Detention―輸入FCLで発生する場面と返却期限管理

Detention — When It Arises in Import FCL and Return Deadline Management

Detentionが発生する場面とは

Detentionが発生する場面とは、輸入FCL貨物などでコンテナをCYから搬出した後、船会社やNVOCCが定める一定期間内に空コンテナを返却できなかった場面をいいます。

CYからコンテナを搬出できたとしても、輸入FCLの実務はそこで終わりではありません。納品先で貨物をデバンし、空になったコンテナを指定された返却先へ期限内に返却して、初めてコンテナ実務が完了します。

この一連のどこかで作業や手配が止まり、空コンテナ返却期限を超えてしまうと、Detentionが発生する可能性があります。

Detentionは、単に「返却が遅れた」という結果だけで見るのではなく、納品先、デバン作業、検品、返却予約、返却デポ、返却先変更、ドレー手配、休日・連休、コンテナ状態、特殊コンテナ条件などを、輸入FCLの実務フローに沿って確認する必要があります。

この記事で扱う範囲

本記事では、Detentionが実際にどのような場面で発生するかを、輸入FCLの実務フローに沿って整理します。Detentionの定義、Demurrageとの違い、費用負担の基本的な考え方については、別記事「Detention」で確認します。実際に請求を受けた場合の確認資料、時系列整理、費用負担の切り分けについては、別記事「ディテンション請求を受けたときの確認事項」で扱います。

項目 この記事で扱う内容 この記事では概説にとどめる詳細論点
Detention発生場面の基本 CY搬出後、空コンテナ返却期限までに返却できない場面を整理します。 Detentionの定義、料率、請求体系、費用負担の基本。
輸入FCLの実務フロー CY搬出、納品、デバン、返却予約、空コン返却までの流れを整理します。 輸入FCL全体の手配、D/O、通関、CY搬出手続の詳細。
納品先・倉庫側の原因 受入不可、納品予約不足、作業員不足、フォークリフト不足による遅れを整理します。 倉庫作業契約、納品条件、国内配送費用、待機料の詳細。
デバン・検品による遅れ デバン作業、検品、数量確認、破損確認が長引く場面を整理します。 貨物事故対応サーベイ保険金請求、貨物破損時の証拠保全。
返却予約・返却デポの問題 予約枠不足、返却デポ混雑、受付制限、返却先変更による遅れを整理します。 返却デポ別の予約制度、港湾混雑時の個別運用。
ドレー手配の問題 返却便、車両、シャーシ、ドライバー手配不足による遅れを整理します。 ドレー料金、待機料、再配達費用、特殊車両手配の詳細。
休日・連休・荒天の影響 土日祝日、長期休暇、台風・荒天後の返却遅れを整理します。 船会社・NVOCCごとの営業日計算、暦日計算、延長交渉。
コンテナ状態・特殊コンテナ 汚損、臭気、残貨、危険品、リーファー、特殊コンテナで返却できない場面を整理します。 清掃費、修理費、危険品返却条件、リーファー機器トラブルの詳細。
フォワーダーの関与範囲 フォワーダーが支援できる確認と、断定すべきでない費用負担判断を分けます。 請求後の異議申立て、減額交渉、契約責任、損害賠償の個別判断。

輸入FCLでDetentionが問題になる理由

輸入FCLでは、CYから実入りコンテナを搬出した後、納品先や指定倉庫でデバンを行い、その後、空コンテナを返却デポなどへ返却します。

荷主から見ると、貨物が納品先へ届いた時点で輸入手配が終わったように見えることがあります。しかし、実務上は、空コンテナ返却まで完了しなければ、コンテナの使用は終了していません。

そのため、Detentionは輸入FCLにおける「港から出した後に返せないこと」に関係する費用として理解すると分かりやすくなります。

Demurrage・Detention・Storageとの位置づけ

Detentionと混同されやすい費用に、DemurrageとStorageがあります。Demurrageは、主に実入りコンテナがCYやターミナルから搬出されず、港側に残っている期間に関係します。一方、Detentionは、CYから搬出した後、納品先でのデバンや空コンテナ返却が遅れる場合に問題になります。

項目 Demurrage Detention Storage 実務上の確認ポイント
主な発生場所 CY、ターミナル内。 CY搬出後の納品先、倉庫、返却前の保管場所。 ターミナル、倉庫、保税地域、保管施設。 どこで止まっている費用かを確認します。
対象 実入りコンテナ。 空コンテナ。 貨物、コンテナ、保管スペース。 貨物が入っているか、空コンテナか、保管対象かを分けます。
起点 本船荷揚げ後、無料保管期間終了後など。 CY搬出日またはコンテナ引取日を基準にすることがあります。 搬入日、保管開始日、無料保管期間終了後など。 どの日から日数計算が始まるか確認します。
終点 CYから実入りコンテナを搬出した日。 指定返却先で空コンテナ返却が完了した日。 貨物またはコンテナが保管場所から搬出された日。 費用が止まる日を確認します。
主な発生原因 通関遅れ、D/O遅れ、搬出予約不足、CY搬出不可。 納品先受入不可、デバン遅れ、返却予約不足、ドレー返却便不足。 貨物保管継続、搬出遅れ、倉庫事情、保管場所の都合。 原因を時系列で分解します。
確認資料 本船入港日、荷揚げ日、フリータイム、搬出日。 CY搬出日、デバン日、返却予約、返却期限、空コン返却日、EIR。 搬入日、保管開始日、搬出日、保管明細。 請求名だけでなく対象期間を確認します。

よくある誤解

Detentionが発生する場面では、貨物が届いた時点で手配が終わったと考えたり、デバン後の返却予約を軽視したりする誤解が起こりやすくなります。

誤解 実際の考え方 起こり得る問題
CYから搬出できればDetentionは問題にならない DetentionはCY搬出後、空コンテナ返却が遅れた場合に問題になります。 納品後の返却管理を忘れ、空コン返却期限を超過する可能性があります。
貨物が納品先に届けば輸入FCL手配は完了する 空コンテナを指定返却先へ返却するまでコンテナ実務は完了しません。 納品後のデバン・返却手配が遅れ、Detentionが発生する可能性があります。
デバンが終わればDetentionは止まる 通常は空コンテナ返却が完了するまで費用リスクが残ります。 デバン後に返却予約が取れず、期限を超過する可能性があります。
納品先が忙しいだけなら費用は発生しない 納品先の都合で空コンテナ返却が遅れれば、Detentionが発生することがあります。 荷主側が費用負担を想定しておらず、請求時に揉める可能性があります。
返却予約はデバンが終わってから考えればよい 返却予約枠が限られる場合、デバン完了後では間に合わないことがあります。 空コンテナは空になっていても返却できず、超過日数が発生する可能性があります。
返却デポが混んでいれば自動的に免除される 免除や減額には、予約不可記録、デポ案内、船会社・NVOCCとの連絡記録が必要です。 記録不足により、返却不能の事情を説明できない可能性があります。
土日祝日は当然フリータイム計算から除外される 暦日計算か営業日計算かは、船会社・NVOCCや契約条件によって異なります。 休日を除外できると誤解し、返却期限を超過する可能性があります。
特殊コンテナも通常コンテナと同じように返却できる リーファー、危険品、フラットラック、オープントップなどは返却条件が異なる場合があります。 返却先で受付不可となり、Detentionが発生する可能性があります。

Detentionが発生する基本的な流れ

Detentionが発生する典型的な流れは、輸入FCLの実入りコンテナをCYから搬出した後、返却期限内に空コンテナを返却できない場合です。

CY搬出後、一定期間内に納品、デバン、返却予約、返却車両手配、空コンテナ返却を完了できなければ、コンテナは荷受人側または配送工程上で占有された状態になります。

原因は一つとは限りません。納品先受入不可、デバン作業の遅れ、検品の長期化、返却予約不足、返却デポ混雑、返却先変更、ドレー車両不足、連休・休日など、複数の要因が重なって発生することがあります。

工程 通常の流れ Detentionにつながる問題 実務上の対応
CY搬出 実入りコンテナをCYから搬出します。 搬出後に返却期限管理が始まります。 CY搬出日とフリータイムを確認します。
納品 納品先や指定倉庫へコンテナを配送します。 納品先が受け入れできないと、デバンが遅れます。 納品予約と受入可能時間を事前確認します。
デバン コンテナから貨物を取り出します。 作業遅れや検品長期化で空コンテナ化が遅れます。 作業時間、荷役体制、検品予定を確認します。
返却予約 指定返却先へ返却するための予約を行います。 予約枠不足や受付制限で返却できません。 デバン完了前から返却予約の可否を確認します。
返却便手配 ドレー会社が空コンテナを返却先へ運びます。 車両・シャーシ不足や待機時間で返却が遅れます。 納品便だけでなく返却便まで確認します。
空コンテナ返却 指定返却先で受付され、返却が完了します。 コンテナ状態不良、返却先誤り、受付不可で完了しません。 EIRや返却受付記録で返却完了を確認します。

実務で問題になりやすいケース

Detentionが発生する場面は、納品先の事情、デバン作業、返却予約、返却デポ、ドレー手配、コンテナ状態などに分けて整理できます。

ケース 問題になりやすい点 確認すべき資料 実務上の対応
納品先の受入不可 倉庫満杯、納品予約不足、受入時間制限でデバンできません。 納品予約記録、倉庫回答、受入時間、配送指示。 CY搬出前に納品先の受入可否を確認します。
デバン作業の遅れ 作業員不足、フォークリフト不足、貨物量過多で空コンテナ化が遅れます。 作業予定、作業記録、荷姿、貨物量、作業人員情報。 デバン所要時間を見込んで返却期限を管理します。
検品・数量確認の長期化 破損、数量不足、品番違い確認でデバン完了が遅れます。 検品記録、写真、数量確認資料、事故連絡。 証拠保全と返却期限を並行して管理します。
返却予約が取れない 返却デポの予約枠不足で空コンテナを返却できません。 予約画面、予約依頼記録、デポ回答、ドレー会社連絡。 予約不可記録を保存し、代替返却先や延長可否を確認します。
返却デポの混雑・受付制限 混雑、受付時間短縮、コンテナ種類制限で返却が完了しません。 デポ案内、受付条件、混雑通知、返却不可記録。 最新の受付条件を確認し、関係者へ共有します。
返却先変更による遅れ 返却先が急に変更され、再配車や再予約が必要になります。 船会社・NVOCC案内、返却先変更通知、連絡記録。 誰がいつ変更を把握し、誰へ共有したか確認します。
ドレー手配の遅れ 返却便、車両、シャーシ、ドライバーを確保できません。 配車記録、ドレー会社回答、返却便手配記録。 納品手配と同時に返却便も確保します。
土日祝日・長期休暇 納品先、返却デポ、ドレー会社の稼働日がずれます。 カレンダー、デポ営業日、倉庫稼働日、フリータイム条件。 暦日計算か営業日計算かを確認します。
コンテナ状態の問題 汚損、臭気、残貨、液漏れ、ラベル残りにより返却受付されません。 デバン後写真、清掃記録、返却不可通知、EIR。 返却前にコンテナ状態を確認し、必要に応じて清掃します。
危険品・リーファー・特殊コンテナ 通常コンテナより返却条件や返却先が限定されます。 危険品情報、洗浄記録、リーファー記録、返却条件。 通常コンテナと同じ返却前提で手配しないよう確認します。

納品先の受入不可

Detentionが発生する原因の一つに、納品先の受入不可があります。納品先の倉庫が満杯である、納品予約が取れない、受入時間が限られている、担当者が不在である、フォークリフトや作業員が手配できない、といった場合、コンテナを予定通りデバンできないことがあります。

この場合、CYからコンテナを搬出できていても、納品先で作業が止まるため、空コンテナ返却が遅れる可能性があります。輸入FCLでは、CY搬出日だけでなく、納品先が実際に受け入れ可能かを事前に確認する必要があります。

デバン作業の遅れ

デバン作業の遅れも、Detentionの大きな原因です。貨物量が多い、荷姿が複雑である、パレット貨物ではない、重量物が含まれる、検品が必要である、貨物の積み付け状態が悪いなどの場合、デバンに予定以上の時間がかかることがあります。

また、作業員不足、フォークリフト不足、作業場所の不足、倉庫内の混雑などにより、デバン開始自体が遅れる場合もあります。デバンが完了しなければ、コンテナは空にならず、空コンテナ返却もできません。そのため、デバン作業時間はDetention管理の中心になります。

検品・数量確認による遅れ

納品後に検品や数量確認が必要な貨物では、空コンテナ返却が遅れることがあります。数量不足、破損、濡損、汚損、品番違いなどが疑われる場合、納品先や荷主がコンテナ内の状態、貨物の積み付け、数量、写真記録を確認することがあります。

確認作業自体は必要な場合がありますが、作業が長引けばデバン完了と空コンテナ返却が遅れます。特に貨物事故の疑いがある場合は、証拠保全とコンテナ返却期限の両方を意識する必要があります。

返却予約が取れない場合

空コンテナ返却には、返却デポやターミナル側の予約が必要になることがあります。デバンが完了していても、返却予約が取れなければ、空コンテナを返却できません。

返却先の予約枠が埋まっている、受付時間が短い、連休前後で混雑している、返却条件に制限があるといった場合、返却が翌日以降になることがあります。返却期限内に返却できるかどうかは、デバン完了日だけでなく、返却予約が取れるかどうかにも左右されます。

そのため、返却予約はデバン完了後に考えるのではなく、CY搬出前または納品予定が決まった時点で確認することが重要です。

返却デポの混雑・受付制限

返却デポの混雑や受付制限も、Detentionの原因になります。返却先デポが混雑している、受付時間が短縮されている、特定のコンテナ種類を受け付けていない、システム障害がある、返却台数に制限があるといった場合、空コンテナを予定通り返却できないことがあります。

このような場合、荷受人やフォワーダーだけでは解決できないこともありますが、事前に返却先の受付条件や混雑状況を確認していたかが重要になります。返却できなかった理由を確認するためには、返却予約記録、返却先からの案内、ドレー会社の記録を残しておく必要があります。

返却先変更による遅れ

船会社やNVOCCの都合により、空コンテナ返却先が変更されることがあります。返却先変更が直前に通知された場合、当初予定していたルートや時間では返却できず、再配車や再予約が必要になることがあります。

また、返却先変更の連絡を見落とした場合、誤った返却先へ向かってしまい、当日中に正しい返却先へ戻せないこともあります。Detentionを防ぐには、返却先が固定されていると思い込まず、船会社やNVOCCからの最新案内を確認することが重要です。

ドレー手配の遅れ

ドレー手配の遅れも、Detentionにつながります。納品先でデバンが完了していても、空コンテナを返却するための車両やシャーシが手配できなければ、返却は完了しません。

繁忙期、連休前後、港湾混雑、台風・荒天後などでは、ドレー車両の確保が難しくなることがあります。また、ドライバーの拘束時間、納品先での待機時間、返却先受付時間との兼ね合いにより、同日返却が難しくなる場合もあります。

土日祝日・長期休暇を挟む場合

土日祝日や長期休暇を挟む場合、Detentionのリスクは高くなります。納品先、倉庫、返却デポ、ドレー会社の稼働日がそれぞれ異なるため、デバンできる日と返却できる日がずれることがあります。

また、船会社やNVOCCのフリータイム計算に土日祝日が含まれるかどうかも確認が必要です。営業日計算だと思っていたら暦日計算だった、という誤解が費用発生につながることがあります。連休前後は、返却予約やドレー手配を早めに確認する必要があります。

コンテナ状態の問題

空コンテナ返却時には、コンテナの状態が問題になることがあります。汚損、臭気、残貨、液漏れ、粉漏れ、破損、ラベル残りなどがある場合、返却先で受領されない、清掃や補修を求められる、返却処理が遅れることがあります。

この場合、返却を試みていても、コンテナ状態の問題により返却完了とならないことがあります。デバン後には、コンテナ内部の状態を確認し、必要に応じて写真を残すことが重要です。

危険品・リーファー・特殊コンテナの場合

危険品、リーファー、フラットラック、オープントップ、タンクコンテナなどでは、通常コンテナより返却条件が厳しくなることがあります。

危険品では、残留物、ラベル、臭気、洗浄要否、返却先の受入条件が問題になることがあります。リーファーでは、温度管理、プラグアウト時刻、機器状態、返却先設備の制約に注意が必要です。

特殊コンテナでは、返却可能な場所が限られ、シャーシや車両条件も限定されることがあります。通常コンテナと同じ感覚で返却計画を立てると、返却先で受け付けられず、Detentionにつながる可能性があります。

4列判断チェックリスト

Detentionを防ぐには、CY搬出前から空コンテナ返却までを逆算して管理することが重要です。納品日だけでなく、デバン完了予定、返却予約、返却車両、返却先受付条件を同時に確認します。

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
CY搬出前 船会社、NVOCC、フォワーダー フリータイム、起算日、返却期限、返却先、返却予約の要否。 条件が不明な場合は、搬出前に書面で確認します。
納品予定確定時 荷主、納品先、倉庫、ドレー会社 納品日、受入時間、受入予約、作業体制。 受入不可の可能性があれば、納品日を再調整します。
デバン予定確認時 荷主、納品先、倉庫 デバン所要時間、作業人員、フォークリフト、検品予定。 作業遅れが見込まれる場合は、返却期限と費用リスクを共有します。
返却予約確認時 返却デポ、ドレー会社、フォワーダー 予約枠、受付時間、返却可能日、コンテナ種類制限。 予約不可の場合は、記録を残し、代替返却先や延長可否を確認します。
返却先変更時 船会社、NVOCC、フォワーダー、ドレー会社 変更後の返却先、通知時刻、再予約要否。 関係者へ即時共有し、配車・予約を再調整します。
デバン完了時 荷主、納品先、ドレー会社 空コンテナになった時刻、コンテナ状態、残貨・汚損の有無。 状態不良があれば写真を残し、清掃・補修要否を確認します。
空コン返却時 ドレー会社、返却デポ 返却受付完了、EIR、受付不可理由。 受付不可の場合は、理由と再返却予定を記録します。
休日・連休前 荷主、倉庫、返却デポ、ドレー会社 稼働日、受付日、営業日計算、暦日計算。 休業日を踏まえて前倒し返却を検討します。
特殊コンテナ手配時 船会社、NVOCC、返却デポ、ドレー会社 危険品、リーファー、特殊コンテナの返却条件。 通常コンテナと同じ返却先・条件で進めないよう確認します。
請求リスク発生時 荷主、フォワーダー、ドレー会社、船会社、NVOCC どの工程で遅れたか、誰がいつ何を把握していたか。 時系列表を作成し、請求対応記事の手順に沿って確認します。

フォワーダーの関与範囲

フォワーダーが輸入FCLを一貫手配する場合、Detention管理は輸入側工程の最後に残る重要な業務です。CY搬出、納品、デバン、返却予約、空コンテナ返却までを一つの流れで管理します。

ただし、フォワーダーは納品先の作業能力、倉庫内事情、荷主側の検品判断、返却デポの受付制限、船会社・NVOCCの返却先変更をすべて完全に管理できるわけではありません。フォワーダーが支援できることと、断定すべきでないことを分けて整理する必要があります。

区分 支援しやすいこと 断定すべきでないこと 実務上の対応
期限管理 フリータイム、返却期限、返却先を確認し、荷主へ案内すること。 荷主側作業が必ず期限内に終わると保証すること。 納品日と返却期限をセットで共有します。
納品・デバン調整 納品予定、デバン予定、ドレー手配状況を確認すること。 納品先の受入能力や作業人員を確約すること。 荷主・納品先に作業可能時間を確認します。
返却予約 返却デポ、ドレー会社と予約状況を確認すること。 返却予約不可なら自動的に費用免除されると判断すること。 予約不可記録を残し、代替案を確認します。
返却先変更 船会社・NVOCCからの返却先変更を関係者へ共有すること。 変更連絡遅れによる責任を一方的に判断すること。 通知時刻と共有時刻を記録します。
コンテナ状態 残貨、汚損、破損、ラベル残りの確認を促すこと。 コンテナ状態不良の責任や清掃費負担を断定すること。 写真、EIR、作業記録を保存します。
請求リスク共有 Detention発生可能性を早めに荷主へ共有すること。 最終的な費用負担者を一方的に決めること。 原因、連絡記録、契約条件に基づいて協議します。

制度適用シナリオ

ここでは、Detentionが発生しやすい場面を、輸入FCLの流れに沿ったシナリオとして整理します。

シナリオ1:納品先が受け入れできずデバンが遅れた場合

コンテナはCYから搬出できたものの、納品先倉庫の予約が取れていない、倉庫が満杯、フォークリフトや作業員が不足しているといった理由で、予定日にデバンできない場合があります。

この場合、貨物はコンテナ内に残ったままになり、空コンテナ返却期限に間に合わない可能性があります。荷主側では「納品先の都合」と考えていても、船会社やNVOCCから見ると、コンテナが返却されていない状態です。

実務では、CY搬出前に納品予約、受入可能時間、作業体制、デバン所要時間を確認します。納品先の都合で遅れる可能性がある場合は、返却期限とDetention発生可能性を事前に共有します。

シナリオ2:デバンは完了したが返却予約が取れない場合

貨物を降ろし終えて空コンテナになっていても、返却デポの予約枠が取れなければ返却は完了しません。港湾混雑、連休前後、受付時間制限、返却台数制限などにより、予約が翌日以降になることがあります。

この場合、荷受人側のデバン遅れではありませんが、いつ予約を試みたのか、予約不可の記録があるのか、代替返却先や延長可否を確認したのかが重要になります。

実務では、返却予約画面、返却デポの回答、ドレー会社の連絡記録、船会社・NVOCCへの確認記録を保存します。返却予約は、デバン完了後ではなく、納品予定が決まった段階で確認することが重要です。

シナリオ3:返却先変更を見落として誤ったデポへ向かった場合

船会社やNVOCCの都合により、空コンテナの返却先が変更されることがあります。変更通知を見落としたり、関係者への共有が遅れたりすると、ドレー車両が誤った返却先へ向かい、当日中に正しい返却先へ戻せないことがあります。

この場合、空コンテナは返却に向かっていたとしても、指定返却先で受付されていないため、返却完了とは扱われない可能性があります。

実務では、返却先変更通知を誰がいつ受け取り、誰へ共有したかを確認します。返却先が固定されていると考えず、返却前に最新の返却先と受付条件を確認することが重要です。

シナリオ4:連休を挟んでデバン日と返却可能日がずれた場合

土日祝日や長期休暇を挟む場合、納品先は営業していても返却デポが休業している、または返却デポは営業していてもドレー会社の車両が確保できないことがあります。

また、船会社やNVOCCのフリータイムが暦日計算である場合、実務上返却できない休日も日数に含まれることがあります。営業日計算と誤解していると、想定より早くDetentionが発生する可能性があります。

実務では、納品先、返却デポ、ドレー会社の稼働日をそれぞれ確認し、連休前に前倒しでデバン・返却できるかを検討します。

シナリオ5:危険品・リーファー・特殊コンテナの返却条件を見落とした場合

危険品、リーファー、フラットラック、オープントップ、タンクコンテナなどでは、通常コンテナよりも返却条件が厳しくなることがあります。返却可能なデポが限られたり、洗浄、残留物確認、ラベル撤去、機器状態確認が必要になったりする場合があります。

通常コンテナと同じ感覚で返却計画を立てると、返却先で受付されず、返却期限を超過する可能性があります。

実務では、船会社・NVOCC、返却デポ、ドレー会社へ、返却条件、受付可能場所、受付時間、必要な処理を事前に確認します。特殊貨物では、通常より余裕を持った返却計画が必要です。

Detentionを防ぐための実務

Detentionを防ぐには、CY搬出前から空コンテナ返却までを逆算して管理することが重要です。Arrival Noticeや船会社・NVOCCの案内を確認し、フリータイム、起算日、返却期限、返却先、返却予約の要否、返却先受付時間を確認します。

同時に、納品先の受入日、デバン作業時間、作業員やフォークリフトの手配、ドレー車両の返却便、返却予約を確認します。

特に、納品先の受入条件やデバン作業時間は、フォワーダーだけでは管理できないことがあります。荷主、納品先、ドレー会社、フォワーダーが早めに情報を共有することが重要です。

荷主が注意すべきこと

荷主は、貨物が届いた時点でコンテナ実務が終わるわけではないことを理解しておく必要があります。輸入FCLでは、納品後にデバンを行い、空コンテナを指定された場所へ返却するまで、コンテナ使用に関する費用リスクが続きます。

納品先の都合でデバンが遅れる場合や、検品に時間がかかる場合でも、返却期限を超えればDetentionが発生する可能性があります。

荷主は、納品可能日、デバン作業時間、作業体制、返却期限を事前に確認し、返却が遅れないように準備することが重要です。

まとめ

Detentionは、輸入FCLでコンテナをCYから搬出した後、空コンテナを返却期限内に返却できなかった場合に発生する費用です。

主な発生原因には、納品先の受入不可、デバン作業の遅れ、検品の長期化、返却予約不足、返却デポの混雑、返却先変更、ドレー手配遅れ、土日祝日・連休、コンテナ状態の問題、危険品・リーファー・特殊コンテナの返却条件などがあります。

Detentionを防ぐには、CY搬出日だけでなく、納品日、デバン完了予定日、返却予約、返却先受付時間、空コンテナ返却期限を並行して確認することが重要です。

本記事はDetentionの発生場面を整理する記事です。Detentionの定義、Demurrageとの違い、費用負担の基本は「Detention」で確認し、請求を受けた後の資料確認、時系列整理、費用負担の切り分けについては「ディテンション請求を受けたときの確認事項」で確認します。

同義語・別表記

  • ディテンションが発生する場面
  • Detentionが発生する場面
  • Detention発生原因
  • ディテンション発生原因
  • 空コン返却遅延の原因
  • コンテナ返却遅延の原因

関連用語