健康食品と薬機法―輸入販売で注意すべき成分・表示

Health Foods and the PMD Act — Ingredients and Labeling for Import Sales

健康食品と薬機法とは

健康食品とは、一般に、健康の維持や増進に役立つことを期待して摂取される食品を指します。

サプリメント、栄養補助食品、健康補助食品、機能性をうたう食品、ハーブ食品、植物エキス配合食品、プロテイン、酵素食品、乳酸菌食品などが、実務上「健康食品」と呼ばれることがあります。

ただし、「健康食品」は薬機法上の正式な分類名ではありません。法律上は、医薬品、医薬部外品、食品、保健機能食品などの制度ごとに確認する必要があります。

輸入実務では、健康食品は食品衛生法上の輸入届出や検査の対象になる一方で、成分、形状、表示、広告、販売方法によっては、薬機法上の医薬品と判断される可能性があります。

そのため、単に食品として輸入できるかだけでなく、日本国内でどのように表示・広告・販売するかを確認することが重要です。

この記事で扱う範囲

扱う範囲 この記事で整理する内容 別途確認すべき内容
健康食品の基本 健康食品は薬機法上の正式分類ではなく、食品・保健機能食品・医薬品該当性を分けて確認する必要があることを整理します。 個別商品の法的分類は、成分、表示、広告、販売方法を踏まえて確認します。
薬機法上の医薬品該当性 成分、形状、用法用量、効能効果表示、広告表現により医薬品と判断される可能性を整理します。 専ら医薬品成分、無承認無許可医薬品該当性は専門家・行政窓口へ確認します。
保健機能食品制度 特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、一般的な健康食品の違いを整理します。 届出、許可、表示基準、根拠資料の詳細は各制度の公式情報で確認します。
食品衛生法・食品表示法 輸入届出、検査、添加物、残留農薬、日本語表示、栄養成分、アレルゲン表示を整理します。 食品衛生法上の輸入届出や検査要否は検疫所・通関業者へ確認します。
景品表示法・広告表現 優良誤認、過大な機能性表示、体験談、ランキング、ビフォーアフター表現の注意点を整理します。 個別広告の適否は、広告審査・法務・専門家確認が必要です。
個人輸入と営業目的輸入 自己使用目的の輸入と、国内販売・転売・配布目的の輸入の違いを整理します。 数量、反復性、販売目的、輸入者の事業性を個別に確認します。
フォワーダー・通関実務 supplement、health food、diet productなどの貨物名を見た場合の確認事項を整理します。 フォワーダーは薬機法該当性を断定せず、輸入者・通関業者へ確認を促します。

健康食品という言葉の位置づけ

健康食品という言葉は、薬機法上の正式な分類ではありません。

一般には、健康の維持、栄養補給、美容、体調管理、生活習慣対策などを目的として摂取される食品を広く指す言葉として使われています。

しかし、食品である以上、疾病の診断、治療、予防を目的とする表示や、身体機能に強く作用するような表示を自由に行うことはできません。

そのような表示や広告を行うと、医薬品的な効能効果を標ぼうしていると判断され、薬機法上の無承認無許可医薬品の問題になる可能性があります。

制度の目的・背景

健康食品は、食品として流通する商品であっても、消費者が疾病の治療、予防、改善、身体機能への作用を期待して購入する場合があります。

このため、健康食品の輸入販売では、食品としての安全性確認だけでなく、医薬品的な効能効果をうたっていないか、医薬品成分を含んでいないか、広告が過大ではないかを確認する必要があります。

特に海外のサプリメントやハーブ製品では、海外では dietary supplement や health supplement として販売されていても、日本では医薬品成分、指定成分、食品添加物、残留農薬、食品表示、広告規制の確認が必要になることがあります。

輸入者は、商品そのものを食品として輸入できるかだけでなく、日本国内でどの制度の下で、どの表示を行い、どのように広告・販売するかを事前に整理する必要があります。

対象となる商品

健康食品として輸入・販売される可能性がある商品には、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、液体、飲料、ゼリー、加工食品など、さまざまな形態があります。

商品例 主な特徴 確認すべき点 注意点
ビタミン・ミネラル・アミノ酸サプリメント 栄養補給を目的として販売されることが多い商品です。 含有量、栄養機能食品該当性、食品表示、広告表現 栄養機能食品として表示できる成分・基準を確認します。
プロテイン・酵素・乳酸菌・青汁 健康維持、美容、体調管理を訴求することが多い商品です。 原材料、添加物、アレルゲン、機能性表示の有無 過度な効果表現や疾病改善表現を避けます。
ダイエット・美容系サプリメント 体重、脂肪、美容、代謝などを訴求することが多い商品です。 成分、医薬品成分、広告、体験談、ビフォーアフター表現 医薬品的効能効果や景品表示法上の誇大表示に注意します。
ハーブ・植物エキス配合食品 植物由来成分を含むサプリメントや飲料です。 学名、使用部位、抽出方法、濃縮度、含有量 海外では食品でも、日本では確認が必要な成分が含まれることがあります。
動物由来成分を含む食品 ゼラチン、プラセンタ、コラーゲン、動物抽出物などを含むことがあります。 原産国、動物種、製造工程、検疫・食品衛生法上の確認 成分だけでなく輸入規制や検疫上の確認も必要です。
機能性表示食品として販売する商品 事業者責任で科学的根拠に基づき機能性を表示する食品です。 届出内容、機能性関与成分、表示、広告 届出内容を超えた広告表現に注意します。
海外の dietary supplement 海外でサプリメントとして販売されている商品です。 日本での成分規制、食品表示、医薬品該当性、広告 海外分類を日本へそのまま持ち込むことはできません。

保健機能食品との違い

健康食品と呼ばれるものの中には、国の制度として整理されている保健機能食品があります。

保健機能食品には、主に特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品があります。

これらは、一般的な健康食品とは異なり、それぞれ表示できる内容や手続が異なります。

区分 概要 表示できる内容 実務上の注意点
特定保健用食品 特定の保健の目的が期待できる旨を表示する食品です。 個別に認められた保健の用途に関する表示です。 個別の許可・審査が関係するため、海外商品の表示をそのまま使えません。
栄養機能食品 国が定めた栄養成分について、基準を満たす場合に栄養成分の機能を表示できる食品です。 対象栄養成分について定められた機能表示です。 対象成分、含有量、表示事項、注意表示を確認する必要があります。
機能性表示食品 事業者の責任で科学的根拠に基づき、特定の保健の目的が期待できる旨を表示する食品です。 届出内容に基づく機能性表示です。 届出内容を超えた広告や、国が効果を認めたような表示に注意が必要です。
一般的な健康食品 保健機能食品制度によらず、健康維持等を期待して販売される食品です。 医薬品的効能効果や保健機能食品のような機能表示はできません。 医薬品的効能効果、誇大表示、食品表示、成分規制を確認する必要があります。

輸入者は、単に「健康食品」として販売するのか、機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品として販売するのかを明確にする必要があります。

海外で health supplement や dietary supplement として販売されている商品であっても、日本で保健機能を表示できるとは限りません。

他制度との比較

制度 主な役割 健康食品輸入で確認する内容 問題になりやすい場面 実務上の対応
食品衛生法 食品の安全性、輸入届出、検査、添加物、残留農薬などを確認する制度です。 原材料、添加物、製造工程、COA、輸入届出、検査要否 薬機法だけを見て、輸入食品届出や検査を見落とす場面です。 仕入前に成分表、規格書、製造工程表を取得します。
食品表示法 食品の表示内容を管理する制度です。 原材料名、添加物、栄養成分、アレルゲン、原産国表示、日本語表示 海外ラベルをそのまま翻訳して販売する場面です。 日本向け表示を販売前に整備します。
薬機法 医薬品該当性や医薬品的な効能効果を規制する制度です。 医薬品成分、成分本質、形状、用法用量、効能効果、広告 食品として輸入する商品で疾病名や治療効果をうたう場面です。 成分確認と広告確認を分けて行います。
景品表示法 優良誤認、有利誤認、過大な広告表示を規制する制度です。 広告、LP、SNS、体験談、ランキング、ビフォーアフター、根拠資料 「必ず痩せる」「短期間で改善」など過大な表示を行う場面です。 表示内容と根拠資料の整合を確認します。
保健機能食品制度 一定の条件下で保健機能を表示できる制度です。 特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品の区分 海外の機能性表示を日本でもそのまま使う場面です。 日本の制度上の表示要件と届出・許可を確認します。
個人輸入制度 自己使用目的で一定範囲の輸入を行う場合の整理です。 自己使用目的か、営業目的か、数量、反復性、販売先 個人輸入品を国内で販売・転売する場面です。 営業目的輸入として食品衛生法・薬機法等を確認します。

薬機法上の医薬品該当性

健康食品で最も問題になりやすいのは、薬機法上の医薬品該当性です。

食品として販売する予定であっても、次のような事情がある場合には、医薬品と判断される可能性があります。

  • 医薬品成分を含んでいる
  • 専ら医薬品として使用される成分本質を含んでいる
  • 疾病の治療、予防、改善をうたっている
  • 身体機能への強い作用をうたっている
  • 用法用量が医薬品のように表示されている
  • 錠剤、カプセル、アンプルなど医薬品を想起させる形状・表示で販売されている
  • 医師、専門家、体験談、研究データ等を使って医薬品的効果を暗示している

医薬品に該当する場合、食品として自由に輸入・販売することはできません。

輸入者は、成分、形状、表示、広告、販売方法を総合的に確認し、日本国内で食品として扱えるかを確認する必要があります。

適用要件・対象外となるもの

区分 考え方 確認すべき資料 注意点
食品として扱う可能性があるもの 医薬品成分を含まず、疾病の治療・予防・改善をうたわず、食品として販売するものです。 成分表、規格書、製造工程、表示案、広告案 食品であっても食品衛生法、食品表示法、景品表示法の確認が必要です。
医薬品に該当する可能性があるもの 医薬品成分、専ら医薬品成分、疾病改善表現、医薬品的用法用量があるものです。 成分表、COA、原材料情報、広告文、商品ページ 食品として輸入・販売できない可能性があります。
保健機能食品として扱うもの 特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品の制度に沿って表示するものです。 許可・届出資料、栄養成分値、機能性根拠、表示案 制度の範囲を超えた効能効果や広告表現はできません。
個人輸入にとどまるもの 自己使用目的で一定範囲内にとどまる輸入です。 数量、用途、注文履歴、配送先、販売予定の有無 国内販売・転売・配布に転用すると営業目的輸入になります。
営業目的輸入となるもの 国内で販売、転売、配布、業務使用するために輸入するものです。 販売計画、納品先、販売ページ、数量、反復性 食品衛生法、食品表示法、薬機法、景品表示法を確認します。
対象外と誤解されやすいもの ハーブ、自然由来、海外サプリ、植物エキスなど、食品に見える商品です。 学名、使用部位、抽出方法、含有量、広告 自然由来でも医薬品成分や薬機法上の問題がないとは限りません。

成分確認の注意点

海外ではサプリメントとして販売されている商品でも、日本では医薬品成分に該当する成分が含まれている場合があります。

また、植物エキス、ハーブ、動物由来成分、鉱物成分、化学物質などでは、成分名、部位、抽出方法、含有量、濃縮度によって確認が必要になることがあります。

輸入実務では、商品名や販売ページだけでは判断できません。成分表、規格書、COA、製造工程、原材料の学名、使用部位、含有量などを確認する必要があります。

特に、ダイエット、精力増強、睡眠、血糖、血圧、免疫、ホルモン、美容、関節、認知機能などをうたう商品では、成分確認と広告確認を分けて行う必要があります。

医薬品的な効能効果の問題

健康食品では、疾病の治療、予防、改善をうたう表現は避ける必要があります。

例えば、次のような表現は、医薬品的な効能効果として問題になる可能性があります。

  • 糖尿病に効く
  • 高血圧を治す
  • がんを予防する
  • 感染症を防ぐ
  • 血糖値を下げる
  • 免疫力を高めて病気を防ぐ
  • 不眠を改善する
  • 脂肪を分解する
  • ホルモンバランスを整える

また、直接的な表現だけでなく、体験談、口コミ、ランキング、医師・専門家の推薦、研究データの引用、ビフォーアフター画像などによって、全体として医薬品的な効果を暗示する場合にも注意が必要です。

広告表現は、商品ラベルだけでなく、ECサイト、SNS、パンフレット、動画説明、ランディングページ、メール広告まで含めて確認する必要があります。

個人輸入と営業目的輸入の違い

健康食品やサプリメントでは、個人輸入と営業目的輸入の違いも重要です。

自己使用目的で一定数量を個人輸入する場合と、国内で販売・転売・配布する目的で輸入する場合では、確認すべき規制が異なります。

個人輸入の範囲で認められる数量や条件がある場合でも、それを国内販売に転用することはできません。

特に、海外ECで購入したサプリメントを日本国内で販売する場合、個人使用目的ではなく営業目的の輸入販売として、食品衛生法、食品表示法、薬機法、景品表示法などの確認が必要になります。

また、海外では食品として販売されているサプリメントでも、日本で医薬品成分を含む、または医薬品的効能効果をうたう場合には、医薬品として扱われる可能性があります。

輸入販売における主な確認事項

確認項目 主な内容 止まりやすい原因
食品か医薬品か 成分、表示、広告、形状、販売方法から医薬品該当性を確認します。 海外でサプリメントとして売られていることだけで食品と判断してしまう場合です。
成分確認 医薬品成分、指定成分、食品添加物、禁止成分、原材料名を確認します。 英語の商品名だけで判断し、成分表や規格書を確認していない場合です。
食品衛生法 輸入届出、検査、添加物、残留農薬、原材料、製造工程を確認します。 薬機法だけを見て、食品衛生法上の届出や検査を見落とす場合です。
食品表示法 原材料名、添加物、栄養成分、アレルゲン、原産国表示などを確認します。 海外ラベルをそのまま使い、日本語表示を整備していない場合です。
保健機能食品制度 機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品として扱うか確認します。 海外の機能性表示を日本でもそのまま使えると誤解している場合です。
広告表現 医薬品的効能効果、誇大表示、優良誤認、有利誤認を確認します。 ECサイトやSNSで疾病名・治療効果・改善効果をうたっている場合です。
販売目的 個人使用か、営業目的の輸入販売かを確認します。 個人輸入品を国内で販売しようとしている場合です。

制度適用フロー

  1. 商品名だけで判断せず、成分表、規格書、原材料、製造工程を確認します。
  2. 食品として輸入する商品か、医薬品に該当する可能性がある商品かを確認します。
  3. 医薬品成分、専ら医薬品成分、規制対象成分が含まれていないかを確認します。
  4. 食品衛生法上の輸入届出、検査、添加物、残留農薬、製造工程を確認します。
  5. 日本語表示、栄養成分表示、アレルゲン、原産国表示など食品表示法上の確認を行います。
  6. 機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品として販売するかを確認します。
  7. ECサイト、SNS、パンフレット、広告文、体験談、口コミ表現を確認します。
  8. 個人輸入か営業目的輸入かを、数量、反復性、販売目的、納品先から整理します。
  9. 通関前に、輸入者、通関業者、食品輸入届出担当者、必要に応じて薬事・表示の専門家へ確認します。
  10. 販売開始前に、表示、広告、販売ページ、販売先説明を再確認します。

輸入実務の流れ

段階 主な確認事項 止まりやすい原因
仕入前 成分、形状、使用目的、販売表現、販売先を確認します。 海外メーカーの商品説明だけで食品として扱えると判断する場合です。
輸入手配前 食品衛生法、食品表示法、薬機法、景品表示法の確認を行います。 通関直前まで成分表や規格書を入手していない場合です。
通関申告時 食品等輸入届出、原材料、添加物、用途、数量を整理します。 インボイスに「supplement」「health food」とだけ記載され、詳細が不明な場合です。
税関・検疫所確認 食品衛生法上の確認、必要に応じた検査、追加資料提出に対応します。 成分名、含有量、製造工程、原材料の情報が不足している場合です。
国内表示準備 日本語表示、栄養成分、アレルゲン、原産国、保健機能表示を確認します。 海外ラベルや商品ページをそのまま翻訳してしまう場合です。
販売開始前 ECサイト、広告、SNS、LP、体験談、口コミ表現を確認します。 販売ページで医薬品的効能効果や過大な機能性を表示している場合です。

輸入実務で問題になりやすい場面

健康食品は、食品衛生法上の輸入届出や検査だけで完結するとは限りません。

成分、形状、表示、広告表現、販売方法によっては、薬機法上の医薬品該当性の確認が必要になります。

ケース 何が問題になるか 確認すべき資料 実務上の対応
疾病名を挙げて効果をうたう 医薬品的な効能効果として問題になる可能性があります。 商品ページ、広告文、SNS投稿、パンフレット 疾病の治療・予防・改善表現を避け、表示内容を見直します。
「治る」「改善する」「予防する」と表示する 食品ではなく医薬品的な表示と見られる可能性があります。 広告文、LP、体験談、販売資料 医薬品的表現を削除し、食品として許容される表現を確認します。
血圧、血糖、免疫、ホルモン、睡眠への作用を強調する 身体機能への強い作用や疾病予防を暗示する可能性があります。 広告、成分資料、機能性根拠、届出資料 成分確認と広告確認を分けて行います。
海外ではサプリメントだが日本では医薬品成分を含む 食品として輸入販売できない可能性があります。 成分表、規格書、COA、原材料の学名・部位 仕入前に成分本質と含有量を確認します。
海外ラベルや販売ページをそのまま日本語訳する 海外では許容される機能表現が、日本では薬機法・景品表示法上問題になることがあります。 海外ラベル、日本語表示案、広告文案 日本向けに表示・広告を再設計します。
個人輸入品を国内で販売する 自己使用目的ではなく営業目的輸入として規制確認が必要になります。 数量、販売先、EC出品情報、注文履歴 食品衛生法、食品表示法、薬機法、景品表示法を確認します。
機能性表示食品として届出内容を超えた広告をする 届出された機能性の範囲を超える表示や、国が効果を認めたような表示が問題になります。 届出資料、広告文、LP、SNS投稿、口コミ引用 届出内容と広告表現の整合を確認します。
成分表・規格書・製造工程表が不足している 食品衛生法、薬機法、食品表示の確認が進みません。 成分表、規格書、製造工程表、COA 出荷前に海外メーカーから必要資料を取得します。

フォワーダー・通関実務での確認ポイント

フォワーダーや通関関係者は、貨物名が「supplement」「health food」「nutrition product」「diet product」「herbal capsule」などとなっている場合、食品衛生法だけでなく薬機法上の確認が必要になる可能性を意識することが重要です。

フォワーダーは、薬機法上の医薬品該当性や広告表現を最終判断する立場ではありません。

しかし、貨物名、成分、形状、販売目的、商品説明から規制上の確認が必要と考えられる場合には、輸入者へ確認を促し、通関業者や食品輸入届出の担当者へ早めに情報共有する必要があります。

通関や検疫所確認で追加資料が求められた場合には、フォワーダーは輸入者から成分表、規格書、製造工程、商品カタログ、販売ページ、用途説明などを回収し、通関業者や関係者へ連携します。

フォワーダーが「食品だから問題ありません」「医薬品ではありません」と断定することは避けるべきです。

フォワーダーの関与範囲

場面 支援できること 断定すべきでないこと 実務対応
貨物名に supplement や health food がある場合 輸入者へ成分表、規格書、用途、販売目的の確認を促せます。 食品として問題ない、医薬品ではないと断定すべきではありません。 通関業者や食品輸入届出担当者へ早めに情報共有します。
成分資料が不足している場合 海外メーカーから成分表、COA、製造工程表を取得するよう依頼できます。 資料なしで輸入可否を判断すべきではありません。 不足資料を一覧化して輸入者へ依頼します。
広告表現に疾病名や治療効果がある場合 輸入者へ薬機法上の確認が必要である旨を伝えられます。 広告表現の適法性をフォワーダーが最終判断すべきではありません。 薬事・表示担当者への確認を促します。
個人輸入か営業目的輸入か不明な場合 数量、反復性、納品先、販売予定の確認を促せます。 自己使用目的であると安易に扱うべきではありません。 販売目的がある場合は営業目的輸入として整理します。
通関・検疫所確認が入った場合 輸入者から必要資料を回収し、通関業者へ連携できます。 規制対象外であると独自に回答すべきではありません。 輸入者の説明資料と根拠資料を添えて連携します。
販売開始前の広告確認を相談された場合 広告確認は薬事・表示・法務の確認対象であると案内できます。 販売ページの文言を承認する立場ではありません。 輸入者側で専門家確認を行うよう促します。

4列判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
仕入前 輸入者、海外メーカー 成分表、規格書、原材料、製造工程、販売国での分類 資料不足の場合は出荷前に取得します。
輸入手配前 輸入者、通関業者、食品輸入届出担当者 食品衛生法、食品表示法、薬機法、景品表示法の確認状況 確認未了の場合は、出荷時期と販売計画を見直します。
成分確認時 輸入者、薬事担当者、専門家 医薬品成分、指定成分、使用部位、含有量、抽出方法 医薬品該当性が疑われる場合は販売前に専門確認します。
通関申告時 通関業者、輸入者 品名、用途、数量、成分、食品等輸入届出、検査要否 インボイスが曖昧な場合は詳細資料を追加します。
日本語表示作成時 輸入者、表示担当者 原材料名、添加物、栄養成分、アレルゲン、原産国表示 海外ラベルの直訳ではなく、日本向け表示を作成します。
広告作成時 輸入者、広告担当者、薬事・法務担当者 疾病名、治療効果、改善効果、体験談、研究データ、ビフォーアフター 医薬品的効能効果や誇大表示を修正します。
保健機能食品として販売する時 輸入者、表示担当者、専門家 特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品の区分と表示範囲 制度の範囲を超えた表示を避けます。
通関・販売が止まった時 輸入者、通関業者、検疫所、専門家 不足資料、成分、表示、広告、販売目的、追加検査 原因を切り分け、資料提出・表示修正・販売計画変更を行います。

必要となる資料

資料 確認する内容 実務上の目的
商品カタログ 商品概要、用途、訴求内容、販売先 食品か医薬品的商品かを確認する入口になります。
成分表・原材料リスト 原材料名、成分名、含有量、使用部位 医薬品成分や規制対象成分の確認に使います。
規格書・COA 品質規格、分析値、含有量、試験結果 食品衛生法・成分確認・品質確認に使います。
製造工程表 原料、加工方法、抽出、濃縮、添加物使用 食品輸入届出や成分確認に使います。
添加物・アレルゲン情報 食品添加物、アレルゲン、表示対象成分 食品衛生法・食品表示法の確認に使います。
海外ラベル・日本語表示案 商品名、表示事項、注意表示、栄養成分 日本向け表示作成に使います。
販売ページ案・広告文案 効能効果、体験談、ランキング、SNS表現 薬機法・景品表示法上の確認に使います。
機能性表示食品等の届出・許可・根拠資料 保健機能食品としての制度対応資料 表示可能な機能性の範囲を確認します。
販売計画 個人使用か営業目的か、販売先、数量、反復性 個人輸入と営業目的輸入を区別します。

実務シナリオ1:海外サプリをそのまま日本語訳して販売するケース

輸入者が海外で販売されているサプリメントを仕入れ、日本国内でEC販売しようとするケースがあります。

海外の商品ページには「blood sugar support」「immune booster」「anti-inflammatory」などの表現が使われています。

輸入者がこれをそのまま日本語訳し、「血糖を下げる」「免疫力を高める」「炎症を抑える」と表示すると、医薬品的な効能効果として問題になる可能性があります。

この場合、輸入者は、日本向け広告文、商品説明、表示内容を見直し、食品として許される表現の範囲を確認する必要があります。

実務シナリオ2:医薬品成分を含むサプリメントが通関で問題になるケース

海外ではサプリメントとして販売されている商品を輸入するケースがあります。

商品名や販売ページでは健康食品に見えても、成分表を確認すると、日本で医薬品成分や専ら医薬品として使用される成分本質に該当する可能性のある成分が含まれていることがあります。

この場合、食品として輸入販売できない可能性があり、通関や検疫所確認、薬事確認で問題になることがあります。

輸入者は、商品名ではなく、成分名、含有量、原材料、製造工程、規格書を確認する必要があります。

実務シナリオ3:機能性表示食品として届出内容を超えた広告をするケース

輸入者が機能性表示食品として販売する予定の商品を輸入するケースがあります。

届出された機能性の範囲では、特定の保健の目的に関する表示が可能であっても、販売ページで疾病名、治療効果、医薬品的な改善表現、過度な体験談を掲載すると問題になる可能性があります。

機能性表示食品であっても、届出内容を超えて自由に効果をうたえるわけではありません。

輸入者は、届出内容、表示内容、広告文、SNS投稿、口コミ引用を合わせて確認する必要があります。

実務シナリオ4:個人輸入品を国内で販売しようとするケース

輸入者が海外ECサイトからサプリメントを個人輸入し、日本国内で販売しようとするケースがあります。

自己使用目的の個人輸入と、営業目的の輸入販売は別の整理になります。

個人輸入として入手した商品を国内で販売する場合、食品衛生法、食品表示法、薬機法、景品表示法などの確認が必要になります。

また、成分や広告表現によっては、食品ではなく医薬品と判断される可能性もあります。

フォワーダーや通関関係者は、数量、反復性、販売目的、納品先、商品説明に不自然な点がある場合、輸入者へ確認を促す必要があります。

通関・販売が止まった場合の影響

健康食品の輸入で確認が入ると、通関遅延、保管料、納期遅延、販売開始日の延期、検査費用、ラベル修正費用、広告修正費用などが発生することがあります。

食品衛生法上の輸入届出や検査で止まる場合もあれば、薬機法上の医薬品該当性、食品表示、広告表現の問題で販売開始後に指摘を受ける場合もあります。

輸入者は、通関だけでなく、国内表示、EC販売ページ、広告、SNS、販売先への説明まで含めて事前に確認する必要があります。

輸入できたからといって、そのまま日本国内で自由に販売・広告できるとは限りません。

よくある誤解

誤解 正しい理解 実務上の注意点
健康食品は薬機法と関係ない 食品であっても、成分や効能効果表示により薬機法上の医薬品該当性が問題になります。 成分確認と広告確認を必ず行います。
海外でサプリメントなら日本でも食品である 海外分類と日本の制度は異なります。 日本での成分規制、表示、広告、食品衛生法を確認します。
食品として通関できれば販売広告も自由である 通関と国内販売・広告は別の確認事項です。 販売ページ、SNS、LP、表示を販売前に確認します。
自然由来成分なら安全で規制対象外である 植物・ハーブ・動物由来成分でも、使用部位や成分本質により確認が必要です。 学名、部位、抽出方法、含有量を確認します。
機能性表示食品なら自由に効果をうたえる 届出内容の範囲で表示する制度であり、疾病治療や過大広告はできません。 届出内容と広告表現を照合します。
個人輸入品を少量なら販売できる 自己使用目的と営業目的輸入は別です。 販売・転売・配布目的なら営業目的輸入として確認します。
フォワーダーが食品と説明すれば問題ない フォワーダーは薬機法や食品表示の最終判断者ではありません。 輸入者から資料を回収し、通関業者・専門家へ確認します。
体験談なら効能効果を書いても問題ない 体験談や口コミでも、全体として医薬品的効果を暗示する場合があります。 広告全体の印象を確認します。

実務上の注意点

健康食品は、輸入実務では食品衛生法と薬機法の両方を意識すべき分野です。

食品として輸入できる場合でも、成分、表示、広告表現、販売目的によっては医薬品と判断される可能性があります。

輸入者は、食品としての安全確認、成分確認、食品表示、薬機法上の効能効果表現、保健機能食品制度、景品表示法上の広告表現を分けて確認する必要があります。

フォワーダーは薬機法上の判断者ではありませんが、supplement、health food、diet product、herbal capsuleなどの貨物名を見た場合には、輸入者への確認と関係者への情報共有を行う立場です。

まとめ

健康食品は、一般に健康の維持や増進を期待して摂取される食品ですが、薬機法上の正式な分類名ではありません。

輸入実務では、食品衛生法、食品表示法、景品表示法に加えて、薬機法上の医薬品該当性や医薬品的な効能効果の有無を確認する必要があります。

機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品は、一般的な健康食品とは異なり、それぞれ制度上の表示要件や手続があるため、海外商品の表示をそのまま使うことはできません。

輸入者は、成分、形状、表示、広告、販売目的、個人輸入か営業目的輸入かを事前に整理する必要があります。

健康食品と薬機法は、食品としての輸入可否と、医薬品該当性・広告表現・国内販売可否が交差する分野であり、仕入前の成分確認と日本向け表示・広告確認が最重要の予防策です。

同義語・別表記

  • 健康食品
  • サプリメント
  • 栄養補助食品
  • 健康補助食品
  • Health Foods
  • Dietary Supplements
  • Supplements
  • Nutrition Products
  • ヘルスフード
  • ダイエットサプリ
  • ハーブサプリ
  • 健康補助サプリ
  • いわゆる健康食品

関連用語