NVOCC倶楽部の制度解説
NVOCC倶楽部の制度解説
NVOCC CLUB(Non Vessel Operating Common Carrier Club)は、特定非営利活動法人外航利用運送事業者倶楽部の略称です。
日本国内に事務所を有するNVOCC事業者及び関連企業を主な対象とする、任意加入・非営利の実務支援団体です。
NVOCC CLUBの主たる活動は、国際輸送に伴うリスクの観点から、NVOCC及びフォワーダーが理解しておくべき情報を収集、整理し、会員その他の関係者へ提供することにあります。
対象となるリスクには、貨物事故、House B/L発行者としての運送人責任、責任制限、貨物運送賠償責任保険、貨物海上保険、共同海損、船上火災、危険物申告、貨物引渡し、海外代理店、米国向け輸送におけるFMC対応等があります。
国際運送書類、B/L裏面約款、FCR関連資料、研修、セミナー及び業務支援システムは、それぞれ独立した事業を並列的に行うというより、国際輸送リスクに関する情報を実務へ反映し、会員事業者の事故防止、責任管理及び業務品質向上を支えるための手段として位置付けられます。
ただし、NVOCC CLUBへ加入したり、NVOCC CLUBが整備した書類を使用したりするだけで、個別案件の法務、保険、FMC対応、事故対応又は貨物引渡し判断が自動的に完了するわけではありません。
会員各社は、自社が発行するB/L、Waybill及びFCRの意味、適用約款、責任区間、責任制限、保険条件、海外代理店との契約関係及び各国法令を理解したうえで業務を行う必要があります。
この記事で扱う範囲
本記事では、NVOCC CLUBの団体としての位置付けと、国際輸送リスクに関する情報提供を主軸とする活動の実務上の意味を整理します。
| 項目 | この記事で扱う内容 | 個別確認が必要な内容 |
|---|---|---|
| 団体の位置付け | NPO法人、任意加入団体及び実務支援団体としての性格 | 最新の法人情報、役員及び会員情報は公式サイトで確認する |
| 主たる活動 | 国際輸送リスクに関する情報の収集、整理及び提供 | 個別事故の法的責任判断は案件ごとに確認する |
| 運送書類 | B/L、Waybill、FCR及び裏面約款を整備する実務上の意味 | 各書類の具体的な発行条件及び約款解釈 |
| 運送人責任 | NVOCCがHouse B/L発行者として請求を受ける基本構造 | 事故区間、適用法、責任制限及び免責の個別判断 |
| 保険 | 貨物運送賠償責任保険と貨物海上保険の基本的な違い | 各社の保険証券、免責、限度額及び事故通知義務 |
| 米国向け輸送 | FMC、OTI、Tariff及びBondを別途確認する必要性 | 各会員の登録状況及び最新の米国制度 |
| 研修・セミナー | 事故及び責任に関するリスク情報を共有する手段 | 開催日、参加条件及び個別プログラム |
| システム支援 | 書類発行及び情報管理上の事故を減らす補助基盤 | 各システムの機能、料金及び利用条件 |
NVOCC CLUBとは
NVOCC CLUBは、特定非営利活動法人外航利用運送事業者倶楽部が運営する、NVOCC事業者及び国際物流関連企業向けの団体です。
英文名はNon Vessel Operating Common Carrier Club、略称はNVOCC CLUBです。
国際物流の実務では、貨物を運ぶ手配だけでなく、運送人責任、B/L約款、貨物事故、責任制限、保険、海外代理店、共同海損、危険物申告及び各国制度を理解する必要があります。
しかし、中小規模のNVOCC又はフォワーダーが、自社だけで各国制度、事故例、約款、保険及び判例・実務情報を継続的に収集することは容易ではありません。
NVOCC CLUBは、この情報格差を補い、国際輸送に伴うリスクを会員が理解し、事故防止及び事故発生後の対応へ活用できるよう情報提供を行う団体として位置付けられます。
活動の主軸は国際輸送リスクに関する情報提供
NVOCC CLUBの活動を理解する際は、書類販売、システム、セミナー等を同じ比重で並べるのではなく、国際輸送リスクに関する情報提供を中心に整理する必要があります。
運送書類及び約款は、運送人責任、免責、責任制限、準拠法及び裁判管轄等のリスク情報を、実際の契約書類へ反映するためのものです。
セミナー及び講演会は、貨物事故、共同海損、船上火災、危険物、貨物保険及び賠償責任保険等の情報を、会員の経営者及び実務担当者へ提供する手段です。
業務支援システムは、B/L記載ミス、貨物情報の転記ミス、書類管理漏れ及び事故対応情報の散逸等を減らすための補助基盤です。
| 活動の位置付け | 主な内容 | 国際輸送リスクとの関係 |
|---|---|---|
| 主軸 | 国際輸送リスクに関する情報の収集、整理、注意喚起及び提供 | 事故防止、責任認識及び事故発生後の初動判断を支える |
| 情報提供手段 | 研修、セミナー、講演、会員向け案内及び資料 | 貨物事故、共同海損、船上火災、保険等を実務者へ伝える |
| 契約実務への反映 | B/L、Waybill、FCR、裏面約款及び関連書式 | 責任区間、免責、責任制限及び貨物引渡し条件を文書化する |
| 運用上の補助 | 書類発行及び業務管理に関するシステム支援 | 入力、転記、発行及び管理ミスによるリスクを減らす |
| 周辺支援 | 関係先との連携及び実務情報の共有 | 個社だけでは収集しにくい情報を補完する |
NVOCCという業態
NVOCCとは、Non Vessel Operating Common Carrierの略で、自ら船舶を保有・運航せず、荷主に対して自己の名義で国際輸送サービスを提供する事業者をいいます。
NVOCCは、実際の海上輸送を船会社へ委託しながら、荷主に対してHouse B/L又はWaybillを発行することがあります。
この場合、NVOCCは、荷主との関係において単なる船会社の紹介者又は取次者ではなく、契約上の運送人として責任を問われる可能性があります。
貨物事故が船会社、港湾荷役業者、倉庫、トラック会社又は海外代理店の作業中に発生した場合でも、荷主又は貨物保険会社から、House B/L発行者であるNVOCCへ請求が行われる場合があります。
したがって、NVOCCには、次のリスクを理解する必要があります。
- House B/L発行者として負う契約上の運送人責任
- 事故区間と適用される法律・条約・約款
- 免責及び責任制限
- 貨物引渡し及びOriginal B/L管理
- 下請先又は実運送人への求償
- 貨物運送賠償責任保険の対象範囲
- 外国での訴訟及び海外代理店の対応
NVOCC CLUBの主たる存在意義は、これらのリスクに関する情報を提供し、会員が自社の契約上の地位を理解できるよう支えることにあります。
NPO法人としての位置付け
NVOCC CLUBは、特定非営利活動法人として運営されています。
国際物流業界には、大手企業だけでなく、中小規模のNVOCC及びフォワーダーも多く存在します。
これらの事業者が、法務、保険、事故対応、海外制度、情報システム及び人材教育の全てを自社内だけで整備することは容易ではありません。
NVOCC CLUBは、会員各社が単独では入手又は整理しにくい国際輸送リスク情報を共有し、実務担当者の理解及び事故対応力を高めるための基盤を提供します。
規制当局、強制加入団体又は個別紛争の裁定機関ではありません。
会員への情報提供及び実務支援を行う一方、個別案件における最終的な契約判断、法的判断、保険判断及び貨物引渡し判断は、各会員事業者が自社の責任で行う必要があります。
正会員と賛助会員
NVOCC CLUBの会員には、正会員と賛助会員があります。
| 会員区分 | 主な位置付け | 実務上の役割 |
|---|---|---|
| 正会員 | NVOCC業務又は国際物流実務を行う事業者 | 国際輸送リスク情報、書類、研修及びシステムを実務へ活用する |
| 賛助会員 | NVOCC CLUBの活動を支援する関連企業 | 保険、システム、法務、事故対応その他の専門分野から活動を支える |
正会員と賛助会員が連携することで、NVOCCの現場で生じる問題と、保険、システムその他の専門情報を接続しやすくなります。
会員数、会員構成及び具体的な利用条件は変更される可能性があるため、最新情報は公式サイトで確認します。
NVOCC CLUBの主な事業内容
| 事業内容 | 提供される情報・支援 | 主な利用者 | 実務上の目的 |
|---|---|---|---|
| 国際輸送リスク情報の提供 | 運送人責任、貨物事故、責任制限、保険、共同海損、危険物、海外制度等の情報 | NVOCC、フォワーダー、経営者、管理部門及び事故担当者 | 国際輸送に伴うリスクを把握し、事故防止及び事故対応へ活用する |
| 研修・講演会等の開催 | 貨物事故、共同海損、船上火災、受取拒否、危険物申告及び保険等の研修 | 会員企業の実務担当者、管理者及び経営者 | 日常業務だけでは学びにくいリスク情報を継続的に共有する |
| 国際運送書類及び約款の整備・提供 | B/L、Waybill、FCR、裏面約款及び関連書式 | NVOCC、フォワーダー及び国際物流会社 | リスク情報を契約書類及び貨物引渡し実務へ反映する |
| 業務支援システム | B/L・Waybill発行、貨物情報及び業務管理の支援 | NVOCC、フォワーダー及び海貨業者 | 書類発行ミス、転記ミス及び管理漏れを減らす |
| 会員向け情報共有・周辺支援 | 注意喚起、制度情報、関係先との連携及び実務資料 | 会員事業者及び関連企業 | 個社では収集しにくい情報を継続的に補完する |
書類、研修及びシステムは、国際輸送リスク情報の提供という中心的な活動を、契約、教育及び日常業務へ具体化するための支援手段です。
国際輸送リスク情報の主な対象
| リスク分野 | 主な論点 | NVOCC実務への影響 |
|---|---|---|
| 貨物事故 | 破損、濡損、紛失、盗難、温度変化及び荷役事故 | 事故通知、Survey、責任判断及び求償が必要になる |
| 運送人責任 | House B/L発行者としての契約責任 | 実運送人の事故でも荷主から直接請求を受ける場合がある |
| 責任制限 | Package又は重量を基準とする責任限度 | 貨物価額全額を賠償するとは限らない |
| 貨物引渡し | Original B/L、Surrender、銀行裏書及びD/O | 誤引渡し又は代金未回収につながる |
| 貨物運送賠償責任保険 | 法律上又は契約上の賠償責任、免責及び限度額 | 請求を受けても保険で全額処理できるとは限らない |
| 貨物海上保険 | 荷主側の物保険、保険条件、航路及び事故原因 | NVOCC側の賠償責任保険と混同してはならない |
| 共同海損 | 分担金、保証状、保険会社及び貨物Release | 貨物が無傷でも対応が必要となる場合がある |
| 危険物 | 品名、危険性、SDS、申告及び積付 | 不申告は火災、船積拒否及び高額賠償につながる |
| 米国制度 | FMC、OTI、Tariff、Bond及び米国向けB/L | 日本国内の登録とは別の制度対応が必要となる場合がある |
| 海外紛争 | 準拠法、裁判管轄、外国訴訟及び海外代理店 | 日本の約款だけでは紛争地を完全に統制できない場合がある |
運送書類の役割
NVOCC CLUBが整備する国際運送書類は、単なる印刷物又は事務書式ではありません。
NVOCCがHouse B/L又はWaybillを発行する場合、その書類は、貨物受領の証拠、運送契約の証拠及び貨物引渡しの基礎として機能します。
裏面約款には、運送区間、運送人責任、免責、責任制限、下請権限、準拠法、裁判管轄及び貨物引渡し等に関する規定が置かれることがあります。
したがって、書類を利用する会員は、表面へ必要事項を入力するだけでなく、書類がどのような責任を生じさせ、どのようなリスクを管理するために設計されているかを理解する必要があります。
B/L・Waybill・FCRの違い
| 書類 | 主な性質 | 貨物引渡しとの関係 | 決済上の注意点 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|---|
| B/L | 貨物受領証、運送契約の証拠及び権利証券としての性質を持つ場合がある | Original B/Lの呈示、裏書又はSurrenderが関係する | L/C又は銀行取引の重要書類となる場合がある | 発行者、Consignee、運送区間及び裏面約款を確認する |
| Waybill | 貨物受領及び運送契約の証拠となるが、通常は権利証券ではない | 記載されたConsigneeへの引渡しが中心となる | L/Cで使用できるかは信用状条件による | 迅速な引渡しができる反面、代金回収のHoldを別に管理する |
| FCR | フォワーダーが貨物を受領したことを示す書類 | 通常、B/Lと同じ貨物引渡し請求権を表章しない | 売買契約又はL/Cが受け入れるかを確認する | 何を証明し、何を証明しない書類かを説明する |
特にFCRは、B/Lの代替として当然に使用できる書類ではありません。
貨物受領、運送契約、貨物引渡し及び決済における役割を分けて理解する必要があります。
NVOCC CLUBのB/Lの特徴
NVOCC CLUBの運送証券は、NVOCC実務において会員が使用することを想定して整備されています。
受取船荷証券としての形式を基本とし、本船名、船積港又は船積日の追記によって船積船荷証券として使用することを想定する場合があります。
また、複合運送証券という名称であっても、Port-to-Portの海上輸送へ対応する規定が置かれる場合があります。
会員が使用する際は、次の事項を確認します。
- 自社が発行者として表示されることの意味
- 表面記載と裏面約款の整合
- 貨物受領地、船積港、揚地港及び引渡地
- House B/LとOcean B/Lの契約階層
- 実運送人及び下請先との契約
- Original、Surrender又はWaybillの貨物引渡し条件
国際海上物品運送法との関係
NVOCCが日本発着貨物についてHouse B/Lを発行する場合、国際海上物品運送法との関係が問題になることがあります。
適用法、運送区間、事故区間及びB/L約款によって、運送人責任、免責及び責任制限の整理が異なる場合があります。
NVOCCは、B/Lを発行するだけでなく、その書類がどの法令、条約及び約款に基づいて責任を定めているかを理解する必要があります。
NVOCC CLUBによる書類及びリスク情報の提供は、この理解を支える実務基盤として機能します。
責任制限額の実務上の意味
国際海上物品運送では、運送人に責任が認められる場合でも、貨物価額全額が常に賠償されるとは限りません。
適用法又は約款により、666.67SDR/package又は2SDR/kgのいずれか高い金額が責任制限として問題となる場合があります。
| 確認項目 | 実務上の意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| 貨物価額 | 荷主の実損額を算定する基礎となる | 実損額と運送人の責任限度は一致しない場合がある |
| Package | 責任制限の計算単位となる場合がある | B/L上の個数及び梱包表示を確認する |
| 重量 | kgを基準とする制限額と比較される場合がある | 損傷部分の重量又は貨物全体の重量が問題となる場合がある |
| 事故区間 | 海上、航空又は陸上のどこで事故が起きたか | 適用される責任制度が変わる場合がある |
| B/L約款 | 責任制限、免責、準拠法及び裁判管轄の根拠となる | 表面だけでなく裏面約款を確認する |
荷主にとっては、運送人から貨物価額全額を回収できない可能性があるため、貨物海上保険を検討する必要があります。
NVOCCにとっては、自社の責任限度と貨物運送賠償責任保険の限度額・免責を確認する必要があります。
貨物運送賠償責任保険との関係
NVOCCは、自ら船舶を運航していなくても、House B/L発行者として荷主から損害賠償請求を受けることがあります。
また、荷主の貨物海上保険会社が保険金を支払った後、代位によりNVOCCへ求償する場合があります。
貨物運送賠償責任保険は、NVOCCが負う法律上又は契約上の賠償責任に対応するための保険です。
ただし、請求を受けたという事実だけで、全ての金額が保険から支払われるわけではありません。
| 確認事項 | 主な内容 |
|---|---|
| 被保険業務 | NVOCC、フォワーディング、通関、倉庫、配送等のどこまでが対象か |
| 法律上・契約上の責任 | 自社に賠償責任が認められるか |
| 保険金額・限度額 | 1事故、1貨物、年間総額等の限度 |
| 免責 | 故意、重大な法令違反、無申告危険物、契約上の加重責任等 |
| 事故通知 | 保険会社へ通知すべき時期及び必要書類 |
| 海外訴訟費用 | 外国での訴訟、弁護士費用及び防御費用の取扱い |
| 求償 | 船会社、倉庫、トラック会社及び海外代理店への回収 |
離路と貨物海上保険との関係
NVOCCの運送約款では、安全又は運航上の理由による航路変更、積替え又は離路の取扱いが定められる場合があります。
一方、荷主が付保する貨物海上保険では、航路変更、輸送中断又は保管が保険期間及び担保継続へ影響する場合があります。
NVOCC側の運送約款と荷主側の貨物海上保険は、それぞれ目的が異なります。
運送約款上離路が認められることと、貨物海上保険上の全ての損害が補償されることは同じではありません。
航路変更又は輸送中断が判明した場合は、荷主、NVOCC及び保険関係者が情報を共有し、保険条件及び貨物保全措置を確認する必要があります。
米国向け輸送とFMC対応
米国向け貨物を取り扱うNVOCCは、FMC、OTI、Tariff、Bond及び米国向けB/L条件等を確認する必要があります。
NVOCC CLUBの運送書類を使用することと、各会員事業者が米国制度上必要な登録・公示・保証を行うことは別の問題です。
| 確認項目 | 実務上の意味 |
|---|---|
| FMC | 米国海運制度を所管する機関との関係 |
| OTI | Ocean Transportation Intermediaryとしての登録・資格 |
| Tariff | 運賃・条件の公示及び適用関係 |
| Bond | 制度上必要となる保証又は担保 |
| 米国向けB/L | 米国法及び制度を踏まえた約款・記載 |
米国向け輸送を開始する前に、自社の登録状況、OTI番号、Tariff、公示、Bond及びB/L条件を個別に確認する必要があります。
準拠法・裁判管轄
NVOCCの運送約款では、準拠法及び裁判管轄が定められることがあります。
日本法及び東京地方裁判所の専属管轄を定めていても、外国の荷主、荷受人、保険会社又は実運送人から外国で提訴された場合に、その外国裁判所が条項をどのように扱うかは、現地法及び個別事案によります。
したがって、準拠法・裁判管轄条項は重要ですが、外国で訴えられる可能性を完全に排除するものではありません。
NVOCCは、約款の内容だけでなく、海外訴訟費用、現地弁護士、海外代理店の協力及び賠償責任保険の対応範囲を確認する必要があります。
国土交通省認可と著作権・利用条件
NVOCC CLUBの運送書類には、国土交通省の認可に関する情報が示される場合があります。
また、運送書類、約款、書式及び関連資料には、著作権又は利用条件が定められている場合があります。
会員が利用する際は、認可情報だけでなく、利用規定、誓約書、注文手続及び概要書の内容を確認します。
認可された又は整備された書式を使用していることだけで、個々の記載、運送契約、貨物引渡し及び事故対応が適切であることまで保証されるわけではありません。
FCR・標準取引条件との関係
NVOCC CLUBでは、FCR及び標準取引条件に関する資料が提供されることがあります。
FCRは、Forwarder’s Certificate of Receiptの略で、フォワーダーが貨物を受領したことを示す書類です。
FCRは、通常、B/Lと同じ有価証券又は貨物引渡し請求権を表章する書類ではありません。
| 確認項目 | 実務上の意味 |
|---|---|
| 発行者 | 実際にFCRを発行するフォワーダー法人を確認する |
| Forwarder’s Principal | 発行者へ業務を依頼又は指図する相手を確認する |
| 受領証明 | 何を、いつ、どの状態で受領したかを確認する |
| 運送契約 | FCRとは別に誰が運送を引き受けるかを確認する |
| 決済 | 売買契約又はL/C条件がFCRを受け入れるかを確認する |
| House B/Lとの接続 | 後続のHouse B/Lを誰が発行・管理するかを確認する |
セミナー・研修活動
NVOCC CLUBのセミナー及び研修は、国際輸送リスク情報を会員へ提供する主要な手段の一つです。
国際輸送事故は、同じ種類の事故が頻繁に発生する一方、日常業務だけでは責任関係又は保険実務を体系的に学びにくいという特徴があります。
研修テーマとしては、次のような内容が考えられます。
- 荷主と運送人の責任範囲
- House B/L発行者の契約責任
- 貨物事故の初動対応
- 共同海損と保証状
- 船上火災
- 危険物の誤申告・未申告
- 受取拒否貨物
- 貨物海上保険と貨物運送賠償責任保険
- 責任制限及び求償
- 海外代理店との事故対応
セミナーへの参加だけで実務対応が完了するわけではありませんが、事故が発生する前に基本構造を理解し、社内手順を整備するうえで有用です。
システム支援
システム支援は、NVOCC CLUBの中心目的そのものではなく、国際輸送リスクを実務上管理するための補助的な手段として位置付けられます。
NVOCC業務では、見積、Booking、貨物情報、B/L、Waybill、請求、保険及び事故記録等の情報を正確に管理する必要があります。
システムによって、次のようなリスクの低減が期待されます。
- Shipper、Consignee及びNotify Partyの転記ミス
- 品名、個数、重量及び容積の入力ミス
- B/L番号又は書類版の管理漏れ
- Original、Surrender及びWaybillの取扱いの混同
- 貨物事故情報及び通知期限の管理漏れ
- 請求・回収・海外代理店精算情報の不一致
ただし、システムは入力された情報を自動的に法的に正しい内容へ修正するものではありません。
最終的には、担当者が貨物、契約、書類及び責任関係を理解して使用する必要があります。
NVOCC CLUB利用時の確認フロー
| 局面 | 確認する人 | 確認事項 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|
| 加入検討時 | 経営者、管理部門及び実務責任者 | 会員区分、情報提供、書類、研修、システム及び費用 | 加入目的をリスク情報の取得及び実務改善として明確にする |
| 情報受領時 | 経営者、管理者及び担当者 | 事故情報、注意喚起、制度変更及び社内への影響 | 受け取った情報を社内手順へ反映する |
| 運送書類利用開始時 | NVOCC、法務、管理部門及び書類担当 | B/L、Waybill、FCR、裏面約款及び利用条件 | 書類の法的性質と責任範囲を理解してから使用する |
| B/L発行時 | 営業、業務及び書類担当 | Shipper、Consignee、Notify Party、運送区間、品名、個数及び重量 | 表面記載と裏面約款の適用関係を確認する |
| 貨物事故発生時 | 事故担当、保険担当及び管理部門 | 事故区間、B/L約款、責任制限、保険及び実運送人 | 責任を認める前に、保険会社へ通知し証拠を保存する |
| 米国向け貨物取扱時 | NVOCC、法務及び海外担当 | FMC、OTI、Tariff、Bond及び米国向けB/L | 書類利用と登録・公示を別に確認する |
| 研修後 | 経営者、教育担当及び実務責任者 | 社内手順、事故連絡先、書類及び保険の見直し | 受講のみで終わらせず、業務改善へ反映する |
確認すべき情報・書類
| 区分 | 確認すべき情報・書類 | 確認目的 |
|---|---|---|
| 会員関係 | 会員資格、正会員・賛助会員、入会案内及び会員規約 | 利用可能な情報・サービスと自社の立場を確認する |
| リスク情報 | 注意喚起、事故情報、研修資料、制度変更情報及び会員案内 | 事故防止及び社内手順の改善へ活用する |
| 運送書類 | B/L、Waybill、FCR、利用規定、誓約書及び注文書 | 発行書類の種類、法的性質及び利用条件を確認する |
| 約款 | 裏面約款、責任制限、免責、準拠法及び裁判管轄 | 事故時の契約責任を確認する |
| 登録・法令 | 外航利用運送事業登録、事業約款及び認可情報 | 自社の登録・約款利用関係を確認する |
| 米国向け | FMC、OTI番号、Tariff、Bond及び米国向けB/L条件 | 米国制度への対応状況を確認する |
| 保険 | 貨物運送賠償責任保険、フォワーダー保険及び保険条件 | 請求を受けた場合の保険対応を確認する |
| 取引関係 | 顧客契約、海外代理店契約、Booking及び下請契約 | 事故時の責任階層及び求償先を整理する |
| 教育・運用 | 社内マニュアル、書類発行手順、事故対応手順及びシステム手順 | 提供された情報を実務へ反映する |
よくある誤解
| よくある誤解 | 実務上の考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| NVOCC CLUBは主として書類を販売する団体である | 主たる活動は国際輸送リスクに関する情報提供であり、書類はその情報を実務へ反映する手段である | 団体の活動を単なる書式提供として捉えない |
| 加入すれば個別案件の問題を解決してもらえる | 情報及び実務支援を提供する団体であり、各案件の最終判断は会員が行う | 必要に応じて弁護士、保険会社その他の専門家へ確認する |
| NVOCC CLUBのB/Lを使用すれば責任は発生しない | House B/Lを発行すれば、荷主との関係で運送人責任を問われる場合がある | 発行者、責任区間及び約款を理解する |
| NVOCC CLUBのB/Lを使えばFMC対応も完了する | FMC登録、Tariff及びBond等は各社が別途確認する | 米国向け輸送開始前に登録状況を確認する |
| FCRはB/Lの代わりに使用できる | FCRは通常、貨物受領を示す書類であり、B/Lとは性質が異なる | 決済及び貨物引渡しへの影響を確認する |
| 貨物運送賠償責任保険があれば全額補償される | 法律上又は契約上の責任、免責及び限度額に基づいて判断される | 責任制限、事故区間及び事故通知義務を確認する |
| 実運送人が事故を起こしたためNVOCCには責任がない | House B/L発行者は、荷主から契約運送人として請求を受ける場合がある | 荷主への対応と実運送人への求償を分ける |
| 準拠法・裁判管轄を定めれば外国で訴えられない | 外国裁判所が条項をどのように扱うかは現地法及び事案による | 海外訴訟及び保険対応も想定する |
| セミナーへ参加すれば社内のリスク管理は完成する | 得た情報を社内手順、書類及び保険へ反映する必要がある | 受講後の業務改善を行う |
| システムを導入すれば書類内容も自動的に正しくなる | システムは入力・管理を支援するが、法的判断を代行しない | 担当者教育と確認手順を維持する |
具体例1:貨物事故情報を社内手順へ反映する場合
NVOCC CLUBから、輸入貨物の濡損事故について、受領時の写真不足及び実運送人への事故通知遅延により求償が困難になった事例が共有されたとします。
会員NVOCCは、情報を受け取るだけでなく、社内の事故対応手順を見直します。
具体的には、荷受人から事故連絡を受けた場合の写真項目、開梱前の現状保存、Survey手配、船会社・倉庫へのClaim Notice及び保険会社への通知期限をマニュアルへ追加します。
このように、NVOCC CLUBの情報提供は、個別事故を代行して処理することではなく、会員が同種事故の再発防止及び初動改善へ活用することに意味があります。
具体例2:House B/Lを発行したNVOCCが請求を受ける場合
NVOCCが荷主へHouse B/Lを発行し、実際の海上輸送を船会社へ委託していたとします。
輸送中に貨物が損傷すると、荷主又は貨物保険会社は、実際に貨物を取り扱った船会社だけでなく、House B/L発行者であるNVOCCへ請求する場合があります。
NVOCCは、単に「船会社の事故である」と回答するのではなく、House B/L、裏面約款、事故区間、責任制限、貨物運送賠償責任保険及び船会社への求償可能性を確認します。
この構造を事前に理解することが、国際輸送リスク情報を提供する団体の重要な役割です。
具体例3:FCRをB/Lと誤解した場合
荷主がFCRをOriginal B/Lと同じ書類と考え、FCRの所持によって貨物引渡しを止められると理解していたとします。
しかし、FCRは通常、貨物受領を示す書類であり、B/Lと同じ貨物引渡し請求権を表章するものではありません。
フォワーダーは、FCRを発行する前に、何を証明する書類であるか、後続のHouse B/Lを誰が管理するか、貨物Releaseをどのように管理するかを説明する必要があります。
NVOCC CLUBがFCR資料及び標準取引条件に関する情報を提供する目的は、このような書類の誤解による事故を防ぐことにあります。
具体例4:米国向け貨物でFMC対応を確認する場合
日本のNVOCCが、NVOCC CLUBのB/Lを利用して米国向け貨物を取り扱うことを検討したとします。
書類を利用できることと、FMC、OTI、Tariff及びBondに関する制度対応が完了していることは別です。
会員は、NVOCC CLUBから得た情報を基に、自社の登録状況、Tariff公示、Bond及び米国向けB/L条件を確認します。
必要な登録又は公示が不足している場合は、貨物取扱開始前に制度対応を行います。
具体例5:共同海損情報を顧客対応へ活用する場合
船上火災等により共同海損が宣言されると、貨物が損傷していなくても、荷主へ共同海損保証状又は分担金に関する案内が必要となる場合があります。
実務担当者が共同海損の基本構造を知らなければ、荷主へ「貨物は無傷なので費用は発生しない」と誤った説明をする可能性があります。
NVOCC CLUBの研修又は情報提供を通じて、共同海損、貨物海上保険、保証状及び貨物Releaseの関係を事前に理解しておくことで、事故発生後の顧客説明を円滑にできます。
まとめ
NVOCC CLUBは、特定非営利活動法人外航利用運送事業者倶楽部が運営する、NVOCC事業者及び国際物流関連企業向けの任意・非営利団体です。
その主たる活動は、国際輸送に伴う貨物事故、運送人責任、責任制限、保険、共同海損、危険物、海外代理店及びFMC対応等について、リスクの観点から情報を収集、整理し、提供することにあります。
B/L、Waybill、FCR及び裏面約款の整備は、リスク情報を契約及び貨物引渡し実務へ反映するための支援です。
セミナー及び研修は、国際輸送リスク情報を経営者及び実務担当者へ共有するための手段です。
システム支援は、書類発行、貨物情報及び事故記録等の管理ミスを減らし、リスク管理を日常業務へ組み込むための補助基盤です。
したがって、NVOCC CLUBを、書類、システム及び研修を並列的に提供する団体とだけ説明するのは十分ではありません。
国際輸送リスクに関する情報提供を主軸とし、その情報を実務へ反映するために、運送書類、研修、システムその他の支援を備える団体として理解するのが適切です。
ただし、加入又は書類利用によって、個別案件の法務、保険、貨物引渡し、FMC対応及び事故対応が自動的に完了するわけではありません。
会員各社は、NVOCC CLUBから提供される情報を、自社のB/L、約款、保険、海外代理店契約、社内手順及び担当者教育へ具体的に反映する必要があります。
同義語・別表記
関連用語
公式情報
- 公式ホームページ: https://www.nvocc-club.or.jp/
