医薬部外品(輸入実務)―該当性と輸入手続

Quasi-Drugs — Classification and Import Procedures

医薬部外品とは

医薬部外品とは、薬機法上、医薬品より人体への作用が緩和でありながら、一定の効能効果を目的として使用される製品です。

一般には、「薬用」と表示される商品が代表例です。

ただし、商品名に「薬用」と書かれているかどうかだけで医薬部外品に該当するわけではありません。成分、有効成分、効能効果、使用目的、表示、広告、販売方法を総合的に確認する必要があります。

輸入実務では、海外製の商品が日本で化粧品として扱えるのか、医薬部外品に該当するのか、または医薬品に該当するのかを確認することが重要です。

外観や販売国での分類だけでは判断できず、日本国内でどのような効能効果を表示し、どのように販売するかが問題になります。

この記事で扱う範囲

項目 この記事で扱う内容 他の記事で詳しく扱う内容
医薬部外品の基本 医薬品より人体への作用が緩和でありながら、一定の効能効果を目的とする薬機法上の区分として整理します。 薬機法全体の制度構造は「薬機法とは」で整理します。
化粧品・医薬品との違い 化粧品、医薬部外品、医薬品の目的、効能効果、承認・許可の違いを整理します。 化粧品の定義、成分規制、全成分表示は「化粧品」で整理します。
薬用化粧品との関係 薬用美白、薬用にきび防止、薬用シャンプー、薬用歯みがきなどを医薬部外品として整理します。 化粧品輸入販売の許可・届出は「化粧品輸入販売業許可」で整理します。
有効成分と効能効果 医薬部外品で問題になる有効成分、配合量、効能効果、用法用量、剤形、表示範囲を整理します。 疾病の治療・予防・改善表現の判断軸は「医薬品的な効能効果」で整理します。
医薬部外品の種類 薬用化粧品、指定医薬部外品、新指定医薬部外品、防除用医薬部外品などを整理します。 個別品目の承認基準や審査資料は、品目ごとに専門確認が必要です。
輸入販売時の手続 製造販売業許可、製造業許可、外国製造業者認定、品目承認、表示広告の確認を整理します。 個別の申請手続、承認審査、許可要件は行政・薬事専門家への確認が必要です。
フォワーダー・通関実務 フォワーダーが確認を促すべき事項、資料回収、通関業者との情報共有、断定回避を整理します。 医薬部外品該当性、承認・許可要否の最終判断は輸入者側で確認します。

制度の目的・背景

医薬部外品は、医薬品ほど強い治療効果を目的とするものではありません。

しかし、身体への一定の作用や、特定の効能効果を目的とするものとして、薬機法上の規制対象になります。

医薬部外品では、承認された効能効果、有効成分、配合量、用法用量、剤形、表示方法の範囲が重要になります。

化粧品のように見える商品であっても、薬用効果をうたう場合には、医薬部外品としての確認が必要になることがあります。

概要

医薬部外品には、薬用歯みがき、薬用シャンプー、薬用育毛剤、制汗剤、除毛剤、入浴剤、防虫剤、外皮消毒剤、あせも・ただれ用剤などが該当する場合があります。

輸入実務では、海外でcosmetic、skin care、hair care、daily care product、household productとして販売されている商品であっても、日本で薬用効果を表示する場合には、医薬部外品としての確認が必要になることがあります。

特に、medicated、anti-acne、anti-dandruff、hair growth、whitening、deodorant、antibacterial、insect repellentなどの表現がある商品は、化粧品や雑貨として扱えるのか、医薬部外品として扱う必要があるのかを確認する必要があります。

化粧品・医薬部外品・医薬品の違い

区分 主な目的 表示・効能効果 承認・許可の考え方 輸入実務上の注意点
化粧品 清潔、美化、魅力向上、容貌を変える、皮膚・毛髪を健やかに保つことを目的とします。 化粧品として認められる範囲の効能効果に限られます。 化粧品製造販売業許可、製造業許可、品目届出等が問題になります。 薬用効果や治療効果をうたうと、化粧品の範囲を超える可能性があります。
医薬部外品 人体への作用が緩和で、一定の効能効果を目的とします。 承認された効能効果、有効成分、配合量、用法用量の範囲が問題になります。 医薬部外品製造販売業許可、製造業許可、外国製造業者認定、品目承認が問題になります。 薬用、育毛、防臭、殺菌、防虫などをうたう場合は医薬部外品として確認が必要です。
医薬品 疾病の診断、治療、予防、身体機能への作用を目的とします。 治療、予防、改善などの効能効果が中心になります。 医薬品としての承認、製造販売業許可、製造業許可等が問題になります。 医薬部外品の範囲を超える効能効果や成分では、医薬品該当性が問題になります。
雑品・一般商品 薬機法上の医薬品等に該当しない一般商品です。 薬用効果、治療効果、身体機能への作用はうたえません。 薬機法上の承認・許可以外に、他法令確認が必要になる場合があります。 雑貨でも、広告表現によって医薬部外品や医薬品の確認が必要になることがあります。

薬用化粧品との関係

薬用化粧品とは、一般に化粧品のような商品形態を持ちながら、一定の有効成分と効能効果を持つ医薬部外品として扱われるものです。

例えば、薬用美白化粧品、薬用にきび防止化粧品、薬用シャンプー、薬用歯みがき、薬用育毛剤などが問題になりやすい分野です。

海外でcosmetic、skin care、hair careとして販売されている商品であっても、日本で薬用効果をうたう場合には、医薬部外品としての承認・許可を確認する必要があります。

特に、whitening、anti-acne、medicated、anti-dandruff、hair growth、deodorant、antibacterialなどの表示がある商品では、日本で化粧品として販売できる表現に留まるのか、医薬部外品として扱う必要があるのかを確認する必要があります。

医薬部外品の主な種類

区分 主な内容 実務上の注意点 確認すべき資料
薬用化粧品 薬用美白、薬用にきび防止、薬用シャンプー、薬用歯みがきなどです。 化粧品のように見えても、医薬部外品承認が必要になることがあります。 有効成分資料、効能効果、承認資料、表示案
指定医薬部外品 厚生労働大臣が指定する医薬部外品です。 医薬品から移行された品目など、表示・販売方法を確認する必要があります。 品目区分、表示、効能効果、販売資料
新指定医薬部外品 のど清涼剤、外皮消毒剤、あせも・ただれ用剤など、一定の品目群です。 承認基準、効能効果、用法用量、成分範囲を確認する必要があります。 承認基準、成分資料、用法用量、効能効果資料
防除用医薬部外品 蚊、はえ、のみ等の防除を目的とする製品です。 人体に直接使用するものか、環境用かにより表示・注意事項が変わります。 用途説明、有効成分、対象害虫、使用場所、表示注意事項
その他の医薬部外品 育毛剤、除毛剤、制汗剤、入浴剤などです。 承認内容、有効成分、表示できる効能効果の範囲を確認する必要があります。 有効成分、配合量、承認資料、広告案、販売ページ案

輸入者は、商品が単に医薬部外品に該当するかだけでなく、どの区分の医薬部外品として扱うべきかを確認する必要があります。

有効成分と効能効果の確認

医薬部外品では、有効成分と効能効果の関係が重要です。

化粧品では全成分表示や化粧品基準が中心になりますが、医薬部外品では、承認された有効成分、その配合量、効能効果、用法用量、剤形、表示範囲を確認する必要があります。

同じような商品でも、有効成分を配合し、薬用効果をうたう場合には、医薬部外品としての承認が必要になることがあります。

確認項目 主な内容 止まりやすい原因 実務上の対応
有効成分 医薬部外品として認められる有効成分かを確認します。 海外で使われている成分が日本の承認範囲と一致しない場合です。 有効成分名、規格、配合目的、承認資料を確認します。
配合量 有効成分の配合量が承認範囲や基準に合っているかを確認します。 同じ成分でも濃度が日本の基準と異なる場合です。 配合量、濃度、規格書、COAを確認します。
効能効果 表示する効能効果が承認範囲内かを確認します。 承認範囲を超えて治療・改善効果をうたっている場合です。 承認された効能効果と広告案を照合します。
用法用量 使用方法、使用頻度、対象部位が承認内容と合っているかを確認します。 海外商品の使用方法をそのまま日本向けに表示している場合です。 ラベル、説明書、使用方法、対象者を確認します。
剤形・用途 クリーム、ローション、シャンプー、錠剤、スプレー等の剤形・用途を確認します。 品目群や承認基準に合わない剤形で販売しようとしている場合です。 剤形、用途、承認基準、販売形態を確認します。

医薬部外品では、「効く」「薬用」「防ぐ」といった言葉を自由に使えるわけではありません。

承認された範囲内で、認められた効能効果を表示することが基本になります。

適用要件・対象外となるもの

区分 医薬部外品として確認が必要になる場面 対象外・別整理になりやすい場面 実務上の注意点
薬用化粧品 美白、にきび防止、肌荒れ防止、フケ・かゆみ防止など薬用効果をうたう場合です。 清潔、美化、皮膚や毛髪を健やかに保つ範囲にとどまる場合は、化粧品として整理されることがあります。 「薬用」表示だけでなく、有効成分、効能効果、承認範囲を確認します。
育毛剤・除毛剤 育毛、脱毛の防止、除毛などをうたう場合です。 ヘアケア、整髪、清浄などの範囲にとどまる場合は、化粧品や雑品として整理されることがあります。 育毛と発毛、薄毛治療を混同しないように確認します。
制汗剤・デオドラント 制汗、防臭、殺菌、体臭防止などをうたう場合です。 香り付けや一般的な清潔保持にとどまる場合は、化粧品や雑品として整理されることがあります。 有効成分と効能効果の範囲を確認します。
外皮消毒剤・手指消毒関連商品 殺菌、消毒、感染予防などをうたう場合です。 清拭、洗浄、一般衛生用品としての説明にとどまる場合は、別整理になることがあります。 医薬部外品か医薬品か、用法用量と効能効果を確認します。
防虫・殺虫関連商品 蚊、はえ、のみ等の防除を目的とする場合です。 環境用雑貨、芳香、一般的な生活用品としての説明にとどまる場合は、他法令も含めて別整理になります。 防除用医薬部外品、医薬品、雑品の区分を確認します。
個人輸入 個人輸入品を国内販売、転売、業務使用する場合です。 自己使用目的の範囲にとどまる場合は、営業目的輸入とは別に整理します。 個人輸入できたことと、国内販売できることは別です。
医薬品的表現を含む商品 治療、改善、発毛、疾病予防などをうたう場合です。 承認された医薬部外品の効能効果範囲内で表示する場合は、その範囲で整理します。 承認範囲を超えると、医薬品該当性や広告規制の問題になります。

輸入販売における主な手続

医薬部外品を営業目的で輸入販売する場合、通常の雑貨輸入や化粧品輸入と同じ感覚では扱えません。

品目によっては、医薬部外品製造販売業許可、医薬部外品製造業許可、外国製造業者認定、品目ごとの承認などが関係します。

輸入者は、単に海外メーカーから商品を買えば販売できるわけではありません。日本国内で誰が製造販売業者となるのか、どこで保管・表示・包装を行うのか、海外製造元の情報を取得できるのか、品目ごとの承認が整っているかを確認する必要があります。

確認項目 主な内容 止まりやすい原因 実務上の対応
医薬部外品該当性 化粧品、医薬部外品、医薬品のいずれに該当するかを確認します。 海外でcosmeticやdaily care productと表示されているだけで判断してしまう場合です。 有効成分、効能効果、広告表現、日本での販売方法を確認します。
製造販売業許可 国内で市場出荷する責任主体としての許可を確認します。 輸入者が単なる販売者として考えており、製造販売業者を決めていない場合です。 誰が製造販売業者として市場出荷するかを確認します。
製造業許可 国内で保管、包装、表示、ラベル貼付等を行う場所の許可を確認します。 倉庫でラベル貼付や保管を行うのに許可の要否を確認していない場合です。 国内作業場所と作業内容を確認します。
外国製造業者認定 海外製造所に関する認定・情報確認を行います。 海外メーカーから製造所情報や必要資料を取得できない場合です。 発注前に海外メーカーの協力可否を確認します。
品目承認 個別品目ごとの承認、有効成分、効能効果、用法用量を確認します。 業許可があれば個別商品を販売できると誤解している場合です。 承認書、承認範囲、表示案、広告案を確認します。
表示・広告 承認された効能効果の範囲内で表示・広告しているかを確認します。 海外広告をそのまま翻訳し、承認範囲を超える表現を使っている場合です。 日本語ラベル、ECページ、SNS、広告文を確認します。

制度適用フロー

  1. 海外商品について、商品名、用途、成分、有効成分、販売国での表示、広告表現を確認します。
  2. 日本で化粧品、医薬部外品、医薬品、雑品のどれに該当する可能性があるかを整理します。
  3. 薬用、medicated、anti-acne、anti-dandruff、hair growth、whitening、deodorant、antibacterial、insect repellentなどの表現がないか確認します。
  4. 医薬部外品に該当する可能性がある場合、有効成分、配合量、効能効果、用法用量、剤形を確認します。
  5. 品目ごとの承認が必要か、承認済みかを確認します。
  6. 日本国内で市場出荷する製造販売業者を確認します。
  7. 国内で保管、包装、表示、ラベル貼付を行う場所に製造業許可が必要かを確認します。
  8. 海外製造所について、外国製造業者認定が必要かを確認します。
  9. 通関時に必要な許可証写し、承認資料、成分表、効能効果説明、用途説明を準備します。
  10. 市場出荷前に、製造販売業者が品質、表示、承認内容を確認します。
  11. 販売開始前に、ECサイト、広告、SNS、パンフレット、LP、動画説明が承認範囲と整合しているか確認します。

輸入実務の流れ

段階 主な確認事項 止まりやすい原因
仕入前 商品用途、成分、効能効果、販売国表示、広告表現を確認します。 海外で一般商品として販売されているため、日本でも同じ分類と判断する場合です。
分類確認 化粧品、医薬部外品、医薬品のどれに該当するかを確認します。 「薬用」「medicated」「anti-acne」等の表示を見落とす場合です。
許可・承認確認 製造販売業許可、製造業許可、外国製造業者認定、品目承認を確認します。 品目承認や有効成分確認が終わる前に輸入手配を進めてしまう場合です。
輸入手配 通関時に必要な許可証写し、承認資料、商品資料を整理します。 通関直前に資料不足が判明する場合です。
国内保管・表示 ラベル、表示、包装、保管場所、製造業許可を確認します。 倉庫で日本語ラベルを貼るのに許可区分を確認していない場合です。
市場出荷判定 製造販売業者が品質・表示・承認内容を確認して市場出荷を判断します。 通関できたため販売できると誤解している場合です。
販売開始前 ECサイト、広告、SNS、パンフレットの効能効果表現を確認します。 承認された効能効果を超える広告表現を使っている場合です。

輸入実務で問題になりやすい商品

医薬部外品に該当する可能性がある商品は、美容、衛生、ヘアケア、オーラルケア、デオドラント、防虫関連の商品に多く見られます。

  • 薬用歯みがき
  • 薬用シャンプー
  • 薬用化粧水、薬用クリーム、薬用美容液
  • 美白、にきび防止、肌荒れ防止をうたう商品
  • 育毛剤、除毛剤
  • 制汗剤、デオドラント用品
  • 入浴剤
  • 外皮消毒剤、手指消毒関連商品
  • 殺虫剤、防虫剤、虫よけ用品
  • あせも、ただれ、ひび、あかぎれ等の防止をうたう商品

これらの商品は、海外では化粧品、日用品、雑貨、サプリメントとして販売されている場合でも、日本での効能効果表示によって医薬部外品や医薬品に該当する可能性があります。

実務で問題になりやすいケース

ケース 問題になりやすい点 確認すべき資料 実務上の注意点
海外の薬用化粧品を化粧品として輸入する medicated、anti-acne、whiteningなどの表現により、医薬部外品該当性が問題になります。 海外広告、成分表、有効成分資料、日本語表示案、販売ページ案 化粧品として販売できる表現に留めるか、医薬部外品承認を確認します。
薬用シャンプーで効能効果の範囲を超える フケ・かゆみ防止を超えて、頭皮炎症の治療や発毛効果をうたう可能性があります。 承認資料、有効成分、効能効果、広告案、商品説明 承認された効能効果と広告表現を照合します。
育毛剤で発毛・治療表現を使う 育毛と発毛、脱毛症治療、薄毛治療が混同されやすいです。 有効成分、配合量、承認資料、広告案、SNS投稿案 医薬部外品の範囲を超えて医薬品的な効能効果にならないか確認します。
防虫・殺虫関連商品の区分を誤る 防除用医薬部外品、医薬品、雑品の区分が問題になります。 有効成分、対象害虫、用途説明、使用場所、ラベル案 人体に直接使用するか、環境用か、対象害虫と効能効果を確認します。
製造販売業者と品目承認が未整理 誰が市場出荷責任を負うのか、品目承認があるのかが不明確です。 製造販売業許可証、承認資料、委託契約、製造業許可資料 輸入前に責任主体、承認、国内作業場所を整理します。
国内倉庫で日本語ラベルを貼付する 保管、包装、表示、ラベル貼付に製造業許可が関係することがあります。 倉庫情報、作業内容、製造業許可、委託契約 物流作業と薬機法上の製造行為を分けて確認します。
海外広告をそのまま翻訳する 承認範囲を超える効能効果や医薬品的表現が残る可能性があります。 海外広告、日本語広告案、LP、SNS投稿案、動画台本 日本向け広告を承認範囲内に修正します。
個人輸入品を国内販売する 自己使用目的と営業目的輸入販売が混同されます。 購入履歴、数量、販売ページ、納品先、販売計画 国内販売時は医薬部外品該当性、承認、許可、表示広告を確認します。

広告・表示上の注意点

医薬部外品では、認められた範囲を超える効能効果を表示することはできません。

承認された効能効果の範囲を超えて、疾病の治療や改善をうたうと、医薬品的な効能効果として問題になる可能性があります。

例えば、薬用化粧品で「にきびを防ぐ」と表示できる場合でも、「にきびを治療する」「皮膚病を治す」「炎症を改善する」といった表現は問題になる可能性があります。

薬用育毛剤で認められた範囲の表現がある場合でも、「発毛する」「薄毛を治療する」「医学的に髪が生える」といった表現は、承認範囲を超える可能性があります。

商品ラベルだけでなく、ECサイト、パンフレット、SNS、広告文、LP、動画説明、販売ページ、口コミ引用の表現も確認対象になります。

個人輸入と営業目的輸入の違い

医薬部外品でも、個人使用目的の輸入と、営業目的の輸入販売は分けて考える必要があります。

自己使用目的で海外製品を購入する場合と、日本国内で販売、転売、配布、業務使用する目的で輸入する場合では、必要な確認が異なります。

個人輸入として入手した薬用化粧品、育毛剤、除毛剤、消毒関連商品、防虫商品などを、国内で販売することはできません。

営業目的で輸入販売する場合には、医薬部外品該当性、製造販売業許可、製造業許可、外国製造業者認定、品目承認、表示・広告確認が問題になります。

フォワーダー・通関実務での確認ポイント

フォワーダーや通関関係者は、貨物名だけで医薬部外品かどうかを判断するのではなく、輸入者に商品の用途、成分、販売目的、表示予定を確認することが重要です。

フォワーダーは、医薬部外品該当性や許可・承認の要否を最終判断する立場ではありません。

しかし、貨物名、商品説明、販売資料、広告表現から医薬部外品に該当する可能性がある場合には、輸入者へ確認を促し、通関業者へ早めに情報共有する必要があります。

通関で確認が入った場合、フォワーダーは輸入者から商品カタログ、成分表、有効成分資料、効能効果説明、承認資料、許可証写し、用途説明、販売ページ案を回収し、通関業者へ連携します。

フォワーダーが「薬用と書いていないので問題ありません」「化粧品として輸入できます」「医薬部外品ではありません」と断定することは避けるべきです。

フォワーダーの関与範囲

区分 支援しやすいこと 断定すべきでないこと 実務上の対応
薬用・medicated表示がある商品 輸入者へ成分、有効成分、効能効果、広告表現の確認を促せます。 薬用と書かれていないので問題ない、または薬用だから販売できると断定すべきではありません。 薬事確認結果、承認資料、表示案の確認を促します。
化粧品として輸入予定の商品 薬用効果や医薬品的表現がないか、販売ページ案の確認を促せます。 化粧品として輸入できる、医薬部外品ではないと断定すべきではありません。 化粧品と医薬部外品の境界確認を輸入者へ依頼します。
育毛・除毛・制汗・防臭商品 用途、有効成分、効能効果、承認資料の確認を促せます。 雑貨または化粧品として扱えると断定すべきではありません。 医薬部外品該当性と承認範囲の確認を促します。
防虫・殺虫関連商品 対象害虫、使用場所、人体使用の有無、成分資料の回収を支援できます。 household productだから薬機法は関係ないと断定すべきではありません。 防除用医薬部外品、医薬品、雑品の区分確認を促します。
通関照会が入った場合 商品カタログ、成分表、有効成分資料、承認資料、許可証写しを回収できます。 輸入可否、販売可否、承認要否をフォワーダーが最終判断すべきではありません。 輸入者、通関業者、薬事担当者へ情報共有します。
広告表現の相談を受けた場合 承認範囲や薬事広告確認が必要であることを案内できます。 この表現なら大丈夫、承認範囲内であると判断すべきではありません。 輸入者側の薬事・法務確認へつなぎます。

必要となる資料

資料 確認する内容 実務上の目的
商品カタログ 商品概要、用途、効能効果、販売先 医薬部外品該当性の確認に使います。
成分表・有効成分資料 有効成分、配合成分、配合目的 承認範囲や医薬品該当性の確認に使います。
配合量に関する資料 有効成分の濃度、配合量、規格 承認内容や基準との整合を確認します。
規格書・COA 品質規格、試験結果、成分規格 品質確認と薬事確認に使います。
効能効果説明資料 表示予定の効能効果、広告表現、使用目的 承認された範囲内か確認します。
用法用量に関する資料 使用方法、使用頻度、対象部位、対象者 承認内容との整合を確認します。
承認書に関する資料 品目承認、有効成分、効能効果、用法用量、剤形 個別品目を市場出荷できるか確認します。
製造販売業許可・製造業許可資料 市場出荷責任者、国内作業場所、許可状況 輸入販売体制を確認します。
外国製造業者認定資料 海外製造所名、所在地、製造範囲 海外メーカーからの輸入手続確認に使います。
海外ラベル・日本語表示案・広告文案 表示、広告、効能効果、注意事項 承認範囲や薬事広告上の問題を確認します。

4列判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
仕入前 輸入者、海外メーカー 商品用途、成分、有効成分、海外での分類、広告表現 薬用・medicated等の表現があれば、分類確認を行います。
分類確認時 輸入者、薬事担当者 化粧品、医薬部外品、医薬品、雑品のいずれに該当するか 不明な場合は、輸入手配前に薬事確認を行います。
有効成分確認時 輸入者、海外メーカー、薬事担当者 有効成分名、配合量、規格、承認範囲との整合 日本で認められる範囲と合わない場合は販売計画を見直します。
許可・承認確認時 製造販売業者、輸入者、薬事担当者 製造販売業許可、製造業許可、外国製造業者認定、品目承認 未確認の場合は、通関前に必要資料を整理します。
国内保管・表示時 輸入者、倉庫、製造業者 保管、包装、表示、ラベル貼付、製造業許可の要否 物流作業と薬機法上の製造行為を分けて確認します。
通関申告時 輸入者、通関業者 許可証写し、承認資料、成分表、有効成分資料、用途説明 資料不足の場合は、輸入者から追加資料を回収します。
販売ページ作成時 輸入者、広告担当者、薬事担当者 効能効果、薬用表現、治療表現、承認範囲との整合 承認範囲を超える広告表現を修正します。
市場出荷前 製造販売業者、輸入者 品質、表示、承認内容、保管状態、市場出荷判定 通関済みでも、市場出荷判定前に販売しないよう確認します。

実務シナリオ1:海外の薬用化粧品を化粧品として輸入しようとするケース

輸入者が海外で販売されているmedicated skin care productを仕入れ、日本国内で化粧品として販売しようとするケースがあります。

海外の商品ページには、anti-acne、whitening、medicated、skin repairなどの表現が使われています。

輸入者がこれをそのまま日本語訳し、「にきびを防ぐ」「美白」「肌を修復する」と表示すると、化粧品の範囲を超え、医薬部外品や医薬品としての確認が必要になる可能性があります。

この場合、化粧品として販売できる表現に留めるのか、医薬部外品として承認・許可を確認するのかを整理する必要があります。

実務シナリオ2:薬用シャンプーで効能効果の範囲を超えるケース

輸入者が海外のanti-dandruff shampooを仕入れ、日本で薬用シャンプーとして販売しようとするケースがあります。

フケ・かゆみ防止などの効能効果を表示する場合、医薬部外品としての承認範囲、有効成分、配合量、表示内容を確認する必要があります。

さらに、「頭皮炎症を治す」「脱毛を治療する」「発毛効果がある」などの表現を使うと、承認範囲を超える可能性があります。

輸入者は、承認された効能効果の範囲と広告表現を分けて確認する必要があります。

実務シナリオ3:育毛剤を海外から輸入するケース

輸入者が海外のhair growth productを仕入れ、日本で販売しようとするケースがあります。

育毛剤として医薬部外品に該当する可能性がある一方で、発毛、脱毛症治療、薄毛治療などをうたう場合には、医薬品的な効能効果として問題になる可能性があります。

この場合、有効成分、配合量、承認された効能効果、広告表現、販売ページ、SNS投稿を確認する必要があります。

「育毛」と「発毛」「治療」は実務上混同されやすいため、輸入前に薬事確認を行うことが重要です。

実務シナリオ4:防虫・殺虫関連商品で区分を誤るケース

輸入者が海外の虫よけスプレーや防虫剤を輸入するケースがあります。

人体に直接使用する忌避剤なのか、室内や環境で使う防除用製品なのか、殺虫・防虫の目的や成分によって、医薬部外品や医薬品としての確認が必要になることがあります。

海外ではhousehold productとして販売されていても、日本では防除用医薬部外品として扱われる可能性があります。

輸入者は、使用対象、使用部位、有効成分、効能効果、表示注意事項を確認する必要があります。

実務シナリオ5:製造販売業者と品目承認が未整理のケース

輸入者が海外医薬部外品を仕入れ、日本国内で販売しようとするケースがあります。

しかし、誰が医薬部外品製造販売業者として市場出荷するのか、品目ごとの承認が済んでいるのか、国内保管・表示場所の許可があるのかが整理されていません。

輸入者は「海外で販売されている商品を輸入するだけ」と考えていますが、日本では製造販売業者、製造業者、外国製造業者、品目承認を分けて確認する必要があります。

この場合、通関前に許可・承認・表示・広告の確認を行う必要があります。

通関・販売が止まった場合の影響

医薬部外品に該当する可能性がある貨物で確認が入ると、通関遅延、保管料、納期遅延、販売開始日の延期、広告修正、ラベル修正、許可業者の再手配などが発生することがあります。

通関できた場合でも、製造販売業者、製造業者、外国製造業者認定、品目承認、表示、広告が整っていなければ、国内販売に進めないことがあります。

輸入者は、通関と国内販売を分けて考えず、仕入前から市場出荷まで一連の流れとして確認する必要があります。

化粧品・医薬品的な効能効果記事との役割分担

「化粧品」は、化粧品の定義、成分規制、全成分表示、化粧品広告、医薬部外品との基本的な違いを整理する記事です。

「医薬品的な効能効果」は、食品、化粧品、雑品、健康器具などに共通する表示・広告上の判断軸を整理する横断記事です。

これに対して、本記事「医薬部外品」は、医薬部外品特有の有効成分、効能効果の範囲、承認、許可、サブ分類、薬用化粧品との関係を整理する記事です。

実務上は、まず商品が化粧品として扱えるか、医薬品的な効能効果をうたっていないかを確認し、薬用効果を表示する場合には本記事で医薬部外品としての整理を確認します。

よくある誤解

よくある誤解 実際の考え方 実務上の注意点
薬用と書いてあれば日本でも医薬部外品として販売できる 日本で医薬部外品として販売するには、承認、許可、表示範囲の確認が必要です。 海外表示や商品名だけで判断しないようにします。
薬用と書いていなければ医薬部外品ではない 商品名に薬用と書かれていなくても、有効成分や効能効果によって医薬部外品確認が必要になることがあります。 成分、用途、広告、販売ページを確認します。
化粧品のような外観なら化粧品として輸入できる 外観ではなく、成分、効能効果、使用目的、広告表現で判断します。 medicated、anti-acne、whiteningなどの表現に注意します。
製造販売業許可があれば、どの商品でも販売できる 業許可と品目承認は別です。個別品目の承認が必要になることがあります。 承認書、有効成分、効能効果、用法用量を確認します。
医薬部外品なら強い治療効果を広告できる 医薬部外品は承認された効能効果の範囲内で表示する必要があります。 治療、改善、発毛など承認範囲を超える表現に注意します。
国内倉庫でのラベル貼付は単なる物流作業である 保管、包装、表示、ラベル貼付は製造業許可が問題になることがあります。 作業内容と許可要否を事前に確認します。
個人輸入できた商品は国内販売できる 個人使用目的の輸入と営業目的の国内販売は別です。 国内販売時は、承認、許可、表示、広告を確認します。
海外で販売されていれば日本でも同じ分類でよい 海外の分類と日本の薬機法上の分類は一致するとは限りません。 日本での成分、効能効果、表示、販売方法を確認します。

実務上の注意点

医薬部外品は、化粧品と医薬品の中間に位置するように見えるため、輸入実務で判断を誤りやすい分野です。

しかし、実務上は「中間的だから簡単」という意味ではありません。有効成分、配合量、効能効果、承認、製造販売業許可、製造業許可、外国製造業者認定、広告表現を確認する必要があります。

特に、美容、衛生、ヘアケア、オーラルケア、デオドラント、防虫関連の商品では、医薬部外品該当性の確認が重要です。

フォワーダーは薬機法上の判断者ではありませんが、medicated、anti-acne、anti-dandruff、hair growth、deodorant、insect repellentなどの表示がある貨物では、輸入者への確認と通関業者への情報共有を行う立場です。

まとめ

医薬部外品とは、医薬品より人体への作用が緩和でありながら、一定の効能効果を目的として使用される薬機法上の規制対象品です。

海外で化粧品や日用品として販売されていても、日本で薬用効果、育毛、除毛、殺菌、防臭、防虫、美白、にきび防止などをうたう場合には、医薬部外品としての確認が必要になることがあります。

医薬部外品では、有効成分、配合量、効能効果の範囲、用法用量、承認、製造販売業許可、製造業許可、外国製造業者認定、表示・広告を確認する必要があります。

フォワーダーは医薬部外品該当性の判断者ではありませんが、疑義がある貨物について輸入者に確認を促し、通関業者と情報共有する立場です。

医薬部外品は、化粧品の外観を持ちながら薬用効果・有効成分・承認範囲が通関と国内販売に直結する分野であり、輸入前の薬事確認と承認範囲の確認が最重要の予防策です。

同義語・別表記

  • 薬用
  • 薬用化粧品
  • 薬用商品
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