輸入貨物の時間指定納品

Time-Specified Delivery of Imported Cargo

輸入貨物の時間指定納品

輸入貨物の時間指定納品とは、納品先が指定した時刻又は時間帯に合わせて、輸入貨物を国内配送することをいいます。

物流センターの入庫枠、工場の荷受時間、店舗の搬入時間、建設現場の工程、展示会場の搬入枠等に合わせて、午前指定、午後指定、時間帯指定、ジャスト便又は受付締切指定が求められることがあります。

輸入貨物では、貨物が日本へ到着していることと、指定時間に配送できることは同じではありません。通関許可、D/O関連手続、搬出依頼、CFS・CY・保税倉庫からの出庫、車両手配、積込み、道路事情及び納品先の受入準備がすべて接続して、初めて時間指定納品が成立します。

重要なのは、「何時に届けるか」だけを確認するのではなく、その時刻に納品するために、通関、搬出、積込み及び出発をいつまでに完了させる必要があるかを逆算することです。

履行可能性を確認せずに厳しい時間指定を確約すると、遅着、早着待機、受付拒否、待機料、持ち戻り、再配達、前日搬出費用及び専用車費用等の問題につながります。

この記事で扱う範囲

項目 この記事で扱う内容 他記事で扱う内容
時間指定の種類 午前指定、午後指定、時間帯指定、ジャスト便、予約制及び受付締切指定 納品予約の取得方法は輸入貨物の納品予約で扱う
履行可能性 通関、搬出、車両、道路事情及び受入条件から指定時間に間に合うかを判断する 通関申告又は許可手続そのものの詳細は各専門記事で扱う
逆算工程 指定時刻から受付、走行、積込み、搬出及び通関の期限を逆算する 港湾・倉庫ごとの具体的な受付時間は個別確認を要する
早着 指定時間前に到着した場合の受付、待機場所及び待機料判断 待機料の具体的算定は輸入貨物の国内配送で発生する待機料で扱う
遅着 指定時間に遅れる場合の連絡、受入可否、持ち戻り及び再配達判断 持ち戻り後の処理は輸入貨物の納品不能・持ち戻りで扱う
納品完了時間 到着だけでなく、受付、荷降ろし及び受領確認までに必要な時間 受領記録の詳細は輸入貨物納品時の受領確認で扱う
荷役条件 指定時間に使用できる設備、作業員、バース及び受取人の確認 設備不足は輸入貨物納品時のフォークリフト未手配で扱う
前日対応 前日搬出、前日保管、積置き及び翌朝専用配送の判断 保管条件又は倉庫契約の詳細は個別に確認する
追加費用 時間指定、専用車、時間外配送、待機、持ち戻り、保管及び再配達費用 配送会社ごとの具体的料金表は扱わない
費用負担 指定条件、遅延原因、事前説明、契約及び記録に基づく整理 個別紛争の最終的な法的責任は契約及び適用法令により判断する

時間指定の主な種類

指定方式 意味 履行上の特徴 実務上の注意点
午前指定 午前中の一定時刻までに納品する 当日搬出では時間的余裕が少ない 前日搬出、前日保管又は早朝出発が必要になる場合がある
午後指定 午後の受付時間帯に納品する 午前中に搬出できれば対応しやすい 通関又は搬出が遅れると受付締切に間に合わない
時間帯指定 10時から12時等の一定幅で納品する 指定幅が狭いほど運行余裕が少ない 道路事情及び搬出遅延を吸収できる幅か確認する
ジャスト便 特定時刻又は極めて短い枠に合わせる 専用車と厳格な逆算管理を要する 前日搬出、待機、時間外対応等が必要になる場合がある
納品予約制 納品先の予約システム又は受付枠に合わせる 時間だけでなく予約番号やバースが必要となる 予約変更、受付締切及び遅着時の扱いを確認する
受付締切指定 一定時刻までに受付手続を完了させる 施設到着だけでは条件を満たさないことがある 守衛所、受付列及び書類確認時間を見込む
希望時間 可能な範囲で希望時間へ近づける 必着条件より調整余地がある 前後する可能性と連絡基準を事前に説明する

「午前中」又は「10時納品」と記載されていても、それが必着条件なのか、努力目標なのか、到着時刻を指すのか、受付完了時刻を指すのかによって実務上の意味が異なります。

輸入貨物と国内一般貨物の違い

区分 配送を開始できる前提 時間が変動する主な要因 時間指定上の注意点
国内一般貨物 出荷元に在庫があり出荷可能であること 出荷作業、車両手配、道路事情 出荷元の確定時刻を基準に配送を組みやすい
輸入貨物 通関許可、引渡手続及び実際の搬出準備が完了していること 通関、書類、搬出、車両及び倉庫受付 日本到着だけでは配送可能時刻を確定できない
CFS貨物 デバン、仕分け、貨物確認及び搬出準備が完了していること デバン進捗、貨物所在、ダメージ確認、受付混雑 搬出可能時刻が確定するまで短時間枠を確約しにくい
CY貨物 コンテナ引取り条件及びドレー手配が整っていること ゲート予約、ヤード混雑、ドレー車両、コンテナ状態 港湾混雑及びコンテナ関連期限も考慮する
保税倉庫出庫貨物 出庫指示、必要書類、倉庫作業及び受付条件が整っていること 出庫締切、書類照合、作業順、貨物準備 許可後も即時出庫できるとは限らない

指定時刻から逆算する工程

時間指定納品では、納品時刻から各工程の締切を逆算します。逆算は、最短所要時間ではなく、受付、混雑、荷役及び異常時の余裕を含めて行います。

工程 確認する時刻・所要時間 遅延要因 指定時間への影響
受領確認 POD取得及び車両退出までの時間 受取人不在、記録不備、検品待ち 次便又は車両拘束へ影響する
荷降ろし 荷役開始から完了までの時間 設備不足、作業員不在、貨物条件相違 到着しても指定枠内に完了できない
受付 入場、守衛所、書類照合及びバース移動時間 受付列、番号不足、構内ルール 受付締切を超える可能性がある
道路走行 搬出場所から納品先までの所要時間 渋滞、事故、規制、天候、休憩 短い時間枠ほど遅着リスクが高い
積込み 車両受付から積込み完了までの時間 車両列、荷役待ち、貨物状態確認 出発時刻が遅れる
搬出受付 CFS、CY又は倉庫の受付開始から作業開始まで 書類不足、受付混雑、予約不一致 当日搬出予定がずれる
貨物準備 出庫、仕分け、デバン及び貨物確認の完了時刻 作業遅延、貨物所在、損傷確認 車両を手配しても積めない
通関・引渡手続 輸入許可及び搬出に必要な手続の完了見込み 審査、検査、書類不備、D/O関連手続 国内配送を開始できない

時間指定を受ける前の4点判断

判断軸 確認事項 確約を検討できる状態 条件変更を検討すべき状態
通関・搬出 指定時刻から逆算した搬出時刻までに貨物を出せるか 許可と搬出準備が確定又は十分に見込める 許可時刻又は出庫時刻が未確定
車両 必要な車種と運行時間を確保できるか 指定条件に適合する車両を確保済み 混載便しかなく時間保証が困難
道路・距離 渋滞、規制、休憩及び予備時間を含めて到着できるか 通常変動を含めても時間幅に収まる 最短時間でなければ間に合わない
受入準備 受付、バース、設備、作業員及び受取人が指定時間に整うか 予約と受入条件が具体的に確認済み 「受取可能」とだけ回答され詳細が不明

4点のいずれかを確認できない場合は、指定時間を確約せず、時間幅の拡大、翌日配送、前日搬出、適切な保管、専用車又は早朝配送等を検討します。

時間指定納品で確認すべき基本事項

確認項目 確認内容 確認する理由 確認不足で起きる問題
指定時間の性質 必着、希望、予約枠又は受付締切のいずれか 履行義務と調整余地を明確にするため 遅れた場合の扱いが当事者間で異なる
時間帯の幅 午前、2時間枠、1時間枠又は特定時刻 運行上の余裕を判断するため 通常車両では対応できない条件を受ける
通関許可見込み 申告、審査、検査及び許可予定 配送開始可能時刻を判断するため 許可遅延で指定時間に間に合わない
搬出可能時刻 実際に貨物を積み込める時刻 通関許可後の残作業を把握するため 許可時刻だけで配送予定を組む
車両確保 車種、専用・混載、運行開始時刻 指定時間への対応能力を確認するため 車両を確保できず配送開始が遅れる
配送距離 通常所要時間、渋滞区間、休憩及び規制 現実的な出発時刻を決めるため 最短所要時間だけで計画する
受付条件 予約番号、受付場所、締切、バース 到着後に受付できるか確認するため 現地到着後に受付拒否される
荷降ろし条件 設備、作業員、貨物形態及び作業時間 納品完了までの時間を見込むため 到着後に荷降ろしできず待機する
早着時の扱い 受付可否、待機場所、待機料 余裕を持った運行が追加費用へつながるため 指定時間まで危険な場所で待機する
遅着時の扱い 連絡先、受入可否、持ち戻り基準 遅延発生時の判断を早めるため 連絡が遅れ、当日受入の機会を失う

早着と遅着の扱い

状態 典型的な原因 費用・責任判断のポイント 実務対応
配送会社都合の早着 配車又は前便との関係で早く到着した 指定時間前の待機を顧客へ転嫁できるとは限らない 安全な待機場所と受付開始時刻を確認する
渋滞回避のための早着 遅着回避のため余裕を持って運行した 時間指定の厳しさと待機前提の合意を確認する 待機条件を事前に見積りへ反映する
納品先が早着受付不可 予約枠又は作業順が固定されている 受付不可条件が事前共有されていたか 施設外の安全な待機場所を確認する
搬出遅延による遅着 CFS、CY又は倉庫での出庫遅れ 搬出可能時刻の確認と変更連絡の時点を確認する 遅延判明時点で納品先へ連絡する
道路事情による遅着 渋滞、事故、規制又は天候 通常予見できる変動を計画へ織り込んでいたか 到着見込みを更新し、受入可否を確認する
配送会社都合の遅着 出発遅れ、配車不備又は前便遅延 運行計画と専用車条件を確認する 代替車両又は配送順変更を検討する
納品先都合の受付遅延 指定時間に到着したが受付できない 到着記録と受付開始時刻を区別する 待機料条件と荷役見込みを共有する

納品先の種類による違い

納品先 時間指定で問題になりやすい点 事前確認事項 遅延時の対応
物流センター 予約枠、受付番号、バース及び受付順 予約番号、受付時間、締切、バース 予約変更又は当日別枠の可否を確認する
工場 守衛所、荷受部署、設備及び担当者勤務時間 入構方法、担当部署、設備、受付締切 担当部署へ到着見込みを連絡する
倉庫 入庫受付、書類照合及び荷役順 入庫予約、必要書類、作業時間 受付順変更又は翌日入庫を確認する
店舗 営業時間、搬入口及び混雑時間帯 納品時間、担当者、入口、待機可否 店舗運営へ支障が少ない時間へ変更する
小規模事務所 担当者不在、エレベーター及び館内規則 受取人、階数、館内搬入時間 代理受領又は別時間を確認する
建設現場 工程、搬入ゲート、重機及び責任者 現場名、ゲート、時間、責任者、重機 現場工程に合わせて再調整する
展示会場 搬入枠、搬入証、ブース及び指定業者 指定時間、搬入証、ブース番号、会場ルール 主催者又は指定業者の指示を取得する
個人宅 在宅時間、道路条件及び大型貨物の受入 在宅、連絡先、道路幅、荷降ろし方法 無断放置せず再配達を調整する

時間指定納品の判断フロー

  1. 指定日時と時間帯の幅を確認する。
  2. 指定が必着、希望、予約枠又は受付締切のいずれかを確認する。
  3. 遅着時及び早着時の扱いを確認する。
  4. 通関許可の見込みと検査可能性を確認する。
  5. D/O関連手続及び搬出指示の準備状況を確認する。
  6. CFS、CY又は倉庫の実際の搬出可能時刻を確認する。
  7. 指定条件に適合する車両を確保する。
  8. 搬出場所から納品先までの走行時間と予備時間を算定する。
  9. 納品先の予約、受付、バース、設備、作業員及び受取人を確認する。
  10. 到着から荷降ろし及び受領確認までの時間を見込む。
  11. 4点判断に基づき、指定時間を確約できるか判断する。
  12. 困難な場合は、時間幅拡大、前日搬出、翌日配送又は専用車を提案する。
  13. 見積条件、遅延時の連絡先及び追加費用条件を書面へ残す。
  14. 当日は通関、搬出、出発及び到着見込みを更新する。
  15. 遅延のおそれが生じた時点で、納品先と顧客へ連絡する。

実務で問題になりやすいケース

ケース 主な原因 確認資料 判断のポイント 初動対応
午前指定だが当日搬出しかできない 前日許可又は前日搬出の見込み不足 許可見込み、倉庫受付、配送距離 当日搬出後に受付締切へ間に合うか 前日搬出又は翌日配送を提案する
通関許可が予定より遅れた 審査、検査又は書類確認 通関進捗、顧客指示、予約記録 指定時間変更が可能か 許可見込み判明時点で連絡する
CFS搬出に時間がかかった 出庫準備、受付混雑又は貨物確認 受付記録、積込み時刻、運行記録 残り時間で安全に到着できるか 到着見込みを再計算する
指定時間より早く到着した 渋滞回避又は配車都合 予約時刻、GPS、配送指示 早着待機が合意された費用か 安全な待機場所を確保する
道路渋滞で遅着見込みとなった 事故、交通集中又は規制 GPS、交通情報、運行記録 遅延連絡をいつ行ったか 納品先へ到着見込みを共有する
指定時刻に到着したが受付待ちになった 受付又はバースの混雑 到着記録、受付記録、予約番号 到着義務と受付完了義務のどちらか 受付順位と待機料条件を確認する
フォークリフト担当者が不在だった 受入準備の確認不足 納品先回答、配送指示、現場報告 指定時間に設備使用まで確約されていたか 担当者到着又は代替設備を確認する
遅着により当日受入不可となった 搬出、道路又は配車の遅延 時刻記録、変更連絡、受付条件 持ち戻り原因と損失拡大防止対応 持ち戻り先と再配達条件を決める
受領確認に時間がかかり次便へ影響した POD手続又は受取人不在 荷役完了時刻、POD取得時刻 納品完了までの時間を見込んでいたか 電子POD又は代理受領を確認する

具体例1:午前指定のため前日搬出が必要となった場合

翌日10時までに工場へ納品する条件で、CFS貨物の配送を依頼されたケースです。CFSから工場までの走行時間は約3時間で、CFSの当日搬出受付は8時30分からでした。

当日8時30分に受付を開始しても、貨物確認、積込み及び出発準備を考慮すると、10時までの納品は現実的ではありません。

この場合は、前日中に通関許可と搬出を完了させ、適切な場所で保管したうえで翌朝出発する方法を検討します。

前日搬出費用、保管料、車両積置きの可否、貨物の安全及び翌朝の運行条件を事前に確認します。

具体例2:通関許可の遅れで指定枠に間に合わない場合

午後1時から3時の納品枠を取得していましたが、輸入申告の審査が長引き、許可が正午まで下りなかったケースです。

許可後もD/O関連手続、倉庫受付、貨物搬出、積込み及び走行が必要であり、午後3時までの納品は困難でした。

通関許可が下りるまで連絡を待つのではなく、指定枠に間に合わない可能性が高くなった時点で、顧客と納品先へ連絡します。

当日遅い時間への変更、翌日の再予約又は別の受渡条件を比較し、持ち戻りが発生しない方法を選択します。

具体例3:指定時刻に到着したが荷受準備がなかった場合

配送車両が予約時刻どおりに物流センターへ到着したものの、指定バースが使用中で、フォークリフト担当者も別作業に従事していたケースです。

車両は指定時間を守っていますが、受付から荷降ろし開始まで長時間待機しました。

この場合は、車両到着時刻、受付時刻、呼出時刻及び荷降ろし開始時刻を分けて記録し、配送会社の早着又は遅着による待機と区別します。

時間指定納品では、到着時刻だけでなく、納品先が指定時間に荷受作業を開始できる状態かも事前に確認する必要があります。

追加費用と費用負担の整理

時間指定納品に伴う追加費用は、指定条件を受けたという事実だけで自動的に顧客負担となるものではありません。契約、見積条件、指定の厳しさ、遅延原因、事前説明及び当日の対応を確認します。

費用項目 主な発生場面 確認すべき資料 費用負担上の注意点
時間指定料金 特定時間帯に合わせて運行を限定する 見積書、配送条件、配車記録 通常配送に含まれる指定か別料金か確認する
専用車費用 混載便では指定時間に対応できない 車両条件、顧客依頼、変更見積 指定の厳しさを事前説明していたか確認する
前日搬出費用 翌朝又は午前指定へ対応する 搬出記録、配車記録、顧客承認 予防的手配の必要性を説明していたか確認する
保管料 前日搬出後又は再配達まで貨物を保管する 入出庫記録、保管期間、料金表 貨物に適した保管条件か確認する
早朝・夜間費用 通常運行時間外に搬出又は配送する 作業時間、車両条件、施設回答 割増条件を事前共有していたか確認する
待機料 早着、受付、荷役又は受領確認を待つ 到着・受付・荷役時刻、待機明細 配送会社都合の早着と納品先都合を区別する
持ち戻り費用 遅着等により当日受入不可となる 運行記録、受付条件、持ち戻り指示 遅延原因と連絡時点を確認する
再配達費用 指定時間に納品できず再配送する 再配達指示、変更見積、予約記録 初回納品不能の原因を確認する
予約変更費用 予約枠の再取得又は変更が必要となる 予約履歴、施設条件、手配明細 変更原因とキャンセル条件を確認する

見積書・配送指示に明記すべき条件

  • 時間指定が必着、希望、予約枠又は受付締切のいずれか
  • 指定時間帯の幅
  • 通常料金に含まれる時間指定の範囲
  • ジャスト便又は専用車の追加料金
  • 前日搬出、保管及び積置きの条件
  • 早朝、夜間又は休日対応の追加料金
  • 早着待機の取扱い
  • 遅着時の連絡方法と当日受入可否
  • 通関・搬出遅延時の時間変更条件
  • 待機、持ち戻り、保管及び再配達の費用条件
  • 納品先側の設備、作業員及び受取人の準備条件
  • 追加費用を承認する者と緊急連絡先

例えば、「本時間指定は、輸入許可、搬出準備及び車両確保が所定時刻までに完了することを前提とする。通関・搬出状況により納品時刻が変動する場合がある。ジャスト便、前日搬出、保管、時間外配送、待機、持ち戻り及び再配達は別途とする」と記載すれば、基本条件を具体化できます。

ただし、定型文だけで遅延責任又は費用負担が決まるものではありません。実際の手配内容、情報提供、予見可能性、変更連絡及び損失拡大防止対応を照合します。

フォワーダーの関与範囲対比

本記事における五分類は、法令上又は業界全体で確立された分類ではなく、本シリーズにおいてフォワーダーの関与範囲を整理するために使用する分析上の枠組みです。

標準五分類 時間指定納品への主な関与 確認すべき契約・資料 責任判断上の注意点
Simple Intermediary(単純取次) 顧客の希望時間を配送会社へ伝え、回答を取り次ぐ 取次範囲、メール、見積条件 時間を確約したのか、希望として伝達しただけか確認する
Cargo Transportation Service Provider(貨物利用運送事業者) 実運送事業者を利用して時間指定を含む国内配送を提供する 利用運送契約、運送約款、配送指示、配車記録 顧客への約束とActual Carrierへの指示を照合する
NVOCC / House B/L Issuer 海上又は複合運送後の搬出と時間指定国内配送を調整する House B/L、運送約款、見積書、搬出記録 House B/L上の引渡条件と国内時間指定を区別する
Door-to-Door Single Contractor 輸入通関、搬出及び国内配送を一体的に管理して指定時間を調整する 一貫輸送契約、見積条件、下請手配記録 Door-to-Doorでも不確定な通関時刻まで無条件に保証するとは限らない
Agent / Coordinator for Specific Operations(特定業務の代理・調整者) 納品予約、専用車、前日搬出又は時間外作業等の特定業務を調整する 個別委任内容、作業依頼、承認記録 委任された時間調整と運送全体の責任を区別する

Contracting Carrier及びActual Carrier等は、法的又は契約上の地位を示す概念であり、五分類を置き換える代替分類ではありません。

また、納品予約、時間指定、前日搬出、待機、時間外配送、持ち戻り及び再配達等の個別作業は、それ自体で第六の分類を構成するものではありません。契約上の地位と実際に委任された作業を別々に確認します。

保存すべき証拠

記録 記録する内容 使用する場面 注意点
時間指定依頼 指定日時、時間幅、必着又は希望の区別 引受条件と顧客要求の確認 口頭依頼だけに依存しない
納品予約記録 予約番号、受付時間、バース及び締切 予約条件と到着実績の確認 変更・取消履歴も保存する
通関進捗記録 申告、検査、許可及び変更見込み 指定時間の履行可能性確認 予測と確定時刻を区別する
搬出記録 受付、積込み開始、積込み完了及び出発時刻 遅延区間の確認 許可時刻だけで判断しない
運行記録 出発、位置、到着、休憩及び渋滞状況 早着・遅着原因の確認 GPSと運行日報を照合する
受付記録 到着、受付開始、呼出及び荷役開始時刻 到着後の待機確認 到着と受付完了を区別する
POD 受領時刻、受取人、留保事項 納品完了時刻の確認 荷役完了時刻と混同しない
連絡履歴 遅延連絡、変更承認、受入可否及び費用説明 損失拡大防止対応の確認 電話内容をメール等で追認する
請求明細 時間指定、専用車、待機、保管、持ち戻り及び再配達 請求額と費用負担の確認 各費目を原因と対応させる

遅延又は納品不能のおそれが生じた場合の初動対応

  • 通関、搬出、出発及び到着の最新見込みを確認する
  • 指定時間に間に合わない可能性が判明した時点を記録する
  • 顧客と納品先へ到着見込みを早期に連絡する
  • 当日遅着での受入、予約変更又は別枠利用の可否を確認する
  • 待機、持ち戻り、保管及び再配達の費用見込みを整理する
  • 車両変更、運行順変更又は専用車への切替可否を確認する
  • 安全運行を損なう無理な時間短縮を指示しない
  • 持ち戻りとなる場合は戻し先と保管条件を確認する
  • 変更を承認した者、時刻及び指示内容を記録する
  • 責任又は費用負担を事実確認前に断定しない

よくある誤解

誤解 実際の考え方 実務上の注意点
貨物が日本へ到着すれば時間指定できる 通関、D/O関連手続、搬出準備及び車両手配が必要である 実際の搬出可能時刻を確認する
通関許可が下りればすぐ出発できる 倉庫受付、貨物確認、積込み等が残る場合がある 許可時刻と出発時刻を区別する
時間指定を伝えれば配送会社は必ず対応できる 車両、運行、道路及び搬出条件により対応できない場合がある 受注前に履行可能性を確認する
指定時刻に到着すれば納品完了である 受付、荷降ろし及び受領確認まで必要である 納品完了までの所要時間を見込む
早く着く分には問題ない 早着受付不可又は待機場所がない施設もある 早着時の条件を確認する
午前指定は通常配送で当然に対応できる 当日搬出では間に合わず、前日対応が必要な場合がある 搬出場所と納品先の距離を逆算する
ジャスト便は通常の時間帯指定と同じである 専用車、前日搬出又は待機前提の手配が必要になる場合がある 追加条件と費用を明確にする
渋滞による遅れは常に不可抗力である 通常予見できる渋滞は計画へ織り込む必要がある 運行余裕と連絡時点を確認する
遅延連絡は指定時間を過ぎてからでよい 遅延のおそれが判明した時点で連絡する必要がある 代替枠又は当日受入の機会を確保する
時間指定は費用だけの問題である 納品不能、後続運行、安全運行及び契約履行にも影響する 無理な運行によって時間を守ろうとしない

判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
配送依頼受付時 顧客 納品日、時間幅、必着又は希望の区別 条件が曖昧な場合は確約しない
通関予定確認時 通関担当者 申告、検査、許可及び遅延可能性 時間指定条件を見直す
搬出手配時 CFS、CY又は倉庫 受付、書類、貨物準備及び積込み時間 実際の搬出可能時刻を再確認する
車両手配時 配送会社 車種、専用・混載、出発可能時刻 専用車又は別日配送を検討する
納品予約時 納品先 予約番号、受付時間、バース及び締切 予約を取得して書面で共有する
受入条件確認時 納品先 設備、作業員、受取人及び荷降ろし時間 設備又は時間を変更する
逆算時 社内担当者、配送会社 通関、搬出、走行、受付、荷役及びPOD 余裕がなければ条件変更を提案する
前日搬出判断時 顧客、倉庫、配送会社 保管場所、費用、貨物条件及び翌朝運行 安全な保管方法を確定する
当日搬出時 倉庫、ドライバー 受付、積込み開始、完了及び出発見込み 遅延を直ちに共有する
運行中 ドライバー、配送会社 位置、渋滞、到着見込み及び休憩 納品先へ更新時刻を連絡する
早着時 納品先、配送会社 早着受付、待機場所及び待機料 安全な場所で待機する
遅着見込み時 顧客、納品先 受入可否、予約変更及び持ち戻り基準 指定時間前に対応を決定する
納品完了時 受取人、ドライバー 受付、荷役、POD及び退出時刻 異常又は待機を具体的に記録する
請求確認時 配送会社、倉庫 時間指定、待機、保管、持ち戻り及び再配達 原因と請求根拠を照合する

顧客への説明で重要なこと

顧客は、貨物が日本へ到着していれば、希望する時間に国内配送できると考えている場合があります。しかし、輸入貨物では、通関許可、D/O関連手続、搬出依頼、倉庫受付、貨物確認、積込み、道路走行、納品受付、荷降ろし及び受領確認までの一連の工程が必要です。

フォワーダーは、「何時に届ければよいですか」とだけ質問するのではなく、「その時間は必着ですか」「時間幅を広げられますか」「遅れた場合も受け入れ可能ですか」「早着時に待機できますか」「予約番号は必要ですか」「指定時間に設備と受取人が揃いますか」と具体的に確認する必要があります。

厳しい時間指定については、前日搬出、適切な保管、専用車、早朝配送又は翌日配送等の選択肢と追加費用を説明します。

指定時間を無条件に受けるのではなく、その時間に納品するために必要な条件を顧客へ的確に伝え、現実に履行可能な配送条件を設計することが重要です。

まとめ

輸入貨物の時間指定納品は、納品先が指定した時刻又は時間帯へ合わせて輸入貨物を国内配送する実務です。

輸入貨物では、貨物の日本到着又は通関許可だけでは配送可能時刻を確定できません。D/O関連手続、搬出準備、車両手配、積込み、道路事情及び納品先の受入条件を確認する必要があります。

時間指定を受ける際は、通関・搬出、車両、道路・距離及び受入準備の4点を確認し、指定時刻から各工程を逆算します。

早着、遅着、受付待ち、荷役待ち及び受領確認待ちは原因と時間区分を分けて記録し、待機、持ち戻り、再配達及び追加費用の判断へ使用します。

時間指定の性質、前提条件、変更手順及び費用を見積書と配送指示へ残し、遅延のおそれが判明した時点で関係者へ連絡することが、追加費用と納品不能を防ぐ基本です。

同義語・別表記

  • 時間指定
  • 時間指定納品
  • 時間指定配送
  • 納品時間指定
  • 着時間指定
  • 午前指定
  • 午後指定
  • ジャスト便
  • Time-Specified Delivery
  • Scheduled Delivery

公式情報