危険物クラス3(引火性液体)の実務解説

Dangerous Goods Class 3 (Flammable Liquids)

危険物クラス3とは

危険物クラス3とは、国際輸送上の危険物分類における「引火性液体」を指します。アルコール類、溶剤、塗料、接着剤、インク、香料、燃料、洗浄剤など、国際物流で頻繁に扱われる貨物が該当する可能性があります。

クラス3で重要なのは、商品名だけでは危険物該当性を判断できない点です。「塗料」「洗浄剤」「香料」「アルコール製品」といった名称だけでは、危険品か普通品かは分かりません。SDS、引火点、初留点、UN番号、正式輸送品名、容器等級、輸送モードごとの規則を確認して判断します。

特にクラス3は、同じ品目名でも、濃度、配合、溶剤含有量、水性・油性の違いにより、危険物になる場合と、輸送上の危険物に該当しない場合があります。そのため、過去に同じ商品を扱ったことがある場合でも、最新版のSDSで再確認することが重要です。

フォワーダー実務では、クラス3貨物は船会社、航空会社、CFS、危険品倉庫、国内配送会社、納品先の受託可否に直結します。輸送上のクラス3該当性と、消防法上の第4類危険物該当性を分けて確認することが基本です。

この記事で扱う範囲

項目 本記事で扱う内容 他記事に委ねる内容
クラス3の基本 危険物クラス3が、国際輸送上の引火性液体を扱う分類であることを整理します。 Class 1からClass 9までの全体像は、危険物クラスの記事で扱います。
初期確認項目 SDS、UN番号、正式輸送品名、危険物クラス、容器等級、引火点、初留点を確認する流れを扱います。 SDS全体の読み方は、SDSの記事で扱います。
容器等級 引火点と初留点を確認し、容器等級I・II・IIIのどれに該当するかを確認する考え方を扱います。 容器等級の制度全体や他クラスとの関係は、容器等級の記事で扱います。
品目別の注意点 エタノール、メタノール、アセトン、塗料、接着剤、香料、洗浄剤など、頻出貨物の確認点を扱います。 個別製品の最終分類は、最新版SDS、メーカー確認、危険品判定資料で確認する内容です。
消防法第4類危険物との関係 国際輸送上のクラス3と、国内保管・取扱いに関係する消防法第4類危険物を分けて確認する考え方を扱います。 消防法上の詳細分類、指定数量、危険物施設は、消防法危険物の記事で扱います。
海上輸送・航空輸送の違い 同じクラス3でも、海上輸送と航空輸送で受託条件、数量制限、包装、ラベルが異なることを扱います。 海上輸送の詳細はIMDG Code、航空輸送の詳細はIATA危険物規則の記事で扱います。
CFS・倉庫・国内配送 クラス3貨物が、CFS搬入、危険品倉庫、国内配送、納品先保管で止まりやすい点を扱います。 CFS危険品搬入、危険品倉庫、国内配送条件の詳細は、それぞれの個別記事で扱います。
実務トラブル 水性表示、低濃度アルコール、過去実績、SDS不一致、航空切替などで起きるトラブルを扱います。 事故後の責任判断、保険、損害賠償は、貨物事故・責任範囲の記事で扱います。

クラス3で最初に確認すべき項目

クラス3貨物では、まずSDSの輸送情報欄を確認します。実務上は、品名や用途ではなく、輸送上の分類情報を確認することが重要です。

確認項目 確認する内容 実務上の意味 確認不足の場合のリスク
UN番号 危険品を識別する4桁番号を確認します。 正式輸送品名、クラス、包装条件、申告内容の入口になります。 船会社・航空会社・CFSが受託判断できません。
正式輸送品名 輸送上の正式な品名を確認します。 インボイス品名ではなく、危険物申告書に使う名称です。 申告書やブッキング情報が誤る可能性があります。
危険物クラス3該当性 当該貨物が引火性液体に該当するか確認します。 ラベル、包装、受託可否、保管条件に影響します。 通常貨物として誤って手配する可能性があります。
容器等級 容器等級I、II、IIIのどれに該当するか確認します。 危険性の程度、包装、数量、受託条件に関係します。 包装基準や数量条件を誤る可能性があります。
引火点 液体が引火性を示す温度を確認します。 クラス3該当性や容器等級判断の基礎になります。 水性・低濃度品を誤って普通品扱いする可能性があります。
初留点または沸点 揮発性や容器等級判断に関係する情報を確認します。 特に容器等級I・II・IIIの確認に関係します。 容器等級や包装条件を誤る可能性があります。
副次危険性 毒性、腐食性、環境有害性などを併せ持つか確認します。 追加ラベル、隔離、保管、混載可否に影響します。 主クラスだけで判断し、隔離・表示を見落とす可能性があります。
海洋汚染物質該当性 海上輸送で海洋汚染物質として申告・表示が必要か確認します。 危険物申告書、表示、船会社確認に関係します。 海上輸送で申告・表示不備となる可能性があります。
少量危険品・微量危険品 Limited QuantityやExcepted Quantityの適用可否を確認します。 簡略扱いが可能か、表示・数量条件が変わるかに関係します。 少量だから申告不要と誤解する可能性があります。
消防法上の危険物該当性 日本国内で第4類危険物に該当するか確認します。 倉庫保管、搬入、国内配送、納品先保管に影響します。 国際輸送上は手配できても国内保管で止まる可能性があります。

フォワーダーは、SDSの内容をもとに輸送手配を進めますが、分類そのものを独自に決める立場ではありません。SDSに不明点がある場合や、輸送情報欄が空欄の場合は、荷主、メーカー、専門業者に確認し、必要に応じて書面で回答を残すことが重要です。

容器等級との関係

クラス3の引火性液体は、危険性の程度に応じて容器等級が設定されます。実務では、主に密閉式引火点と初留点を確認し、容器等級I、II、IIIのいずれに該当するかを確認します。

容器等級 危険性の目安 クラス3での一般的な確認目安 実務上の注意点
I 高い危険性 初留点が35℃以下のものが目安になります。 包装、数量、受託条件が厳しくなりやすく、航空輸送では特に確認が必要です。
II 中程度の危険性 初留点が35℃を超え、引火点が23℃未満のものが目安になります。 塗料、溶剤、アルコール類などで頻出し、船会社・航空会社の事前確認が必要です。
III 比較的低い危険性 初留点が35℃を超え、引火点が23℃以上60℃以下のものが目安になります。 比較的低い危険性でも通常貨物ではなく、包装、表示、申告、受託条件を確認します。

上記は実務上の基本的な整理ですが、最終判断は最新版のSDS、IMDG Code、IATA危険物規則、各国法令、船会社・航空会社の受託条件に従って確認します。

特に塗料、接着剤、樹脂溶液などの粘性液体では、粘度、溶剤分離、容器容量、特別規定などにより、通常の整理だけでは判断できない場合があります。

水性・油性、濃度、配合変更で分類が変わる

クラス3で実務上よく問題になるのが、水性・油性、濃度、配合変更による分類の違いです。

例えば、塗料や接着剤は、油性で溶剤を多く含むものはクラス3に該当しやすい一方、水性塗料や水系接着剤では、輸送上の危険物に該当しない場合があります。ただし、「水性」と表示されていても、アルコール系溶剤や有機溶剤を含む場合があるため、水性という言葉だけで普通品と判断してはいけません。

アルコール製品も同様です。エタノール、イソプロパノール、香料、化粧品原料、洗浄剤などは、濃度や配合により引火点が変わります。高濃度品はクラス3に該当しやすく、低濃度品では輸送上の危険物に該当しない場合もあります。

また、同じ商品名でも、メーカーが配合を変更した場合、SDSが改訂された場合、製造国や供給元が変わった場合には、UN番号、容器等級、輸送条件が変わることがあります。過去に普通品として輸送できたからといって、今回も同じ扱いができるとは限りません。

消防法上の危険物との関係

クラス3貨物では、日本国内での保管・搬入・配送において、消防法上の危険物に該当するかどうかも重要です。

国際輸送上のクラス3は「輸送上の危険物分類」であり、消防法上の危険物は「国内での貯蔵・取扱いに関する規制」です。

特に引火性液体は、消防法上の第4類危険物と重なることが多くあります。第4類には、特殊引火物、第一石油類、アルコール類、第二石油類、第三石油類、第四石油類、動植物油類などが含まれます。

確認対象 主な確認内容 実務上の注意点 問題がある場合の対応
国際輸送上のクラス3 UN番号、正式輸送品名、容器等級、危険物申告、ラベル、梱包を確認します。 船会社・航空会社・CFS・危険品倉庫の受託条件を確認します。 受託不可の場合は、別便、別運送人、FCL化、出荷延期を検討します。
消防法上の第4類危険物 品名区分、指定数量、貯蔵・取扱い場所、保管条件を確認します。 国内倉庫、搬入先、配送会社で受入制限が出ることがあります。 危険品倉庫、危険物倉庫、納品先の保管条件を確認します。
輸入国側の国内規制 現地の危険物保管、通関、販売、成分規制を確認します。 日本で輸出できても、輸入国側で追加確認が必要な場合があります。 現地代理店または荷受人を通じて、受入可否や保管・配送条件を確認します。

輸送上はクラス3として船積みできる貨物でも、国内倉庫で消防法上の保管制限により受け入れられないことがあります。逆に、消防法上の確認だけをして、国際輸送上の危険物申告を省略することもできません。両方を分けて確認することが重要です。

海上輸送と航空輸送の違い

クラス3貨物は、海上輸送と航空輸送で取扱条件が大きく変わることがあります。特に航空輸送では、数量制限、包装基準、旅客機搭載可否、貨物機限定、航空会社ごとの受託条件が厳しくなりやすいです。

輸送モード 主な確認事項 実務上の注意点 問題がある場合の対応
海上輸送 IMDG Code、危険物申告書、容器等級、積付け、隔離要件、海洋汚染物質、コンテナ収納証明を確認します。 LCLではCFSや船会社の受託制限を受けやすく、FCLでもラベル、プラカード、収納状態の不備で搬入拒否になることがあります。 船会社、CFS、混載業者へ事前確認し、必要に応じてFCL化や別便を検討します。
航空輸送 IATA危険物規則、包装基準、数量制限、旅客機・貨物機の搭載可否、航空会社差異を確認します。 海上では出せる貨物でも、航空では受託不可または貨物機限定になることがあります。少量でも事前確認が必要です。 航空会社、航空代理店、クーリエ会社へ確認し、受託不可なら海上輸送や別航空会社を検討します。
国内保管・配送 消防法、倉庫受入条件、配送会社の危険物取扱可否、納品先の保管条件を確認します。 国際輸送の承認とは別に、国内側で危険品倉庫や対応可能な車両が必要になる場合があります。 危険品倉庫、危険物倉庫、対応可能な配送会社、納品先受入条件を確認します。

フォワーダー実務では、「海上輸送で過去に運べたから航空でも運べる」「航空で少量なら普通品として扱える」といった判断は危険です。輸送モードごとに、危険物規則と受託条件を分けて確認する必要があります。

代表的な品目例と確認ポイント

クラス3では、品目名だけでなく、UN番号、正式輸送品名、容器等級、濃度、配合、輸送モードをセットで確認します。以下は実務でよく確認対象になる品目例です。

品目例 なりやすいUN番号・品名の例 容器等級の傾向 確認上の注意点
エタノール UN1170 ETHANOLまたはETHANOL SOLUTION 濃度によりIIまたはIIIとなることがあります。 濃度、引火点、用途、容器容量を確認します。消毒用、工業用、原料用でSDSが異なることがあります。
メタノール UN1230 METHANOL IIとなることが多いです。 引火性だけでなく毒性の副次危険性にも注意します。輸入国側の規制確認も重要です。
アセトン UN1090 ACETONE IIとなることが多いです。 揮発性が高く、漏えい、換気、火気管理、航空輸送時の数量制限に注意します。
塗料 UN1263 PAINTまたはPAINT RELATED MATERIAL IIまたはIIIとなることがあります。 水性・油性、溶剤含有量、粘度、引火点を確認します。水性塗料でも必ずSDSの輸送情報を確認します。
接着剤 UN1133 ADHESIVES IIまたはIIIとなることがあります。 溶剤成分、硬化剤とのセット販売、少量危険品の適用可否を確認します。二液性の場合は各成分を別々に確認します。
香料・芳香製品 UN1266 PERFUMERY PRODUCTSなど IIまたはIIIとなることがあります。 アルコール濃度、製品形態、容量、航空輸送での制限を確認します。化粧品扱いでも危険物になることがあります。
洗浄剤 UN1993 FLAMMABLE LIQUID, N.O.S.など 成分によりIIまたはIIIとなることがあります。 有機溶剤、アルコール、界面活性剤の配合を確認します。家庭用名称でも工業用濃度の場合があります。

上記のUN番号や容器等級は、あくまで実務上よく見られる例です。最終的には、個別製品のSDS、危険物表、特別規定、メーカー確認書に基づいて確認します。

主要書類

クラス3貨物では、通常の輸出入書類に加えて、危険物情報を示す書類が必要になります。特にSDSと危険物申告書は、船会社、航空会社、倉庫、フォワーダー間での確認資料として重要です。

書類・資料 確認する内容 実務上の意味 不備がある場合の対応
SDS UN番号、正式輸送品名、クラス、容器等級、引火点、初留点、保管条件を確認します。 クラス3該当性の入口資料です。 最新版SDS、対象製品に合うSDS、メーカー確認書を取得します。
危険物申告書 UN番号、正式輸送品名、容器等級、数量、包装形態、緊急連絡先を確認します。 運送人へ危険物情報を申告する中心書類です。 SDS、インボイス、P/Lと照合し、不一致があれば修正します。
インボイス 商品名、型番、用途、数量を確認します。 SDSや危険物申告書の対象製品と一致するか確認します。 対象貨物が不明確な場合は、荷主へ製品特定を依頼します。
パッキングリスト 梱包数、重量、容量、容器、荷姿を確認します。 危険物申告書の数量・包装と照合します。 数量や包装が一致しない場合は、搬入前に修正します。
容器証明・試験成績書 承認容器、包装、試験結果、メーカー確認を確認します。 包装条件や受託可否の確認に使います。 必要に応じて荷主・メーカー・梱包業者へ取得を依頼します。
Limited Quantity等の確認資料 少量危険品、微量危険品、Limited Quantityの適用条件を確認します。 表示、数量、包装、書類条件の確認に使います。 条件を満たさない場合は、通常の危険品として手配します。
消防法関連資料 消防法第4類危険物該当性、指定数量、保管条件を確認します。 国内保管・搬入・配送条件の確認に使います。 危険品倉庫、危険物倉庫、納品先条件を確認します。

書類上のUN番号、正式輸送品名、容器等級、数量、包装形態、荷姿、ラベル表示が一致していないと、受託拒否や船積遅延の原因になります。

フォワーダーの関与範囲対比表

区分 支援しやすいこと 断定すべきでないこと 実務上の対応
クラス3該当性の入口確認 SDS、引火点、初留点、UN番号、容器等級を確認することです。 商品名だけで危険品・普通品を判断することです。 荷主・メーカーから最新版SDSを取得します。
分類情報の確認 SDS、危険物申告書、インボイス、P/Lの整合を確認することです。 フォワーダーが独自に化学分類を最終決定することです。 不一致があれば、荷主・メーカー・危険品専門業者へ確認します。
水性・油性の確認 水性表示、溶剤含有量、引火点、輸送情報を確認することです。 水性という表示だけで非危険品と判断することです。 SDS第14項と引火点を確認します。
海上輸送の確認 IMDG Code、船会社、CFS、混載業者の受託条件を確認することです。 過去に船積みできたため今回も同じ条件で運べると判断することです。 最新版SDSと船会社・CFS条件を再確認します。
航空輸送の確認 IATA危険物規則、航空会社条件、数量制限、包装を確認することです。 海上で受けられるため航空でも受けられると判断することです。 航空会社・航空代理店へ事前確認します。
消防法第4類の確認 国内保管、危険品倉庫、指定数量、納品先受入条件を確認することです。 輸送上クラス3で手配できれば国内保管も問題ないと判断することです。 危険品倉庫、国内配送会社、納品先条件を確認します。
Limited Quantity等の確認 数量、包装、表示、運送人条件に合うか確認することです。 少量だから危険物申告や表示確認が不要と判断することです。 規則上の適用条件と運送人の受託条件を確認します。
書類・現物照合 SDS、DGD、P/L、外装ラベル、UN番号表示が一致しているか確認することです。 書類があるため現物表示確認は不要と判断することです。 搬入前にラベル、マーク、容器状態を確認します。

実務で問題になりやすいケース

ケース 問題になる点 確認する資料・相手 対応の方向性
水性塗料として普通品扱いで依頼された 水性表示だけでクラス3非該当と判断しています。 SDS、引火点、溶剤含有量、メーカー確認 SDS第14項を確認し、クラス3該当性を再確認します。
過去に普通品で出せた商品を今回も普通品として手配した SDS改訂、配合変更、メーカー変更、製造国変更を確認していません。 最新版SDS、製品仕様書、メーカー回答 過去実績に頼らず、今回出荷分の資料で確認します。
低濃度アルコールだから危険品ではないと判断した 濃度だけで判断し、引火点、容量、包装、輸送モードを確認していません。 SDS、引火点、濃度、容器容量、航空会社条件 輸送上の危険品該当性と航空・海上条件を確認します。
二液性接着剤を1つの商品としてまとめて確認した 主剤と硬化剤で分類が異なる可能性を見落としています。 各成分のSDS、DGD、製品仕様書 主剤・硬化剤を別々に確認し、必要なら別申告します。
海上輸送から航空輸送へ切り替えようとした 海上輸送と航空輸送の数量制限・包装・受託条件を混同しています。 SDS、IATA危険物規則、航空会社回答、数量・包装情報 航空会社へ再確認し、受託不可なら海上輸送継続や別便を検討します。
消防法上の確認だけで国際輸送を進めた 消防法第4類と国際輸送上のクラス3を混同しています。 SDS第14項、UN番号、DGD、消防法該当性資料 輸送上の危険品該当性と国内保管を分けて確認します。
Limited Quantityとして出そうとしたが条件を満たさなかった 数量、包装、表示、運送人条件を十分に確認していません。 SDS、数量明細、包装資料、船会社・航空会社回答 条件を満たさない場合は通常の危険品として手配します。
外装ラベルと危険物申告書の内容が一致しない 現物表示、DGD、SDS、P/Lの整合確認が不足しています。 外装写真、DGD、SDS、インボイス、P/L 搬入前にラベル・書類を修正し、関係者へ再提出します。

4列判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
塗料・接着剤・洗浄剤・香料などの依頼を受けたとき 荷主・メーカー SDS、引火点、初留点、UN番号、正式輸送品名、容器等級を確認します。 商品名だけで判断せず、最新版SDSの提出を求めます。
SDSの輸送情報欄を確認するとき 荷主・メーカー UN番号、正式輸送品名、Class 3、容器等級、副次危険性、海洋汚染物質該当性を確認します。 空欄や不明確な場合は、メーカー確認書や危険品判定資料を求めます。
危険物申告書を受け取ったとき 荷主・危険品申告者 DGD、SDS、インボイス、P/L、外装表示のUN番号・品名・数量が一致するか確認します。 不一致がある場合は、提出前に修正します。
海上輸送を手配するとき 船会社・NVOCC・CFS・混載業者 IMDG Code、船社受託可否、CFS搬入、LCL混載、海洋汚染物質表示を確認します。 受託不可なら、別船社、別CFS、FCL化、別便を検討します。
航空輸送を手配するとき 航空会社・航空代理店・クーリエ会社 IATA危険物規則、数量制限、包装基準、旅客機搭載可否、貨物機限定条件を確認します。 受託不可なら、海上輸送、貨物機便、別航空会社を検討します。
国内保管や配送が必要なとき 危険品倉庫・配送会社・納品先 消防法第4類危険物該当性、指定数量、保管数量、配送条件を確認します。 一般倉庫不可の場合は、危険品倉庫・危険物倉庫を検討します。
少量危険品・Limited Quantityを使うとき 荷主・船会社・航空会社・CFS 数量、包装、表示、書類、運送人条件に適合するか確認します。 条件不一致なら、通常の危険品として再手配します。
現物搬入前に最終確認するとき 荷主・倉庫・CFS・航空上屋 容器状態、漏えい、ラベル、UN番号表示、向き表示、DGDとの一致を確認します。 不備があれば、搬入前に再梱包、ラベル修正、書類修正を行います。

具体例1:水性塗料を普通品として依頼されたケース

荷主から「水性塗料なので危険品ではありません」と説明され、通常貨物として海上輸送を依頼されたケースです。

しかし、SDSを確認すると、少量の有機溶剤やアルコール系成分を含み、輸送情報欄にUN1263 PAINT、Class 3、容器等級IIIが記載されていました。

この場合、「水性」という商品説明だけで普通品と判断してはいけません。フォワーダーは、SDS第14項、引火点、溶剤含有量、UN番号、容器等級、船会社・CFSの受託可否を確認します。

船会社やCFSが受けられない場合は、別便、FCL化、別CFS、危険品倉庫での一時保管などを検討します。

具体例2:過去に普通品で出した接着剤の分類が変わったケース

以前は普通品として輸送できた接着剤について、荷主が「前回と同じ商品です」と説明して再出荷を依頼したケースです。

最新版のSDSを確認したところ、メーカーの配合変更により溶剤含有量が変わり、今回の出荷分ではClass 3、UN1133 ADHESIVESとして扱う必要があることが分かりました。

過去に普通品で出せた実績があっても、SDS改訂、配合変更、供給元変更、製造国変更があれば分類が変わることがあります。

フォワーダーは、過去実績だけで判断せず、今回出荷分の最新版SDS、引火点、容器等級、危険物申告書、船会社・航空会社条件を確認します。

具体例3:海上輸送予定のアルコール製品を航空へ切り替えようとしたケース

船積み遅延により、荷主からアルコール含有製品を航空輸送へ切り替えたいと依頼されたケースです。

海上輸送ではClass 3として受けられる貨物であっても、航空輸送では数量制限、包装基準、旅客機搭載可否、航空会社独自条件により受託不可または貨物機限定となる場合があります。

フォワーダーは、SDS、IATA危険物規則、航空会社条件、1梱包あたり数量、容器、ラベル、危険物申告書を改めて確認します。

航空会社が受けられない場合は、海上輸送継続、貨物機便、別航空会社、別ルート、納期再調整を荷主へ提示します。

具体例4:消防法第4類の保管確認をしていなかったケース

クラス3貨物を海上輸送上は手配できたものの、CFS搬入前に一般倉庫で数日間保管しようとしたところ、消防法第4類危険物に該当する可能性があるとして受入不可となったケースです。

国際輸送上のClass 3確認と、国内保管上の消防法第4類危険物確認は別です。船会社が受けられても、一般倉庫が受けられるとは限りません。

フォワーダーは、SDS、消防法該当性資料、保管数量、指定数量、荷姿、保管期間を確認し、危険品倉庫や危険物倉庫の受入可否を確認します。

保管場所が確保できない場合は、CFS直搬入、搬入日調整、出荷日変更、別倉庫手配を検討します。

荷主へ確認すべきこと

クラス3に該当する可能性がある貨物では、フォワーダーは荷主に対して、早い段階で次の情報を確認します。

  • 最新版のSDSがあるか。
  • SDS第14項にUN番号、正式輸送品名、Class 3、容器等級が記載されているか。
  • 引火点、初留点、濃度、配合、水性・油性の別が確認できているか。
  • 危険物申告書が必要か。
  • 危険物申告書とSDS、インボイス、パッキングリストが一致しているか。
  • 副次危険性や海洋汚染物質該当性があるか。
  • 少量危険品、微量危険品、Limited Quantityの適用を検討しているか。
  • 海上輸送と航空輸送で条件が異ならないか。
  • 消防法第4類危険物に該当するか。
  • 危険品倉庫、CFS、船会社、航空会社、国内配送会社が受けられる貨物か。
  • 輸入国側で追加規制や保管・配送制限がないか。

よくある誤解

クラス3では、安全上の危険だけでなく、実務上の思い込みによるトラブルも多く発生します。

誤解 実務上の考え方 確認すべきこと
水性塗料なら危険品ではない 水性でも溶剤やアルコールを含む場合があります。 SDSの輸送情報、引火点、溶剤含有量を確認します。
アルコール含有品でも低濃度なら問題ない 濃度だけでなく、引火点、容量、包装形態、輸送モードを確認する必要があります。 SDS、濃度、引火点、容器容量、航空・海上条件を確認します。
過去に普通品で出せたので今回も普通品でよい SDS改訂、配合変更、メーカー変更、製造国変更により分類が変わることがあります。 今回出荷分の最新版SDS、製品仕様書、メーカー回答を確認します。
消防法上の確認だけで十分である 消防法は国内保管・取扱いの確認であり、国際輸送上の危険物分類とは別です。 SDS第14項、UN番号、IMDG Code、IATA危険物規則を確認します。
少量危険品なら危険物申告は不要である 少量危険品でも、適用条件、表示、書類、受託条件があります。 Limited Quantity、微量危険品、運送人条件、表示要件を確認します。
SDSがあれば船会社・航空会社は必ず受ける 船会社・航空会社・倉庫ごとに受託制限や内規があります。 船会社、航空会社、CFS、危険品倉庫の受託可否を確認します。
海上で受けられるなら航空でも受けられる 航空輸送では数量制限、包装基準、旅客機搭載可否が異なります。 IATA危険物規則、航空会社条件、包装、数量を確認します。
二液性製品は商品単位でまとめて確認すればよい 主剤と硬化剤でUN番号、クラス、容器等級が異なる場合があります。 各成分のSDS、危険物申告書、包装、数量を確認します。

フォワーダーが注意すべき点

フォワーダーは、荷主から「塗料」「香料」「洗浄剤」「アルコール製品」などの商品名だけを受け取っても、それだけで普通品として扱わないことが重要です。クラス3に該当する可能性がある品目では、必ずSDSを確認し、危険物該当性を早めに判断します。

  • SDSが最新版か確認します。
  • SDSの輸送情報欄にUN番号、正式輸送品名、クラス、容器等級が記載されているか確認します。
  • 危険物申告書の内容とSDSが一致しているか確認します。
  • 水性、油性、濃度、配合変更の有無を確認します。
  • 船会社・航空会社が当該UN番号を受けるか確認します。
  • LCL、FCL、航空貨物で取扱条件が異なるか確認します。
  • 危険品倉庫での保管要否を確認します。
  • 消防法危険物として国内保管・搬入制限がないか確認します。
  • 輸入国側で追加規制がないか確認します。
  • 不明点は荷主またはメーカーに書面で確認します。

注意点

クラス3貨物は、漏えい、揮発、引火、発火源との接触により事故につながる可能性があります。特に、容器不良、過充填、ラベル不備、SDS不備、危険物申告書の誤記は、船積遅延や受入拒否の原因になります。

  • 損傷した容器や漏えいのある貨物は受け入れないように確認します。
  • 危険物ラベル、UN番号表示、マーキングの不備に注意します。
  • 発火源、熱源、直射日光、高温環境を避ける必要があります。
  • 換気、温度管理、分離保管を確認します。
  • 通路、非常口、階段付近など不適切な場所に保管しないよう確認します。
  • 危険物申告書と実貨物の内容不一致に注意します。
  • 消防法、IMDG Code、IATA危険物規則、輸入国規制を分けて確認します。
  • 航空輸送では、旅客機搭載可否、貨物機限定、航空会社差異を必ず確認します。

まとめ

危険物クラス3は、引火性液体に関する危険物分類であり、国際物流では非常に取扱頻度の高い分類です。アルコール、溶剤、塗料、接着剤、香料、洗浄剤など、日常的な商品名であっても、引火点や配合によって危険物に該当することがあります。

クラス3では、SDS、UN番号、正式輸送品名、容器等級、引火点、初留点、危険物申告書を確認することが基本です。さらに、水性・油性、濃度、配合変更、消防法上の第4類危険物との関係、海上輸送と航空輸送の違いを分けて確認する必要があります。

フォワーダーや通関業者は、商品名だけで普通品と判断せず、輸送上の危険物分類、国内保管規制、輸入国側規制を切り分けて確認し、船積遅延、倉庫受入拒否、ラベル不備、申告不備を防ぐことが重要です。

本記事の要点は、クラス3を単なる「引火性液体」という用語として見るのではなく、SDS、引火点、初留点、容器等級、UN番号、消防法第4類、海上・航空輸送、CFS・倉庫・国内配送の受託条件をつなげて確認する実務判断として扱うことです。

同義語・別表記

  • クラス3
  • Class 3
  • Flammable Liquids
  • 引火性液体
  • 危険物クラス3
  • 危険品クラス3
  • Class 3 Flammable Liquids

公式情報