食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度
食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度とは、食品に接触する器具・容器包装に使用できる原材料について、安全性が確認され、リストに収載された物質のみを原則として使用できるようにする制度です。食品に直接触れる食器、調理器具、食品容器、包装材などの安全性を確保するための仕組みです。
輸入実務では、食品そのものではない商品であっても、食品に接触する用途がある場合、この制度の確認が必要となることがあります。特に合成樹脂、いわゆるプラスチックを使用した食品用器具・容器包装では、ポジティブリストへの適合確認が重要です。
概要
ポジティブリスト制度は、食品用器具・容器包装に使用される物質を管理する制度です。従来のように問題のある物質を禁止する考え方だけではなく、使用できる物質をあらかじめリスト化し、その範囲内で使用を認める仕組みです。
食品用器具・容器包装は、食品に直接触れるため、材質から成分が食品へ溶出する可能性があります。そのため、使用される原材料や添加剤について、食品衛生上の安全性を確認する必要があります。
対象となる主なもの
対象となるのは、食品に接触する器具や容器包装です。食品そのものではなくても、食品に触れる用途で使用される商品は、食品衛生法上の確認が必要となる場合があります。
- 食品保存容器
- 弁当箱
- 食品包装フィルム
- 食品用袋
- プラスチック容器
- 調理器具
- 食器
- 食品製造機械の食品接触部分
- 食品用キャップ・中栓・パッキン
- 食品用包装材
実務では、商品名が「雑貨」「キッチン用品」「容器」「包装材」とされていても、食品に接触する用途があれば確認対象となる可能性があります。
対象材質
ポジティブリスト制度では、政令で定める材質が対象となります。2025年6月1日時点では、対象材質は合成樹脂です。合成樹脂を使用する食品用器具・容器包装では、使用される基材や添加剤がポジティブリストに収載されているかを確認する必要があります。
一方で、金属、ガラス、陶磁器、紙などについても、食品衛生法上の規格基準や安全性確認が不要になるわけではありません。ポジティブリスト制度の対象材質でない場合でも、食品接触材としての確認は必要です。
輸入実務での確認事項
食品用器具・容器包装を輸入する場合、輸入者は、食品接触用途の有無、材質、ポジティブリスト適合性、試験成績書などを確認する必要があります。特に初回輸入品では、製造者や輸出者から資料を取得するまでに時間がかかることがあります。
- 食品に接触する用途があるか
- 食品接触面に合成樹脂が使われているか
- 基材や添加剤がポジティブリストに収載されているか
- 使用条件や使用温度に問題がないか
- 試験成績書があるか
- 材質証明書があるか
- 製造者から適合情報を取得できるか
- 食品等輸入届出が必要か
届出書やインボイスだけでは判断できない場合、材質証明書、適合証明、試験成績書、商品カタログ、製造者資料などが求められることがあります。
情報伝達の重要性
ポジティブリスト制度では、製造者、輸出者、輸入者、販売者、食品事業者の間で、使用原材料や適合性に関する情報を適切に伝達することが重要です。輸入者が製品の材質や適合状況を把握できなければ、検疫所での確認や販売後の説明が難しくなります。
- 製造者から材質情報を取得する
- 食品接触面の材質を特定する
- ポジティブリスト適合性を確認する
- 試験成績書や証明書を保管する
- 輸入者・販売者・使用者の間で情報を共有する
単に「食品用」「安全」と記載されたカタログだけでは不十分な場合があります。具体的な材質、使用条件、適合根拠を確認することが重要です。
必要になりやすい資料
輸入時には、食品衛生法への適合確認のため、以下のような資料が必要になることがあります。初回輸入品や新規サプライヤーの商品では、船積前から資料を揃えておくことが望まれます。
特に合成樹脂製品では、どの部分が食品に接触するのか、その部分にどの材質が使われているのかを確認することが重要です。
注意点
ポジティブリスト制度で不備があると、輸入食品届出の審査が止まり、追加資料提出、検査、通関遅延、返品、廃棄などにつながることがあります。海外で販売されている商品であっても、日本の食品衛生法上の基準に適合しているとは限りません。
- 食品接触用途を見落としている
- 合成樹脂の使用有無を確認していない
- 材質証明書がない
- ポジティブリスト適合性が確認できない
- 試験成績書が届出貨物と一致していない
- 使用温度や使用条件を確認していない
- 初回輸入品なのに検査期間を見込んでいない
また、ポジティブリスト制度に適合していても、販売表示、広告表現、使用上の注意表示などは別途確認が必要となる場合があります。
フォワーダー・通関実務での見方
フォワーダーや通関業者にとって、ポジティブリスト制度は、食品そのものではない貨物で通関が止まる典型的な確認ポイントです。特に、キッチン用品、食品容器、包装材、ノベルティ容器、食品製造機械の部品などでは、荷主が食品衛生法の対象と認識していないことがあります。
船積前又は航空便手配前に、食品接触用途の有無、合成樹脂の使用有無、材質証明書、試験成績書の有無を確認しておくことで、貨物到着後の通関遅延を防ぎやすくなります。
まとめ
食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度は、食品に接触する器具・容器包装に使用できる物質を管理し、食品衛生上の安全性を確保するための制度です。特に合成樹脂を使用する食品用器具・容器包装では、リスト収載物質であるかの確認が重要です。
実務では、食品そのものではない商品でも、食品に接触する用途があれば確認対象となります。材質、使用条件、適合証明、試験成績書を早めに確認することが、通関遅延や追加費用を防ぐポイントになります。
