Institute War Clauses(Cargo)の免責条項

Institute War Clauses(Cargo)の免責条項とは

Institute War Clauses(Cargo)の免責条項とは、戦争危険約款が付帯されていても、保険で補償されない損害・費用を定める部分です。

戦争危険約款は、通常のICC(A)、ICC(B)、ICC(C)では免責となる戦争危険を補うための約款ですが、戦争に関係するすべての損害を無制限に補償するものではありません。

主に、第3条の免責事由と、第4条の不堪航・不適合免責が重要です。

第3条の主な免責事由

第3条では、被保険者の故意、通常の漏損・重量減少・自然消耗、梱包または準備の不十分、貨物固有の瑕疵または性質、遅延、船社等の支払不能、航海事業の喪失または中絶、核兵器等の敵対的使用による損害・費用が免責として定められています。

これらは、戦争危険約款が付帯されていても、当然に補償されるわけではありません。

故意・通常損耗・貨物固有の性質

被保険者の故意による損害、通常の漏損、重量や容積の通常減少、自然消耗、貨物固有の性質による損害は、戦争危険約款でも免責となります。

これは、戦争危険かどうかにかかわらず、外来的・偶然な事故とはいえない損害を保険の対象外とする考え方です。

実務では、貨物の劣化、腐敗、錆、蒸れ、自然減量などが、戦争危険による損害なのか、貨物自体の性質によるものなのかを確認する必要があります。

梱包不十分免責

戦争危険約款でも、梱包または準備の不十分・不適切による損害は免責となります。

貨物は、通常の輸送中に生じる出来事に耐えられるように梱包・準備されている必要があります。

ここでいう梱包には、コンテナへの積付けも含まれます。

そのため、戦争危険が問題となる輸送であっても、実際の損害原因が不十分な梱包や積付けにある場合には、保険金支払の対象外となる可能性があります。

遅延免責

戦争危険によって航路変更、港湾混雑、抑留、待機などが発生した場合でも、遅延によって生じる滅失、損傷または費用は原則として免責です。

戦争危険約款は、戦争危険による貨物の滅失または損傷を中心に担保するものであり、遅延による販売機会の喪失、納期遅れ、商機逸失、在庫不足などを補償するものではありません。

ただし、共同海損や救助料として別途扱われる費用については、条項に従って確認する必要があります。

船社倒産免責

戦争危険約款でも、船舶の所有者、管理者、用船者、運航者の支払不能または金銭債務不履行による損害・費用は免責として整理されています。

ただし、被保険者が積込み時にそのような支払不能や金銭債務不履行を知っていた、または通常の業務上知っているべきであった場合に限り、免責が問題となる構造です。

また、善意で貨物を購入した保険契約の譲受人が保険金請求をする場合には、この免責が適用されない旨も定められています。

航海事業の喪失・中絶

戦争危険約款で特に注意すべきなのが、航海または航海事業の喪失・中絶に基づく保険金請求が免責とされている点です。

これは、戦争危険によって航海が中断・打切りになったとしても、それに伴うすべての費用や損害が当然に補償されるわけではないということです。

たとえば、運送打切港での荷役費用、保管費用、継搬費用、追加手配費用などは、戦争危険約款上の担保範囲と免責条項を慎重に確認する必要があります。

核兵器等の敵対的使用

第3条では、原子核分裂・融合、放射能、放射性物質を利用した兵器または装置の敵対的使用によって生じる損害・費用も免責とされています。

戦争危険約款であっても、核兵器や放射能に関する危険は、通常の戦争危険とは別に厳格に除外されます。

この点は、戦争危険を付帯しているからといって、すべての軍事的危険が担保されるわけではないことを示しています。

第4条 不堪航・不適合免責

第4条は、ICC2009本体の不堪航・不適合免責と同様の考え方に基づく条項です。

船舶や艀が不堪航である場合、またはコンテナ・輸送用具が貨物の安全な運送に適していない場合には、一定の条件で免責が問題になります。

実務では、被保険者がその不堪航または不適合を知っていたか、誰が積込みを行ったか、保険の危険開始前か後かが重要になります。

貨物保険・B/L・NVOCC責任との関係

戦争危険約款で免責になる場合でも、必ず荷主がすべてを負担するとは限りません。

事故や費用の発生原因によっては、B/L裏面約款、NVOCC約款、運送契約、フォワーダーの説明責任、船会社の運送上の判断が問題になることがあります。

特に、航海中絶、運送打切り、港湾閉鎖、迂回、積替え、追加費用の発生については、保険で払う話と、運送契約上誰が負担する話かを分けて整理する必要があります。

実務上の注意点

戦争危険が関係する事故では、まず戦争危険約款が付帯されているかを確認します。

次に、損害が担保危険によって生じた貨物の滅失・損傷なのか、遅延、費用損害、航海中絶、通常消耗、梱包不十分などの免責に該当するのかを整理します。

また、追加費用が発生した場合には、それが保険で補償される費用なのか、運送契約上の費用なのか、荷主負担なのか、NVOCCやフォワーダーが説明・手配すべき費用なのかを確認する必要があります。

同義語・別表記

  • 協会戦争約款の免責
  • War Clauses Exclusions
  • 戦争危険免責
  • Institute War Clauses第3条
  • 戦争危険約款免責

関連用語

公式情報