下請け倉庫でのバンニング中の荷崩れ事故
匿名化・掲載目的
本記事は、顧客及び関係先が実際に遭遇した、下請倉庫での輸出貨物バンニング中の荷崩れ事故を、会社名、個人名、倉庫名、作業場所、コンテナ番号、品名、数量、重量、貨物価額、事故日、契約書名、約款名その他の特定につながる情報を伏せたうえで整理した実務事例です。
匿名化に当たり、下請倉庫でフォークリフトを使用して貨物を持ち上げ、旋回する作業中に荷崩れが発生したこと、フォークの差し込み位置、マスト角度又は持上げ高さの不適切が事故原因となったこと、フォワーダーが荷主へ約50万円を支払ったこと及びその後に下請倉庫へ再求償したことは変更していません。
事例の概要
本件は、輸出貨物をコンテナへ積み込むバンニング作業中に、下請倉庫の作業員がフォークリフトで貨物を持ち上げて旋回した際、貨物の荷姿が崩れて破損した事例です。
事故原因として、フォークの差し込み位置が荷重中心に対して適切でなかったこと、マスト角度が貨物の安定性を損なう状態であったこと又は必要以上に高く持ち上げた状態で旋回したことが問題となりました。
これらの操作のうち、どの要素が単独で事故を発生させたのか、又は複数の操作が競合したのかについては、確認できる範囲では明確に区分されていません。ただし、本件が貨物の輸送中に発生した荷崩れではなく、倉庫内のフォークリフト荷役中に発生した事故であることは確認されています。
荷主は、バンニングを含む輸出手配の窓口であったフォワーダーへ損害賠償を求めました。最終的にフォワーダーは荷主との間で約50万円を支払い、その後、事故を発生させた下請倉庫へ再求償しました。
フォワーダーと下請倉庫との間には、基本契約又は倉庫側の標準約款に基づく取引関係が存在していました。ただし、具体的な契約名、責任限度額、免責条項及び再求償に対する倉庫側の最終支払額は、確認できる範囲では不明です。
本件は、Errors and Omissions(E&O。業務上の誤り又は不作為に起因する賠償責任)と、下請倉庫のフォークリフト荷役責任、フォワーダーの荷主対応及び下請倉庫への再求償が問題となった事例です。
本記事の固有担当範囲
本記事が扱うのは、下請倉庫でのバンニング作業中、フォークリフトで貨物を持ち上げて旋回した際に、その場で発生した荷役事故です。
兄弟記事である「下請業者バンニング後の輸出FCL貨物のコンテナ内荷崩れ」は、バンニング完了後にコンテナが輸送され、輸送中又は到着後に荷崩れが発見された事例を扱います。同記事では、ラッシング、ショアリング、重量配分その他のコンテナ内固定が中心的な争点です。
これに対し、本記事では、貨物をコンテナ内へ配置する前又は配置する途中のフォークリフト操作が直接の事故原因となりました。フォークの差し込み位置、マスト角度、持上げ高さ及び旋回時の貨物安定性が固有の検証対象です。
また、本件は本船積込み前の倉庫内荷役事故であり、shipping line又はActual Carrierによる海上運送責任、Hague-Visby Rulesのpackage limitation又はB/L裏面約款による海上運送人の責任制限を中心とする事例ではありません。
本件固有の請求関係は、荷主が窓口であるフォワーダーへ請求し、フォワーダーが荷主へ約50万円を支払った後、原因作業を行った下請倉庫へ再求償したという二段階の請求構造です。
匿名化した事故条件
| 項目 | 本件の条件 | 確認上の注意点 |
|---|---|---|
| 対象貨物 | コンテナへ積み込む輸出貨物 | 品名、数量、重量、寸法、価額及び荷姿は非公開としています。 |
| 作業場所 | フォワーダーが手配した下請倉庫 | 倉庫名及び所在地は非公開としています。 |
| 作業工程 | 輸出貨物のバンニング作業中 | バンニング完了後の輸送中荷崩れとは区別します。 |
| 使用機器 | フォークリフト | 機種、最大荷重、爪長及び整備状況は不明です。 |
| 事故発生動作 | 貨物を持ち上げて旋回した際 | 走行速度及び旋回角度の詳細は不明です。 |
| 直接原因 | フォークの差し込み位置、マスト角度又は持上げ高さの不適切 | 各要素の寄与割合は確認できる範囲では不明です。 |
| 事故内容 | 貨物の荷崩れ及び破損 | 全損又は分損の別及び破損範囲は非公開としています。 |
| 事故発見時点 | 作業中にその場で発見 | 輸送後に初めて発見された事故ではありません。 |
| 作業実施者 | 下請倉庫のフォークリフト作業員 | フォワーダー自身はフォークリフト作業を行っていません。 |
| フォワーダーの立場 | 倉庫作業及び輸出手配の窓口 | 請求窓口であることと直接作業者であることを区別します。 |
| 契約関係 | 基本契約又は倉庫側標準約款に基づく取引 | 具体的な条項及び責任限度の適用結果は不明です。 |
| 請求者 | 荷主側 | 輸出者、売主その他の具体的立場は非公開としています。 |
| 請求先 | フォワーダー | 荷主との契約窓口として請求を受けました。 |
| 最終示談・支払額 | 約50万円 | 貨物損害と付随費用の詳細な内訳は不明です。 |
| 再求償先 | 下請倉庫 | 再求償額及び実際の回収額は不明です。 |
| 最終純負担額 | 確認できる範囲では不明 | 下請倉庫からの回収額及び保険金を控除して確認します。 |
事故発生から解決までの時系列
| 段階 | 発生した事実 | 実務上の確認事項 |
|---|---|---|
| 1 | 荷主から輸出貨物のバンニング及び輸送手配が依頼されました。 | 受託範囲、貨物情報及び倉庫作業の依頼内容を確認します。 |
| 2 | フォワーダーが下請倉庫へバンニング作業を依頼しました。 | 基本契約、倉庫側標準約款、作業指示及び貨物情報を確認します。 |
| 3 | 貨物が倉庫へ搬入されました。 | 搬入時の荷姿、梱包、パレット及び既存損傷を確認します。 |
| 4 | 下請倉庫の作業員がフォークリフトで貨物を持ち上げました。 | フォークの差し込み深さ、左右位置、荷重中心及びマスト角度を確認します。 |
| 5 | 貨物を持ち上げた状態でフォークリフトが旋回しました。 | 持上げ高さ、旋回方法、床面及び貨物の安定状態を確認します。 |
| 6 | 旋回中に貨物の荷姿が崩れ、貨物が破損しました。 | 事故直後の貨物位置、フォーク位置及び破損状態を保存します。 |
| 7 | 下請倉庫が作業を停止し、フォワーダーへ事故を報告しました。 | 報告時刻、作業者、目撃者及び事故直後の写真を確認します。 |
| 8 | フォワーダーが荷主へ事故状況を報告しました。 | 確認済み事実と未確認事項を分けて説明します。 |
| 9 | フォークリフト操作と貨物の梱包・荷姿が調査されました。 | 操作上の不備と貨物側の要因を分けて検証します。 |
| 10 | 荷主からフォワーダーへ賠償請求が行われました。 | 貨物損害、再梱包費その他の請求内訳を確認します。 |
| 11 | フォワーダーと荷主との間で約50万円による解決が行われました。 | 示談範囲、追加請求放棄及び支払記録を確認します。 |
| 12 | フォワーダーが下請倉庫へ再求償しました。 | 契約条項、作業過失、求償額及び回答内容を確認します。 |
| 13 | 下請倉庫又は保険による回収が検討されました。 | 実際の回収額及びフォワーダーの最終純負担額は不明です。 |
問題となった争点
| 争点 | 本件で確認された事情 | 判断に必要な事項 |
|---|---|---|
| フォークの差し込み位置 | 貨物を持ち上げた際の支持状態が問題となりました。 | 差し込み深さ、左右の偏り、荷重中心及びパレット形状を確認します。 |
| マスト角度 | 貨物を支持する角度が適切でなかった可能性があります。 | 後傾・前傾状態及び旋回前の安定確認を検証します。 |
| 持上げ高さ | 貨物を持ち上げた状態で旋回しました。 | 旋回に必要な最低高さを超えて持ち上げていなかったかを確認します。 |
| 荷重中心 | 旋回中に荷姿が崩れました。 | 貨物の重心とフォークリフトの支持位置が一致していたかを確認します。 |
| パレット状態 | 貨物の支持基盤も確認対象となりました。 | パレットの破損、強度、サイズ及び貨物との固定を確認します。 |
| 梱包・荷姿 | 貨物側の安定性も問題となりました。 | 作業前から荷姿が不安定であったかを確認します。 |
| 作業員の技能 | 下請倉庫の作業員が操作しました。 | 資格、教育、経験及び当該貨物の取扱実績を確認します。 |
| 作業場所 | 下請倉庫内で旋回作業が行われました。 | 通路幅、床面、障害物及び安全確認者を確認します。 |
| 下請倉庫の責任 | 原因となった荷役作業を直接実施しました。 | 操作上の過失及び倉庫管理上の責任を確認します。 |
| フォワーダーの責任 | 荷主からの請求窓口となりました。 | 倉庫選定、貨物情報の伝達及び事故対応上の責任を確認します。 |
| 契約・約款 | 基本契約又は倉庫側標準約款が存在しました。 | 賠償範囲、責任限度、通知期限及び免責条項を確認します。 |
| 損害額 | 約50万円で示談・支払いが行われました。 | 貨物価額、修理、再梱包、残存価値及び付随費用を確認します。 |
| 再求償 | フォワーダーから下請倉庫へ請求しました。 | 契約上の根拠、求償額及び実際の回収結果を確認します。 |
関係者ごとの立場・契約関係
| 関係者 | 本件における立場 | 責任判断上の注意点 |
|---|---|---|
| 荷主・輸出者 | 貨物のバンニング及び輸出手配を依頼した者 | 貨物の重量、重心、荷姿及び取扱上の注意を提供したかを確認します。 |
| フォワーダー | 荷主から依頼を受け、下請倉庫を手配した窓口 | 直接作業者ではありませんが、荷主への説明及び請求対応を行いました。 |
| 下請倉庫 | バンニング及びフォークリフト荷役を受託した事業者 | 作業員の操作、教育、安全管理及び契約上の賠償責任を確認します。 |
| フォークリフト作業員 | 貨物を持ち上げて旋回した直接作業者 | フォーク位置、マスト角度、持上げ高さ及び作業前確認を検証します。 |
| 倉庫作業責任者 | 作業方法及び安全管理を監督する立場 | 作業計画、指示、立会い及び事故後報告を確認します。 |
| 梱包業者 | 貨物の内装・外装又はパレット固定を行った可能性がある者 | 荷姿不良が事故へ寄与したかを確認します。 |
| 貨物保険会社 | 貨物損害を補償する可能性がある保険者 | 付保及び保険金支払いの有無は不明です。 |
| フォワーダー賠償責任保険会社 | フォワーダーの対荷主賠償及び再求償対応に関与する可能性がある保険者 | 事故通知及び保険金支払いの有無は不明です。 |
| 下請倉庫の賠償責任保険会社 | 倉庫の荷役作業上の責任を補償する可能性がある保険者 | 事故通知、免責金額及び支払結果は不明です。 |
確認した証拠・資料
本件では、フォークリフトの操作状態と貨物側の荷姿を分けて確認する資料が重要となります。ただし、次の資料がすべて保存又は提出されていたかは、確認できる範囲では不明です。
| 資料 | 主な確認内容 | 責任・損害判断との関係 |
|---|---|---|
| 荷主からの作業依頼 | 貨物情報、バンニング内容及び注意事項 | フォワーダーの受託範囲を確認します。 |
| 下請倉庫への作業指示 | 重量、寸法、重心、荷姿及び取扱方法 | 必要な情報が倉庫へ提供されたかを確認します。 |
| 基本契約・倉庫側標準約款 | 業務範囲、賠償責任、免責、責任限度及び通知期限 | 下請倉庫への再求償条件を確認します。 |
| 搬入時写真 | 作業前の梱包、荷姿、パレット及び既存損傷 | 作業前から不安定な状態でなかったかを確認します。 |
| 事故直後の写真・動画 | 貨物位置、フォーク位置、マスト及び破損状態 | 事故原因を確認する中心的資料となります。 |
| 倉庫の事故報告書 | 事故時刻、作業内容、作業員及び原因説明 | 下請倉庫の初期認識を確認します。 |
| 作業員の事情聴取記録 | 差し込み位置、持上げ高さ、マスト操作及び旋回方法 | 直接作業の経緯を確認します。 |
| 目撃者記録 | 事故前後の操作及び貨物状態 | 作業員報告を客観的に補強します。 |
| 防犯カメラ映像 | フォークリフトの動線、持上げ高さ及び旋回状況 | 操作状況を時系列で検証します。 |
| フォークリフト仕様・点検記録 | 最大荷重、爪長、整備及び異常 | 機械的不具合の有無を確認します。 |
| 作業員資格・教育記録 | 資格、社内教育及び安全訓練 | 下請倉庫の管理体制を確認します。 |
| 貨物・パレット仕様 | 重量、重心、強度及び固定状態 | 荷姿又はパレット不良の寄与を確認します。 |
| 破損貨物の検査記録 | 損傷箇所、修理可能性及び残存価値 | 損害額を検証します。 |
| 荷主からの賠償請求書 | 請求額、内訳及び根拠 | 示談前の請求内容を確認します。 |
| 示談書・支払記録 | 約50万円の支払い及び清算範囲 | 荷主との最終解決を確認します。 |
| 下請倉庫への求償書 | 求償額、事故原因及び契約上の根拠 | フォワーダーから倉庫への請求内容を確認します。 |
| 下請倉庫の回答・支払記録 | 責任認否、減額主張及び支払額 | 実際の回収額及び最終負担を確認します。 |
| 保険証券・事故通知 | 補償範囲、免責及び保険会社の判断 | 各当事者の最終純負担額を確認します。 |
原因・因果関係・責任範囲の検証
本件では、下請倉庫の作業員がフォークリフトで貨物を持ち上げ、旋回した際に荷崩れが発生しました。事故の直接原因は、フォークの差し込み位置、マスト角度又は持上げ高さが貨物の安定性に適合していなかったことです。
フォークの差し込みが浅い場合、又は荷重中心から左右に偏っている場合は、貨物の支持が不均衡となります。マスト角度が適切でない場合は、貨物の重心が前方又は側方へ移動し、旋回時に荷姿が崩れる危険が高まります。
また、貨物を必要以上に高く持ち上げた状態で旋回すると、貨物の重心が高くなり、遠心力及びわずかな床面変化による影響を受けやすくなります。本件では、これらの操作要素のいずれか又は複数が荷崩れへ影響したと整理されます。
ただし、貨物自体の荷姿、梱包、パレット強度又は固定状態が不十分であった場合は、貨物側の要因も責任分担へ影響します。フォークリフト操作の不適切だけで全責任を確定せず、作業前の貨物状態を確認する必要があります。
下請倉庫は、フォークリフト荷役を直接実施し、作業員の教育、作業方法及び安全管理を支配していました。そのため、操作上の過失については下請倉庫の作業責任が中心となります。
フォワーダーは直接作業を行っていませんが、荷主との契約窓口として事故説明及び賠償対応を行いました。フォワーダーについては、倉庫選定、貨物情報の伝達、作業条件の指示及び事故後対応が適切であったかを確認します。
荷主から請求を受けたフォワーダーと、事故原因となる作業を直接行った下請倉庫は同一ではありません。フォワーダーが荷主へ約50万円を支払った後、下請倉庫へ再求償したことは、この請求窓口と最終責任主体の違いを反映したものです。
損害額・請求額の検証
本件では、フォワーダーと荷主との最終的な示談・支払額は約50万円でした。ただし、フォワーダーの最終純負担額を確認するには、下請倉庫からの回収額及び保険金を別途確認する必要があります。
| 区分 | 本件で確認できる内容 | 主な検証事項 |
|---|---|---|
| 荷主との示談・支払額 | 約50万円 | 示談書、支払記録及び清算範囲を確認します。 |
| 貨物の直接損害 | フォークリフト作業中の荷崩れによる破損 | 事故前価額、修理費及び損傷割合を確認します。 |
| 再梱包・再作業費 | 示談額への包含は不明 | 輸出を継続するために必要な合理的費用かを確認します。 |
| 検査費 | 発生の有無は不明 | 損傷確認に必要な範囲かを確認します。 |
| 保管費 | 発生の有無は不明 | 事故後の保管期間及び単価を確認します。 |
| 輸送遅延費用 | 示談額への包含は不明 | 事故との因果関係及び契約上の賠償対象性を確認します。 |
| 残存価値 | 確認できる範囲では不明 | 修理後又は売却による回収額を控除します。 |
| 貨物保険金 | 支払いの有無は不明 | 荷主への支払いとの重複を排除します。 |
| 下請倉庫への再求償額 | 再求償を実施 | 約50万円全額を請求したか、費用を加えたかは不明です。 |
| 下請倉庫からの回収額 | 確認できる範囲では不明 | 支払記録又は保険金を確認します。 |
| フォワーダーの最終純負担 | 確認できる範囲では不明 | 再求償回収額及び保険金を約50万円から控除します。 |
保険通知・弁護士対応・再求償
| 項目 | 本件で確認できる事実 | 同種事故で必要となる対応 |
|---|---|---|
| フォワーダー賠償責任保険 | 事故通知及び保険金支払いの有無は不明です。 | 荷主から賠償請求を受けた時点で、責任未確定でも通知します。 |
| 下請倉庫の賠償責任保険 | 利用の有無は不明です。 | 倉庫へ事故通知と保険会社への報告を求めます。 |
| E&Oとしての整理 | 下請倉庫手配及び荷主対応が問題となりました。 | 直接作業責任とフォワーダーの手配・説明責任を区別します。 |
| 責任承認 | 最終的に約50万円を荷主へ支払いました。 | 事故原因と下請倉庫の責任を確認する前に無条件の全額責任を認めません。 |
| 基本契約・標準約款 | 下請倉庫との取引条件が存在しました。 | 通知期限、責任限度、免責及び再求償手続を確認します。 |
| 弁護士対応 | 弁護士関与の有無は不明です。 | 契約条項又は求償額に争いがある場合は専門家と対応します。 |
| 下請倉庫への事故通知 | 再求償が行われました。 | 事故直後に責任留保及び証拠保存要求を行います。 |
| 下請倉庫への再求償 | フォワーダーが荷主へ支払った後に実施しました。 | 支払額、事故対応費用及び契約上の根拠を明示します。 |
| 求償権の保全 | 実際の保全内容は不明です。 | 荷主との示談書で下請倉庫への求償権を失わないようにします。 |
| 示談 | 荷主との間では約50万円で解決しました。 | 対象損害、追加請求放棄及び第三者への求償権を明記します。 |
実際の解決結果
本件では、下請倉庫でのバンニング中、フォークリフトで貨物を持ち上げて旋回した際に荷崩れが発生しました。
事故原因として、フォークの差し込み位置、マスト角度又は持上げ高さが貨物の安定性に適合していなかったことが問題となりました。
荷主は、輸出手配及び下請倉庫手配の窓口であったフォワーダーへ損害賠償を求めました。フォワーダーは荷主との間で最終的に約50万円を支払い、当該貨物損害について解決しました。
その後、フォワーダーは、事故原因となるフォークリフト荷役を直接実施した下請倉庫へ再求償しました。再求償に当たっては、下請倉庫との基本契約又は倉庫側標準約款及び作業上の過失が検討対象となりました。
ただし、確認できる範囲では、下請倉庫が再求償額の全額又は一部を支払ったか、下請倉庫の賠償責任保険が適用されたか及びフォワーダーの最終純負担額は不明です。
本件から確認できる解決結果は、フォワーダーが荷主への窓口として約50万円を支払い、その後、直接作業者である下請倉庫へ責任に応じた再求償を行ったという点です。
事故を回避するための事前対策
| 実施時点 | 担当者 | 本件に即した対策 |
|---|---|---|
| 受託時 | 荷主・フォワーダー | 重量、寸法、重心、荷姿及びフォークリフト取扱条件を確認します。 |
| 下請倉庫選定時 | フォワーダー | 設備、作業員資格、類似貨物の経験及び賠償責任保険を確認します。 |
| 契約時 | フォワーダー・下請倉庫 | 荷役責任、再求償、責任限度、事故通知及び証拠保存義務を明確にします。 |
| 貨物搬入時 | 下請倉庫 | 荷姿、パレット、破損、重量表示及び重心表示を確認します。 |
| 持上げ前 | フォークリフト作業員 | フォークを荷重中心へ十分に差し込み、左右の偏りをなくします。 |
| 持上げ時 | フォークリフト作業員 | 貨物が安定するマスト角度を設定し、最低限の高さで保持します。 |
| 旋回前 | フォークリフト作業員 | 貨物の揺れ、荷姿、周囲及び走行経路を確認します。 |
| 旋回時 | フォークリフト作業員 | 貨物を低い位置に保ち、急旋回又は急操作を避けます。 |
| 異常発見時 | 下請倉庫 | 荷姿が不安定な場合は作業を停止し、荷主又はフォワーダーへ照会します。 |
| 作業監査時 | 倉庫管理者 | 防犯映像、作業手順、教育及び事故記録を定期的に確認します。 |
事故発生直後の初動対応
| 順序 | 誰が行うか | 具体的な対応 |
|---|---|---|
| 1 | 下請倉庫 | フォークリフト及び貨物を不用意に動かさず、事故直後の状態を保存します。 |
| 2 | 下請倉庫 | 貨物、フォーク位置、マスト角度、持上げ高さ及び破損箇所を撮影します。 |
| 3 | 倉庫管理者 | 作業員及び目撃者から個別に事情を聴取します。 |
| 4 | 倉庫管理者 | 防犯カメラ映像、作業記録及びフォークリフト点検記録を保全します。 |
| 5 | フォワーダー | 荷主へ確認済みの事実、未確認事項及び今後の調査方針を報告します。 |
| 6 | フォワーダー | 下請倉庫へ正式な事故通知、責任留保及び資料提出要求を行います。 |
| 7 | 関係者 | 貨物を検査し、修理、再梱包、出荷継続又は処分を判断します。 |
| 8 | フォワーダー | フォワーダー賠償責任保険会社へ、責任未確定でも事故通知します。 |
| 9 | フォワーダー | 原因及び損害額が確定する前に、無条件の全額賠償を約束しません。 |
| 10 | フォワーダー・下請倉庫 | 荷主対応と下請倉庫への再求償に必要な権利及び証拠を保全します。 |
事故を解決・収束させるための対応
| 検討項目 | 実施内容 | 収束条件 |
|---|---|---|
| フォークリフト操作 | フォーク位置、マスト角度、持上げ高さ及び旋回動作を検証します。 | 事故を発生させた直接操作を特定します。 |
| 貨物側要因 | 荷姿、梱包、パレット及び重心情報を確認します。 | 作業過失と貨物側の寄与を区別します。 |
| 損害額 | 修理費、再梱包費、残存価値及び付随費用を確認します。 | 荷主の合理的な実損額を確定します。 |
| 荷主との解決 | 支払額、対象損害及び追加請求放棄を協議します。 | 約50万円の示談内容を文書化します。 |
| 下請倉庫の責任 | 作業記録、契約及び標準約款を確認します。 | 操作上の過失及び契約上の負担範囲を確定します。 |
| 再求償額 | 荷主への支払額及び合理的な事故対応費用を整理します。 | 下請倉庫へ請求する金額と根拠を確定します。 |
| 保険対応 | 双方の賠償責任保険及び貨物保険を確認します。 | 保険金と各当事者の自己負担を区別します。 |
| 求償権 | 示談書、通知期限及び契約上の請求手続を確認します。 | 荷主への支払い後も再求償権を維持します。 |
| 最終清算 | 下請倉庫からの支払い又は保険金を確認します。 | フォワーダーの最終純負担額を確定します。 |
| 再発防止 | フォークリフト作業手順、教育、撮影及び異常時停止基準を改訂します。 | 次回の同種作業前に改訂手順を適用します。 |
実務上の教訓
- バンニング完了後の輸送中荷崩れと、バンニング作業中のフォークリフト荷役事故を分けて原因分析します。
- フォークリフト旋回時は、フォークの差し込み位置、マスト角度及び持上げ高さが貨物の安定性を大きく左右します。
- 下請倉庫が直接作業した場合でも、荷主からは契約窓口であるフォワーダーへ請求が向けられることがあります。
- フォワーダーが荷主へ支払う場合は、示談前に下請倉庫への再求償権を留保します。
- 基本契約又は倉庫側標準約款について、賠償責任、責任限度、通知期限及び保険条項を事故前に確認します。
- 事故直後の写真、防犯カメラ映像、作業員報告、フォークリフト点検記録及び搬入時荷姿を保全します。
まとめ
本件は、下請倉庫での輸出貨物バンニング中、フォークリフトで貨物を持ち上げて旋回した際に荷崩れが発生した事例です。事故原因として、フォークの差し込み位置、マスト角度又は持上げ高さの不適切が問題となりました。
荷主は、バンニング及び輸出手配の窓口であったフォワーダーへ賠償を求めました。フォワーダーは荷主との間で約50万円を支払い、その後、事故原因となるフォークリフト作業を直接実施した下請倉庫へ再求償しました。
本件は、バンニング完了後に輸送中又は到着後に発見されるコンテナ内荷崩れとは異なり、作業中にその場で発生した荷役事故です。原因検証では、フォークリフト操作、貨物の荷姿、パレット及び作業環境を分けて確認する必要があります。
同種事故を防止するには、貨物情報の事前共有、フォークの適切な差し込み、低い位置での運搬・旋回、マスト角度の確認、異常時の作業停止及び事故直後の証拠保全が重要です。また、荷主への窓口対応と下請倉庫への再求償を別の手続として並行して進める必要があります。
