Termination of Contract of Carriageと貨物保険の実務

Termination of Contract of Carriage and Marine Cargo Insurance Practice

Termination of Contract of Carriageとは

Termination of Contract of Carriageとは、運送契約が、保険契約で予定された仕向地以外の港または場所で打ち切られた場合に、貨物保険がどの時点で終了し、どのような条件で継続し得るかを整理する考え方です。

ICC 2009では、Termination of Contract of CarriageはClause 9に定められています。

国際輸送では、港湾閉鎖、船舶事故、制裁規制、船会社の運航打切り、接続船の不成立、強制荷卸し、運送人の倒産または輸送不能等により、当初予定された仕向地まで貨物が運ばれず、途中の港または場所で輸送が終了することがあります。

この場合、貨物が貨物所有者にとっての最終目的地へ到着していなくても、当初の運送契約が終了したことにより、貨物保険もClause 9に従って終了する可能性があります。

ただし、被保険者の支配し得ない事情による運送契約打切りについて、被保険者が保険者へ遅滞なく通知し、保険継続を要請した場合は、必要に応じた追加保険料を条件として、一定期間保険が継続する仕組みが設けられています。

重要なのは、「目的地へ届いていないから保険も続いている」と判断するのではなく、運送契約が継続しているのか、打ち切られたのか、Clause 9に基づく通知と継続要請を行ったのかを確認することです。

この記事で扱う範囲

項目 この記事で扱う内容 別に確認すべき内容
Termination of Contract of Carriage 運送契約が予定仕向地以外で打ち切られた場合の保険終了と継続 個別保険証券、特別約款、追加保険料
ICC 2009 Clause 9 遅滞ない通知、継続要請、60日基準、売却・引渡し、継搬 保険者が提示する個別条件
Transit Clause Clause 8における通常の輸送過程と保険終期 最終倉庫、保管目的、分配・割当、最終荷卸港
Clause 8.3 遅延、Deviation、Forced Discharge、Reshipment、Transhipment中の保険継続 運送契約が継続しているか、Clause 9に移行したか
Change of Voyage Clause 10における仕向地変更との違い 変更指示者、新仕向地、料率・条件の協定
Held Covered 通知と継続要請によって担保継続を図る実務上の考え方 Clause 9本文、通知時期、追加保険料
Forwarding Charges Clause 12における荷卸し、保管、継搬の追加費用 保険対象危険との因果関係、除外事項、費用の合理性
60日基準 Clause 8.1.4とClause 9.1の異なる60日基準 最終荷卸港での荷卸完了日、打切り地到着日
フォワーダーの関与 船会社通知、貨物所在、継搬、保険通知、証拠保全の支援 保険金支払判断、運送人責任、法的責任の確定

本記事は、運送契約打切り時の貨物保険期間を中心に扱います。運送人に対する損害賠償請求、倉庫業者の責任、具体的な追加保険料、個別特約の適用は、別途確認する必要があります。

ICC 2009の条項構造

条項 主な内容 Terminationとの関係 実務上の確認点
Clause 8.1 保険開始、通常の輸送過程、通常の保険終期 Clause 9による終了前の基本的な保険期間を定める 最終倉庫、保管目的、荷卸完了、60日経過を確認する
Clause 8.2 最終荷卸港から別仕向地へ向けて貨物を動かす場合 別仕向地への移動開始時に従来の保険が終了する場合がある 新仕向地へ向けて最初に動かした時点を確認する
Clause 8.3 支配し得ない遅延、Deviation、Forced Discharge、Reshipment、Transhipment 運送契約が継続している限り保険が継続する余地がある Clause 9による運送契約打切りに移行していないか確認する
Clause 9 運送契約打切り時の保険終了と継続要請 本記事の中心条項 打切り時点、通知日、継続要請、追加保険料を確認する
Clause 10 危険開始後の仕向地変更 運送契約打切りではなく新仕向地への変更を扱う 誰が変更したか、通知と料率・条件の協定を確認する
Clause 12 保険対象危険により輸送が途中終了した場合のForwarding Charges 打切り後の荷卸し、保管、継搬費用が問題となる 原因が保険対象危険か、費用が合理的かを確認する
Clause 16 損害防止・軽減と第三者に対する権利保全 打切り後の処理と求償対応に関係する 運送人・倉庫業者への通知期限と証拠を確認する

運送契約の打切りとは

運送契約の打切りとは、本来予定されていた仕向地まで貨物を運ぶ契約が、その途中の港または場所で終了することです。

たとえば、東京向け貨物が途中港で荷卸しされ、船会社が「以後の運送は行わないため、貨物を当該港で引き取るように」と通知した場合が考えられます。

予定外港で荷卸しされたという事実だけでは、直ちに運送契約打切りとは限りません。

船会社が別船への積替えを手配し、当初仕向地までの運送責任を維持している場合は、Clause 8.3のForced Discharge、ReshipmentまたはTranshipmentとして、通常の輸送過程が継続している可能性があります。

一方、船会社がその先の運送義務を終了させ、貨物所有者側で新たな運送契約を手配しなければならない場合は、Clause 9のTermination of Contract of Carriageが問題になります。

保険も終了するのが原則である理由

ICC 2009 Clause 9では、被保険者の支配し得ない事情により、運送契約が予定仕向地以外の港または場所で終了した場合、またはClause 8所定の荷卸し前に輸送が終了した場合、貨物保険も原則として終了します。

保険技術上、貨物保険は、特定の仕出地、仕向地、運送経路、輸送手段および通常の輸送期間を前提として引き受けられています。

運送契約が途中で終了すると、それまでの輸送危険が、予定外港での長期保管、荷役、盗難、温度管理、別運送人による継搬等の異なる危険へ変化します。

貨物が物理的に存在していても、当初保険者が想定した通常の輸送過程から外れ、危険の所在地、期間、管理者、保管方法および輸送計画が変わるため、保険を無条件に継続させることはできません。

そのためClause 9は、いったん保険終了を原則としたうえで、遅滞ない通知と保険継続の要請があった場合に、追加保険料を含む条件のもとで継続する構造を採用しています。

Clause 8.3とClause 9の違い

確認事項 Clause 8.3 Clause 9 実務上の分岐点
運送契約 原則として継続している 予定仕向地以外で終了している 運送人が当初仕向地までの義務を維持しているか
典型場面 遅延、離路、強制荷卸し、再船積み、積替え 途中港で引取りを求められ、その後の運送が行われない 一時的な輸送障害か、契約上の終了か
保険の基本 Clause 8およびClause 9に従い継続する 通知と継続要請がなければ原則終了する Clause 9の適用開始時点を確認する
新たな手配 運送人が積替え・継搬を手配することが多い 貨物所有者側で新たな継搬契約が必要となることがある 新しいBookingまたは運送契約の有無
通知 重大な変更であれば早期通知が望ましい 遅滞ない通知と継続要請が重要となる 打切りを認識した日時を記録する
追加保険料 通常はClause 8.3だけを理由に当然に発生するとは限らない 保険者が要求する場合に必要となる 継続条件を書面で確認する

Change of Voyageとの違い

Change of VoyageはICC 2009 Clause 10に定められています。

Clause 10.1は、保険開始後に被保険者が仕向地を変更した場合、保険者へ遅滞なく通知し、料率および保険条件を協定することを求めています。

運送契約打切りは、当初の運送が途中で終了する問題です。これに対し、Change of Voyageは、貨物を新しい仕向地へ向けて輸送するという航海目的の変更です。

区分 Termination of Contract of Carriage Change of Voyage 確認点
根拠条項 Clause 9 Clause 10 適用条項を混同しない
中心事実 当初の運送契約が途中終了した 仕向地が変更された 契約終了か、目的地変更か
原因 被保険者の支配し得ない事情 Clause 10.1では被保険者による仕向地変更 誰が変更または打切りを決定したか
通知後の処理 保険継続を要請する 料率と条件を協定する 保険者への通知内容を分ける
保険期間 Clause 9.1または9.2による 新仕向地に対応する条件を確認する 新輸送開始前に確認する

Clause 10.2は、被保険者またはその使用人が知らないまま、船舶が別の仕向地へ向けて出航した場合でも、当初の輸送開始時に保険が開始したものと扱う規定です。

Forced Discharge・Deviation・Transhipmentとの違い

区分 意味 典型例 保険上の問題 確認事項
Termination of Contract of Carriage 当初の運送契約が途中で終了する 途中港で引取りを求められ、その先の運送が行われない Clause 9による保険終了と継続要請 運送人の運送義務が終了したか
Forced Discharge 予定外の港または場所でやむを得ず荷卸しする 船舶事故や港湾閉鎖で途中港へ荷卸しする Clause 8.3による保険継続とClause 9への移行 荷卸し後も運送契約が続くか
Deviation 予定航路から外れる 安全上の理由で別港へ寄港する Clause 8.3による継続、遅延除外との関係 運送人の裁量権の範囲か
Reshipment 貨物を再び船舶等へ積み込む 予定外荷卸し後に別船へ再船積みする 通常の輸送過程として継続するか 再船積み日、運送人、仕向地
Transhipment 途中で別船または別輸送手段へ積み替える 積替港で接続船へ積み替える Clause 8.3による保険継続 積替予定、接続便、滞留期間
Delay 輸送の進行が遅れる 港湾混雑で接続便が遅れる 保険期間は継続し得るが遅延損害は別途除外され得る 保険期間と損害原因を分ける

通知と保険継続要請

Clause 9では、運送契約打切りにより保険も原則終了しますが、保険者へ遅滞なく通知し、保険継続を要請した場合は、一定条件のもとで保険が継続します。

Clause 9の文言上、重要なのは、単に事故連絡を行うことではなく、運送契約が打ち切られた事実を通知し、保険継続を要請することです。

保険者は、危険の変化に応じて追加保険料を要求することがあります。

実務上は、次の事項を通知します。

  • 運送契約打切りを認識した日時
  • 打切りを通知した運送人またはB/L発行者
  • 貨物の現在地と到着日時
  • 荷卸し、保管および貨物状態
  • 当初仕向地までの継搬予定
  • 新たな運送契約またはBookingの有無
  • 売却、引渡し、保管または処分の予定
  • 保険継続を要請する旨

通知後は、追加保険料、担保条件、継続期間、対象となる保管場所および継搬区間を文書で確認します。

ただし、「保険者から承認書が届くまで一切保険が存在しない」と一律に扱うのではなく、Clause 9の遅滞ない通知と継続要請の要件を満たしているかを中心に判断します。

Held Coveredとの関係

実務上、契約条件から外れる変更が生じた場合に、保険者へ通知し、必要な追加保険料や条件変更を前提として担保継続を図る考え方をHeld Coveredと呼ぶことがあります。

ただし、ICC 2009 Clause 9本文は、Held Coveredという見出しではなく、遅滞ない通知と保険継続要請という具体的な手続を定めています。

したがって、「Held Coveredだから自動的に補償される」と判断するのではなく、次の事項を確認します。

確認事項 確認内容 問題となる場合 実務対応
通知時期 打切りを認識後、遅滞なく通知したか 長期間通知しなかった 認識日時と通知日時を記録する
継続要請 保険継続を明確に要請したか 単なる事故報告だけで終わった 継続要請を明示する
危険内容 所在地、保管、継搬、期間を説明したか 危険情報が不足している 貨物状態と処理予定を共有する
追加保険料 保険者が要求した追加保険料を確認したか 追加条件に対応しなかった 料率と支払条件を文書確認する
条件変更 保管・継搬区間に個別条件が付されたか 従来条件が無条件で続くと誤認した 継続担保範囲を確認する

Clause 9の60日基準

Clause 9に基づいて通知と保険継続要請が行われた場合、保険はClause 9.1またはClause 9.2に従って継続します。

ケース Clause 9上の扱い 確認事項 実務対応
打切り地で貨物が売却され、引き渡された 売却・引渡し時に終了する 売却日、引渡日、買主、受領記録 売却・引渡し前に保険者へ通知する
貨物が打切り地へ到着後60日を迎えた 特別な合意がなければ60日経過時に終了する 正確な到着日時、60日満了日 満了日前に継搬または延長を相談する
60日以内に当初仕向地へ継搬した Clause 8の終期まで継続する 継搬開始日、運送人、経路、仕向地 継搬前に条件を確認する
60日以内に別仕向地へ継搬した Clause 8に従うが、Change of Voyage等の確認も必要 新仕向地、変更指示者、保険者への通知 Clause 9とClause 10を分けて通知する
60日を超える延長が合意された 合意された延長期間に従う 延長期間、追加保険料、対象保管場所 口頭でなく文書で確認する
60日以内に営業在庫として保管へ移行した Clause 8.1.2または8.1.3による早期終了が問題となる 保管目的、分配、割当、在庫化 通常の輸送過程かを確認する

Clause 9の60日は、無条件の猶予期間ではありません。

遅滞ない通知と保険継続要請が行われたことを前提として、売却・引渡し、60日経過または継搬後のClause 8による終期を判断します。

Clause 8.1.4とClause 9.1の60日の違い

比較項目 Clause 8.1.4 Clause 9.1 注意点
適用場面 通常の最終荷卸港へ到着した場合 運送契約が予定仕向地以外で打ち切られた場合 通常輸送か運送契約打切りかを区別する
起算点 航洋船舶からの荷卸完了時 貨物が打切り港または場所へ到着した時 荷卸完了と到着を混同しない
通知・継続要請 Clause 8.1.4自体の起算要件ではない Clause 9による継続の重要要件 Clause 9では通知履歴を確認する
早期終了 Clause 8.1.1から8.1.3の事由が先に発生すれば終了 売却・引渡しが先に発生すれば終了 60日だけを単独で管理しない
継搬 Clause 8.2等との関係を確認する 60日以内の継搬後はClause 8に従う 新たな移動開始日を記録する

両方とも60日という数字を使用しますが、法的・契約的な起算点と適用場面が異なります。

Forwarding Chargesとの関係

運送契約打切り後に荷卸し、保管、継搬費用が発生した場合は、ICC 2009 Clause 12のForwarding Chargesが問題になることがあります。

Clause 12は、保険対象危険の作用によって、保険に付けられた仕向地以外の港または場所で輸送が終了した場合に、貨物を保険上の仕向地へ送るため、適切かつ合理的に発生した荷卸し、保管および継搬の追加費用を対象とする規定です。

比較項目 Clause 9 Clause 12 実務上の注意点
主な目的 運送契約打切り後の保険期間を定める 打切り後の追加費用を扱う 保険期間と費用補償を分ける
原因 被保険者の支配し得ない事情による打切り 保険対象危険の作用による輸送終了 Clause 9適用だけでClause 12も自動適用されない
対象 貨物に対する保険継続 荷卸し、保管、継搬の追加費用 請求費用を個別に整理する
合理性 継続条件の中心ではないが処理上重要 適切かつ合理的に発生した費用であることが必要 複数見積と処理理由を保存する
除外 保険全体の条件に従う Clauses 4、5、6、7の除外に従う 原因と除外事項を確認する
被保険者側の問題 通知遅れ等が問題となる 被保険者等の過失、倒産、財務不履行による費用は含まれない 費用発生原因を分ける

したがって、運送契約が打ち切られ、Clause 9に基づき保険が継続していても、継搬費用が当然にClause 12で補償されるわけではありません。

実務で問題になりやすいケース

ケース 中心論点 確認資料 保険上の判断点 初動対応
船会社が途中港で運送を終了した Clause 9の運送契約打切り 船会社通知、B/L、荷卸記録 打切り時点と通知時期 保険者へ継続要請を行う
予定外港で荷卸し後、別船を手配した Clause 8.3かClause 9か 積替案内、新Booking、運送人通知 元の運送契約が継続しているか 運送義務の主体を確認する
接続船がなく長期保管となった 遅延と運送契約打切りの境界 接続予定、保管記録、船会社回答 単なる遅延か契約終了か 書面で運送継続意思を確認する
打切り地で貨物を売却した Clause 9.1の売却・引渡し 売買契約、引渡記録、受領書 保険終了日時 売却前に保険者へ連絡する
打切り地到着後60日が迫っている Clause 9.1の期間管理 到着記録、通知記録、継搬予定 延長合意または継搬の有無 満了日前に書面確認する
別仕向地への継搬を決めた Clause 9.2とClause 10 新仕向地指示、新Booking、見積 保険期間と料率・条件 継搬開始前に通知する
保管中に貨物が損傷した 事故時点の保険継続 事故日時、保管記録、継続条件 Clause 9による担保期間内か サーベイと事故通知を行う
継搬費用を保険請求した Clause 12のForwarding Charges 事故原因、見積、請求書、継搬記録 保険対象危険との因果関係 費用発生前に保険者へ相談する

フォワーダーの関与範囲対比

本記事における五分類は、法令上または業界全体で確立された分類ではなく、本シリーズでフォワーダーの関与範囲を分析するための枠組みです。

標準五分類 想定される関与 運送打切り時の確認事項 当然には負わない範囲 実務上の対応
Simple Intermediary(単純取次) 船会社通知、Booking、書類、連絡の取次 打切り通知をいつ受領し、いつ関係者へ伝達したか 保険継続可否や運送人責任の最終判断 貨物所有者と保険関係者へ速やかに通知を転送する
Cargo Transportation Service Provider(貨物利用運送事業者) 実運送事業者を利用した輸送サービス 元の運送契約、貨物所在、継搬の手配主体 保険者に代わる担保判断 運送区間と追加費用を区分する
NVOCC / House B/L Issuer House B/L発行者として運送契約に関与 House B/L上の仕向地までの義務が継続しているか Master Carrierの判断だけによる自動免責 Master B/LとHouse B/Lの義務を分けて確認する
Door-to-Door Single Contractor 集荷から最終納品までを一体的に引き受ける 継搬、保管、通関、国内配送を含む全工程 すべての外部事情についての無制限責任 工程別の責任主体と費用を一元管理する
Agent/Coordinator for Specific Operations(特定業務の代理・調整者) 保管、継搬、サーベイ等の個別業務を調整 委任内容、承認者、費用上限、処理期限 委任外の保険判断と法的判断 費用発生前に書面指示を取得する

Contracting CarrierおよびActual Carrierは、法的または契約上の地位を示す概念であり、この標準五分類を置き換えるものではありません。

具体例1:予定外港で引取りを求められた場合

東京向け貨物が船舶事故により釜山で荷卸しされ、船会社から「当社の運送は釜山で終了するため、貨物を引き取るように」と通知されたケースを考えます。

船会社が東京までの積替えを行わないのであれば、単なるForced Dischargeではなく、Clause 9の運送契約打切りとなる可能性があります。

貨物所有者は、通知受領後直ちに保険者へ運送契約打切りを通知し、保険継続を要請します。

その後、東京までの新たな継搬契約、釜山での保管条件、追加保険料およびClause 12のForwarding Chargesの適用可能性を確認します。

具体例2:強制荷卸し後に同じ運送人が継搬する場合

港湾閉鎖により予定外港で貨物が荷卸しされたものの、船会社が別船を手配し、当初仕向地までの運送責任を維持しているケースを考えます。

この場合は、直ちにClause 9の運送契約打切りと判断せず、Clause 8.3のForced Discharge、ReshipmentまたはTranshipmentとして整理できる可能性があります。

確認すべきなのは、貨物が予定外港にあるという事実だけではなく、元の運送契約とB/L発行者の義務が継続しているかです。

長期滞留や運送計画の大幅変更がある場合は、Clause 9への移行可能性を含めて保険者へ通知します。

具体例3:60日以内に別仕向地へ継搬する場合

運送契約が途中港で打ち切られた後、貨物所有者が60日以内に別の国の買主へ貨物を送ることを決定したケースを考えます。

Clause 9.2では、所定の60日以内または合意された延長期間内に貨物が当初仕向地またはその他の仕向地へ継搬される場合、Clause 8の保険終了規定まで保険が継続する余地があります。

ただし、被保険者が仕向地を変更する場合はClause 10.1も問題となるため、保険者へ新仕向地を通知し、料率と条件を協定する必要があります。

Clause 9による保険継続とClause 10による仕向地変更を、一つの通知だけで曖昧に処理しないことが重要です。

事故時に確認すべき資料

資料 確認できること 実務上の目的 注意点
B/L・Waybill 当初仕向地、運送人、運送区間、契約条件 元の運送義務を確認する House B/LとMaster B/Lを分けて確認する
Booking確認書 予定船、経路、積替港、仕向地 当初の運送計画を確認する B/Lと相違する場合は経緯を確認する
船会社・NVOCCの正式通知 運送打切り、予定外荷卸し、引取り要求 Clause 9の適用開始時点を判断する 通知日と受領日を分けて記録する
本船・ターミナル記録 到着、荷卸し、搬入、搬出の日時 Clause 9の到着日と貨物所在を確認する 現地時刻とタイムゾーンを保存する
倉庫・保管記録 保管場所、開始日、貨物状態、管理者 事故時点と保管危険を確認する 営業在庫化の有無も確認する
継搬Booking・新運送契約 新運送人、仕向地、開始日、経路 Clause 9.2およびClause 10を確認する 元の運送契約との切替時点を確認する
保険者への通知記録 通知日時、継続要請、提供情報 Clause 9の手続を確認する 電話連絡後もメールで記録する
追加保険料・継続条件 対象期間、場所、輸送区間、条件 打切り後の担保範囲を確認する 口頭説明だけに依存しない
事故写真・サーベイ報告 損害日時、原因、貨物状態 保険請求と求償の基礎とする 事故時点の保険期間と照合する
運送人・倉庫業者への通知 第三者への事故通知と権利保全 Clause 16に関係する求償権を保全する 契約上の通知期限を確認する

資料が矛盾する場合の判断順序

船会社の通知、B/L、ターミナル記録および貨物所在記録が一致しない場合は、すべての事実について一つの資料を一律に優先するのではなく、確認する事項ごとに証拠の役割を分けます。

確認する事項 優先して確認する資料 補足資料 判断上の注意点
当初の運送契約 B/L、Waybill、運送約款 Booking確認書、運賃契約 契約上の仕向地と運送主体を確認する
運送契約打切りの意思表示 運送人またはB/L発行者の正式通知 メール、現地代理店報告 通知者に契約を終了させる権限があるか確認する
貨物の物理的所在 ターミナル、倉庫、ゲート、荷卸し記録 船会社追跡画面、現地代理店報告 客観的な時刻付き記録を優先する
打切り地への到着日 本船到着・荷卸し・ターミナル搬入記録 Arrival Notice、倉庫記録 Clause 9の起算点となる到着事実を特定する
元の運送義務の継続 B/L発行者の正式回答、新たな運送指示 積替予定、接続Booking 物理的滞留だけで契約打切りと断定しない
新たな継搬の開始 新Booking、運送契約、搬出記録 運賃請求書、輸送指示 新しい輸送のため最初に動かした時点を確認する

後日作成された説明書や記憶に基づく口頭説明よりも、事故当時に作成された時刻付きの客観的記録を優先します。

ただし、貨物がどこに存在したかという物理的事実と、運送人が契約上の運送義務を終了させたかという法律・契約上の事実は別問題です。ターミナル記録だけで契約打切りを判断したり、船会社通知だけで実際の貨物所在を判断したりしないことが重要です。

よくある誤解

誤解 実際の考え方 実務上の対応
目的地に届いていないから保険は続いている 運送契約が途中終了すればClause 9で保険も終了し得る 運送契約の継続を確認する
予定外港で荷卸しされれば必ずClause 9である 運送契約が続いていればClause 8.3の場合がある 運送人の継搬義務を確認する
Clause 9では保険会社の承認がなければ継続しない 遅滞ない通知と継続要請が中心要件で、追加保険料が求められる場合がある 継続要請と条件確認を記録する
60日間は無条件で補償される Clause 9の通知・継続要請を前提とし、売却・引渡し等で早期終了する 到着日と終了事由を管理する
Clause 8.1.4とClause 9.1の60日は同じである 適用場面と起算点が異なる 荷卸完了日と打切り地到着日を区別する
Change of Voyageと運送契約打切りは同じである Clause 10は仕向地変更、Clause 9は契約終了を扱う 変更か終了かを確認する
保険が継続すれば継搬費用も全額出る 費用はClause 12等の別要件で判断する 保険期間と費用補償を分ける
船会社が保管しているから通常の輸送過程である 管理者だけでなく保管目的と運送契約を確認する 保管理由と継搬予定を確認する
新しい継搬を手配すれば元の保険が自動的に続く Clause 9.2、Clause 8、Clause 10の確認が必要である 継搬開始前に保険者へ通知する
船会社通知と所在記録が違えば船会社通知を優先する 契約事実と物理的事実で資料の役割が異なる 確認事項ごとに客観的記録を照合する

判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
船会社通知受領時 船会社、NVOCC、B/L発行者 運送契約終了か、一時的な遅延・荷卸しか 正式通知と契約上の説明を取得する
貨物停止時 ターミナル、倉庫、現地代理店 所在地、到着日、荷卸日、保管状態 時刻付き記録を保存する
運送義務確認時 B/L発行者、運送人 当初仕向地までの義務が継続しているか 書面回答を求める
保険通知時 保険会社、保険代理店 Clause 9の通知と継続要請 打切り認識後速やかに通知する
継続条件確認時 保険会社、保険代理店 追加保険料、保管場所、期間、継搬区間 条件を文書で確認する
60日管理時 倉庫、現地代理店、貨物所有者 打切り地到着日、売却・引渡し、満了日 満了前に延長または継搬を相談する
別仕向地検討時 貨物所有者、保険者、フォワーダー Clause 9.2とClause 10の適用 新仕向地と条件を通知する
継搬費用発生前 保険会社、運送人、倉庫業者 Clause 12、費用の必要性、合理性 見積と処理案を共有する
事故発生時 保険会社、サーベイヤー、保管者 事故日時、保険継続期間、管理区間 サーベイと事故通知を行う
求償検討時 運送人、倉庫業者、保険会社、弁護士 責任主体、通知期限、証拠 第三者への権利を保全する
資料矛盾時 運送人、ターミナル、倉庫、現地代理店 契約事実と物理的事実を分けて確認する 時刻付き客観記録を照合する

フォワーダー実務での注意点

フォワーダーが予定外荷卸し、運送打切り、接続不能または別港引取りの通知を受けた場合は、単なるスケジュール変更として処理しないことが重要です。

最初に、運送契約が終了したのか、それとも元の運送人が当初仕向地までの運送義務を維持しているのかを確認します。

次に、貨物の現在地、到着日時、荷卸日時、保管場所、貨物状態および継搬予定を整理します。

運送契約打切りの可能性がある場合は、貨物所有者に保険会社または保険代理店への速やかな通知と保険継続要請を促します。

フォワーダーは、Clause 9による保険継続、Clause 12による費用補償または運送人責任を独自に確定する立場ではありません。

しかし、船会社通知、B/L、ターミナル記録、保管記録、新Bookingおよび保険通知を時系列で整理することは、保険期間と責任関係を判断するうえで重要です。

事故が発生した場合は、運送打切り前、打切り地での保管中または新たな継搬中のどの時点で損害が生じたかを明確にします。

また、Clause 16に関係する運送人、倉庫業者その他の第三者に対する通知期限を確認し、求償権を保全します。

まとめ

Termination of Contract of Carriageは、運送契約が予定仕向地以外の港または場所で終了した場合の貨物保険期間を定める重要な論点です。

ICC 2009ではClause 9に定められ、被保険者の支配し得ない事情によって運送契約が打ち切られた場合、貨物保険も原則として終了します。

ただし、被保険者が保険者へ遅滞なく通知し、保険継続を要請した場合は、保険者が要求する追加保険料を条件として、Clause 9.1または9.2に従い保険が継続します。

Clause 9の60日は、打切り地への到着後に起算します。Clause 8.1.4の最終荷卸港における航洋船舶からの荷卸完了後60日とは、適用場面と起算点が異なります。

Deviation、Forced Discharge、ReshipmentおよびTranshipmentはClause 8.3により保険が継続する場合がありますが、その後に運送契約が終了すればClause 9の問題へ移行します。

Change of VoyageはClause 10に定められ、運送契約打切りではなく、保険開始後の仕向地変更を扱います。

打切り後の荷卸し、保管および継搬費用は、保険期間を定めるClause 9とは別に、Clause 12のForwarding Chargesの要件を確認する必要があります。

船会社通知と貨物所在記録が矛盾する場合は、契約上の打切り事実と貨物の物理的所在を分け、B/L、正式通知、ターミナル記録、倉庫記録および新Bookingを目的別に照合します。

運送契約打切りが判明した場合は、運送契約の状態、貨物所在地、到着日、継搬予定、保険通知、追加保険料、60日満了日および第三者への求償期限を早期に確認することが基本です。

具体的な補償継続、追加保険料、担保条件、費用補償および保険金支払可否は、実際の保険証券、特別約款、運送契約、打切り原因および個別の事実関係によって異なります。

同義語・別表記

  • Termination of Contract of Carriage
  • 運送契約の打切り
  • 運送打切り
  • 運送契約終了
  • 途中打切り
  • 輸送打切り
  • 運送不能
  • 契約運送終了