中国向け航空貨物の誤仕向けによる国内継搬費用
匿名化・掲載目的
本記事は、中国向け航空貨物について、フォワーダーが航空会社へ誤った仕向先空港を指示したため、貨物が本来とは異なる中国国内空港へ到着し、正しい目的地までの国内継搬費用が発生した実例を匿名化して共有するものです。
会社名、個人名、荷送人名、荷受人名、航空会社名、中国国内運送業者名、空港名、AWB番号、Booking番号、貨物名その他の特定につながる情報は掲載しません。
本件では、航空会社又は中国国内で継搬を行った運送業者からフォワーダーへ、追加の国内輸送費用が請求されました。確認できる範囲では、最終請求書の発行主体が航空会社と中国国内運送業者のどちらであったかまでは特定できません。
フォワーダーは、自己の仕向先指示に誤りがあったことを確認し、請求された約10万円の継搬費用を負担しました。本記事では、この金額を「賠償請求額」又は「応訴額」とは表現せず、「継搬費用請求額」及び「フォワーダー支払額」として整理します。
事例の概要
日本から中国向けに航空貨物が輸送されました。荷送人から示された本来の到着空港又は最終納入地に対し、フォワーダーが航空会社へ異なる仕向先空港を指示しました。
航空会社は、フォワーダーから受けた指示に基づいて貨物を輸送したため、貨物は本来とは異なる中国国内空港へ到着しました。
誤仕向けが判明した後、貨物を正しい目的地へ移動させるため、中国国内のトラック輸送による継搬が必要となりました。
継搬を実施した航空会社又は中国国内運送業者からフォワーダーへ、約10万円の追加輸送費用が請求されました。フォワーダーは、自らの仕向先指示の誤りに起因する費用であることを確認し、同額を支払いました。
貨物の物理的な破損、数量不足又は紛失は確認されていません。また、納期遅延に伴う別個の営業損失、違約金又は生産停止損害の請求があった事実も、確認できる範囲では不明です。
本記事の固有担当範囲
| 区分 | 本記事で扱う範囲 | 本記事で扱わない範囲 |
|---|---|---|
| 事故原因 | フォワーダーによる仕向先空港の誤指示 | 航空会社が正しい指示に反して輸送した事故 |
| 輸送形態 | 中国向け国際航空貨物 | 海上貨物又は中国国内だけの輸送 |
| 誤仕向け先 | 本来とは異なる中国国内空港 | 国外への誤輸送又は第三国への誤仕向け |
| 是正方法 | 中国国内トラックによる正しい目的地への継搬 | 航空機による再輸送又は日本への返送 |
| 請求方向 | 航空会社又は中国国内運送業者からフォワーダーへの請求 | 荷主から航空会社への直接請求 |
| 主な損害 | 約10万円の追加国内輸送費用 | 貨物の物理的損傷又は減価 |
| フォワーダーの対応 | 継搬手配、費用確認及び請求額の支払い | 訴訟又は仲裁による責任確定 |
| 保険対応 | 通知及び適用可能性を検討すべき事故 | 保険金支払いが確認された事例 |
本件は、貨物の誤配達そのものではなく、航空輸送の仕向先空港を誤って指示したことにより、到着後に追加の国内輸送が必要となった費用型事故です。
匿名化した事故条件
| 項目 | 匿名化した条件 | 実務上の意味 |
|---|---|---|
| 輸送方向 | 日本発・中国向け | 国際航空輸送後に中国国内で継搬が必要となりました。 |
| 輸送手段 | 航空貨物 | 納期への影響を抑えるため迅速な是正が必要でした。 |
| 本来の仕向先 | 中国国内の指定空港 | 正確な空港名と3レターコードの一致確認が必要でした。 |
| 実際の到着地 | 本来とは異なる中国国内空港 | 到着後の国内継搬が必要となりました。 |
| 誤指示者 | フォワーダー | 航空会社への仕向先指示に誤りがありました。 |
| 航空会社の対応 | 受領した指示に基づいて輸送 | 航空会社側の独自の誤輸送は確認されていません。 |
| 是正輸送 | 中国国内トラック輸送 | 正しい目的地まで追加輸送を行いました。 |
| 請求者 | 航空会社又は中国国内運送業者 | 確認できる範囲では最終請求名義を特定できません。 |
| 請求先 | フォワーダー | 誤指示を行った手配者として請求を受けました。 |
| 請求額 | 約10万円 | 追加継搬費用として請求されました。 |
| 支払額 | 約10万円 | フォワーダーが請求額を負担しました。 |
| 貨物損害 | 確認されず | 主な損害は追加輸送費用でした。 |
| 遅延損害 | 確認できる範囲では不明 | 継搬費用とは別に検証する必要があります。 |
| 保険金支払い | 確認できる範囲では不明 | 保険通知と実際の保険回収を区別します。 |
事故発生から解決までの時系列
| 段階 | 実際に発生した事実 | 実務上の確認事項 |
|---|---|---|
| 1 | 荷送人から中国向け航空輸送を受託しました。 | 本来の到着空港、最終納入地及び納期を確認します。 |
| 2 | フォワーダーが航空会社へBooking又は輸送指示を行いました。 | 都市名、空港名及び3レターコードを照合します。 |
| 3 | 航空会社へ誤った仕向先空港が指示されました。 | 誤りが入力、転記又は認識のどの段階で生じたか確認します。 |
| 4 | 航空会社が指示された空港へ貨物を輸送しました。 | 航空会社が受領した指示内容とAWB記載を確認します。 |
| 5 | 貨物が本来とは異なる中国国内空港へ到着しました。 | 貨物の現在地、通関状態及び引渡し可否を確認します。 |
| 6 | 仕向先の誤りが判明しました。 | 荷送人、荷受人、航空会社及び現地代理店へ通知します。 |
| 7 | 正しい目的地までの是正方法を検討しました。 | トラック継搬、航空再輸送及び返送を比較します。 |
| 8 | 中国国内トラックによる継搬を手配しました。 | 運賃、所要時間、貨物保全及び通関条件を確認します。 |
| 9 | 貨物が正しい目的地へ輸送されました。 | 受領日時及び貨物状態を記録します。 |
| 10 | 航空会社又は中国国内運送業者から継搬費用が請求されました。 | 請求者、費目、距離、車種及び料金根拠を確認します。 |
| 11 | フォワーダーが誤指示との因果関係を確認しました。 | 荷主側又は航空会社側に別の原因がないか検証します。 |
| 12 | フォワーダーが約10万円を支払いました。 | 請求額と支払額を区別して記録します。 |
| 13 | 事故処理を終了しました。 | 遅延損害の有無、保険通知及び再発防止策を確認します。 |
問題となった争点
| 争点 | 本件での整理 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 誤仕向けの発生主体 | フォワーダーが誤った仕向先を指示しました。 | 航空会社が独自に仕向先を変更した事例とは区別します。 |
| 誤りの具体的原因 | 仕向先指示の誤りは確認されています。 | 入力ミス、転記ミス又は最終納入地との混同までは確認できません。 |
| AWBとBookingの関係 | 両書類の仕向先情報を照合する必要がありました。 | 一方だけが正しくても事故を防げない場合があります。 |
| 航空会社の責任 | フォワーダーの指示に従って輸送したものと整理されました。 | 航空会社が正しい指示に反した証拠があれば評価が変わります。 |
| 請求主体 | 航空会社又は中国国内運送業者でした。 | 最終請求書の発行名義を確認する必要があります。 |
| 費用負担者 | フォワーダーが約10万円を支払いました。 | 請求先と法的な最終負担者を分けて検証します。 |
| 是正方法 | 中国国内トラックによる継搬を選択しました。 | 最も早い方法が必ずしも最も安い方法とは限りません。 |
| 遅延損害 | 別個の請求は確認されていません。 | 納期違反や生産停止損害は継搬費用と分けて扱います。 |
| 保険適用 | 実際の保険金支払いは確認できません。 | E&O事故としての通知可否と免責金額を確認します。 |
| よくある誤解 | 正しい整理 | 本件への影響 |
|---|---|---|
| 中国向けなら都市名だけで仕向先を判断できる | 都市名、空港名、3レターコード及び最終納入地を個別に確認します。 | 空港指定の照合不足が事故につながりました。 |
| AWBが正しければBookingの誤りは問題にならない | 航空会社が実際に受領した指示と最終AWBの両方を確認します。 | どの段階で誤りが確定したか検証が必要でした。 |
| 誤った空港に着いても中国国内なので影響は小さい | 空港間距離、通関状態及び納期により費用が大きくなります。 | 国内トラック継搬費用が発生しました。 |
| 航空会社が運んだため航空会社が費用を負担する | 航空会社が誤った指示どおりに運送した場合、指示者側の負担となる可能性があります。 | フォワーダーが費用を負担しました。 |
| 約10万円の少額事故なら証拠保存は不要である | 同種事故の再発防止及び保険通知のため資料保存が必要です。 | Booking、AWB及び請求書の照合が重要でした。 |
| 継搬すれば事故は完全に解決する | 遅延、貨物状態、追加通関及び荷主への説明も確認します。 | 費用支払い以外の影響確認も必要でした。 |
| 請求額と賠償額は同じである | 実費請求、損害賠償請求及びフォワーダー支払額を区別します。 | 本件は追加継搬費用の請求として整理します。 |
関係者ごとの立場・契約関係
| 関係者 | 本件での立場 | 主な確認事項 | 責任判断上の注意点 |
|---|---|---|---|
| 荷送人 | 中国向け航空輸送の依頼者 | 指定空港、最終納入地、納期及び指示書 | 依頼内容が明確であったか確認します。 |
| 荷受人 | 中国で貨物を受け取る予定の者 | 受取空港、配送先住所及び受入可能日時 | 最終納入地と到着空港を混同しません。 |
| フォワーダー | 航空輸送を手配し仕向先を指示した者 | Booking、AWB作成、航空会社への指示及び社内確認 | 誤指示が本件費用の直接原因となりました。 |
| 航空会社 | 国際航空輸送を実施した者 | 受領したBooking、AWB及び輸送実績 | 指示どおり輸送した場合の責任範囲を確認します。 |
| 中国側グランドハンドリング会社 | 到着貨物を取り扱う者 | 到着記録、保管状況及び搬出条件 | 継搬開始までの貨物保全を確認します。 |
| 中国国内運送業者 | 正しい目的地まで継搬した者 | 運送区間、車種、運賃及び配達記録 | 実際に発生した継搬費用を確認します。 |
| 現地代理店 | 現地調整及び継搬手配を行う者 | 手配権限、見積り、航空会社との調整及び報告 | 追加費用を発生させる権限を確認します。 |
| 保険会社 | フォワーダー賠償責任保険の保険者 | 事故通知、E&O補償、免責金額及び保険対象費用 | 実際の保険金支払いは確認できません。 |
本件では、フォワーダーが航空会社へ仕向先を指示する業務を行い、その指示内容に誤りがありました。航空会社が受領した指示のとおりに輸送していた場合、航空会社への再求償は困難となります。
確認した証拠・資料
| 証拠・資料 | 主な確認内容 | 責任・損害判断への影響 |
|---|---|---|
| 荷送人の輸送依頼書 | 本来の到着空港、最終納入地及び納期 | フォワーダーが受領した正しい指示を確認します。 |
| Booking依頼 | 航空会社へ送信した仕向先空港及びコード | 誤指示が発生した段階を確認します。 |
| Booking Confirmation | 航空会社が受け付けた仕向先及び経路 | 航空会社が受領した指示を確認します。 |
| AWB | Airport of Destination、Consignee及びRouting | 最終的に発行された運送書類を確認します。 |
| 社内システム入力記録 | 空港コード、入力者、入力日時及び承認履歴 | 入力ミス又は承認漏れを検証します。 |
| 航空会社とのメール | 仕向先変更、訂正依頼及び事故判明後の対応 | 責任主体と初動の適時性を確認します。 |
| 貨物追跡記録 | 出発地、経由地、到着空港及び到着日時 | 実際の輸送経路を確定します。 |
| 現地代理店報告 | 貨物状態、通関状態及び継搬方法 | 是正手段の合理性を確認します。 |
| 国内トラック見積書 | 輸送区間、距離、車種及び料金 | 継搬費用の妥当性を検証します。 |
| 継搬費用請求書 | 請求者、請求額及び費目 | 誰から誰への請求かを確定します。 |
| 配達完了記録 | 正しい目的地への到着日及び受領者 | 是正輸送が完了したことを確認します。 |
| 荷主との連絡記録 | 事故説明、継搬承認及び遅延影響 | 追加損害の有無を確認します。 |
| 保険証券・特別約款 | E&O事故、免責金額及び通知期限 | 保険適用可能性を確認します。 |
原因・因果関係・責任範囲の検証
本件の直接原因は、フォワーダーが航空会社へ、本来とは異なる仕向先空港を指示したことです。
航空会社がその誤った指示に基づいて輸送した結果、貨物が異なる中国国内空港へ到着し、正しい目的地まで追加の国内トラック輸送が必要となりました。
したがって、「誤った仕向先指示」「異なる空港への到着」「中国国内継搬」「約10万円の追加費用」という因果関係は認められます。
一方、誤指示が、単純な3レターコード入力ミス、荷送人指示の転記ミス、都市名と空港名の混同、最終納入地と到着空港の混同又はBooking Confirmationの確認漏れのいずれによって発生したかは、確認できる範囲では不明です。
| 検証項目 | 本件で確認できた事実 | 因果関係 | 責任範囲の評価 |
|---|---|---|---|
| 荷送人の指示 | 本来の中国国内目的地が存在しました。 | 誤仕向けとの比較基準となります。 | 指示自体が曖昧でなかったか確認します。 |
| フォワーダーの指示 | 異なる仕向先空港を航空会社へ伝えました。 | 誤仕向けの直接原因となりました。 | 業務上の誤りとして責任を検討します。 |
| 航空会社の輸送 | 受領した指示に基づいて輸送しました。 | 誤った空港への到着につながりました。 | 正しい指示から逸脱した証拠は確認されていません。 |
| 中国国内継搬 | 正しい目的地までトラック輸送を行いました。 | 誤仕向けを是正するため必要となりました。 | 合理的な損害軽減費用として検証します。 |
| 継搬費用 | 約10万円が請求されました。 | 追加輸送との直接的な関係があります。 | 距離、車種及び現地相場を確認します。 |
| 貨物損害 | 確認されていません。 | 物理損害との因果関係はありません。 | 費用型損害として処理します。 |
| 遅延損害 | 確認できる範囲では不明です。 | 継搬費用とは別の因果関係が必要です。 | 具体的な証拠がある場合だけ検討します。 |
本件でフォワーダーが支払った約10万円は、第三者から請求された追加継搬費用です。フォワーダーが社内で任意に計上した是正費用だけではありません。
ただし、請求を受けたという事実だけで請求額の全額が当然に妥当となるわけではありません。継搬区間、使用車両、緊急手配の必要性及び現地料金水準を確認する必要があります。
損害額・請求額の検証
本件の継搬費用請求額及びフォワーダー支払額は、いずれも約10万円でした。
旧記事で使用していた「賠償請求額」「応訴額」という表現は使用しません。本件では、航空会社又は中国国内運送業者が発行した実費請求と、フォワーダーが実際に支払った金額を区別して表示します。
| 費目 | 本件での扱い | 確認資料 | 検証上の注意点 |
|---|---|---|---|
| 中国国内トラック運賃 | 約10万円の中心費用 | 見積書、請求書及び配達記録 | 輸送距離、車種及び緊急手配料金を確認します。 |
| 空港取扱費用 | 請求に含まれる場合に確認 | 航空会社又はグランドハンドリング会社の明細 | 通常発生する費用との重複を除きます。 |
| 貨物保管料 | 発生している場合に個別確認 | 空港保管料明細 | 誤仕向けによる追加期間だけを対象とします。 |
| 通関変更費用 | 発生している場合に個別確認 | 通関業者の請求書 | 通常通関費用と追加費用を分けます。 |
| 再梱包・荷役費 | 確認できる範囲では不明 | 作業報告及び請求書 | 実際に発生した費用だけを認定します。 |
| 継搬費用請求額 | 約10万円 | 最終請求書 | 請求主体及び費目内訳を確認します。 |
| フォワーダー支払額 | 約10万円 | 送金記録及び領収資料 | 請求額と支払額を区別します。 |
| 遅延による追加請求 | 確認できる範囲では不明 | 荷主又は荷受人からの請求資料 | 継搬費用とは別に因果関係を検証します。 |
| 保険金 | 確認できる範囲では不明 | 保険金支払通知 | 事故通知だけで支払い済みとは判断しません。 |
保険通知・弁護士対応・再求償
本件は、フォワーダーの仕向先指示の誤りに起因するため、Errors and Omissions(E&O。業務上の誤り又は不作為に起因する賠償責任)として、フォワーダー賠償責任保険への通知を検討すべき事故です。
ただし、実際に保険会社へ通知されたか、保険金が支払われたか、免責金額が適用されたかは、確認できる範囲では不明です。
約10万円の案件では、免責金額や事故処理費用との関係から、保険金請求を行わず自己負担とする場合もあります。それでも、同一原因による遅延損害等が後日請求される可能性がある場合は、早期通知を検討します。
| 対応項目 | 本件での整理 | 確認事項 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|
| 保険事故通知 | 実施の有無は確認できず | 通知期限及び事故発生日 | 後日の追加請求を考慮して早期通知します。 |
| E&O補償 | 適用可能性を検討 | 仕向先指示業務が補償対象か | 単なる社内費用と第三者請求を区別します。 |
| 免責金額 | 確認できる範囲では不明 | 保険証券及び特別約款 | 請求額より免責金額が大きい場合があります。 |
| 弁護士対応 | 通常は少額実費請求として処理可能 | 責任争い、遅延損害又は高額請求の有無 | 追加損害が請求された場合は相談します。 |
| 航空会社への再求償 | 指示どおり輸送した場合は困難 | 航空会社が受領した指示及び輸送経路 | 航空会社側の独自ミスがある場合だけ検討します。 |
| 荷送人への再求償 | 本件では通常想定しにくい | 荷送人の指示が正確であったか | 荷送人指示自体が誤っていた場合は評価が変わります。 |
| 現地代理店への再求償 | 関与内容により検討 | 代理店が仕向先変更又は確認を行ったか | 委任業務と実際の過失を確認します。 |
保険会社へ通知する場合は、荷送人の指示、Booking、Booking Confirmation、AWB、貨物追跡記録、継搬見積書、請求書及び支払記録を提出します。
実際の解決結果
貨物が本来とは異なる中国国内空港へ到着したことが判明した後、フォワーダーは、貨物の現在地、通関状態、正しい目的地及び利用可能な再輸送方法を確認しました。
是正方法として中国国内のトラック継搬が選択され、貨物は正しい目的地へ輸送されました。
継搬を実施又は手配した航空会社若しくは中国国内運送業者から、フォワーダーへ約10万円の追加輸送費用が請求されました。
フォワーダーは、航空会社への仕向先指示に誤りがあったことと、追加継搬費用との因果関係を確認し、約10万円を支払いました。
貨物の物理的損害は確認されていません。また、荷主又は荷受人から別個の遅延損害請求が行われたか、保険金支払いが行われたかは、確認できる範囲では不明です。
| 処理項目 | 実際の結果 | 評価 | 残った確認事項 |
|---|---|---|---|
| 誤仕向け貨物 | 中国国内の別空港へ到着 | フォワーダーの指示誤りを確認 | 誤入力の具体的原因 |
| 是正輸送 | 国内トラック継搬を実施 | 正しい目的地へ輸送完了 | 他の是正方法との費用比較 |
| 継搬費用請求 | 約10万円 | 追加輸送の実費として処理 | 請求書の最終発行主体 |
| フォワーダー支払い | 約10万円 | 誤指示との因果関係に基づき負担 | 保険回収の有無 |
| 貨物損害 | 確認されず | 費用型事故として収束 | 到着時の貨物状態記録 |
| 遅延損害 | 確認できる範囲では不明 | 別個の請求は確認されず | 荷主・荷受人への影響 |
事故を回避するための事前対策
| 実施時点 | 担当者 | 事前対策 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 輸送依頼受領時 | 営業担当・業務担当 | 荷送人から到着空港と最終納入地を別々に取得します。 | 空港と配送住所の混同を防ぎます。 |
| Booking入力前 | 業務担当 | 都市名、空港名及び3レターコードを照合します。 | 類似コード又は都市名による誤入力を防ぎます。 |
| Booking送信前 | 別の担当者 | 荷送人指示とBooking画面をダブルチェックします。 | 入力者本人だけの確認を避けます。 |
| Booking Confirmation受領時 | 業務担当 | 航空会社が受け付けた仕向先と依頼内容を再照合します。 | 航空会社受付段階で誤りを発見します。 |
| AWB作成時 | 書類担当 | Airport of Destination、Routing及びConsignee住所を確認します。 | BookingとAWBの不一致を防ぎます。 |
| AWB発行前 | 承認者 | Booking、AWB及び荷送人指示を三点照合します。 | 最終確定前に誤仕向けを防止します。 |
| 航空会社搬入前 | 業務担当 | 貨物ラベルとAWBの空港コードを確認します。 | 貨物表示と運送書類の不一致を防ぎます。 |
| 出発後 | 業務担当 | 追跡情報の到着予定空港を確認します。 | 輸送途中で誤仕向けを早期発見します。 |
| 社内教育時 | 管理者 | 中国の主要都市と複数空港の関係を教育します。 | 都市名だけによる判断を防ぎます。 |
| システム設定時 | 管理者 | 空港コードと国・都市の不一致警告を設定します。 | 入力段階で異常を検知します。 |
事故発生直後の初動対応
| 順序 | 担当者 | 直ちに行う対応 | 完了確認 |
|---|---|---|---|
| 1 | フォワーダー | 貨物の現在地、到着日時及び通関状態を確認します。 | 航空会社の追跡記録を保存します。 |
| 2 | フォワーダー | 本来の到着空港及び最終納入地を再確認します。 | 荷送人の書面指示と照合します。 |
| 3 | フォワーダー | Booking、AWB及び航空会社への指示を保全します。 | 事故後の書換え前に原資料を保存します。 |
| 4 | フォワーダー | 荷送人及び荷受人へ誤仕向けを通知します。 | 納期影響及び受入可能日時を確認します。 |
| 5 | フォワーダー | 航空会社及び現地代理店へ是正方法を照会します。 | 再輸送、継搬及び返送の選択肢を取得します。 |
| 6 | 現地代理店 | 貨物の保管状況及び搬出条件を確認します。 | 追加保管費用の発生開始日を確認します。 |
| 7 | フォワーダー | 複数の是正方法について費用と所要時間を比較します。 | 選択理由を記録します。 |
| 8 | フォワーダー | 必要に応じ保険会社へ事故を通知します。 | 通知番号及び必要資料を確認します。 |
| 9 | フォワーダー | 責任を無条件に認める前に原因と請求額を確認します。 | 航空会社側の誤りの有無も検証します。 |
| 10 | フォワーダー・現地代理店 | 承認した方法で継搬を開始します。 | 配達完了及び貨物状態を確認します。 |
事故を解決・収束させるための対応
| 対応項目 | 必要な処理 | 判断主体 | 収束条件 |
|---|---|---|---|
| 現在地確認 | 航空会社追跡と現地到着記録を確認します。 | フォワーダー・航空会社 | 貨物所在と通関状態を確定します。 |
| 正しい目的地確認 | 荷送人指示と荷受人住所を再確認します。 | 荷送人・フォワーダー | 再輸送先を確定します。 |
| 是正方法比較 | トラック、航空再輸送及び返送を比較します。 | フォワーダー・荷主 | 費用と納期の合理的な方法を選択します。 |
| 継搬手配 | 運送区間、車種、貨物保全及び料金を確定します。 | 現地代理店・運送業者 | 正しい目的地への配達を完了します。 |
| 請求額検証 | 距離、単価、追加作業及び保管料を確認します。 | フォワーダー | 合理的な実費額を確定します。 |
| 責任判断 | 荷送人指示、Booking及びAWBを比較します。 | フォワーダー・保険会社 | 誤指示の発生主体を確定します。 |
| 費用支払い | 請求額と支払条件を確認して精算します。 | フォワーダー | 継搬費用の支払いを完了します。 |
| 追加損害確認 | 遅延、貨物状態及び荷受人側の影響を確認します。 | 荷送人・荷受人 | 追加請求の有無を確定します。 |
| 保険処理 | 通知、免責金額及び保険金請求を検討します。 | フォワーダー・保険会社 | 保険利用の有無を確定します。 |
| 再発防止 | 入力、照合及び承認手順を改訂します。 | フォワーダー | 同種誤仕向けの防止策を運用します。 |
事故の早期収束には、責任者の確定を待ってから是正輸送を開始するのではなく、貨物の移動と証拠保全を並行して行うことが重要です。
ただし、緊急性だけを理由として、費用見積りや荷主への説明を行わずに高額な継搬を手配してはなりません。実行可能な範囲で複数案を比較し、選択理由を記録します。
実務上の教訓
- 中国向け航空貨物では、都市名、空港名、3レターコード及び最終納入地を別々に確認する必要があります。
- 荷送人の依頼書、Booking、Booking Confirmation及びAWBを一つの画面又は書類だけで確認してはなりません。
- 仕向先の入力担当者と承認担当者を分け、送信前に別担当者が照合する必要があります。
- 航空会社がフォワーダーの誤指示どおりに輸送した場合、追加費用を航空会社へ転嫁できるとは限りません。
- 誤仕向け判明後は、責任確定より先に貨物の現在地、通関状態及び保管状況を確認します。
- 中国国内トラック継搬、航空再輸送及び返送について、費用と所要時間を比較します。
- 継搬費用の請求主体、請求額及びフォワーダー支払額を分けて記録します。
- 約10万円の少額案件でも、Booking、AWB、請求書及び配達記録を保存する必要があります。
- 貨物損害がなくても、追加輸送費用や遅延損害が発生する可能性があります。
- 保険金請求を行わない場合でも、後日の追加請求に備えて保険通知を検討します。
- 「応訴額」ではなく、継搬費用請求額、支払額及び保険回収額を区別して表示します。
具体例1:都市名と到着空港を混同した場合
荷受人住所に記載された都市名だけを見て到着空港を選択すると、本来利用すべき空港とは異なる空港を指定する可能性があります。Booking前に、荷送人又は荷受人へ利用空港の3レターコードを確認します。
具体例2:Bookingは誤っていたがAWB作成時に発見できる場合
Booking Confirmationと荷送人指示をAWB発行前に照合すれば、航空会社への貨物搬入前に訂正できる場合があります。AWB担当者はBooking内容をそのまま転記せず、元の輸送依頼と照合します。
具体例3:貨物到着後に誤仕向けが判明した場合
貨物を直ちに移動させる前に、通関状態、保税転送の可否、国内トラック費用、航空再輸送費用及び納期を比較します。選択した是正方法とその理由を、荷送人及び保険会社へ説明できるよう記録します。
まとめ
本件は、中国向け航空貨物について、フォワーダーが航空会社へ誤った仕向先空港を指示したため、貨物が本来とは異なる中国国内空港へ到着した事例です。
誤仕向けを是正するため、中国国内トラックによる継搬が行われ、航空会社又は中国国内運送業者からフォワーダーへ約10万円の継搬費用が請求されました。
フォワーダーは、自らの仕向先指示の誤りと追加継搬費用との因果関係を確認し、約10万円を支払いました。本件は、フォワーダーが自主的に社内費用を計上しただけの事案ではなく、第三者から追加輸送費用の請求を受けた案件です。
貨物の物理的損害は確認されていません。また、遅延損害の請求及び保険金支払いの有無は、確認できる範囲では不明です。
同種事故を防ぐためには、荷送人の輸送依頼、Booking、Booking Confirmation、AWB、貨物ラベル及び荷受人住所を段階ごとに照合する必要があります。
事故発生後は、貨物の現在地と通関状態を直ちに確認し、複数の是正方法について費用と所要時間を比較したうえで、証拠保全、継搬手配、保険通知及び請求額検証を並行して進めることが重要です。
