原料原産地表示

Country of Origin Labeling for Ingredients

原料原産地表示とは

原料原産地表示とは、加工食品に使用された原材料について、その原産地または製造地を表示する制度です。消費者が食品の原材料の由来を確認し、商品を選択できるようにするための表示です。

食品表示実務では、食品表示法および食品表示基準に基づき、どの商品が対象となるか、どの原材料について表示が必要か、どのような表示方法が認められるかを確認します。特に加工食品では、国内製造品か輸入品か、対象原材料が生鮮食品か加工食品か、重量割合や表示方法に注意が必要です。

輸入食品実務で重要なのは、国内で製造・加工された加工食品に必要な「原料原産地表示」と、海外で製造された加工食品に必要な「原産国名表示」を混同しないことです。輸入食品をそのまま日本で販売する場合と、輸入原料を使って日本国内で加工食品を製造する場合では、確認すべき表示が異なります。

この記事で扱う範囲

原料原産地表示は、食品表示法、食品表示基準、原産国名表示、優良誤認表示、輸入食品実務、EC販売表示などと関係します。この記事では、国内製造の加工食品における原料原産地表示を中心に扱い、輸入加工食品の原産国名表示、栄養成分表示、アレルゲン表示、食品衛生法上の輸入届出は関連する記事に委ねます。

項目 この記事で扱う内容 他の記事で詳しく扱う内容
原料原産地表示の基本 国内で製造・加工された加工食品について、対象原材料の原産地または製造地を表示する制度として整理します。 食品表示制度全体の構造は「食品表示法」で詳しく扱います。
対象食品 国内で製造または加工された加工食品が対象となることを説明します。 輸入された加工食品そのものに必要な原産国名表示は「原産国名」で詳しく扱います。
対象原材料 原則として、製品に占める重量割合が最も高い原材料を確認する考え方を扱います。 個別品目ごとの表示ルールや例外は食品表示基準関連の記事で扱います。
表示方法 原産地表示、製造地表示、国別重量順表示、又は表示、大括り表示を整理します。 具体的なラベルレイアウトや他の義務表示事項は食品表示実務の記事で扱います。
輸入食品実務 輸入加工食品と、輸入原料を使った国内製造品の違いを整理します。 食品等輸入届出、検疫所審査、食品衛生法上の確認は「輸入食品届出」「食品衛生法」で扱います。
広告・販売表示 国産原料、特定産地、国内製造などを訴求する場合の注意点を扱います。 実際より優良に見せる広告表示は「優良誤認表示」で詳しく扱います。

制度の目的・背景

原料原産地表示の目的は、加工食品に使われている主要な原材料の由来を消費者が確認できるようにすることです。加工食品は、生鮮食品と異なり、最終製品の外観だけでは原材料の産地や製造地を判断しにくいため、表示によって消費者の選択に必要な情報を提供します。

加工食品では、同じ商品名であっても、使用される原材料の産地が商品ごと、時期ごと、ロットごとに異なることがあります。また、原材料が生鮮食品なのか加工食品なのかによって、表示すべき内容も変わります。そのため、原料原産地表示では、対象原材料の性質と調達実態を正確に把握することが重要です。

輸入実務では、海外から完成品として輸入した加工食品を販売する場合と、海外原料を日本で加工して販売する場合を明確に分ける必要があります。前者では商品自体の原産国名表示が中心となり、後者では国内製造の加工食品として原料原産地表示が問題になります。

制度が適用される場面

原料原産地表示は、国内で製造または加工された加工食品に関係します。輸入者、国内製造者、販売者は、商品が国内製造品なのか、輸入加工食品なのかを最初に整理し、そのうえで対象原材料と表示方法を確認します。

場面 該当しやすい食品 確認の中心 実務上の注意点
国内で加工食品を製造する場合 惣菜、菓子、調味料、飲料、冷凍食品、レトルト食品 重量割合が最も高い原材料とその原産地または製造地 商品設計段階で対象原材料を特定します。
輸入原料を使って国内製造する場合 輸入果汁を使った飲料、輸入肉を使った加工品、輸入小麦を使った食品 対象原材料の原産地、加工食品原料の場合は製造地 輸入時資料だけでなく、国内製造後の表示に必要な資料を取得します。
海外製造の加工食品を輸入販売する場合 輸入菓子、輸入飲料、輸入調味料、輸入冷凍食品 原料原産地表示ではなく、原産国名表示 原料原産地表示と原産国名表示を混同しないようにします。
原材料の調達先が変動する場合 小麦、果汁、肉、魚介、野菜ペースト、調味原料 国別重量順表示、又は表示、大括り表示の可否 使用実績や使用計画などの根拠資料が必要になります。
産地を広告で強調する場合 国産原料使用、北海道産、欧州産原料、国内製造などの訴求品 容器包装表示と広告表現の整合性 一部原料の産地を商品全体の特徴のように見せないよう注意します。
PB商品・OEM商品を販売する場合 小売PB、外注製造品、共同開発商品 製造者からの原料情報、表示責任者、根拠資料の保管 販売者側でも表示根拠を説明できる体制が必要です。

対象食品と対象原材料

原料原産地表示は、国内で製造または加工された加工食品が対象です。原則として、製品に占める重量割合が最も高い原材料について、その原産地または製造地を表示します。

ただし、既存の個別ルールがある食品群や品目については、食品表示基準に基づく個別の表示方法を確認する必要があります。そのため、「国内製造の加工食品では、常に重量割合上位1位だけを見れば足りる」と単純に考えるのではなく、商品分類ごとの表示ルールも確認することが重要です。

一方、輸入された加工食品そのものについては、原料原産地表示ではなく、輸入品としての原産国名表示が必要になります。この点は、輸入食品を扱う実務で混同しやすい項目です。

適用要件・対象外になりやすいもの

原料原産地表示の確認では、まず対象食品が国内で製造または加工された加工食品かどうかを確認します。そのうえで、対象原材料が生鮮食品か加工食品か、原産地を表示するのか製造地を表示するのかを整理します。

区分 原料原産地表示の確認が必要になりやすい考え方 対象外または別確認になりやすい考え方 確認すべき資料・情報
国内製造の加工食品 国内で製造または加工された加工食品として販売されるもの 海外で製造された加工食品をそのまま輸入販売するもの 製造場所、加工場所、商品仕様、製造工程
輸入加工食品 国内で追加加工して別の加工食品として販売する場合は確認対象になり得る 輸入加工食品そのものを販売する場合は原産国名表示が中心 原産国、製造国、国内加工の有無、販売形態
対象原材料 原則として、製品に占める重量割合が最も高い原材料 個別ルールがある食品や表示省略が認められる場合 配合表、原材料規格書、重量割合資料
生鮮食品原料 肉、魚、野菜、果実、米、小麦などの生鮮食品が対象原材料となる場合 加工食品原料として扱うべきもの 産地証明、仕入先情報、原料規格書
加工食品原料 果汁、ペースト、粉末、ソース、調味原料などが対象原材料となる場合 原料の原料まで表示対象として扱わない場合 製造地情報、製造者資料、原料規格書
広告・任意表示 国産原料、特定産地、国内製造などを強調する場合 義務表示とは別に、広告・任意表示として確認する場合 広告案、EC表示、産地証明、配合割合資料

表示方法の考え方

対象原材料が生鮮食品の場合は、「国産」「アメリカ産」などの原産地を表示します。対象原材料が加工食品の場合は、「国内製造」「フランス製造」などの製造地を表示します。

対象原材料の原産地が複数ある場合には、原則として、使用した重量割合の高い順に国名を表示します。これを国別重量順表示といいます。原材料の調達先が変動し、国別重量順表示が困難な場合には、一定の条件のもとで「又は表示」や「大括り表示」が認められる場合があります。

これらの表示方法は、自由に選べるものではありません。使用実績や使用計画などの根拠資料が必要になります。実際の表示では、国別重量順表示、又は表示、大括り表示、大括り表示と又は表示の併用が認められるかを、食品表示基準に沿って確認する必要があります。

表示方法 意味 使われやすい場面 実務上の注意点
原産地表示 対象原材料が生鮮食品の場合に、その原産地を表示します。 肉、魚、野菜、果実、米、小麦などを使う加工食品 「国産」「アメリカ産」など、対象原材料の産地を確認します。
製造地表示 対象原材料が加工食品の場合に、その製造地を表示します。 果汁、ペースト、粉末、ソース、調味原料などを使う加工食品 原料の原料の産地ではなく、対象原材料の製造地を確認します。
国別重量順表示 使用した重量割合の高い順に国名を表示します。 調達国が複数あり、重量順が把握できる場合 使用実績、配合記録、仕入記録との整合が必要です。
又は表示 使用する可能性のある原産地を「又は」でつないで表示します。 原材料の調達先が変動し、重量順表示が困難な場合 使用可能性や使用実績を裏付ける資料が必要です。
大括り表示 3か国以上の外国の原産地をまとめて「輸入」と表示します。 複数の外国産原料を使用し、個別国名表示が困難な場合 自由に使える簡略表示ではなく、条件と根拠資料が必要です。
大括り表示と又は表示の併用 「輸入又は国産」など、複数の表示方法を組み合わせる表示です。 国産原料と複数の外国産原料が変動する場合 実際の調達実態と表示の対応を管理する必要があります。

輸入食品実務での注意点

海外で製造された加工食品を日本に輸入して販売する場合、その商品には原産国名の表示が必要になります。たとえば、海外で製造された菓子、飲料、調味料、冷凍食品などを輸入する場合は、原料原産地表示ではなく、商品自体の原産国名を確認します。

一方で、輸入した原材料を日本国内で加工し、国内製造の加工食品として販売する場合には、原料原産地表示の確認が必要になる場合があります。たとえば、輸入原料を使って日本国内で製造する食品では、対象原材料の原産地または製造地表示が問題になります。

輸入者や国内製造者は、海外メーカーの規格書、原材料表、製造国情報、産地証明資料などを早めに取得し、日本向けラベル作成に必要な情報を確認しておく必要があります。輸入時に必要な食品衛生法上の資料と、販売表示に必要な原料原産地資料は目的が異なるため、分けて管理することが重要です。

他制度との比較

原料原産地表示は、加工食品の原材料の由来を示す表示です。食品そのものの原産国名、原材料名、栄養成分、アレルゲン、賞味期限、広告上の産地訴求とは、それぞれ確認する目的が異なります。

制度・表示 主な目的 原料原産地表示との違い 実務上の注意点
原料原産地表示 国内製造の加工食品について、対象原材料の原産地または製造地を表示します。 商品自体ではなく、加工食品に使われた対象原材料の由来を示します。 国内製造品か輸入品かを最初に切り分けます。
原産国名表示 輸入された加工食品について、その商品がどこの国から輸入されたものかを示します。 輸入加工食品そのものの国名を示す表示です。 輸入品では、原料原産地表示ではなく原産国名表示を確認します。
原材料名表示 食品に使用された原材料を表示します。 原材料の名称を示す表示であり、産地や製造地とは目的が異なります。 原材料名欄の中で原料原産地を併記する場合、整合性を確認します。
栄養成分表示 エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量などを表示します。 栄養成分量を示す表示であり、原材料の由来を示すものではありません。 産地訴求と栄養・健康効果訴求を混同しないようにします。
アレルゲン表示 食物アレルギーの原因となる原材料の有無を表示します。 健康危害防止を目的とする表示であり、産地情報とは別です。 同じ原材料について、産地情報とアレルゲン情報を別々に確認します。
優良誤認表示 実際より著しく優良であると誤認させる表示を防止します。 広告や販売表示で産地・国産・高品質を過度に訴求する場合に関係します。 義務表示が正しくても、広告表現が誤認を招く場合があります。

制度適用フロー

原料原産地表示の確認では、まず商品が国内製造の加工食品か輸入加工食品かを切り分けます。そのうえで、対象原材料、原材料の性質、原産地または製造地、表示方法、根拠資料を順に確認します。

ステップ 確認内容 判断の考え方 次に行う対応
1. 商品区分の確認 国内製造の加工食品か、輸入された加工食品か 国内製造品なら原料原産地表示、輸入加工食品なら原産国名表示を確認します。 製造国、加工場所、国内加工の有無を確認します。
2. 対象原材料の特定 重量割合が最も高い原材料、個別ルールの有無 原則は重量割合上位1位ですが、品目ごとのルールも確認します。 配合表、原材料規格書、商品分類を確認します。
3. 原材料の性質確認 対象原材料が生鮮食品か加工食品か 生鮮食品なら原産地、加工食品なら製造地を表示します。 原材料仕様書、製造者情報、仕入資料を確認します。
4. 表示方法の選択 国別重量順表示、又は表示、大括り表示、併用表示 調達実態と根拠資料に基づいて表示方法を決めます。 使用実績、使用計画、仕入記録を整理します。
5. ラベル案への反映 原材料名欄、原料原産地名、表示位置、文言 食品表示基準に沿って表示案を作成します。 他の表示事項との整合を確認します。
6. 広告・EC表示との整合 商品ページ、広告、パンフレット、店頭POPの産地表現 容器包装表示と広告表現に矛盾がないか確認します。 過度な産地訴求は修正します。

よくある誤解

原料原産地表示では、輸入加工食品にも原料原産地表示が必要である、重量割合上位1位だけ見れば必ず足りる、又は表示や大括り表示を自由に使える、といった誤解が起きやすくなります。実務では、商品区分、対象原材料、表示方法、根拠資料を分けて確認する必要があります。

よくある誤解 実際の考え方 実務上の注意点
輸入加工食品にも原料原産地表示が必要である 輸入加工食品そのものには、原料原産地表示ではなく原産国名表示が必要になります。 輸入品か国内製造品かを最初に切り分けます。
国内製造品なら重量割合1位だけ見れば常に足りる 原則は重量割合が最も高い原材料ですが、個別ルールがある食品もあります。 商品分類ごとの表示ルールを確認します。
原材料が加工食品でも原料の原料の産地を表示する 対象原材料が加工食品の場合は、原則としてその製造地を表示します。 原産地表示と製造地表示を混同しないようにします。
又は表示や大括り表示は自由に選べる これらの表示方法には条件があり、使用実績や使用計画などの根拠資料が必要です。 表示方法を選ぶ前に、調達実態を確認します。
ラベルが正しければ広告で産地を強調しても問題ない 広告で実際より優良な印象を与える場合は、優良誤認表示の問題になります。 容器包装表示とECページ・広告の表現を整合させます。
海外メーカーの規格書があれば表示根拠として十分である 規格書の内容が日本の表示に必要な原産地・製造地・重量割合を説明できる必要があります。 日本向け表示に使える資料か確認します。

実務で問題になりやすいケース

原料原産地表示で問題になりやすいのは、輸入品と国内製造品の切り分けが曖昧な場合、対象原材料の重量割合が確認できない場合、又は表示や大括り表示の根拠資料が不足している場合です。特に、輸入原料を使って国内で加工食品を製造する場合は、輸入時の資料だけでは表示作成に足りないことがあります。

ケース 問題になりやすい点 確認すべき資料 実務上の注意点
輸入加工食品をそのまま販売する場合 原料原産地表示と原産国名表示を混同する 製造国情報、輸入書類、商品仕様書、ラベル案 輸入品では原産国名表示を中心に確認します。
輸入原料を使って国内製造する場合 対象原材料の原産地または製造地情報が不足する 原料規格書、産地証明、製造地情報、配合表 国内製造後の表示に必要な情報を船積前に取得します。
原材料の調達国が変動する場合 国別重量順表示と実際の使用実績が合わない 仕入記録、使用実績、使用計画、配合記録 表示方法と実際の調達管理を一致させます。
対象原材料が加工食品である場合 原料の原料の産地を表示すべきか誤解する 加工食品原料の製造地、製造者情報、規格書 原則として対象原材料の製造地を確認します。
産地を広告で強調する場合 一部原材料の産地を商品全体の特徴のように見せる 広告案、配合割合、産地証明、容器包装表示 広告表現が優良誤認にならないか確認します。
OEM・PB商品を販売する場合 販売者側が表示根拠を把握していない 製造委託先資料、表示根拠資料、仕様書、契約書 表示責任者が根拠資料を説明できる体制を整えます。

4列判断チェックリスト

原料原産地表示の確認では、商品企画、原料調達、製造、表示作成、広告作成の各段階で確認相手が異なります。表示担当だけでなく、輸入者、製造者、原料サプライヤー、販売担当者の間で情報を整理する必要があります。

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
商品企画時 輸入者・製造者・販売担当者 国内製造品か輸入加工食品か、産地訴求を行うか 表示区分を誤らないよう、商品設計段階で確認します。
原料調達時 原料サプライヤー・海外メーカー 対象原材料の原産地、製造地、調達国、変更可能性 規格書、産地証明、使用計画を取得します。
配合確認時 製造者・品質管理担当 重量割合が最も高い原材料、個別ルールの有無 配合表と商品分類を確認し、対象原材料を確定します。
表示方法選択時 表示担当者・品質管理担当 国別重量順表示、又は表示、大括り表示の可否 使用実績や使用計画を根拠資料として整理します。
ラベル作成時 表示担当者・製造者・販売者 原材料名欄、原料原産地名、原産国名との混同、他表示との整合 食品表示基準に沿って表示案を修正します。
広告・EC表示作成時 販売担当者・広告担当者 国産、特定産地、国内製造などの訴求表現 容器包装表示と広告表現を照合し、過度な表現を避けます。

フォワーダーの関与範囲対比表

フォワーダーや通関業者は、原料原産地表示の適法性を最終判断する立場ではありません。ただし、輸入原料や輸入加工食品を扱う場合、原産国、製造国、産地証明、規格書などの資料が表示作成や販売開始スケジュールに影響することがあります。

区分 支援しやすいこと 断定すべきでないこと 実務上の対応
輸入品区分の確認 完成品輸入か、国内製造用原料かを荷主に確認する 原料原産地表示の要否を独自に断定する 販売者・表示担当者側で確認するよう促します。
資料取得の注意喚起 原産国、製造地、産地証明、規格書が必要になる可能性を伝える 資料があれば表示が必ず適法になると保証する 表示根拠として使える資料かは輸入者側で確認します。
輸入書類との整合確認 インボイス、パッキングリスト、原産地証明書の国名情報に注意喚起する 輸入書類の国名だけで販売表示を確定する 製造国、原産国、原料原産地を分けて整理します。
販売開始スケジュール管理 表示確認やラベル修正が納品日程に影響する可能性を共有する 表示確認なしに予定どおり販売できると約束する 初回輸入品やPB商品では表示確認期間を見込みます。
広告表示への注意喚起 国産、特定産地、国内製造などの訴求に根拠資料が必要な可能性を伝える 広告表現が優良誤認に当たらないと判断する 販売担当者・表示担当者・専門家の確認へつなげます。
表示不備時の物流対応 出荷停止、在庫保留、ラベル貼替、返品に関する物流情報を整理する 回収要否や行政対応を独断で決める 輸入者・販売者の判断に基づき物流対応します。

制度が問題になる典型場面

原料原産地表示が問題になる典型場面は、商品が輸入加工食品なのか国内製造品なのかを整理しないままラベル作成が進む場合です。また、産地や国内製造を広告で強調する場合には、容器包装表示と広告表示の整合性も問題になります。

典型場面 発生しやすい問題 確認すべき相手・資料 実務上の対応
海外完成品を輸入して販売する 原料原産地表示と原産国名表示を混同する 輸入者、製造国資料、商品仕様書、ラベル案 輸入加工食品として原産国名表示を確認します。
輸入原料を国内で加工する 国内製造品として原料原産地表示が必要になる可能性を見落とす 製造者、原料規格書、産地証明、配合表 国内製造品として対象原材料を確認します。
調達先が複数国に変動する 表示方法と実際の使用実績が一致しない 仕入実績、使用計画、調達契約、配合記録 国別重量順表示、又は表示、大括り表示の可否を確認します。
加工食品原料を対象原材料とする 原産地と製造地を取り違える 加工食品原料の製造地資料、規格書、製造者情報 「国内製造」「フランス製造」などの製造地表示を確認します。
広告で特定産地を強調する 一部原料だけの産地を商品全体の特徴のように見せる 広告案、配合割合、産地証明、容器包装表示 優良誤認表示にならないよう表現範囲を明確にします。
PB・OEM商品の表示根拠が分散している 販売者、製造者、原料サプライヤーの間で情報が一致しない 仕様書、表示根拠資料、製造委託契約、原料資料 表示責任者が根拠資料を一元管理します。

制度適用シナリオ1:海外製造の菓子をそのまま輸入販売する場合

海外で製造された菓子を日本に輸入し、そのまま販売する場合、その商品は輸入加工食品として扱われます。この場合に確認すべき中心は、原料原産地表示ではなく、商品自体の原産国名表示です。

たとえば、フランスで製造されたチョコレート菓子を輸入する場合、消費者に示すべき基本情報は、その商品がどこの国で製造された輸入品かという点です。原材料に使われているカカオ、砂糖、乳原料などの産地を、国内製造の加工食品と同じ考え方で原料原産地表示するものではありません。

実務では、インボイス上の輸出国、原産地証明上の国名、実際の製造国、ラベル上の原産国名が一致しているかを確認します。輸出国と製造国が異なる場合もあるため、「どこから出荷されたか」と「どこで製造されたか」を分けて確認することが重要です。

制度適用シナリオ2:輸入果汁を使って日本で飲料を製造する場合

輸入した果汁を使って日本国内で清涼飲料水を製造する場合、最終商品は国内製造の加工食品になります。この場合、原則として、製品に占める重量割合が最も高い原材料が対象原材料となり、その原材料が加工食品である場合には製造地表示が問題になります。

たとえば、りんご果汁を対象原材料とする場合、その果汁がドイツで製造された加工食品原料であれば、「りんご果汁(ドイツ製造)」のような製造地表示が検討されます。ここで確認するのは、りんごそのものの栽培国ではなく、対象原材料であるりんご果汁の製造地です。

実務では、海外メーカーの原料規格書、製造地情報、製造者証明、配合表を取得し、国内製造品としての表示に使える形に整理します。輸入時の食品衛生法確認で必要な資料と、原料原産地表示に必要な資料は異なるため、両方を意識して準備する必要があります。

制度適用シナリオ3:国産原料使用をEC広告で強調する場合

国内製造の加工食品について、ECサイトや広告で「国産原料使用」「北海道産原料使用」「国内製造」などを強調する場合、容器包装上の原料原産地表示と広告表現が矛盾していないかを確認する必要があります。

一部の原材料だけが国産であるにもかかわらず、商品全体が国産原料だけで作られているような印象を与える表示は、優良誤認表示の問題につながる可能性があります。また、「国内製造」は加工食品原料の製造地を示す場合と、商品全体の製造場所を示す場合があるため、文脈を明確にする必要があります。

実務では、配合割合、対象原材料、産地証明、広告文、商品画像、ECページ、容器包装表示を照合します。表示できる事実の範囲を超えて産地や品質を強調しないことが、販売後のトラブル防止につながります。

広告・販売表示との関係

原料原産地表示は、主に容器包装上の表示に関係する制度ですが、販売ページや広告で産地を強調する場合にも注意が必要です。たとえば、「国産原料使用」「北海道産」「欧州産原料」「国内製造」などの表現を使う場合、実際の原材料、使用割合、対象範囲、製造地表示と矛盾しないかを確認する必要があります。

実態よりも優良であると誤認させる表示は、景品表示法上の優良誤認表示の問題につながる可能性があります。特に、原材料の一部だけが特定産地であるにもかかわらず、商品全体がその産地の原材料で作られているような印象を与える表示には注意が必要です。

ECサイト、SNS、チラシ、店頭POP、商品画像内テキストでは、容器包装よりも強い訴求表現が使われることがあります。販売前に、容器包装表示と広告表示を照合し、消費者が受ける印象にずれがないか確認することが重要です。

輸入者・販売者が準備すべき資料

原料原産地表示を正確に行うには、表示を作成する前に、対象原材料、重量割合、原産地または製造地、調達変動、表示方法の根拠資料を整理する必要があります。輸入食品実務では、海外メーカーの資料が日本の表示制度に必要な形になっていないことがあるため、日本向け表示に使える情報かを確認します。

資料 確認できる内容 主な取得先 不足した場合の影響
配合表・重量割合資料 製品に占める重量割合が最も高い原材料を確認できます。 製造者、品質管理部門 対象原材料を特定できません。
原料規格書 対象原材料の名称、性質、生鮮食品か加工食品かを確認できます。 原料サプライヤー、海外メーカー 原産地表示か製造地表示か判断できません。
産地証明・製造地証明 対象原材料の原産地または製造地を確認できます。 原料サプライヤー、製造者、輸出者 表示根拠が不足します。
仕入実績・使用実績 国別重量順表示、又は表示、大括り表示の根拠になります。 購買部門、製造者、原料管理部門 変動する調達先に対応した表示ができません。
使用計画・調達計画 将来の調達国や使用可能性を確認できます。 購買部門、製造者、原料サプライヤー 又は表示や大括り表示の根拠が不足します。
広告案・EC表示案 容器包装表示と販売表示の整合性を確認できます。 販売担当者、広告担当者、EC担当者 産地訴求が優良誤認表示につながる可能性があります。

まとめ

原料原産地表示とは、国内で製造または加工された加工食品について、使用された対象原材料の原産地または製造地を表示する制度です。原則として、製品に占める重量割合が最も高い原材料について表示します。

輸入食品実務では、輸入加工食品そのものに必要な原産国名表示と、輸入原料を使って国内で製造する加工食品に必要な原料原産地表示を混同しないことが重要です。対象原材料が生鮮食品であれば原産地を、加工食品であれば製造地を確認します。

又は表示や大括り表示は、調達先が変動する場合に使われることがありますが、自由に選べる簡略表示ではありません。使用実績や使用計画などの根拠資料を整理し、容器包装表示、ECページ、広告表示で産地表現に矛盾がないよう管理することが基本です。

同義語・別表記

  • 原料原産地
  • 原材料原産地表示
  • 加工食品の原料原産地表示
  • 原料原産地名
  • 国別重量順表示
  • 又は表示
  • 大括り表示
  • Country of Origin Labeling
  • Country of Origin Labeling for Ingredients