B/L・Sea Waybill・FCRの発行部数と印紙税―紙原本・PDF発行の実務比較

Number of Originals and Stamp Tax for B/L, Sea Waybill and FCR — Paper and PDF Issuance Practice

B/L、Sea Waybill、FCRはいずれも国際物流実務で使用される書類ですが、「何通発行するか」の意味は同じではありません。

Original B/Lでは、複数のOriginalが一組のOriginal setを構成することがあり、それぞれのOriginalを貨物引渡しとの関係で厳格に管理する必要があります。

一方、Sea Waybillは非流通性の運送書類であり、Original B/Lのように紙Originalの所持・裏書・呈示によって貨物引渡しを管理する書類ではありません。そのため、紙1通で発行する場合、現地手続のため複数通を作成する場合、さらにNumber of Original Waybill(s): 0として紙Originalを発行せずPDF等で交付する場合があります。

FCR(Forwarder's Cargo Receipt)はさらに性質が異なり、貨物受領の証明、運送取扱い、運送契約内容の確認、標準取引条件の取り込みなど、実際の使用目的によって契約上・印紙税上の評価が変わります。

したがって本記事では、「何枚印刷したか」ではなく、その書類が何を証明し、それぞれの通が法律上・契約上・実務上どのような意味を持つのかを中心に整理します。

この記事で扱う範囲

項目 この記事で扱う内容 他記事で扱う内容
Original B/L Original set、Original・Duplicate・Triplicateと発行部数 B/Lの基本機能や貨物引渡し全般はB/L専門記事で扱う
B/Lの印紙税 第9号文書、First Original、Duplicate等の取扱い 印紙税制度全般は国税庁資料等で確認する
Sea Waybill 紙1通、必要時複数通、Original 0通 Consignee・Right of Control・Destination ReleaseはSea Waybill専門記事で扱う
Sea Waybillの印紙税 紙発行とPDF・電磁的交付の違い 個別案件の最終的な課税判定は税務署・税理士等へ確認する
FCR 貨物受領書、運送取扱い、運送契約との関係 FCR各欄の記載方法はFCR専門記事で扱う
NVOCC CLUB標準取引条件 FCR発行と包括的取り込みの違い 各条項の責任内容は標準取引条件専門記事で扱う
PDF発行 紙Originalを作成しない電子交付 電子船荷証券制度そのものは別記事で扱う
裏面約款 PDF発行時のTermsの提供・保存 個別Carrier約款の解釈は別途確認する
発行部数 複数通が持つ法律上・実務上の意味 各国のDestination Release Procedureは個別記事で扱う
事故・紛争 何をOriginalとして発行・交付したかの証拠保全 具体的な訴訟判断は海事弁護士等へ確認する

最初に整理する四つの違い

項目 Original B/L Sea Waybill FCR PDF・電子交付
基本的性質 Bill of Ladingとして貨物引渡請求と密接に関係し、Order B/Lでは流通性を持つ運送証券 非流通性の運送書類 貨物受領・取引条件・業務内容等を証する書類 書類の性質ではなく媒体・交付方法
Originalの意味 Original setとして法律上・実務上重要 B/LのOriginalとは意味が異なる 用途・様式・契約内容による 紙Originalを作成しない運用が可能な書類もある
発行部数 1通又は複数Original 紙1通、必要時複数通、0通運用があり得る 個別発行又は包括条件による運用 複製・送信が容易
貨物引渡し Original B/Lの所持・呈示が重要 Named ConsigneeとRelease Procedureが中心 B/Lのような貨物引渡証券ではない 元となる書類の性質による
裏書 Order B/Lでは重要 裏書譲渡を前提としない 通常は権利移転手段ではない 媒体自体には該当しない
日本の印紙税 第9号文書として1通につき200円。ただし複数通には基本通達上の特別な取扱いがある 紙の内容・使用方法により判断 名称ではなく内容・使用方法により判断 電磁的記録自体は課税文書ではない
約款 B/L裏面約款 Waybill Terms 標準取引条件等 電子交付でも確認可能にする

B/LのOriginalは単なるコピーではない

Original B/Lが3通発行される場合、一般に「3/3 Originals」などと表示されます。

書式によっては、

  • First Original
  • Second Original
  • Third Original

と表示する場合や、

  • Original
  • Duplicate
  • Triplicate

と表示する場合があります。

ここでいうDuplicateやTriplicateを、通常の「コピー」と同じ意味で理解してはいけません。

これらがOriginal setとして発行されている場合、複数通全体が一組のOriginal B/L setとして管理されます。

実務では、いずれか一通のOriginal B/Lが適法に使用されて貨物が引き渡された後に、残りのOriginalが再度貨物引渡しに使用されないよう管理する必要があります。

B/Lを数通作成した場合の印紙税には特別な取扱いがある

日本の印紙税では、船荷証券及び複合運送証券は第9号文書に該当し、税額は1通につき200円とされています。

ただし、同一内容の船荷証券を数通作成する場合については、国税庁の印紙税法基本通達に特別な取扱いがあります。

同一内容の数通について、それぞれに「Original」「Duplicate」又は「First Original」「Second Original」等の表示を明確にした場合は、「Original」又は「First Original」等と表示したもののみを課税文書として取り扱います。

したがって、例えばFirst Original、Second Original、Third Originalの3通を明確に区別して発行する場合、物流実務上は3通すべてがOriginal setを構成していても、印紙税上はFirst Original等と表示されたもののみが課税文書として取り扱われます。

同様に、Original、Duplicate、Triplicateと明確に区別している場合には、Originalと表示されたものが課税文書となり、Duplicate等は基本通達上、課税文書として取り扱われません。

また、通関その他の用途に使用するために発行するもので、「流通を禁ず」「Non Negotiable」等の表示を明確にしたものについては、第9号文書の課税文書に該当しない取扱いがあります。

したがって、「Original B/Lが3通あるから200円×3通」と単純に判断してはいけません。物流上のOriginal setの通数と、印紙税上の課税文書の通数は別に確認します。

B/LのOriginalとCopyを混同しない

表示 Original setとの関係 貨物引渡し上の位置付け 印紙税上の基本的整理
First Original Original setを構成 Originalとして機能 課税文書として取り扱う
Second Original Original setを構成 Original setの一部 First Original等との表示が明確な場合、基本通達上は課税文書として取り扱わない
Third Original Original setを構成 Original setの一部 First Original等との表示が明確な場合、基本通達上は課税文書として取り扱わない
Original Original setを構成 Originalとして機能 Original/Duplicate等の表示が明確な場合、課税文書として取り扱う
Duplicate 書式によってOriginal setの一部として使用 単純なPhotocopyとは限らない Original/Duplicate等の表示が明確な場合、基本通達上は課税文書として取り扱わない
Triplicate 書式によってOriginal setの一部として使用 単純なPhotocopyとは限らない Original/Duplicate等の表示が明確な場合、基本通達上は課税文書として取り扱わない
Copy 通常Original setを構成しない 参考・事務用 名称だけでなく、文書としての内容・使用方法から判断する
Non-Negotiable Copy Original setを構成しない 通関・参考等に使用 通関その他の用途で所定の表示が明確なものは、第9号文書に該当しない取扱いがある

Surrendered B/Lでも元の書類はB/Lである

Surrendered B/LはSea Waybillではありません。

Original B/Lとして発行した後、船積地側でOriginalを回収し、仕向地へOriginal呈示なしで貨物をReleaseする処理です。

したがって、「仕向地でOriginalを呈示しない」という結果だけを見て、Sea Waybillと同じ発行・印紙税上の取扱いと考えてはいけません。

NVOCC CLUBの公開Q&Aでも、Surrendered Bill of Ladingについて200円の印紙税が必要との整理が示されています。

Sea Waybillの複数通はB/LのOriginal setではない

Sea Waybillは、Original B/LのようにOriginalの所持・裏書・呈示を貨物引渡しの中心的根拠とする書類ではなく、裏書譲渡を前提としない非流通性の運送書類です。

したがって、Sea Waybillを2通又は3通作成しても、それによってB/Lのような2/2又は3/3 Original setが生じるわけではありません。

紙Sea Waybillを複数通作成する理由として、次のような実務上の必要性があります。

  • 発行者側で保存するため
  • Shipperへ交付するため
  • Consigneeへ交付するため
  • Destination Agentへ提出するため
  • D/O発行その他Local Procedureで提出・回収するため
  • 税関その他現地当局へ提出するため

したがってSea Waybillでは、発行部数そのものより、各通を誰が何の目的で使用するのかを確認します。

紙のSea Waybillは1通を基本とし、必要時には複数通

紙媒体でSea Waybillを発行する場合、日本の実務では1通で運用することが多くあります。

ただし、Sea Waybillについて世界共通で必ず1通と定められているわけではありません。

Destinationで紙書類の提出・回収が必要な場合などには、貨物引取その他の現地手続に必要な複数通を作成することがあります。

ここでも、複数通発行したこと自体によってB/LのようなOriginal setが発生するわけではありません。

Number of Original Waybill(s): 0

現在のSea Waybill実務では、紙Originalを全く作成しない方法があります。

書式又はシステム上、

Number of Original Waybill(s): 0

と表示し、Sea WaybillをPDFその他の電磁的方法で作成・交付する方法です。

これは「Sea Waybillを発行していない」という意味ではありません。

Original 0通とは、書類なしではなく、紙Originalなしという意味です。

Sea Waybill自体は運送書類として作成され、PDF、電子メール、Webシステムその他の方法によって交付されます。

NVOCC CLUBの公開Q&Aでも、Sea WaybillをPDFで作成してメール等で送付し、紙Originalを発行しない場合はOriginal部数を「0枚」とする運用が示されています。

PDF・電子メールで交付した電磁的記録自体には印紙税は課税されない

日本の印紙税は、課税物件表に掲げられた「文書」を対象とする税です。

電磁的記録を電子メール等で送信する場合、その電磁的記録自体は印紙税法上の「文書」に含まれないため、その電磁的記録自体には印紙税は課税されません。

したがって、Sea Waybill、FCRその他の書類について、紙の課税文書を作成・交付せず、PDF、電子メール、Webシステムその他の電磁的方法だけで作成・交付する場合には、その電磁的記録自体について印紙税を納付するものではありません。

ただし、電子データとは別に発行者が紙の課税文書を作成・交付する場合には、その紙文書について別途判定します。

Sea Waybillを紙で発行した場合は名称だけで判断しない

Sea Waybillは非流通性であるため、第9号文書としての船荷証券とは異なる整理になります。

しかし、「Sea Waybillだから紙で発行しても必ず印紙税不要」という意味ではありません。

貨物運送業者が荷送人から貨物運送を引き受け、運送品、数量、運賃、発地、着地等の具体的事項を記載し、運送契約成立の事実を証する目的で荷送人へ交付する文書については、その標題にかかわらず「運送に関する契約書」に該当する場合があります。

逆に、運送人の控えや単なる事務整理用の文書、又は記載内容・使用方法から単なる貨物受取書と認められるものについては、同じ取扱いになるとは限りません。

NVOCC CLUBの公開Q&Aでも、Sea WaybillをPDFで作成してメール等で送付しOriginalを発行しない場合にはOriginal部数を0枚とする一方、紙Originalを発行し、それが「貨物運送引受書」と解釈される場合には200円の収入印紙が必要との整理が示されています。

したがって個別のSea Waybillについては、名称だけでなく、実際の記載内容、交付方法、記載金額及び使用目的を確認します。

Originalを0通にしても約款まで0にしてはいけない

Sea WaybillをPDFで発行するときに注意したいのが、表面だけをPDFにして送付する運用です。

Sea Waybillには、

その他の重要な契約条件が定められることがあります。

JIFFA Waybillでも、旧short formではConsignee等が取り込まれた約款を容易に参照できず、運送人が免責・責任限度等を主張する際に紛争となる危険があることから、JIFFA WAYBILL約款(2013)ではlong formへ変更されています。

またJIFFAでは、書面用紙とは別に、電磁的データで顧客へ提供することを目的としたWaybillフォームも用意されています。

したがって電子交付では、

  • Sea Waybill表面
  • 裏面約款
  • 適用されるWaybill Terms

を相手方が確認・保存できる状態にします。

Originalを0通にしても、約款まで0にしてはいけません。

FCRはB/LでもSea Waybillでもない

FCR(Forwarder's Cargo Receipt)は、フォワーダーが貨物を受領したこと等を示す書類です。

JIFFA FCRやNVOCC CLUB FCRでは、標準取引条件と組み合わせることによって、取引当事者間の責任範囲・条件を整理する構造が採られています。

したがって、FCRを単なる倉庫の受取メモと一律に扱うことも、逆にB/Lと同じ貨物引渡証券として扱うことも適切ではありません。

FCRの印紙税は「FCRという名称」では決まらない

FCRについて最も重要なのは、単純に「FCRは印紙税が必要」「FCRは印紙税不要」と一律に決めないことです。

日本の印紙税では、文書の名称だけではなく、その文書の記載内容と使用方法によって課税文書該当性を判断します。

例えば、標題が「貨物受取書」であっても、発地、着地、運送賃、荷受人、荷送人等が記載され、荷送人に交付され、運送契約成立の事実を証明する目的の文書である場合には、「運送に関する契約書」に該当する場合があります。

したがってFCRについても、

  • 単に貨物を受領した事実を証するのか
  • 運送取扱いの受託を証するのか
  • 元請運送人として運送契約成立を証するのか
  • 運送区間・運賃等の具体的運送契約内容を記載するのか
  • 標準取引条件を個別契約へ取り込む役割を持つのか

を確認して判断します。

NVOCC CLUB FCRは用途を分けて判断する

使用形態 主な目的 契約上の意味 印紙税上の確認
貨物受領書として使用 貨物を受領した事実を証する 受領事実の証拠 受領事実だけか、運送契約成立まで証するかを確認
運送取扱人として使用 取次・代理等の受託内容を明確にする フォワーダーの立場・責任範囲を整理 記載内容が課税物件表上のどの文書に該当するか確認
元請運送人として使用 貨物運送を引き受けた事実・内容を証する 運送契約成立を証する性質が強くなる 運送に関する契約書該当性を重点確認
標準取引条件付きFCR 個別業務に標準取引条件を適用する 責任・免責・責任限度等を契約へ取り込む 約款の有無だけでなく表面記載と使用方法を含めて判断

NVOCC CLUB標準取引条件はFCRを毎回発行しなくても取り込める

NVOCC CLUBの公開Q&Aでは、フォワーダー又は運送会社が荷主との関係へ標準取引条件を適用する方法として、見積書に標準取引条件による旨を記載し、その見積書で引き受けた運送へ標準取引条件を取り込む方法が案内されています。

また、FCRの標準取引条件を包括的に契約し、個別FCRを発行せず従来の貨物受領書を利用する方法も示されています。

一方、個別の運送ごとにFCRを発行し、運送契約内容を出荷依頼元へ示すことが望ましいとの整理もされています。

したがって、次の方式を分けて考えます。

方式 標準取引条件の取り込み 個別FCR 実務上の確認
個別FCR方式 FCR表裏面等で適用 各輸送ごとに発行 各FCRの内容と紙・PDF交付を確認
見積書取り込み方式 見積書に標準取引条件による旨を記載 併用可能 見積条件と受注成立の記録を保存
包括契約方式 別紙・基本契約等で包括的に取り込む 発行しない運用も可能 個別輸送が包括条件の対象であることを確認
従来受領書併用 包括契約側で標準取引条件を適用 FCRを使用しない 受領書そのものの印紙税判定は別途行う

重要なのは、「NVOCC CLUB標準取引条件による」と記載したこと自体で印紙税の有無が決まるわけではない点です。

紙で作成される見積書、契約書、FCR、貨物受領書その他の文書ごとに、何を証明する目的の文書なのかを確認します。

紙とPDFの違いを整理する

発行方法 紙Original 印紙税上の基本的考え方 契約条件の提供 保存上の注意
紙B/L あり 第9号文書。複数通の場合はOriginal等の表示による基本通達の取扱いを確認 表裏面約款 Original set全通を管理
紙Sea Waybill 形式上発行する場合あり 内容・使用方法から運送に関する契約書該当性を確認 Waybill Termsを提供 何通作成・誰へ交付したか保存
Sea Waybill Original 0通+PDF なし 電磁的記録自体は課税文書ではない 表面+適用Termsを電子提供 送信記録・PDF版を保存
紙FCR FCRの用途による 内容・使用方法から判断 標準取引条件等を確認可能にする 個別受託内容を保存
PDF FCR 紙Originalなし 電磁的記録自体は課税文書ではない 標準取引条件を確認可能にする 電子交付記録を保存

PDFを印刷しただけで「Original」が生まれるわけではない

電子交付されたSea WaybillやFCRを、受信者が自社の事務保存用としてプリントアウトすることがあります。

しかし、PDFから紙を印刷したという物理的事実だけで、Original B/LのようなOriginal setが新たに発生するわけではありません。

一方で、発行者側が紙文書を正式な契約文書として作成し、相手方へ交付する運用を行った場合には、その紙文書について印紙税上の判定が必要となることがあります。

したがって、

  • 誰が作成したか
  • 何をOriginalとして扱ったか
  • 誰へ交付したか
  • 契約成立を証明する目的があったか
  • 単なる社内保存用出力か

を区別します。

実務で問題になりやすいケース

ケース 主な問題 確認資料 判断のポイント 主な対応
3/3 Original B/Lを発行 3枚すべてに印紙を貼るべきか B/Lフォーム、各通の表示 First Original、Second Original等の表示を確認 明確に区別されていればFirst Original等のみを課税文書として処理する
Original・Duplicate・Triplicateで発行 Duplicate等にも印紙が必要か B/Lフォーム、各通の表示 Original/Duplicate等の表示が明確か 明確に区別されていればOriginalのみを課税文書として処理する
B/L Copyを複数作成 Copyにも課税されるか Copy表示、使用目的 Originalとは別の参考・事務用文書か 文書の内容・使用方法を確認する
Sea WaybillをPDFのみで発行 印紙が必要か PDF、送信記録 紙の課税文書を作成・交付していないか Original 0通として電子交付記録を保存する
Sea Waybillを紙で1通発行 Sea Waybillだから無条件で非課税と考えた Sea Waybill表面、Terms、使用方法 貨物運送引受書等に該当する内容か 記載内容・使用方法から判断する
Destination用にSea Waybillを2通発行 B/Lの2 Originalsと混同 発行指示、Local Procedure 複数通の目的が現地手続なのか 各通の用途を記録する
FCRを単なる受領書として発行 印紙税を一律判断 FCR記載内容 運送契約成立まで証する内容か 文書の実質から判断する
元請運送人としてFCRを発行 契約書性が強い FCR、見積書、運賃、運送区間 運送に関する契約書該当性 税務上の文書分類を確認する
PDF Sea Waybillの表面だけを送付 裏面約款が相手に提供されていない メール、PDF、Waybill Terms 契約条件が確認可能だったか 表面と適用Termsを確認・保存可能にする
見積書で標準取引条件を包括適用 FCRを発行しないと約款が適用できないと思い込む 見積書、標準取引条件、受注記録 契約への取り込み方法を確認 適用条件と受注・同意記録を保存する

具体例1―3/3 Original B/Lを発行する場合

事例:NVOCCがHouse B/Lを3/3 Originalsで発行し、First Original、Second Original、Third Originalと表示したとします。

この3通は単なるコピー3枚ではなく、物流実務上はOriginal B/L setとして管理します。

一方、日本の印紙税では、同一内容の船荷証券を数通作成し、それぞれにFirst Original、Second Original、Third Original等の表示を明確にした場合、First Original等と表示したもののみを課税文書として取り扱います。

したがって、この例では物流上は3通ともOriginal setとして厳格に管理する一方、印紙税上はFirst Original等と表示されたものについて200円の印紙税を処理する、という二つの管理軸を分けます。

具体例2―Sea WaybillをOriginal 0通+PDFで発行する場合

事例:NVOCCがSea Waybillを発行し、Number of Original Waybill(s): 0と表示したうえで、ShipperへPDFを電子メールで交付するとします。

この場合、Sea Waybillは発行されていますが、紙Originalは作成されていません。

PDFという電磁的記録自体には印紙税は課税されません。

ただし、Waybill表面だけではなく、裏面約款又は適用されるWaybill Termsも相手方が確認・保存できるようにします。

また、後日Destinationでhard copyが必要になった場合には、その紙が単なる手続用出力なのか、発行者が正式な契約文書として作成・交付するものなのかを区別します。

具体例3―NVOCC CLUB標準取引条件を見積書で包括適用する場合

事例:国内フォワーダーが継続的に輸出貨物の集荷・倉庫搬入を行い、毎回FCRを紙で発行する事務負担を減らしたいとします。

見積書又は別紙契約に、NVOCC CLUB標準取引条件を適用する旨を記載し、標準取引条件を取引へ取り込む方法があります。

また、標準取引条件について包括的に合意し、個別FCRを発行しない運用も可能です。

この場合、FCRを発行しないことと標準取引条件が適用されないことを同一視してはいけません。

一方、個別の貨物受領書、見積書、契約書その他の紙文書について印紙税が発生するかは、それぞれの文書内容・契約上の役割を別に判断します。

フォワーダーの関与範囲

この五分類は、法令上又は業界全体で確立された法的分類ではなく、本シリーズにおいて、フォワーダーが契約及び実務上どの範囲まで関与しているかを整理するための分析上の枠組みである。

Standard Five Classifications 発行書類への関与 発行部数の判断 印紙税上の注意 主な対応
1. Simple Intermediary Shipperの指示を取り次ぐ Carrier・発行者の指示に従う 自社が文書の作成者なのかを確認 指示と交付記録を保存する
2. Cargo Transportation Service Provider 受領書・輸送関連書類を発行する場合がある 業務上必要な部数を決める 紙文書の実質を確認 貨物受領と運送契約を区別する
3. NVOCC / House B/L Issuer House B/L・Sea Waybillを自ら発行 Original set又はWaybillの発行方式を決定 第9号文書、Sea Waybill、PDFを区別 Document Typeごとの発行管理を行う
4. Door-to-Door Single Contractor 一貫輸送書類・FCR等を使用する場合がある 契約範囲に応じて発行 海上書類だけでなく全体契約を確認 各文書の契約機能を整理する
5. Agent / Coordinator for Specific Operations 他者発行書類を受領・配布することが多い 必要部数を調整 代理人が課税文書の作成者となっていないか確認 発行者・交付者・保存者を明確にする

事故・税務確認時に保存する資料

資料 確認する内容 使用目的 注意点
発行済みB/L全通 Original、Duplicate、First・Second・Third等の表示 Original setと課税通数の確認 物流上のOriginalと税務上の課税通数を混同しない
Sea Waybill Number of Originals、発行媒体 紙0通・1通・複数通の確認 最終版を保存する
PDF送信記録 送信日、宛先、添付ファイル 電子交付の立証 表面だけでなくTermsも確認する
裏面約款・Waybill Terms 交付時点の適用条件 契約条件の確認 後日改訂版と混同しない
FCR 記載内容、業務範囲、運送区間 文書の実質判断 名称だけで判断しない
見積書・基本契約 標準取引条件の取り込み 契約条件の適用確認 受注・同意記録も保存する
Local Procedure Destinationで必要な紙部数 Sea Waybill複数通の理由確認 Booking時点の版を保存する
印紙税処理記録 課税・非課税判断と根拠 税務説明 個別判断の根拠を記録する

よくある誤解

誤解 実際の考え方 実務上の注意点
3/3 Original B/Lなら3通すべてに200円の印紙が必要である 各通にFirst Original、Second Original等を明確に表示する場合、First Original等と表示したもののみを課税文書として取り扱います。 物流上のOriginal setと印紙税上の課税通数を分けて管理します。
Duplicateは単なるコピーである B/LフォームではOriginal setの一部として使用される場合があります。 Document Typeとセット表示を確認します。
DuplicateもOriginal setだから必ず200円の印紙が必要である Original/Duplicateの表示を明確にした場合、基本通達上はOriginalと表示したもののみを課税文書として取り扱います。 B/L上の効力と印紙税上の取扱いを混同しません。
Copyと表示すれば必ず非課税である 名称だけでなく文書の内容・使用方法によって判断します。 使用目的まで確認します。
Sea Waybillは必ず紙1通である Local Procedure等により複数通又は0通の場合があります。 各通の目的を確認します。
Sea Waybillを2通発行すると2/2 Originalsになる B/LのOriginal setとは性質が異なります。 複数通の目的を記録します。
Original 0通はSea Waybillを発行していないという意味である 紙Originalを発行しないという意味です。 PDF等の発行・交付記録を保存します。
PDFにも200円の収入印紙が必要である 電磁的記録自体は印紙税上の文書に含まれません。 別途紙文書を作成・交付していないか確認します。
Sea Waybillなら紙で発行しても必ず印紙不要である 紙文書が運送契約成立を証する内容なら別の課税文書該当性が問題になります。 名称ではなく内容・使用方法で判断します。
FCRはすべて印紙不要である FCRの記載内容・使用目的により判断します。 貨物受領だけか運送契約まで証するかを確認します。
FCRはすべて運送契約書だから必ず課税される FCRという名称だけでは決まりません。 実際の契約機能を確認します。
PDF発行なら裏面約款は不要である 媒体が電子化しても契約条件は重要です。 Termsを確認・保存可能にします。
標準取引条件はFCRを発行しないと適用できない 見積書や包括契約に取り込む方法もあります。 取り込み文言と受注・同意記録を保存します。

判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
B/L発行時 Shipper、NVOCC Originalの発行通数と各通の表示 Original/Duplicate又はFirst/Second等を明確にする
B/L印紙処理時 経理・税務担当 第9号文書と基本通達上の課税通数 物流上のOriginal数だけで計算せず国税庁基本通達を確認する
Sea Waybill発行時 Shipper、Carrier 紙1通・複数通・Original 0通 Booking・Destination要件を確認する
Sea Waybill紙発行時 税務担当 記載内容・使用目的・契約金額 運送に関する契約書該当性を確認する
PDF発行時 発行担当者 紙の課税文書を別途発行していないか 電子交付フローを統一する
PDF送信時 Shipper、顧客 表面とWaybill Termsが確認できるか 約款を同時又は参照可能な形で提供する
FCR発行時 顧客、フォワーダー 貨物受領・取次・運送契約のどこまで証するか 文書内容と業務実態を一致させる
標準取引条件導入時 顧客、法務担当 FCR個別発行か包括取り込みか 見積書・基本契約に適用文言を設ける
Destinationで紙要求時 Local Agent Sea Waybillを何通・何のために要求するか Original B/Lとの混同を防ぐ
税務判断に疑義がある時 税務署、税理士等 課税文書の種類、記載金額、作成交付方法 個別文書を提示して確認する
契約紛争時 海事弁護士、法務担当 Original、Terms、FCR、交付記録 発行時点の証拠を保全する

税理士・税務署・海事弁護士へ確認すべき場面

  • B/Lの特殊なOriginal setで課税通数が判然としない場合
  • Original、Duplicate、Copy等の表示と実際の使用方法が一致していない場合
  • Sea Waybillの紙面に具体的な運賃・運送契約条件が記載されている場合
  • FCRが貨物受領書なのか運送契約書なのか判断が難しい場合
  • 基本契約・見積書・FCRが複数の課税文書類型に関係する可能性がある場合
  • 紙とPDFを併用し、どの時点で課税文書が作成されたか不明な場合
  • 事故後に裏面約款・標準取引条件の契約への取り込みが争われた場合
  • Original B/Lと電子的な書類管理が混在している場合

実務上のポイント

B/L・Sea Waybill・FCRの発行部数を整理するときは、最初にDocument Typeを確定します。

Original B/Lでは、複数のOriginalがOriginal setを構成するため、その全通をOriginal B/Lとして管理します。

一方、日本の印紙税では、同一内容の船荷証券を数通作成してOriginal、Duplicate又はFirst Original、Second Original等を明確に表示した場合、Original又はFirst Original等と表示したもののみを課税文書として取り扱うという特別な取扱いがあります。

したがって、物流実務上のOriginal set管理と、印紙税上の課税通数管理は別々に行います。

Sea Waybillでは、複数通を作成してもB/LのOriginal setにはなりません。紙1通、Local Procedure上必要な複数通、又はNumber of Original Waybill(s): 0によるPDF発行のいずれを採用するかを決めます。

FCRは、単なる名称だけでは印紙税を判断できません。貨物受領、取次、利用運送、元請運送その他、何を契約上証する書類なのかを確認します。

NVOCC CLUB標準取引条件についても、個別FCR発行だけが適用方法ではありません。見積書や包括契約による取り込みも可能であり、個別FCRを発行するかどうかと、標準取引条件が契約へ取り込まれているかは別々に確認します。

また、電子化によって印紙税上の紙文書を減らすことは可能ですが、契約条件まで省略してはいけません。

紙を0通にすることと、契約条件を0にすることは全く別の問題です。

まとめ

B/L、Sea Waybill、FCRでは、「Original」や「発行部数」が持つ意味が異なります。

Original B/Lの複数通はOriginal setとして管理されます。しかし日本の印紙税では、同一内容の船荷証券を数通作成しOriginal、Duplicate又はFirst Original、Second Original等を明確に表示した場合、Original又はFirst Original等と表示したもののみを課税文書として取り扱います。

つまり、3/3 Originalsだから3通すべてに200円の印紙が必要、という整理ではありません。物流上のOriginal setと税務上の課税通数は別に確認します。

Sea Waybillは非流通性の運送書類であり、紙1通、現地手続のための複数通、Original 0通+PDFという運用があります。複数通発行してもB/LのOriginal setにはなりません。

PDF・電子メール等の電磁的記録自体は日本の印紙税上の課税文書ではありません。ただし別途紙の課税文書を作成・交付した場合には、その紙について判断します。

FCRについては、「FCRだから課税」「FCRだから非課税」と一律に判断せず、貨物受領、運送取扱い、運送契約成立、標準取引条件の取り込みなど、実際の記載内容と使用方法を確認します。

NVOCC CLUB標準取引条件は、個別FCRだけでなく見積書や包括契約へ取り込む方法もあります。

そして紙Originalを0通として電子化する場合でも、裏面約款又は適用されるTermsを相手方が確認・保存できる状態にすることが重要です。

発行部数を決める前に、その書類が何であり、何を証明し、誰がどの目的で使用するのかを確認する。

これがB/L・Sea Waybill・FCRの発行部数と印紙税を正しく整理する基本です。

公式情報・参考資料

同義語・別表記

  • Original set
  • 3/3 Originals
  • First Original
  • Second Original
  • Duplicate
  • Triplicate
  • Number of Original Waybill(s)
  • Original 0通
  • PDF Sea Waybill
  • Electronic Issuance
  • FCR
  • Forwarder's Cargo Receipt

関連用語

公式情報