英国海上保険法における保険価額
英国海上保険法における保険価額とは
英国海上保険法における保険価額とは、海上保険の対象となる船舶、貨物、運賃、その他の利益について、保険上評価される価額をいいます。
外航貨物海上保険では、貨物に損害が発生した場合に、どの金額を基準として保険金額や損害額を考えるかが問題になります。その出発点となるのが、保険価額の考え方です。
保険証券に定めがある場合
英国海上保険法1906年第16条では、保険証券に明示の定めや評価額がある場合には、まずその定めに従うことになります。
実務上、外航貨物海上保険では、インボイス価額、運賃、保険料、その他の費用を基礎に保険金額が設定されることがあります。保険証券や申込内容に評価方法が明示されている場合には、その内容を確認する必要があります。
船舶保険における保険価額
船舶保険の場合、保険価額は、危険開始時における船舶の価額を基礎とします。
そこには、船体だけでなく、艤装品、船用品、船員に対する前払賃金、航海に必要な支出などが含まれることがあります。また、汽船の場合には、機械、ボイラー、石炭、機関用品なども、被保険者が所有している場合には価額に含まれます。
ただし、外航貨物海上保険の実務で中心になるのは船舶保険ではなく、貨物や商品の保険価額です。
運賃保険における保険価額
運賃保険の場合、保険価額は、被保険者が危険にさらしている運賃の総額に、保険費用を加えた額とされています。
運賃が前払いであるか、後払いであるかにかかわらず、その運賃が損害によって危険にさらされる場合には、海上保険上の利益として評価されることがあります。
貨物・商品保険における保険価額
貨物または商品の保険では、保険価額は、被保険貨物の原価に、船積費用および船積に付随する費用を加え、さらにその全体に対する保険費用を加えた額とされています。
これは外航貨物海上保険の実務で非常に重要です。貨物の保険価額は、単に商品そのものの価格だけではなく、輸送に必要な費用や保険料を含めて考える場合があるからです。
例えば、輸出入取引では、インボイス価格、船積費用、海上運賃、保険料、その他の付随費用をどこまで保険金額に含めるかが問題になります。
外航貨物海上保険での実務上の意味
貨物海上保険では、保険価額と保険金額が実務上混同されることがあります。
保険価額は、保険の対象となる利益の価額です。一方、保険金額は、保険契約上、保険者が責任を負う上限額として設定される金額です。
そのため、貨物事故が発生した場合には、貨物の実際の価額、保険金額、損害額、保険証券上の評価方法を分けて確認する必要があります。
CIF価額との関係
外航貨物海上保険では、CIF価額を基礎に保険金額を設定することがあります。
CIF条件では、売主が貨物価格、海上運賃、保険料を含めて取引価格を構成します。そのため、貨物海上保険の保険価額を考える際にも、商品代金だけでなく、運賃や保険料を含めた金額が問題になることがあります。
ただし、実際の保険金額や保険価額の扱いは、保険証券、保険申込内容、売買契約、インコタームズ、保険会社の引受条件によって確認する必要があります。
実務上の注意点
保険価額は、保険金請求時の損害額算定に関係する重要な概念です。
貨物事故が発生した場合には、まず貨物の損害状況を確認し、次にインボイス価額、運賃、保険料、その他の付随費用、保険証券上の保険金額を整理します。
特に、部分損、全損、共同海損、残存価額、売却処分、修理費用、再調達費用などが問題になる場合には、保険価額と損害額の関係を整理しておく必要があります。
英国海上保険法1906年第16条は、船舶、運賃、貨物、その他の保険対象について、保険価額をどのように考えるかを示す基本条文です。外航貨物海上保険では、とくに貨物・商品の保険価額の考え方が実務上重要になります。
