B/L Back Dateの危険性

Risks of B/L Back Dating

B/L Back Dateの危険性

B/L Back Dateとは、実際のB/L発行日又は実際に貨物が本船へ積み込まれた日より前の日付を、B/L Date又はOn Board Dateとして記載する行為です。

L/C上のLatest Shipment Date、売買契約上の出荷期限、買主への納期説明等に間に合わせるため、実際にはその日に船積みされていないにもかかわらず、B/L上だけ前の日付にするよう依頼されることがあります。

これは、単なる日付調整ではありません。B/Lに実際と異なる発行事実又は船積事実を表示する行為であり、L/C決済、D/A・D/P取引、売買契約、貨物海上保険、輸出取引信用保険、NVOCC責任及び刑事・民事上の責任判断に影響する可能性があります。

B/L発行者は、荷主から依頼されたことやL/Gを取得したことを理由に、実際と異なる日付を記載してはなりません。正しい対応は、B/Lの日付を操作することではなく、L/C Amend、買主の承諾、銀行へのDiscrepancy相談等の正規手続へ切り替えることです。

この記事で扱う範囲

項目 この記事で扱う内容 他記事で扱う内容
B/L Back Dateの意味 実際の発行日又は船積日より前の日付を記載する行為 通常のB/L記載事項全体は船荷証券関連記事で扱います
B/L DateとOn Board Date 発行日、実際の船積日及びL/C上の船積日の違い L/C書類審査全体は「L/C決済とB/L原本の関係」で扱います
正当な訂正との違い 実際の事実に合わせる訂正と、事実を遡らせるBack Dateの区別 B/L再発行や原本回収は関連するB/L記事で扱います
L/Cへの影響 Late Shipment、Presentation Period、Discrepancy及び正規対応 Discrepancy処理は「Discrepancyとは」「Waiverとは」で扱います
D/A・D/Pへの影響 契約上の出荷期限、手形条件及び取立書類への影響 各決済方式の基本構造はD/A・D/Pの各記事で扱います
貨物海上保険 事故時系列、書類信用性及び保険金請求審査への影響 補償範囲と保険期間は貨物海上保険の各記事で扱います
輸出取引信用保険 対象船積み、支払期限及び事故時期の確認への影響 信用危険・非常危険は「輸出取引信用保険とは」で扱います
House B/LとOcean B/L 発行日の違いと、船積事実の不一致を区別する方法 NVOCCの契約責任全体はNVOCC責任関連記事で扱います
海外代理店管理 本体名義で発行されるB/Lの日付管理と代理店統制 代理店契約全体はフォワーダー責任関連記事で扱います
刑事・民事上の問題 不実記載、虚偽記入及び第三者への発行者責任の可能性 個別事案の犯罪成立や責任判断は海事弁護士へ確認します

B/L Back Dateに対する基本方針

B/L Date又はOn Board Dateについて、実際より前の日付を記載する依頼は受けてはいけません。

依頼者が輸出者、商社、銀行関係者又は海外代理店のいずれであっても、実際の事実と異なる日付をB/Lへ記載することは、B/L発行者自身の問題になります。

また、輸出者から「問題が起きた場合は責任を負う」というL/Gを受け取っても、実際と異なるB/Lを発行してよいことにはなりません。

L/Gは、輸出者とB/L発行者との間の補償約束となる場合がありますが、銀行、輸入者、保険会社、正当なB/L所持人その他の第三者に対する責任を当然に消すものではありません。

B/L Date・On Board Date・L/C上の船積日の違い

B/Lの日付を確認するときは、「発行日」と「実際の船積日」と「銀行がL/C上の船積日として扱う日」を分ける必要があります。

日付 基本的な意味 主な確認資料 L/C上の取扱い Back Dateで問題になる点
B/L Date又はDate of Issue B/Lが発行された日 B/L発行記録、システムログ、原本管理簿 別個の日付入りOn Board Notationがなければ、船積日とみなされる場合があります 実際の発行日前の日付を記載すると、発行事実が不正確になります
Actual On Board Date 貨物が実際に本船へ積み込まれた日 船会社確認、積込記録、本船動静、Ocean B/L L/C上のLatest Shipment Dateとの比較対象になります 実際より前の日を記載すると、存在しない船積事実を表示します
Dated On Board Notation B/L上に別途表示された日付入りの船積済み表示 B/L表面、船会社又は発行者の認証 その記載日が船積日として扱われます 実際の積込日と異なる日を記載してはなりません
L/C上のShipment Date UCP600及びB/L表示に基づき銀行が判断する船積日 L/C、B/L、On Board Notation Latest Shipment Date及びPresentation Periodの判断に使われます 日付操作により本来のDiscrepancyを隠す結果になります
CY搬入日 コンテナ又は貨物がCYへ搬入された日 搬入票、ターミナル記録 通常、それだけで本船船積日とは扱われません CY搬入を理由にOn Board Dateを前倒ししてはいけません
本船出港日 本船が港を出港した日 本船動静、港湾記録 On Board Dateと同日とは限りません 出港日だけで実際の積込日を推定してはいけません

Back Dateと正当な日付訂正の違い

B/L上の日付を修正する行為が、すべてBack Dateになるわけではありません。

入力ミスにより誤った日付が表示されていた場合に、実際の発行日又は実際の船積日に合わせて訂正することは、事実関係を正しくするための修正です。

一方、L/C条件や売買契約上の期限に合わせる目的で、実際より前の日付を記載することはBack Dateです。

項目 正当な訂正 B/L Back Date 判断資料 対応
訂正目的 実際の事実に書類を合わせる 取引条件に合わせて事実を変更して見せる 積込記録、発行記録、L/C、依頼メール 訂正理由を記録します
訂正後の日付 実際の発行日又は船積日 実際より前の日付 本船動静、Ocean B/L、システムログ 実際より前なら発行しません
原本処理 旧原本を回収・取消しし、適切に再発行する 旧原本を残したまま別日付の原本を発行することがある 原本発行部数、回収記録 二重流通を防止します
監査記録 訂正前後、理由、承認者を保存する 依頼経緯や変更履歴を隠す傾向がある メール、承認記録、システム履歴 履歴を削除しません
法律・決済への影響 正しい事実へ修正する 第三者の判断を誤らせる可能性がある 提示先、取引条件、書類利用目的 管理部門へ報告します

なぜB/L Back Dateは危険なのか

B/Lは、運送契約、貨物の受取又は船積み、貨物引渡し、銀行決済及び保険金請求に関係する重要書類です。

実際と異なる日付が記載されると、B/Lだけでなく、L/C、Invoice、保険証券、原産地証明書、輸出取引信用保険、本船動静及び事故資料との時系列が崩れます。

後日、本船動静、ターミナル記録、船会社の積込記録又はシステムログにより実際の日付が判明すれば、B/L発行者の書類管理と説明の信用性そのものが問題になります。

船荷証券の不実記載と発行者責任

日本法その他の適用法の下では、B/Lの記載と実際の貨物受取又は船積事実が異なる場合、善意のB/L所持人に対する発行者又は運送人の責任が問題になることがあります。

B/L発行者が後から「実際にはその日に船積みされていなかった」と説明しても、B/Lの記載を信頼して取得した銀行、買主又は正当な所持人に対し、その事実を主張できない場合があります。

荷主から依頼されたこと、営業上の事情があったこと又はL/Gを取得したことは、B/L上の不実記載を当然に正当化するものではありません。

刑事上の問題となる可能性

B/Lの種類、流通性、発行権限、記載内容、利用目的、提示先及び行為地によっては、有価証券への虚偽記入、その行使又は交付等が刑事上の問題となる可能性があります。

ただし、B/L Back Dateが直ちに特定の犯罪へ該当すると一律に判断することはできません。

具体的には、対象となるB/Lが刑法上の有価証券に該当するか、記入者が正当な発行権限を有していたか、どの事実が虚偽であったか、行使目的があったか、銀行その他の第三者へ提示又は交付されたか等を個別に検討する必要があります。

Back Dateの依頼を受けた段階、発行後に発覚した段階又は銀行へ既に提示された段階では、社内だけで結論を出さず、海事・刑事法務に詳しい弁護士へ速やかに確認します。

L/C決済での危険性

L/C取引では、B/L上の船積日がLatest Shipment Date以内であるか、Presentation Period以内に書類が提示されているかが確認されます。

UCP600上、別個の日付入りOn Board Notationがない場合は、B/Lの発行日が船積日とみなされることがあります。日付入りOn Board Notationがある場合は、その日が船積日として扱われます。

したがって、実際の船積日がLatest Shipment Dateを過ぎているにもかかわらず、B/L Date又はOn Board Dateを前倒しすれば、本来Late Shipmentとして処理すべきDiscrepancyを隠す結果になります。

正しい対応は、B/LをBack Dateすることではありません。L/C Amend、買主による条件変更への同意、Waiverの確認、銀行へのDiscrepancy取扱い又はL/G Negotiationの相談等、正規の手続を利用します。

D/A・D/P取引での危険性

D/A・D/P取引でも、売買契約上の出荷期限、取立指図、手形条件及び船積書類の提示時期が関係します。

ただし、B/L日付が手形満期又は支払期限へ影響するかは、個別の取引条件によって異なります。

確認項目 D/Aでの確認 D/Pでの確認 Back Dateの影響 対応
書類交付条件 買主の手形引受け後に交付 買主の支払後に交付 船積日について誤った情報を前提に書類が交付されます 取立銀行へ正しい書類を提示します
手形期限 一覧後、B/L Date後その他の条件を確認 通常は一覧払ですが個別条件を確認 B/L Dateを起算日とする場合は満期計算にも影響します 手形文言と取立指図を確認します
売買契約上の出荷期限 期限違反と代金回収リスクが関係します 期限違反と書類引取り拒否が関係します 期限違反を隠したと主張される可能性があります 買主と契約上の処理を行います
貨物滞留 満期前に貨物が引き取られている場合があります 買主が支払わず貨物が滞留する場合があります 書類不実記載により紛争が複雑になります 貨物処理と決済問題を分けて対応します

貨物海上保険への影響

B/L Date及びOn Board Dateは、事故時系列を確認する重要な資料ですが、それだけで貨物海上保険の保険始期又は保険終期が決まるわけではありません。

貨物海上保険のattachment of insurance及びtermination of insuranceは、適用約款、実際の輸送開始、ordinary course of transit、保管状況、最終引渡しその他の事実によって判断されます。

Back Dateがある場合、保険会社は、House B/L、Ocean B/L、保険証券、Invoice、本船動静、事故報告、Survey Report及び実際の輸送記録を照合し、事故の時期と場所を確認することがあります。

Back Dateが判明しただけで、すべての貨物損害が自動的に免責となるわけではありません。しかし、被保険者がBack Dateへ関与していた場合、保険金請求時に虚偽説明を行った場合又は事故時系列を意図的に隠した場合には、保険契約上の重大な問題となる可能性があります。

書類間に不一致がある場合は、事実を隠さず、実際の船積日、事故発生日、輸送区間及び書類作成経緯を保険会社へ説明します。

保険証券との不一致

L/C取引では、保険書類の日付は原則として船積日より後であってはならず、後の日付であっても船積日以前から補償が有効であることが保険書類上明らかな場合等に限り、適合性が認められることがあります。

B/Lの船積日がBack Dateされると、保険証券の発行日、補償開始表示及びL/C上の船積日との関係が不自然になる可能性があります。

ただし、銀行による保険書類の審査と、保険会社による実際の補償期間・事故原因の審査は別です。銀行書類として受理されたことだけで、事故時の保険金支払が保証されるわけではありません。

輸出取引信用保険への影響

輸出取引信用保険では、対象となる輸出契約、船積日、支払期限、信用危険又は非常危険の発生日等が確認されます。

B/L上の船積日が実際と異なる場合、対象船積みの特定、担保開始時期、支払期限の起算、保険期間及び事故発生日の整理に疑義が生じる可能性があります。

ただし、Back Dateがあるだけで一律に保険金が支払われないと判断することはできません。保険契約、申告内容、Back Dateへの関与、事故との関係及び保険会社への説明内容を個別に確認します。

House B/LとOcean B/Lの日付

House B/LとOcean B/Lは、発行主体及び発行時点が異なるため、B/L Date又は発行日が同日である必要はありません。

したがって、House B/Lの発行日とOcean B/Lの発行日が違うことだけで、直ちにBack Dateとは判断できません。

確認すべきなのは、各B/Lが表示する実際の船積事実、船名、Port of Loading、On Board Date及び輸送記録が整合しているかです。

確認項目 House B/L Ocean B/L 一致が必要な事項 一致しなくても直ちに問題ではない事項
発行者 NVOCC等 船会社又は海上運送人 各発行者の権限と署名 発行者名
発行日 NVOCCの発行処理日 船会社の発行処理日 実際の発行記録と各B/L表示 相互に同日であること
On Board Date House B/Lが表示する船積日 船会社が確認した船積日 実際の本船積込事実との整合 正当な根拠があれば表示方法が異なること
船名 荷主向け運送契約上の表示 実運送上の本船表示 実際の輸送との整合 契約構造による一部の表示差
貨物数量 House単位の貨物 Master単位又は混載全体 対応関係が追跡できること 数量が同一であること

Ocean B/L側のBack Dateを見落とさない

NVOCCがOcean B/LのOn Board Dateを根拠としてHouse B/Lを発行する場合でも、明らかな矛盾又はBack Dateの疑いがあるときは、Ocean B/Lの日付を機械的に転記してはいけません。

本船がまだ入港していない、積込記録が存在しない、港湾情報と日付が矛盾する等の事情がある場合は、船会社又は海外代理店へ根拠を確認します。

Ocean B/Lの記載を信頼したことが直ちにNVOCCの責任を生じさせるとは限りませんが、疑義を認識しながら同じ日付をHouse B/Lへ記載した場合は、発行管理上の問題が大きくなります。

海外代理店による発行

海外代理店又は現地パートナーがB/Lを発行している場合でも、日本側本体の名称、B/Lフォーム又は発行権限を使用している場合は、代理店だけの問題として処理できないことがあります。

NVOCC本体は、代理店契約、B/L発行権限、原本管理、日付確認、訂正手続及びBack Date禁止ルールを明確にする必要があります。

三国間取引、Switch B/L又は複数の海外代理店が関与する場合は、誰がどのB/Lを、どの事実に基づき、どの場所で発行したのかを記録します。

フォワーダーの関与範囲と標準五分類

本記事における五分類は、法令上又は業界全体で確立された分類ではなく、本シリーズにおいてフォワーダーの関与範囲を整理するために使用する分析上の枠組みです。

標準五分類 B/L日付に関して行い得る業務 通常は負わない役割 責任判断で確認する資料 実務上の注意
Simple Intermediary 荷主と発行者の間の連絡、正しい日付の確認補助 発行権限がない場合のB/L日付決定 依頼メール、業務範囲、連絡記録 虚偽日付の伝達又は働きかけに関与しません
Cargo Transportation Service Provider 運送契約に基づくB/L発行又は発行指示 実際と異なる船積事実の作成 運送契約、約款、B/L、発行記録 契約上の運送責任と書類記載責任を確認します
NVOCC / House B/L Issuer House B/Lの発行、On Board Date及び発行日の管理 荷主の依頼を理由とする虚偽日付の記載 House B/L、Ocean B/L、本船動静、発行ログ 本記事で最も直接的な発行責任が問題になります
Door-to-Door Single Contractor 輸送全体と書類スケジュールの調整 各区間の実際の事実と異なる証明 一括契約、B/L、下請記録、業務指示 一括引受けでもBack Dateは正当化されません
Agent / Coordinator for Specific Operations 海外代理店への発行指示、訂正連絡、原本回収調整 委任されていないB/L発行又は日付決定 委任内容、代理店契約、メール、承認記録 特定業務の範囲を超えて発行判断をしません

Contracting Carrier及びActual Carrierは、法的又は契約上の地位を示す概念であり、本記事の標準五分類を置き換える代替分類ではありません。

B/L入力、原本印刷、船会社への照会、海外代理店への連絡等の実作業は、それ自体で第六の分類を構成しません。

実務で問題になりやすいケース

ケース 主な原因 確認資料 判断のポイント 初動対応
Latest Shipment Dateを過ぎたため前の日付を求められた L/CのLate Shipmentを避けたい L/C、実際の積込記録、B/Lドラフト 実際の船積日が条件内か Back Dateを拒否し、L/C Amend等へ切り替えます
船積前にShipped on Board B/Lの発行を求められた 予定日を船積日として扱おうとした 本船動静、積込状況、船会社確認 実際に本船へ積み込まれたか 船積確認後まで発行を停止します
Ocean B/Lの日付をそのままHouse B/Lへ転記した Ocean B/Lの日付を無条件に信用した Ocean B/L、本船動静、積込記録 明らかな矛盾又は疑義がなかったか 船会社へ根拠を確認します
海外代理店が本体名義でBack Dateした 代理店管理と発行前確認が不足した 代理店契約、発行済み原本、メール 発行権限と本体の管理状況 原本流通を止め、法務へ報告します
輸出者のL/Gを受けて発行した L/Gで第三者責任も処理できると誤認した L/G、依頼メール、B/L、提示記録 L/Gの対象と第三者への影響 発行を拒否し正規手続を案内します
D/A手形の期限に合わせて日付を前倒しした 満期計算又は契約期限を調整しようとした 手形、取立指図、B/L、売買契約 B/L Dateが期限の起算日か 銀行と取引条件を正規に修正します
保険証券がBack DateされたB/Lを基準に作成された 保険書類作成時に実際の船積日を確認しなかった 保険証券、B/L、本船動静 銀行審査と実際の補償期間を区別する 保険会社へ正しい事実を説明します
Switch B/Lの名義だけを確認し日付を見落とした 新旧B/Lの日付と実際の輸送を照合しなかった 新旧B/L、Invoice、保険証券、原産地資料 船積事実と各書類の日付の整合 発行前に書類一式を再確認します

B/L Back Date依頼を受けた場合の判断フロー

  1. 変更対象がB/L Date、On Board Date又はその他の日付かを確認します。
  2. 現在記載されている日付と、依頼された日付を記録します。
  3. 実際の発行日及び実際の本船積込日を確認します。
  4. 依頼が誤記を正しい事実へ直すものか、実際より前の日へ遡らせるものかを判定します。
  5. Back Dateに該当する場合は、発行、訂正及び原本交付を停止します。
  6. 依頼理由がL/C、売買契約、D/A・D/P、保険又は買主説明のいずれかを確認します。
  7. L/Cが関係する場合は、L/C Amend、Waiver又はDiscrepancy取扱いを銀行へ相談するよう案内します。
  8. 既にB/Lが発行されている場合は、原本の所在、提示先及び流通状況を確認します。
  9. 海外代理店発行の場合は、発行権限、原本部数及び本体名義の使用状況を確認します。
  10. 銀行、買主又は保険会社へ既に提示されている場合は、管理部門及び法務へ直ちに報告します。
  11. 刑事・民事責任又は第三者への影響が疑われる場合は、海事弁護士へ確認します。
  12. 最終的に正しい日付で発行又は再発行し、判断資料と承認履歴を保存します。

具体例1:L/CのLatest Shipment Dateを過ぎた場合

L/C上のLatest Shipment Dateが6月30日であるのに、実際の本船積込日が7月2日になったとします。

輸出者から、On Board Dateを6月30日にしてほしいと依頼されても、NVOCC又は船会社は応じてはいけません。実際には7月2日まで船積みされていないため、6月30日と記載すれば存在しない船積事実を表示することになります。

正しい対応は、7月2日をOn Board DateとしてB/Lを発行し、輸出者から買主へL/C Amendを依頼する、又は銀行へDiscrepancyとしての取扱いを相談することです。

具体例2:House B/LとOcean B/Lの発行日が違う場合

Ocean B/Lが7月3日に発行され、House B/Lが7月4日に発行された場合、発行日が異なることだけでBack Dateになるわけではありません。

両方のB/Lが、実際のOn Board Dateである7月2日を正しく表示しているのであれば、発行処理日が異なることには合理的な理由があります。

一方、House B/Lを7月4日に作成したにもかかわらず、B/L Dateを6月30日として発行し、その日をL/C上の船積日として利用する場合は、実際の発行日及び船積事実との関係を精査する必要があります。

具体例3:海外代理店が本体名義でBack Dateした場合

海外代理店が、日本側NVOCCのB/Lフォームと社名を使用し、荷主の依頼により実際より前のOn Board Dateを記載したとします。

日本側が直接入力していなくても、本体名義のHouse B/Lが発行されていれば、代理店の権限、発行ルール、監督体制及び発覚後の対応が問われる可能性があります。

発覚後は、代理店に訂正を指示するだけで終わらせず、原本の所在、銀行への提示、買主への交付及び保険書類への波及を確認し、必要に応じて海事弁護士へ相談します。

よくある誤解

誤解 実際の考え方 実務上の注意点
L/Gを取得すればBack Dateしてもよい L/Gは不実記載を正当化せず、第三者への責任も当然には消しません L/Gの有無にかかわらずBack Dateを拒否します
日付を一日変えるだけなら問題ない 一日でも実際の船積事実と異なれば問題になります 日数の長短ではなく事実との一致で判断します
荷主の依頼なので発行者に責任はない 発行者はB/L上の記載について責任を問われる可能性があります 依頼メールを保存するだけでは免責されません
Ocean B/Lの日付を転記すれば安全である Ocean B/L自体に明らかな疑義がある場合は確認が必要です 本船動静及び積込記録も確認します
House B/LとOcean B/Lの発行日は同じでなければならない 発行主体と処理時点が異なるため、発行日は同日でなくても構いません 発行日とOn Board Dateを混同しません
CY搬入日をOn Board Dateにできる CY搬入と本船への積込みは別の事実です 実際の本船積込日を確認します
L/Cに間に合わせるためならやむを得ない L/C条件に合わない場合は正規の銀行手続で処理します L/C Amend又はDiscrepancy相談へ切り替えます
Back Dateがあれば貨物保険は必ず免責になる 補償可否は事故、約款、関与、説明内容等を個別に判断します 実際の時系列を保険会社へ正確に説明します
海外代理店が発行したので本体には関係ない 本体名義又は本体の発行権限が使われていれば管理責任が問題になります 代理店契約と発行ルールを整備します
Sea Waybillなら虚偽日付でも問題にならない 非流通性書類でも、決済・契約・保険に使用される事実証明書類です 書類の種類を理由にBack Dateを認めません

受けてはいけない依頼と正しい対応

受けてはいけない依頼 問題点 正しい対応 確認先
Latest Shipment Dateに合わせてOn Board Dateを前倒ししてほしい Late Shipmentを隠す結果になります L/C Amend又はDiscrepancy処理を検討します 輸出者、買主、銀行
本船積込前にShipped on Board B/Lを発行してほしい 存在しない船積事実を記載します 実際の船積確認後に発行します 船会社、ターミナル
CY搬入日をOn Board Dateにしてほしい CY搬入と本船積込を混同しています 実際の本船積込日を使用します 船会社、発行担当
輸入者に遅延を知られない日付にしてほしい 売買契約上の遅延をB/Lで隠します 売買当事者間で期限変更を合意します 輸出者、輸入者
L/Gを出すので前の日付にしてほしい L/Gで第三者リスクは消えません 正しい日付で発行します 管理部門、法務
Ocean B/Lより前の日付でHouse B/Lを出してほしい 実際の船積事実との不一致が疑われます 船積記録を確認し、事実に合う日付を使用します 船会社、NVOCC発行担当
海外代理店側で処理するので本体は確認しなくてよい 本体名義のB/L発行管理が失われます 本体の発行基準と承認手続を適用します 海外代理店、管理部門

NVOCC・フォワーダーの社内ルール

  • 実際の発行日より前の日付をB/L Dateとして記載しません。
  • 実際の本船積込日より前の日付をOn Board Dateとして記載しません。
  • L/C条件に合わせるためのBack Date依頼を受けません。
  • 日付変更依頼は、正当な誤記訂正かBack Dateかを区別します。
  • 訂正前後のB/L、訂正理由、承認者及び原本回収記録を保存します。
  • Ocean B/L、積込記録及び本船動静を必要に応じて照合します。
  • House B/LとOcean B/Lの発行日が異なることだけでBack Dateと判断しません。
  • 海外代理店へBack Date禁止及び原本管理ルールを明示します。
  • L/Gが提出されても、不実日付のB/Lを発行しません。
  • 疑義がある場合は営業担当だけで判断せず、管理部門又は法務へ報告します。
  • 発行後に発覚した場合は、原本の所在と第三者への提示状況を直ちに確認します。
  • 発行履歴、メール及びシステムログを削除又は改変しません。

海事弁護士・専門家へ確認すべき場面

問題 主な確認先 確認事項 早期確認が必要な理由
既にBack Dateされた原本が発行されている 海事弁護士、管理部門 原本回収、取消し、再発行及び第三者対応 原本が流通すると影響範囲が拡大するため
銀行へ提示済みである 銀行、海事弁護士 L/C決済、書類返却、訂正及び説明方法 銀行が書類に基づき支払判断を行うため
刑事上の問題が疑われる 刑事・海事法務に詳しい弁護士 書類の性質、発行権限、虚偽記入及び行使目的 社内判断だけで犯罪成立を判断できないため
買主又はB/L所持人から請求を受けた 海事弁護士、賠償責任保険会社 善意取得、損害、因果関係及び責任制限 初期回答が責任判断へ影響するため
貨物事故が発生している 貨物保険会社、保険代理店、海事弁護士 実際の事故時系列、Back Dateへの関与及び請求資料 不正確な説明を重ねないため
輸出取引信用保険の事故が発生している 信用保険担当、保険会社 対象船積み、支払期限、申告内容及び事故日 保険契約上の通知期限があるため
海外代理店が本体名義で発行した 現地弁護士、海事弁護士、管理部門 代理権、準拠法、発行地及び本体責任 複数国の法令が関係する可能性があるため

判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
B/L発行前 船会社、NVOCC発行担当 実際の発行日、On Board Date及び積込完了 事実が確定するまで発行しません
Ocean B/L確認時 船会社、海外代理店 船名、Port of Loading、On Board Date及び本船動静 疑義があれば根拠資料を求めます
House B/L作成時 NVOCC発行担当、営業担当 実際の船積事実とHouse B/L表示 正しい日付へ修正します
L/C確認時 輸出者、銀行 Latest Shipment Date、Presentation Period及びB/L条件 L/C Amend又はDiscrepancy処理を案内します
日付変更依頼時 依頼者、管理部門 誤記訂正かBack Dateか、変更理由と根拠 Back Dateなら拒否し記録を保存します
L/G受領時 輸出者、法務 L/Gで不実記載を処理しようとしていないか L/Gにかかわらず発行を拒否します
保険手配時 保険会社、保険代理店 保険書類の日付と実際の輸送時系列 正しい事実を伝え必要な訂正を行います
事故発生時 保険会社、サーベイヤー、荷主 B/L、保険証券、本船動静及び事故資料の整合 不一致を隠さず時系列を説明します
海外代理店発行時 海外代理店、現地パートナー 発行権限、原本数、日付根拠及び発行履歴 原本交付を停止し本体承認を求めます
Switch B/L発行時 NVOCC、輸出者、仲介者 原B/LとSwitch B/Lの船積日及び発行経緯 名義だけでなく日付も再確認します
発行後に発覚した時 管理部門、法務、銀行、関係者 原本所在、提示先、利用状況及び影響範囲 回収・訂正・通知方針を決定します
社内判断が割れる時 管理部門、法務、経営責任者 営業都合で発行を進めようとしていないか 営業単独判断を禁止します

まとめ

B/L Back Dateとは、実際のB/L発行日又は本船積込日より前の日付を、B/L Date又はOn Board Dateとして記載する行為です。

B/L Date、実際のOn Board Date及びL/C上のShipment Dateは、それぞれ区別する必要があります。UCP600上、別個の日付入りOn Board Notationがない場合はB/Lの発行日が船積日とみなされることがあるため、発行日の操作もL/C判断へ直接影響します。

House B/LとOcean B/Lは発行主体と発行時点が異なるため、発行日が同じである必要はありません。重要なのは、実際の船積事実、On Board Date、船名及びPort of Loadingが輸送記録と整合していることです。

L/CのLatest Shipment Date、売買契約上の期限又は買主への説明を理由としても、実際と異なる日付を記載してはいけません。L/Gを取得しても、銀行、買主、保険会社又は正当なB/L所持人への責任が当然に消えるものではありません。

貨物海上保険では、B/L日付は事故時系列を確認する重要資料ですが、B/L日付だけで保険始期又は保険終期が決まるわけではありません。Back Dateが判明した場合は、実際の輸送開始、事故日、事故場所、適用約款及び当事者の関与を個別に確認します。

NVOCCやフォワーダーは、Back Date依頼を担当者個人の判断に任せず、発行停止、事実確認、管理部門への報告、原本管理及び海外代理店統制を社内規則として整備する必要があります。

正しい対応は、B/Lの日付を操作することではありません。L/C Amend、買主の承諾、Waiver、Discrepancy処理、L/G Negotiationその他の正規手続により、実際の船積事実を変更せずに取引上の問題を処理することです。

同義語・別表記

  • B/L Back Date
  • Bill of Lading Back Date
  • バックデートB/L
  • B/L日付遡及
  • On Board Date遡及
  • 船積日遡及
  • B/L虚偽記載
  • 船荷証券不実記載

関連用語

公式情報