Bank L/G(銀行保証状)―輸入貨物のB/L原本なし引渡しと実務リスク

Bank L/G (Shipping Guarantee) — Cargo Release Without an Original B/L and Practical Risks

Bank L/G(銀行保証状)とは ― B/L原本なし貨物引渡しの実務とリスク

Bank L/Gとは、Original B/Lが船会社又はNVOCCへ提示される前に貨物を引き渡す場合に、銀行が発行又は連署して差し入れる保証状又は補償状をいいます。

実務では、Shipping Guarantee、Bank Shipping Guarantee、Bank Letter of Guarantee、銀行保証付きLetter of Indemnity等の名称が使われます。

ただし、Bank L/Gは、世界共通の統一された法的名称ではありません。銀行が独立した支払義務を負う保証、輸入者の債務を保証する連帯保証、又は原本なし引渡しによって運送人が被る損失を補償するLetter of Indemnity等、文言と準拠法によって法的性質が異なります。

Bank L/Gは、B/L原本そのものでも、貨物引渡請求権を移転する書類でもありません。

正当なB/L所持人とは別の者へ貨物を引き渡した場合に、船会社又はNVOCCが負担する可能性のある損害、責任及び費用を、銀行又は輸入者から回収するための例外的なリスク補完手段です。

したがって、銀行名が記載されているだけでは十分ではありません。誰が誰に対して、どの条件で、いくらまで、いつまで、どの損失を支払うのかを保証文言から確認する必要があります。

この記事で扱う範囲

項目 この記事で扱う内容 他記事で扱う内容
Bank L/Gの定義 銀行が発行又は連署するShipping Guaranteeの実務上の意味 銀行保証全般の法的構造は金融法務資料で確認します
B/L原本なし引渡し Original B/L未着時に例外的に貨物を引き渡す構造 原本提示の原則は「B/L原本がないと貨物を引き取れない理由」で扱います
法的性質 通常保証、連帯保証、独立保証及び補償状の違い 個別保証状の法的解釈は銀行法務又は海事弁護士へ確認します
保証文言 支払条件、保証対象、上限額、期間及び解除条件 実際の保証状は銀行及び法務部門が個別に審査します
保証金額 貨物価額だけでは判断できない理由と保証不足例 銀行の与信条件及び保証料は発行銀行へ確認します
Single L/G 輸入者単独の補償状との違い Single L/Gの詳細は「Single L/Gとは」で扱います
L/C・D/P・D/A 銀行書類と貨物到着時期がずれた場合の対応 各決済方式の詳細はL/C・D/P・D/A関連記事で扱います
代替手段 Original B/L、Surrendered B/L及びSea Waybillとの使い分け 各書類の詳細は「Surrendered B/Lとは」「Sea Waybillとは」で扱います
解除・返還 Original B/L回収後のBank L/G解除までの管理 銀行所定の解除書式は発行銀行へ確認します
B/L原本紛失 単なる未着と紛失を分ける理由 紛失時の詳細は「Ocean B/L原本紛失」で扱います
House B/L NVOCCと海外代理店による保証状及びD/O管理 NVOCC責任全般はNVOCC責任関連記事で扱います
貨物海上保険 誤引渡し責任と貨物海上保険を区別する考え方 保険との関係は「B/Lと海上貨物保険の関係」で扱います

Bank L/Gの当事者と取引構造

当事者 主な地位 行うこと 主なリスク 確認資料
輸入者 Bank L/Gの申込人又は補償義務者 銀行へ発行を依頼し、原本到着後にB/Lを提出します 銀行への求償、保証料、追加担保及び貨物代金の支払 申込書、補償約定、決済書類、B/L
発行銀行 保証人又は補償状の連署銀行 所定条件に基づき保証状を発行又は連署します 保証文言に基づく受益者への支払義務 保証状、銀行約定、与信契約
船会社 保証状の受益者となる運送人 保証内容を確認し、原本なしで貨物を引き渡すか判断します 正当なB/L所持人に対する誤引渡し責任 Ocean B/L、保証状、D/O、引渡記録
NVOCC House B/L発行者又は契約運送人 House B/Lに基づく貨物引渡しと代理店を管理します House B/L所持人からの請求及び代理店管理責任 House B/L、Master B/L、保証状、代理店記録
正当なB/L所持人 貨物引渡しを請求する可能性がある第三者 後日Original B/Lを提示する場合があります 貨物が別の者へ既に引き渡されていること Original B/L、裏書、取得経緯
海外代理店・ターミナル 現地のD/O発行又は貨物引渡実行者 本体指示に基づきConsigneeへ貨物を引き渡します 保証確認漏れ、対象貨物誤認及び誤引渡し Release指示、D/O、受領記録、監査ログ

Bank L/Gの法的性質

Bank L/Gの法的性質は、名称ではなく、保証状の文言、当事者の合意、準拠法及び適用される国際ルールによって判断されます。

類型 基本構造 銀行が支払う条件 基礎取引との関係 実務上の注意
通常保証 銀行が輸入者の債務を保証します 輸入者が保証対象債務を履行しないこと 主債務に付従する性質が強くなります 主債務の成立、範囲及び抗弁が問題になります
連帯保証 銀行が輸入者と連帯して保証債務を負います 保証文言及び準拠法に基づく履行請求 主債務との関係は残りますが、通常保証より受益者の請求が容易になります 連帯保証であることが明確に記載されているか確認します
独立したDemand Guarantee 銀行が受益者に対して独立した支払約束をします 保証状に定める適式な請求書類の提示 原則として基礎取引から独立します URDG 758は保証状に適用の明記がある場合に適用されます
銀行連署のLetter of Indemnity 輸入者の補償約束に銀行が連署又は支払責任を追加します 原本なし引渡しにより対象損失が発生したこと 補償対象となる損失と因果関係が問題になります 銀行がどこまで独自責任を負うかを文言で確認します
Bank Release Order 銀行が特定者への貨物引渡しを承認又は指図します 保証金支払ではなく引渡しの承認が中心です 保証状ではない場合があります Release指図と損失補償を混同しません

日本民法上の通常保証では、主たる債務者が債務を履行しない場合に保証人が履行責任を負い、保証契約は書面又は電磁的記録による必要があります。

連帯保証の場合、保証人は通常保証人に認められる催告の抗弁権及び検索の抗弁権を持ちません。

一方、独立したDemand Guaranteeでは、保証状に定められた適式な請求があったかが中心となり、輸入者と船会社との基礎取引上の争いから独立して支払義務が判断される場合があります。

ただし、「銀行保証」「Bank L/G」と記載されているだけで、当然に独立保証となるわけではありません。

保証文言のどこを確認するか

確認箇所 文言例 意味 不足している場合の問題 確認方法
支払義務 銀行は適式な書面請求を受領したとき支払う 銀行がどの請求を受ければ支払うかを定めます 輸入者の同意がなければ支払わない可能性があります 銀行の独自支払義務があるか確認します
独立性 基礎取引上の抗弁にかかわらず支払う 基礎取引から独立した保証であることを示します 輸入者の抗弁が銀行請求にも影響する可能性があります 独立保証又はDemand Guaranteeか確認します
補償対象 原本なし引渡しに起因する損失、責任、費用を補償する 何による損失が保証対象かを定めます 正当なB/L所持人への賠償が対象外となる可能性があります Misdelivery、第三者請求及び法的費用を確認します
保証上限額 総額○円を上限とする 銀行の最大支払額を定めます 貨物価額又は訴訟費用を下回る可能性があります 貨物価額以外の損害も含めて評価します
請求書類 署名済み請求書及び違反内容を記載したStatement 支払請求時に必要となる書類を定めます 判決確定又は輸入者承認が必要となる場合があります 現実に提出可能な条件か確認します
有効期限 ○年○月○日までに銀行へ到達した請求に限る 請求可能期間を限定します B/L所持人の請求が期限後に発生する可能性があります 原本到着見込みと第三者請求期間を考慮します
解除条件 Original B/Lの回収及び受益者の書面解除により終了する 保証を終了させる条件を定めます 一通の原本回収だけで解除される可能性があります 発行通数と競合請求の有無を確認します
準拠法・裁判管轄 日本法、シンガポール法等を適用する 保証状の解釈及び請求手続に影響します 外国での訴訟又は請求が必要になる場合があります 受益者が実行可能な法域か確認します
適用ルール URDG 758に準拠する Demand Guaranteeの統一ルールを適用します 独立性、請求方法及び失効条件が不明確になります 適用ルールの版と明示を確認します

次の文例は、法的効果を説明するための架空例であり、実際の保証状としてそのまま使用するものではありません。

銀行は、受益者から保証番号、対象B/L及び申込人の義務違反を記載した署名済み書面請求を受領したとき、基礎取引上の抗弁にかかわらず、保証上限額まで支払う。

このような文言は、独立性が比較的強い保証を示します。

申込人が船会社に対する補償義務を履行しない場合、銀行は申込人の当該義務を保証する。

このような文言は、申込人の補償債務に従属する通常保証又は連帯保証に近い可能性があります。

実際の法的性質は、一文だけでなく、保証状全体、申込契約、準拠法及び取引経緯から判断します。

Bank L/GとSingle L/Gの違い

項目 Bank L/G Single L/G 実務上の差 残るリスク
差入者 銀行が発行又は連署します 輸入者のみが差し入れます 銀行信用及び銀行の審査が加わる場合があります 銀行名だけで十分な保証とは限りません
支払能力 銀行の信用力に依存します 輸入者の信用力に依存します 輸入者倒産時の回収可能性が異なります 銀行保証にも上限額と請求条件があります
法的性質 保証状又は銀行連署の補償状 輸入者による補償約束 銀行が独立義務を負うかが重要です いずれもB/L所持人の権利を消しません
銀行書類との整合 L/C・D/P・D/Aとの連携が可能です 銀行管理中のB/Lと衝突する場合があります 原本所在と決済状況を確認しやすくなります 別の銀行がB/Lを保有している場合があります
保証料 銀行手数料及び与信枠を使用する場合があります 通常は銀行保証料がありません 長期残存すると費用負担が増えます 解除漏れにより保証料が継続する場合があります
貨物引渡し判断 保証文言を確認して個別承認します 例外性をより高くして慎重に判断します Single L/Gを常態運用にしません いずれも誤引渡し自体を正当化しません

Original B/L・Surrendered B/L・Sea Waybill・Bank L/Gの使い分け

方式 適する場面 貨物引渡しの根拠 主な利点 主な注意点
Original B/L L/C、D/P、D/A等で書類と決済を連動させる取引 正当な原本所持及び必要な裏書 貨物支配と代金回収を連動できます 近距離航路では貨物が原本より先に到着します
Surrendered B/L 代金回収済み又は原本による貨物支配が不要な取引 船積地での原本回収・取消しとRelease指示 仕向地で原本到着を待つ必要がありません 未回収原本と偽Releaseを防ぐ必要があります
Sea Waybill 前払、関連会社間又は信用取引 記名Consigneeの本人確認 原本郵送と裏書が不要です 代金未回収でも貨物を引き取られる可能性があります
Bank L/G Original B/L取引で貨物が原本より先に到着した例外案件 運送人が承認した銀行保証又は補償状 Demurrageや生産停止を避けられる場合があります 正当なB/L所持人への責任は残ります
Single L/G 輸入者信用のみで運送人が例外リスクを取る限定案件 輸入者単独の補償約束 銀行手続なしで作成できます 輸入者倒産時に実効性を失う可能性があります

Bank L/Gを検討できる場合と避けるべき場合

場面 基本判断 理由 追加確認 代替対応
L/C書類が銀行へ輸送中で貨物が先に到着した Bank L/Gを検討できます 銀行が決済及び書類管理に関与しているため 発行銀行、B/L所在、L/C条件及び決済状況 原本到着まで保管する方法も比較します
D/Pで輸入者が支払済みだが原本が未着 銀行確認後に検討できます 代金支払が完了している可能性があるため 取立銀行のRelease、支払記録及び原本所在 銀行からのRelease指図を取得します
D/Aで手形引受済みだが原本が未着 与信条件を含めて慎重に検討します 代金が未回収で銀行信用が残るため 手形引受、Trust Receipt及び銀行保証範囲 原本到着まで保管又は銀行条件を再確認します
輸出者が代金回収済みで毎回原本が遅れる Bank L/Gを常態利用しません 取引設計自体を変更できるため 買主信用及び原本による貨物支配の必要性 Surrendered B/L又はSea Waybillを検討します
保証上限額が貨物価額を下回る 原則として引渡しを避けます 保証不足が明確であるため 法的費用、利息及び第三者請求を含む損失 増額又は別途担保を求めます
保証期限が短く、原本所在も不明 引渡しを避けます 第三者請求前に保証が失効する可能性があるため 自動延長、解除条件及び請求期限 期限延長又は無期限型を協議します
B/Lが単なる未着ではなく紛失している 通常のBank L/G案件と分けます 紛失原本が第三者へ流通する可能性があるため 発行通数、紛失通数、公告、担保及び法的手続 長期保証、供託又は裁判手続を検討します
House B/LとMaster B/LでRelease状態が異なる 両階層を満たすまで引き渡しません 一方の保証が他方の責任を補償しないため 各B/Lの受益者、保証対象及びD/O発行者 House用とMaster用の保証を分けて確認します

L/C・D/P・D/Aとの関係

決済方式 B/L原本の通常の流れ Bank L/G申請前の確認 主なリスク 実務対応
L/C 輸出者から銀行を経由して輸入者へ交付されます 発行銀行、書類到着、Discrepancy及び決済状況 銀行が承認していない貨物引渡し 発行銀行が関与する保証又はReleaseを取得します
D/P 輸入者の支払と引換えに銀行が原本を交付します 代金支払済みか、銀行が書類をReleaseしたか 支払前に貨物を取得されること 取立銀行の確認を得ます
D/A 期限付手形の引受けと引換えに原本が交付されます 手形引受、銀行与信及びTrust Receiptの有無 将来の代金未回収と貨物担保の喪失 銀行保証の範囲と信用管理を確認します
送金 輸出者から輸入者へ直接原本を送る場合があります 入金済みか、輸出者が引渡しを承認したか 未入金のまま輸入者へ貨物を引き渡すこと 輸出者のRelease又はSurrenderを確認します
Open Account 銀行書類取立を利用しない場合があります 原本を用いる必要性と買主信用 Bank L/Gが恒常的な事務処理になること Sea Waybill等へ取引設計を変更します

保証金額は貨物価額だけで決めない

Bank L/Gの保証金額について、すべての取引に共通する法定割合又は業界共通の一律相場があるわけではありません。

少なくとも次の項目を検討します。

評価項目 内容 不足した場合の影響 確認資料
貨物価額 Commercial Invoice又は市場価額 正当なB/L所持人への賠償額を下回ります Invoice、売買契約、評価資料
運賃・諸費用 未払運賃、保管料、Demurrage等 貨物価額以外の負担を回収できません 運賃明細、ターミナル請求
利息・遅延損害 請求から支払までの利息等 解決長期化に伴う損失が保証外になります 準拠法、保証文言
弁護士費用 防御、訴訟及び和解に必要な費用 高額な法的費用を運送人が負担します 保証文言、費用見積り
第三者請求 銀行、輸出者、B/L譲受人等からの請求 特定の請求者に限定した保証では不足します B/L名義、銀行書類、取引関係図
為替変動 保証通貨と損害通貨が異なる場合の差額 円換算時に保証上限を超える可能性があります 保証通貨、換算条項
税金・付随損害 関税、税金、処分費用等 貨物価額以外の実損が残ります 輸入申告、費用明細

例えば、貨物価額が1億円であるのに保証上限額が8,000万円の場合、正当なB/L所持人から1億円相当の請求を受ければ、少なくとも2,000万円に加え、利息及び法的費用が保証外となる可能性があります。

保証上限額が貨物価額と同額であっても、弁護士費用、利息、保管料及び第三者請求が上限額に含まれる場合は、実質的な保証不足となることがあります。

保証期間と解除条件

方式 内容 利点 主なリスク 確認事項
固定期日型 特定日までに請求が銀行へ到達しなければ失効します 銀行と輸入者が費用を管理しやすくなります B/L所持人の請求前に失効します 原本到着見込みと請求発生期間
自動延長型 解除通知がない限り一定期間ごとに延長します 短期失効を防げます 解除漏れで保証料が継続します 延長通知、解除期限及び手数料
原本回収連動型 Original B/L回収等を条件に解除します 本来のリスク終了と保証を連動できます 一部原本だけの回収で解除される可能性があります 発行通数、裏書及び競合請求
受益者解除型 受益者の書面による解除まで継続します 運送人がリスク消滅を確認できます 解除手続が長期化します 解除権限者及び原本返還方法
判決・和解終了型 第三者請求の解決まで継続します 紛失B/L等の長期リスクに対応できます 保証期間と費用が長期化します 保証料、担保及び終了証明

Bank L/Gの発行から解除までの流れ

  1. 貨物到着予定日とOriginal B/Lの所在を確認します。
  2. 使用しているB/LがOriginal、Surrendered又はSea Waybillのいずれかを確認します。
  3. L/C、D/P、D/Aその他の決済条件を確認します。
  4. 輸入者が銀行へShipping Guaranteeの発行を申請します。
  5. 銀行が与信枠、担保、保証料及び書類を審査します。
  6. 船会社又はNVOCCが保証状の受益者、対象貨物、上限額、期間及び請求条件を確認します。
  7. 必要な社内承認及び海外代理店へのRelease指示を行います。
  8. D/Oを発行し、引渡日時、受領者及び保証番号を記録します。
  9. 後日到着したOriginal B/Lを銀行又は輸入者から回収します。
  10. 回収原本のB/L番号、発行通数、裏書及び対象貨物を照合します。
  11. 競合するB/L所持人又は未回収原本がないことを確認します。
  12. 保証条件に従って原本を船会社へ提出し、Bank L/Gの返還又は解除通知を行います。
  13. 銀行が保証を取消し、与信枠及び担保を解放します。
  14. B/L回収、D/O、貨物引渡し及び保証解除の証跡を保存します。

B/L原本の未着と紛失は分けて扱う

項目 単なる未着 原本紛失 実務上の違い 必要な対応
原本所在 銀行、輸出者又は配送中で所在を追跡できます 一部又は全部の所在が不明です 第三者へ流通する可能性が異なります 各原本の最終確認地点を調査します
保証期間 原本到着までの短期となる場合があります 長期保証を要求される場合があります 第三者請求の発生期間が長くなります 自動延長又は長期期限を検討します
保証金額 通常の未着対応として設定されます 貨物価額を超える担保を求められる場合があります 法的費用及び二重請求リスクが増えます 船会社及び銀行条件を確認します
解除条件 原本回収で解除できる場合があります 公告、裁判手続又は長期間経過が必要な場合があります 単純な原本提出では終了しません 海事弁護士へ確認します
発行通数 到着予定の全原本を確認します 紛失通数と残存通数を確定します 一通でも流通すれば請求リスクが残ります 原本番号及び発送記録を保存します

Trust ReceiptとBank Release Orderとの違い

書類 主な当事者 主な目的 Bank L/Gとの違い 確認事項
Bank L/G 銀行、輸入者、船会社又はNVOCC 原本なし引渡しによる運送人のリスクを保証します 受益者への保証又は補償が中心です 保証対象、上限額、期間及び請求条件
Trust Receipt 銀行と輸入者 銀行の権利を維持しながら輸入者へ貨物又は書類を利用させます 銀行と輸入者間の担保・信用管理書類です 売却代金の管理、返済義務及び担保関係
Bank Release Order 銀行、運送人、輸入者 銀行が特定の輸入者への貨物引渡しを承認します 損失補償ではなくRelease指図が中心の場合があります 銀行の権限、対象貨物及び保証の有無
Air Waybill Endorsement 銀行、航空会社、輸入者 銀行名義のAWB貨物を輸入者へReleaseします B/L原本の代替ではなく、記名式AWBの引渡承認です AWB Consignee、銀行裏書及び本人確認

フォワーダーの関与範囲と標準五分類

本記事の標準五分類は、フォワーダーの関与範囲を整理するための分析上の枠組みであり、法令上又は業界全体で確立された分類ではありません。

標準五分類 Bank L/Gに関して行い得る業務 通常は負わない役割 責任判断で確認する資料 実務上の注意
単純取次 銀行、荷主、船会社間の書類伝達 保証文言の法的有効性の最終判断 依頼メール、送付記録、業務範囲 伝達と承認を区別します
貨物利用運送事業者 運送手配、原本所在確認及びD/O取得調整 船会社に代わる保証受入れの最終決定 運送契約、B/L、保証状、指示記録 自社が契約運送人か確認します
NVOCC/House B/L発行者 House B/Lに対する保証受入れ、D/O発行及び代理店管理 Master B/L側だけの保証でHouse責任も補償されたと扱うこと House B/L、Master B/L、保証状、Release記録 HouseとMasterの保証対象を分けます
Door-to-Door一括引受者 複数区間の貨物引渡しと下請業者管理 保証対象外の誤引渡しを無条件に引き受けること 一括契約、下請契約、D/O、納品記録 最終配送までRelease条件を維持します
特定業務の代理・調整者 Bank L/G申請、原本回収又は解除手続の特定業務 委任範囲外の保証修正又は解除 委任状、銀行申込書、解除依頼 代理権と承認権限を明確にします

Contracting Carrier及びActual Carrierは、法的又は契約上の地位を示す概念であり、本記事の標準五分類を置き換える代替分類ではありません。

梱包、バンニング、デバンニング、B/L作成、保証状送付、D/O入力、原本回収及び貨物引渡し等の実作業は、それ自体で第六の分類を構成しません。

実務で問題になりやすいケース

ケース 主な問題 確認資料 判断のポイント 初動対応
貨物価額1億円に対し保証上限が8,000万円 保証額が明確に不足しています Invoice、保証状、法的費用見積り 貨物価額以外の損失も含めて足りるか 増額されるまで貨物を引き渡しません
保証期限が30日で原本所在が不明 第三者請求前に保証が失効する可能性があります 保証状、原本追跡記録、発送書類 失効日と原本到着可能性 期限延長又は自動延長を求めます
Bank L/Gに銀行名はあるが銀行の支払義務が不明 単なる署名確認又は取次の可能性があります 保証状全文、銀行約定、署名権限 銀行が受益者へ直接責任を負うか 銀行へ書面確認を求めます
Master B/L用Bank L/GだけでHouse貨物をReleaseした NVOCCのHouse B/L責任が保証されていません House B/L、Master B/L、保証状 保証状の受益者と対象B/L House側のReleaseを停止します
原本回収前にBank L/Gを解除した 有効なOriginal B/Lが流通している可能性があります 発行通数、解除通知、B/L回収記録 全原本又は適切な解除条件を満たしたか 銀行及び法務部門へ直ちに連絡します
輸入者倒産後に正当なB/L所持人が現れた Single L/Gでは回収できず、Bank L/Gも上限不足です B/L、保証状、倒産資料、引渡記録 保証範囲、上限額及び第三者の権利 海事弁護士と賠償責任保険会社へ通知します
毎月同じ航路でBank L/Gを使用している 例外処理が通常運用になっています 取引履歴、決済条件、保証料 Original B/Lを使う必要がある取引か Sea Waybill又はSurrenderへ変更します
B/L原本紛失を単なる未着として処理した 第三者流通リスクを評価していません 発送記録、発行通数、紛失報告 紛失通数及び法的手続の必要性 貨物引渡しを停止し専門家へ確認します

Bank L/G受入れ判断フロー

  1. 対象書類がOriginal B/Lであることを確認します。
  2. B/L原本が未着なのか紛失なのかを区別します。
  3. House B/LとMaster B/Lがある場合は各原本の状態を確認します。
  4. L/C、D/P、D/A、送金等の決済条件を確認します。
  5. B/L上のConsignee、To Order及び銀行名義を確認します。
  6. Bank L/Gの発行銀行、署名権限及び真正性を確認します。
  7. 保証状の受益者が実際に責任を負う船会社又はNVOCCと一致するか確認します。
  8. 対象B/L、船名、航海番号、コンテナ番号及び貨物明細を照合します。
  9. 保証の法的性質、支払条件及び独立性を確認します。
  10. 保証上限額が貨物価額、利息、費用及び第三者請求に照らして十分か確認します。
  11. 保証期間、請求期限及び解除条件を確認します。
  12. 不足又は疑義がある場合は貨物引渡しを停止します。
  13. 承認後、D/O発行、貨物引渡し及び受領者を記録します。
  14. Original B/L回収後、発行通数、裏書及び競合請求を確認して保証を解除します。

具体例1:保証金額が貨物価額を下回っていた場合

輸入貨物のInvoice価格が1億円である一方、Bank L/Gの保証上限額が8,000万円であったとします。

輸入者は「貨物が中古品であり、実際の価値は低い」と説明しましたが、保証状には評価方法が記載されておらず、正当なB/L所持人がInvoice価格1億円を請求する可能性があります。

さらに、弁護士費用500万円、遅延利息及び保管料が発生すれば、保証不足は2,000万円を超える可能性があります。

この場合、銀行が関与していることだけを理由として貨物を引き渡すべきではありません。保証上限額の増額又は追加担保が確認されるまでD/O発行を停止します。

具体例2:保証期限後にB/L所持人が現れた場合

Bank L/Gの有効期限が貨物引渡しから30日後に設定され、Original B/Lは国際郵送中と説明されていたとします。

しかし、実際には原本が紛失しており、90日後に第三者が裏書済みOriginal B/Lを提示しました。

保証状が30日で自動失効し、期限後請求を認めない文言であれば、船会社又はNVOCCは銀行へ保証請求できない可能性があります。

原本所在が明確でない案件では、固定30日等の短期保証ではなく、原本回収又は受益者の書面解除まで継続する条件を検討します。

具体例3:Master B/L用保証でHouse B/L貨物を引き渡した場合

船会社に対しては、銀行がMaster B/L番号を記載したBank L/Gを発行し、NVOCCへ貨物がReleaseされたとします。

一方、NVOCCが発行したOriginal House B/Lは銀行に残っており、NVOCCの仕向地代理店がMaster側のBank L/Gを根拠として最終ConsigneeへD/Oを発行しました。

後日、Original House B/Lを所持する銀行からNVOCCへ誤引渡し請求がなされても、Master B/L用Bank L/Gの受益者は船会社であり、対象B/LもMaster B/Lです。

NVOCCのHouse B/L上の責任は保証対象外となる可能性があります。

House B/LとMaster B/Lの保証受益者、対象番号及びRelease条件は別々に確認し、一方の保証を他方へ流用してはいけません。

貨物海上保険・賠償責任保険との関係

Bank L/Gによる貨物引渡しと貨物海上保険は、対象となるリスクが異なります。

貨物海上保険は、通常、輸送中の貨物の滅失又は損傷等を対象とします。Original B/Lを確認せずに貨物を別の者へ引き渡したことによる誤引渡し責任が、当然に貨物海上保険で補償されるわけではありません。

NVOCC又はフォワーダーが保証状の確認を誤り、誤引渡し責任を負った場合は、NVOCC賠償責任保険又はフォワーダー賠償責任保険の対象となるかを確認します。

ただし、意図的な原本確認省略、無権限Release、既知の保証不足又は社内規程違反がある場合は、保険上の免責又は補償制限が問題になる可能性があります。

事故発生時は、Bank L/G、Original B/L、D/O、引渡記録及び社内承認資料を保全し、保険会社へ早期に通知します。

Bank L/Gの受入れ又は誤引渡し事故が賠償責任保険に関係する場合は、保険会社だけでなく、契約内容及び事故通知手続を把握している保険代理店にも早期に相談します。

よくある誤解

誤解 実際の考え方 実務上の注意点
銀行名が入っていれば安全である 銀行の支払義務は保証文言によって決まります 署名、支払条件及び上限額を確認します
Bank L/GはOriginal B/Lの代わりである Bank L/Gは誤引渡しリスクを補完する保証又は補償状です B/L所持人の権利は消滅しません
Bank L/Gがあれば誤引渡しにならない 誤引渡し責任を負った後に保証請求する構造となる場合があります 貨物引渡しの正当性と保証回収を分けます
Bank L/Gはすべて独立保証である 通常保証、連帯保証又は補償状となる場合があります 独立性の文言と適用ルールを確認します
保証額は貨物価額と同額なら十分である 利息、弁護士費用及び第三者請求も発生します 保証対象と上限額の使われ方を確認します
30日あれば原本は必ず到着する 紛失、銀行審査又はDiscrepancyで長期化する場合があります 期限切れ前の延長手続を設けます
Master B/Lの保証でHouse B/L責任も補償される 受益者と対象B/Lが異なれば別の保証が必要です HouseとMasterを別々に確認します
原本が一通届けば保証を解除できる 発行通数、他の原本及び競合請求を確認する必要があります B/L文言と発行記録を確認します
毎回Bank L/Gを使えば近距離航路は問題ない 例外処理の常態化は保証料と誤引渡しリスクを増やします Sea Waybill又はSurrenderを検討します
貨物保険がBank L/G不足を補償する 貨物保険とNVOCCの誤引渡し責任は別です 賠償責任保険を含めて確認します

海事弁護士・銀行・保険専門家へ確認すべき場面

問題 主な確認先 確認事項 早期確認が必要な理由
保証状の法的性質が不明 銀行法務、海事弁護士 通常保証、連帯保証、独立保証又は補償状の区別 銀行への請求条件が大きく異なるため
保証上限額又は期間が不足 銀行、船会社、海事弁護士 想定損害、延長、増額及び追加担保 貨物引渡し後の修正が困難になるため
B/L原本が紛失している 船会社、銀行、海事弁護士 発行通数、担保、公告、裁判手続及び解除条件 長期の第三者請求リスクがあるため
正当なB/L所持人から請求を受けた 海事弁護士、賠償責任保険会社、保険代理店、銀行 原本の真正性、保証請求、保険通知及び損害額 保証及び保険の通知期限が進行するため
海外銀行発行のBank L/G 現地銀行、現地弁護士、受益者銀行 真正性、準拠法、裁判管轄及び送達方法 外国での保証実行が必要になる可能性があるため
House B/LとMaster B/Lで保証が異なる NVOCC、船会社、銀行、海事弁護士 各保証の受益者、対象B/L及び責任範囲 保証の空白を防ぐため
Bank L/G解除後に未回収原本が判明 銀行、海事弁護士、賠償責任保険会社、保険代理店 保証復活、追加保証、保険通知及び第三者対応 無保証状態で請求を受ける可能性があるため

判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
B/L確認時 船会社、NVOCC、輸入者 Original、Surrendered、Sea Waybill及び発行通数 書類状態が確定するまで引き渡しません
原本所在確認時 銀行、輸出者、Courier 未着か紛失か、各原本の所在 紛失案件として別途処理します
決済確認時 銀行、輸入者、輸出者 L/C、D/P、D/A、支払及び手形引受 銀行承認前のReleaseを停止します
銀行確認時 発行銀行 真正性、署名権限、与信及び保証責任 銀行から書面確認を取得します
保証文言確認時 銀行法務、海事弁護士 独立性、支払条件、抗弁及び適用ルール 曖昧な文言を修正します
対象貨物確認時 船会社、NVOCC、輸入者 B/L番号、船名、航海番号、コンテナ及び貨物 一致するまでD/Oを発行しません
保証金額確認時 銀行、荷主、法務部門 貨物価額、費用、利息及び第三者請求 増額又は追加担保を求めます
保証期間確認時 銀行、法務部門 失効日、請求期限、自動延長及び解除条件 期限延長又は条件変更を行います
House・Master確認時 NVOCC、船会社、海外代理店 各B/Lと各保証の受益者及びRelease状態 両階層の条件が揃うまで停止します
D/O発行時 船会社、NVOCC、海外代理店 承認者、保証番号、受領者及び費用処理 例外承認を記録します
原本回収時 銀行、輸入者、船会社 真正性、裏書、発行通数及び対象貨物 不足原本の所在を調査します
保証解除時 銀行、受益者、管理部門 解除条件、競合請求、原本回収及び返還書類 条件完了まで保証を解除しません

まとめ

Bank L/Gとは、Original B/Lが船会社又はNVOCCへ提示される前に貨物を引き渡す場合に、銀行が発行又は連署する保証状又は補償状です。

Bank L/Gは、B/L原本そのものでも、貨物引渡請求権を移転する書類でもありません。正当なB/L所持人とは別の者へ貨物を引き渡すことによって運送人が負う可能性のある損害を補完する例外的な手段です。

Bank L/Gの法的性質は名称では判断できません。通常保証、連帯保証、独立したDemand Guarantee又は銀行連署のLetter of Indemnity等のいずれに該当するかを、保証文言、準拠法及び適用ルールから確認します。

独立保証では、適式な書面請求に基づく銀行の独立した支払義務が中心となります。一方、通常保証又は連帯保証では、輸入者の主債務、補償義務及び抗弁との関係が問題になります。

保証金額は、貨物価額だけで判断できません。利息、弁護士費用、保管料、第三者請求、為替変動及び保証上限額の使われ方を含めて評価します。

保証期間も、原本が通常到着する日数だけで決めてはいけません。原本紛失、銀行審査、Discrepancy又は第三者へのB/L流通によって、請求が長期化する可能性があります。

Original B/Lが後日到着した場合は、B/L番号、裏書、発行通数及び対象貨物を照合し、競合する所持人がいないことを確認したうえでBank L/Gを解除します。

House B/LとMaster B/Lが存在する場合、一方のBank L/Gが他方の誤引渡し責任も保証するとは限りません。保証状の受益者、対象B/L及び責任範囲を別々に確認します。

近距離航路でBank L/Gを反復利用している場合は、例外処理を続けるのではなく、Surrendered B/L又はSea Waybillへ取引設計を変更できないか検討します。

Bank L/Gは貨物引渡しを簡単にする便宜書類ではありません。B/L原本、銀行決済、保証文言、D/O発行、NVOCC責任及び保証解除までを一体で管理すべき重要な実務書類です。

同義語・別表記

  • Bank L/G
  • Bank Letter of Guarantee
  • Shipping Guarantee
  • Bank Shipping Guarantee
  • 銀行保証状
  • 銀行連帯保証状
  • 銀行保証付き補償状
  • Letter of Indemnity countersigned by a bank
  • B/L原本なし貨物引渡し
  • 保証渡し

公式情報