コンテナ船輸送におけるOn Deckリスク

On Deck Risk in Container Ship Transport

コンテナ船輸送におけるOn Deckリスクとは

コンテナ船輸送におけるOn Deckリスクとは、コンテナが船倉内ではなく甲板上に積載されることにより、荒天、波浪、海水濡れ、コンテナ流失、ラッシング不備、コンテナ破損、温度管理不良などが問題になるリスクをいいます。

現代のコンテナ船では、多くのコンテナが船倉内だけでなく甲板上にも積載されます。そのため、コンテナ船における甲板上コンテナは、在来船で裸貨物を甲板上に積む場合とは分けて整理する必要があります。

ただし、コンテナ船の通常運航上、甲板上に積載されることが一般的であっても、事故が発生した場合には、保険条件、B/L表示、積付状態、ラッシング、荒天、コンテナ破損、運送人責任、フォワーダーの説明責任が問題になることがあります。

この記事で扱う範囲

本記事では、コンテナ船輸送における甲板上コンテナのリスクを、貨物保険、B/L表示、積付条件、運送人責任、フォワーダー実務の観点から整理します。

テーマ 本記事で扱う内容 詳しく確認すべき関連テーマ
Underdeck or On-deck Clause コンテナ入り貨物が船会社の裁量で甲板上または船倉内に積載される場合の保険上の考え方 Underdeck or On-deck Clause、On Deck Cargo Clause
在来船の甲板積みとの違い 裸貨物の甲板積みと、コンテナ船の甲板上コンテナを分けて整理する必要性 甲板積み、在来船貨物、特殊貨物輸送
荒天・コンテナ流失 荒天、波浪、風圧、船体動揺によりコンテナが損傷・倒壊・流失するリスク 荒天損害、コンテナ流失、共同海損
ラッシング不備 コンテナ固定不良、積付不備、船会社側の管理不備が事故原因として問題になる場合 運送人責任、フォワーダー賠償責任、求償
海水濡れ・コンテナ破損 甲板上で波浪を受けたことによる海水侵入、扉部・通気部・補修箇所からの水濡れ 海水濡れ、梱包不備と保険免責、貨物海上保険で補償される損害
リーファー・特殊コンテナ リーファーコンテナ、フラットラック、オープントップ、タンクコンテナ、危険品コンテナの注意点 冷凍・冷蔵貨物、危険品輸送、特殊コンテナ
共同海損・求償 多数コンテナ流失、大規模荒天事故、船会社への求償、共同海損が関係する場合 共同海損、共同海損分担金、海事弁護士、求償実務

本記事は、コンテナ船の甲板上積載リスクを整理する入口記事です。個別事故では、保険証券、B/L、Booking、積付条件、船会社記録、ラッシング記録、荒天記録、サーベイレポート、運送契約を確認する必要があります。

在来船の甲板積みとの違い

在来船で大型貨物や重量物を甲板上に裸で積む場合、貨物そのものが海水、雨、波浪、風圧、荒天の影響を直接受けます。

一方、コンテナ船では、貨物はコンテナ内に収納され、コンテナ単位で甲板上または船倉内に積載されます。このため、コンテナ船の甲板上コンテナは、通常の裸の甲板積み貨物とは異なり、コンテナという輸送単位の中に貨物が保護されている点が特徴です。

区分 リスク内容 保険上の取扱い B/L表示・実務確認事項
在来船の裸貨物の甲板積み 貨物が直接、海水、雨、波浪、風圧、荒天にさらされる 甲板積みであることが保険条件や引受条件に大きく影響することがある B/L上のOn Deck表示、荷主の承諾、保険条件、甲板積み条件を確認する
コンテナ船の甲板上コンテナ 貨物はコンテナ内に収納されるが、コンテナ流失、波浪、海水侵入、ラッシング不備のリスクがある 通常のコンテナ船輸送として扱われる場合があるが、保険条件や特約の確認が必要 B/LにOn Deck表示がなくても、実際には甲板上積載の可能性がある
フラットラック・オープントップ貨物 貨物の一部または全部が外気、雨水、波浪、固縛不良の影響を受けやすい 通常のドライコンテナよりも、積付条件、養生、固縛、保険条件が問題になりやすい 特殊コンテナ使用、貨物寸法、固縛方法、防水養生、船会社承認を確認する
リーファーコンテナ 甲板上積載に伴い、電源接続、温度管理、アラーム対応が問題になる 温度事故として保険事故になるか、貨物固有の性質・管理不備になるかを確認する 設定温度、温度ログ、リーファー運転記録、データロガーを確認する

コンテナ船では、甲板上コンテナが通常運航上発生するため、在来船の裸貨物の甲板積みと同じ感覚で判断すると実務に合わない場合があります。一方で、甲板上にある以上、荒天、波浪、流失、海水侵入、ラッシング不備のリスクは残ります。

Underdeck or On-deck Clauseとの関係

コンテナ船輸送では、Underdeck or On-deck Clauseが問題になることがあります。

これは、密閉性・水密性のあるコンテナ入り貨物について、船会社の裁量により甲板上または船倉内に積載される場合でも、一定の条件のもとで保険上の取扱いを整理するための考え方です。

つまり、コンテナ入り貨物については、船会社が通常の運航判断として甲板上に積載することがあり、それを在来船の裸貨物の甲板積みと同じように扱うと実務に合わない場合があります。

ただし、Underdeck or On-deck Clauseがあるからといって、すべての甲板上コンテナ事故が無条件で問題なく処理されるわけではありません。コンテナの状態、積付方法、ラッシング、事故原因、保険条件、特殊貨物の申告有無を確認する必要があります。

コンテナ船でOn Deckが問題になる場面

コンテナ船輸送では、次のような場面でOn Deckリスクが問題になります。

問題になる場面 主なリスク 保険上の確認事項 実務上の注意点
荒天航海 船体動揺、波浪、風圧によりコンテナが損傷・倒壊・流失する 荒天が担保危険に該当するか、貨物損害との因果関係があるかを確認する 船会社通知、航海記録、荒天記録、多数コンテナ事故の有無を確認する
コンテナ流失 甲板上コンテナが海上に流失し、貨物が全損・不着となる 貨物保険、共同海損、運送人責任、求償の可能性を確認する 単独事故か大規模事故かを確認し、保険会社へ早期通知する
ラッシング不備 固定不良によりコンテナが移動、倒壊、接触、破損する 荒天による不可避事故か、積付・ラッシング不備かを確認する 積付図、ラッシング記録、船会社への資料請求記録を残す
海水濡れ 扉部、通気部、床面、補修箇所から海水が侵入する 海水濡れか淡水濡れか、コンテナ破損や波浪との関係を確認する 塩分反応、コンテナ外装写真、貨物写真、サーベイレポートを確認する
リーファーコンテナ 電源停止、温度上昇、アラーム対応遅れにより品質劣化する 温度管理事故か、貨物固有の性質・通常劣化かを確認する 温度ログ、リーファーログ、アラーム履歴、データロガーを確認する
特殊貨物・危険品 積付位置、隔離、固縛、温度管理、漏洩防止が問題になる 保険条件、危険品申告、特殊貨物申告、船会社承認を確認する Booking時の指示内容、SDS、危険品申告書、積付条件を確認する

これらの事故では、単に「コンテナ船で輸送されていた」というだけでなく、コンテナがどこに積まれていたのか、どのような事故が発生したのか、貨物保険と運送人責任をどう切り分けるかを確認する必要があります。

B/L表示との関係

コンテナ船輸送では、B/Lに個別にOn Deck表示がされない場合でも、実際にはコンテナが甲板上に積載されることがあります。そのため、B/L上にOn Deck表示がないからといって、必ず船倉内に積まれていたとは限りません。

一方で、特殊貨物、大型コンテナ、フラットラック、オープントップコンテナ、危険品、冷凍・冷蔵貨物などでは、積付位置や積付条件が問題になることがあります。

フォワーダーやNVOCCは、荷主から特別な積付条件を求められている場合、船会社やNVOCCへのBooking時に条件を明確に伝達し、その記録を残しておくことが重要です。

特に、荷主が船倉内積み、特定位置積み、温度管理、危険品隔離、高額貨物の取扱いなどを希望している場合は、それが保証できる条件なのか、単なるリクエストなのかを明確にする必要があります。

事故原因別の対応整理

コンテナ船輸送におけるOn Deck事故では、事故原因ごとに確認すべき資料と対応が異なります。

事故原因 保険上の問題 確認資料 実務対応
荒天・波浪 荒天による偶然な事故か、通常想定される航海上の揺れか、貨物損害との因果関係を確認する 航海記録、荒天記録、船会社通知、サーベイレポート、貨物写真 同航海で他コンテナ事故がないか確認し、保険会社へ早期に事故報告する
コンテナ流失 貨物の全損・不着、共同海損、運送人責任、求償可能性が問題になる 船会社通知、コンテナ番号、積付位置、B/L、保険証券、共同海損通知 保険会社、船会社、NVOCCへ通知し、共同海損・求償・保険請求を並行して整理する
ラッシング不備 不可抗力的な荒天か、積付・固縛・管理不備かにより求償可能性が変わる 積付図、ラッシング記録、事故報告書、船会社への資料請求記録 船会社資料は入手困難な場合があるため、早期に請求し、請求経緯を記録する
コンテナ破損 コンテナ破損と貨物損害の因果関係、コンテナの管理状態が問題になる コンテナ外装写真、扉部・床面・側壁・天井写真、EIR、サーベイレポート コンテナ引取り時・返却時の記録を確認し、破損発生区間を整理する
海水濡れ 海水濡れか淡水濡れか、波浪・コンテナ破損・梱包不備との関係が問題になる 塩分反応、濡損写真、梱包写真、コンテナ状態、天候記録 開梱前後の写真を確保し、貨物の防水梱包や吸湿対策も確認する
リーファー電源・温度管理 温度上昇が電源停止・機器不良によるものか、貨物固有の性質による品質劣化かを確認する リーファーログ、温度チャート、アラーム履歴、データロガー、品質証明書 温度逸脱時間と貨物損害の因果関係を整理し、サーベイ手配を検討する
特殊コンテナ・特殊貨物 特殊条件の申告漏れ、積付条件、養生・固縛不備、保険条件不適合が問題になる Booking確認書、特殊貨物申告、SDS、積付指示、梱包・固縛写真 荷主指示、フォワーダー伝達、船会社承認の記録を確認する

荒天・コンテナ流失との関係

コンテナ船のOn Deckリスクで代表的なのが、荒天によるコンテナ流失です。

荒天時には、船体動揺、波浪、風圧、ラッシングへの負荷により、甲板上コンテナが損傷、移動、倒壊、流失することがあります。

コンテナ流失が発生した場合、貨物保険、共同海損、運送人責任、船会社への求償、B/L約款、責任制限などが問題になります。

特に、同じ航海で多数のコンテナが損傷・流失している場合には、単独の貨物損害ではなく、航海全体の事故として整理する必要があります。

ラッシング不備との関係

甲板上コンテナでは、ラッシングが重要です。コンテナは、船体動揺や荒天に耐えられるように、ツイストロック、ラッシングロッド、ターンバックルなどを用いて固定されます。

ラッシングが不十分であった場合、コンテナの移動、倒壊、破損、流失が発生することがあります。

事故後には、荒天という不可避の海上危険だったのか、ラッシング不備、積付不備、船会社側の管理不備があったのかを確認する必要があります。

ただし、船会社側の積付図、ラッシング記録、航海記録、荒天記録は、荷主やフォワーダー側が簡単に入手できないことがあります。そのため、資料請求を行った事実と経緯を記録に残すことが重要です。

海水濡れ・コンテナ破損との関係

甲板上コンテナでは、海水濡れやコンテナ破損も問題になります。

コンテナ自体は密閉性を持つ輸送用具ですが、扉部、通気部、床面、側壁、天井、補修箇所などから水が侵入することがあります。

荒天時に波浪を受けた場合、コンテナ外装に大きな損傷がなくても、扉部やパッキン部から海水が侵入することがあります。

事故後は、海水濡れか淡水濡れか、コンテナ破損があったか、甲板上で波浪を受けた可能性があるか、バンニング時の梱包・防湿措置に問題がなかったかを確認します。

リーファーコンテナと甲板上積載

リーファーコンテナでは、甲板上積載により電源管理や温度管理が問題になることがあります。

リーファーコンテナは、船上で電源接続され、一定温度を維持することを前提に輸送されます。甲板上に積載されている場合でも、電源接続、温度記録、アラーム履歴、運転記録が重要になります。

温度上昇事故が発生した場合には、単にOn Deckかどうかだけでなく、本船航行中の電源管理、リーファーログ、温度チャート、アラーム履歴、データロガー記録、貨物の品質保持条件を確認する必要があります。

特殊コンテナ・特殊貨物の注意点

コンテナ船輸送では、通常のドライコンテナだけでなく、フラットラック、オープントップ、タンクコンテナ、リーファーコンテナ、危険品コンテナなども使用されます。

これらの特殊コンテナでは、積付位置、養生、固縛、重量制限、危険品規則、温度管理、漏洩防止措置が問題になることがあります。

荷主から特殊な輸送条件を受けている場合には、フォワーダーやNVOCCは、その条件をBooking、倉庫、バンニング業者、船会社へ正しく伝達する必要があります。

事故後には、特殊条件が伝達されていたか、船会社がどのような積付判断をしたか、保険条件が特殊貨物に対応していたかを確認します。

貨物保険での確認事項

コンテナ船輸送におけるOn Deckリスクでは、貨物保険上、次の点を確認します。

確認項目 確認する内容 確認する理由 注意点
Underdeck or On-deck Clause コンテナ入り貨物として甲板上・船倉内のいずれでも扱える条件か 甲板上積載が保険上問題になるかを確認するため 特殊貨物や裸貨物の甲板積みとは分けて確認する
保険条件 ICC(A)、ICC(B)、ICC(C)、特約、Warranty、特別条件 荒天、流失、濡損、破損が補償対象になるかを確認するため 事故発生後に補償範囲を広げることはできない
特殊コンテナ・特殊貨物 フラットラック、オープントップ、リーファー、タンク、危険品、高額貨物 通常のドライコンテナと異なる引受条件が必要になる場合があるため 申告漏れや条件違反があると保険対応に影響する可能性がある
事故原因 荒天、流失、海水濡れ、ラッシング不備、コンテナ破損、温度事故 担保危険か免責原因かを切り分けるため 事故名だけでなく、損害との因果関係を確認する
求償可能性 船会社、NVOCC、荷役業者、バンニング業者への責任追及可能性 保険金支払後または荷主請求時に責任関係が問題になるため 通知期限、責任制限、証拠保全に注意する

事故発生後に初めて保険条件を確認するのではなく、特殊貨物や高額貨物では、船積前に保険条件を確認することが重要です。

荷主との事前契約で整理すべき事項

コンテナ船輸送におけるOn Deckリスクでは、荷主との事前契約が重要です。

特に、特殊コンテナ、リーファー貨物、高額貨物、危険品、湿気に弱い貨物、甲板上積載が問題になり得る貨物では、次の事項を整理しておくことが望まれます。

整理事項 確認する内容 実務上の意味 記録しておく資料
甲板上積載の可能性 コンテナ船では甲板上に積載される可能性があること 荷主が船倉内積みを当然視する誤解を防ぐ 見積条件、メール、取引条件書
特別な積付希望 船倉内積み、特定位置積み、危険品隔離、温度管理などの希望 実現可能性、追加費用、船会社承認を確認する必要がある Booking指示、船会社回答、荷主承認記録
保険条件 Underdeck or On-deck Clause、特殊貨物条件、保険金額、免責条件 事故時の補償可否を左右する 保険証券、付保依頼書、保険会社回答
リーファー条件 設定温度、許容温度、予冷、データロガー、電源管理 温度事故時の原因判断に直結する 温度指示書、Booking、リーファー設定記録
事故時対応 通知方法、サーベイ手配、写真撮影、検査費用、求償協力 事故発生後の初動遅れを防ぐ 契約書、標準取引条件、メール記録

荷主が「船倉内に積まれると思っていた」と主張する場合でも、コンテナ船では甲板上積載が通常運航上行われることがあります。そのため、特別な積付条件がある場合には、事前に明確な指示と確認記録を残すことが重要です。

よくある誤解

誤解 実務上の考え方 確認すべきこと
B/LにOn Deck表示がなければ船倉内積みである コンテナ船では、B/Lに個別のOn Deck表示がなくても、船会社の裁量で甲板上に積載されることがあります。 B/L条件、Booking条件、船会社の積付記録、積付位置
コンテナなら甲板積みでも問題ない コンテナに収納されていても、荒天、波浪、流失、海水侵入、ラッシング不備のリスクは残ります。 コンテナ状態、積付位置、荒天記録、ラッシング記録
荒天なら全部保険で出る 荒天があっても、保険条件、事故原因、免責、貨物損害との因果関係を確認する必要があります。 保険条件、サーベイレポート、航海記録、損害写真
On Deckだったから船会社が必ず責任を負う コンテナ船では甲板上積載が通常運航上行われるため、責任の有無はB/L条件、積付不備、ラッシング、荒天状況によって判断されます。 B/L約款、積付図、ラッシング記録、事故原因
フォワーダーが船倉内積みを当然に保証できる 通常のコンテナ船輸送では、船会社が積付位置を判断することが多く、フォワーダーが常に船倉内積みを保証できるわけではありません。 荷主指示、Booking条件、船会社回答、見積条件
リーファーは甲板上なら温度事故が起きやすいので必ず保険対象になる 温度上昇があっても、電源停止、機器不良、設定ミス、貨物固有の性質など原因を確認する必要があります。 温度ログ、リーファーログ、アラーム履歴、品質証明書

証拠として重要になる資料

コンテナ船輸送におけるOn Deck事故では、コンテナの積付位置、事故原因、損害状況、責任区間を確認するための証拠が重要です。

資料区分 確認資料 確認する内容 注意点
保険・船積条件 保険証券、保険条件、Underdeck or On-deck Clause、B/L、Waybill、Booking確認書 保険条件、積付条件、輸送区間、特約の有無を確認する 特殊貨物や高額貨物では、事前申告内容も確認する
荷主・フォワーダー間の記録 荷主との契約書、見積条件、船積指示書、特殊貨物の申告記録、メール履歴 荷主からどのような条件を受け、どこまで伝達したかを確認する 船倉内積みの希望が保証条件だったのか、単なる希望だったのかを確認する
本船・積付関係 積付図、コンテナ積付位置、ラッシング記録、本船側の事故記録、航海記録、荒天記録 コンテナが甲板上にあったか、どのような荒天・積付状態だったかを確認する 船会社から任意に開示されないことがあるため、資料請求経緯を記録する
コンテナ・貨物損害 コンテナ外装写真、扉部写真、床面・側壁・天井写真、貨物写真、損害箇所写真 コンテナ破損、海水侵入、貨物損害、因果関係を確認する 開扉前、開扉時、開梱前、開梱後の写真が重要
事故確認・保険請求 サーベイレポート、船会社通知、NVOCC・フォワーダーとのやり取り、保険会社への通知記録 事故原因、損害額、保険請求、求償可能性を確認する 初動の遅れや証拠不足が保険請求・求償に影響することがある
リーファー貨物 温度ログ、アラーム記録、データロガー記録、リーファー運転記録、品質証明書 温度逸脱の有無、発生時間、貨物損害との因果関係を確認する 温度記録だけでなく、貨物の品質保持条件も確認する

事故処理の判断チェックリスト

コンテナ船輸送におけるOn Deck事故では、貨物保険請求、船会社への求償、フォワーダー責任、荷主説明が同時に問題になることがあります。事故発生後は、次の順番で確認します。

確認場面 確認すること 確認先・確認資料 問題がある場合の対応
事故発見時 貨物とコンテナの損害状態、開扉前後の状況、濡損・破損・流失・温度異常の有無を確認する 荷受人、倉庫、配送業者、現場写真、受領記録 貨物を廃棄・修理・移動する前に写真を残し、保険会社・関係者へ通知する
積付位置確認時 コンテナが甲板上に積載されていたか、船倉内だったかを確認する 船会社、NVOCC、積付図、コンテナ積付記録、船会社通知 資料が得られない場合でも、請求した事実と回答経緯を記録する
保険条件確認時 Underdeck or On-deck Clause、ICC条件、特約、Warranty、特殊貨物条件を確認する 保険証券、付保依頼書、保険会社回答、保険代理店 特殊貨物や高額貨物の申告漏れがないかを確認し、支払可否を独自判断しない
B/L・Booking確認時 On Deck表示、積付条件、特殊貨物条件、船倉内積み希望の有無を確認する B/L、Waybill、Booking確認書、船積指示書、メール履歴 荷主の希望と実際の船会社承認内容を分けて整理する
事故原因確認時 荒天、コンテナ流失、ラッシング不備、海水濡れ、コンテナ破損、温度事故のどれが主原因かを確認する 航海記録、荒天記録、ラッシング記録、サーベイレポート、貨物写真 原因が不明な場合は推測で断定せず、サーベイ手配や追加資料請求を行う
リーファー事故確認時 電源停止、設定温度、温度逸脱、アラーム、貨物品質劣化との因果関係を確認する リーファーログ、温度チャート、データロガー、品質証明書、保管記録 温度異常がある場合は、保険会社とサーベイヤーへ早期に相談する
船会社資料請求時 積付図、ラッシング記録、航海記録、荒天記録、事故報告書の提出を求める 船会社、NVOCC、代理店、フォワーダー記録 開示されない場合に備え、請求日、請求内容、回答内容を記録する
求償検討時 船会社、NVOCC、荷役業者、バンニング業者、フォワーダーの責任可能性を確認する B/L約款、運送契約、事故区間資料、関係者報告、サーベイレポート 通知期限、責任制限、証拠保全に注意し、必要に応じて海事弁護士に相談する
荷主説明時 甲板上積載の通常性、保険条件、事故原因、求償可能性、今後の手続を整理する 保険会社回答、船会社回答、事故資料、契約条件 「必ず保険で出る」「必ず船会社責任」と断定せず、確認中の事項を明確にする
大規模事故・高額損害時 共同海損、多数コンテナ流失、責任制限、訴訟・仲裁の可能性を確認する 共同海損通知、船会社通知、保険会社、海事弁護士、事故報告 保険請求と求償、荷主対応、法的対応を並行して整理する

フォワーダー実務上の注意点

フォワーダーやNVOCCの立場では、コンテナ船のOn Deckリスクについて、過度な断定を避けることが重要です。

通常のコンテナ船輸送では、船会社が積付位置を判断することが多く、フォワーダーが個別コンテナの船倉内積みを常に保証できるわけではありません。

荷主から船倉内積み、特定位置積み、温度管理、危険品積付、高額貨物の取扱いなど特別な要望がある場合には、実現可能性、追加費用、保険条件、船会社の承認を確認する必要があります。

また、事故後に船会社から積付図、ラッシング記録、航海記録、温度ログなどを入手する必要がある場合には、早期に資料請求を行い、請求経緯を記録しておくことが重要です。

海事弁護士を利用すべき場面

コンテナ船輸送におけるOn Deck事故では、貨物保険だけでなく、B/L約款、運送約款、運送人責任、責任制限、共同海損、求償権保全が問題になることがあります。

特に、コンテナ流失、荒天損害、多数コンテナ事故、ラッシング不備、船会社への求償、荷主からフォワーダーへの賠償請求が関係する場合には、早い段階で海事弁護士の関与を検討することが重要です。

船会社側の記録が任意に開示されない場合や、事故原因が荒天なのか積付不備なのか争われる場合には、保険実務だけで判断せず、法的観点から求償可能性を確認する必要があります。

実務上のポイント

コンテナ船では、甲板上コンテナは通常の運航上発生します。そのため、裸の甲板積み貨物と、コンテナ船の甲板上コンテナは分けて整理する必要があります。

一方で、コンテナ船の甲板上積載であっても、荒天、コンテナ流失、ラッシング不備、海水濡れ、コンテナ破損、リーファー温度管理などのリスクは残ります。

B/LにOn Deck表示がない場合でも、実際には甲板上に積載される可能性があります。特別な積付条件がある場合は、Booking時に明確に伝達し、船会社やNVOCCからの回答記録を残すことが重要です。

事故後は、保険条件、Underdeck or On-deck Clause、積付位置、ラッシング、荒天記録、コンテナ状態、貨物損害、求償可能性を分けて確認することが基本です。

まとめ

コンテナ船輸送におけるOn Deckリスクでは、現代のコンテナ船では甲板上コンテナが通常運航上発生することを前提に整理する必要があります。

ただし、甲板上コンテナでは、荒天、コンテナ流失、ラッシング不備、海水濡れ、コンテナ破損、リーファー温度管理、特殊コンテナの積付条件が問題になることがあります。

フォワーダーやNVOCCにとっては、Underdeck or On-deck Clause、B/L表示、Booking条件、積付条件、保険条件、船会社記録の取得、荷主への説明、海事弁護士との連携を整理しておくことが重要です。

実務では、「On Deckだから直ちに問題」でも「コンテナだから問題なし」でもありません。コンテナ船輸送の通常性と、事故時の保険・責任判断を分けて確認することが基本です。

同義語・別表記

  • コンテナ船On Deckリスク
  • 甲板上コンテナ
  • 甲板積みコンテナ
  • Deck Stowage
  • On Deck Container
  • コンテナ流失
  • 荒天損害
  • Underdeck or On-deck Clause

公式情報