包括予定保険契約(オープンポリシー)実務解説

概要

包括予定保険契約(オープンポリシー:Open Policy)は、継続的に発生する輸出、輸入又は三国間取引の貨物について、対象貨物、輸送区間、保険条件、料率、保険金額の算定方法、契約上の限度額その他の基本条件をあらかじめ保険会社と取り決め、個々の輸送について確定通知(Declaration)を行う外航貨物海上保険の契約方式です。

継続的な輸送をすべて船積ごとの個別保険で処理すると、申込みの遅れ、付保漏れ、保険条件のばらつき、保険証明書発行の遅延等が生じやすくなります。包括予定保険契約では、あらかじめ協定した基本条件の下で日々の輸送を管理し、確定通知、保険証明書発行、保険料精算等を標準化できます。

ただし、包括予定保険契約は「契約を一度締結すれば、その後どのような貨物でも自動的・無条件に補償される制度」ではありません。対象貨物、対象地域、契約上の限度額、特殊貨物、通知条件、保険金額算定方法その他は、実際の契約内容によって異なります。

また、確定通知は個々の輸送を特定・計上する重要な手続ですが、確定通知を行った時点が保険責任の開始時点になるとは限りません。いつから担保が開始するか、確定通知をいつまでに行うべきか、通知漏れ又は遅延通知がどのように扱われるかは、包括予定保険契約、適用約款及び保険会社との取決めを確認して判断します。

本記事では、包括予定保険契約を単なる事務簡素化制度ではなく、船積情報、確定通知、保険金額L/C、保険証明書、月次精算、例外貨物及び事故対応を一体で管理する実務システムとして整理します。

本記事の固有担当範囲

項目 この記事で扱う内容 詳細を別記事・個別契約で確認する内容
包括予定保険契約 契約構造、利用場面、日常運用 保険会社ごとの商品・約款固有条件
確定通知 通知項目、時期、漏れ・訂正管理 通知漏れ時の具体的補償可否は実契約で確認
保険金額 CIFCIP、110%等の基本整理 詳細な料率・逆算式は「海上保険の保険料率と算定実務」で扱う
L/C UCP 600第28条と保険書類の基本要件 信用状全体の書類審査はL/C関連記事で扱う
保険証明書 Open Policyに基づく個別輸送の証明書管理 各保険会社固有の発行方法・様式
高額貨物 契約上の限度額と事前承認の確認 具体的な引受可否・追加保険料
特殊貨物 通常条件から外れる可能性のある貨物の識別 個別の特約・免責・料率
三国間取引 対象取引・輸送区間・保険利益等の確認 各国規制・個別売買契約
事故対応 確定通知確認、証拠保全、保険会社への通知 具体的な保険金支払可否・損害額算定

包括予定保険契約とは

包括予定保険契約では、将来継続的に発生する輸送について、あらかじめ保険会社と一定の引受条件を設定します。

一般に確認する基本条件には、次のような事項があります。

  • 対象となる貨物
  • 輸出・輸入・三国間取引等の対象取引
  • 対象となる輸送区間・地域
  • 適用するInstitute Cargo Clausesその他の保険条件
  • War Risks・Strikes Risksその他の追加条件
  • 料率又は料率設定方法
  • 保険金額の算定方法
  • 1輸送・1船舶・1保管場所等について設定される契約上の限度額
  • 特殊貨物・高額貨物についての事前承認条件
  • 確定通知の方法・時期
  • 保険証明書等の発行方法
  • 保険料の精算方法

個々の輸送が発生すると、契約者は確定通知等によって輸送内容を保険会社又は保険代理店へ通知します。

Open PolicyとOpen Coverの用語上の注意

日本の外航貨物海上保険実務では、「包括予定保険契約」をOpen Policyと呼ぶ例があります。

一方、国際的な保険・貿易金融実務ではOpen Coverという表現も広く使用され、UCP 600第28条も「declaration under an open cover」という表現を使用します。

Open PolicyとOpen Coverは実務上近接した意味で使用されることがありますが、法域、保険市場、保険会社及び契約文言によって契約構造や用語の使い方が同一とは限りません。

したがって、本記事では日本実務上の「包括予定保険契約」を中心にOpen Policyという表記を使用しますが、海外契約についてはOpen Coverという名称だけを見て日本の包括予定保険契約と完全に同一の契約と判断しません。

個別保険・予定保険・包括予定保険の違い

方式 主な利用場面 契約時の輸送情報 船積後の手続 主な注意点
個別保険 単発・個別輸送 原則として個々の輸送内容を確認して申込み その輸送について保険書類を管理 船積件数が多いと手配漏れ・事務負担が増える
予定保険 特定輸送が予定されているが数量・船名・保険金額等が未確定 一部未確定 内容確定後に確定通知 確定後の通知を忘れない
包括予定保険 長期・継続的な多数の輸送 基本条件を包括的に協定 各輸送をDeclaration等で通知 対象範囲・限度額・通知管理が重要
包括予定保険+Non-Policy方式 多数の継続輸出等で個別証券発行を省略する場合 Open Policyの基本条件を設定 契約方式に従って通知・計上 取引先・銀行等が保険証券省略を受け入れるか確認する

確定通知(Declaration)の役割

確定通知とは、包括予定保険契約の対象となる個々の輸送について、確定した輸送内容を保険会社又は保険代理店へ通知する手続です。

一般的な通知項目としては、次のようなものがあります。

  • 保険契約者・被保険者
  • 貨物名
  • 貨物数量・梱包数
  • Invoice No.
  • Invoice金額
  • 保険金額
  • 通貨
  • 船積日・輸送開始日
  • 船名又は輸送手段
  • B/L・Sea Waybill・Air Waybill等の番号
  • 積地・仕向地
  • Place of Receipt・Place of Delivery等
  • 取引条件
  • 必要に応じて特殊貨物・危険品等の情報

確定通知は、個々の輸送を契約上識別し、保険金額、保険料、保険証明書その他の処理へつなげる重要な管理手続です。

確定通知と保険責任開始時点を混同しない

包括予定保険契約について、「確定通知を送信するまで保険は存在せず、送信した瞬間から補償が開始する」と一律に説明するのは適切ではありません。

契約によっては、あらかじめ定められた対象輸送について一定の条件の下で危険開始時から担保され、確定通知はその輸送を後から個別に報告・計上する手続として機能する場合があります。

一方、一定の貨物、地域、高額輸送等について事前通知又は個別承認が条件とされている場合もあります。

したがって、次の事項を契約書・適用約款で確認します。

確認事項 確認する内容 誤認した場合のリスク 対応
担保開始 いつから保険責任が開始するか Declaration日時を開始日時と誤認 Transit Clauseその他の契約条件を確認する
通知期限 船積前、船積後、月次等の通知条件 遅延通知 契約上の期限を社内ルール化する
事前承認 高額・特殊・危険地域等 通常Declarationだけで処理する 出荷前に保険会社へ照会する
通知漏れ 漏れ発見時の取扱い 自動的に救済されると誤認 直ちに保険会社へ報告する

確定通知の実務フロー

  1. 売買契約・注文内容から、その輸送について保険手配主体を確認する。
  2. 当該輸送が包括予定保険契約の対象取引・対象貨物・対象地域に入るか確認する。
  3. 特殊貨物、高額貨物、危険品、温度管理貨物その他の例外条件に該当しないか確認する。
  4. Invoice、Booking、B/L Draft等から貨物・輸送情報を取得する。
  5. Incoterms及び売買条件を確認し、保険利益・保険手配範囲を整理する。
  6. 契約上の方式に従って保険金額を算定する。
  7. L/C取引の場合、信用状の保険書類条件を確認する。
  8. 契約所定の時期・方法に従って確定通知を行う。
  9. 必要な場合はCertificate of Insurance又はInsurance Policy等を発行する。
  10. 保険書類をInvoice、B/L、L/Cその他の書類と照合する。
  11. 確定通知番号・保険証明書番号等を船積台帳へ記録する。
  12. 月次で船積台帳と確定通知台帳を照合し、未通知・重複・取消漏れを確認する。
  13. 保険料請求・月次精算内容をDeclarationデータと突合する。

部門ごとの役割分担

関係者 主な役割 確認すべき事項 典型的なリスク 管理方法
営業・貿易担当 売買条件・取引情報を確定 Incoterms、価格、L/C 保険手配主体の誤認 受注時に保険区分を登録する
物流担当 船積・輸送情報を管理 出荷日、航路、B/L、貨物 Declaration漏れ 船積台帳と連動する
保険担当 確定通知・証明書・例外承認 保険条件、限度額、料率 特殊貨物を通常処理する 例外判定ルールを設ける
経理担当 保険料精算 月次保険料、通貨、訂正 二重計上・未計上 Declaration一覧と照合する
銀行 L/C書類審査 UCP 600・信用状条件 Discrepancy 船積前に要求書類を確認する
フォワーダー 委託された範囲で輸送情報・保険手配を補助 誰が保険を手配するか 荷主・フォワーダー双方が相手方手配と思い込む 見積・Booking時に責任分担を明示する
保険会社・保険代理店 引受、例外承認、証明書、事故対応 実契約・約款 情報不足による引受判断誤り 特殊案件を事前照会する

通知漏れ・通知誤り

包括予定保険契約で最も重要な管理リスクの一つが、確定通知の漏れ・遅延・誤りです。

通知漏れが後から判明しても、その貨物が当然に無保険になるとも、当然に救済されるとも一律にはいえません。

実際には、契約上のDeclaration Clauseその他の条件、対象貨物かどうか、通知義務の内容、漏れの原因、事故発生の有無、発見時期、過去の通知運用等を確認する必要があります。

事故後に通知漏れが判明した場合は、事故の存在を理由に通知内容を変更したり、通常の船積であるかのように遡って処理したりせず、漏れの事実と経緯を保険会社又は保険代理店へ速やかに報告します。

保険金額の設定

包括予定保険契約では、個々の輸送についてどのように保険金額を算定するかをあらかじめ定めておくことがあります。

外航貨物海上保険では、CIF又はCIP価額等を基礎として一定割合を加えた金額を保険金額とする方式が使用されることがあります。

CIF価額100,000米ドルについて契約上CIFの110%を保険金額とするのであれば、保険金額は110,000米ドルとなります。

ただし、「外航貨物海上保険なら常にCIF×110%でなければならない」という意味ではありません。実際の保険金額は売買条件、保険契約、L/C条件その他によって確認します。

保険価額と保険金額を区別する

項目 意味 実務での用途 注意点
Invoice Value 売買請求金額 商取引・L/C CIF価額と同一とは限らない
CIF / CIP Value 取引条件上の費用構成を反映した価額 保険金額算定・L/C FOB・CFR等では構成が異なる
保険価額 保険の対象について評価される経済的価値 損害・保険契約上の評価 保険金額と同義ではない
保険金額 個別輸送について契約上設定するSum Insured Certificate・保険料算定等 契約上の算定方式を確認する
契約上の限度額 1輸送等について包括契約が許容する最大額等 高額貨物の例外判定 保険金額と同じ意味とは限らない

UCP 600第28条と保険書類

L/C取引で保険書類が要求される場合、信用状がUCP 600に準拠していれば、第28条(Insurance Document and Coverage)が重要になります。

UCP 600第28条では、保険書類について、主に次の事項を確認します。

  • Insurance Policy、Certificate of Insurance又はDeclaration under an Open Cover等、信用状が認める保険書類であること
  • 保険書類が保険会社、Underwriter又はそのAgent・Proxyによって適切に発行・署名されていること
  • Cover Noteは受理されないこと
  • 信用状がCertificate又はDeclaration under an Open Coverを要求している場合、Insurance Policyの提示が認められること
  • 保険書類の日付が船積日より後でないこと、又は船積日より後の日付であっても、その保険書類自体から担保が船積日以前から有効であることが確認できること
  • 保険金額が信用状と同一通貨で表示されていること
  • 信用状が必要保険金額を指定していない場合、原則としてCIF又はCIP価額の少なくとも110%を必要保険金額とすること
  • 信用状が要求する輸送区間及び担保危険を満たしていること

したがって、「保険証明書の発行日がB/L日付より後なら必ずDiscrepancy」という説明も正確ではありません。

保険書類の日付が船積後であっても、その保険書類から保険担保が船積日以前又は船積日から有効であることが明確に確認できれば、UCP 600第28条上の取扱いは異なります。

UCP 600の110%と通常のCIF×110%を混同しない

UCP 600第28条の「110%」は、すべての外航貨物海上保険契約について強制的に保険金額を110%とする一般保険法上の規則ではありません。

信用状が必要な保険金額を指定していない場合に、銀行が保険書類を審査する際のUCP上の基準です。

一方、包括予定保険契約自体でも、CIF又はCIP価額の110%等を保険金額算定方式として協定することがあります。

さらにCIF・CIPの売買条件にも保険手配義務があります。

この三つは関係しますが、法的・契約的な根拠が異なります。

110%が問題になる場面 根拠 主な目的 注意点
Open Policyの保険金額 包括予定保険契約 各輸送のSum Insured設定 契約で別方式もあり得る
CIF・CIP売買 売買契約・Incoterms等 売主の保険手配義務 CIFとCIPでは求められる標準担保条件も同一ではない
L/C書類審査 信用状・UCP 600第28条 銀行が保険書類の金額適合性を審査 信用状に金額指定があればその条件を先に確認する

L/C取引で確定通知を遅らせない

包括予定保険契約上は船積後の確定通知が認められる運用であっても、L/CでInsurance Certificate等の提示が必要な場合には、銀行提出用書類を適時作成できるかという別の問題があります。

したがって、L/C案件では「包括予定保険契約上いつまで通知できるか」だけでなく、「いつまでに信用状条件を満たす保険書類を取得する必要があるか」を逆算します。

特に、保険書類の日付、担保開始、通貨、Sum Insured、Institute Cargo Clauses、War Risks、Strikes Risks、被保険者又は裏書その他を船積前に確認することが重要です。

ISBP 821との関係

ISBP 821(International Standard Banking Practice 2023 edition)は、UCP 600に基づいて銀行が提出書類をどのように審査するかについて、より具体的な実務を整理するICCの国際標準銀行実務です。

保険書類についても、UCP 600第28条の適用、発行者、署名、Original、日付、保険金額、担保割合、担保危険、被保険者、裏書、保険料等が整理されています。

そのため、L/C案件では、信用状条件だけ、又はUCP 600第28条だけを見るのではなく、信用状条件、UCP 600、ISBP 821を組み合わせて確認することが重要です。

保険証明書(Certificate of Insurance)

包括予定保険契約では、個々の輸送についてCertificate of Insurance等が発行されることがあります。

保険証明書は、包括予定保険契約の存在そのものを説明するだけでなく、特定の輸送について貨物、輸送区間、保険金額、保険条件等を示す書類として使用されます。

確認項目には次のようなものがあります。

  • Insured又はAssured
  • 貨物名
  • Invoice No.
  • B/L等の輸送情報
  • Voyage又はTransit
  • Sum Insured
  • Currency
  • Institute Cargo Clauses
  • War / Strikes等の追加条件
  • Certificate No.
  • Issue Date
  • 必要なEndorsement

L/Cに使用する場合には、Open Policy上正しく付保されているだけでは足りず、銀行へ提示する保険書類自体が信用状条件に適合している必要があります。

月締め精算と一括通知

包括予定保険契約では、複数の輸送を月次等でまとめて計上・精算する方式が採用される場合があります。

ただし、「月締めだから1か月間は何も管理しなくてよい」という意味ではありません。

社内では日々の船積を記録し、月次で次の項目を照合します。

  • 出荷件数
  • Declaration件数
  • Invoice No.
  • B/L等の輸送番号
  • 貨物価額
  • Sum Insured
  • Currency
  • Rate
  • 訂正・取消
  • 例外貨物の個別承認

月次一括通知又は一括計上方式を利用できるかどうかも、保険会社・契約方式ごとに確認します。

高額貨物と契約上の限度額

包括予定保険契約では、1輸送、1船舶、1航空機、1保管場所その他について契約上の限度額が設定されている場合があります。

通常のDeclarationを行っただけでは、その限度額を超える部分まで当然に通常条件で引き受けられるとは限りません。

高額貨物では、出荷前に次の事項を確認します。

  • 貨物総額
  • Sum Insured
  • 契約上の限度額
  • 同一船舶・同一便への集積額
  • 梱包・輸送方法
  • 積替え
  • 特殊貨物条件
  • 事前承認の要否
  • 追加保険料・特別条件の有無

特殊貨物・例外貨物

包括予定保険契約には対象貨物の範囲が定められています。

中古機械、美術品、展示品、貴金属、温度管理貨物、医薬品、危険品、生動物その他について、通常貨物とは異なる取扱いとなる場合があります。

重要なのは、一般論として「この貨物はOpen Policyで絶対に対象外」と決めることではなく、自社の包括予定保険契約でその貨物が通常対象、条件付対象、事前承認対象又は対象外のどれに分類されているかを確認することです。

輸出・輸入・三国間取引

取引 主な確認事項 Declarationで重要な情報 注意点
輸出 売買条件、L/C、保険手配義務 Invoice、航路、Sum Insured、Certificate L/C保険書類条件を早期確認
輸入 輸入者が保険を手配する取引か 仕入価格、Freight、Transit、Currency 通関時の保険料資料との整合
三国間取引 契約対象性、リスク負担、保険利益 海外積地・揚地、売買契約、Invoice 日本を通らないことだけで対象・対象外を決めない
海外子会社間輸送 誰が保険契約者・被保険者となるか 各法人、貨物移動、取引関係 グループ会社だから自動的に対象とは限らない

フォワーダーとの責任分担

荷主が包括予定保険契約を締結しているからといって、フォワーダーが自動的に確定通知義務を負うわけではありません。

反対に、フォワーダーへ保険手配を具体的に依頼している場合には、その委託範囲に応じて、保険申込み、Declaration情報の提供、Certificate発行依頼等をフォワーダーが補助する場合があります。

最も危険なのは、荷主が「フォワーダーが保険を手配すると思っていた」、フォワーダーが「荷主のOpen Policyで付保すると思っていた」という相互認識のずれです。

見積、Booking又はShipping Instructionの段階で、誰がMarine Cargo Insuranceを手配するのかを明確にします。

通関実務との関係

輸入取引では、保険料が課税価格算定資料の一部として問題となる場合があります。

包括予定保険契約を利用していることだけで、輸入通関上の保険料確認が不要になるわけではありません。

包括保険扱いその他の簡略方式を利用する場合も、適用要件と税関への手続を確認します。

貿易実務上は、Invoice Value、Freight、Insurance、Incoterms及び税関申告価格を混同しないようにします。

事故発生時の確認手順

  1. 損害拡大防止と安全確保を行う。
  2. 事故日時、場所、貨物状態を写真・動画等で記録する。
  3. 当該輸送が包括予定保険契約の対象取引か確認する。
  4. Declaration済みか、通知内容に誤りがないか確認する。
  5. 通知漏れが判明しても、自己判断で遡及登録せず保険会社・保険代理店へ連絡する。
  6. Certificate of Insurance、Invoice、B/L等を確認する。
  7. 適用するInstitute Cargo Clausesその他の条件を確認する。
  8. Surveyが必要か保険会社と調整する。
  9. 運送人その他の責任者へClaim Noticeを行い、求償権を保全する。
  10. 損害額、修理費、残存価値等の資料を収集する。
  11. 保険金請求とCarrier等への求償を別々に管理する。

実務で確認する主な書類

資料 主な確認事項 日常管理での役割 事故時の役割
包括予定保険契約書 対象貨物、地域、条件、限度額 運用ルールの基礎 担保対象性の確認
適用約款・特別約款 担保危険、免責、通知等 例外判定 補償判断
料率表 貨物・航路別Rate 保険料計算 計上内容確認
Declaration 個別輸送内容 付保管理 当該輸送の通知状況確認
Certificate of Insurance Sum Insured、Currency、Conditions L/C・取引先提出 保険内容確認
Invoice 貨物・価額・通貨 Sum Insured算定 損害額資料
B/L・Sea Waybill・AWB 輸送区間・日付・Carrier Declaration基礎資料 事故区間・求償
L/C 保険書類要求 Certificate作成 銀行Discrepancy確認
船積台帳 全出荷 Declaration漏れ防止 通知履歴確認
Survey Report 原因・損害状態 通常使用しない 保険金請求・求償

実務で問題になりやすいケース

ケース 主な問題 確認事項 対応
Declaration漏れ 当該輸送の取扱い 契約条件、対象性、漏れ原因、事故有無 発見後直ちに保険会社へ報告する
Declaration遅延 通知期限とL/C書類日付 Open Policy条件、UCP 600 保険契約とL/Cを別々に確認する
高額貨物 契約限度額超過 Sum Insured、集積額、事前承認 出荷前に個別照会する
特殊貨物 通常料率・条件の適用可否 貨物条件、特約 通常Declaration前に確認する
L/C Certificate 銀行Discrepancy Currency、Amount、Date、Coverage 船積前にL/Cと照合する
三国間取引 包括契約対象性 契約地域、売買条件、保険利益 開始前に保険会社へ確認する
荷主とフォワーダーの認識違い 保険未手配 見積、Booking、依頼内容 保険手配主体を書面化する
月次一括通知の照合漏れ 未通知・重複通知 船積台帳、Declaration一覧 月次突合を実施する

具体例1:L/C案件で保険証明書の日付が問題になった場合

以下は実務判断を説明するための想定例です。

名古屋港からハンブルク港へ輸出する自動車部品、Invoice価格3,600万円について、CIF条件・L/C決済で取引したとします。

L/Cは、保険書類についてInstitute Cargo Clauses (A)、Institute War Clauses及びInstitute Strikes Clausesを要求していました。

輸出者は包括予定保険契約を持っていましたが、B/L等の船積書類が揃ってからDeclarationを行おうと考え、船積日の2日後に確定通知を行いました。

発行されたCertificate of Insuranceの日付も船積日の2日後であり、かつそのCertificate上には担保が船積日以前又は船積日から有効であることを確認できる記載がありませんでした。

買取銀行はUCP 600第28条との関係でDiscrepancyを指摘しました。

輸出者は「Open Policy自体は船積前から存在しており、実質的には保険が付いている」と主張しました。

銀行側は、実際の保険契約上の補償問題ではなく、提示された保険書類がUCP 600及び信用状条件に適合しているかを審査していると回答しました。

このケースの重要点は、Open Policy上の担保成立と、銀行へ提示するInsurance Documentの適合性は別問題であることです。

具体例2:確定通知漏れが事故後に発見された場合

上海から横浜へ輸入する電子部品、貨物価額4,200万円について、輸入者は年間の包括予定保険契約を締結していたとします。

横浜到着時に貨物へ1,200万円の濡損が発見されました。

事故通知のため保険台帳を確認すると、この船積だけDeclarationが行われていませんでした。

輸入者は「年間Open Policyを締結しているので、単なる事務上の通知漏れなら当然補償されるはずだ」と主張しました。

保険会社は、当該貨物が包括契約の対象であるか、Declaration Clauseの内容、通知漏れの原因、通常の通知管理状況、事故発生時点等を確認する必要があると回答しました。

この段階で重要なのは、企業側が事故発生後に通常通知のように処理して事実関係を不明確にするのではなく、通知漏れが判明した日時・原因を含めてそのまま保険会社へ報告することです。

具体例3:高額貨物が契約上の限度額を超えた場合

神戸港からヒューストン港へ輸出する半導体製造装置について、Sum Insuredが1億8,000万円だったとします。

包括予定保険契約では、通常貨物について1輸送当たり1億円を基準とする契約上の限度額が設定され、それを超える輸送は事前照会を必要としていました。

物流担当者は「Open PolicyなのでDeclarationへ1億8,000万円と入力すれば自動的に全額付保される」と考えて通常処理しました。

保険担当者が船積直前に気付き、保険会社へ確認したところ、保険会社は貨物価額、梱包、輸送方法、積替え等を確認して個別引受判断を行う必要があると回答しました。

物流部門は「契約対象の機械類である以上、通常条件で処理すべき」と主張しましたが、保険会社側は、対象貨物であることと契約限度額以内であることは別の条件であると説明しました。

具体例4:三国間取引がOpen Policyの対象か争われた場合

日本の商社が韓国のメーカーからインドネシアの買主へ直接出荷する機械部品60万米ドルの三国間取引を開始したとします。

貨物はBusanからJakartaへ直送され、日本国内を通過しません。

営業部門は「日本企業が売主なので、従来の輸出Open Policyで当然に付保される」と考えました。

保険担当者は、既存契約の対象地域・対象取引が日本発輸出を中心に定義されており、三国間取引について別途取決めが必要か保険会社へ照会しました。

営業部門は「貨物が日本を通らないだけで取引自体は当社の売上だ」と主張しましたが、保険会社側は、売上計上の問題とOpen Policyの契約対象範囲は別に判断する必要があると回答しました。

このケースでは、輸送開始前に、契約対象地域、売買条件、リスク負担、保険利益、Certificateの被保険者等を確認します。

具体例5:中古機械を通常貨物として通知した場合

大阪港からシンガポール港へ輸出する中古工作機械、Invoice価格5,500万円について、物流担当者が通常の「Machinery」としてDeclarationを行ったとします。

その後、保険担当者が契約条件を確認すると、中古機械については通常の新品機械とは異なり、個別照会又は特別条件の確認を必要とする取扱いになっていました。

営業部門は「貨物分類は機械なので、通常のMachinery Rateを適用すればよい」と主張しました。

保険会社側は、中古機械では既存損傷、梱包、整備状態、事故前状態等について新品とは異なる評価が必要となるため、通常Declarationだけでは処理できない契約になっていると説明しました。

このケースの重要点は、Declaration画面で入力できる貨物名と、保険契約上通常条件で引き受けられる貨物範囲は必ずしも同じではないことです。

よくある誤解

誤解 実際の考え方 実務上の注意点
Open Policyがあれば全貨物が自動的に無条件で担保される 対象貨物、地域、限度額、特殊条件等を確認する必要がある 例外貨物判定を設ける
Declarationを送信した瞬間から保険が開始する 担保開始時点とDeclaration日時は必ずしも一致しない 契約・Transit Clause等を確認する
Declaration漏れは必ず後日救済される 契約条件と事実関係によって判断される 自己判断せず速やかに報告する
Open Policyなら保険金額は必ずCIF×110%である 算定方式は契約条件による UCPの110%とも区別する
UCP 600では全保険契約を110%で付保しなければならない 第28条の110%は信用状上必要保険金額の指定がない場合の書類審査基準である 信用状条件を先に確認する
保険証明書の日付が船積日後なら必ずDiscrepancyである 書類上、担保が船積日以前から有効であることを確認できる場合は扱いが異なる Issue DateとEffective Coverageを確認する
Cover NoteをInsurance Certificateの代わりに銀行へ提出できる UCP 600第28条ではCover Noteは受理されない 要求された保険書類を用意する
Open PolicyとOpen Coverは世界中で完全に同じ契約である 市場・法域・契約によって用語と仕組みが異なり得る 実際の契約文言を確認する
月次一括通知なら日々の船積管理は不要である 月末に全輸送を照合するため日々の台帳管理が必要である 船積台帳とDeclarationを突合する
荷主にOpen Policyがあればフォワーダーは保険について何も確認しなくてよい 保険手配主体の認識違いを防ぐ必要がある Booking時に保険手配の有無を明確にする

判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
売買契約締結時 営業・貿易担当 Incoterms、保険手配主体 誰が保険を手配するか明文化する
新規貨物受託時 保険担当・保険代理店 Open Policy対象貨物か 対象外・不明なら事前照会する
高額輸送判明時 保険会社 Sum Insured、契約限度額 船積前に個別承認を得る
三国間取引開始時 保険会社・貿易担当 対象地域、リスク負担、保険利益 契約範囲を事前確認する
L/C受領時 銀行・保険代理店 保険金額、Currency、Conditions、Date 船積前にCertificate発行可否を確認する
Declaration時 物流・保険担当 Invoice、B/L、貨物、Sum Insured 不一致を訂正してから確定する
Certificate発行時 保険代理店 L/C、UCP 600第28条、ISBP 821 銀行提示前に再確認する
月次締め時 物流・経理・保険担当 全船積と全Declaration 未通知・重複・取消漏れを修正する
通知漏れ発見時 保険会社・保険代理店 漏れ原因、発見日時、事故有無 自己判断で遡及処理せず直ちに報告する
事故発生時 保険会社・Surveyor Declaration、保険条件、損害資料 証拠保全と事故通知を行う
Carrier Claim時 Carrier・海事弁護士 Claim期限、責任、証拠 保険請求と求償を並行管理する
契約解釈が争われる場合 保険会社・海事弁護士 Declaration Clause、担保開始、限度額 約款と事実関係を基に判断する

海事弁護士へ相談すべき場面

  • 事故後にDeclaration漏れが判明し、保険会社と担保の有無について見解が分かれている場合
  • Declaration義務違反が保険金支払へどのような効果を持つか争われている場合
  • Open Policyの担保開始時点・終了時点について争いがある場合
  • 高額貨物について契約限度額を超える部分の担保が争われている場合
  • 特殊貨物が通常の対象貨物に含まれるか契約解釈上問題となる場合
  • 三国間取引で保険利益、被保険者又は準拠法が問題となる場合
  • 荷主とフォワーダーの間で「誰が保険を手配する契約だったか」が争われている場合
  • L/CのDiscrepancyが高額な代金回収問題へ発展した場合
  • 保険金支払後のCarrier等へのSubrogated Recoveryが高額となる場合
  • 海外のOpen Coverと日本のOpen Policyの契約構造が異なり、適用関係が問題となる場合

まとめ

包括予定保険契約(Open Policy)は、継続的に発生する輸出・輸入・三国間取引について、基本的な引受条件を事前に取り決め、個々の輸送をDeclaration等によって管理する外航貨物海上保険の重要な契約方式です。

その利点は、単なる手続の省略ではありません。付保漏れ防止、条件の標準化、Certificate発行、L/C対応、月次精算及び事故時の付保確認までを一つの管理体系として運用できる点にあります。

一方、Open Policyがあるからといって、すべての貨物が無条件に自動担保されるわけではありません。対象貨物、対象地域、契約上の限度額、特殊貨物、確定通知条件及び個別承認条件を確認します。

また、確定通知は個々の輸送を特定する重要な手続ですが、Declaration日時と保険責任開始日時を当然に同一視してはいけません。通知漏れ・遅延通知の効果についても、実際の包括予定保険契約及び適用約款によって判断します。

L/C取引では、Open Policy上適切に担保されていることと、銀行へ提示するInsurance Documentが適合していることは別問題です。信用状条件、UCP 600第28条及びISBP 821を確認し、保険金額、通貨、日付、担保期間、担保危険及び書類種類を照合します。

包括予定保険契約の実務で最も重要なのは、営業・貿易・物流・保険・経理の各部門が同じ船積情報を共有し、「全船積」と「全Declaration」を継続的に照合できる管理体制を構築することです。

同義語・別表記

  • 包括予定保険契約
  • オープンポリシー
  • Open Policy
  • Open Cover
  • O/P
  • 包括保険
  • 貨物海上保険包括契約
  • 確定通知
  • Declaration

関連用語

公式情報