Dangerous Goods
概要
Dangerous Goods(危険物)とは、海上輸送において、火災、爆発、毒性、腐食性、環境汚染などの危険を生じる可能性がある貨物をいいます。危険物に該当する貨物を輸送する場合は、IMDG Code(International Maritime Dangerous Goods Code)などに基づき、分類、包装、表示、積付、隔離、書類作成を適切に行う必要があります。
海上輸送では、危険物を通常貨物と同じように扱うことはできません。UN番号、Proper Shipping Name、Class、Packing Group、Marine Pollutant該当性、Flash Point、EMS番号、積付・隔離条件などを確認し、船会社やフォワーダーへ正確に申告する必要があります。
危険物の未申告、誤申告、SDS情報の不足、ラベル・マーキング不備、容器不適合は、船積拒否、貨物留置、追加費用、事故時の荷主責任、保険上の問題につながる可能性があります。
IMDG Codeとの関係
IMDG Codeは、個品危険物を海上輸送する際の国際的な基準です。危険物の分類、包装、ラベル、マーキング、危険物申告書、コンテナへの積付、隔離、船上での積載方法などを定めています。
実務では、SDSに危険有害性が記載されているだけでは足りません。海上輸送上の危険物として、IMDG Code上どのUN番号・Class・Packing Groupに該当するかを確認する必要があります。
日本では、危険物の海上運送について、IMDG Codeなどの国際基準を踏まえ、船舶安全法に基づく危険物船舶運送及び貯蔵規則などで基準が定められています。したがって、輸出入実務では、国際基準と日本側の手続・確認をあわせて見る必要があります。
危険物判定で確認する主な項目
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| UN番号 | 危険物に付される国連番号です。危険物申告や船会社申請の基本情報になります。 |
| Proper Shipping Name | IMDG Code上の正式品名です。一般の商品名や商標名とは異なる場合があります。 |
| Class / Division | 爆発物、ガス、引火性液体、腐食性物質など、危険性の種類を示します。 |
| Packing Group | 危険性の程度に応じた包装等級です。I、II、IIIなどで示されます。 |
| Marine Pollutant | 海洋汚染物質に該当するかを確認します。 |
| Flash Point | 引火性液体などで確認される引火点です。 |
| 包装・容器 | UN容器、内装・外装、液体漏れ対策、重量制限などを確認します。 |
| 積付・隔離条件 | 他の危険物や通常貨物との混載可否、隔離条件、船上積付条件を確認します。 |
必要となる主な書類
危険物輸送では、通常貨物よりも多くの情報と書類が必要になります。代表的なものは、SDS、Dangerous Goods Declaration、Container Packing Certificate、危険物明細、船会社指定フォームなどです。
SDSは、成分、危険有害性、取扱い、応急措置、輸送上の注意などを確認するための資料です。実務では、SDSの輸送情報欄に記載されたUN番号、Proper Shipping Name、Class、Packing Group、Marine Pollutant該当性などを確認し、危険物申告書の内容と整合しているかを確認します。
Dangerous Goods Declarationは、危険物として船積みするための重要書類です。UN番号、Proper Shipping Name、Class、Packing Group、容器数、重量、Marine Pollutant該当性、緊急時情報などが正確に記載されている必要があります。
B/L・輸送書類との関係
危険物であることは、B/L、Sea Waybill、Arrival Notice、危険物申告書、SDSなどの書類全体と整合している必要があります。B/L上の品名が一般商品名だけで、危険物情報が別書類と食い違う場合、船会社や現地側で確認が入ることがあります。
また、危険物は輸送書類だけでなく、実貨物のラベル・マーキング、容器、コンテナ表示とも一致している必要があります。書類上は危険物として申告されていても、実貨物に必要な表示がない場合、船積や搬入が止まることがあります。
未申告・誤申告のリスク
危険物を通常貨物として申告した場合、船積前に発覚すれば船積拒否、ブッキング取消、保管料、再梱包費用、書類訂正費用などが発生することがあります。
船積後に未申告又は誤申告が判明した場合は、船会社、港湾、税関、関係当局による対応が必要となり、貨物の取卸し、隔離、廃棄、追加費用、他貨物への影響が問題になることがあります。
さらに、火災、爆発、漏洩、汚染などの事故が発生した場合、荷主や輸出者の申告責任、梱包責任、情報提供責任が問われる可能性があります。危険物であることを知らなかった、又はSDSを確認していなかったというだけでは、実務上の責任整理が難しくなる場合があります。
フォワーダー・通関実務での確認ポイント
- 貨物が危険物に該当する可能性があるかを、品名だけでなくSDSや成分情報から確認する。
- UN番号、Proper Shipping Name、Class、Packing Groupが明示されているか確認する。
- SDSの輸送情報欄と、危険物申告書の内容が一致しているか確認する。
- 船会社指定の危険物申請期限、カット日、承認条件を確認する。
- 危険物ラベル、マーキング、UN容器、梱包状態を確認する。
- LCL混載の場合、他貨物との混載可否やCFS側の受入条件を確認する。
- FCLの場合でも、コンテナ内の積付、固定、漏洩対策、Container Packing Certificateを確認する。
- 危険物に該当しないとされる場合でも、非該当根拠やSDSを記録として残す。
船会社・CFSで問題になりやすい場面
危険物は、船会社や航路によって受入可否が異なることがあります。同じUN番号でも、船会社、船型、寄港地、トランシップ港、積付場所、混載可否によって、受け付けられない場合があります。
LCL貨物では、CFS側が危険物の受入れを制限することがあります。他の貨物との混載、保管場所、作業員の安全、港湾規則、締切時間の関係で、通常貨物より早い搬入や別手配が必要になることがあります。
FCL貨物でも、コンテナ内の積付不良、ラベル不備、漏洩、容器損傷、危険物明細の不一致があると、港湾や船会社で止まることがあります。
貨物保険・事故対応との関係
危険物貨物で事故が発生した場合、通常貨物よりも原因調査、被害拡大防止、回収、廃棄、清掃、第三者損害、共同海損などの問題が大きくなることがあります。
未申告又は誤申告の危険物事故では、貨物保険の支払、運送人責任、荷主責任、求償関係にも影響する可能性があります。事故時には、SDS、危険物申告書、B/L、コンテナ積付記録、写真、サーベイレポート、船会社通知を早期に整理する必要があります。
まとめ
Dangerous Goodsは、通常貨物と同じ感覚で扱うことができない海上輸送上の重要貨物です。実務では、IMDG Codeに基づく分類、UN番号、SDS、危険物申告書、包装・表示、船会社承認、混載可否、事故時の責任整理を確認することが重要です。
