コンテナ入り貨物甲板積許容約款(Underdeck or On-deck Clause)

Underdeck or On-Deck Clause — Permission for Deck Stowage of Containerized Cargo

Underdeck or On-deck Clauseとは

Underdeck or On-deck Clause(コンテナ入り貨物甲板積許容約款)とは、コンテナ入り貨物が、B/L上の運送人の自由裁量により船倉内または甲板上に積載される場合に、実際に甲板積みとなっても、保険証券上の船倉内積み貨物へ適用される保険条件に従って扱うことを定める特別約款です。

典型的な約款文言では、貨物がコンテナに収納され、かつB/Lに運送人が通知なくコンテナを船倉内または甲板上へ積載できる権利が規定されている場合に、当該貨物を船倉内積み貨物へ適用される保険証券の規定に従って付保すると定めます。

この約款は、コンテナ船では密閉型コンテナが通常の運航判断として甲板上に積載されることがあるという輸送実態と、従来の在来船における露出した甲板積み貨物の危険を区別するために使用されます。

ただし、甲板積みとなった貨物を無条件ですべて船倉内積みと同じ扱いにする約款ではありません。

貨物が通常の密閉型コンテナに収納されていること、B/Lに運送人の自由裁量条項があること、荷主が特殊な甲板積みを積極的に指定していないこと、保険証券またはOpen Coverに当該約款が付帯されていることが重要です。

また、この約款はICC(A)、ICC(B)、ICC(C)等の基本条件を拡張するものではありません。甲板積みであることを理由とする条件変更を避ける一方、損害が補償されるかは、付保された基本条件、免責事項、貨物の性質、コンテナ状態および事故原因に従って判断されます。

この記事で扱う範囲

項目 この記事で扱う内容 別に確認すべき内容
Underdeck or On-deck Clause コンテナが運送人の自由裁量で甲板積みされた場合の保険上の扱い 保険証券Open Cover、個別特約の実際の文言
密閉型コンテナ 船倉内積みと同様に扱われやすい保険技術上の理由 コンテナの適合性、破孔、扉、シール、床面状態
B/L自由裁量条項 運送人が船倉内または甲板上へ積載できる一般条項 B/L表面、裏面約款、運送人標準約款
Shipped on Deck等の表示 自由裁量条項と甲板積みの明示記載との違い 荷主の認識・承諾、保険申告、L/C条件
Jettison・Washing Overboard 甲板積み貨物に特有の投荷・波ざらい危険 基本保険条件、On-Deck Cargo Clause、事故原因
General Average 共同海損犠牲、分担金、投荷貨物の共同海損算入 B/L、York-Antwerp Rules、準拠法、共同海損精算
On-Deck Cargo Clause 一般的な甲板積み貨物に適用される条件との違い 裸貨物、大型貨物、重量物、在来船甲板積み
Open-Yard Storage Clause 船上の甲板積みと陸上の屋外保管との違い ヤード保管、デバン後の貨物、保管期間
Open Cover 包括予定保険における自動付保と申告条件 申告期限、対象貨物、除外貨物、個別承認条件
個別付保 特定の貨物・航海ごとに条件を確定する場合の事前申告 コンテナ種類、B/L記載、積付予定、保険者の承認

本記事は、通常のコンテナ船におけるコンテナ貨物の甲板積み許容を中心に扱います。一般的な裸貨物の甲板積み、運送人責任、L/C決済、共同海損精算および具体的な保険金支払判断は、それぞれ別の論点として確認する必要があります。

なぜこの約款が必要になるのか

貨物保険は、保険手配時に想定された輸送方法、船舶、積付方法、貨物包装および航路を前提として危険を引き受けます。

従来の在来船輸送では、貨物を甲板上へ直接積載すると、船倉内積みよりも海水、波浪、風雨、船体動揺、落下、流失、ラッシング不良等の影響を直接受けやすくなります。

さらに、船舶と共同海上冒険を救うために、甲板上の貨物が投荷される可能性もあります。投荷による貨物損害は、保険条件上のJettisonとして扱われる場合があり、共同の安全のための犠牲であればGeneral Average Sacrificeとして共同海損精算の対象になる可能性があります。

そのため、伝統的な保険実務では、甲板積み貨物を船倉内積み貨物と同じ危険として自動的に扱わず、On-Deck Cargo Clauseや個別条件を適用することがありました。

一方、現代のコンテナ船では、多数の密閉型コンテナを甲板上へ積載することが通常の運航方法となっています。個々の荷主は、自ら甲板積みを指定していなくても、運送人の積付計画によって甲板上に積載される可能性があります。

この場合に、積載位置だけを理由として自動的に保険条件を狭めると、現代のコンテナ輸送実務と整合しません。

Underdeck or On-deck Clauseは、運送人の通常の自由裁量によって甲板積みとなったコンテナ貨物について、積載位置だけを理由とする不利益な条件変更を避け、保険証券の船倉内積み貨物へ適用される条件に従って処理するための調整約款です。

密閉型コンテナが対象となる保険技術上の理由

密閉型コンテナは、鋼製の壁、屋根、床、扉およびシールによって内部貨物を外部環境から隔離する構造を持ちます。

コンテナが健全で、扉、シール、屋根、側壁および床面に異常がなく、貨物が適切に梱包・固縛されている場合、内部貨物は雨水、飛沫、風、直接的な波浪等から一定程度保護されます。

このため、コンテナ自体が適切な輸送用外装として機能する貨物では、コンテナが船倉内にあるか甲板上にあるかという積載位置の違いが、裸貨物ほど直接的な危険差を生じさせないと考えられます。

ただし、密閉型コンテナは、あらゆる危険に対して完全な水密性を保証するものではありません。

コンテナの破孔、扉不良、シール不良、腐食、床面損傷、ラッシング不良、コンテナ流失、強い海水打込み、内部結露、温度上昇等による損害は、別途事故原因と保険条件を確認する必要があります。

確認項目 船倉内積みと同視しやすい状態 個別確認が必要な状態 実務上の確認資料
コンテナ構造 通常の密閉型ドライコンテナ オープントップ、フラットラック、プラットフォーム Booking、Equipment Type、コンテナ写真
外板・屋根 破孔、腐食、変形がない 穴、亀裂、著しい腐食、補修跡がある EIR、ダメージレポート、搬入時写真
扉・シール 正常に閉鎖され、シールが適切である 扉変形、シール不良、閉鎖不完全 シール番号、扉写真、Stuffing Report
貨物包装 通常輸送に耐える包装・防湿措置がある 包装不足、裸積み、湿気対策不足 Packing Specification、梱包写真
内部固縛 貨物が適切に固定されている 荷崩れ、偏荷重、空隙、固縛不足 Stuffing写真、ラッシング記録
貨物特性 通常の乾貨物で温度・湿度感受性が低い 食品、精密機械、吸湿性貨物、温度管理貨物 貨物仕様書、温度条件、品質管理資料

対象となる場面

Underdeck or On-deck Clauseが適用される可能性が高いのは、主に次の条件を満たす場合です。

  • 貨物が通常の密閉型コンテナに収納されている
  • 通常のフルコンテナ船またはコンテナ輸送サービスで運送される
  • B/Lに運送人が船倉内または甲板上へ積載できる自由裁量条項がある
  • 荷主が特別に甲板積みを指定したものではない
  • B/L表面に特殊なOn Deck条件が明示されていない
  • 保険証券またはOpen Coverに当該約款が付帯されている
  • 貨物およびコンテナが通常のコンテナ輸送に適している
  • 個別承認を必要とする貨物やコンテナとして除外されていない

これらの条件を満たす場合、実際の積付位置が甲板上であったことだけを理由として、船倉内積みとは異なる保険条件へ変更しないことが、この約款の基本的な機能です。

対象外または個別確認になりやすい貨物・コンテナ

貨物・コンテナ 個別確認が必要な理由 主な危険 実務上の対応
オープントップコンテナ 上部の保護が通常の密閉型コンテナと異なる 雨水、海水、波浪、シート破損 積付場所、防水養生、個別保険条件を確認する
フラットラックコンテナ 側壁・屋根による外部保護がない 波ざらい、落下、ラッシング不良、接触損害 On-Deck Cargo Clauseまたは個別承認を確認する
プラットフォームコンテナ 貨物がほぼ完全に露出する 海水、波浪、流失、荷崩れ 甲板積み貨物として個別条件を確認する
Out of Gauge貨物 コンテナ外形から貨物が突出する 他貨物・船体との接触、波浪、固縛不良 積付図、ラッシング計画、保険者承認を取得する
大型機械・重量物 通常のコンテナ構造では保護できない場合がある 転倒、滑動、落下、固縛点破損 Survey、梱包、重心、固縛計算を確認する
タンクコンテナ 内容物・容器・圧力・危険品性に固有の危険がある 漏洩、汚染、圧力異常、温度変化 貨物性状、容器検査、危険品条件を確認する
リーファーコンテナ 積載位置に加えて電源・温度管理が重要となる 温度逸脱、機器故障、直射日光、品質劣化 リーファー特約、設定温度、温度記録を確認する
食品・生鮮品 外観上の損傷がなくても品質が低下する 温度、湿度、結露、腐敗、賞味期限 品質基準と基本保険条件を個別確認する
高額貨物・精密機械 わずかな湿気・衝撃でも高額損害となる 結露、振動、微細損傷、盗難 個別申告、梱包条件、Survey条件を確認する
中古機械・展示品 梱包状態や既存損傷の判別が難しい 既存損傷、錆、振動、再組立不良 船積前Surveyと個別保険条件を確認する

B/L上で確認すべき甲板積み条項

実務上は、運送人の一般的な自由裁量条項と、B/L表面に記載された甲板積みの明示表示を区別する必要があります。

B/L上の記載 意味 保険実務上の見方 確認事項
Carrier may carry under or on deck 運送人が船倉内または甲板上へ積載できる一般的な自由裁量条項 Underdeck or On-deck Clauseの前提となりやすい 裏面約款、運送人標準約款を確認する
Under deck and/or on deck at carrier’s option 積載位置を運送人の判断に委ねる 通常のコンテナ輸送として扱われる余地がある コンテナ種類と貨物特性を確認する
Shipped on Deck 甲板積みの事実をB/L上で明示する 通常の自由裁量条項とは異なり、個別確認が必要になりやすい 保険申告、荷主の承諾、L/C条件を確認する
Stowed on Deck 貨物が甲板上へ積み付けられたことを示す On-Deck Cargo Clause等の適用が問題となる 基本保険条件と個別承認を確認する
On Deck at Shipper’s Risk 荷主側の危険負担を強調する運送上の記載 保険と運送人責任の双方で重要となる 保険者、荷主、銀行、運送人へ確認する
Deck Cargo 貨物を甲板積み貨物として特定する 密閉型コンテナの自由裁量積付けとは別扱いになりやすい On-Deck Cargo Clauseと追加保険料を確認する

B/L裏面に自由裁量条項があるだけの場合と、B/L表面にShipped on Deck等の表示がある場合では、荷主の認識、運送人責任、保険者への申告およびL/C書類条件への影響が異なります。

投荷・波ざらい・共同海損との関係

甲板積み貨物では、荒天や船舶の安全確保のため、貨物が海中へ投荷されるJettison、波浪によって流失するWashing Overboard、コンテナスタックの崩壊、ラッシング破断等が問題になります。

Underdeck or On-deck Clauseは、対象となるコンテナ貨物について、保険証券の船倉内積み貨物へ適用される規定に従って扱うものです。

したがって、甲板積みされたという事実だけを理由に、船倉内積み貨物へ適用される投荷・共同海損に関する保険条件を排除するものではありません。

ただし、この約款自体がJettison、Washing OverboardまたはGeneral Averageを新たに追加補償するわけではありません。実際の補償はICC(A)、ICC(B)、ICC(C)等の基本条件と免責事項に従います。

論点 基本的な考え方 Underdeck or On-deck Clauseの効果 別途確認すべき事項
Jettison 船舶等の共同の安全のため貨物を意図的に投棄する 甲板積みであることだけを理由に船倉内条件から除外しない 基本保険条件、投荷の目的、事故記録
Washing Overboard 波浪によって甲板上貨物が流失する 補償範囲は基本保険条件に従う ICC条件、特別約款、荒天記録、ラッシング
General Average Sacrifice 共同の安全のため特定の財産を犠牲にする 保険証券上は船倉内貨物へ適用される条件で処理する 共同海損行為、B/L、準拠規則、精算人判断
General Average Contribution 救われた船舶・貨物等が共同海損損失を分担する 基本保険条件の共同海損補償に従う GA Guarantee、GA Bond、分担額、免責事項
コンテナ流失 ラッシング破断やスタック崩壊によりコンテナが海中へ流失する 甲板積みという理由だけで別条件へ切り替えない 事故原因、保険条件、共同海損該当性
運送人への求償 積付け、ラッシング、船舶堪航性等の責任を検討する 保険補償と運送人責任は別問題である B/L、積付記録、事故報告、責任制限

共同海損算入と保険補償は別に判断する

投荷された貨物について、保険契約上損害が補償されるかという問題と、その損害が共同海損犠牲として認容されるかという問題は、同一ではありません。

共同海損への算入は、B/Lに摂取されたYork-Antwerp Rules、運送契約、準拠法、積載方法および認められた取引慣行に従って共同海損精算人が判断します。

York-Antwerp RulesのRule Iでは、投荷された貨物が認められた取引慣行に従って積載されていない場合、原則として共同海損として認容されません。

コンテナ船における甲板上コンテナの積載が通常の取引慣行であり、B/L上も運送人に甲板積みの権限が認められている場合は、伝統的な無断甲板積み貨物とは異なる評価となる可能性があります。

ただし、Underdeck or On-deck Clauseは保険契約上の取扱いを定める約款であり、それだけで共同海損精算上の認容を確定するものではありません。

確認項目 保険契約上の判断 共同海損精算上の判断 主な資料
甲板積みの適法性・契約適合性 特別約款の適用条件を確認する B/Lと取引慣行に従った積載かを確認する B/L、運送約款、積付記録
投荷の原因 基本条件上のJettisonとして判断する 共同の安全のための犠牲かを判断する 船長報告、海難報告、航海日誌
貨物損害額 保険価額、損害額、免責により算定する 共同海損規則に基づく犠牲額を算定する Invoice、保険証券、GA Adjustment
共同海損分担金 ICCのGeneral Average条項に従う 救助された財産の分担価額により計算する GA Guarantee、GA Bond、分担明細
運送人責任 保険者の代位求償を検討する Rule D等により責任問題とGA精算を区別する 事故通知、B/L、責任調査資料

ICC(A)・ICC(B)・ICC(C)との関係

Underdeck or On-deck Clauseは、ICC(A)、ICC(B)、ICC(C)等に追加して使用される特別約款です。

この約款によって、ICC(B)やICC(C)の担保範囲がICC(A)相当へ拡張されるわけではありません。

付保条件 約款適用後の基本的な扱い 投荷・共同海損との関係 注意点
ICC(A) 船倉内積み貨物へ適用されるICC(A)条件に従う 基本条件とGeneral Average条項に従う 免責事項、梱包不良、遅延等は残る
ICC(B) 甲板積みだけを理由に条件変更せずICC(B)の範囲で扱う ICC(B)の列挙危険と共同海損条項に従う すべての水濡れ・品質損害が補償されるわけではない
ICC(C) 甲板積みだけを理由に別条件へ変更せずICC(C)で扱う General Average Sacrifice、Jettisonおよび共同海損条項を確認する Washing Overboard等の範囲は個別に確認する
冷凍・冷蔵貨物条件 リーファー特約等の範囲で扱う 投荷等とは別に温度変化・機器故障を確認する 設定温度、継続時間、免責時間を確認する
個別特別条件 保険者が指定した積付け・梱包条件に従う 基本条件と特別条件を併せて確認する 特別条件がUnderdeck or On-deck Clauseに優先する場合がある

On-Deck Cargo Clauseとの違い

比較項目 Underdeck or On-deck Clause On-Deck Cargo Clause 実務上の分岐点
主な対象 運送人の自由裁量で甲板積みされるコンテナ貨物 一般的な甲板積み貨物 通常コンテナか、露出した甲板積み貨物か
貨物形態 主に密閉型コンテナ 裸貨物、大型機械、重量物、特殊コンテナ 外部環境から隔離されているか
B/L記載 運送人の一般的な自由裁量条項 Shipped on Deck等の明示記載を含む 自由裁量か、明示的な甲板積みか
基本的効果 船倉内積みへ適用される保険条件で扱う 甲板積み用の限定条件または個別条件を適用する 基本保険条件が維持されるか変更されるか
中心危険 通常コンテナ船の甲板上積付け 投荷、波ざらい、流失、ラッシング、露出損害 甲板積みによる実質的危険増加の程度
申告 Open Coverでは条件内なら自動付保となる場合がある 個別申告・追加保険料が必要になりやすい Open Coverの対象・除外貨物を確認する

Underdeck or On-deck Clauseは、通常のコンテナ船輸送に対応する調整約款です。On-Deck Cargo Clauseは、甲板積み自体による危険増加を前提として、担保危険や条件を個別に設定する約款です。

Open-Yard Storage Clauseとの違い

比較項目 Underdeck or On-deck Clause Open-Yard Storage Clause 実務上の確認点
対象場所 船舶の甲板上または船倉内 港湾、保税地域、CFS、倉庫等の屋外ヤード 船上か陸上かを確認する
対象時間 本船輸送中 陸揚げ後または輸送途中の保管中 事故日時と保管区間を確認する
対象物 主にコンテナ入り貨物 コンテナ、デバン後貨物、梱包貨物等 貨物がコンテナ内にあるか確認する
中心危険 甲板積み、波浪、流失、船体動揺 雨水、浸水、盗難、風害、長期保管 損害原因と場所を切り分ける
確認資料 B/L、積付記録、本船事故資料 ヤード写真、搬入搬出記録、保管契約 船会社記録と倉庫記録を分ける
保険上の効果 船倉内積み条件での扱い 屋外保管時の担保制限・追加条件 両約款を相互に代用しない

Open Coverと個別付保の違い

Underdeck or On-deck Clauseの適用を確認する際は、包括予定保険であるOpen Coverによる付保か、特定貨物を個別に付保する契約かを区別する必要があります。

確認項目 Open Cover 個別付保・特定物保険 実務上の対応
契約の構造 一定期間の継続的な付保条件をあらかじめ設定する 特定の貨物・航海ごとに条件を設定する どの契約形態か最初に確認する
Underdeck or On-deck Clause 包括条件へあらかじめ組み込まれている場合がある 個別の保険証券または見積条件で確認する 約款名称だけでなく実際の付帯文言を確認する
自動付保 貨物・航路・コンテナが包括条件内なら自動付保となる場合がある 保険者が申告内容を確認して付保条件を確定する 自動付保の対象範囲と除外を確認する
申告 個々の船積みを所定の方法と期限で申告する 付保前に貨物、航路、コンテナ、積付方法を申告する 申告漏れ・遅延を避ける
特殊コンテナ 自動付保対象外または事前承認対象となる場合が多い 見積取得時に個別申告する Open Top、Flat Rack、OOGを明示する
甲板積みの明示記載 通常の自由裁量条項を超える場合は個別照会する B/L案を提示して事前承認を得る Shipped on Deck等を見落とさない
高額・特殊貨物 自動付保限度額、貨物別除外、Survey条件を確認する 個別料率・条件・免責が設定される 貨物価額と特性を正確に申告する
事故後の確認 申告がOpen Cover条件に適合していたか確認する 保険証券記載と実際の輸送条件を照合する 申告書、証券、B/L、Bookingを保存する

Open Coverで「コンテナ貨物」が自動付保の対象になっていても、特殊コンテナ、On Deck明示貨物、温度管理貨物、高額貨物または特定除外貨物まで無条件に含まれるとは限りません。

個別付保の場合は、保険契約成立前に、コンテナ種類、積付方法、B/L記載、貨物性質および甲板積みの可能性を保険者または保険代理店へ提示します。

告知・申告義務の具体的な範囲と効果は、契約文言、準拠法および個別の事実関係によって異なるため、「Open Coverだから連絡不要」「個別付保だからすべて証券に書かれている」と一律に判断しないことが重要です。

適用判断フロー

  1. コンテナ種類を確認する
    密閉型ドライコンテナか、Open Top、Flat Rack、Platform、Tank、Reefer等かを確認します。
  2. 貨物特性を確認する
    通常の乾貨物か、温度・湿度・振動に敏感な貨物かを確認します。
  3. B/L自由裁量条項を確認する
    運送人が船倉内または甲板上へ積載できる条項があるかを確認します。
  4. On Deck明示表示を確認する
    Shipped on Deck、Stowed on Deck等がB/L表面にないかを確認します。
  5. 付保形態を確認する
    Open Coverか個別付保かを確認します。
  6. 特別約款の付帯を確認する
    Underdeck or On-deck Clauseが実際の保険条件へ組み込まれているか確認します。
  7. 基本条件を確認する
    ICC(A)、ICC(B)、ICC(C)または個別条件を確認します。
  8. 個別承認の要否を判断する
    特殊コンテナ、高額貨物、温度管理貨物等は事前照会します。
  9. 事故資料を保存する
    B/L、Booking、EIR、写真、積付記録、事故通知を確保します。
  10. 保険と共同海損を分ける
    保険補償、共同海損算入、運送人責任を別々に判断します。

実務で問題になりやすいケース

ケース 中心論点 確認資料 保険上の判断点 初動対応
密閉型コンテナが運送人判断で甲板積みされた Underdeck or On-deck Clauseの適用 B/L、Booking、コンテナ種類 自由裁量条項と特約付帯の有無 証券とB/Lを照合する
B/L表面にShipped on Deckと記載された 自由裁量条項との違い B/L Draft、Shipping Instruction 個別申告・承認が必要か B/L発行前に保険者へ確認する
甲板上コンテナが荒天で流失した Washing Overboard、コンテナ流失 本船事故報告、気象記録、積付記録 基本保険条件と事故原因 事故通知とサーベイを手配する
共同の安全のためコンテナが投荷された JettisonとGeneral Average Sacrifice 船長報告、GA通知、B/L 保険補償とGA算入を分ける 保険者へ通知しGA Guaranteeを確認する
Open Topコンテナで水濡れした 密閉型コンテナとの違い コンテナ仕様、養生写真、B/L 特約適用外・個別条件の可能性 積付・防水措置を調査する
リーファー貨物が甲板上で温度逸脱した 積付場所と温度管理の因果関係 温度記録、電源記録、アラーム履歴 リーファー条件と免責 データを直ちに確保する
コンテナ破孔から海水が浸入した コンテナ不適合と貨物保険 EIR、搬入時写真、ダメージレポート Clause適用とコンテナ適合性は別問題 運送人・コンテナ提供者へ通知する
Open Coverで特殊コンテナを申告しなかった 自動付保範囲と申告条件 Open Cover、申告書、Booking 除外・個別承認条件への該当 申告経緯と契約条件を整理する

フォワーダーの関与範囲対比

本記事における五分類は、法令上または業界全体で確立された分類ではなく、本シリーズでフォワーダーの関与範囲を分析するための枠組みです。

標準五分類 想定される関与 甲板積み時の確認事項 当然には負わない範囲 実務上の対応
Simple Intermediary(単純取次) Booking、B/L Draft、保険書類等の取次 特殊コンテナ・On Deck表示を正確に伝達したか 保険補償や共同海損算入の最終判断 荷主と保険関係者へ情報を速やかに転送する
Cargo Transportation Service Provider(貨物利用運送事業者) 実運送事業者を利用したコンテナ輸送 コンテナ種類、輸送経路、積付条件 船会社の実際の積付位置を常に指定・保証すること Booking情報と追加条件を整理する
NVOCC / House B/L Issuer House B/L発行者として運送契約に関与 House B/Lの自由裁量条項と表面記載 Master Carrierの積付判断についての無制限責任 House B/LとMaster B/Lの条項を照合する
Door-to-Door Single Contractor 集荷、コンテナ詰め、海上輸送、配送を一体手配 梱包、Stuffing、コンテナ適合性を含む全工程 すべての海上危険についての無条件保証 工程別の責任主体と証拠を一元管理する
Agent/Coordinator for Specific Operations(特定業務の代理・調整者) 保険照会、Survey、特殊貨物承認等の個別調整 委任範囲、申告内容、承認条件 委任外の保険判断・法的判断 書面による指示と承認を保存する

Contracting CarrierおよびActual Carrierは、法的または契約上の地位を示す概念であり、この標準五分類を置き換えるものではありません。

具体例1:通常の密閉型コンテナが甲板積みされた場合

通常のドライコンテナに収納された工業製品がコンテナ船へ積載され、B/L裏面に運送人がコンテナを船倉内または甲板上へ積載できる自由裁量条項があるケースを考えます。

荷主は甲板積みを指定しておらず、B/L表面にもShipped on Deck等の特別表示はありません。

保険証券またはOpen CoverにUnderdeck or On-deck Clauseが付帯されていれば、実際に甲板積みされた場合でも、船倉内積み貨物へ適用される基本保険条件に従って扱われます。

ただし、損害が発生した場合は、ICC条件、コンテナ状態、梱包、事故原因および免責事項を別途確認します。

具体例2:甲板上コンテナが投荷された場合

荒天により船舶の安全が脅かされ、船長の判断で甲板上の一部コンテナが共同の安全のために投荷されたケースを考えます。

Underdeck or On-deck Clauseが適用される対象貨物であれば、保険証券上は船倉内積み貨物へ適用される条件に従ってJettison損害を確認します。

同時に、その投荷がGeneral Average Sacrificeとして共同海損へ算入されるかを確認します。

共同海損への算入は、Underdeck or On-deck Clauseだけで決まるものではなく、B/Lに摂取されたYork-Antwerp Rules、準拠法、積載慣行および共同海損精算人の判断によります。

具体例3:Open Coverでフラットラック貨物を手配した場合

荷主のOpen Coverには通常コンテナ貨物を対象とするUnderdeck or On-deck Clauseが付帯されていますが、大型機械をフラットラックコンテナで輸送するケースを考えます。

フラットラックは密閉型コンテナと異なり、貨物が外部環境へ露出するため、通常コンテナの自動付保条件へ当然に含まれるとは限りません。

Booking前に、貨物寸法、重量、価額、梱包、ラッシング、甲板積み予定、B/L記載および積付図を保険者へ提出し、個別承認、On-Deck Cargo Clause、追加保険料、Survey条件等を確認します。

Open CoverにUnderdeck or On-deck Clauseがあるという理由だけで、特殊コンテナ貨物を通常の密閉型コンテナと同じ扱いにしてはなりません。

実務上の確認チェックリスト

確認タイミング 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
保険契約確認時 保険会社、保険代理店 Underdeck or On-deck Clauseの付帯有無 Open Coverまたは個別証券の条件を確認する
Booking前 荷主、船会社、フォワーダー コンテナ種類、貨物寸法、重量、価額 特殊コンテナは事前承認を取得する
Booking時 船会社、NVOCC 積付条件、On Deck指定、特殊取扱い Booking Confirmationを保険者へ共有する
B/L Draft確認時 船会社、NVOCC、荷主 自由裁量条項とOn Deck明示表示 明示表示がある場合は発行前に保険照会する
Open Cover申告時 保険会社、保険代理店 自動付保範囲、申告期限、除外貨物 対象外貨物は個別申請する
個別付保時 保険会社、保険代理店 貨物、コンテナ、積付け、B/L記載 条件確定前に輸送を開始しない
コンテナ詰め時 倉庫業者、荷主、Surveyor コンテナ状態、包装、固縛、シール 写真とStuffing Reportを保存する
事故発生時 船会社、保険会社、Surveyor 積付位置、コンテナ状態、事故原因 事故通知と証拠保全を行う
共同海損宣言時 保険会社、共同海損精算人、船会社 GA Bond、GA Guarantee、犠牲・分担金 保険補償とGA精算を分けて確認する
求償検討時 船会社、倉庫業者、保険会社、弁護士 ラッシング、積付け、コンテナ不具合 期限内に責任通知を行う

事故時に確認すべき資料

資料 確認できること 実務上の目的 注意点
保険証券・Open Cover 基本条件、特別約款、自動付保範囲 Underdeck or On-deck Clauseの適用を確認する 約款名だけでなく全文を確認する
B/L表面 Shipped on Deck等の明示表示 自由裁量条項との違いを判断する OriginalとDraftを保存する
B/L裏面約款 運送人の甲板上・船倉内積付けの権限 約款適用の前提を確認する 運送人ごとの約款差を確認する
Booking Confirmation コンテナ種類、特殊取扱い、積付条件 申告内容と実際の輸送条件を照合する 変更履歴も保存する
EIR コンテナ受渡し時の状態 破孔・変形の発生時期を確認する 搬入時と搬出時を比較する
Stuffing写真 包装、固縛、シール、貨物配置 梱包不良・荷崩れ原因を確認する 扉閉鎖前に撮影する
本船積付記録 実際の積付位置とコンテナスタック 甲板積みの事実と周辺状況を確認する 船会社へ早期に保全を求める
荒天・航海記録 波浪、風速、船体動揺、航路 流失・水濡れ原因を確認する 航海日誌と気象記録を照合する
Survey Report 損害状態、原因、残存価値 保険請求と求償の基礎とする コンテナと内部貨物を分けて調査する
共同海損書類 GA宣言、犠牲、分担額、担保要求 共同海損請求を処理する 保険者へ直ちに提出する

よくある誤解

誤解 実際の考え方 実務上の対応
コンテナ貨物ならすべて対象になる 主に通常の密閉型コンテナが対象である Equipment Typeを確認する
甲板積みでも船倉内と危険が完全に同じである 保険条件上同様に扱う約款であり、物理的危険が消えるわけではない 積付け、ラッシング、事故原因を確認する
密閉型コンテナは完全防水である 破孔、扉不良、強い海水打込み、結露等による損害は起こり得る EIRとコンテナ写真を保存する
この約款があればICC(A)相当になる 基本条件はICC(A)、ICC(B)、ICC(C)のままである 付保された基本条件を確認する
投荷されれば必ず共同海損になる 共同の安全、積載慣行、B/L、適用規則等によって判断される GA Adjustmentと事故資料を確認する
保険で投荷損害が出ればGAでも必ず認容される 保険補償と共同海損算入は別の判断である 保険者と共同海損精算人へ別々に確認する
B/L自由裁量条項があれば特殊コンテナも対象になる 自由裁量条項は前提の一つにすぎない コンテナ種類と個別保険条件を確認する
Shipped on Deckは自由裁量条項と同じである B/L表面の明示表示は個別申告が必要になりやすい B/L発行前に保険者へ照会する
Open Coverなら事前連絡は不要である 特殊貨物・特殊コンテナは個別承認対象となる場合がある 自動付保範囲と除外を確認する
On-Deck Cargo Clauseと同じ約款である 対象貨物と保険条件の機能が異なる 通常コンテナと一般甲板積み貨物を分ける
Open-Yard Storageにも同じ約款が適用される 船上の甲板積みと陸上の屋外保管は別の危険である 事故場所と保管条件を確認する

フォワーダー実務での注意点

フォワーダーやNVOCCは、荷主から「コンテナ貨物なので通常条件で問題ない」と説明されても、コンテナ種類、貨物特性、B/L記載および保険条件を個別に確認する必要があります。

特に、Open Top、Flat Rack、Platform、Out of Gauge、Tank Container、Reefer Container等は、通常の密閉型ドライコンテナと同じ自動付保条件が適用されない可能性があります。

Booking時に特殊コンテナまたは甲板積みの予定を把握していたにもかかわらず、荷主や保険関係者へ伝達しなかった場合は、事故後に申告内容、引受条件および責任分担が問題となることがあります。

NVOCCがHouse B/Lを発行する場合は、House B/Lの自由裁量条項、Master B/L上の記載および実際の積付条件を分けて確認します。

フォワーダーは、Underdeck or On-deck Clauseの最終的な適用可否、共同海損への算入または保険金支払可否を独自に確定する立場ではありません。

ただし、B/L Draft、Booking Confirmation、コンテナ種類、貨物仕様、積付条件、Open Cover、保険者の承認および事故資料を整理し、関係者へ適時に伝達することが重要です。

事故が発生した場合は、保険請求だけでなく、コンテナの適合性、梱包、積付け、ラッシング、運送人責任、共同海損および第三者への求償を並行して確認します。

まとめ

Underdeck or On-deck Clauseは、コンテナ貨物がB/L上の運送人の自由裁量によって甲板積みされた場合に、船倉内積み貨物へ適用される保険証券の規定に従って扱う特別約款です。

この約款は、現代のコンテナ船では甲板上へのコンテナ積載が通常の運航実務となっていることを踏まえ、積載位置だけを理由とする不利益な条件変更を避ける役割を持ちます。

主な対象は、外部環境から内部貨物を一定程度隔離する通常の密閉型コンテナです。Open Top、Flat Rack、Platform、Out of Gauge貨物等は、露出危険が大きいため個別確認が必要です。

この約款は、付保されたICC(A)、ICC(B)、ICC(C)等の基本条件を拡張するものではありません。損害の補償可否は、基本条件、免責事項、コンテナ状態、梱包、貨物特性および事故原因によって判断されます。

甲板上貨物が投荷された場合は、保険契約上のJettison損害と、General Average Sacrificeとして共同海損へ算入されるかを分けて確認します。

Underdeck or On-deck Clauseは保険上の取扱いを定める約款であり、共同海損への算入を自動的に決定するものではありません。共同海損は、B/L、York-Antwerp Rules、準拠法、積載慣行および共同海損精算に従って判断されます。

Open Coverでは、この約款が包括条件に組み込まれ、対象範囲内の通常コンテナ貨物が自動付保される場合があります。しかし、特殊コンテナ、高額貨物、温度管理貨物、On Deck明示貨物等は個別承認を要することがあります。

個別付保では、コンテナ種類、貨物、B/L記載、積付方法および甲板積みの可能性を保険契約成立前に申告し、適用条件を確認することが基本です。

B/L上の一般的な自由裁量条項と、Shipped on Deck、Stowed on Deck、On Deck at Shipper’s Risk等の表面記載は、保険、運送人責任およびL/C決済への影響が異なるため、分けて確認する必要があります。

具体的な約款適用、補償範囲、共同海損、追加保険料、申告要件および保険金支払可否は、実際の保険証券、Open Cover、B/L、コンテナ種類、貨物特性、事故原因および個別の事実関係によって異なります。

同義語・別表記

  • Underdeck or On-deck Clause
  • Under Deck or On Deck Clause
  • コンテナ入り貨物甲板積許容約款
  • 甲板積許容約款
  • Under Deck and/or On Deck
  • Carrier’s Option on Deck

関連用語

公式情報