FOB輸出者側の本船前リスクと保険設計
概要
FOB(Free on Board)で輸出する場合、売主は、買主が指定した本船上に貨物を積み込むことによって引渡しを完了し、原則としてその時点で貨物の滅失又は損傷の危険が買主へ移転します。
したがって、ベンダー倉庫、メーカー工場、国内輸送、港湾倉庫、仮置場及び本船積込作業中に事故が発生した場合、本船上への引渡しが完了するまでは、海外買主との売買契約上、輸出者側に危険が残る可能性があります。
ところが、実務では、輸出者が「FOBだから海上保険は買主が手配する」と理解し、自社が危険を負担する本船積込前の区間について十分な保険を手配していないことがあります。
特に、発電所設備、変電所設備、タービン、変圧器、大型機械、重量物及びプラント部材の輸出では、実際のメーカー又はベンダーと、海外買主に対する輸出者が異なることがあります。国内ベンダーとの取引ではEX godown、ex warehouse、工場渡し又は倉庫渡しとされる一方、海外買主との取引ではFOBとされるため、国内引渡しから本船積込までの危険が輸出者へ集中します。
本記事では、FOB輸出者が本船積込前に負担する危険、EX godown等の国内引渡条件、国内輸送・保管・荷役中の事故、買主側保険との関係、FCAへの変更及び輸出者側の保険設計を整理します。
この記事で扱う範囲
| 項目 | この記事で扱う内容 | 他記事で扱う内容 |
|---|---|---|
| FOBの危険移転 | 本船上への積込みを基準とする原則と、買主の通知不備等による例外 | FOB条件の費用負担・引渡し・危険移転で、FOB規則全体を扱う |
| 輸出者側の本船前危険 | ベンダー倉庫から本船積込までに輸出者が負担する貨物危険 | 輸出貨物の国内集荷・搬入クレーム初動対応で、事故発生後の初動を扱う |
| EX godown等 | 国内取引で使用される非定型表現と危険移転の確認方法 | EXW条件と輸出実務上の問題点で、Incoterms®のEXWを扱う |
| 国内輸送 | 重量物輸送、横持ち、特殊車両輸送及びトレーラー輸送中の保険 | 輸出貨物の国内集荷中の輸送事故で、運送人責任及び事故対応を扱う |
| 保管・荷役 | 港湾倉庫、仮置場、クレーン作業、積込み及び本船積込前の危険 | 輸出貨物の倉庫保管・搬入待機中事故で、保管者責任を扱う |
| 輸出者側保険 | 国内引取りから本船積込までを切れ目なく補償するための設計 | 外航貨物海上保険の保険期間で、Transit Clause及び保険終期を扱う |
| 買主側保険 | 買主保険の始期、被保険利益及び輸出者側危険との関係 | 貨物保険の被保険利益で、所有権及び危険負担との違いを扱う |
| FCAへの変更 | コンテナ貨物又は運送人への早期引渡しでFCAを検討する場面 | FOBとFCAの使い分けで、両条件の全体比較を扱う |
| 運送人・作業業者への請求 | 貨物保険と賠償責任請求を分けて行う必要性 | 運送人への貨物損害賠償請求で、責任制限及び請求期限を扱う |
| 遅延損害 | 貨物損害と納期遅延、違約金及び逸失利益の区別 | 貨物保険とプロジェクト遅延損害で、遅延危険の保険設計を扱う |
FOBにおける引渡しと危険移転の基本
Incoterms® 2020のFOBでは、売主は、指定船積港において、買主が指定した本船上に貨物を積み込むことによって引渡しを完了します。貨物の滅失又は損傷の危険は、原則として、この引渡しと同じ時点で買主へ移転します。
FOBは海上又は内陸水路輸送のための規則です。売主は輸出通関を行い、指定期間内に、買主が指定した船舶へ貨物を積み込む必要があります。買主は運送契約を手配し、船名、積込場所及び必要な通知を売主へ行います。
FOBでは、売主にも買主にも、Incoterms®上の貨物保険手配義務は定められていません。実務では買主が主運送区間の貨物保険を手配することが多いものの、売主は本船上での引渡しが完了するまで自らが負担する危険を確認しなければなりません。
なお、Incoterms®は、売買契約における引渡し、危険及び費用の分担を整理する規則です。貨物の所有権移転、代金支払、契約違反時の損害賠償、運送人の法的責任又は保険約款上の補償範囲を一律に決めるものではありません。
本船積込前でも危険が買主へ移る可能性がある例外
FOBでは本船積込時の危険移転が原則ですが、常に現実の積込み完了まで売主が危険を負担するとは限りません。
買主が船名、積込地点又は積込時期を適時に通知しない場合、買主が指定した船舶が予定どおり到着しない場合、又は船舶が通知された時期より早く貨物受付を終了した場合には、貨物が当該売買契約の貨物として明確に特定されていること等を前提として、合意された期間の終了時等から買主へ危険が移転する可能性があります。
したがって、事故が本船積込前に起きたという事実だけで、直ちに輸出者側の危険と断定することはできません。買主の船舶指定、通知内容、船舶の遅延、貨物受付終了時刻、合意された船積期間及び貨物の特定状況を確認する必要があります。
ただし、この例外を事故後に安易に主張すると、売買契約の解釈、Incoterms®の適用版、通知の有効性及び貨物の特定を巡る争いになりやすいため、保険設計上は、原則として本船積込までの自社危険を想定しておくことが安全です。
FOBが本船上を基準とする構造的背景
FOBは、買主が船舶を指定し、売主がその船舶上へ貨物を直接積み込む海上輸送を前提とする条件です。引渡しと危険移転を本船上で一致させることで、売主の船積義務と、買主が手配した主運送の開始点を接続します。
この構造は、在来貨物、ばら積貨物、重量物その他、売主又は売主が手配した港湾作業者が本船への積込みまで関与する貨物には適合しやすいものです。
一方、コンテナ貨物では、売主は通常、本船へ直接貨物を積み込まず、CY、CFS又はコンテナターミナルで運送人へ貨物を引き渡します。その後、本船に積み込まれるまで数日間ターミナルに置かれることがあります。
この場合、売主が貨物を管理できなくなった後も、FOB上の危険が本船積込まで残るというずれが生じます。このため、コンテナ貨物では、運送人への引渡し時に危険を移転させるFCAの方が実際の物流工程に適合する場合があります。
ベンダーと輸出者が異なる場合の契約構造
| 契約又は関係 | よくある条件 | 危険が移る可能性のある時点 | 問題になりやすい点 | 確認書類 |
|---|---|---|---|---|
| 輸出者と海外買主 | FOB Yokohama、FOB Kobe等 | 原則として指定本船上への積込み時 | 本船積込前の事故を輸出者が負担する可能性 | 売買契約、注文書、信用状、Incoterms®の版 |
| 国内ベンダーと輸出者 | EX godown、ex warehouse、工場渡し、倉庫渡し | 契約で定めた引渡場所及び作業完了時 | 非定型表現のため積込み及び危険移転が不明確 | 国内売買契約、注文書、納品条件、見積条件 |
| 輸出者と国内運送業者 | トレーラー輸送、特殊車両輸送、横持ち | 売買上の危険移転とは別に運送契約で管理 | 運送人の賠償責任額が貨物価額に足りない | 運送契約、運送約款、貨物受取書、運行計画 |
| 輸出者と重量物作業業者 | 吊上げ、積込み、荷卸し、ラッシング | 作業の受渡し時点だけでは売買上の危険は決まらない | 作業者責任、梱包不良及び吊点不良の競合 | 作業計画書、吊上げ計画、機材仕様、写真 |
| 輸出者と倉庫・港湾業者 | 一時保管、仮置き、搬入待機、港湾荷役 | 保管契約又は荷役契約上の受渡し時 | 保管約款、免責及び責任制限が適用される | 倉庫受領書、搬入票、保管約款、作業記録 |
| 海外買主とshipping line | 買主が本船及び海上運送を手配 | FOB売買上は原則として本船積込時 | 船舶遅延又は通知不備により例外的な危険移転が生じる | Booking、船名通知、cut-off、積付結果 |
| 海外買主と保険会社 | 本船積込後又は倉庫間の買主側保険 | 保険証券の始期及び被保険利益による | 保険始期が早くても輸出者の利益を補償するとは限らない | 買主保険証券、From/To欄、被保険者、適用約款 |
国内ベンダーが倉庫で貨物を引き渡した後、海外買主へのFOB引渡しが完了するまでの間は、国内ベンダーとの契約上は輸出者が危険を負い、海外買主との契約上も輸出者に危険が残る可能性があります。
この二つの危険移転時点の間が、本記事でいう本船前リスク区間です。
EX godown・工場渡し・倉庫渡しの確認
EX godown、ex warehouse、工場渡し及び倉庫渡しは、使われる地域、業界及び契約によって意味が異なることがあります。これらは、その表現だけでIncoterms®のEXWと同一の効果を持つとは限りません。
例えば、「EX godown」と記載されていても、次の事項が明確でなければ、事故後に危険負担を判断できません。
- 対象となる倉庫の正式名称及び住所
- 貨物を輸出者又は運送人へ引き渡す具体的な地点
- 倉庫からの搬出作業を誰が行うか
- 集荷車両への積込みを誰が行うか
- クレーン、フォークリフト及び吊具を誰が手配するか
- 積込み中の危険を誰が負担するか
- 引渡し完了を証明する書類又は電子記録
- 梱包不良又は吊点不良について誰が責任を負うか
- 貨物保険を誰が、どの時点から手配するか
「倉庫渡し」とだけ記載するのではなく、契約書又は注文書に、場所、作業、費用、危険移転及び保険手配を具体的に記載する必要があります。
FOB・FCA・EXWと輸出者側保険の比較
| 比較項目 | FOB | FCA輸出者施設 | FCA港湾施設・CY | EXW |
|---|---|---|---|---|
| 主な適用輸送 | 海上又は内陸水路輸送 | 複合運送を含む全輸送手段 | 複合運送を含む全輸送手段 | 全輸送手段 |
| 引渡地点 | 指定船積港の本船上 | 輸出者施設で買主指定運送人の車両へ積み込んだ時 | 指定場所で買主指定運送人へ引き渡した時 | 輸出者施設で買主の処分に委ね、原則として車両へ積み込む前 |
| 危険移転 | 原則として本船積込時 | 買主指定車両への積込み完了時 | 指定場所で運送人への引渡し完了時 | 指定場所で買主の処分に委ねた時 |
| 輸出通関 | 売主 | 売主 | 売主 | 原則として買主 |
| コンテナ貨物との適合 | 本船積込まで売主が管理しないためずれが生じやすい | 工場集荷型のコンテナ輸送に適合しやすい | CY又はCFS引渡しに適合しやすい | 輸出通関及び積込実務との不整合が生じやすい |
| 輸出者側保険の終期 | 原則として本船上への引渡しまで | 運送人車両への引渡しまで | 指定施設での運送人への引渡しまで | 指定場所での引渡しまで |
| 主な注意点 | 船積遅延、港湾保管及び本船積込荷役の危険 | 輸出者施設での積込事故を売主が負担する | 指定場所、ターミナル及び引渡時点を明記する | 集荷車両への積込み及び輸出通関が買主負担となる |
| 大物貨物への適合 | 売主が本船積込まで管理する取引では利用可能 | 買主指定運送人が工場から引き取る場合に適合する | 港湾施設で買主側へ引き渡す場合に適合する | 積込責任を明確化しなければ事故時に争いが生じやすい |
本船積込前に事故が起きやすい区間
| 区間・作業 | 主な事故 | 危険の主な原因 | 保険設計上の確認 | 事故時の証拠 |
|---|---|---|---|---|
| ベンダー倉庫内の搬出 | フォークリフト接触、転倒、梱包破損 | 狭い通路、重量超過、作業指示不足 | 保険始期が倉庫内移動前から開始するか | 監視映像、作業記録、搬出前写真 |
| クレーンによる吊上げ | 落下、吊具破断、吊点変形 | 吊点設計、重心誤認、機材能力不足 | 吊上げ・積込作業中の危険が対象か | 吊上げ計画、機材証明、玉掛記録 |
| 車両への積込み | 荷台上転倒、接触、支持材破損 | 積載方法、荷台高さ、支持材不足 | 積込み中の事故を輸送開始前として除外していないか | 積込写真、車両仕様、作業者記録 |
| 国内輸送 | 横転、衝突、振動、雨濡れ | 道路条件、速度、固縛、シート不良 | 特殊車両輸送及び重量物として申告されているか | 運行記録、位置情報、事故証明、気象記録 |
| 港湾倉庫への荷卸し | クレーン接触、落下、底面損傷 | 作業手順不良、機材不適合、情報不足 | 荷卸しが保険上の輸送工程に含まれるか | 荷卸し記録、写真、サーベイレポート |
| 港湾倉庫・仮置場 | 水濡れ、錆、盗難、接触 | 屋外保管、長期滞留、防水不足 | 保管期間、保管場所及び期間制限を確認する | 入庫記録、保管配置図、定期点検記録 |
| バージ又は船側への移送 | 海水濡れ、落下、衝突 | 波浪、船体動揺、積替作業 | 艀輸送及び船側荷役が対象か | 航行記録、気象海象、作業日報 |
| 本船積込 | 吊荷落下、船側接触、ハッチ内衝突 | 本船クレーン、陸上クレーン、信号不良 | 本船上に安全に積載されるまで補償が継続するか | 荷役記録、積付図、写真、Mate's Receipt |
| 積込後の固縛 | ラッシング中の接触又は貨物移動 | 固定作業、積付不良、支持材不良 | FOB上の引渡時点と保険終期の定義を確認する | 積付図、ラッシング記録、船積完了記録 |
なぜ無保険区間が生じるのか
無保険区間が生じる最大の原因は、関係者が、それぞれ異なる契約を基準に危険を判断していることです。
- 輸出者は、FOBだから買主が海上保険を手配すると考える
- 海外買主は、本船積込前は輸出者側の危険だと考える
- 国内ベンダーは、倉庫又は工場で引き渡した後は輸出者側の危険だと考える
- 国内運送業者は、自社の賠償責任保険があるため問題ないと考える
- 港湾業者は、約款上の責任制限内でのみ責任を負うと考える
- 買主側保険会社は、保険始期又は被保険利益の関係から本船前事故を対象外と判断する
この結果、貨物そのものの損害を第一義的に補償する保険を誰も手配していない状態が生じます。
運送人、倉庫業者又は荷役業者が賠償責任保険に加入していても、その保険は、当該事業者が法律上又は契約上負担する賠償責任を対象とするものです。輸出者の貨物価額を無条件に全額補償する貨物保険とは異なります。
事故原因が不可抗力、契約上の免責、輸出者側の梱包不良又は責任制限の対象となれば、作業業者から十分な回収ができないことがあります。
輸出者側で設計すべき保険
FOB輸出者の保険設計では、保険の名称だけでなく、実際の物流工程を時系列で分解し、各作業及び保管状態が補償区間に含まれているかを確認します。
| 設計項目 | 確認内容 | 不足した場合の問題 | 設計上の対応 |
|---|---|---|---|
| 保険始期 | ベンダー倉庫内の搬出前、引渡時又は車両積込時のいずれか | 最初の吊上げ又は積込み事故が対象外となる | 輸出者へ危険が移る時点より前に始期を設定する |
| 国内輸送 | 一般車両、トレーラー、特殊車両及び艀輸送 | 輸送形態の申告不足により補償判断が争われる | 使用機材、経路、重量及び寸法を事前申告する |
| 積込み・荷卸し | クレーン、フォークリフト、玉掛け及び荷台作業 | 輸送開始前又は終了後の作業として除外される | 積込み及び荷卸しを明示的に補償範囲へ含める |
| 保管 | ベンダー倉庫、港湾倉庫、仮置場及び屋外保管 | 一定日数超過又は指定場所以外の保管が対象外となる | 場所、期間、屋内外及び保管方法を申告する |
| 本船積込 | 船側移送、クレーン荷役及び本船上への安全な積載 | 保険終期がCY搬入又は港湾倉庫搬入で終了する | FOB引渡しまで補償が継続するよう終期を確認する |
| 梱包 | 輸出梱包、重心、吊点、防水、防錆及び支持構造 | 梱包不良又は固有の欠陥として免責される | 梱包仕様、検査及び第三者確認を実施する |
| 貨物固有の危険 | 錆、振動、変形、湿気、温度及び精密機器の作動不良 | 基本条件だけでは対象外又は立証困難となる | 貨物別特約及び船積前検査を検討する |
| 保険金額 | 貨物価額、国内運賃、荷役費、梱包費及び予定利益 | 再製作又は再調達に必要な金額へ不足する | 保険価額及び評価方法を保険会社と確認する |
| 免責金額 | 一事故当たり又は一貨物当たりの自己負担 | 部分損害が実質的に回収できない | 貨物価額及び事故頻度に応じて設定する |
| 求償権保全 | ベンダー、運送人、倉庫業者及び荷役業者への通知 | 保険者の代位求償権を害する可能性がある | 事故通知、権利留保及び証拠保全を直ちに行う |
大物・重量物貨物で事前申告すべき事項
大物貨物及び重量物では、一般貨物よりも事故時の損害額が大きく、修理又は再製作にも長期間を要します。保険会社は、貨物の内容だけでなく、輸送及び荷役方法を含めて引受判断を行うことがあります。
少なくとも、次の事項を船積前に提示します。
- 貨物名称、用途、型式及び価額
- 一梱包ごとの寸法、重量及び重心
- 梱包仕様、防水・防錆方法及び支持構造
- 吊点、吊具、スプレッダービーム及びクレーン能力
- ベンダー倉庫から港までの輸送経路
- 橋梁、道路幅、勾配、曲線及び特殊車両許可
- 使用するトレーラー、台車、艀及びクレーン
- 積込み、荷卸し、仮置き及び本船積込計画
- 港湾倉庫又は仮置場での予定保管日数
- 本船の種類、船倉、デッキ積み及び積付方法
- ラッシング、ショアリング及びダンネージ計画
- 第三者サーベイヤー又はMarine Warranty Surveyorの関与
保険会社の事前承認、作業計画の提出又はサーベイヤーの立会いが保険条件となる場合は、その条件を満たさないまま作業を開始しないことが重要です。
国内輸送保険だけでは不足する場合
国内輸送保険が、ベンダー倉庫から港湾倉庫までのトラック輸送のみを対象としている場合、本船積込前のすべての危険を補償するとは限りません。
例えば、次の部分が対象外又は不明確になることがあります。
- ベンダー倉庫内での搬出及び吊上げ
- 集荷車両への積込み
- 港湾倉庫への荷卸し
- 港湾倉庫又は仮置場での長期保管
- 再梱包、防錆処理及び検品
- 港内横持ち又は艀輸送
- 本船クレーン又は陸上クレーンによる船積み
- 本船上での積付け及び固縛作業
したがって、国内輸送、保管及び荷役を別々の保険名で判断するのではなく、輸出者へ危険が移る時点からFOB引渡しが完了するまでを一つの連続した工程として確認します。
ベンダー保険に依存する危険
ベンダーが財物保険、運送保険又は賠償責任保険に加入していても、その保険が輸出者の被保険利益を補償するとは限りません。
国内契約上、ベンダー倉庫で引渡しが完了している場合、引渡し後の貨物はベンダーの所有物又は危険負担の対象ではないとして、ベンダー保険の対象外になる可能性があります。
また、ベンダーの作業ミスが事故原因であっても、次の理由により全額回収できないことがあります。
- ベンダーの故意又は過失を立証できない
- 梱包又は吊点の設計責任が別会社にある
- 契約上の責任制限又は免責条項が適用される
- 間接損害、納期遅延又は違約金が免責されている
- ベンダーの賠償責任保険の限度額が貨物価額に足りない
- 保険会社が法律上又は契約上の賠償責任を認めない
輸出者は、ベンダーへ求償できる可能性と、自らの貨物保険で損害を補償することを分けて考える必要があります。
買主側保険との関係
FOBでは、海外買主が主運送区間の貨物保険を手配することが一般的です。ただし、買主保険の存在だけで輸出者側の本船前危険が消滅するわけではありません。
確認すべき事項は次のとおりです。
- 保険証券上のFrom欄がどこから開始しているか
- 保険始期がベンダー倉庫、本船積込時又はB/L日付のいずれか
- 輸出者又は売主の被保険利益が含まれているか
- 危険移転前の事故について買主が保険金を請求できるか
- 売主利益又は偶発的利益を補償する条項があるか
- 積込み、保管及び本船積込前荷役が対象か
- 輸出者が買主保険の保険者へ直接請求できるか
買主保険がベンダー倉庫から開始していても、それは買主の将来の利益又は契約上の利益を補償する設計であり、輸出者の損害を当然に補償するものとは限りません。
また、買主保険から買主へ保険金が支払われた場合でも、海外買主との売買契約上の輸出者責任が当然に免除されるわけではありません。保険者が輸出者、ベンダー又は作業業者へ代位求償する可能性もあります。
貨物損害とプロジェクト遅延損害の区別
発電所設備、変電所設備及びプラント貨物では、貨物の修理費又は再製作費よりも、納期遅延、工事停止、操業開始遅延又は契約違約金の方が大きくなることがあります。
しかし、通常の貨物保険は、貨物そのものに生じた物的損害を中心に補償するものです。次の損害が当然に補償されるわけではありません。
- 納期遅延による違約金
- 発電所又は工場の操業開始遅延
- 工事作業員及び機材の待機費用
- 融資費用又は金利負担の増加
- 逸失利益及び販売機会損失
- 代替設備の調達費用
- プロジェクト全体の工程変更費用
遅延による経済損失を補償する必要がある場合は、通常の貨物保険と分けて、プロジェクト保険、遅延利益保険その他の専門的な保険設計を検討します。
実務で問題になりやすいケース
| ケース | 主な原因 | 確認資料 | 判断のポイント | 初動対応 |
|---|---|---|---|---|
| ベンダー倉庫でのクレーン落下 | 吊点破損、重心誤認、玉掛不良 | 国内売買契約、吊上げ計画、機材記録、事故写真 | 国内引渡し前か後か、積込作業を誰が負担したか | 作業を停止し、貨物及び吊具を保存して保険者へ通知する |
| トレーラー積込み中の転倒 | 支持材不足、荷台傾斜、作業指示不備 | 積込計画、車両仕様、作業記録、監視映像 | 保険始期が積込み前から開始しているか | 修理又は移動前にサーベイを手配する |
| 国内輸送中の横転 | 速度超過、道路状況、重心、固縛不良 | 運行記録、事故証明、ラッシング記録、輸送計画 | 運送人責任と貨物保険を分けて判断する | 警察、保険者及び運送人へ通知し、権利を留保する |
| 港湾倉庫での錆 | 屋外保管、長期滞留、防水又は防錆不足 | 入庫写真、保管場所、気象記録、梱包仕様 | 輸送事故か、梱包不良か、保管者責任か | 開梱状態を保存し、錆の進行防止措置を協議する |
| 船名変更による仮置き延長 | 買主指定船の遅延又はBooking変更 | 船名通知、変更連絡、船積期間、保管記録 | FOBの例外的危険移転が成立するか、保険期間が延長されるか | 買主へ通知し、保険会社へ保管期間延長を申告する |
| 本船積込中の落下 | クレーン故障、信号不良、吊具破断 | 荷役契約、クレーン記録、荷役日報、動画 | 本船上への引渡し前か後か、Actual Carrierの実作業か | 船長、ターミナル、保険者及び関係業者へ直ちに通知する |
| 本船上での接触損傷 | 積付け又はラッシング作業中の接触 | Mate's Receipt、積付図、ラッシング記録、写真 | FOB引渡しの完了時点と損傷発生時点を確定できるか | 船積完了記録を確保し、責任を認めずに権利を留保する |
| 買主保険が本船積込後始期 | 保険証券の始期設定又は申告誤り | 買主保険証券、B/L、事故時刻、積込記録 | 事故が輸出者保険と買主保険の間に落ちていないか | 双方の保険会社へ通知し、無保険と断定する前に証券を確認する |
| 梱包不良による振動損傷 | 支持材不足、内部固定不良、設計ミス | 梱包図面、船積前検査、振動記録、修理報告 | 偶然な輸送事故か、梱包不良免責か、設計者責任か | 梱包を廃棄せず、船積前状態と比較する |
本船前リスクを確認する判断フロー
- 海外買主との売買契約から、FOBの指定船積港及び適用するIncoterms®の版を確認する。
- 買主の船名指定、積込地点、船積期間及び通知義務を確認する。
- 国内ベンダーとの契約から、引渡場所、危険移転及び積込作業の負担者を確認する。
- ベンダー倉庫から本船積込までの全工程を時系列で作成する。
- 各工程の作業者、管理者、契約者及び貨物保有者を確認する。
- 輸出者側保険、ベンダー保険、運送人保険、倉庫業者保険及び買主側保険を並べる。
- 各保険の被保険者、被保険利益、From/To、保管期間、荷役及び免責を確認する。
- 無保険又は補償不明の工程について、輸出者側保険の追加又は契約条件の修正を行う。
- 大物貨物では、輸送・荷役計画を保険会社へ提出し、承認又はサーベイ条件を確認する。
- 船積遅延、船名変更又は保管期間延長が発生した場合の保険通知手順を決める。
- 事故時の通知先、サーベイヤー、証拠保全及び運送人への権利留保手順を確定する。
判断の中心は、「FOBだから誰が保険を掛けるか」ではありません。輸出者へ危険が移る国内引渡時点から、海外買主へ危険が移るFOB引渡時点までの各工程について、誰のどの被保険利益を、どの保険で補償するかを確認することです。
フォワーダーの関与範囲
この五分類は、法令上又は業界全体で確立された法的分類ではなく、本シリーズにおいて、フォワーダーが契約及び実務上どの範囲まで関与しているかを整理するための分析上の枠組みである。
| Standard Five Classifications | FOB本船前区間での主な関与 | 確認又は支援できる事項 | 自動的に負うものではない責任 | 追加確認事項 |
|---|---|---|---|---|
| Simple Intermediary | Booking情報、搬入先又は書類を取り次ぐ | 船名、cut-off、搬入場所及び必要書類の伝達 | 貨物保険の設計、荷役作業責任又は貨物価額全額の賠償 | 保険確認又は工程管理まで委任されているか |
| Cargo Transportation Service Provider | 国内輸送、港搬入又は横持ちを手配する | 輸送経路、作業者、車両及び事故発生区間の確認 | 自ら実作業を行っていない区間のActual Carrierとしての責任 | 契約運送人として引き受けた区間を確認する |
| NVOCC / House B/L Issuer | House B/Lを発行し、契約運送人として関与する場合がある | House B/L上の受取地、積込港及び運送区間の確認 | FOB売買契約上の売主責任又は貨物保険者としての責任 | Contracting Carrierとしての責任開始時点を確認する |
| Door-to-Door Single Contractor | ベンダー倉庫から本船積込又は海外仕向地まで一括して引き受ける | 全工程、下請事業者、保管場所及び荷役計画の整理 | 保険募集権限がない場合の具体的な保険契約締結 | 一括契約の対象区間と保険期間が一致するか |
| Agent / Coordinator for Specific Operations | クレーン、サーベイ、港湾作業又は事故対応を調整する | 委任範囲内の連絡、記録収集及び作業日程の調整 | 委任外の作業責任、補償可否判断又は示談権限 | 代理権、指図権限及び責任承認権限を確認する |
梱包、保管、検品、積付け、vanning、devanning、クレーン作業、横持ち及びラッシング等の実作業は、五分類とは別に確認すべき事実である。これらの実作業は五分類を置き換えるものではなく、第六の分類も構成しない。
フォワーダーの責任は、五分類の名称だけで決まりません。別途、Contracting Carrier又はActual Carrier等の法的・契約上の地位、実際に委任された業務、実作業の有無、運送書類上の名義、適用約款及び事故対応権限を確認します。
また、フォワーダーが保険代理店その他の適法な保険募集権限を有していない場合、特定の保険商品を推奨し、補償可否を断定し、又は保険契約を締結することはできません。輸送区間及び作業工程を整理したうえで、保険会社又は保険代理店への相談を促します。
具体例1:横浜港向け変圧器のベンダー倉庫搬出中に落下した場合
商社である輸出者が、国内メーカーから1億8,000万円の変圧器を購入し、海外電力会社へFOB横浜港、Incoterms® 2020で販売したとします。
国内メーカーとの注文書には「EX godown」とだけ記載され、メーカー倉庫からトレーラーへ積み込む作業を、輸出者が手配した重量物業者が行いました。吊上げ中に吊点が変形し、変圧器が約30センチメートル落下して内部損傷が発生しました。
メーカーは、倉庫で輸出者側の重量物業者へ貨物を引き渡したため、自社の危険は終了していると主張しました。重量物業者は、メーカーが指定した吊点の強度不足が原因であり、自社の玉掛作業には問題がないと主張しました。
輸出者側では、国内輸送保険を手配していましたが、証券上の始期が「トレーラーへの積載完了後」とされていました。事故が積載完了前であれば、当該保険では補償されない可能性があります。
この事例では、EX godownの意味を抽象的に議論するのではなく、国内売買契約上の引渡時点、吊上げ作業の発注者、吊点設計者、貨物保険の始期及び重量物業者の賠償責任を分けて確認します。
貨物の移動又は解体前にサーベイを行い、吊点、吊具、作業計画、クレーン記録及び監視映像を保存します。
具体例2:神戸港向けタービン部材が国内輸送中に横転した場合
EPC事業者である輸出者が、複数の国内ベンダーから調達した9,500万円相当のタービン部材を、FOB神戸港で海外買主へ販売したとします。
貨物はベンダー工場でトレーラーへ積み込まれ、神戸港へ向かう途中のカーブで横転しました。輸出者は、国内運送業者の運転又は固縛不良を主張しました。
運送業者は、ベンダーが作成した梱包及び支持構造が輸送振動に耐えられず、貨物内部で重心が移動したことが事故原因であると主張しました。ベンダーは、輸送方法及び固縛は輸出者と運送業者が決めたとして責任を否定しました。
輸出者の貨物保険が国内輸送中の偶然な事故を補償する場合でも、梱包不良又は貨物固有の欠陥に関する免責が問題となります。一方、運送業者への請求では、運転、速度、経路選択及び固縛について過失があったかを確認します。
貨物保険の請求と運送業者への賠償請求は、別の根拠に基づきます。輸出者は保険会社へ事故を通知するとともに、運送業者、ベンダー及び梱包設計者に対して責任を認めない形で権利を留保します。
具体例3:名古屋港で買主指定船が遅延し屋外保管中に錆が発生した場合
輸出者が、海外プラント会社へ2億6,000万円相当の大型制御設備をFOB名古屋港で販売したとします。貨物は予定船積日の5日前に港湾仮置場へ搬入されました。
ところが、海外買主が指定した本船の到着が12日遅れ、貨物は防水シートを掛けた状態で屋外保管されました。その間に強風雨があり、梱包内部へ湿気が入り、制御盤の一部に錆が発生しました。
輸出者は、本船積込前であるため自社側保険へ請求しました。保険会社は、当初申告された港湾保管期間を超過しており、保管延長の通知がなかった点を確認しました。
一方、輸出者は、買主指定船の遅延が原因であるため、FOBの規則上、合意された船積期間の終了時から買主へ危険が移転していたと主張しました。買主は、貨物の屋外保管方法が不適切であり、輸出者が十分な損害防止措置を講じなかったと反論しました。
この場合は、船名及び積込地点の通知、合意された船積期間、船舶遅延の原因、貨物が契約貨物として明確に特定されていたか、買主への遅延通知、保険会社への保管延長通知及び防水・防錆措置を確認します。
FOBの例外的危険移転、保険期間の延長、損害防止義務及び港湾保管者の責任が競合するため、当事者だけで責任を確定せず、海上保険及び国際売買に詳しい弁護士への相談を検討します。
よくある誤解
| 誤解 | 実際の考え方 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| FOBなら輸出者は貨物保険を掛けなくてよい | 買主が主運送保険を手配しても、本船積込前は原則として輸出者側に危険が残る | 国内引渡しからFOB引渡しまでの保険を確認する |
| 本船積込前の事故は必ず輸出者の危険である | 買主の船舶指定又は通知不備等により、例外的に危険が移転する場合がある | 船積期間、通知及び貨物の特定状況を確認する |
| EX godownはEXWと同じ意味である | EX godownは非定型表現であり、契約ごとに意味を確認する必要がある | 場所、積込み、費用及び危険移転を明記する |
| 国内運送業者に保険があれば全額回収できる | 運送業者の保険は、認められた賠償責任及び限度額の範囲で機能する | 貨物所有者の貨物保険と分けて確認する |
| 買主保険がベンダー倉庫から開始すれば輸出者も補償される | 保険始期が早くても、輸出者の被保険利益が含まれるとは限らない | 被保険者、被保険利益及び直接請求権を確認する |
| FOBはコンテナ貨物にも常に適している | コンテナ貨物ではCY又はCFSで運送人へ引き渡すため、FCAが適合する場合がある | 実際の引渡地点に合わせて条件を選ぶ |
| 港湾倉庫への搬入で輸出者側の危険は終了する | FOBでは原則として本船上への積込みまで危険が残る | CY搬入とFOB引渡しを混同しない |
| ICC(A)なら梱包不良も必ず補償される | 不十分又は不適切な梱包は免責となる可能性がある | 梱包仕様及び船積前状態を記録する |
| 貨物保険でプロジェクト遅延も補償される | 通常の貨物保険は物的損害を中心とし、遅延による経済損失は別問題である | 遅延損害は専門的な保険を別途検討する |
| フォワーダーが輸送を手配すれば全区間の責任を負う | 責任は契約上の地位、委任範囲、実作業及び適用約款によって判断する | Contracting Carrier又はActual Carrierとしての地位を確認する |
判断チェックリスト
| 確認場面 | 確認する相手 | 確認事項 | 問題がある場合の対応 |
|---|---|---|---|
| 海外売買契約締結前 | 海外買主、営業担当、法務担当 | FOB指定港、Incoterms®の版、船積期間及び船舶通知 | 具体的な港、地点及び通知義務を契約へ記載する |
| 国内ベンダー発注前 | ベンダー、購買担当、法務担当 | 引渡場所、積込作業、危険移転及び梱包責任 | EX godown等の抽象表現を具体化する |
| 保険手配時 | 保険会社、保険代理店 | 保険始期、終期、輸送、保管、荷役及び貨物特性 | 本船積込まで切れ目のない条件へ修正する |
| 重量物輸送計画時 | 運送業者、重量物業者、サーベイヤー | 寸法、重量、重心、吊点、経路及び使用機材 | 作業計画を再作成し、保険会社の承認を得る |
| ベンダー倉庫搬出前 | ベンダー、作業業者、保険会社 | 貨物状態、梱包、吊点及び保険始期 | 船積前検査を行い、不備を是正してから搬出する |
| 港湾倉庫搬入時 | 倉庫業者、フォワーダー、保険会社 | 保管場所、予定期間、防水・防錆及び保険継続 | 屋内保管又は保管延長を手配する |
| 船名又は日程変更時 | 海外買主、shipping line、フォワーダー、保険会社 | 変更理由、船積期間、保管延長及び危険移転 | 買主へ通知し、保険期間及び保管条件を延長する |
| 本船積込前 | 港湾業者、船長、フォワーダー、サーベイヤー | クレーン、吊具、積付位置及び作業手順 | 危険な作業を停止し、計画又は機材を変更する |
| 事故発生直後 | 保険会社、作業業者、運送人、ベンダー | 事故時刻、場所、作業、管理者及び貨物状態 | 証拠を保存し、責任を認めずに各関係者へ通知する |
| 保険金請求時 | 保険会社、保険代理店 | 他保険、求償先、損害額及び修理・再製作方法 | 他保険を申告し、修理前に承認又はサーベイを受ける |
| 責任争い発生時 | 保険会社、海事弁護士、法務担当 | 売買契約、運送契約、保険証券、通知及び期限 | 権利を留保し、時効又は出訴期限前に法的対応を検討する |
海事弁護士を利用すべき場面
事故通知、サーベイ手配及び通常の保険金請求は、保険会社又は保険代理店と進めます。ただし、次の場合は、海上保険、国際売買又は国際運送に詳しい弁護士への相談を検討します。
- FOB上の危険移転時点について輸出者と海外買主の見解が対立する場合
- 買主の船舶指定又は通知不備による例外的危険移転が問題となる場合
- EX godown等の国内引渡条件についてベンダーと争いがある場合
- ベンダー、運送人、倉庫業者及び荷役業者が相互に責任を否定する場合
- 保険会社が梱包不良、告知義務違反又は保管期間超過を理由に免責を主張する場合
- 買主側保険と輸出者側保険のいずれも補償を否定している場合
- 外国保険者による代位求償が輸出者へ向けられた場合
- 貨物損害に加えて違約金、納期遅延又はプロジェクト遅延請求が発生した場合
- 運送人への通知期限、保険金請求期限又は出訴期限が迫っている場合
- 損害額が大きく、修理、再製作又は代替納入方法について当事者間で合意できない場合
貨物保険から保険金を受け取れる可能性と、ベンダー、運送人又は海外買主との契約責任は別の問題です。一方の交渉を進めていることを理由に、他方への事故通知又は権利保全を省略しないことが重要です。
まとめ
FOBでは、原則として、指定船積港で貨物が買主指定の本船上に積み込まれるまで、売主である輸出者に危険が残ります。買主が海上保険を手配することが多いという実務慣行だけで、輸出者側の本船前危険が補償されるわけではありません。
特に、国内ベンダーと輸出者が異なり、国内取引がEX godown、工場渡し又は倉庫渡しとなっている場合、国内引渡しからFOB引渡しまでの間に、輸出者が単独で危険を負担する区間が生じます。
この区間には、ベンダー倉庫内の搬出、クレーン作業、車両への積込み、国内輸送、港湾保管、荷卸し、横持ち、本船積込及び積付けが含まれます。国内輸送保険だけでは、保管及び荷役の一部が対象外となることがあります。
輸出者側の保険は、保険名称ではなく、実際の物流工程に沿って設計します。保険始期、保険終期、保管期間、積込み・荷卸し、クレーン作業、貨物固有の危険、梱包及び求償権保全を個別に確認する必要があります。
コンテナ貨物又は運送人への早期引渡しでは、FCAへの変更が実務に適合する場合があります。一方、大物・重量物貨物でFOB指定を維持する場合は、国内ベンダーからの引取り時点から本船上への引渡しまでを、輸出者側保険でどのように切れ目なく補償するかが実務上の核心になります。
同義語・別表記
関連用語
公式情報
- 公式ホームページ: https://www.marineinsurance.jp/
