D/A決済とは
D/A決済とは
D/A決済とは、Documents against Acceptance の略で、日本語では「引受渡し」と呼ばれる荷為替取引の一種です。
輸入者は、輸入地の銀行で期限付手形を引き受けることにより、B/L原本、インボイス、パッキングリスト、保険証券などの船積書類を受け取ります。
D/P決済が「支払いと引き換えに書類を受け取る」取引であるのに対し、D/A決済は将来の支払い約束と引き換えに書類を受け取る取引です。
D/A決済の基本的な流れ
D/A決済では、輸出者が船積後に船積書類を銀行へ提出し、輸出地銀行から輸入地銀行へ書類が送られます。
輸入者は、輸入地銀行で期限付手形を引き受けます。たとえば、Draft at 60 days after sight のように、一覧後60日払いなどの条件が付されることがあります。
輸入者は、手形を引き受けることで船積書類を受け取り、B/L原本を使って貨物を引き取ることができます。
D/P決済との違い
D/P決済では、輸入者が代金を支払わなければ船積書類を受け取れません。
一方、D/A決済では、輸入者は代金を直ちに支払わなくても、期限付手形を引き受けることで船積書類を受け取ることができます。
そのため、輸入者から見ると資金繰り上は有利ですが、輸出者から見ると、商品を引き渡した後に代金回収リスクが残る取引になります。
L/C決済との違い
D/A決済は、L/C決済と異なり、輸入者の銀行が輸出者に対して支払いを保証するものではありません。
L/C決済では、信用状条件に合致した書類が提示されれば、信用状発行銀行が支払いを行う仕組みになります。
これに対してD/A決済では、輸入者が将来支払うことを前提に書類を渡すため、輸入者の信用力が極めて重要になります。
D/A決済の最大のリスク
D/A決済の最大のリスクは、輸入者が代金を支払う前に船積書類を取得し、貨物を引き取ることができる点です。
輸入者が貨物を販売した後、手形期日に代金を支払えない場合、輸出者は商品も代金も失う可能性があります。
つまりD/A決済は、輸出者にとっては輸入者に信用を供与する取引です。輸入者の与信力を確認せずに利用すると、代金回収不能の危険が高くなります。
B/L原本との関係
海上輸送でD/A決済を利用する場合、B/L原本は貨物引渡しに関わる重要な書類です。
輸入者は、期限付手形を引き受けた後にB/L原本を受け取り、そのB/L原本を使ってD/Oを取得し、貨物を引き取ります。
このためD/A決済では、B/L原本が代金回収の担保として機能する期間が短くなります。輸入者が書類を受け取った後は、貨物支配が輸入者側へ移りやすくなるためです。
輸入ユーザンスとの関係
D/A決済では、輸入者が期限付手形を引き受け、将来の期日に支払いを行います。
また、D/P決済であっても、輸入者が銀行の輸入ユーザンスを利用する場合には、銀行が一定期間の金融を供与する形になります。
このような場合、銀行は貨物に対する担保権を意識し、Trust ReceiptやBank Release Orderなどの書類を求めることがあります。
Bank Release Orderとの関係
Air Waybillを利用する航空輸送では、B/L原本の提示による貨物引渡しとは異なり、記名式の運送書類に基づいて貨物が引き渡されます。
Air Waybill上のConsigneeが銀行名になっている場合、輸入者が貨物を引き取るには、銀行からのBank Release Orderが必要になることがあります。
銀行の指図を受ける前に運送人やNVOCCが貨物を引き渡した場合、輸入者が倒産した際に銀行から損害賠償請求を受ける可能性があります。
フォワーダー・NVOCCが注意すべき点
D/A決済では、輸入者が代金を支払う前に貨物を引き取れる構造になるため、フォワーダーやNVOCCは書類の流れを慎重に確認する必要があります。
特に、次のような対応は危険です。
- 銀行指図を確認せずに貨物を引き渡すこと
- Consigneeが銀行名であるにもかかわらず輸入者へ直接引き渡すこと
- Single L/Gだけで貨物を引き渡すこと
- D/A決済であることを確認せず、通常貨物と同じ扱いをすること
D/A決済では、貨物引渡しが輸出者・銀行・輸入者間の信用供与と密接に関係するため、誤った引渡しは単なる事務ミスでは済まないことがあります。
貨物保険との関係
D/A決済そのものは、輸入者の支払不能を補償する貨物保険ではありません。
貨物保険は、原則として輸送中の滅失・損傷などの物的損害を対象とするものであり、輸入者が手形期日に代金を支払えないという信用リスクを直接補償するものではありません。
ただし、貨物損害が発生した場合には、誰が被保険利益を持つのか、誰が保険金請求権を持つのか、誰が運送人へ損害賠償請求できるのかが問題になることがあります。
実務上の注意点
D/A決済は、輸入者にとっては資金繰り上便利な取引ですが、輸出者にとっては代金回収リスクの大きい取引です。
輸出者は、輸入者の信用力、取引実績、販売先、現地回収可能性を確認したうえで利用する必要があります。
フォワーダーやNVOCCは、D/A決済かどうか、Consigneeが誰か、銀行指図が必要か、貨物引渡しに制限があるかを確認し、安易な貨物引渡しを避ける必要があります。
まとめ
D/A決済とは、輸入者が期限付手形を引き受けることにより船積書類を受け取る荷為替取引です。
D/P決済と異なり、輸入者は代金を直ちに支払わなくても書類を受け取れるため、輸出者にとっては信用リスクが大きくなります。
また、B/L原本、Bank Release Order、Trust Receipt、貨物保険、保険金請求権とも関係するため、D/A決済は単なる決済条件ではなく、貨物引渡し実務と一体で理解する必要があります。
