Institute War Clauses(Cargo)の保険期間と航海変更
Institute War Clauses(Cargo)の保険期間とは
Institute War Clauses(Cargo)の保険期間は、通常の協会貨物約款とは異なる考え方で整理されています。
通常のICC2009本体では、貨物が倉庫または保管場所で輸送開始のために最初に動かされた時から、最終倉庫等で荷卸しが完了する時までが中心になります。
これに対し、戦争危険約款では、原則として被保険貨物が航洋船舶に積み込まれた時に保険が開始し、航洋船舶から荷卸しされた時などに終了します。
第5条 Transit Clauseの基本
第5条では、戦争危険に関する保険始期、保険終期、積替え、再積送、機雷危険、離路や危険の変更について定めています。
戦争危険は、通常の倉庫から倉庫までの危険とは異なり、航洋船舶に積み込まれている間を中心に担保される点が特徴です。
そのため、貨物が陸上輸送中にあるのか、艀に積まれているのか、航洋船舶に積まれているのか、すでに荷卸しされたのかを確認する必要があります。
保険始期
Institute War Clauses(Cargo)では、被保険貨物またはその一部が航洋船舶に積み込まれた時に、その部分について保険が開始します。
これは、通常のICC本体のように、輸送開始のために倉庫内で最初に動かされた時から始まるわけではありません。
戦争危険については、海上輸送中の戦争危険を中心に担保する約款であるため、保険始期の判断を誤らないことが重要です。
保険終期と15日ルール
戦争危険約款では、保険は原則として、被保険貨物またはその一部が最終荷卸港または荷卸地で航洋船舶から荷卸しされた時に終了します。
また、最終荷卸港または荷卸地に航洋船舶が到着した日の深夜から起算して15日を経過した時にも終了します。
つまり、荷卸しが完了した時と、到着後15日を経過した時のうち、いずれか早い時点で保険終了が問題になります。
荷卸しせずに再出航した場合
最終荷卸港または荷卸地に到着したにもかかわらず、被保険貨物を荷卸しせずに船舶が再出航する場合があります。
この場合、遅滞なく保険者へ通知し、必要に応じて割増保険料を支払うことを条件として、保険が再開する仕組みが定められています。
その後、最終または代替の荷卸港で荷卸しされた時、または再到着・代替港到着から15日を経過した時に、保険終了が問題になります。
中間港・避難港での荷卸し
航海中に、中間港で他の航洋船舶または航空機へ継搬するために荷卸しされる場合や、避難港で荷卸しされる場合があります。
この場合、必要に応じて割増保険料を条件として、船舶がその港または地に到着した日の深夜から起算して15日間、保険が継続します。
ただし、その15日間は、被保険貨物がその港または地にある間に限って保険が有効に存続します。
航空機による継搬
中間港などから航空機で継搬される場合には、現行の協会戦争約款(航空貨物)が保険契約の一部を構成するものとして扱われることがあります。
このため、海上輸送から航空輸送へ切り替わる場合には、通常の貨物保険だけでなく、戦争危険の航空貨物約款の適用も確認する必要があります。
運送契約が途中で打ち切られた場合
運送契約上の航海が、本来の仕向地以外の港または地で打ち切られる場合、その港または地が最終荷卸港とみなされます。
その場合、戦争危険保険は、最終荷卸港に関する規定に従って終了します。
その後、貨物が元の仕向地または別の仕向地へ再び積送される場合には、再輸送の開始前に保険者へ通知し、必要に応じて割増保険料を支払うことを条件として、保険が再開することがあります。
機雷・遺棄魚雷の危険
浮遊または水面下に沈んでいる機雷や遺棄魚雷の危険については、航洋船舶への輸送中または航洋船舶からの輸送中に、貨物が艀に積まれている間にも担保が拡張されます。
ただし、保険者が特に認めた場合を除き、航洋船舶からの荷卸後60日を超えて担保されることはありません。
この点は、通常の戦争危険の15日ルールとは別に確認すべき重要な期間制限です。
第6条 航海変更
第6条では、保険の危険開始後に仕向地が変更された場合の扱いが定められています。
被保険者が仕向地を変更する場合には、遅滞なく保険者へ通知し、保険料率および保険条件について協定する必要があります。
協定前に損害が発生した場合でも、市場で合理的な条件により担保が得られる場合に限り、補償が提供される可能性があります。
被保険者が知らない航海変更
被保険貨物が予定された輸送を開始した後、被保険者およびその使用人が知らないまま、船舶が別の仕向地に向けて出帆する場合があります。
この場合でも、約款上は、保険はその輸送開始時に開始したものと扱われます。
ただし、戦争危険では保険期間や通知義務が通常のICC本体と異なるため、実務上は早期に保険者へ確認することが重要です。
第7条 優先条項
第7条では、保険契約中の規定が、航海事業の喪失・中絶、核兵器等の敵対的使用、または第5条の保険期間に関する規定と抵触する場合、その抵触する範囲で無効となることが定められています。
これは、戦争危険約款において、特定の免責や保険期間の規定を他の条件よりも優先させる趣旨です。
そのため、戦争危険については、通常の貨物保険と同じ感覚で保険期間や補償継続を判断しないことが重要です。
貨物保険・B/L・NVOCC責任との関係
戦争危険の保険期間と航海変更は、B/LやNVOCC責任とも密接に関係します。
港湾閉鎖、航路変更、途中港での荷卸し、運送打切り、代替港への輸送、再積送、航空機への継搬などが発生した場合、貨物保険の保険期間だけでなく、B/L裏面約款やNVOCC約款上の責任範囲も確認する必要があります。
特に、追加費用、保管費用、継搬費用、仕向地変更に伴う費用については、保険で支払われるものなのか、運送契約上の費用なのか、荷主負担なのかを切り分ける必要があります。
実務上の注意点
戦争危険が関係する輸送では、保険がいつ開始し、いつ終了するかを通常のICC本体とは分けて確認する必要があります。
特に、航洋船舶への積込み時、最終荷卸港での荷卸し時、到着後15日、途中港での荷卸し、運送打切り、再積送、機雷危険の60日制限は重要です。
また、仕向地変更や航海変更が発生した場合には、保険者への遅滞ない通知と、割増保険料・保険条件の確認が必要になります。
NVOCCやフォワーダーが関与する場合には、荷主への説明、保険会社への連絡、B/L条件の確認、追加費用の整理を同時に進めることが重要です。

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