認する | 他の期間・担保文言が第3条7項、第3条8項、第5条と抵触するか | Policy・Endorsementを横断確認する |
実務で問題になりやすいケース
| ケース | 主な争点 | 確認資料 | 初動対応 |
|---|---|---|---|
| CY保管中に戦争危険事故が発生した | 航洋船舶への積込み前か | Terminal Record、Loading List、Stowage Plan | 通常ICCとWar Clausesの始期を分ける |
| 最終港到着後20日目に荷卸しされた | 15日経過による先行終了 | Port Log、Discharge Report | 到着日の午後12時から期間を計算する |
| 荷卸しせずに本船が代替港へ再出航した | 担保再開、通知、割増保険料 | 船社通知、AIS、保険者回答 | 出航前後に保険者へ通知する |
| 中間港で18日間積替え待ちとなった | 15日後から再積込みまでの担保空白 | EIR、倉庫記録、積替Booking | 15日経過前に期間延長を相談する |
| 中間港から航空機へ継搬した | Air Cargo War Clausesへの切替え | AWB、Manifest、航空機積込み記録 | 第5条2項2号と適用版を確認する |
| 避難港から港外倉庫へ貨物を移した | 「当該港または場所にある間」の要件 | Gate Record、倉庫住所、輸送記録 | 移動前に保険者へ確認する |
| 途中港で運送契約が打ち切られた | みなし最終荷卸港と保険終期 | 打切り通知、B/L、貨物所在地 | 荷卸し・15日を再計算する |
| 打切り後に別仕向地へ再積送した | 再輸送開始前の通知と担保再開 | 通知記録、再積送Booking、Loading Record | 積込み前に保険者の条件を確認する |
| 艀輸送中に浮遊機雷で損害が発生した | 第5条4項、craft輸送、60日上限 | 艀記録、荷卸し日、事故報告 | 兵器の種類と輸送方向を確保する |
| 被保険者が仕向地を変更した後、協定前に事故が発生した | 市場担保可能性、通知時期 | 変更指示、通知記録、市場料率資料 | 変更決定時点からの経過を整理する |
| 本船が無断で別仕向地へ出帆した | 第6条2項、被保険者の知識 | 船社通知、社内受信記録、AIS | 認識後直ちに保険者へ通知する |
| 通常ICCでは期間内だがWar Clausesでは15日経過後だった | 第7条と第5条の優先 | 両約款、到着・荷卸し記録 | 危険別に保険期間を分けて判定する |
フォワーダーの関与範囲
| 業務場面 | フォワーダーが支援できること | フォワーダーが断定すべきでないこと | 主な確認相手 | 実務対応 |
|---|---|---|---|---|
| 適用約款確認 | Policy、Certificate、Schedule、Endorsementの回収 | 最終的な保険金支払可否 | 荷主、保険者、保険代理店 | 通常ICCとWar Clausesを分けて整理する |
| 航洋船舶確認 | 船舶、航路、港間輸送、海上通航の資料整理 | 境界船舶の最終的な約款該当性 | 船社、NVOCC、保険者 | 名称ではなく実際の運航区間を示す |
| 積込み・荷卸し確認 | Stowage Plan、Loading・Discharge記録の収集 | 保険始期・終期の最終認定 | 船社、ターミナル、保険者 | 貨物部分ごとに時刻を整理する |
| 15日ルール | 到着、投錨、係留、荷卸し時刻の時系列化 | 争いのある到着時点の最終判断 | 船社、港湾、保険者 | Port LogとAISを照合する |
| 中間港・避難港 | 貨物所在地、EIR、Gate、倉庫、積替予定の整理 | 15日以内なら無条件に担保されるとの判断 | 船社、倉庫、ターミナル、保険者 | 港外移動前に保険者へ確認する |
| 航空機による継搬 | AWB、Flight、積込み、適用約款の連携 | 独立航空輸送にも自動適用されるとの判断 | 航空会社、保険者、荷主 | 第5条2項の継搬かを確認する |
| 運送契約の打切り | 打切り通知、貨物所在地、再積送案の整理 | 担保が旧条件のまま自動継続するとの判断 | 船社、NVOCC、保険者、荷主 | 再積送前の通知を管理する |
| 航海・仕向地変更 | 変更主体、決定日時、変更理由、航路の整理 | 変更後も同一料率・条件が適用されるとの判断 | 荷主、船社、NVOCC、保険者 | 変更確定前から保険者へ相談する |
| 追加費用 | 保管料、継搬費用、再積送費、追加運賃の明細化 | 保険またはNVOCCが当然に負担するとの判断 | 荷主、船社、NVOCC、保険者 | 保険、B/L、タリフ、見積条件を分ける |
| 権利保全 | Claim Letter、通知期限、証拠収集の支援 | 船社・NVOCCの法的責任 | 船社、NVOCC、専門家 | 保険者通知と第三者請求を並行する |
実務シナリオ1:最終荷卸港到着後、荷卸しまで20日を要した場合
航洋船舶が最終荷卸港へ到着したものの、港湾混雑、軍事的緊張または港湾事情により、貨物の荷卸しが到着後20日目となったとします。
War Clausesの担保は、実際の荷卸し時と、到着日の午後12時から15日を経過した時のうち、先に生じた時に終了します。
したがって、荷卸しが20日目であっても、戦争危険の担保は15日経過時に終了している可能性があります。
通常のICC本体の60日条項による担保が継続していても、War Clausesの期間が同じように継続するわけではありません。
実務シナリオ2:中間港で18日後に別の航洋船舶へ積み替えた場合
本船から中間港へ貨物を荷卸しし、別の航洋船舶へ積み替える予定であったものの、船腹不足により再積込みが到着後18日目となったとします。
中間港では、原則として到着日の午後12時から15日間、貨物が当該港・場所にある間に限り担保が継続します。
15日経過後は、貨物が継搬用の航洋船舶へ実際に積み込まれた時に担保が再開します。
したがって、15日経過後から18日目の再積込みまで、War Clausesの担保空白が生じる可能性があります。
積替え遅延が見込まれた時点で、保険者へ期間延長や特別条件を相談します。
実務シナリオ3:中間港から航空機で継搬した場合
戦争危険または港湾閉鎖により、中間港で貨物を荷卸しし、その後航空機へ積み込んで仕向地へ継搬したとします。
第5条2項2号の要件を満たす場合、現行のInstitute War Clauses(Air Cargo)が保険契約の一部を構成するものとみなされ、航空機による継搬に適用されます。
確認するのは、海上輸送との連続性、中間港到着日、貨物所在地、航空機への実際の積込み時刻、AWB、Flight Manifestおよび適用約款です。
15日経過後に航空機へ積み込まれた場合は、15日経過後から航空機積込み時まで担保空白が生じる可能性があります。
実務シナリオ4:運送契約打切り後に別仕向地へ再積送した場合
本来の仕向地以外の港で運送契約が打ち切られ、その港が最終荷卸港とみなされた後、貨物を別仕向地へ再積送するとします。
まず、打切港での荷卸しまたは到着後15日により、War Clausesの担保終期を確認します。
その後の再積送について担保を再開させるためには、再輸送の開始前に保険者へ通知し、必要な割増保険料を確認します。
荷卸し済みであれば継搬用船舶への積込み時、未荷卸しであれば本船が打切港を出航した時に担保が再開する構造です。
打切り通知、再積送Booking、Loading Record、保険者への通知日時を一つの時系列にまとめます。
実務シナリオ5:被保険者が知らないまま本船が別仕向地へ出帆した場合
貨物が当初予定された輸送を開始した後、被保険者またはその使用人が知らないまま、本船が別の仕向地へ向けて出帆したとします。
第6条2項により、保険は当初予定された輸送の開始時に開始したものとみなされます。
ただし、別仕向地への出帆を知った後も通知をせず放置してよいという意味ではありません。
船社通知、本船動静、社内で最初に認識した日時を整理し、以後の航路、保険期間、料率および条件について速やかに保険者へ確認します。
よくある誤解
| よくある誤解 | 実際の考え方 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| War Clausesも倉庫から倉庫まで担保される | 原則として航洋船舶への積込み時に開始する | 国内輸送・CY保管中は通常ICCと分けて確認する |
| 本船が港へ着岸した日が必ず到着日である | 投錨、係留その他の定置時が到着となる場合がある | 沖待ち期間をPort LogとAISで確認する |
| 15日ルールは荷卸し後15日間の担保である | 荷卸し時または到着後15日の早い方で終了する | 荷卸しされた時点で終了し得る |
| 中間港では15日間、場所を問わず担保される | 荷卸し後は貨物が当該港・場所にある間だけ継続する | 港外倉庫への移動前に保険者へ確認する |
| Bookingが確定すれば担保が再開する | 原則として継搬用船舶・航空機への実際の積込み時に再開する | 搬入・引渡し・Bookingと積込みを区別する |
| 航空機継搬には常に別Endorsementが必要である | 第5条2項2号では現行Air Cargo War Clausesが保険契約の一部とみなされる | 独立航空輸送や個別修正がある場合は別確認する |
| 中間港で荷卸しされればすべて運送契約打切りである | 一時的な継搬目的の荷卸しと契約上の打切りは異なる | 正式な打切り通知と以後の運送責任を確認する |
| 打切り後の再積送は自動的に担保される | 再輸送開始前の通知と割増保険料が条件となる | 積込み後の事後通知では問題になる |
| 機雷危険の60日はすべての戦争兵器に適用される | 第5条4項は浮遊・沈下機雷および遺棄魚雷を対象とする | 兵器の種類を具体的に確認する |
| 大型の艀なら必ず航洋船舶である | 船型ではなく、その船舶自身の航海に海上通航があるかで確認する | 港内craftか港間海上輸送かを区別する |
| B/L上の自由裁量条項があれば保険者通知は不要である | 第5条5項は遅滞ない通知と必要な割増保険料を条件とする | 船社通知を受けた時点で保険者へ連絡する |
| 仕向地変更は確定後に通知すればよい | 被保険者による変更は遅滞ない通知と条件協定が必要 | 変更検討段階から保険者へ相談する |
| 第7条はWar Clausesの全条項を常に最優先する | 第3条7項、第3条8項、第5条との抵触だけを対象とする | 個別Endorsementの修正文言を確認する |
| 通常ICCが期間内ならWar Clausesも期間内である | 両約款の保険期間は別に計算する | 15日ルールと通常ICCの60日条項を混同しない |
判断チェックリスト
| 確認場面 | 確認する相手 | 確認事項 | 問題がある場合の対応 |
|---|---|---|---|
| 適用保険契約の特定 | 保険契約者、保険者、保険代理店 | Policy、Certificate、約款版、Endorsement | 適用書類一式を取得する |
| 航洋船舶の確認 | 船社、NVOCC、保険者 | 航路、港間輸送、海上通航、船舶 | 境界事例は運航資料を提示して照会する |
| 保険始期 | 船社、ターミナル、保険者 | 実際の本船積込み日時 | Stowage Plan、Loading Recordを取得する |
| 最終港到着 | 船社、港湾、保険者 | 投錨、係留、定置、接岸日時 | Port LogとAISを照合する |
| 荷卸し | 船社、ターミナル、倉庫 | 貨物部分ごとの荷卸し日時 | Discharge Report、EIRを取得する |
| 15日ルール | 保険者、船社 | 到着日の午後12時からの期間計算 | 荷卸し時との早い方を確認する |
| 荷卸しなしの再出航 | 船社、保険者 | 通知、割増保険料、出航日時 | 担保再開条件を書面で確認する |
| 中間港・避難港 | 船社、ターミナル、倉庫、保険者 | 到着、荷卸し、貨物所在地、再積込み予定 | 15日経過前に延長等を相談する |
| 航空機継搬 | 航空会社、保険者、荷主 | 第5条2項該当性、AWB、積込み時刻、適用版 | 独立航空輸送の場合は別契約を確認する |
| 運送契約の打切り | 船社、NVOCC、荷主、保険者 | 正式な打切り、打切港、貨物所在地 | みなし最終港として期間を再計算する |
| 打切り後の再積送 | 保険者、船社、NVOCC | 再輸送開始前の通知、割増保険料、積込み時刻 | 積込み前に保険者の回答を得る |
| 機雷・遺棄魚雷危険 | 船社、保険者、海事当局 | 兵器の種類、craft輸送、荷卸し日、事故日 | 第5条4項の60日上限を個別確認する |
| 離路・運送人の自由裁量 | 船社、NVOCC、保険者 | B/L条項、変更航路、通知、追加保険料 | 第5条5項の条件を確認する |
| 被保険者による仕向地変更 | 荷主、保険者、NVOCC | 変更決定日、通知日、料率、条件 | 変更実行前に協定を進める |
| 知らない航海変更 | 船社、荷主、保険者 | 被保険者の認識時点、当初予定、実際の仕向地 | 認識後直ちに保険者へ通知する |
| 第7条の抵触確認 | 保険者、保険代理店、必要に応じ専門家 | 第3条7項、第3条8項、第5条と他条件の抵触 | 個別Endorsementの修正対象を確認する |
実務上確認すべき資料
| 資料区分 | 具体的な資料 | 確認できる内容 | 取得先 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 保険契約 | Policy、Certificate、Schedule、Endorsement | War Clausesの付帯、版、期間修正、特約 | 保険契約者、保険者 | 通常ICCとWar Clausesを分ける |
| 航洋船舶 | Master B/L、Voyage Schedule、船舶情報、航路図 | 港間輸送と海上通航 | 船社、NVOCC | 船型・名称だけで判断しない |
| 積込み | Loading List、Stowage Plan、Terminal Loading Report | 貨物部分ごとの保険始期 | 船社、ターミナル | 予定と実績を区別する |
| 到着 | Port Log、AIS、Statement of Facts、Arrival Report | 投錨・係留・定置と15日起算 | 船社、港湾 | 時刻帯を統一する |
| 荷卸し | Discharge Report、EIR、Tally Sheet | 保険終期、貨物部分ごとの荷卸し | 船社、ターミナル | コンテナ・貨物単位で異なる場合がある |
| 中間港での所在地 | Gate Record、倉庫在庫記録、Terminal Location Report | 貨物が当該港・場所に存在した期間 | ターミナル、倉庫 | 港外移動を記録する |
| 継搬・再積送 | Booking、Routing Instruction、Loading Confirmation | 継搬目的、再輸送開始、担保再開 | 船社、NVOCC | Booking日と積込み日を区別する |
| 航空機継搬 | AWB、Flight Manifest、航空会社積込み記録 | 航空機への積込み、適用区間 | 航空会社、フォワーダー | 受託時と搭載時を区別する |
| 運送契約打切り | 船社・NVOCCの打切り通知、B/L、貨物引取り通知 | 打切港、契約上の運送終了 | 船社、NVOCC | 一時的な寄港と区別する |
| 航海・仕向地変更 | 変更指示、B/L Amendment、船社通知 | 変更主体、決定時、認識時 | 荷主、船社、NVOCC | 通知までの時間を記録する |
| 保険者通知 | 通知メール、受付確認、条件回答、追加保険料通知 | 通知義務の履行、担保継続・再開条件 | 保険者、保険代理店 | 送受信日時を保存する |
| 追加費用 | 保管料、継搬費用、再積送費、追加運賃の請求書 | 費用項目、発生期間、請求者 | 船社、NVOCC、倉庫等 | 保険上の補償と契約上の負担を分ける |
まとめ
Institute War Clauses(Cargo)の保険期間は、通常のICC2009本体とは異なり、原則として被保険貨物またはその部分が航洋船舶へ積み込まれた時に開始します。
最終荷卸港または荷卸地では、貨物が航洋船舶から荷卸しされた時と、本船が到着した日の午後12時から15日を経過した時のうち、いずれか先に生じた時に終了します。
航洋船舶とは、貨物を一つの港または場所から他の港または場所へ運び、その船舶自身の航海が海上通航を伴う船舶です。船舶の大きさ、国籍または「フィーダー船」「艀」という名称だけでは判断しません。
中間港または避難港では、到着日の午後12時から15日間、荷卸し後の貨物が当該港または場所にある間に限って担保が継続します。15日経過後は、貨物が継搬用の航洋船舶または航空機へ実際に積み込まれた時に担保が再開します。
航空機による継搬が第5条2項2号に該当する場合は、現行のInstitute War Clauses(Air Cargo)が保険契約の一部を構成するものとみなされ、航空輸送による継搬へ適用されます。
運送契約上の航海が途中港で打ち切られた場合、その港は最終荷卸港とみなされます。その後の再積送について担保を再開するには、再輸送開始前に保険者へ通知し、必要な割増保険料を確認しなければなりません。
浮遊・沈下機雷および遺棄魚雷については、航洋船舶への・からのcraft輸送中にも担保が拡張されますが、特別合意がない限り、航洋船舶からの荷卸し後60日を超えません。この60日は通常のICC本体の60日条項とは別の規定です。
被保険者が仕向地を変更する場合は、遅滞なく保険者へ通知し、料率および条件を協定します。被保険者が知らないまま本船が別仕向地へ出帆した場合は、当初輸送開始時に担保が開始したものとみなされますが、変更認識後の迅速な通知が重要です。
第7条が優先させるのは、第3条7項、第3条8項および第5条と抵触する他の契約規定です。通常ICC本体の期間が継続しているという理由だけで、War Clausesの期間が同様に継続するとは判断しません。
NVOCCやフォワーダーが関与する場合は、Policy・Endorsement、Master B/L・House B/L、Port Log、AIS、EIR、積載・荷卸し記録、AWB、打切り通知、保険者への通知記録を時系列で整理します。
また、貨物保険の担保期間と、別港揚げ費用、保管料、継搬費用、再積送費、追加運賃を誰が負担するかは別の問題です。保険条件と運送契約、タリフ、見積条件を分けて確認することが重要です。

Institute War Clauses(Cargo)の免責条項