1963年版協会貨物約款(ICC 1963)解説

概要

1963年版協会貨物約款(ICC 1963/Institute Cargo Clauses 1963)は、1982年にICC(A)・ICC(B)・ICC(C)へ再編される前に使用されていた外航貨物海上保険の標準約款です。

ICC 1963では、補償条件をAll Risks、W.A.(With Average)及びF.P.A.(Free from Particular Average)の三つに分けていました。

ただし、ICC 1963は、現在のICC(A)・ICC(B)・ICC(C)と名称だけが異なる旧版ではありません。1963年版は、S.G. Policy Formの証券本文、Memorandum、欄外約款、イタリック書体約款、協会貨物約款、戦争約款、ストライキ・暴動・騒乱約款及び個別特約を一体として読む構造でした。

したがって、All RisksをICC(A)、W.A.をICC(B)、F.P.A.をICC(C)へ機械的に置き換えることはできません。担保危険、免責歩合、座礁・沈没・大火災等の特定事故、貨物一個ごとの全損、共同海損、救助料及び特別費用の扱いを、実際の保険証券と約款本文から確認する必要があります。

本記事は、ICC 1963固有の約款構造、All Risks・W.A.・F.P.A.の違い、S.G. Policy Formとの関係及び旧証券を読む実務手順を扱います。

本記事の固有担当範囲

項目 この記事で扱う内容 他記事で扱う内容
ICC 1963の位置付け S.G. Policy Formと一体で使用された旧約款体系 外航貨物海上保険(Ocean Marine Cargo Insurance)で制度全体を扱う
All Risks条件 Clause 5の包括的担保と免責歩合不適用 現行ICC(A)の詳細は協会貨物約款(ICC-A・ICC-B・ICC-C)の違いで扱う
W.A.条件 証券記載の免責歩合と分損担保の構造 現行ICC(B)との相違は比較記事で扱う
F.P.A.条件 単独海損不担保と列挙された例外 現行ICC(C)との相違は比較記事で扱う
免責歩合 MemorandumとFranchiseの考え方 一般的な免責金額・保険金計算は別記事で扱う
特定事故 座礁、沈没、大火災、火災、爆発、衝突等の条文上の効果 個別事故の近因判断は保険条件・担保危険の記事で扱う
保険期間 1963年版Clause 1・2・4の構造 現行約款を含む詳細は外航貨物海上保険の保険期間で扱う
共同海損・救助料 Clause 7及びF.P.A.でも重要となる費用 費用区分の詳細は外航貨物海上保険の費用損害で扱う
免責 旧約款の遅延・貨物固有の性質・戦争・ストライキ等 現行免責は外航貨物海上保険で補償されない損害で扱う
ICC 1982・ICC 2009 1963年版からの体系変更の概要 ICC2009約款及びICC2009新約款の主な変更点で詳細を扱う
MIA 1906 Section 55等との基本的な接続 準拠法・判例による詳細な近因判断は専門記事で扱う
フォワーダー実務 旧証券の確認、資料伝達及び権限の限界 運送人責任・保険募集規制は各専門記事で扱う

ICC 1963が現在も問題になる場面

ICC 1963は現在の標準的な新規契約では主流ではありませんが、次のような場面では現在でも確認が必要です。

場面 ICC 1963を確認する理由 主な確認資料 注意点
過去に発生した事故の再検討 事故当時の保険証券に1963年版が組み込まれている 原証券、約款、事故記録 現在のICCを遡って適用しない
長期契約・長期保管文書 古い基本契約が改定されず残っている場合がある Open Policy、endorsement 実際に適用される版を確認する
海外取引先の保険証明書 All Risks、W.A.、F.P.A.の表示が残っている Insurance Certificate、Policy 条件名だけで補償範囲を判断しない
L/Cの古い定型文言 W.A.又はF.P.A.を要求する文言が残る場合がある L/C、売買契約 書類適合と実際の補償を分ける
旧事故の訴訟・求償 当時の約款と準拠法が争点となる 証券、B/L、訴訟資料 現在法の適用関係を確認する
社内規程・保険マニュアル 旧用語がそのまま使用されている 社内規程、見積書 現行条件との対応を断定しない
保険実務の歴史的研究 分損・免責歩合の考え方を理解できる S.G. Policy Form、ICC 1963 現行実務と歴史説明を区別する

S.G. Policy FormとICC 1963の関係

ICC 1963の原文には、All Risks、W.A.及びF.P.A.のいずれにも「for use only with S.G. Policy Form」と表示されています。

これは、ICC 1963だけを独立した完全な保険約款として読むのではなく、S.G. Policy Formの証券本文及びMemorandum等と合わせて読むことを意味します。

構成部分 主な役割 実務上の確認 読み落とした場合の問題
S.G. Policy Form本文 基本的な担保危険と保険契約の骨格 証券本文、欄外記載、取消線 何が基本的に担保されるかを誤る
Memorandum 貨物別の分損不担保・免責歩合 貨物分類、3%・5%等の記載 W.A.の少額分損を誤って請求する
Institute Cargo Clauses 保険期間、担保条件、共同海損等を補完する All Risks、W.A.、F.P.A.の指定 三条件の相違を判断できない
War関連条項 戦争危険の除外又は復活担保 Clause 12の削除、War Clauses付帯 戦争危険を自動担保と誤認する
Strikes関連条項 ストライキ・暴動・騒乱の除外又は復活担保 Clause 13の削除、別約款付帯 暴動火災等を通常火災として処理する
個別特約 盗難、雨淡水濡れ、破損等を追加担保する TPND、RFWD、Breakage等 W.A.・F.P.A.の補償範囲を過大評価する

1982年以降のICC(A)・ICC(B)・ICC(C)は、約款本文の中で担保危険と免責を体系的に示します。これに対し、ICC 1963では、S.G. Policy Formと複数の付帯約款を重ねて読む必要がある点が大きな特徴です。

三条件に共通する基本条項

All Risks、W.A.及びF.P.A.では、Clause 5の担保内容が大きく異なります。一方、保険期間、航海変更、推定全損、共同海損、救助料等の多くの条項は共通しています。

条項 主な内容 実務上の意味 確認資料
Clause 1 Transit Clause/Warehouse to Warehouse 出発地から仕向地までの保険期間を定める 搬出・搬入・荷卸し記録
Clause 2 Termination of Adventure 途中で運送契約又は輸送が終了した場合の継続条件 運送打切通知、保険者通知
Clause 3 Craft、raft、lighterによる輸送 本船との間の艀輸送等を扱う 港内運送記録
Clause 4 Change of Voyage 航海変更、貨物・船舶・航海記載の誤りをHeld Coveredとする 変更通知、追加保険料
Clause 5 All Risks、W.A.又はF.P.A.の中心条項 担保される分損の範囲を決める 証券記載条件、損害原因
Clause 6 Constructive Total Loss 推定全損の要件を定める 回収・修理・継搬費用
Clause 7 General Average and Salvage Charges 共同海損分担金及び救助料を扱う Average Adjustment、救助資料
Clause 8 Seaworthiness Admitted 被保険者と保険者の間で船舶の堪航性を承認する 被保険者の関与・認識
Clause 9 損害防止及び第三者への権利保全 合理的な損害軽減措置と運送人請求を求める Claim Notice、作業記録
Clause 10 Not to Inure 運送人・受寄者の利益のために保険を利用させない B/L、責任契約
Clause 11 Both to Blame Collision 一定の衝突責任請求を補償対象へ接続する B/L、船主請求
Clause 12 戦争危険等の免責 War Clausesを別途確認する 証券、War付帯
Clause 13 ストライキ・暴動・騒乱免責 別のStrikes関連約款を確認する 証券、事故原因
Clause 14 Reasonable Despatch 被保険者の支配範囲で合理的迅速性を求める 遅延理由、対応記録

All Risks条件

ICC 1963のAll Risks Clauseは、被保険貨物の滅失又は損傷の一切の危険を担保する包括的な条件です。

ただし、Clause 5は、遅延又は貨物固有の瑕疵・性質を近因とする滅失、損傷又は費用を担保しないことを明示しています。また、Clause 12及びClause 13による戦争・ストライキ等危険の免責、S.G. Policy Formの規定及び個別特約も確認しなければなりません。

All Risks Clauseには、「Claims recoverable hereunder shall be payable irrespective of percentage」と規定されています。したがって、All Risksで回収可能な損害には、W.A.で問題となる免責歩合は適用されません。

確認項目 All Risksの基本的な考え方 注意点 主な資料
担保方式 包括的な危険担保 被保険者側は偶然な損害の発生を示す必要がある 事故報告、サーベイ
免責歩合 回収可能な損害は割合にかかわらず支払対象となる 免責金額や個別条件は別途確認する 証券、endorsement
遅延 遅延を近因とする損害・費用は対象外 遅延中の別の物的事故は分けて検討する 輸送日程、事故原因
貨物固有の性質 貨物自身の性質による損害は対象外 外部事故の有無を確認する 品質、温度、出荷前状態
梱包 1963年Clause 5には現行ICC Clause 4.3型の明文免責がない 偶然性、近因、固有の性質、証券文言から判断する 梱包設計、外部衝撃記録
戦争・ストライキ Clauses 12・13で除外される 削除・別約款付帯の有無を確認する 保険証券一式

現行ICC(A)には、梱包不十分、不堪航・不適合、核兵器等を含む免責構造が明文化されています。1963年All Risksを現行ICC(A)と同一視すると、明文免責の構造を誤る可能性があります。

W.A.条件

W.A.はWith Averageの略で、日本語では一般に分損担保と呼ばれます。

W.A. Clause 5は、共同海損である場合又は船舶・艀が座礁、沈没若しくは大火災に遭った場合を除き、証券に記載された割合未満の分損を担保しないと規定しています。

この割合は、損害額から一定額を差し引くDeductibleとは異なり、原則として損害割合が基準へ到達すれば回収可能な分損全体が支払対象となるFranchiseです。

また、免責歩合にかかわらず、次の損害が担保される構造になっています。

  • 積込、積替え又は荷卸し中に全損となった貨物一個ごとの保険価額
  • 火災又は爆発に合理的に起因する滅失・損傷
  • 船舶、艀又は輸送用具と水以外の外物との衝突・接触に合理的に起因する滅失・損傷
  • 避難港での荷卸しに合理的に起因する滅失・損傷
  • 共同海損及び救助料
W.A.の判断項目 確認内容 判断への影響 必要資料
証券記載割合 3%、5%その他の割合 通常の単独海損がFranchiseへ到達するか 原証券、Memorandum
損害割合 どの価額・単位を基礎に計算するか Franchise到達の有無 保険価額、損害明細
共同海損 単独海損ではなく共同海損か 免責歩合とは別に扱われる Average Adjustment
座礁・沈没・大火災 航海中に該当事故が発生したか 免責歩合の制限が外れる可能性がある 船会社報告、海難記録
列挙事故との因果関係 火災、爆発、衝突、接触等が原因か 割合にかかわらず担保され得る サーベイ、事故報告
梱包一個の全損 一個全体が積込等で失われたか 他の貨物が無傷でも対象となり得る Tally、荷役記録

F.P.A.条件

F.P.A.はFree from Particular Averageの略で、日本語では一般に分損不担保と呼ばれます。

F.P.A. Clause 5は、船舶又は艀が座礁、沈没若しくは大火災に遭った場合を除き、Particular Average、すなわち単独海損を担保しないことを基本とします。

ただし、F.P.A.は「全損しか補償しない」という単純な条件ではありません。Clause 5は、次の損害及び費用を明示的に扱っています。

  • 積込、積替え又は荷卸し中に全損となった貨物一個ごとの保険価額
  • 火災又は爆発に合理的に起因する滅失・損傷
  • 船舶、艀又は輸送用具と水以外の外物との衝突・接触に合理的に起因する滅失・損傷
  • 避難港での荷卸しに合理的に起因する滅失・損傷
  • 中間寄港地又は避難港で発生した一定の陸揚げ、倉入れ及び継搬の特別費用
  • 共同海損及び救助料
  • 要件を満たす現実全損又は推定全損
F.P.A.の判断項目 通常の結論 例外・追加判断 確認資料
通常の一部分損 原則として単独海損不担保 座礁・沈没・大火災等の有無を確認する 事故報告、船会社資料
梱包一個の全損 積込・積替え・荷卸し中であれば担保され得る 一個全体の全損かを確認する Tally、荷役報告
火災・爆発損害 合理的に起因すれば分損も担保され得る 火災等との因果関係が必要 消防・船会社報告
衝突・接触損害 水以外の外物との接触等に起因すれば担保され得る 単なる荒天・水濡れとは区別する 航海報告、サーベイ
避難港荷卸し損害 合理的に起因すれば担保され得る 通常の仕向港荷役とは区別する 避難港記録
特別費用 一定の陸揚げ・倉入れ・継搬費用を扱う W.A.付きS.G. Policyなら保険者が負担する費用か確認する 請求書、保険者承認
共同海損・救助料 貨物自体が無傷でも担保され得る 保険不足・分担価額を確認する Average Bond、Guarantee

All Risks・W.A.・F.P.A.の比較

比較項目 All Risks W.A. F.P.A. 実務上の注意点
基本方式 包括的危険担保 分損担保と免責歩合 単独海損原則不担保 現行A・B・Cへ機械的に置換しない
Clause 5 all risks、遅延・固有の性質除外 percentage specified in the policy free from Particular Average 三条件の中心的な相違点
免責歩合 回収可能損害は割合不問 原則として適用 Franchiseによる分損担保ではない 証券・Memorandumを確認する
通常の偶発的分損 担保され得る 担保危険・割合等を確認する 原則不担保 事故原因と貨物単位を確認する
積込等での一個全損 担保され得る 明示的に担保 明示的に担保 梱包一個全体の全損か確認する
火災・爆発損害 担保され得る 合理的に起因すれば割合不問 合理的に起因すれば分損も担保され得る 事故との因果関係を確認する
衝突・接触損害 担保され得る 条文上の条件を満たせば担保 条文上の条件を満たせば担保 水との接触は列挙例外に含まれない
座礁・沈没・大火災 通常の担保判断 免責歩合制限が外れ得る 単独海損不担保の制限が外れ得る 証券本文・準拠法を含めて判断する
共同海損・救助料 担保 担保 担保 貨物の物的損傷を要しない
遅延・固有の性質 明文で対象外 共通Transit Clause等で対象外 共通Transit Clause等で対象外 MIA 1906 Section 55も確認する
戦争・ストライキ等 Clauses 12・13で除外 Clauses 12・13で除外 Clauses 12・13で除外 別約款付帯を確認する

免責歩合とFranchise

ICC 1963のW.A.を理解するには、免責歩合とFranchiseを区別する必要があります。

Franchiseは、損害割合が所定の割合未満である場合は支払われませんが、その割合へ到達した場合は、原則として回収可能な損害全体が支払対象となる仕組みです。

例えば、証券記載のFranchiseが3%で、回収可能な単独海損が保険価額の2.5%であれば、原則として支払対象となりません。損害割合が3.5%であれば、3%を超える0.5%部分だけではなく、回収可能な3.5%全体が支払対象となる構造です。

これに対し、Deductibleは、損害額から所定額又は所定割合を差し引く方式です。旧W.A.のFranchiseと現行契約のDeductibleを混同してはいけません。

方式 基準未満 基準以上 具体例 注意点
Franchise 3% 原則不払 回収可能損害全体を支払う 3.5%損害なら原則3.5%を基礎とする 担保危険・免責を先に確認する
Deductible 3% 通常は免責範囲内 損害から3%相当を控除する 3.5%損害なら0.5%相当が対象 現行証券の文言を確認する

歴史的なS.G. Policy FormのMemorandumには、貨物種類に応じて分損不担保、5%又は3%の免責歩合が規定されていました。ただし、実際の契約では証券上の記載及び修正条項を優先します。

「特定事故」の意味

ICC 1963のW.A.及びF.P.A.では、複数の異なる事故群を分けて読む必要があります。

事故群 条文上の効果 因果関係 注意点
船舶・艀の座礁 W.A.の免責歩合又はF.P.A.の単独海損不担保へ影響する 損害が座礁に直接起因するかとは別の問題が生じる 旧判例・準拠法・証券本文を確認する
船舶・艀の沈没 同上 沈没の事実と損害原因を分ける 一時的な浸水等との区別が必要
船舶・艀の大火災 同上 通常火災と大火災の事実を確認する 貨物自体の小火災だけとは限らない
火災・爆発 合理的に起因する貨物損害を割合不問で扱う 損害との合理的な因果関係が必要 座礁等の例外とは条文構造が異なる
衝突・接触 船舶・艀・輸送用具と水以外の外物との事故 貨物損害との合理的因果関係が必要 水、通常波浪等との接触は含まれない
避難港での荷卸し 荷卸しに起因する損害を扱う 避難港荷卸しとの因果関係が必要 通常の仕向港荷役と区別する

「特定事故があればすべての損害が無条件で補償される」と説明するのは不正確です。どの条文上の例外を問題にしているのか、担保危険による損害か、他の免責が適用されないかを確認します。

ICC 1963・ICC 1982・ICC 2009の比較

比較項目 ICC 1963 ICC 1982 ICC 2009 実務上の意味
条件名 All Risks・W.A.・F.P.A. ICC(A)・ICC(B)・ICC(C) ICC(A)・ICC(B)・ICC(C) 名称だけで同一条件と判断しない
証券構造 S.G. Policy Formとの一体構造 A・B・Cの体系へ再編 1982体系を改訂 1963年版は複数文書を重ねて読む
広い条件 All Risks ICC(A) ICC(A) 免責条項の明文化が異なる
限定条件 W.A.・F.P.A. 列挙危険型のB・C 列挙危険型のB・C 担保危険の設計方法が異なる
分損判断 Particular AverageとFranchiseが中心 列挙危険への該当が中心 列挙危険への該当が中心 旧条件をB・Cへ直訳しない
保険期間 Warehouse to Warehouse、荷卸し後60日 Transit Clauseとして再整理 通常輸送過程等を改訂 事故時の適用版を確認する
免責構造 S.G. Policy・ICC・別約款に分散 Clauses 4~7へ体系化 Clauses 4~7を改訂 1963年版へ現行条項番号を当てはめない
海賊危険 Clause 12でpiracyを戦争関連免責に含める ICC(A)ではWar Exclusionからpiracyを除外 ICC(A)では同様の構造 旧All Risksでも海賊が自動担保とは限らない
梱包不備 現行Clause 4.3型の明文がない 明文免責 梱包者・時期等を含め明文化 旧約款では近因等から判断する

MIA 1906との関係

ICC 1963は、S.G. Policy Form及び英国海上保険法の伝統的な枠組みの中で使用されていました。

MIA 1906 Section 55は、保険者が担保危険を近因とする損害について責任を負うこと、並びに被保険者の故意、遅延、通常損耗、通常漏損・破損及び貨物固有の性質等の損害を原則として除外することを定めています。

根拠 主な内容 ICC 1963との接続 注意点
MIA 1906 Section 55(1) 担保危険を近因とする損害 All Risks又はS.G. Policy上の担保危険を確認する 時間的に最後の原因だけで判断しない
Section 55(2)(a) 被保険者の故意 偶然性のない故意損害を除外する 過失・重過失と故意を区別する
Section 55(2)(b) 遅延を近因とする損害 ICC 1963 Clauses 1・5・14等と接続する 担保事故が遅延原因でも遅延損害は別問題
Section 55(2)(c) 通常損耗、通常漏損、貨物固有の性質等 All Risks Clause 5の固有の性質免責と接続する 外部事故による異常損害と区別する
MIA 1906 Section 78 Sue and Labour関連の費用 ICC 1963 Clause 9の損害防止義務と関連する 共同海損、特別費用、通常費用を分ける

現在締結される契約にICC 1963が引用されている場合は、現在の準拠法、Insurance Act 2015、契約上の修正条項等も確認します。一方、過去の契約・事故は、契約締結時及び事故当時の法令・約款によって判断します。

保険期間とWarehouse to Warehouse

ICC 1963 Clause 1は、貨物が証券記載の場所にある倉庫又は保管場所を通常輸送開始のために離れた時から保険を開始します。

保険は通常の輸送過程中継続し、次のいずれか早い時点で終了します。

  • 証券記載仕向地における荷受人その他の最終倉庫・保管場所への引渡し
  • 通常輸送過程外の保管又は仕分け・配送のため、被保険者が選択した他の倉庫・保管場所への引渡し
  • 最終荷卸港で外航船からの荷卸しを完了した後60日の経過

最終荷卸港から別の仕向地へ送る場合、元の保険は、新たな仕向地への輸送開始を超えて継続しません。

被保険者の支配を超える遅延、離路、強制荷卸し、再積込み、積替え等については一定の継続規定がありますが、遅延又は貨物固有の性質を近因とする損害まで担保するものではありません。

輸送打切り・航海変更

Clause 2は、被保険者の支配を超える事情によって運送契約又は輸送が途中で終了した場合を扱います。

保険者へ速やかに通知し、必要な追加保険料を支払うことを条件として、貨物の売却・引渡し、一定期間の経過又は継搬後の通常終期まで、保険が継続する場合があります。

Clause 4は、航海変更又は貨物、船舶若しくは航海の記載漏れ・誤りについて、追加保険料を協定することを条件にHeld Coveredとする規定です。

変更場面 確認事項 通知先 問題がある場合の対応
予定外寄港 運送契約上許容された離路か 保険会社、保険代理店 速やかに通知し追加条件を確認する
途中運送打切り 貨物の所在、売却、保管、継搬予定 保険会社 Clause 2による継続条件を確認する
仕向地変更 変更日時、新仕向地、輸送開始 保険会社 元契約の終期と新契約を整理する
積替え追加 予定された輸送か、危険増加があるか 保険会社、フォワーダー 追加保険料・条件を確認する
貨物記載誤り 品名、価額、梱包、危険品該当性 保険会社 隠さず訂正し書面承認を得る
船名記載誤り 実際の本船、船齢、航路 保険会社 Held Coveredの条件を確認する

推定全損・共同海損・救助料

Clause 6は、現実全損の発生が避けられないと合理的に判断される場合、又は貨物の回収、手入れ及び保険仕向地への継搬費用が到着時価額を超える見込みで、貨物を合理的に委付する場合に、推定全損を認める構造です。

Clause 7は、運送契約に従い、Foreign Statement又はYork-Antwerp Rulesによって支払う共同海損及び救助料を担保します。

F.P.A.条件で貨物自体の分損が支払われない場合でも、共同海損分担金又は救助料は別の担保項目として問題になります。

項目 基本的な意味 貨物損傷の必要性 主な資料
現実全損 貨物が全部滅失又は回復不能 貨物自体の全損が必要 サーベイ、滅失証明
推定全損 回収・手入れ・継搬費用等が到着価額を超える 現実全損でなくても成立し得る 費用見積、到着価額
共同海損 共同危険回避の犠牲・費用を分担する 貨物が無傷でも分担金が発生し得る Average Bond、Adjustment
救助料 海難救助に対する貨物側負担 貨物が無傷でも負担が生じ得る Salvage Security、Award
Particular Charges 個別貨物の保全・損害軽減等の一定費用 約款・支出目的による 請求書、作業記録

戦争・ストライキ・海賊危険

ICC 1963 Clause 12は、捕獲、拿捕、拘束、抑留、敵対行為、戦争行為、内乱、革命、反乱、暴動及び海賊等の危険を免責とします。

Clause 12が削除された場合、当時の関連Institute War Clausesが保険の一部を構成する仕組みです。

Clause 13は、ストライキ参加者、ロックアウトされた労働者、労働争議・暴動・騒乱参加者によって生じた損害及びこれらの結果による損害を免責とします。Clause 13が削除された場合、関連するInstitute Strikes Riots and Civil Commotions Clausesが組み込まれる構造です。

1963年版Clause 12はpiracyを免責危険へ含めています。現行ICC(A)のWar Exclusionではpiracyが例外として扱われるため、現行約款の理解を1963年All Risksへそのまま持ち込んではいけません。

本記事の判断が適用される主な場面

場面 確認する旧約款論点 主な資料 実務上の判断
All Risksと記載された旧証券 Clause 5、Clauses 12・13、個別特約 証券一式 現行ICC(A)として処理しない
W.A.条件の分損請求 証券記載割合、Franchise、事故原因 原証券、損害計算 割合到達と担保危険を分ける
F.P.A.条件の一部損害 座礁等、列挙事故、一個全損 海難記録、荷役記録 「分損だから不払」と即断しない
共同海損宣言 Clause 7、保険不足 GA通知、保証書 貨物無傷でも保険会社へ通知する
避難港での荷卸し・保管 Clause 2、F.P.A.特別費用 避難港費用、運送打切通知 通常物流費と特別費用を分ける
旧L/CのW.A.要求 銀行書類上の条件と実際の補償 L/C、Certificate 書類適合だけで補償十分と判断しない
海賊事故 Clause 12、War付帯 証券、事故報告 All Risksだけで担保と判断しない
航海変更・輸送打切り Clauses 2・4、通知、追加保険料 通知メール、運送記録 Held Coveredの要件を確認する

本記事の一般論をそのまま適用できない場面

場面 そのまま適用できない理由 優先して確認するもの 対応
ICC 1982又はICC 2009 条項構造と条件名が異なる 証券記載の約款版 1963年のFranchiseを適用しない
独自和文約款 ICC 1963が修正・置換されている 普通約款、特約 英文原約款との差分を確認する
航空貨物専用約款 Institute Air Cargo Clauses等が適用される 航空貨物約款 海上貨物用Clauseを流用しない
国内運送保険 S.G. Policy Form及びICC 1963が適用されない 国内運送約款 国内保険の条件を確認する
現代の契約に旧用語だけが記載 実際には現行独自約款を意味する場合がある 証券添付約款 All Risks等の呼称だけで判断しない
過去事故への現行法適用 事故当時の法令・約款が基準となる 契約日、事故日、準拠法 法的助言を得る
現在締結された英国法準拠契約 Insurance Act 2015等が関係し得る 準拠法、契約変更条項 歴史的約款だけで結論を出さない

旧証券を読む判断フロー

  1. 保険証券の契約日及び事故日を確認する。
  2. 適用約款がICC 1963であることを原証券から確認する。
  3. S.G. Policy Formが使用されているか確認する。
  4. All Risks、W.A.又はF.P.A.のいずれかを確認する。
  5. W.A.の場合は証券記載の免責歩合とMemorandumを確認する。
  6. F.P.A.の場合は単独海損、全損、共同海損及び列挙例外を分ける。
  7. 事故原因と損害の種類を確認する。
  8. 座礁、沈没、大火災、火災、爆発、衝突、接触又は避難港荷卸しの有無を確認する。
  9. 積込、積替え又は荷卸し中の貨物一個全損か確認する。
  10. 共同海損、救助料、特別費用又は推定全損を分ける。
  11. Clause 1による保険期間内の事故か確認する。
  12. 輸送打切り又は航海変更があればClauses 2・4の通知を確認する。
  13. Clause 12・13の削除及びWar・Strikes関連約款の付帯を確認する。
  14. 遅延、貨物固有の性質、通常損耗等の免責を確認する。
  15. 追加担保、免責金額、個別endorsementを確認する。
  16. 保険金請求と並行して運送人その他の第三者への権利を保全する。

実務で問題になりやすいケース

ケース 主な争点 確認資料 判断のポイント 初動対応
W.A.で2.8%の濡損 3%Franchiseへの未到達 証券割合、損害計算 座礁等や列挙事故の有無 割合だけでなく航海事故を確認する
W.A.で3.4%の破損 Franchise到達と担保危険 サーベイ、保険価額 3%超部分だけの支払ではない 損害単位を確認する
F.P.A.で一部水濡れ 通常単独海損か列挙例外か コンテナ、航海記録 単なる水濡れだけでは不足 船舶事故と追加担保を確認する
F.P.A.で荷卸し中に一箱海没 貨物一個ごとの全損 Tally、荷役報告 積込等の過程と一個全損を確認する 直ちに荷役会社へ通知する
All Risksで腐敗 外部事故か固有の性質か 温度、品質、事故記録 All Risksでも固有の性質は除外 温度データを確保する
船舶座礁後の別原因による損害 Stranding exceptionの効果 座礁記録、損害原因 証券本文と準拠法を確認する 保険者へ詳細な事故経過を提出する
避難港での倉入れ費用 F.P.A.での特別費用 請求書、避難港記録 通常費用か特別費用か 支出前に保険者承認を得る
共同海損で貨物が無傷 Clause 7と保証状 GA通知、Average Bond 物的損害は不要 保険会社へ直ちに通知する
海賊による貨物奪取 Clause 12とWar付帯 証券、警察・海軍報告 旧All Risksでも自動担保ではない 適用War Clausesを確認する
航海変更後の事故 Held Covered、通知、追加保険料 変更通知、保険者回答 迅速な通知が条件となる 変更判明時点で連絡する

制度適用シナリオ1:横浜港からロッテルダム向けW.A.貨物

日本の輸出者が、横浜港からロッテルダムへ保険金額1億2,000万円の機械部品を輸送し、証券にはICC 1963 W.A.、Franchise 3%と記載されていたとします。

到着時、複数の木箱に破損が確認され、損害額は保険価額の2.7%と査定されました。

輸出者は、W.A.は分損担保であるため、2.7%の損害も支払われると主張しました。保険会社は、証券記載の3%Franchiseへ到達していないとして支払対象外と回答しました。

フォワーダーは、航海中に本船が一時的に浅瀬へ接触したという情報を受けており、輸出者はこれを座礁として扱えばFranchiseが適用されないと主張しました。

保険会社は、単なる軽微な接触であり、約款上のstrandingとは認められないと反論しました。

この場合は、本船の航海日誌、船会社事故報告、船体が自力で離脱できたか、航行能力を失ったか、損害原因、証券本文及び準拠法上のstrandingの解釈を確認します。

制度適用シナリオ2:神戸港からシンガポール向けF.P.A.貨物

日本の輸出者が、神戸港からシンガポールへ保険金額8,500万円の鋼材をICC 1963 F.P.A.で輸送したとします。

到着時、貨物の一部に淡水濡れによる錆が確認され、損害額は1,100万円と査定されました。船舶の座礁、沈没又は大火災は発生していませんでした。

輸出者は、輸送中に発生した物的損害であるため補償されると主張しました。保険会社は、通常の一部分損であり、F.P.A. Clause 5の列挙例外にも該当しないと主張しました。

輸出者は、積替港でコンテナが別の輸送用具へ衝突した可能性を指摘しましたが、衝突記録は残っていませんでした。

この場合は、RFWD等の追加担保、コンテナ外傷、EIR、積替港CCTV、水分源、塩分検査、衝突・接触事故の記録及び錆の発生時期を確認します。

F.P.A.であることだけで直ちに不払と確定するのではなく、列挙例外又は追加担保へ該当する事実があるかを検討します。

制度適用シナリオ3:ハンブルク港の暴動火災とAll Risks

日本の輸入者が、ハンブルク港から東京港へ保険金額2億円の電子部品をICC 1963 All Risksで輸送する予定だったとします。

積込前の港湾倉庫で火災が発生し、貨物の大部分が焼損しました。同日、港湾地区では労働争議に伴う暴動が発生していました。

輸入者は、All Risks条件で火災損害が発生したため補償されると主張しました。

保険会社は、火災がストライキ参加者又は暴動参加者による放火であればClause 13の免責に該当し、関連するInstitute Strikes Riots and Civil Commotions Clausesの付帯が必要であると主張しました。

フォワーダーは、倉庫の電気設備から出火した可能性も残ると説明しました。

この場合は、Clause 13の削除、別約款付帯、消防報告、警察報告、監視映像、出火地点及び行為者の動機を確認します。火災という損害の外形だけでAll Risksの担保を確定してはいけません。

フォワーダーの関与範囲

この五分類は、法令上又は業界全体で確立された法的分類ではなく、本シリーズにおいて、フォワーダーが契約及び実務上どの範囲まで関与しているかを整理するための分析上の枠組みである。

Standard Five Classifications 一般的な関与 ICC 1963との接点 確認すべき限界 主な確認資料
1. Simple Intermediary 荷主、保険会社及び運送人を連絡する 旧証券・事故資料を伝達する W.A.・F.P.A.の支払可否を確定しない 依頼メール、証券写し
2. Cargo Transportation Service Provider 集荷、梱包、保管、荷役等を行う 事故区間、梱包一個全損、荷役記録を提供する 自社作業責任と保険担保を混同しない 作業記録、Tally、写真
3. NVOCC / House B/L Issuer House B/Lを発行し契約運送人となる 事故原因及び第三者責任の当事者となり得る F.P.A.不払でも運送人責任がなくなるとは限らない House B/L、裏面約款
4. Door-to-Door Single Contractor Door-to-Door輸送を一括受託する Warehouse to Warehouseの全区間資料を統合する 一括受託だけで保険判断権限を持たない 一括契約、下請契約
5. Agent / Coordinator for Specific Operations 現地荷役、保管、サーベイ等を調整する 座礁、衝突、避難港費用等の現地資料を収集する 代理権、報告権限及び支出権限を確認する Agency Agreement、現地報告

梱包、保管、検品、積付け、vanning、devanning、drayage、ラッシング、サーベイ手配その他の実作業は、五分類における具体的な受託範囲を確認するための事実である。これらの実作業は五分類を置き換えるものではなく、第六の分類も構成しない。

五分類だけで責任又は権限を決めることはできません。少なくとも、次の二点を別途確認します。

  • 当該フォワーダーがContracting Carrier、Actual Carrier又は単なる手配者のいずれであるか
  • 旧保険証券の確認、保険条件説明、航海変更通知、事故通知、サーベイ手配及び費用支出について、誰からどの範囲の委任又は権限を受けているか

フォワーダーは、W.A.をICC(B)、F.P.A.をICC(C)と断定して荷主へ説明すべきではありません。また、All Risksという表記だけで、現行ICC(A)と同じ免責構造が適用されると説明することも適切ではありません。

よくある誤解

誤解 実際の考え方 実務上の注意点
All Risksは現在のICC(A)と完全に同じである 担保方式は近いが、証券構造・免責文言が異なる S.G. Policy Formを含めて確認する
W.A.は現在のICC(B)と同じである W.A.はParticular AverageとFranchiseを中心とする旧体系である 列挙危険型ICC(B)へ置換しない
F.P.A.は現在のICC(C)と同じである F.P.A.は単独海損不担保を基礎とする旧体系である Clause 5の例外を確認する
F.P.A.は全損しか支払われない 一個全損、火災・爆発・衝突等の分損、共同海損等もあり得る 事故原因と条文上の例外を確認する
W.A.の3%は常に損害から控除される Franchiseであり、到達後は回収可能損害全体が対象となる Deductibleと区別する
W.A.ならすべての分損が支払われる 担保危険、免責歩合及び免責を確認する必要がある 損害割合だけで判断しない
座礁があれば無関係な損害も必ず支払われる 旧条文上の効果、担保危険及び準拠法を確認する 「座礁」の事実と損害原因を整理する
All Risksでは梱包不備が明文免責である 1963年Clause 5には現行ICC Clause 4.3型の文言はない 近因、偶然性、固有の性質等から判断する
Warehouse to Warehouseなら保管中も無期限に担保される 通常輸送外の保管や荷卸し後60日等で終了する 保管目的と搬入時点を確認する
航海変更があっても自動的に担保される 通知及び追加保険料がHeld Coveredの条件となる 判明後速やかに保険者へ通知する
All Risksなら海賊も当然に担保される 1963年Clause 12はpiracyを免責へ含める War Clausesの付帯を確認する
貨物が無傷なら共同海損保険は不要である 無傷貨物にも分担金・保証要求が生じ得る GA通知を受けたら直ちに保険会社へ連絡する
旧証券は現在の名称へ読み替えれば足りる 原証券、Memorandum、特約を直接確認する必要がある 約款原文を保存する

判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
旧証券発見時 荷主、保険会社、保険代理店 契約日、約款版、S.G. Policy Form 原本又は完全な写しを取得する
条件確認時 保険会社、保険代理店 All Risks、W.A.、F.P.A.の指定 名称だけで現行条件へ置換しない
W.A.分損請求時 保険会社、サーベイヤー Franchise、損害割合、事故原因 計算基礎を書面で確認する
F.P.A.分損請求時 保険会社、運送人 座礁等、列挙事故、一個全損 航海・荷役資料を収集する
座礁等が疑われる時 船会社、Actual Carrier 事故の性質、時刻、航行への影響 航海日誌・事故報告を求める
荷役中の一個全損時 ターミナル、フォワーダー、運送人 荷役段階、梱包単位、全損状況 Tally・CCTVを保存する
共同海損宣言時 保険会社、共同海損精算人 Clause 7、保証状、保険不足 Average Guaranteeを手配する
避難港費用発生時 保険会社、フォワーダー 陸揚げ、倉入れ、継搬の必要性 支出前に承認を得る
航海変更判明時 保険会社、保険代理店 変更日時、理由、新航路 速やかに通知し追加保険料を確認する
戦争・暴動事故時 保険会社、現地代理店 Clause 12・13、別約款付帯、事故原因 公的資料を確保する
保険期間判断時 倉庫、運送人、荷受人 搬出、荷卸し、搬入、保管目的 通常輸送外保管への切替時点を特定する
運送人請求時 Contracting Carrier、Actual Carrier 事故区間、責任、通知・出訴期限 保険判断を待たずClaim Noticeを出す
法的解釈が争われた時 保険会社、海事弁護士 準拠法、旧約款、判例、因果関係 権利を留保して専門家へ相談する

海事弁護士を利用すべき場面

旧証券の通常確認、事故通知及び資料提出は、保険会社又は保険代理店と進めます。ただし、次の場合は、英国海上保険法及び国際運送に詳しい海事弁護士への相談を検討します。

  • All Risks・W.A.・F.P.A.の適用条件そのものが争われている場合
  • S.G. Policy Form、Memorandum又は添付約款が欠落している場合
  • 座礁、沈没又は大火災の法的意味が争われている場合
  • W.A.のFranchise計算単位又は損害割合が争われている場合
  • F.P.A.の例外に該当するか争われている場合
  • 担保危険と遅延・貨物固有の性質等の免責原因が競合する場合
  • Clause 12又はClause 13の削除及び別約款付帯が不明な場合
  • 海賊危険、戦争危険又は暴動危険の分類が争われている場合
  • 航海変更又は輸送打切りの通知が遅れた場合
  • 過去事故へ現在の法令を適用できるか争われている場合
  • MIA 1906、Insurance Act 2015又は外国法の適用関係が問題となる場合
  • 共同海損、救助料及び貨物損害の請求が競合する場合
  • 貨物保険の不払と運送人・フォワーダー責任が競合する場合
  • 通知期限又は出訴期限が迫っている場合

ICC 1963の紛争では、現行ICCの一般解説だけでは足りません。S.G. Policy Form、Memorandum、適用ICC、War・Strikes関連約款、個別特約、事故当時の準拠法及び事故事実を一体として確認します。

まとめ

1963年版協会貨物約款(ICC 1963)は、S.G. Policy Formと組み合わせて使用された、All Risks、W.A.及びF.P.A.の旧約款体系です。

All Risksは包括的な危険担保を基礎とし、回収可能な損害には免責歩合を適用しません。ただし、遅延、貨物固有の性質、戦争・ストライキ等危険及びS.G. Policy Form上の制限を確認する必要があります。

W.A.は分損担保を基礎としますが、証券記載のFranchise、担保危険、座礁・沈没・大火災、列挙事故及び一個全損等を確認します。

F.P.A.は単独海損原則不担保ですが、全損だけを担保する条件ではありません。座礁・沈没・大火災、火災、爆発、衝突・接触、積込等での一個全損、避難港荷卸し、一定の特別費用、共同海損及び救助料が問題となります。

W.A.の免責歩合はFranchiseであり、現行契約のDeductibleとは異なります。基準へ到達した場合は、基準超過部分だけでなく、回収可能な分損全体が支払対象となる構造です。

All Risks、W.A.、F.P.A.をICC(A)、ICC(B)、ICC(C)へ機械的に対応させてはいけません。1963年版は、担保危険、免責及び分損の判断構造が1982年以降の約款と異なります。

事故時には、原証券、S.G. Policy Form、Memorandum、Clause 5、保険期間、War・Strikes関連約款、追加担保及び事故原因を確認します。

貨物保険上の不払又は制限があっても、Contracting Carrier、Actual Carrier、NVOCC、フォワーダー、倉庫業者その他の第三者に対する請求権が残る場合があります。保険判断を待たず、通知及び証拠保全を行うことが重要です。

同義語・別表記

  • ICC 1963
  • Institute Cargo Clauses 1963
  • 1963年版協会貨物約款
  • 旧協会貨物約款
  • All Risks
  • W.A.
  • With Average
  • F.P.A.
  • Free from Particular Average
  • 分損担保
  • 分損不担保

関連用語

公式情報