輸入FCL貨物のCY搬出

CY Gate-Out for Import FCL Cargo

CY搬出とは

CY搬出とは、輸入FCL貨物について、輸入許可、貨物引渡し処理、ターミナル側の搬出条件及びドレージ手配を確認したうえで、実入りコンテナをコンテナヤードから搬出する実務です。

CYはContainer Yardの略で、コンテナ船から荷揚げされた輸入コンテナが搬入・蔵置される区域です。CY搬出では、CFSから貨物単位で引き取るのではなく、貨物を収容したコンテナをそのまま搬出し、倉庫、工場、配送センター又は納品先へドレージ輸送します。

CY搬出で最も重要なのは、輸入許可が出たことと、コンテナが実際にターミナルから搬出できることは同じではないという点です。

輸入許可は、税関上、外国貨物を国内へ引き取ることが認められた状態です。一方、実際のCY搬出には、shipping line又はNVOCCによる貨物引渡し処理、D/O又はD/Oレス処理、輸入運賃・諸費用の精算、ターミナル側の搬出可能表示、搬出予約、ドレージ車両及び納品先の受入準備が必要です。

この記事では、予定どおりに実入りコンテナをCYから搬出するための正常工程を中心に解説します。搬出できなかった後の原因別責任、Demurrage、Detention、空コンテナ返却費用等の詳細は、それぞれの専門記事で扱います。

この記事で扱う範囲

項目 この記事で扱う内容 他記事で扱う内容
CY搬出 輸入許可後の搬出条件、状態確認、搬出予約及びドレージへの引継ぎを含む、実入りコンテナの正常なCY搬出手順を扱います。 CY搬出は本記事の中心範囲です。
D/O交換・D/Oレス CY搬出に必要となるB/L処理、D/O発行、D/Oレス表示及び貨物引渡し処理の概要を扱います。 D/O交換・D/Oレスの記事で、Original B/L、Surrendered B/L、Sea Waybill、費用精算、ホールド解除等の詳細を扱います。
CY搬出遅れと費用責任 輸入許可後に搬出できない場合の原因を切り分けるための入口を扱います。 CY搬出遅れと費用責任の記事で、税関、shipping line、NVOCC、ターミナル、ドレージ又は納品先のどこで停止したか、発生費用及び責任分担を扱います。
Demurrage CY搬出予定日とDemurrage Free Timeとの関係を扱います。 Demurrageの記事で、Free Timeの起算日、超過日数、料率、請求条件及び費用制度の詳細を扱います。
Detention CY搬出後も空コンテナ返却まで期限管理が続くことを扱います。 Detentionの記事で、実入りコンテナ搬出日、デバン日、空コンテナ返却日及び超過期間を扱います。
空コンテナ返却 CY搬出計画に必要な返却場所、返却期限及び受付条件の確認を扱います。 空コンテナ返却費用の責任分担の記事で、返却先変更、返却予約、デポ混雑、追加ドレージ及び費用責任を扱います。
ドレージ CY搬出に必要な車両、シャーシ、搬出予約、納品先受入及び返却条件の確認を扱います。 ドレージの記事で、道路条件、待機、再配車、車両制限及び納品実務の詳細を扱います。
CFS搬出 CY搬出との対象貨物、引取り単位、車両、費用及び搬出後工程の違いを扱います。 CFS搬出の記事で、LCL貨物のCFS入庫、仕分け、貨物単位の出庫及び個数・外装確認を扱います。

輸入許可とCY搬出可能を分けて考える

CY搬出の状態は、税関、運送人、ターミナル及び陸上輸送の四つに分けると整理しやすくなります。

状態 意味 主な確認先 この状態だけで搬出できるか 次に確認する事項
税関上の輸入許可済み 税関審査、必要な検査及び関税等の納付を経て、国内引取りが認められた状態 通関業者、輸入者、NACCS できるとは限りません D/O、輸入諸費用、運送人側ホールドを確認します
運送人側の貨物引渡し処理済み shipping line又はNVOCCがB/L、D/O、D/Oレス及び費用精算等を確認し、貨物引渡しを承認した状態 shipping line、NVOCC、フォワーダー ターミナル条件が未了なら搬出できません ターミナルの搬出可否表示を確認します
ターミナル搬出可能 対象コンテナがCYへ搬入され、ターミナルシステム上のホールド等が解除された状態 ターミナル、搬出照会システム 予約や車両がなければ搬出できません 搬出予約、ゲート条件及びドレージを確認します
搬出実行準備済み 搬出予約、トラック、シャーシ、ドライバー、納品先受入及びデバン条件が整った状態 ドレージ会社、納品先、倉庫、フォワーダー ゲート受付時間等に問題がなければ搬出できます コンテナ番号、シール番号、納品指図を最終確認します

実務上は、四つの状態がすべて整って初めて、予定日時にCY搬出を実行できます。

輸入許可だけを確認してドレージ車両を手配すると、D/O未了、輸入諸費用の未精算、ターミナルホールド、搬出予約未取得等により、車両の空振り、待機料又は再配車費用が発生する可能性があります。

D/O処理がCY搬出に必要となる理由

輸入許可は、税関が外国貨物を国内へ引き取ることを認める行政上の手続です。

これに対し、D/O又はD/Oレス処理は、運送契約に基づいてshipping line又はNVOCCが貨物を引き渡してよいことを確認する手続です。

運送人側では、B/Lの種類、Original B/Lの回収又はSurrender処理、Sea Waybill上の荷受人確認、輸入運賃、THC、D/O Feeその他の輸入諸費用の精算状況等を確認します。

そのため、輸入許可が出ていても、運送人側で貨物引渡しの承認が完了していなければ、ターミナルへ搬出指図が反映されない場合があります。

確認事項 確認内容 主な確認資料・画面 未了の場合の影響
B/L処理 Original B/L、Surrendered B/L、Sea Waybill等の引渡条件 B/L、Surrender確認、shipping lineの案内 貨物引渡し承認が行われない可能性があります
D/O又はD/Oレス D/O発行又はシステム上のD/Oレス処理が完了しているか D/O、NACCS、shipping lineの輸入画面 ターミナル側で搬出ホールドが残る可能性があります
輸入運賃 Collect Freight等の支払いが完了しているか Arrival Notice、Import Invoice、入金記録 運賃未収を理由に貨物引渡しが保留される場合があります
輸入諸費用 THC、D/O Fee、立替金その他の請求額 輸入請求書、精算明細 費用未精算として搬出処理が進まない場合があります
書類訂正 Consignee、Notify Party、B/L番号、貨物情報等に不一致がないか B/L、Arrival Notice、Manifest情報 訂正完了まで貨物引渡しが保留される場合があります

具体的なD/O処理、必要書類及び支払反映時間は、shipping line又はNVOCCごとに異なります。CY搬出日前ではなく、ドレージ予約前に完了状況を確認します。

ターミナル側の搬出可能確認

運送人側の貨物引渡し処理が完了していても、対象コンテナがターミナルシステム上で搬出可能になっていなければ、ゲートアウトできません。

ターミナルごとに、搬出可否照会、搬出予約、事前登録、ゲート受付時間及び必要情報の運用が異なります。

確認事項 確認する内容 確認先 注意点
CY搬入 本船から荷揚げされたコンテナがシステム上CY搬入済みか ターミナル、貨物追跡画面 本船荷揚げ済みでも、直ちに搬入情報が反映されるとは限りません
搬出可否 対象コンテナに税関、運送人又はターミナルのホールドがないか 搬出可否照会、ターミナル 搬出不可の場合は、どの種類のホールドか確認します
搬出予約 予約制、事前登録制又は当日受付のいずれか ターミナル、ドレージ会社 港・ターミナルによって方式が異なります
ゲート受付時間 搬出受付開始・終了時刻、昼休み、時間外取扱い ターミナル案内 納品先受入時間と逆算して確認します
特殊コンテナ Reefer、Open Top、Flat Rack、危険品等の追加条件 ターミナル、shipping line、ドレージ会社 通常のDry Containerと同じ車両・手順で搬出できない場合があります
システム障害・作業制限 ゲート障害、荷役遅延、台風、強風等による制限 ターミナル、港湾関係者 当日に搬出条件が変更される可能性があります

CY搬出の基本的な流れ

段階 主な作業 主な担当者 確認事項
1. 本船到着 本船動静及び荷揚げ予定を確認する shipping line、NVOCC、フォワーダー 到着日、荷揚げ日、接続輸送、遅延情報
2. CY搬入 対象コンテナがCYへ搬入されたことを確認する ターミナル、フォワーダー コンテナ番号、CY所在地、搬入状態
3. 輸入申告 輸入申告、他法令手続及び必要な税関検査を行う 輸入者、通関業者 申告内容、検査、他法令、関税等
4. 輸入許可 税関上の国内引取り許可を確認する 通関業者、輸入者 許可番号、許可日、条件又は保留事項
5. D/O処理 B/L、D/O、D/Oレス及び運送人側の引渡し条件を完了する shipping line、NVOCC、フォワーダー D/Oレス表示、書類処理、ホールド
6. 費用精算 輸入運賃及び輸入諸費用を精算する 輸入者、フォワーダー、shipping line、NVOCC 請求額、入金、支払反映、追加請求
7. 搬出可能確認 ターミナル側の搬出可否を確認する ターミナル、フォワーダー、ドレージ会社 CY搬入、各種ホールド、搬出可能表示
8. 搬出予約 必要に応じて搬出日時を予約又は登録する フォワーダー、ドレージ会社 予約枠、締切、ゲート時間
9. ドレージ手配 トラック、シャーシ、ドライバー及び納品時間を確定する フォワーダー、ドレージ会社、納品先 サイズ、重量、特殊コンテナ、道路条件
10. CY搬出 ゲートで対象コンテナを確認し、実入りコンテナを搬出する ドレージ会社、ターミナル コンテナ番号、シール番号、外観、EIR等
11. 納品・デバン 納品先へ輸送し、貨物をコンテナから取り出す ドレージ会社、納品先、倉庫 受入時間、荷役設備、貨物状態
12. 空コンテナ返却 指定返却先へ空コンテナを返却する ドレージ会社、フォワーダー 返却場所、返却期限、返却予約、コンテナ状態

本記事の中心は、1から10までの正常なCY搬出工程です。納品、デバン及び空コンテナ返却は、搬出計画を立てるために必要な接続工程として概要を扱います。

搬出前の実務確認表

確認区分 確認事項 主な確認先 確認時期
通関 輸入許可、税関検査、他法令手続 通関業者、輸入者 輸入申告前後
D/O D/O交換、D/Oレス、B/L処理 shipping line、NVOCC、フォワーダー ドレージ予約前
費用 輸入運賃、THC、D/O Fee、立替金等 shipping line、NVOCC、フォワーダー 搬出可能確認前
ターミナル CY搬入、搬出可否、予約、ゲート受付時間 ターミナル、搬出照会システム 搬出日前及び当日
コンテナ 番号、サイズ、タイプ、シール番号、重量 B/L、Arrival Notice、Packing List 車両手配前
特殊条件 危険品、Reefer、Over Height、Over Width、重量物 荷主、shipping line、ターミナル、ドレージ会社 見積り・手配時
ドレージ トラック、シャーシ、ドライバー、待機条件 ドレージ会社 搬出日確定前
納品先 受入日時、デバン設備、作業人員、構内条件 輸入者、倉庫、納品先 搬出予約前
期限 Demurrage Free Time、Detention Free Time、返却期限 shipping line、NVOCC 搬出計画作成時
返却 空コンテナ返却先、受付時間、予約の要否 shipping line、デポ、ドレージ会社 CY搬出前

輸入許可後に搬出できない場合の原因区分

輸入許可後に搬出できない場合は、最初から責任者を決めつけず、停止している工程を確認します。

原因区分 主な原因 確認先 本記事での対応 詳細を扱う分野
税関・他法令 検査未了、許可未反映、他法令確認、許可後の訂正 通関業者、税関、関係官庁 輸入許可状態を再確認します 輸入通関、他法令手続
運送人 D/O未了、B/L不備、費用未精算、運送人ホールド shipping line、NVOCC、フォワーダー 貨物引渡し処理の状態を確認します D/O交換・D/Oレス
ターミナル CY未搬入、搬出不可表示、予約未取得、ゲート制限 ターミナル、搬出照会システム 搬出可否と予約状態を確認します CY搬出遅れと費用責任
ドレージ 車両不足、シャーシ不足、ドライバー不足、道路条件 ドレージ会社 代替車両又は日程を確認します ドレージ
納品先 受入不可、予約相違、デバン設備不足、作業遅延 輸入者、納品先、倉庫 受入可能日を再調整します CY搬出遅れと費用責任
不可抗力的事情 台風、強風、災害、システム障害、港湾混雑 ターミナル、港湾関係者、shipping line 運用再開予定を確認します 搬出遅れ、追加費用、契約責任

費用負担や責任判断は、停止原因、発生時刻、関係者への通知、回避可能性及び契約条件を確認した後に行います。搬出できなかったという結果だけで、フォワーダー、ドレージ会社又は輸入者の責任を一律に決めることはできません。

CY搬出とCFS搬出の違い

比較項目 CY搬出 CFS搬出 実務上の違い
対象貨物 FCL貨物 LCL貨物 コンテナ単位か貨物単位かが異なります
引取り単位 実入りコンテナ単位 ケース、パレット、個数等の貨物単位 CY搬出後もコンテナ管理が続きます
引取り場所 コンテナターミナルのCY CFS又は保税倉庫 搬出受付及び貨物確認方法が異なります
主な車両 トラクターヘッド及びコンテナシャーシ トラック、ウイング車等 CY搬出ではコンテナサイズ・重量に対応するシャーシが必要です
搬出前確認 コンテナ番号、D/O、搬出可否、予約 貨物入庫、仕分け、個数、出庫指図 確認する管理単位が異なります
搬出後 納品、デバン、空コンテナ返却 貨物配送及び受領確認 CY搬出では空コンテナ返却まで工程が続きます
主な超過費用 Demurrage、Detention CFS保管料 費用の発生場所と期間が異なります

CY搬出に関係する期限と時間

CY搬出では、複数の時間・期限を一つのFree Timeとしてまとめず、それぞれ別に管理します。

期限・時間 意味 管理を誤った場合 主な確認先
本船到着・荷揚げ予定 対象コンテナがCYへ搬入される基準となる予定 通関、搬出予約及び納品計画がずれます shipping line、ターミナル
ゲート受付時間 ターミナルが搬出を受け付ける時間 当日搬出不可、車両待機、再配車につながります ターミナル
搬出予約締切 希望日時の搬出予約又は事前登録を行う期限 希望日に搬出できない可能性があります ターミナル、ドレージ会社
Demurrage Free Time 実入りコンテナがCY等に蔵置される期間の猶予 搬出遅延によりDemurrageが発生する可能性があります shipping line、NVOCC
納品先受入時間 納品先が実入りコンテナを受け入れられる時間 待機、持戻り、翌日納品につながります 納品先、倉庫、輸入者
デバン作業時間 貨物をコンテナから取り出すために必要な時間 シャーシ拘束及び空コンテナ返却遅延につながります 納品先、倉庫
Detention Free Time 実入りコンテナ搬出後から空コンテナ返却までの猶予 返却遅延によりDetentionが発生する可能性があります shipping line、NVOCC
空コンテナ返却受付時間 返却デポが空コンテナを受け入れる時間 当日返却不可、追加ドレージ等につながります 返却デポ、shipping line

Free Timeの日数、起算日、休日の取扱い及び料率は、shipping line、NVOCC、港、コンテナ種類及び契約条件によって異なります。本記事では固定日数を示さず、対象案件ごとの最新条件を確認する前提とします。

Demurrage・Detentionとの接続関係

費用 主な対象期間 CY搬出との関係 本記事で確認する範囲
Demurrage 実入りコンテナがCY等に残っている期間 CY搬出が遅れると発生する可能性があります Free Time期限と予定搬出日の確認
Detention 実入りコンテナ搬出後から空コンテナ返却まで CY搬出後に管理対象となります デバン予定日、返却場所及び返却期限の確認
ドレージ待機料 車両がCY又は納品先で待機した時間 搬出不可、ゲート混雑又は受入遅延で発生する場合があります 待機条件及び連絡記録の確認
再配車費用 予定搬出ができず、別日に車両を再手配した場合 搬出条件未確認又は当日制限で発生する場合があります 空振り原因と再手配条件の確認

CY搬出日はDemurrage管理上の重要な区切りですが、搬出した時点でコンテナ関連費用の管理が終了するわけではありません。搬出後は、Detention及び空コンテナ返却管理へ移行します。

ドレージ手配で確認すべき事項

確認項目 確認内容 問題がある場合の影響 対応
コンテナサイズ 20フィート、40フィート、40フィートHigh Cube等 適合するシャーシを手配できません B/L又はArrival Noticeで確認します
コンテナ重量 貨物重量、Tare Weight、Gross Weight 道路輸送条件又は車両条件に抵触する可能性があります 重量情報をドレージ会社へ事前提供します
特殊コンテナ Reefer、Open Top、Flat Rack等 通常車両又は通常作業では対応できない場合があります 特殊条件を明示して手配します
搬出予約 予約番号、搬出時間帯、対象コンテナ ゲートで受付されない可能性があります 予約内容と車両情報を照合します
納品先条件 構内制限、受付時間、旋回場所、荷役設備 進入不可、待機又は持戻りにつながります 納品先の受入条件を事前確認します
待機・再配車条件 Free Waiting Time、時間単価、キャンセル条件 追加費用を巡る争いにつながります 発注前に費用条件を確認します
空コンテナ返却 返却デポ、受付時間、予約、返却期限 返却不能又はDetentionにつながります CY搬出前に返却条件を確認します

フォワーダーの標準五分類とCY搬出への関与

次の五分類は、法令又は業界全体で確立された分類ではありません。本シリーズにおいて、フォワーダーの関与範囲を整理するための分析上の枠組みです。

標準五分類 CY搬出での主な役割 通常関与する範囲 通常関与しない範囲 実務上の注意点
単純取次(Simple Intermediary) shipping line、通関業者、ドレージ会社等への連絡を取り次ぐ 情報伝達、書類授受、連絡先案内 搬出可否、通関、費用負担の最終判断 確認済み情報と未確認情報を区別します
貨物利用運送事業者(Cargo Transportation Service Provider) CYから納品先までのドレージ輸送を手配する 車両手配、輸送指図、納品調整 税関許可、D/O発行又はターミナル運営 車両手配前に搬出条件を確認します
NVOCC / House B/L Issuer House B/Lに基づく貨物引渡し処理を行う House B/L、D/O、輸入諸費用、顧客への引渡し Master Carrier又はターミナルの最終処理 House側とMaster側の両方のホールドを確認します
Door-to-Door Single Contractor CY搬出から納品、デバン及び返却まで一体管理する 輸送工程全体の調整、下請手配、進行管理 輸入者固有の許認可又は納品先固有の作業責任 一括契約でも各関係者の作業条件を確認します
特定業務の代理・調整者(Agent / Coordinator for Specific Operations) 搬出予約、ドレージ予約又は返却調整等の特定業務を行う 個別に委任された予約・調整 委任されていない通関、費用承認又は契約変更 委任範囲と費用承認権限を明確にします

Contracting Carrier及びActual Carrier等は、運送契約上又は法的な地位を示す概念であり、本記事の標準五分類を置き換えるものではありません。

梱包、保管、検品、積付け、バンニング、デバン等の実作業は、フォワーダーの関与形態とは別の作業内容であり、標準五分類に追加される第六の分類を構成するものではありません。

実務で問題になりやすいケース

ケース 主な原因 確認資料 判断のポイント 初動対応
輸入許可済みだが搬出不可となった D/O、費用、ターミナルホールド等の未確認 輸入許可、D/O、輸入請求書、搬出照会 税関許可と実務上の搬出条件を分けます 運送人側とターミナル側の状態を確認します
D/Oレス表示が反映されていなかった 処理未了、入金未反映、システム反映待ち D/Oレス申込、入金記録、NACCS画面 申込済みと処理完了を区別します shipping line又はNVOCCへ確認します
搬出予約を取得できなかった 繁忙、予約締切経過、ターミナル制限 予約画面、受付時間、搬出可能表示 コンテナが搬出可能でも予約枠が必要な場合があります 代替日時とFree Timeを確認します
ドレージ車両がゲートで空振りした 搬出不可、予約相違、コンテナ番号相違 配車指図、予約番号、搬出照会記録 配車前の最終確認時刻を特定します 原因と待機・再配車費用を記録します
CY搬出後に納品先が受入れを拒否した 予約相違、構内制限、作業設備不足 納品予約、輸送指図、受入条件 CY搬出可能と納品可能を分けます 待機、持戻り又は代替保管を協議します
コンテナ重量に対応する車両を手配できなかった 重量情報の共有不足 Packing List、VGM、コンテナ情報 貨物重量だけでなくコンテナ総重量を確認します 対応可能な車両へ変更します
搬出後に空コンテナ返却先が変更された デポ運用変更、混雑、shipping lineの指示変更 EIR、返却指示、shipping lineの通知 変更指示の時刻と追加輸送距離を確認します 返却先と追加費用を再確認します
本船遅延後にFree Time不足となった 通関、予約、納品計画の再調整不足 本船動静、Free Time、予約記録 到着予定変更後に全工程を組み直したか確認します 通関、D/O、ドレージ及び納品先を同時調整します

具体例1:輸入許可後もD/Oレス表示が反映されていない場合

輸入者が輸入許可書を受領し、翌朝のCY搬出を予定していたとします。

しかし、ドレージ会社が搬出可否を確認したところ、運送人側の貨物引渡し処理が未了で、D/Oレスの搬出可能表示が反映されていませんでした。

この場合、輸入許可が出ているため税関手続は完了していますが、shipping line又はNVOCCとの運送契約上の貨物引渡し処理は完了していません。

フォワーダーは、D/Oレス申込の有無だけでなく、輸入運賃及び諸費用の入金状況、B/L処理、システム反映及びホールド解除まで確認します。

車両をそのままゲートへ向かわせるのではなく、搬出可能表示が確認できるまで配車時刻を調整し、空振り及び再配車費用を回避します。

具体例2:ターミナル搬出可能だが予約枠がない場合

対象コンテナは輸入許可、D/O処理及び費用精算が完了し、ターミナル上も搬出可能になっていたとします。

しかし、連休前の繁忙により希望日の搬出予約枠がなく、ドレージ車両も確保できませんでした。

この場合、貨物引渡しを妨げるホールドはありませんが、予定日時に搬出するためのターミナル予約及び陸上輸送能力が不足しています。

フォワーダーは、次に取得可能な予約日時、Demurrage Free Time、納品先受入日時及び空コンテナ返却計画を同時に組み直します。

搬出可能という表示だけをもって、希望日に搬出できると荷主へ確約しないことが重要です。

具体例3:CY搬出後に納品先でデバンできない場合

実入りコンテナを予定どおりCYから搬出したものの、納品先でフォークリフトの故障が発生し、当日デバンできなかったとします。

CYからの搬出は正常に完了しているため、Demurrageの問題は一区切りとなります。

一方、実入りコンテナを保持したまま翌日以降へ持ち越すため、車両待機、シャーシ拘束、再配送及びDetentionの問題が生じる可能性があります。

フォワーダーは、納品先、ドレージ会社及びshipping lineと協議し、待機、持戻り、代替デバン場所又は翌日再配送のいずれが可能か確認します。

CY搬出の管理は、ゲートアウトだけでなく、搬出後の納品及び空コンテナ返却へ正しく引き継ぐ必要があります。

具体例4:コンテナ番号相違によりゲートで搬出できない場合

ドレージ会社へ伝えたコンテナ番号と、実際に搬出すべきコンテナ番号が一桁異なっていたとします。

輸入許可、D/O及びターミナル搬出条件がすべて完了していても、予約対象と車両が指定したコンテナが一致しなければ、目的のコンテナを搬出できません。

フォワーダーは、B/L番号だけでなく、コンテナ番号、シール番号、サイズ、タイプ、ターミナル及び搬出予約番号を配車指図書へ記載します。

搬出前日に最終照合し、訂正が必要な場合は、ターミナル予約及びドレージ指図の双方を修正します。

CY搬出の判断フロー

  1. 対象コンテナが本船から荷揚げされ、CYへ搬入されているか確認する
  2. 輸入申告、税関検査及び他法令手続が完了しているか確認する
  3. 輸入許可がNACCS等へ反映されているか確認する
  4. B/L、D/O又はD/Oレス処理が完了しているか確認する
  5. 輸入運賃、THC、D/O Feeその他の輸入諸費用が精算済みか確認する
  6. shipping line又はNVOCC側のホールドが解除されているか確認する
  7. ターミナル上で対象コンテナが搬出可能になっているか確認する
  8. 搬出予約又は事前登録が必要か確認する
  9. コンテナサイズ、重量及び特殊条件に対応する車両を手配する
  10. 納品先の受入日時、デバン設備及び構内条件を確認する
  11. Demurrage Free Timeと予定搬出日を照合する
  12. 空コンテナ返却場所、返却期限及びDetention条件を確認する
  13. 搬出当日にコンテナ番号、予約、搬出可否及び納品指図を再確認する

判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
本船到着前 shipping line、NVOCC 到着予定、CY、Free Time 通関及び搬出計画を修正します
輸入申告時 通関業者、輸入者 検査、他法令、許可予定 搬出予約を確定せず、進捗を共有します
D/O処理時 shipping line、NVOCC B/L、D/Oレス、費用精算 未了項目と反映予定時刻を確認します
配車前 ターミナル、ドレージ会社 搬出可否、予約、ゲート時間 搬出可能確認後に配車を確定します
特殊コンテナ手配時 荷主、ドレージ会社、ターミナル サイズ、重量、Reefer、Over Dimension 適合車両及び追加手続を手配します
納品予約時 納品先、倉庫、輸入者 受入時間、設備、作業人員 受入可能日時に搬出予約を合わせます
搬出当日 ターミナル、ドレージ会社 コンテナ番号、予約、搬出可否 不一致があればゲート到着前に訂正します
搬出不可判明時 通関業者、運送人、ターミナル 停止工程、理由、解除見込み 関係者へ通知し、配車を変更します
CY搬出後 納品先、ドレージ会社 到着、デバン、貨物状態 待機又は持戻り条件を協議します
空コンテナ返却前 shipping line、返却デポ 返却先、受付、期限、予約 変更があれば追加輸送と費用を確認します

よくある誤解

誤解 実際の考え方 実務上の注意点
輸入許可が出れば直ちにCY搬出できる D/O、費用精算、ターミナル搬出条件及びドレージが別途必要です 四つの状態を分けて確認します
D/Oレスを申し込めば処理は完了している 申込みとシステムへの反映完了は別です 搬出可能表示まで確認します
コンテナが荷揚げされればCY搬入済みである 荷揚げからシステム上の搬入反映まで時間を要する場合があります 貨物追跡又はターミナル画面を確認します
搬出可能なら希望日時に必ず搬出できる 搬出予約枠、ゲート時間及び車両確保が別途必要な場合があります 希望日を確約する前に全条件を確認します
Free Timeが残っていれば急ぐ必要はない 予約枠、車両、納品先及び返却工程を考慮する必要があります 最終日ではなく余裕を持って搬出します
CY搬出すればコンテナ費用の管理は終了する 搬出後は空コンテナ返却までDetention管理が続きます 返却期限まで一体で管理します
CY搬出とCFS搬出は同じ手続である CYはコンテナ単位、CFSは貨物単位で引き取ります 車両、確認資料及び費用体系が異なります
フォワーダーが輸入許可を決定できる 輸入許可は税関手続であり、通関業者や輸入者との確認が必要です フォワーダーの役割を過大に解釈しません
フォワーダーがターミナルの搬出可否を自由に変更できる ターミナルのホールド解除やゲート運用は関係各所の処理に基づきます 原因と解除担当者を確認します
搬出できなければ必ずドレージ会社の責任である 税関、D/O、費用、ターミナル又は納品先が原因の場合もあります 停止工程と時系列記録に基づいて判断します

専門家又は関係各所へ確認すべき場面

場面 主な確認先 確認が必要な理由 準備する資料
輸入許可又は他法令手続が不明 通関業者、税関、関係官庁 税関上の引取り可否を確認するため 輸入申告、許可書、他法令書類
D/O又はB/L処理が不明 shipping line、NVOCC 運送人側の貨物引渡し条件を確認するため B/L、Arrival Notice、入金記録
ターミナル上で搬出不可 ターミナル、shipping line、NVOCC ホールドの種類と解除担当者を確認するため コンテナ番号、B/L番号、搬出照会結果
重量物又は特殊コンテナ ドレージ会社、ターミナル、道路関係の専門家 車両、シャーシ及び道路輸送条件を確認するため 重量、寸法、コンテナ仕様
搬出遅れで費用責任が争われる 契約担当者、海事弁護士、関係事業者 原因、契約及び費用負担を整理するため 時系列、メール、予約、請求書、運送契約
搬出時又は納品時に貨物損害を確認 貨物保険会社、保険代理店、サーベイヤー、運送人 事故区間、原因及び証拠を保全するため 写真、EIR、Delivery Receipt、B/L、保険証券

まとめ

CY搬出とは、輸入FCL貨物について、輸入許可、運送人側の貨物引渡し処理、ターミナル側の搬出条件及びドレージ手配を確認し、実入りコンテナをCYから搬出する実務です。

  • 輸入許可済みとCY搬出可能は同じ状態ではありません。
  • 輸入許可は税関上の手続、D/Oは運送人側の貨物引渡し手続です。
  • D/O又はD/Oレス処理では、B/L、輸入運賃、輸入諸費用及びホールドを確認します。
  • ターミナルでは、CY搬入、搬出可否、搬出予約及びゲート受付時間を確認します。
  • 搬出可能でも、車両、シャーシ又は納品先の準備が整わなければ予定どおり搬出できません。
  • Demurrageは主にCY搬出前、Detentionは主にCY搬出後から空コンテナ返却までの問題です。
  • Free Timeはshipping line、NVOCC、港及びコンテナ種類ごとに確認します。
  • CY搬出記事は正常工程を中心とし、搬出遅れの責任や費用計算は専門記事へ委ねます。
  • 搬出不可時は、税関、運送人、ターミナル、ドレージ又は納品先のどこで止まっているかを確認します。
  • 搬出日だけでなく、納品、デバン及び空コンテナ返却までを接続して計画することが重要です。

同義語・別表記

  • CY引取り
  • CY出庫
  • コンテナ搬出
  • コンテナヤード搬出
  • FCL搬出
  • Container Yard Cargo Release
  • Container Yard Release
  • CY Release

関連用語