家庭用品品質表示法と輸入品

概要

家庭用品品質表示法と輸入品とは、衣類、かばん、靴、家具、合成樹脂製品、電気機械器具、雑貨工業品など、消費者が日常使用する家庭用品を日本国内で販売する際に、品質に関する表示を適正に行うための制度です。

輸入品であっても、日本国内で一般消費者向けに販売する場合には、家庭用品品質表示法上の表示対象品目に該当するかを確認する必要があります。

通関できることと、国内で販売できる表示が整っていることは別問題です。フォワーダーや通関関係者は、輸入時点で表示内容の適法性を保証する立場ではありませんが、荷主に対して国内販売前の表示確認を促すことが実務上重要です。

家庭用品品質表示法とは

家庭用品品質表示法は、家庭用品の品質に関する表示の適正化を図り、一般消費者の利益を保護するための法律です。

対象となるのは、すべての家庭用品ではなく、政令や府令で指定された品目です。主に、繊維製品、合成樹脂加工品、電気機械器具、雑貨工業品の4つの分野に分けて整理されます。

輸入者や販売者は、対象品目に該当する場合、品目ごとに定められた品質表示事項や表示方法を確認する必要があります。

対象になりやすい輸入品

家庭用品品質表示法の対象になりやすい輸入品には、次のようなものがあります。

  • 衣類、靴下、手袋、カーテンなどの繊維製品
  • かばん、靴、傘、家具などの雑貨工業品
  • 合成樹脂製の台所用品、容器、バケツ、洗面器など
  • 電気かみそり、電気コーヒー沸器、換気扇などの電気機械器具
  • 合成洗剤、クレンザーなどの日用品
  • 水筒、魔法瓶、食卓用品、台所用品など

ただし、具体的に表示対象となるかどうかは品目ごとに定められています。似た商品であっても、対象品目に含まれるものと含まれないものがあるため、品目別の確認が必要です。

輸入実務で問題になりやすい場面

輸入実務では、通関時には大きな問題にならなくても、国内販売の段階で表示不備が発覚することがあります。

たとえば、海外メーカーの英語表示だけで販売しようとする場合、日本の家庭用品品質表示法で求められる表示事項や日本語表示が不足していることがあります。

また、海外EC、クラウドファンディング、海外メーカー直輸入、サンプル輸入では、日本国内向けの表示設計がされていないことがあります。

国内販売後に表示不備が発覚すると、販売停止、表示ラベルの貼り替え、返品対応、取引先対応、行政対応などにつながる可能性があります。

よくある誤解

家庭用品品質表示法では、次のような誤解が生じやすくなります。

  • 通関できれば国内販売できると思っている
  • 海外メーカーの英語表示だけで足りると思っている
  • 原産国表示だけすればよいと思っている
  • 家庭用品品質表示法の対象品目か確認していない
  • 販売開始後に表示ラベルを整えればよいと思っている
  • EC販売なら表示義務が軽くなると思っている

実際には、国内で一般消費者向けに販売する時点で、対象品目ごとの表示事項や表示方法を確認しておく必要があります。

通関可否と国内販売可否は別

家庭用品品質表示法で特に注意すべきなのは、通関できることと、国内で適法に販売できることは別問題であるという点です。

税関手続上、貨物として輸入できたとしても、国内で一般消費者向けに販売する場合には、家庭用品品質表示法上の表示確認が必要になることがあります。

フォワーダーや通関業者は、輸入申告手続きを支援する立場ですが、荷主が国内販売を予定している場合には、販売前に品質表示を確認するよう案内しておくことが実務上有効です。

表示すべき内容の例

家庭用品品質表示法で求められる表示内容は、品目によって異なります。

たとえば、繊維製品では繊維の組成、洗濯表示、取扱い上の注意、表示者名などが問題になります。

繊維製品の洗濯表示については、JIS L 0001に基づく記号表示が関係します。海外製品では、旧来の記号や各国独自の表示が使われていることがあり、日本の現行規格に対応していない場合があります。

合成樹脂加工品では、原料樹脂、耐熱温度、取扱い上の注意などが問題になることがあります。

雑貨工業品では、材質、寸法、取扱い上の注意、表示者名などが品目ごとに問題になります。

電気機械器具では、使用上の注意や品質に関する表示が求められる場合があります。

したがって、単に「商品名」や「原産国」だけを表示すれば足りるわけではありません。対象品目ごとに、どの表示事項が必要かを確認する必要があります。

ECサイト販売と表示義務

ECサイトで販売する場合でも、家庭用品品質表示法上の確認が不要になるわけではありません。

商品ページ上で材質、組成、取扱い方法などを表示していても、品目によっては製品本体、ラベル、下げ札、包装などへの物理的な表示が求められる場合があります。

また、ECサイトの商品説明と、製品本体やラベルの表示内容が一致していない場合、消費者対応や取引先対応で問題になることがあります。

オンライン販売だからといって表示義務が軽くなるわけではなく、対象品目に該当する場合には、販売前に表示方法を確認しておく必要があります。

輸入者・販売者が確認すべきこと

輸入者や国内販売者は、対象品目に該当するかどうかを確認したうえで、表示内容、表示方法、表示場所、表示者名を整理する必要があります。

特に、海外メーカーが作成した表示ラベルをそのまま使う場合、日本の制度に合っていないことがあります。

表示者名は、輸入者、販売者、または国内で表示責任を負う者の名称・住所・連絡先を確認する必要があります。海外メーカーの社名や住所だけを記載しても、日本国内の消費者からの問い合わせ先が確認できない場合には問題が生じることがあります。

実務上は、次の点を確認することが重要です。

  • 家庭用品品質表示法の対象品目に該当するか
  • 品目ごとの表示事項を確認しているか
  • 日本語表示が必要か
  • 表示者名、住所、連絡先の記載が適切か
  • 国内の問い合わせ先が確認できるか
  • 材質、組成、寸法、取扱い上の注意が正しいか
  • 海外表示をそのまま流用していないか
  • 販売前に表示ラベルを貼付・差し替えできるか

フォワーダー実務上の注意点

フォワーダーや通関関係者は、家庭用品品質表示法上の表示内容を審査する立場ではありません。

しかし、Invoice、Packing List、商品説明、HSコード、製品写真などから、衣類、かばん、家具、合成樹脂製品、電気機械器具、日用品であることが分かる場合には、荷主に対して国内販売時の表示確認を促すことが実務上有効です。

特に、海外EC仕入れ、クラウドファンディング商品、ノベルティ、OEM製品、海外メーカーの日本初上陸商品では、表示ラベルの準備が後回しになりやすいため注意が必要です。

表示不備がある場合、輸入後に国内倉庫でラベル貼付、表示差し替え、検品、再梱包が必要になることがあります。これにより、納期遅延や追加費用が発生する可能性があります。

他法令との関係

家庭用品品質表示法の対象となる輸入品では、他の国内法令も同時に問題になることがあります。

たとえば、電気製品では電気用品安全法とPSEマーク、通信機能付き製品では電波法や電気通信事業法、食品接触製品では食品衛生法、医療・美容効果をうたう製品では薬機法、消費者向け製品では消費生活用製品安全法が関係することがあります。

広告表示、原産国表示、ブランド表示、模倣品の問題については、景品表示法、不正競争防止法、関税法などが関係することがあります。

そのため、家庭用品の輸入では、品質表示だけでなく、製品安全、広告表示、食品・薬機・電気・通信などの制度を横断的に確認する必要があります。

実務上確認すべき資料

  • 製品仕様書
  • 取扱説明書
  • 製品写真
  • 材質・成分・組成に関する資料
  • 洗濯表示・取扱表示の資料
  • JIS L 0001に対応した洗濯表示資料
  • 表示ラベル案
  • 日本語表示案
  • 表示者名・住所・連絡先の情報
  • ECサイトの商品表示案
  • Invoice
  • Packing List
  • 販売ページや商品説明ページ
  • 他法令に関する認証・表示資料

まとめ

家庭用品品質表示法と輸入品では、衣類、かばん、家具、合成樹脂製品、電気機械器具、雑貨工業品など、一般消費者向けの家庭用品を国内販売する際に、品目ごとの品質表示を確認することが重要です。

通関できることと、国内で適法に販売できることは別問題です。海外メーカーの表示や英語ラベルだけでは、日本の表示制度に対応できない場合があります。

ECサイトで販売する場合でも、表示義務が免除されるわけではありません。対象品目に該当する場合には、商品ページ、製品本体、ラベル、包装など、必要な表示方法を確認する必要があります。

フォワーダーや通関関係者は、表示内容を保証する立場ではありませんが、家庭用品に該当する輸入品について、荷主に対象品目、表示事項、日本語表示、表示者名、他法令の確認を促すことが重要です。

同義語・別表記

  • 家庭用品品質表示法
  • 家庭用品品質表示
  • 品質表示
  • 繊維製品表示
  • 雑貨表示
  • 合成樹脂加工品表示
  • 電気機械器具表示
  • 輸入品表示