Termination of Contract of Carriageと貨物保険の実務
概要
Termination of Contract of Carriageとは、運送契約が予定された仕向地以外の港や場所で打ち切られた場合に、貨物保険がどこまで継続するかを整理する考え方である。
国際輸送では、港湾混雑、航海リスク、船会社都合、強制荷卸、運送不能、積替不成立などにより、当初予定された仕向地まで貨物が運ばれず、途中の港や場所で輸送が止まることがある。
このような場合、単なる遅延や航路変更ではなく、運送契約そのものが途中で打ち切られたものとして、貨物保険の終了時期や通知義務が問題となる。
運送契約の打切りとは
運送契約の打切りとは、本来予定されていた仕向地まで貨物を運ぶ契約が、途中の港や場所で終了してしまうことをいう。
たとえば、本来は東京向けの貨物であったにもかかわらず、船会社都合や不可抗力により、途中港で荷卸しされ、その先の運送が継続されないような場合である。
この場合、貨物はまだ荷主にとって最終目的地に届いていないが、運送契約上は途中で輸送が終了しているため、保険期間の判断が重要になる。
保険も終了するのが原則
ICC2009では、被保険者の支配し得ない事情により、運送契約が予定仕向地以外の港や場所で打ち切られた場合、原則として貨物保険もその時点で終了する。
また、Transit Clauseで予定されている荷卸し前に輸送が終了した場合も、同様に保険終了の問題が生じる。
したがって、予定外の港や場所で貨物が止まった場合には、「まだ目的地に届いていないから保険も当然に続いている」と考えるのは危険である。
通知と継続要請が重要
ただし、運送契約が途中で打ち切られた場合でも、被保険者が遅滞なく保険会社へ通知し、補償の継続を要請することで、一定の範囲で保険が継続する余地がある。
この場合、保険会社が追加保険料を求めることがあり、その支払いが補償継続の条件となる場合がある。
実務上は、貨物が予定外の港や場所で止まった時点で、速やかに保険会社または保険代理店へ連絡し、保険継続の可否、条件、追加保険料の有無を確認する必要がある。
60日ルールとの関係
通知と継続要請が行われた場合、保険は、貨物が運送打切り地で売却・引渡しされる時、またはその場所への到着後60日を経過する時のいずれか早い時点まで継続する余地がある。
また、その60日以内に貨物が本来の仕向地またはその他の仕向地へ継搬される場合には、Transit Clauseの保険終了規定に従って保険期間が判断される。
つまり、運送打切り地に貨物が止まった場合には、「60日間は必ず無条件に補償される」という意味ではなく、通知、継続要請、追加保険料、保険会社との条件確認を前提に整理する必要がある。
Change of Voyageとの違い
Termination of Contract of CarriageとChange of Voyageは近い場面で問題となるが、実務上は区別して考える必要がある。
Change of Voyageは、危険開始後に仕向地そのものが変更される場面をいう。
一方、Termination of Contract of Carriageは、運送契約が途中で打ち切られ、予定仕向地までの輸送が継続されなくなる場面をいう。
つまり、仕向地を変更して輸送を続ける問題なのか、運送契約が途中で終了してしまった問題なのかを分けて確認する必要がある。
Deviation・Forced Dischargeとの関係
運送契約の打切りは、Deviation、Forced Discharge、Transhipmentとも関係する。
たとえば、船会社都合により航路が変更され、予定外の港で貨物が強制的に荷卸しされ、その先の運送が手配されない場合には、単なるDeviationではなく、運送契約打切りの問題に発展することがある。
また、予定外の積替港で長期間貨物が滞留し、その後の接続輸送が確保できない場合にも、保険期間や保険継続の確認が必要になる。
フォワーダー実務での注意点
フォワーダー実務では、船会社から予定外の荷卸し、運送打切り、接続不能、別港引取りなどの通知を受けた場合、単なるスケジュール変更として扱わないことが重要である。
特に次の点を確認する必要がある。
- 運送契約が本当に打ち切られているのか
- 貨物がどの港または場所で止まっているのか
- 本来の仕向地まで継搬される予定があるのか
- 保険会社または保険代理店へ通知が必要か
- 追加保険料や条件変更が必要か
- 60日以内に売却・引渡し・継搬の予定があるか
- 運送人への求償に必要な証拠を確保しているか
実務上のポイント
Termination of Contract of Carriageは、貨物が目的地に届いていないにもかかわらず、保険期間が終了し得る重要な論点である。
特に、予定外の港や場所で貨物が止まった場合には、保険が当然に継続していると考えず、速やかに保険会社または保険代理店へ通知し、補償継続の要否を確認する必要がある。
フォワーダーや荷主は、運送契約打切り、仕向地変更、強制荷卸、積替不成立が発生した場合、保険期間、通知義務、追加保険料、60日ルール、求償証拠の観点から早期に対応することが重要である。
