貨物価額申告書とは
概要
貨物価額申告書とは、共同海損が宣言された場合に、荷主が自らの貨物価額を共同海損精算人へ申告する書類です。
英語ではValuation Form、Cargo Valuation Formなどと呼ばれます。
共同海損では、救われた船舶、貨物、運賃などの価額に応じて共同海損分担金が計算されます。そのため、貨物価額申告書は、荷主側の貨物がどの価額で分担計算に参加するかを示す重要書類です。
貨物価額申告書の役割
貨物価額申告書の役割は、共同海損分担金を計算するための貨物価額を共同海損精算人に示すことにあります。
共同海損の精算は、多くの場合、York-Antwerp Rules(ヨーク・アントワープ規則)に基づいて行われます。B/L約款に適用版が明記されていることがあり、どの規則に基づくかによって、共同海損として認められる費用や負担価額の考え方に影響することがあります。
共同海損分担金は、単に貨物の数量や重量で決まるものではなく、救われた貨物の価額を基礎として按分されます。
そのため、Invoice価額、運賃、保険料、建値条件、貨物損害の有無などを確認し、共同海損精算人が負担価額を計算できるように申告します。
共同海損盟約書との違い
貨物価額申告書と共同海損盟約書は、同じ共同海損手続きで提出されることがありますが、役割は異なります。
- 共同海損盟約書:荷主が共同海損分担金の支払いに応じることを約束する書類
- 貨物価額申告書:荷主が貨物価額を申告する書類
- 共同海損保証状:保険会社が共同海損分担金の支払いを保証する書類
つまり、共同海損盟約書は誓約、貨物価額申告書は価額申告、共同海損保証状は支払保証という関係になります。
申告する価額の考え方
貨物価額申告書では、通常、Invoice価額を基礎に貨物価額を整理します。
ただし、共同海損分担金の計算では、貨物の到着時価額を基礎に考えるため、CIF価額が基礎とされることが多くあります。FOB建てやCFR建ての場合に運賃・保険料を加算するのは、CIF価額に近づけるための調整です。
- CIF建て:Invoice価額を基礎にしやすい
- FOB建て:運賃と保険料を加算して確認することがある
- CFR建て:保険料を加算して確認することがある
- 着払運賃の場合:運賃の扱いを別途確認することがある
建値条件、運賃負担、保険料、貨物損害の有無によって、申告価額や精算上の負担価額が変わることがあります。
記入時の注意点
貨物価額申告書を記入する際には、次の点を確認する必要があります。
- 本船名、航海番号、B/L番号が正しいか
- Invoice番号、貨物明細、数量が一致しているか
- 建値条件がCIF、CFR、FOBなどのどれか
- 運賃や保険料を加算する必要があるか
- 貨物損害の有無をどう記載するか
- 提出期限が指定されているか
- 共同海損盟約書や保証状と一緒に提出する必要があるか
誤った価額を申告すると、共同海損分担金の計算に影響する可能性があります。特にFOB建てやCFR建ての場合は、運賃・保険料の扱いを確認することが重要です。
貨物損害がある場合と未確定の場合
共同海損事故の後、貨物に損害が発見された場合には、貨物価額申告書の提出だけでなく、貨物の到着時状態や損害額の確認も重要になります。
貨物に損害がある場合、その損害が共同海損上の犠牲損害なのか、単独海損なのか、または共同海損とは無関係の損害なのかを整理する必要があります。
この確認には、Survey Report、写真、検品記録、損害額資料、保険会社への事故通知などが関係します。
貨物価額申告書を提出する時点では、貨物損害の有無や損害額がまだ確定していないことがあります。その場合、まずは共同海損精算人の案内に従って必要事項を記載し、後日、貨物損害が確定した段階で保険会社や共同海損精算人へ追加情報を連絡することがあります。
貨物損害の有無は、共同海損分担金の計算や、犠牲損害としての回収可否に影響するため、貨物引渡し後の確認も重要です。
貨物保険との関係
貨物保険に加入している場合、保険会社は共同海損保証状を発行し、後日確定する共同海損分担金に対応することがあります。
一方で、貨物価額申告書は荷主側が貨物価額を申告する書類であり、Invoice、B/L、保険証券、運賃資料などとの整合が必要です。
保険会社が共同海損精算人に貨物損害額や保険金支払状況を連絡することもあるため、荷主は保険会社と連携しながら申告内容を整理する必要があります。
フォワーダー・荷主実務上の注意点
フォワーダーやNVOCCは、共同海損宣言を受けた場合、荷主に対して貨物価額申告書の意味、必要資料、提出期限を早めに案内する必要があります。
荷主がInvoiceだけを提出すれば足りると誤解している場合でも、建値条件によっては運賃や保険料の資料が必要になることがあります。
また、B/L上のConsignee、実際の貨物権利者、輸入者、保険証券上の被保険者が異なる場合は、誰が貨物価額申告書を作成・提出するのかを確認しておく必要があります。
実務上確認すべき資料
- 共同海損宣言状
- 貨物価額申告書フォーム
- B/Lおよび裏面約款
- Invoice
- Packing List
- Freight Invoice
- 保険証券または保険付保証明
- 共同海損盟約書
- 共同海損保証状
- Survey Report
- 貨物損害額資料
まとめ
貨物価額申告書とは、共同海損分担金を計算するために、荷主が自らの貨物価額を共同海損精算人へ申告する書類です。
共同海損盟約書が荷主の誓約書であり、共同海損保証状が保険会社の支払保証であるのに対し、貨物価額申告書は分担金計算の基礎となる価額申告書です。
Invoice価額だけでなく、建値条件、運賃、保険料、貨物損害の有無によって申告内容が変わることがあります。共同海損宣言を受けた場合は、B/L、Invoice、保険証券、運賃資料を確認し、保険会社や共同海損精算人と連携して対応することが重要です。
同義語・別表記
関連用語
公式情報
- 公式ホームページ: https://marineinsurance.jp/
