積付不備・ラッシング不備と貨物保険

Improper Stowage, Insufficient Lashing and Cargo Insurance

積付不備・ラッシング不備と貨物保険とは

積付不備・ラッシング不備と貨物保険とは、貨物の積付け、支持、荷重分散、固定、固縛、ブロッキング、ブレーシング又は養生が不十分であったために、輸送中の貨物移動、転倒、落下、接触、圧損、破損、流失又は荷崩れが発生した場合の保険上及び責任上の取扱いを整理する実務論点です。

海上輸送、陸上輸送及び複合輸送では、船体動揺、波浪、風圧、振動、加減速、旋回、荷役作業及びコンテナの取扱いにより、貨物へ継続的又は突発的な外力が加わります。

そのため、貨物の重量、寸法、形状、重心、接地面、固定点、梱包構造、積付位置及び輸送経路に応じた積付けとラッシングが必要です。

貨物保険では、貨物が移動又は破損したという結果だけで補償可否を判断しません。

適用されるICC(A)、ICC(B)又はICC(C)、事故の発生時期、外部事故、荒天、積付状態、梱包状態、作業主体、保険始期、コンテナの適合性、個別条件及び損害との因果関係を確認します。

特にコンテナ内積付では、ICC 2009 Clause 4.3の梱包・準備不備免責と、Clause 5.1.2のコンテナ又は輸送用具の不適合免責を混同しないことが重要です。

この記事で扱う範囲

項目 この記事で扱う内容 兄弟記事又は別記事で扱う内容
積付不備 積載位置、重量配分、重心管理、支持方法、貨物間隔及び荷重分散の不備を整理します。 本船全体の積付計画、復原性及び船体強度計算は、船舶運航又は海上安全の専門分野として扱います。
ラッシング不備 チェーン、ワイヤー、ベルト、ターンバックル、ツイストロックその他の固縛方法の不備を整理します。 具体的な強度計算、Sea Fastening設計及び構造承認は、専門技術者又はMarine Warranty Surveyorが判断します。
ICC 2009 Clause 4.3 梱包又は準備の不足・不適合と、コンテナ内積付を含む場合の適用要件を整理します。 梱包不備全般、貨物固有の性質及び通常の輸送事故との切り分けは、梱包不備の専用記事でも扱います。
ICC 2009 Clause 5.1.2 コンテナ又は輸送用具が安全運送に不適合である場合の免責要件を整理します。 船舶の不堪航性及び船舶不適合に関するClause 5.1.1の詳細は、別記事で扱います。
Warranty 積付け、梱包、ラッシング、サーベイ等がWarranty又は個別条件とされた場合の確認方法を整理します。 英国海上保険法及びInsurance Act 2015全体の制度解説は、専用記事で扱います。
ICC(A)・ICC(B)・ICC(C) 担保危険の確認と免責・個別条件の確認順序を整理します。 各Institute Cargo Clausesの全条文及び保険期間は、ICC個別記事で扱います。
甲板積み貨物 甲板積みに伴う積付け、ラッシング、Sea Fastening及び荒天損害との関係を整理します。 通常のコンテナ船上積みと個別甲板積みの違いは、甲板積み貨物の記事で詳しく扱います。
関係者責任 荷主、製造者、梱包業者、バンニング業者、荷役業者、運送人、NVOCC及びフォワーダーの関与を整理します。 最終的な法的責任は、契約、準拠法、過失、因果関係、責任制限及び証拠に基づいて個別に判断します。
証拠保全 貨物情報、積付図、写真、ラッシング資料、荒天記録及びサーベイ資料を整理します。 試料採取、共同サーベイ及びChain of Custodyの詳細は、証拠保全記事で扱います。

積付不備とラッシング不備の違い

区分 主な意味 典型的な不備 主な結果
積付不備 貨物をどこへ、どの向きで、どのように配置・支持するかに関する不備です。 重量配分不良、重心管理不足、支持不足、不適切な積重ね、間隔不足、荷重集中 移動、転倒、圧損、接触、床面損傷、コンテナ変形
ラッシング不備 貨物の移動、転倒又は落下を防ぐための固縛に関する不備です。 固縛本数不足、張力不足、固定点不良、材料強度不足、締付け不良 貨物移動、転倒、落下、流失、他貨物への接触
ブロッキング不備 木材、金具その他の部材により貨物の水平方向の移動を防ぐ措置の不備です。 隙間、支持材不足、部材破断、床面への固定不足 前後左右への移動、衝突、荷崩れ
ブレーシング不備 支柱、斜材又は補強材によって貨物を支持する措置の不備です。 補強方向の誤り、部材強度不足、接合不良 傾斜、転倒、架台破損、梱包崩壊
Sea Fastening不備 大型貨物又は重量物を本船甲板等へ構造的に固定する設計・施工上の不備です。 溶接不足、固定点強度不足、荷重計算不足、施工不良 貨物移動、架台破壊、甲板損傷、船外流失

実際の事故では、積付不備、ラッシング不備、梱包不備及び貨物情報不足が同時に存在することがあります。

そのため、事故原因を一つの名称へ直ちに固定せず、設計、材料、施工、情報提供、監督及び外部事故を分けて確認します。

問題になりやすい貨物

貨物 主な積付・固定上の問題 事前に確認する情報 必要になりやすい措置
大型機械・プラント設備 高重量、偏心重心、突出部、限定された固定点 重量、重心、吊り位置、固定点、図面 架台、荷重分散、Sea Fastening、専門サーベイ
長尺貨物・パイプ・鉄骨 たわみ、滑動、束崩れ、端部突出 長さ、重量、束構成、支持間隔 支持台、輪止め、束ね固定、端部保護
建設機械・特殊車両 車輪移動、油圧部品、旋回部、重心変化 車両重量、車軸荷重、固定点、可動部 輪止め、チェーン固定、可動部ロック
木箱梱包貨物・精密機器 内部固定不足、振動、衝撃、重心不明 内部構造、固定方法、衝撃許容値 内部ブロッキング、緩衝材、傾斜・衝撃管理
フラットラック貨物 コンテナ寸法外突出、ラッシング、床面荷重 外寸、重量、重心、固定点、船会社条件 ラッシング計画、荷重分散、事前承認
オープントップ貨物 高さ超過、上部固定、雨水、カバー 高さ、上部形状、固定方法、防水条件 クロスラッシング、カバー、防水・排水対策
ドラム缶・液体貨物 転動、滑動、液体移動、漏出 内容物、充填率、重量、包装仕様 パレット固定、輪止め、隙間充填、漏出対策
袋物・滑りやすい貨物 積重ね崩壊、滑動、偏荷重 袋材、積重ね限度、摩擦性 滑止め材、荷姿統一、隔壁・支持材
甲板積み貨物 波浪、風圧、海水、船体動揺、流失 船型、航路、積載位置、重量、投影面積 Sea Fastening、防水、防錆、Marine Warranty Survey

貨物保険での基本的な確認順序

積付不備又はラッシング不備が疑われる場合、保険条件だけを先に確認するのではなく、事故の事実関係と保険契約の双方を順番に整理します。

確認段階 確認内容 主な資料 注意点
物的損害 貨物に移動、転倒、接触、破損、落下又は流失があるか 写真、サーベイレポート、検査記録 外装損傷と内部損傷を分けます。
事故発生時期 保険始期前、保険期間中又は保険終了後のどの時点で損害が発生したか バンニング記録、受渡記録、輸送履歴 船積前から存在した損傷を混同しません。
外部事故 荒天、衝突、転覆、急制動、落下その他の外部事故があったか 航海記録、事故報告、車両記録 外部事故の存在だけで近因が決まるとは限りません。
積付・固定状態 貨物の重量、重心、固定点及び輸送環境に適した状態だったか 積付図、ラッシング計画、作業写真 事故後の状態だけで船積前の状態を推定しません。
作業主体 誰が梱包、バンニング、積付け、ラッシング又は監督を行ったか 作業契約、指示書、作業記録 Clause 4.3及びClause 5.1.2では主体が重要です。
保険条件 ICC、個別約款、Warranty、サーベイ条件及び申告内容 保険証券、保険明細、付帯約款 約款名だけでなく正式文言を確認します。
責任関係 荷主、作業業者、運送人、NVOCC又はフォワーダーの責任 契約、B/L、見積条件、メール 貨物保険の支払可否と賠償責任を分けます。

ICC 2009 Clause 4.3とコンテナ内積付

ICC 2009 Clause 4.3は、被保険貨物が通常の保険輸送に耐えるための梱包又は準備が不足若しくは不適切であったことにより生じた損害を対象とする免責です。

Clause 4.3では、コンテナ内への貨物の積付けも、一定の範囲で「梱包」に含まれます。

ただし、コンテナ内積付に不備があったというだけで、Clause 4.3が当然に適用されるわけではありません。

実務上は、少なくとも次の要件を確認します。

  • 損害が、梱包、準備又はコンテナ内積付の不足・不適合によって生じたか
  • その梱包、準備又は積付けが、被保険者又はその従業員によって行われたか
  • 又は、その作業が保険始期前に行われたか
  • 作業者が独立請負業者である場合、Clause 4.3上の従業員として扱われるか
  • 貨物が通常の保険輸送に耐えられる状態であったか

ICC 2009の文言上、独立請負業者はClause 4.3における従業員には含まれません。

したがって、保険始期後に外部の独立したバンニング業者又は倉庫業者がコンテナ内積付を行った場合、単にその作業が不適切だったという理由だけでClause 4.3が当然に適用されるとは限りません。

もっとも、Clause 4.3が適用されないことと、損害が必ず補償されることは同じではありません。

適用ICC、他の免責、個別条件、事故原因、保険期間、作業業者の責任及び被保険者の関与を別に確認します。

Clause 4.3で確認する作業主体と時期

作業状況 Clause 4.3上の主な確認 注意点 主な資料
被保険者自身がバンニングした 積付不備が損害原因であれば、免責適用の可能性を確認します。 誰が実際に作業し、誰が監督したかを確認します。 作業記録、写真、従業員記録
被保険者の従業員がバンニングした Clause 4.3の主体要件との関係を確認します。 名目上の委託ではなく実際の雇用・指揮関係を確認します。 作業指示、雇用関係、写真
保険始期前に外部業者がバンニングした 保険始期前の作業としてClause 4.3との関係を確認します。 作業完了時刻と保険始期を照合します。 バンニング記録、保険証券、受渡記録
保険始期後に独立請負業者がバンニングした 独立請負業者は従業員に含まれないため、Clause 4.3の適用要件を慎重に確認します。 他の免責又は個別条件の適用を別に確認します。 業務委託契約、作業時刻、作業記録
作業時期又は作業者が不明 Clause 4.3の適用要件を判断できる証拠を確保します。 推測だけで被保険者側作業と決めません。 CCTV、入出庫記録、請求書、メール

ICC 2009 Clause 5.1.2とコンテナ・輸送用具の不適合

ICC 2009 Clause 5.1.2は、コンテナ又は輸送用具が、被保険貨物を安全に運送するために不適合であることから生じる損害について定める免責です。

この条項は、コンテナ内の貨物固定が不十分だった場合をすべて対象とする一般的な積付不備免責ではありません。

中心となるのは、コンテナ又は輸送用具そのものが、安全運送に適した状態だったかという問題です。

たとえば、次のような状態が問題になることがあります。

  • コンテナ床が貨物重量へ耐えられない状態だった
  • 固定用リング又はラッシングポイントが損傷していた
  • コンテナの構造、寸法又は種類が対象貨物に適していなかった
  • 輸送用架台又はトレーラーが対象貨物の安全運送に適していなかった
  • 扉、床、側壁又は固定設備に重大な欠陥があった

Clause 5.1.2では、積込みが保険始期前に行われたか、又は被保険者若しくはその従業員が積込みを行い、積込み時に不適合を認識していたか等の要件を確認します。

したがって、事故後にコンテナが損傷していたという結果だけで、積込み時点から安全運送に不適合だったとは判断しません。

Clause 4.3とClause 5.1.2の違い

項目 Clause 4.3 Clause 5.1.2 切り分けの中心
中心対象 貨物の梱包、準備又はコンテナ内積付の不足・不適合 コンテナ又は輸送用具そのものの安全運送上の不適合 貨物側の準備問題か、輸送用具側の適合性問題か
典型例 ブロッキング不足、内部固定不足、荷重分散不足 床強度不足、固定設備の欠陥、不適切なコンテナ種類 損害原因となった具体的な欠陥
作業時期 被保険者・従業員による作業又は保険始期前の作業を確認 保険始期前の積込み等の要件を確認 作業完了時刻と保険始期
被保険者側の関与 被保険者又は従業員が作業したか 被保険者又は従業員による積込みと不適合の認識を確認 作業主体、指揮関係及び認識
独立請負業者 Clause 4.3上の従業員には含まれません。 契約文言、積込み時期及び認識要件を個別確認します。 委託契約と実際の作業関係
責任関係 荷主、梱包業者、バンニング業者等が問題になります。 コンテナ提供者、運送人、荷主、積込主体等が問題になります。 保険免責と賠償責任を分けます。

Warrantyと積付・ラッシング条件

大型貨物、重量物、甲板積み貨物又は特殊輸送では、積付け、梱包、ラッシング、Sea Fastening、事前サーベイ又は承認取得等が、Warranty又は個別条件として保険契約へ組み込まれることがあります。

ただし、Warrantyという名称が使われているだけで、その法的効果を一律に判断することはできません。

少なくとも次の事項を確認します。

  • 実際に付帯された正式文言
  • 条件がWarranty、Condition Precedent、Exclusion又はRisk Definitionのいずれとして機能するか
  • 保険契約の準拠法
  • 条件を履行すべき主体
  • 履行期限及び履行方法
  • 違反が是正可能か
  • 違反期間と事故発生時期
  • 違反した事項と発生した損害の関係
  • 契約上、Insurance Act 2015の原則が変更されているか

英国法が適用され、かつ契約上の有効な変更がない場合、Insurance Act 2015 Section 10により、Warranty違反は保険者の責任を将来にわたり自動的に消滅させるものではありません。

原則として、違反後から違反が是正されるまでの間に発生した損害について、保険者の責任が停止する構造になります。

違反が是正され、契約上の条件が再び満たされた場合、その後に発生する事故について責任が再開する可能性があります。

また、損害の種類、発生場所又は発生時期に関する危険を減少させる目的の条件については、Insurance Act 2015 Section 11との関係も確認します。

被保険者が、条件違反によって実際に発生した損害の危険が増加し得なかったことを示せる場合、保険者がその条件違反へ依拠できないことがあります。

もっとも、Section 11がすべての契約条件に適用されるわけではなく、担保する危険全体を定義する条件等は別に検討されます。

さらに、非消費者保険では、一定の透明性要件を満たす契約条項により、Insurance Act 2015の原則が変更される場合があります。

したがって、「Warranty違反があれば因果関係を問わず全損害が当然に免責になる」と一律に説明することは適切ではありません。

Warranty又は個別条件で確認する事項

条件 確認内容 主な資料 注意点
積付条件 積載位置、支持方法、荷重分散、貨物間隔 積付図、作業仕様書、写真 実際の作業状態と照合します。
ラッシング条件 材料、数量、角度、張力、固定点、再締付け ラッシング計画、部材仕様、作業記録 設計と施工を分けて確認します。
Sea Fastening条件 固定構造、溶接、強度計算、承認 図面、計算書、検査記録 施工後の変更も確認します。
サーベイ条件 船積前検査、承認証、指摘事項の是正 Survey Report、Certificate of Approval 指摘事項の未是正が事故原因と関係するか確認します。
梱包・養生条件 木枠、架台、防水、防錆、内部固定 梱包仕様書、材料記録、写真 外装だけでなく内部固定を確認します。
情報提供条件 重量、重心、固定点、船型、航路の申告 申込書、告知書、メール 不正確な情報が設計へ影響したか確認します。

ICC(A)とICC(B)・ICC(C)の確認順序

積付不備・ラッシング不備事故では、「どちらが立証責任を負うか」という一般論だけで判断せず、適用条件に応じて担保危険と免責の確認順序を整理します。

保険条件 最初に確認する事項 次に確認する事項 積付・ラッシング事故での注意点
ICC(A) 保険期間中に貨物の偶発的な滅失又は損傷が発生したか Clause 4.3、Clause 5、遅延、固有の瑕疵、個別条件等の免責 貨物移動又は破損の事実だけでなく、梱包・積付主体と時期を確認します。
ICC(B) 損害原因が列挙された担保危険に該当するか Clause 4.3、Clause 5及び個別条件等の免責 荒天という表現だけでなく、具体的な担保危険との因果関係を確認します。
ICC(C) 損害原因が限定された列挙危険に該当するか Clause 4.3、Clause 5及び個別条件等の免責 通常の動揺による貨物移動が担保危険に該当するとは限りません。
個別特別条件 積付け、ラッシング、甲板積み又はサーベイに関する正式文言 条件履行、準拠法、事故時期及び損害との関係 ICCだけでなく保険証券全体を確認します。

海上固有の危険と積付不備・ラッシング不備の切り分け

区分 外力・事故 積付・ラッシング状態 保険上の確認 主な資料
外部事故が中心となる場合 異常な荒天、衝突、座礁、転覆その他の突発事故 合理的な積付け、固定、養生が実施されている 適用ICCの担保危険、近因及び個別条件を確認します。 航海記録、事故報告、積付図、ラッシング記録
積付不備が中心となる場合 通常予想される動揺、振動又は加減速 重量配分、支持、重心管理又は積載位置が不適切 Clause 4.3、作業責任及び個別条件を確認します。 作業写真、積付図、重量・重心資料
ラッシング不備が中心となる場合 通常の輸送外力又は比較的小さい動揺 固縛本数、張力、固定点又は材料強度が不足 設計、施工、検査及び保険条件を確認します。 ラッシング計画、部材仕様、破断部材
原因が混在する場合 荒天又は突発外力が存在する 積付け又はラッシングにも疑問がある 外部事故と不備の寄与、近因及び契約条件を総合確認します。 荒天記録、専門家意見、サーベイレポート
証拠が不足する場合 荒天の程度又は事故状況が不明 船積前写真やラッシング記録がない 残存証拠、関係者供述及び同種貨物資料から慎重に整理します。 CCTV、メール、請求書、本船記録

荒天があったという事実と、積付け又はラッシングが適切だったという事実は別です。

また、ラッシングに不備があったという事実と、その不備が実際の損害原因だったという判断も分けて確認します。

コンテナ内積付・バンニングとの関係

積付不備・ラッシング不備は、甲板積み又は大型貨物だけでなく、通常のコンテナ貨物でも発生します。

コンテナ内では、貨物の前後左右及び上下方向の移動を防ぎ、床面荷重を適切に分散し、貨物同士又はコンテナ内壁との接触を防ぐ必要があります。

特に重量貨物では、コンテナの最大総重量だけでなく、床面の集中荷重、フォークリフト作業、固定リングの能力及び扉側への荷重移動も確認します。

確認項目 典型的な不備 事故結果 主な資料
荷重分散 狭い接地面へ重量が集中 床抜け、床変形、貨物傾斜 重量資料、接地寸法、床面写真
前後方向固定 扉側又は前壁側の隙間が大きい 急制動時の移動、扉損傷 バンニング写真、ブロッキング記録
左右方向固定 側方支持又はラッシング不足 船体動揺時の転倒・接触 コンテナ内写真、ラッシング計画
上下方向固定 重ね積み不良、浮上防止不足 跳上がり、上段貨物の崩落 積付図、梱包仕様
重量・重心情報 作業者へ正確な情報が未提供 不適切な配置、固定方法の選択 貨物明細、図面、メール
コンテナ適合性 床、固定点又はコンテナ種類が不適切 コンテナ破損、固定不能 EIR、コンテナ写真、点検記録

甲板積み貨物との関係

甲板積み貨物では、波浪、風圧、海水、雨、塩分及び船体動揺を直接受けるため、積付け及びラッシングが特に重要になります。

ただし、通常のコンテナ船で運送人の裁量により甲板上へ積載される密閉型コンテナと、在来船又は重量物船で個別に甲板積みされる大型貨物は分けて整理します。

個別甲板積み貨物では、次の事項を確認します。

  • 甲板積みであることの保険申告
  • On Deck Cargo Clause又は個別甲板積み条件
  • 適用ICC
  • 積載位置、航路、季節及び船型
  • 貨物重量、重心及び風圧を受ける面積
  • ラッシング及びSea Fasteningの設計
  • 防水、防錆及び排水対策
  • 船積前サーベイ又はMarine Warranty Survey

貨物が船外へ失われた場合は、Washing Overboard、ラッシング破断、投荷及び共同海損犠牲を分けて確認します。

責任を負う可能性のある関係者

関係者 主な役割 責任判断で問題になる事項 主な資料
荷主・製造者 重量、寸法、重心、固定点、吊り位置及び取扱条件の提供 重要情報の不足又は誤りにより適切な設計が妨げられたか 図面、仕様書、貨物明細、指示書
梱包業者 木箱、架台、支持、内部固定、防水及び防錆 通常の保険輸送へ耐える梱包・準備だったか 梱包仕様、材料記録、作業写真
バンニング業者・倉庫業者 コンテナ内積付け、荷重分散、ブロッキング及びブレーシング 作業指示、貨物情報及び専門的注意義務に適合したか バンニング写真、作業記録、積付図
荷役業者 本船又は輸送用具への積込み、配置及び荷卸し 荷役方法、積載位置、貨物取扱い及び本船指示への適合 荷役記録、クレーン記録、写真
ラッシング業者 ラッシング及びSea Fasteningの施工 材料、施工、張力、固定点及び設計への適合 作業記録、部材仕様、施工写真
設計者・サーベイヤー ラッシング設計、強度確認、船積前検査及び承認 前提情報、計算、指摘事項及び承認範囲 計算書、Survey Report、承認証
船会社・運送人 本船上の積付管理、航海及び運送契約上の管理 運送人責任、堪航性、積付け、荒天対応及び責任制限 B/L、積付図、航海記録、本船報告
NVOCC・フォワーダー 輸送手配、条件伝達、作業業者手配及び荷主説明 受託範囲、情報伝達、業者選定、保険案内及び事故対応 見積書、Booking、メール、作業指示

フォワーダー関与範囲の標準五分類

本記事で使用する五分類は、法令又は業界全体で確立された区分ではありません。フォワーダーの関与範囲を明確にするため、本シリーズで使用する分析上の枠組みです。

標準五分類 積付・ラッシング業務への主な関与 責任判断の中心 主な資料
Simple Intermediary(単純取次) 荷主を梱包業者、バンニング業者、船会社又はサーベイヤーへ取り次ぎます。 単純取次を超えて設計、適否判断又は作業監督を引き受けたか 紹介記録、メール、見積条件
Cargo Transportation Service Provider(貨物利用運送事業者) 積付け又はラッシングを伴う貨物運送サービスを引き受けます。 受託区間、作業業者の手配、条件伝達及び運送契約上の義務 運送契約、Booking、作業指示
NVOCC / House B/L Issuer House B/L発行者として国際輸送を引き受けます。 House B/L上の責任、免責、責任限度及び通知期限 House B/L、Master B/L、運送約款
Door-to-Door Single Contractor 集荷、梱包、バンニング、国際輸送、デバンニング及び配送を一括して引き受けます。 一括受託範囲、再委託管理及び工程間の情報伝達 一括見積書、仕様書、再委託記録
Agent/Coordinator for Specific Operations(特定業務の代理・調整者) ラッシング設計、作業手配、サーベイ又は承認取得等を調整します。 委任された確認事項、調整範囲及び最終判断者 委任記録、確認依頼、サーベイ記録

Contracting Carrier及びActual Carrierは、法的又は契約上の地位を示す概念であり、本記事の標準五分類を置き換える分類ではありません。

梱包、保管、検品、積付け、バンニング、デバンニング及びコンテナ点検等の実作業も、それ自体で第六の分類を構成しません。

具体例1:保険始期前のコンテナ内固定不足

重量機械を輸出するため、荷主の工場でコンテナ内へ積み込み、木材によるブロッキングとベルトによるラッシングを行ったとします。

その後に貨物保険が開始し、海上輸送中の通常の船体動揺によって機械が移動し、コンテナ内壁へ衝突して破損しました。

調査の結果、貨物重量に対してブロッキング材が不足し、ラッシングポイントも適切に使用されていなかったことが判明しました。

この場合、コンテナ内積付けがClause 4.3上のpackingに含まれるか、作業が保険始期前に完了していたか、積付不備が損害の原因となったかを確認します。

同時に、荷主、梱包業者又は作業者の責任、貨物情報及び作業指示も確認します。

保険始期前のコンテナ内積付不備では、Clause 4.3の作業時期と因果関係が中心になります。

具体例2:保険始期後に独立請負業者がバンニングした場合

貨物保険開始後、外部の独立した倉庫業者が木箱貨物をコンテナへ積み込み、ブロッキング及びラッシングを行ったとします。

輸送中に木箱が移動して他貨物へ接触し、双方に損傷が発生しました。

この場合、作業者が被保険者の従業員ではなく独立請負業者であること、作業が保険始期後であることを確認します。

ICC 2009 Clause 4.3上、独立請負業者はemployeesに含まれないため、積付不備があったという事実だけでClause 4.3が当然に適用されるとは判断しません。

ただし、適用ICC、他の免責、個別条件及び事故原因を確認し、倉庫業者又はバンニング業者への求償可能性を別に検討します。

Clause 4.3が適用されない可能性と、作業業者が賠償責任を負う可能性は別の問題です。

具体例3:不適合なコンテナを認識して積み込んだ場合

重量貨物を積み込む際、被保険者の従業員がコンテナ床の著しい損傷と固定リングの破損を確認していたにもかかわらず、そのまま積込みを行ったとします。

輸送中に床が変形し、貨物が傾いて損傷しました。

この場合、単なるラッシング不備ではなく、コンテナ又は輸送用具が安全運送に不適合だったかを確認します。

さらに、被保険者又はその従業員が積込みを行ったか、積込み時に不適合を認識していたか、Clause 5.1.2のその他の要件を満たすかを確認します。

コンテナ提供者又は運送人が欠陥を把握していたか、代替コンテナを提供できたかも責任判断上の論点になります。

Clause 5.1.2では、コンテナの不適合だけでなく、積込み時期、作業主体及び認識が重要です。

実務で問題になりやすいケース

ケース 中心論点 主な確認資料 初動対応
通常の動揺で機械がコンテナ内を移動した Clause 4.3、ブロッキング、ラッシング、重心情報 バンニング写真、重量資料、積付図 作業者と作業時期を確認します。
荒天中に大型貨物が転倒した 荒天の程度、Sea Fastening、近因 航海記録、設計図、ラッシング記録 荒天と固定状態を同時に調査します。
コンテナ床が重量貨物で破損した 荷重分散、Clause 5.1.2、重量申告 床面写真、重量資料、EIR 積込み前のコンテナ状態を確認します。
固定リングが破断した リングの欠陥、過大荷重、使用方法 破断部材、部材仕様、作業写真 破断部材を廃棄せず保全します。
フラットラック貨物が傾斜した 重心、床面荷重、ラッシング角度 積付図、船会社承認、写真 設計条件と実作業を照合します。
木箱内部で精密機器が移動した 内部梱包、内部固定、Clause 4.3 梱包仕様、開梱写真、製造者資料 外箱と内部固定を分けて確認します。
荷主が重心位置を誤って伝えた 情報提供責任、設計前提、因果関係 図面、メール、ラッシング計算 誰がどの情報を利用したか確認します。
サーベイ指摘事項を是正せず船積みした Warranty、承認条件、事故原因 Survey Report、是正記録、保険証券 未是正事項と損害との関係を確認します。

フォワーダー実務での判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
受託時 荷主、輸出者、製造者 重量、寸法、重心、固定点、吊り位置及び壊れやすい箇所 不明な場合は図面、仕様書及び取扱指示を求めます。
梱包設計時 荷主、梱包業者 内部固定、架台、支持、防水、防錆 梱包仕様と責任範囲を書面化します。
バンニング時 倉庫業者、バンニング業者 積付位置、荷重分散、ブロッキング、ブレーシング 船積前写真と作業記録を確保します。
ラッシング時 ラッシング業者、荷役業者 材料、数量、角度、張力、固定点 設計図、部材仕様及び施工写真を確認します。
コンテナ確認時 船会社、コンテナ提供者、倉庫業者 床、固定リング、壁、扉及び貨物への適合性 不適合がある場合は積込み前に交換します。
保険確認時 荷主、保険会社、保険代理店 ICC、Clause 4.3、Clause 5、Warranty及びサーベイ条件 正式約款と実際の作業条件を照合します。
船積手配時 船会社、NVOCC、荷役業者 積載位置、甲板積み、船会社条件及び承認 特殊条件をBookingと作業指示へ記録します。
事故発生時 荷主、保険会社、運送人、サーベイヤー 貨物移動、転倒、破断、荒天及び外部事故 現状を変更する前に写真と部材を保全します。
原因調査時 サーベイヤー、設計者、作業業者 設計、材料、施工、情報提供及び事故外力 共同サーベイと専門家調査を検討します。
求償時 保険会社、関係業者、海事弁護士 責任主体、責任制限、通知期限及び証拠 貨物保険請求と求償を分けて管理します。

証拠として重要になる資料

資料区分 主な資料 確認目的 注意点
保険関係資料 保険証券、保険明細、ICC、Warranty、特別約款 担保、免責、保険始期及び個別条件を確認します。 約款名だけでなく正式文言を確認します。
貨物情報 重量、寸法、重心、固定点、吊り位置、図面 作業設計の前提が正確だったか確認します。 改訂履歴と送付記録を確保します。
梱包資料 梱包仕様書、材料仕様、内部固定写真 貨物が通常の輸送へ耐える状態だったか確認します。 開梱前後の状態を記録します。
積付資料 積付図、バンニング写真、荷重分散資料 貨物配置、支持及び隙間を確認します。 作業完了時の写真を確保します。
ラッシング資料 ラッシング計画、部材仕様、施工記録 設計と施工の適合を確認します。 破断部材を保存します。
コンテナ資料 EIR、コンテナ番号、積込み前写真、点検記録 積込み前のコンテナ適合性を確認します。 事故後の損傷と既存欠陥を分けます。
輸送・航海資料 航海日誌、荒天記録、車両記録、事故報告 外部事故及び外力の程度を確認します。 一般気象資料と本船固有記録を区別します。
サーベイ資料 船積前サーベイ、損害サーベイ、承認証 条件履行、損害原因及び責任区間を確認します。 指摘事項と是正状況を確認します。
契約・連絡資料 見積書、Booking、B/L、作業指示、メール 受託範囲、指示及び情報伝達を確認します。 事故前の記録を優先します。
通知・求償資料 事故通知、クレーム通知、回答書、期限管理表 求償権と通知期限を保全します。 事故通知と正式請求を分けて管理します。

保険会社・保険代理店へ確認すべき事項

  • 適用されるICC(A)、ICC(B)又はICC(C)
  • ICC 2009 Clause 4.3の適用条件
  • ICC 2009 Clause 5.1.2の適用条件
  • 保険始期と梱包・バンニング・積込みの時期
  • 被保険者、従業員又は独立請負業者の区分
  • 積付け、ラッシング、梱包又はSea Fasteningに関する個別条件
  • Warranty、Condition Precedent又はExclusionの正式文言
  • Insurance Act 2015の原則を変更する契約条項の有無
  • 船積前サーベイ又はMarine Warranty Surveyの要否
  • サーベイ指摘事項の是正及び承認方法
  • 荒天、外部事故及び積付不備が混在する場合の必要資料
  • 事故通知、処分前承認、サーベイ及び正式請求の期限

荷主との事前契約で整理すべき事項

  • 貨物重量、寸法、重心、固定点及び吊り位置の提供責任
  • 貨物情報に誤り又は変更が生じた場合の通知義務
  • 梱包設計、内部固定及び架台の責任分担
  • バンニング、積付け、ブロッキング及びブレーシングの責任分担
  • ラッシング計画及びSea Fastening設計の作成者
  • 船会社、倉庫業者及び荷役業者への指示主体
  • コンテナ又は輸送用具の適合性確認主体
  • 保険会社へ申告する事項と申告主体
  • 船積前サーベイ及び承認取得の主体
  • 作業写真、積付図及びラッシング記録の取得主体
  • 事故通知、サーベイ及び証拠保全の手続
  • 船会社及び作業業者への求償協力義務

事故処理の基本フロー

  1. 貨物の移動、転倒、落下、接触、破損又は流失の状態を写真で記録します。
  2. 貨物、梱包、コンテナ、ラッシング部材及び固定点の現状を保全します。
  3. 保険会社、保険代理店、運送人及び関係業者へ事故通知を行います。
  4. 必要に応じて共同サーベイを手配します。
  5. 貨物重量、寸法、重心、固定点及び取扱情報を確認します。
  6. 梱包、バンニング、積付け及びラッシングの作業者を確認します。
  7. 各作業の実施時刻と保険始期を照合します。
  8. 積付図、作業写真、ラッシング計画及び材料仕様を確認します。
  9. コンテナ又は輸送用具の積込み前の状態を確認します。
  10. 荒天、衝突、転覆、急制動その他の外部事故を確認します。
  11. 適用ICCとClause 4.3、Clause 5.1.2及び個別条件を確認します。
  12. Warranty違反が疑われる場合は、準拠法、違反期間、是正及び損害との関係を確認します。
  13. 貨物保険請求と、運送人・作業業者・フォワーダーへの賠償請求を分けます。
  14. 通知期限、正式請求期限、時効及び出訴期限を管理します。
  15. 損害額又は責任関係が大きい場合は、海事弁護士及び技術専門家へ相談します。

海事弁護士を利用すべき場面

  • Clause 4.3の作業主体又は作業時期が争われる場合
  • 独立請負業者がClause 4.3上の従業員に該当するか争われる場合
  • Clause 5.1.2のコンテナ不適合又は認識要件が争われる場合
  • Warranty又は個別条件の法的効果が争われる場合
  • Insurance Act 2015からの契約による変更が問題になる場合
  • 荒天と積付不備のどちらが近因か争われる場合
  • 積付設計、ラッシング設計又はSea Fasteningの責任者が争われる場合
  • 運送人、倉庫業者、荷役業者又はラッシング業者へ高額求償を行う場合
  • 荷主からフォワーダー又はNVOCCへ高額な賠償請求が行われた場合
  • 通知期限、正式請求期限、時効又は出訴期限が迫っている場合

よくある誤解

誤解 実際の考え方 確認すべきこと
コンテナ内積付に不備があれば、常にClause 4.3で免責になる 作業主体、作業時期、損害原因及び正式約款の要件を確認します。 誰がいつ作業し、不備が損害を生じさせたか確認します。
外部業者のバンニングも被保険者の従業員による作業と同じである ICC 2009 Clause 4.3では、独立請負業者はemployeesに含まれません。 契約関係、指揮命令及び作業時期を確認します。
コンテナ内積付不備とコンテナ不適合は同じである Clause 4.3は貨物側の梱包・準備、Clause 5.1.2は輸送用具側の不適合が中心です。 具体的な欠陥が貨物固定かコンテナ構造か確認します。
コンテナに欠陥があれば、必ずClause 5.1.2で免責になる 積込み時期、作業主体、不適合の認識及び因果関係を確認します。 積込み前写真、EIR及び作業者の認識を確認します。
荒天で壊れたなら積付けやラッシングは関係ない 荒天があっても固定状態が合理的だったか確認する必要があります。 荒天記録とラッシング資料を照合します。
貨物が動けば運送人の責任である 船積前の固定不足、貨物情報不足又は作業業者の不備の場合があります。 損害発生時期と作業主体を確認します。
保険に入っていればラッシング不備も当然に補償される 適用ICC、免責、Warranty及び個別条件により判断が変わります。 保険証券と事故原因を確認します。
Warranty違反があれば、その後の全損害が永久に免責になる 英国法上は、原則として違反期間中の責任停止として扱われます。 準拠法、契約変更、是正時期及び事故時期を確認します。
Warranty違反と損害に関係がなくても必ず免責になる Insurance Act 2015 Section 11が関係する条件では、実際の損害リスクとの関係が問題になる場合があります。 条件の目的、損害の種類及び契約文言を確認します。
ラッシングは作業業者だけの責任である 設計者、情報提供者、指示者、施工者及び承認者の関与を分けます。 設計・指示・施工・承認の記録を確認します。
フォワーダーが作業をしていなければ責任はない 条件伝達、業者選定又は一括受託の内容によって責任が問題になる場合があります。 標準五分類と実際の受託範囲を確認します。
事故後の写真だけで積付不備を判断できる 事故によって積付状態自体が変化している可能性があります。 船積前写真、積付図及び作業記録を確保します。

実務上のポイント

  • 積付不備、ラッシング不備、梱包不備及びコンテナ不適合を分けます。
  • ICC 2009 Clause 4.3では、コンテナ内積付がpackingに含まれる場合があります。
  • Clause 4.3では、作業主体、作業時期及び損害との因果関係を確認します。
  • 独立請負業者は、Clause 4.3上のemployeesには含まれません。
  • Clause 4.3が適用されないことと、損害が必ず補償されることは同じではありません。
  • Clause 5.1.2は、コンテナ又は輸送用具そのものの安全運送上の不適合を扱います。
  • Clause 5.1.2では、積込み時期、作業主体及び不適合の認識を確認します。
  • ICC(A)では物的損害と免責を、ICC(B)・ICC(C)では列挙危険と免責を順番に確認します。
  • 荒天があった場合でも、積付け及びラッシングが適切だったか確認します。
  • Warrantyの効果は、準拠法、正式文言、違反期間及び契約上の変更により判断します。
  • 英国法上、Warranty違反は原則として違反期間中の責任停止として扱われます。
  • 事故後は、船積前写真、積付図、ラッシング記録及び破断部材を早期に確保します。
  • 貨物保険の支払可否と、運送人・作業業者・フォワーダーの賠償責任を分けます。

まとめ

積付不備・ラッシング不備と貨物保険では、貨物の移動、転倒、落下、接触、破損又は流失が、外部事故によるものか、貨物の梱包・準備・積付けによるものか、コンテナ又は輸送用具の不適合によるものかを分けて確認する必要があります。

ICC 2009 Clause 4.3では、コンテナ内への貨物の積付けも、一定の場合にpackingとして扱われます。

ただし、作業が被保険者又はその従業員によって行われたか、又は保険始期前に行われたかという要件を確認する必要があります。

独立請負業者はClause 4.3上のemployeesには含まれないため、保険始期後に外部のバンニング業者が積付けを行った場合、積付不備があったという事実だけでClause 4.3が当然に適用されるとは限りません。

一方、Clause 5.1.2は、コンテナ又は輸送用具そのものが安全運送に不適合である場合の免責です。

Clause 5.1.2では、コンテナの欠陥だけでなく、積込み時期、作業主体及び積込み時における不適合の認識等を確認します。

Clause 4.3が貨物側の梱包・準備・積付けを中心とするのに対し、Clause 5.1.2は輸送用具側の適合性を中心とする点で異なります。

ICC(A)、ICC(B)及びICC(C)についても、担保危険の確認と、Clause 4.3、Clause 5及び個別条件の確認を分けて行います。

荒天が発生していても、それだけで積付不備又はラッシング不備が否定されるわけではありません。

荒天の程度、貨物重量、重心、固定点、積付位置、ラッシング設計、材料、施工及び船積前の状態を総合して、損害原因を整理します。

積付け、ラッシング、Sea Fastening又はサーベイがWarranty等の契約条件とされている場合は、正式文言、準拠法、履行主体、違反期間、是正及び損害との関係を確認します。

英国法が適用され、契約上の有効な変更がない場合、Insurance Act 2015により、Warranty違反は原則として違反期間中の責任停止として扱われます。

非消費者保険では、一定の透明性要件を満たす契約条項によって法定の原則が変更される場合もあるため、保険証券の全文確認が必要です。

フォワーダー又はNVOCCは、荷主から受けた重量、重心、固定点及び取扱条件を関係業者へ正確に伝達し、実際の受託範囲に応じて作業業者の手配、条件確認及び証拠保全を行う必要があります。

事故発生後は、貨物保険請求、運送人責任、梱包・バンニング・荷役・ラッシング業者の責任及びフォワーダー賠償責任を混同せず、契約と証拠に基づいて分けて整理することが重要です。

同義語・別表記

  • 積付不備
  • ラッシング不備
  • 固縛不備
  • 固定不備
  • Improper Stowage
  • Insufficient Lashing
  • Lashing Failure
  • Stowage Defect
  • 積付事故
  • 荷崩れ
  • 貨物移動

関連用語

公式情報