輸入コンテナ・LCL貨物のFree Time
輸入コンテナ・LCL貨物のFree Timeとは
輸入コンテナ・LCL貨物のFree Timeとは、輸入貨物又は輸入コンテナについて、所定の期間内であればDemurrage、Detention、CFS保管料又は倉庫保管料等の追加費用が発生しない期間をいいます。
Free Timeは、単なる「無料期間」ではありません。輸入FCL貨物をCYからいつまでに搬出するか、搬出後の空コンテナをいつまでに返却するか、輸入LCL貨物をCFSからいつまでに出庫するかを決める実務上の期限です。
同じ「Free Time」という言葉でも、対象となる貨物、コンテナ、場所及び終了条件によって意味が異なります。
輸入FCL貨物では、主として次の二つを分けて確認します。
- 実入りコンテナをCYから搬出するまでのDemurrage Free Time
- CY搬出後、空コンテナを指定返却先へ返却するまでのDetention Free Time
輸入LCL貨物では、コンテナ単位のDetentionではなく、個別貨物がCFSで出庫可能になった後の無料保管期間及びCFS保管料の起算条件が中心となります。
輸入許可が出ていても、D/O交換、D/Oレス処理、費用精算、現場側への貨物リリース情報の反映、搬出予約、配送車両、納品先受入又は空コンテナ返却が間に合わなければ、Free Timeを超過する可能性があります。
そのため、フォワーダーはFree Timeを日数情報として保存するだけでなく、Last Free Date、搬出可能日、搬出予定日、納品日、devanning完了日及び空コンテナ返却日を時系列で管理する必要があります。
本記事では、輸入貨物に関係するFree Timeの全体像を扱います。Demurrage、Detention、CFS保管料及び各請求書の検証方法については、それぞれの専門記事で扱います。
この記事で扱う範囲
| 項目 | この記事で扱う内容 | 他記事で扱う内容 |
|---|---|---|
| 輸入貨物のFree Time | 対象期間、起算日、終了条件、Last Free Date、休日及び延長確認を扱います。 | Free Timeの全体像は本記事の中心範囲です。 |
| Demurrage Free Time | 本船荷揚げ後から実入りコンテナのCY搬出までの無料期間を扱います。 | Demurrageの記事で定義、料金体系、発生原因及び費用責任を扱います。 |
| Detention Free Time | CY搬出後から空コンテナ返却までの無料使用期間を扱います。 | Detentionの記事で返却条件、料金及び発生原因を扱います。 |
| Combined Demurrage and Detention | 荷揚げから空コンテナ返却までを一つの期間として扱う契約条件を扱います。 | 個別のCombined D&D請求は各請求確認記事で扱います。 |
| 輸入LCL貨物の無料保管期間 | CFS出庫可能日、無料保管期間及びCFS保管料との関係を扱います。 | 輸入LCL貨物のCFS搬出及びCFS保管料の記事で詳細を扱います。 |
| Last Free Date | 追加料金が発生しない最終日と、その確認方法を扱います。 | 個別案件の請求日数計算はDemurrage・Detention請求確認記事で扱います。 |
| Free Time延長 | 延長申請の時期、対象、証拠資料及び限界を扱います。 | 契約交渉又は請求免除の最終判断はshipping line又はNVOCCが行います。 |
| 輸入FCL貨物のCY搬出 | Demurrage Free Time内にCY搬出するための逆算管理を扱います。 | 輸入FCL貨物のCY搬出の記事で、ターミナル搬出及びドレージを扱います。 |
| 空コンテナ返却 | Detention Free Time内に返却するための期限管理を扱います。 | 空コンテナ返却及びDetentionの記事で返却予約・返却先を扱います。 |
| 追加費用の負担 | 期限超過の原因と確認資料を整理します。 | 費用責任及び請求異議は各追加費用の記事で扱います。 |
Free Timeが設定される実務上の背景
海上コンテナは、shipping line等が継続的に回転させながら使用する輸送機材です。
輸入地で実入りコンテナが長期間CYに残り、又は搬出後の空コンテナが長期間返却されなければ、そのコンテナを次の輸送に使用できません。
そのため、shipping line又はNVOCCは一定期間をFree Timeとして認め、期間超過後にDemurrage又はDetentionを設定します。
一方、輸入LCL貨物では、CFS内の蔵置場所、作業設備及び保管能力に限りがあります。個別貨物が出庫可能となった後も長期間引き取られなければ、CFSの運営及び貨物取扱いに影響します。
このため、CFS又は倉庫では無料保管期間を設定し、その期間を超えた貨物にCFS保管料又は倉庫保管料を設定することがあります。
Free Timeは、荷主へ無期限の無料保管又は無料コンテナ使用を認める制度ではなく、貨物引取り及び機材返却のために設けられた限定的な猶予期間です。
Free Timeは一種類ではない
| 区分 | 主な対象 | 一般的な開始点 | 終了条件 | 超過時の主な費用 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| Demurrage Free Time | CY又はターミナルにある実入り輸入コンテナ | 本船荷揚げ日、着岸日、CY搬入日又はその翌日等 | 実入りコンテナのCY Gate-Out | Demurrage | 輸入許可、D/O、搬出予約及びドレージを逆算します。 |
| Detention Free Time | CYから搬出されたshipping line等のコンテナ | 実入りコンテナのCY Gate-Out日又はその翌日等 | 空コンテナの指定デポへのGate-In | Detention | 納品、devanning、返却予約及び受付時間を逆算します。 |
| Combined D&D Free Time | 荷揚げ後から返却までの輸入コンテナ | 本船荷揚げ日等 | 空コンテナの指定先への返却 | Combined Demurrage and Detention | CYで使用した日数が、搬出後の残存期間を減らします。 |
| CFS無料保管期間 | CFSで仕分け・蔵置された輸入LCL貨物 | CFS搬入日、devanning完了日、出庫可能日等 | 個別貨物のCFS Gate-Out | CFS保管料 | 貨物が物理的・システム上出庫可能となった日を確認します。 |
| 倉庫無料保管期間 | 保税倉庫又は一般倉庫に蔵置された貨物 | 貨物入庫日又は契約上の基準日 | 倉庫からの出庫 | 倉庫保管料 | CFS保管料と別契約の費用である場合があります。 |
| 特約Free Time | 個別契約又は特定航路の貨物・コンテナ | 契約又はTariffで定めた日 | 契約上定めた搬出又は返却 | 契約所定の超過費用 | 一般Tariffではなく対象案件の合意条件を確認します。 |
「Free Timeは何日ですか」という質問だけでは、正しい期限を判断できません。
何のFree Timeなのか、どの日から数えるのか、何を完了すれば期間が終了するのかを確認する必要があります。
Separate方式・Combined方式・特別条件
| 契約区分 | 期間の考え方 | 主な特徴 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|
| Separate方式 | Demurrage Free TimeとDetention Free Timeを別々に設定します。 | CY搬出を境に二つの期間を分けて管理します。 | CY搬出後に新たなDetention期限を確認します。 |
| Combined方式 | 本船荷揚げから空コンテナ返却までを一つのFree Timeとして扱います。 | CY内の滞留日数と搬出後の使用日数を合算します。 | CY搬出が遅れるほど、納品・返却に使える残存日数が減ります。 |
| 特別条件方式 | 航路、顧客、貨物、契約、コンテナ又は時期ごとに個別条件を設定します。 | 標準Tariffより長い又は短いFree Timeとなる場合があります。 | 見積書、Service Contract、Booking Confirmation等を確認します。 |
| 延長合意方式 | 標準又は個別Free Timeに追加日数を認めます。 | 特定案件・コンテナ・費目だけに限定される場合があります。 | 延長対象、日数、費目及び有効期間を書面で確認します。 |
Combined D&Dの場合、「Demurrage Free Timeが何日、Detention Free Timeが何日」と分けて説明できないことがあります。
また、Demurrageだけ延長され、Detentionは標準条件のままとなる場合もあります。延長日数だけでなく、どの費目に対する延長かを確認します。
Free Timeで使用する主な日付・期間用語
| 用語 | 意味 | 実務上の使用方法 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| Free Time | 追加料金が発生しない期間 | 対象工程のスケジュールを逆算します。 | 日数だけでなく対象費目を確認します。 |
| Free Days | Free Timeとして認められる日数 | 標準日数又は個別日数を確認します。 | Calendar DaysかWorking Daysかを確認します。 |
| Start Date | Free Timeの計算を開始する基準日 | 荷揚げ、Gate-Out、CFS搬入等から特定します。 | 基準日を含むか翌日からかを確認します。 |
| Last Free Date | 追加料金なしで処理できる最終日 | 搬出又は返却予定を決める中心日付です。 | 一般Tariffから推測せず対象案件で確認します。 |
| First Chargeable Date | 追加料金が発生する最初の日 | 請求対象期間の開始日として使用します。 | 通常はLast Free Dateの翌日ですが条件を確認します。 |
| Calendar Days | 土日祝日を含む連続した暦日 | 期間中のすべての日を数えます。 | Free Time中と超過後で休日の扱いが異なる場合があります。 |
| Working Days | 契約上の非稼働日を除いた営業日 | 休日を除外して日数を計算します。 | 港、国及び運送人によって除外日が異なります。 |
| Chargeable Days | Free Time超過後に課金される日数 | 段階料金ごとに日数を配分します。 | 1日の一部でも1日と扱う条件があります。 |
起算日と終了条件を分けて確認する
| 対象 | 起算日の候補 | 終了条件 | 根拠資料 |
|---|---|---|---|
| 輸入Demurrage | 本船荷揚げ日、着岸日、CY搬入日又は一括搬入日の翌日等 | 実入りコンテナのCY Gate-Out | Tariff、Arrival Notice、コンテナ別Free Time画面 |
| 輸入Detention | 実入りコンテナのCY Gate-Out日又は翌日等 | 空コンテナの指定返却先へのGate-In | Tariff、EIR、返却案内、返却EIR |
| Combined D&D | 実入りコンテナの荷揚げ日等 | 空コンテナの指定返却先へのGate-In | Service Contract、Booking、Tariff |
| CFS保管料 | CFS搬入日、devanning日、貨物搬出可能日又はその翌日等 | 個別貨物のCFS Gate-Out | CFS料金表、出庫案内、CFS搬出記録 |
| 倉庫保管料 | 倉庫入庫日又は無料期間終了日の翌日等 | 貨物の倉庫出庫 | 倉庫契約、料金表、入出庫記録 |
Free Timeの終了条件は、手配又は予約を完了した時点ではありません。
通常、Demurrageでは実際のCY Gate-Out、Detentionでは空コンテナの実返却、CFS保管料では個別貨物の実出庫が重要になります。
輸入FCL・LCL・特殊貨物での違い
| 貨物・コンテナ区分 | 主な確認対象 | 関係するFree Time・費用 | 条件が変わりやすい理由 | 主な確認事項 |
|---|---|---|---|---|
| 輸入FCL Dry Container | 実入りコンテナのCY搬出と空コンテナ返却 | Demurrage、Detention、Combined D&D | CY内と搬出後の二段階管理があるため | Last Free Date、納品日、devanning日及び返却日 |
| 輸入LCL貨物 | CFSで仕分けされた個別貨物 | CFS保管料、倉庫保管料 | コンテナ単位ではなく貨物単位で出庫するため | CFS搬入、devanning、仕分け、出庫可能日及び搬出日 |
| Reefer Container | 温度管理中のコンテナ | Demurrage、Detention、電源・監視費用 | 電源設備、機器及び返却先が限定されるため | Free Time、電源費用、温度、搬出・返却条件 |
| 危険品コンテナ | 危険品を積載した実入りコンテナ | Demurrage、Detention、危険品保管・作業費 | 港・ターミナルの保管制限が厳しいため | 危険品Class、UN番号、無料期間の有無及び即時搬出条件 |
| Flat Rack・Open Top | 特殊形状又はOver Gauge貨物 | Demurrage、Detention、特殊作業費 | 車両、荷役設備及び返却先が限定されるため | シャーシ、荷役予約、搬出経路、返却デポ |
| Tank Container | 液体・化学品等を積載するタンク | Demurrage、Detention、洗浄・残液関連費用 | 洗浄及び返却条件が個別に設定されるため | 洗浄要件、返却先、証明書及び残留物 |
| 検疫・他法令対象貨物 | 食品、植物、動物、医薬品等 | Demurrage、CFS保管料、検査関連費用 | 検査及び官庁手続に時間を要するため | 検査日、書類、許可見込み及び搬出可能日 |
Free Timeを確認する主要項目
| 確認項目 | 確認する内容 | 主な資料 | 誤りが生じやすい点 |
|---|---|---|---|
| 対象費目 | Demurrage、Detention、Combined D&D、CFS又は倉庫保管のいずれか | Tariff、契約、請求案内 | すべてを同じFree Timeとして扱うこと |
| 対象貨物・コンテナ | B/L番号、コンテナ番号、サイズ、タイプ及び貨物 | B/L、Arrival Notice、Booking | 別コンテナ又は別貨物の条件を使用すること |
| Free Days | 標準日数、個別日数又は延長後の日数 | 契約、見積書、Free Time画面 | 一般Tariffと個別契約を取り違えること |
| Start Date | 荷揚げ、Gate-Out、CFS搬入等の基準日 | 本船動静、EIR、CFS記録 | 基準日を含むか翌日開始かの誤認 |
| Last Free Date | 無償期間の最終日 | 運送人の個別画面、契約 | 自社計算だけで確定すること |
| 休日の扱い | 土日祝日、年末年始、Golden Week等 | Tariff、営業案内、契約 | 常に休日が除外されると考えること |
| 終了条件 | CY Gate-Out、空コンテナGate-In又はCFS Gate-Out | EIR、Gate記録、出庫記録 | 予約日や出発日を終了日とすること |
| 超過料金 | 日額、段階料金、通貨、税及び最低料金 | Tariff、見積書、請求書 | 全超過日を同じ日額で計算すること |
| 延長条件 | 申請期限、対象費目、延長日数、対象コンテナ | 承認メール、契約変更、運送人回答 | 口頭承認だけで判断すること |
Free Timeを基準にした実務フロー
- Arrival Noticeを受領し、B/L番号、コンテナ番号、貨物及び搬入場所を確認する
- 対象案件がFCL、LCL、Reefer、危険品又は特殊コンテナのいずれかを確認する
- Demurrage、Detention、Combined D&D又はCFS保管のどのFree Timeかを確認する
- 標準Free Time、個別Free Time及び延長合意の有無を確認する
- Start Date、日数計算方法及びLast Free Dateを確認する
- Calendar DaysかWorking Daysかを確認する
- 輸入許可、税関検査及び他法令手続の予定を確認する
- Original B/L、Surrendered B/L、Sea Waybill及びD/O処理を確認する
- 輸入運賃、THC、D/O Fee、CFS Charge等の費用精算を確認する
- CY又はCFS側で貨物が搬出可能となる日を確認する
- 搬出予約、ドレージ又は配送車両を確認する
- 納品先の受入日時、車両条件及び荷役設備を確認する
- FCLの場合はdevanning作業時間及び空コンテナ返却先を確認する
- 返却予約、返却デポ受付時間及びDetention Last Free Dateを確認する
- LCLの場合はCFS出庫可能日、無料保管期間及び車両手配を確認する
- 期限内に完了できない可能性がある場合は、延長申請と代替手配を同時に進める
- 超過見込み日、概算費用、原因及び対応予定を関係者へ通知する
- 搬出及び返却完了後にEIR、Gate記録又はCFS出庫記録を保存する
Free Timeの逆算例
次の表は説明用の仮定例です。実際の案件では、対象shipping line、NVOCC、CFS及び契約条件を確認します。
| 確認項目 | 仮定内容 | 逆算する作業 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| Demurrage Last Free Date | 6月12日 | 6月12日までにCY Gate-Outを完了します。 | 予約取得日ではなく実搬出日を確認します。 |
| 納品先受入可能日 | 6月11日 | 6月11日午前のCY搬出を計画します。 | 搬出予約と納品予約を同時に確保します。 |
| devanning所要時間 | 1日 | 6月11日中又は6月12日午前に完了させます。 | 作業員、フォークリフト及び貨物量を確認します。 |
| Detention Last Free Date | 6月14日 | 6月14日までに空コンテナを返却します。 | Combined方式では別の計算となります。 |
| 返却デポ受付 | 平日16時まで | 6月14日の受付終了前にGate-Inします。 | 返却予約及び道路時間を見込みます。 |
この例では、Demurrage Last Free Dateだけを見て6月12日に搬出すると、devanning及び空コンテナ返却に使える時間が不足する可能性があります。
Free Time管理では、CY搬出期限だけでなく、納品、devanning及び空コンテナ返却まで逆算することが重要です。
Free Time延長の考え方
| 確認項目 | 内容 | 実務上の注意点 | 保存する資料 |
|---|---|---|---|
| 申請先 | shipping line、NVOCC又は契約窓口 | ターミナルやCFSが独自に延長を決められるとは限りません。 | 申請先の案内、担当者情報 |
| 申請時期 | 原則としてFree Time超過前 | 超過後の遡及延長は認められない場合があります。 | 申請メール、送信日時 |
| 延長理由 | 本船、ターミナル、情報反映、検査、不可抗力等 | 理由だけでなく期限への影響を説明します。 | 時系列、通知、画面、検査記録 |
| 対象費目 | Demurrage、Detention、Combined D&D又はStorage | 一つの費目だけ延長される場合があります。 | 承認回答、適用条件 |
| 対象範囲 | 特定B/L、コンテナ、港又は期間 | 同一船積みの全コンテナへ自動適用されるとは限りません。 | 対象番号一覧 |
| 延長日数 | 追加Free Days又は新しいLast Free Date | 「数日延長」ではなく具体的日付を確認します。 | 承認メール、更新画面 |
| 料金への影響 | 免除、減額又は課金開始日の変更 | Free Time延長と請求免除は同じとは限りません。 | 料金回答、Credit Note等 |
Free Time延長を申請しても、承認されるまでは標準又は既存の個別条件が適用される前提で手配を進めます。
延長回答を待つ間も、最短の搬出、納品、devanning及び返却手配を継続します。
延長が検討されやすい事情と検討されにくい事情
| 事情 | 主な内容 | 確認資料 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 運送人側の情報反映遅れ | D/Oレス又は貨物リリース情報が現場へ反映されない | 処理完了連絡、画面、照会記録 | 運送人側処理と現場側反映の時刻を分けます。 |
| ターミナル・デポの制限 | ゲート閉鎖、返却予約不能、指定先変更 | 営業案内、予約画面、変更通知 | 代替手段を確認した記録も必要です。 |
| 本船・横持ち遅延 | 本船遅延、国内フィーダー又はトラック転送遅延 | 本船動静、転送予定、運送人通知 | Free Timeの起算地・起算日を再確認します。 |
| 不可抗力的な検査・規制 | 長期検査、行政上の搬出制限等 | 検査通知、官庁指示、通関記録 | 検査があるだけで当然に延長されるとは限りません。 |
| 輸入者側の書類遅延 | 通関書類、Original B/L又は支払の遅れ | 依頼、提出、支払の時系列 | 荷主側事情として延長されにくい場合があります。 |
| 納品先都合 | 受入枠不足、倉庫満杯、休業 | 納品予約、受入回答 | 輸入者又は納品先側の事情として整理される場合があります。 |
| 単純な手配漏れ | 予約忘れ、配車遅れ、返却先確認漏れ | 予約履歴、配車記録 | 延長又は免除が認められにくい原因です。 |
主要書類・確認資料
| 資料 | 確認する内容 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Arrival Notice | 本船、ETA、B/L、コンテナ、搬入場所、費用及びFree Time | 案件の基礎情報を確認します。 |
| B/L・Sea Waybill | 貨物、当事者、運送条件及びコンテナ情報 | 対象船積みと貨物を特定します。 |
| Booking・見積書・Service Contract | 標準又は個別Free Time及びCombined条件 | 対象案件の合意条件を確認します。 |
| shipping line・NVOCCのTariff | Free Days、起算日、休日、日額及び段階料金 | 標準条件及び超過費用を確認します。 |
| 個別Free Time画面 | コンテナ別Last Free Date | 一般Tariffと個別条件を照合します。 |
| 輸入許可書 | 輸入許可日及び税関手続の完了 | 通関工程の時系列を確認します。 |
| D/O・D/Oレス情報 | 運送人側の貨物リリース状態 | 搬出可能日への影響を確認します。 |
| CY Gate-Out EIR | 実入りコンテナの搬出日及び時刻 | Demurrageの終了及びDetentionの起算を確認します。 |
| 空コンテナ返却EIR | 返却日、時刻、場所及び状態 | Detention期間の終了を確認します。 |
| CFS出庫記録 | 貨物搬出可能日及び実出庫日 | CFS保管料の期間を確認します。 |
| 予約・配車記録 | 搬出予約、返却予約、車両及び変更履歴 | 遅延原因と回避努力を確認します。 |
| 延長承認記録 | 対象、日数、費目及び新しい期限 | 請求内容との照合に使用します。 |
フォワーダーの標準五分類とFree Time管理への関与
次の五分類は、法令又は業界全体で確立された正式な分類ではありません。本シリーズにおいて、フォワーダーの関与範囲を整理するための分析上の枠組みです。
| 標準五分類 | Free Time管理での主な役割 | 通常関与する範囲 | 通常関与しない範囲 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 単純取次(Simple Intermediary) | Free Time、Last Free Date及び関係者の回答を取り次ぐ | 情報伝達、資料転送、確認先案内 | Free Time延長、料金免除又は費用責任の最終判断 | 標準条件、個別条件及び未確認情報を区別します。 |
| 貨物利用運送事業者(Cargo Transportation Service Provider) | Free Time内のCY・CFS搬出及び国内配送を手配する | 搬出予約、配車、配送指図及び納品調整 | shipping lineのFree Time設定又は延長承認 | Last Free Dateから逆算して車両を確保します。 |
| NVOCC / House B/L Issuer | House側のFree Time・費用とMaster側条件を管理する | House B/L、顧客条件、輸入諸費用及びMaster側照会 | Master CarrierのTariff又はターミナルの最終判断 | House側とMaster側のFree Time差を明確にします。 |
| Door-to-Door Single Contractor | 通関、搬出、納品、devanning及び返却期限を一体管理する | 工程全体のスケジュール、関係者調整及び記録管理 | 税関、shipping line、CFS又は納品先固有の権限 | 一括契約でも期限ごとの処理主体を分けます。 |
| 特定業務の代理・調整者(Agent / Coordinator for Specific Operations) | Free Time照会、延長申請、搬出・返却予約等を行う | 委任された照会、申請、予約及び状況報告 | 委任されていない費用承認、免除合意又は契約変更 | 延長申請権限と延長承認権限を区別します。 |
Contracting Carrier及びActual Carrier等は、運送契約上又は法的な地位を示す概念であり、本記事の標準五分類を置き換えるものではありません。
書類確認、保管、検品、バンニング、devanning、搬出予約、返却予約及びドレージ等の実作業は、フォワーダーの関与形態とは別の作業内容であり、標準五分類に追加される第六の分類を構成するものではありません。
実務で問題になりやすいケース
| ケース | 主な原因 | 確認資料 | 判断のポイント | 初動対応 |
|---|---|---|---|---|
| Arrival NoticeのFree Timeと個別画面の日付が異なる | 個別契約、表示更新又は案内時点の違い | Arrival Notice、契約、個別画面 | 対象コンテナに適用される正式条件を確認します。 | shipping line又はNVOCCへ書面で照会します。 |
| DemurrageとDetentionのFree Timeを合計してよいか不明 | Separate方式とCombined方式の認識相違 | Service Contract、Tariff、Booking | 期間が別枠か一体かを確認します。 | 起算点と終了条件を一覧化します。 |
| 輸入許可済みだがLast Free Dateまでに搬出できない | D/O、現場反映、予約又は車両の未了 | 輸入許可、D/O、搬出照会、予約 | 税関許可後に残った工程を特定します。 | 搬出手配と延長照会を同時に行います。 |
| CY搬出できたが空コンテナ返却期限が短い | Detention Free Timeが短い又はCombined期間を消費した | CY Gate-Out EIR、契約、返却条件 | 残存日数と納品・devanning時間を確認します。 | 納品先と返却予約を前倒しします。 |
| CFS貨物の保管料起算日が不明 | CFS搬入日、devanning日又は出庫可能日の認識相違 | CFS料金表、搬入・出庫情報 | 貨物が実際に出庫可能となった日を確認します。 | CFS又はNVOCCへ起算根拠を照会します。 |
| 土日祝日を除外して計算したが請求された | Calendar Days、Working Days又は超過後計算の誤認 | Tariff、請求書、日付一覧 | Free Time中と超過後の休日取扱いを分けます。 | 日数を再計算して照会します。 |
| Free Time延長を口頭で了承されたが請求された | 正式承認又はシステム反映がない | メール、通話記録、請求書 | 対象費目・日数・コンテナを確認します。 | 書面承認と反映状況を照会します。 |
| Reefer・危険品に標準Dry条件を使用した | コンテナタイプ又は貨物条件の確認漏れ | B/L、コンテナ情報、Tariff | 適用区分とFree Timeの有無を確認します。 | 特殊条件で日程と費用を再計算します。 |
具体例1:Demurrage Free TimeとDetention Free Timeを混同した場合
輸入Dry Containerについて「Free Timeは8日」と案内を受けたものの、それがDemurrage用の8日であり、Detention用の期間は別に設定されていたとします。
担当者が8日間をCY搬出後の空コンテナ返却にも使用できると誤認すると、返却計画を誤る可能性があります。
この場合、DemurrageのStart DateとLast Free Date、DetentionのStart DateとLast Free Dateを別々に一覧化します。
CY搬出後は、納品、devanning、返却予約及び空コンテナ返却までをDetention期限から逆算します。
具体例2:Combined D&DでCY搬出後の残存日数が不足した場合
荷揚げから空コンテナ返却まで10日間のCombined D&D Free Timeが設定され、実入りコンテナをCYから搬出するまでに8日を使用したとします。
この場合、搬出後の納品、devanning及び空コンテナ返却に使える期間は、単純計算では残り2日となります。
Separate方式のDetention Free Timeが新たに開始すると誤認すれば、返却期限を超過する可能性があります。
Combined条件では、CY搬出前から納品先の受入、作業時間及び返却予約まで確定することが重要です。
具体例3:CFS出庫可能日と保管料起算日が一致しない場合
輸入LCL貨物が月曜日にCFSへ搬入され、水曜日にdevanningと仕分けが完了し、木曜日に出庫可能となったとします。
CFS保管料の無料期間が、CFS搬入日、devanning完了日又は出庫可能日のどこから起算するかによって、Last Free Dateは変わります。
フォワーダーは、Arrival Noticeだけで判断せず、CFS又はNVOCCの料金表と対象貨物の出庫可能記録を確認します。
請求が発生した場合は、貨物が実際に引き取れる状態となった日と、保管料の契約上の起算日を分けて検証します。
具体例4:Free Time延長の対象費目を誤認した場合
shipping lineから「Free Timeを3日延長する」と回答を受けたものの、延長対象がDemurrageだけで、Detentionは標準条件のままだったとします。
担当者が空コンテナ返却期限も3日延長されたと判断すると、Detentionが発生する可能性があります。
延長承認では、対象B/L、コンテナ番号、費目、追加日数及び新しいLast Free Dateを確認します。
「Free Time延長」という表現だけで判断せず、Demurrage、Detention、Combined D&D又はStorageのどれに適用されるかを書面で確認します。
判断チェックリスト
| 確認場面 | 確認する相手 | 確認事項 | 問題がある場合の対応 |
|---|---|---|---|
| Arrival Notice受領時 | shipping line、NVOCC | B/L、コンテナ、搬入場所及びFree Time | 対象費目と日数を照会します。 |
| 契約条件確認時 | 営業担当、shipping line、NVOCC | 標準・個別・Combined・延長条件 | 書面又はシステム表示を保存します。 |
| 起算日確認時 | shipping line、ターミナル、CFS | 荷揚げ日、CY Gate-Out、CFS搬入又は出庫可能日 | 対象工程の正式な起算基準を確認します。 |
| Last Free Date確認時 | shipping line、NVOCC、CFS | 対象コンテナ又は貨物の最終無料日 | 一般Tariffと個別条件を照合します。 |
| 通関予定確認時 | 通関業者、輸入者 | 輸入許可、検査及び他法令の見込み | 超過可能性を早期に共有します。 |
| 搬出手配時 | ターミナル、CFS、ドレージ会社、配送会社 | 搬出可能、予約、車両及び受付時間 | 期限内の代替日時を確保します。 |
| 納品計画時 | 輸入者、納品先、配送会社 | 受入日時、devanning時間及び荷役条件 | 搬出日又は作業体制を変更します。 |
| 空コンテナ返却計画時 | shipping line、返却デポ、ドレージ会社 | 返却先、予約、受付及びDetention期限 | 期限前の返却枠を確保します。 |
| 延長申請時 | shipping line、NVOCC | 対象、理由、費目、日数及び新期限 | 承認内容を書面で取得します。 |
| 追加費用発生時 | 請求者、関係事業者、輸入者 | 請求期間、日数、料率、原因及び負担候補 | 時系列と証拠に基づいて検証します。 |
よくある誤解
| 誤解 | 実際の考え方 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| Free Timeは一種類だけである | Demurrage、Detention、Combined D&D、CFS保管等があります。 | 対象費目を最初に確認します。 |
| Free Timeの日数が分かれば期限も分かる | 起算日、休日及び終了条件が必要です。 | Last Free Dateを確認します。 |
| 輸入許可が出ればFree Time超過を防げる | D/O、現場反映、予約、車両及び納品先が別途必要です。 | 許可後の工程を確認します。 |
| CY搬出すればFree Time管理は終了する | 搬出後はDetention又はCombined D&D管理が続きます。 | 空コンテナ返却まで管理します。 |
| Combined D&Dでも搬出後に新しいFree Timeが始まる | 通常、一つの期間を荷揚げから返却まで使用します。 | 残存日数を確認します。 |
| 土日祝日は必ず日数から除外される | Calendar Days、Working Days及び超過後の扱いは条件ごとに異なります。 | Tariffで確認します。 |
| Free Time延長は申請すれば必ず認められる | 延長は運送人又は契約当事者の承認事項です。 | 承認前提で手配を止めません。 |
| 口頭で延長了承を得れば十分である | 対象費目、コンテナ、日数及び期限の書面確認が必要です。 | 承認メールを保存します。 |
| LCL貨物にはFree Timeがない | CFS又は倉庫の無料保管期間が問題になります。 | 出庫可能日と保管料起算を確認します。 |
| Reefer・危険品・特殊コンテナもDryと同じ条件である | Free Time、料金又は取扱条件が異なる場合があります。 | コンテナ・貨物区分を確認します。 |
| Last Free Dateまでに予約すれば課金されない | 通常は実際の搬出又は返却完了が必要です。 | EIR又はGate記録を確認します。 |
| 請求書に記載された日数は再確認不要である | Free Time、実日付、休日及び料金段階に誤りがないか確認します。 | 請求確認記事の手順で再計算します。 |
専門家又は関係各所へ確認すべき場面
| 場面 | 主な確認先 | 確認が必要な理由 | 準備する資料 |
|---|---|---|---|
| 個別Free Time又はCombined条件が不明 | shipping line、NVOCC、契約担当者 | 対象案件の正式な期限を確定するため | Booking、見積書、契約、Arrival Notice |
| Last Free Dateの表示が資料間で異なる | shipping line、NVOCC、ターミナル | どの表示が課金上有効か確認するため | 画面、Tariff、Arrival Notice、契約 |
| CFS保管料の起算条件が不明 | CFS、倉庫、NVOCC | 出庫可能日と課金開始日を確認するため | CFS料金表、搬入・出庫記録、請求書 |
| Free Time延長又は免除を求める | shipping line、NVOCC、契約担当者 | 対象費目、日数及び承認条件を確認するため | 遅延理由、時系列、予約画面、通知 |
| 高額なDemurrage・Detentionが発生した | 請求者、契約担当者、海事弁護士 | 請求根拠、契約及び費用責任を整理するため | 契約、Tariff、EIR、請求書、時系列 |
| 貨物事故と追加費用が同時に発生した | 貨物保険会社、保険代理店、サーベイヤー、運送人 | 貨物損害と遅延・保管費用を分けるため | 保険証券、写真、事故記録、請求書、EIR |
まとめ
輸入コンテナ・LCL貨物のFree Timeとは、輸入貨物又は輸入コンテナについて、所定期間内であればDemurrage、Detention、CFS保管料又は倉庫保管料等の追加費用が発生しない期間です。
- Free Timeは一種類ではなく、Demurrage、Detention、Combined D&D及びCFS・倉庫保管に分かれます。
- Free Timeの日数だけでなく、Start Date、Last Free Date、終了条件及び休日の扱いを確認します。
- 輸入FCL貨物では、CY搬出期限と空コンテナ返却期限を分けて確認します。
- Combined D&Dでは、本船荷揚げから空コンテナ返却までを一つの期間として管理します。
- 輸入LCL貨物では、CFS搬入、devanning、仕分け、出庫可能日及びCFS保管料起算を確認します。
- 一般Tariffと対象案件の個別Free Timeが異なる場合があります。
- Last Free Dateは自社計算だけで確定せず、対象コンテナ又は貨物の正式情報と照合します。
- 土日祝日の取扱いは、Free Time中、超過後、運送人及び契約によって異なります。
- Free Time延長では、対象費目、対象番号、日数及び新しい期限を書面で確認します。
- CY搬出日だけでなく、納品、devanning及び空コンテナ返却まで逆算します。
- Reefer、危険品及び特殊コンテナでは、Dry Containerと異なる条件を確認します。
- フォワーダーは、Free Timeを単なる日数ではなく、通関、貨物リリース、搬出、配送、納品及び返却を管理する基準期限として扱うことが重要です。
